説明

ポリアレーンアゾール/熱硬化性樹脂パルプおよびその製造方法

本発明は、チキソトロープとしての、およびフィルター材料としてのその使用を含む加工助剤のような、例えば流体シールおよび摩擦材料をはじめとする製品での強化材として使用するための熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプに関する。このパルプは、(a)不規則形状の熱硬化性繊維繊維状構造物と、(b)不規則形状のポリアレーンアゾール繊維状構造物と(c)水とを含んでなり、それによって熱硬化性繊維フィブリルおよび/またはスタークは、ポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡される。本発明はさらに、かかる熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チキソトロープとしての、およびフィルター材料としてのその使用を含む加工助剤のような、例えば流体シールおよび摩擦材料をはじめとする製品での強化材として使用するための熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプに関する。本発明はさらに、かかるパルプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化材および非繊維強化材は、摩擦製品、流体シーリング製品および他のプラスチックまたはゴム製品に長年使用されてきた。かかる強化材は典型的には、高い耐摩耗性および耐熱性を示さなければならない。
【0003】
アスベスト繊維が強化材として歴史的に使用されてきたが、それらの健康上のリスクのために、代替品が製造されまたは提案されてきた。しかしながら、これらの代替品の多くは、色々な点でアスベストほどにうまく機能しない。
【0004】
非特許文献1は、可変の長さのフィブリル化ケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド繊維から製造されるパルプの製造および様々な用途での強化材としてのかかるパルプの使用を開示している。この刊行物は、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド繊維から製造されたパルプが単独で、またはノメックス(NOMEX)(登録商標)銘柄メタ−アラミド、木材パルプ、綿および他の天然セルロース誘導体、レーヨン、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、アスベストおよび他の鉱物、ガラス繊維および他のセラミックス、スチールおよび他の金属、ならびにカーボンなどの他の材料と組み合わせてシート製品に使用できることを開示している。この刊行物はまた、アスベスト容量の残りが充填剤または他の繊維で置き換えられて、アスベスト容量の一部に置き換わるための摩擦材料での、単独での、またはケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド短ステープルと合わせたケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド繊維からのパルプの使用を開示している。
【0005】
特許文献1(クサカ(Kusaka)らへの)は、摩擦改良剤、バインダーおよび(a)乾燥アラミドパルプと(b)湿潤アラミドパルプ、木材パルプまたはアクリル繊維パルプとの混合物でできた繊維強化材から製造される摩擦材料を開示している。乾燥アラミドパルプは、「乾式フィブリル化法」によって得られるアラミドパルプと定義される。乾式フィブリル化法は、パルプを製造するために回転カッターとスクリーンとの間でアラミド繊維をドライミリングすることである。湿式アラミドパルプは、「湿式フィブリル化法」によって得られるアラミドパルプと定義される。湿式フィブリル化法は、フィブリル化繊維を形成するために2つの回転ディスク間で水中にて短いアラミド繊維をミリングし、次にフィブリル化繊維、すなわちパルプを脱水することである。特許文献3はさらに、先ず、一定の比でフィブリル化する複数タイプの有機繊維を混合し、次に、混合物をフィブリル化してパルプを生成することによる繊維の混合フィブリル化法を開示している。
【0006】
ポリピリドビスイミダゾールポリマーは剛性ロッドポリマーである。このポリマー(PIPDと呼ばれ、そしてM5(登録商標)繊維を製造するために使用されるポリマーとして知られているポリマー組成物など)から製造された繊維は、切断抵抗性および難燃性の両方の防護衣で有用であることが知られている。ポリマー鎖間に強い水素結合を有する剛性ロッドポリマー繊維、例えばポリピリドビスイミダゾールは、シッケマ(Sikkema)らに付与された特許文献2に記載されてきた。ポリピリドビスイミダゾールの例は、ポリリン酸中テトラアミノピリジンと2,5−ジヒドロキシテレフタル酸との重縮合によって製造することができる、ポリ(1,4−(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン−2,6−ピリド[2,3−d:5,6−d’]ビスイミダゾール)である。シッケマ(Sikkema)は、パルプをこれらの繊維から製造できることを開示している。シッケマ(Sikkema)はまた、繊維、フィルム、テープなどのような1−または2−次元物体の製造において、ポリピリドビスイミダゾールが、25℃でメタンスルホン酸中0.25g/dlのポリマー濃度で測定されるときに、少なくとも約3.5、好ましくは少なくとも約5、より詳細には約10以上の相対粘度(「V相対」または「h相対(hrel)」)に相当する高い分子量を有することが望ましいと記載している。シッケマ(Sikkema)はまた、良好な繊維紡糸結果が約12より大きい相対粘度を有するポリ[ピリドビスイミダゾール−2,6−ジイル(2,5−ジヒドロキシ−p−フェニレン)]で得られること、および50を超える(約15.6dl/gより大きい固有粘度に相当する)相対粘度を達成できることを開示している。
【0007】
製品でうまく機能しかつ低コストの代替パルプを提供することが継続的に必要とされている。多数の開示がより低コストの代替強化材を提案しているにもかかわらず、これらの提案された製品の多くは、使用中に十分に機能しない、現在市販の製品よりかなりコストがかかるか、または他の負の属性を有する。従って、他の商業的に入手可能な強化材に匹敵するかまたはそれより高価でない、高い耐摩耗性および耐熱性を示す強化材が依然として必要とされている。
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0022961号明細書
【特許文献2】米国特許第5,674,969号明細書
【非特許文献1】「研究開示(Research Disclosure)」、1980年2月公表、74−75ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、
(a)全固形分の60〜97重量パーセントである、不規則形状のフィブリル化熱硬化性樹脂繊維状構造物と、
(b)全固形分の3〜40重量パーセントである不規則形状のフィブリル化ポリアレーンアゾール繊維状構造物と、
(c)全体パルプの4〜60重量パーセントである水
を含んでなるパルプであって、熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物が5mm以下の平均最大寸法、1.3mm以下の長さ加重平均長さ、ならびに熱硬化性樹脂フィブリルおよび/またはスタークがポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡されるスタークおよびフィブリルを含んでなるパルプに関する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、
(a)(1)フィブリル化されることができ、そして10cm以下の平均長さを有し、かつ、原料中の全固形分の60〜97重量パーセントである熱硬化性繊維、
(2)10cm以下の平均長さを有し、かつ、原料中の全固形分の3〜40重量パーセントである剛性ロッドポリアレーンアゾール繊維、および
(3)全原料の95〜99重量パーセントである水
を含むパルプ原料を組み合わせる工程と、
(b)原料をほぼ均一なスラリーへ混合する工程と、
(c)スラリーを同時に、
(1)スタークおよびフィブリルを有する不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾール繊維をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、ならびに
(2)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(d)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなる、フィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法であって、
それによって、フィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物が5mm以下の平均最大寸法、1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する状態でフィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプを生成し、そしてフィブリル化熱硬化性樹脂フィブリルおよび/またはスタークがポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡される方法である。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、
(a)水と
(1)フィブリル化されることができ、パルプ中の全固形分の60〜97重量パーセントである熱硬化性繊維、および
(2)パルプ中の全固形分の3〜40重量パーセントである剛性ロッドポリアレーンアゾール繊維
よりなる群からの第1繊維とを含んでなる原料を組み合わせる工程と、
(b)組み合わせられた原料をほぼ均一な懸濁液へ混合する工程と、
(c)懸濁液をディスクリファイナーで精製し、それによって10cm以下の平均長さを有するように繊維を切断し、そして繊維の少なくとも一部を不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化し、そしてパルプ状にする工程と、
(d)精製懸濁液、10cm以下の平均長さを有する(a)(1および2)の群の第2繊維、および、必要に応じて、水濃度を全原料の95〜99重量パーセントに上げるための水を含む原料を組み合わせる工程と、
(e)必要に応じて、原料を混合してほぼ均一な懸濁液を形成する工程と、
(f)混合懸濁液を同時に、
(1)熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維の全てまたは実質的に全てがスタークおよびフィブリルを有する不規則形状のフィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物へ変換されるように懸濁液中の固形分をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、ならびに
(2)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(g)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなる、フィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法であって、
それによって、フィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物が5mm以下の平均最大寸法、1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する状態で熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプを生成し、そして熱硬化性樹脂フィブリルおよび/またはスタークがポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡される方法である。
【0012】
幾つかの実施形態では本発明はさらに、金属粉末、研磨材、滑剤、有機摩擦改良剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択される摩擦改良剤と、熱硬化性樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂、およびそれらの混合物よりなる群から選択されるバインダーと、本発明のパルプとを含んでなる摩擦材料に関する。他の実施形態では本発明は、本発明のパルプを含んでなるチキソトロープまたはフィルターに関する。
【0013】
さらに、幾つかの実施形態では本発明は、バインダーと本発明のパルプを含んでなる繊維強化材とを含んでなる流体シーリング材に関する。
【0014】
本発明は、次の通り説明される添付の図面に関連してそれについての以下の詳細な説明からさらに十分に理解することができる。
【0015】
用語解説
本発明が説明される前に、特に明記されない限り本開示の全体にわたって同じ意味を有する幾つかの用語を以下の用語解説で定義することは有用である。
【0016】
「繊維」は、長さ対その長さに垂直のその断面積を横切る幅の高い比を有する比較的可撓性の物質の単位を意味する。本明細書では、用語「繊維」は、用語「フィラメント」または「エンド」と同じ意味で用いられる。本明細書に記載されるフィラメントの断面は、任意の形状であることができるが、典型的には円形または豆形である。パッケージで糸巻きへ紡績される繊維は、連続繊維または連続フィラメントまたは連続フィラメント糸と呼ばれる。繊維は、ステープルファイバーと呼ばれる短い長さへ切断することができる。繊維は、フロックと呼ばれるさらにより小さい長さへ切断することができる。糸、マルチフィラメント糸またはトウは複数の繊維を含んでなる。糸はより合わせるおよび/または撚ることができる。
【0017】
「フィブリル」は、マイクロメートルの何分の1から数マイクロメートルほどの小さい直径を有し、そして約10〜100マイクロメートルの長さを有する小さな繊維を意味する。フィブリルは一般に、4〜50マイクロメートルの直径を有するより大きい繊維の本幹から伸びる。フィブリルは、隣接材料を巻き込み、そして捕捉するためのホックまたはファスナーの役割を果たす。一部の繊維はフィブリル化するが、他はフィブリル化しないかまたは効果的にフィブリル化せず、本定義の目的のためにはかかる繊維はフィブリル化しない。
【0018】
「フィブリル化繊維状構造物」は、それから伸びるスタークおよびフィブリルを有する材料の粒子であって、スタークが一般に円柱状で、約10〜50ミクロン直径であり、そしてフィブリルがスタークに付いたわずかミクロンの何分の1または数ミクロン直径で、約10〜100ミクロン長さの髪様部材である粒子を意味する。
【0019】
「フロック」は、ステープルファイバーより短い、短い長さの繊維を意味する。フロックの長さは約0.5〜約15mm、4〜50マイクロメートルの直径であり、好ましくは1〜12mmの長さおよび8〜40マイクロメートルの直径を有する。約1mm未満であるフロックは、それが使用される材料の強度を有意に増加させない。約15mmより大きいフロックまたは繊維は、個々の繊維が交絡した状態になるかもしれず、そして材料またはスラリーの全体にわたって十分に、均一に分配され得ないので、しばしばうまく機能しない。米国特許第3,063,966号明細書、同第3,133,138号明細書、同第3,767,756号明細書、および同第3,869,430号明細書に記載されている方法によって製造されるものなど、アラミドフロックは、それほどまたは全くフィブリル化せずにアラミド繊維を短い長さへ切断することによって製造される。
【0020】
「算術」平均長さは、次式からの計算された長さを意味する。
【0021】
【数1】

【0022】
「長さ加重平均」長さは、次式からの計算された長さを意味する。
【0023】
【数2】

【0024】
「重量加重平均」長さは、次式からの計算された長さを意味する。
【0025】
【数3】

【0026】
物体の「最大寸法」は、物体における2つの互いに最遠位点間の直線距離を意味する。
【0027】
「ステープルファイバー」は、フィラメントを15cm以下、好ましくは3〜15cm、最も好ましくは3〜8cmの長さへ切断することによって製造することができる。ステープルファイバーは真っ直ぐである(すなわち、捲縮していない)ことができ、または捲縮して、任意の捲縮(または繰り返し屈曲)頻度で、その長さに沿って鋸歯形状の捲縮を有することができる。繊維は、コートされていない、コートされた、または別の方法で前処理された(例えば、前延伸されたもしくは熱処理された)形態で存在することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、強化材、摩擦材料および流体シーリング材、加工助剤、およびフィルター、ならびにポリアレーンアゾールおよび熱硬化性繊維パルプを組み込んでいる材料としての用途を有するポリアレーンアゾールおよび熱硬化性繊維パルプに関する。本発明はまた、ポリアレーンアゾールおよび熱硬化性繊維パルプの製造方法にも関する。
【0029】
1.本発明の方法の第1実施形態
第1実施形態では、熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法は次の工程を含んでなる。第1に、パルプ原料は一緒に組み合わせられるか、加えられるかまたは接触させられる。第2に、組み合わせられたパルプ原料はほぼ均一なスラリーへ混合される。第3に、スラリーは同時に精製されるかまたは共精製される。第4に、水が精製スラリーから除去される。
【0030】
組み合わせ工程
組み合わせ工程では、パルプ原料は好ましくは容器に一緒に加えられる。好ましい実施形態ではパルプ原料は、(1)熱硬化性繊維、(2)ポリアレーンアゾール繊維、(3)場合により他の添加剤、および(4)水を含む。
【0031】
熱硬化性繊維
熱硬化性繊維は、原料中の全固形分の60〜97重量%、好ましくは原料中の全固形分の60〜75重量%の濃度に加えられる。
【0032】
熱硬化性繊維は、好ましくは10cm以下、より好ましくは0.5〜5cm、最も好ましくは0.6〜2cmの平均長さを有する。熱硬化性繊維はまた、10デシテックス以下の線密度を有する。パルプ原料を一緒に組み合わせる前に、連続フィラメントの形態での任意の熱硬化性繊維は、ステープルファイバーまたはフロックなどの、より短い繊維へ切断することができる。
【0033】
熱硬化性繊維ポリマー
熱硬化性繊維とは、これらの繊維が熱硬化性ポリマーから製造されることを意味する。熱硬化性ポリマーは一般に、それらが粘稠な液体として流れ、そして繊維および他の造形構造物に成形することができるように短時間適切な温度に加熱される前駆体を有する。液体ポリマーは次に典型的には化学架橋反応を受け、その結果として液体を固化させるかまたは「硬化させて」熱で可逆的でない不融性塊を形成する。
【0034】
最も好ましい実施形態では、本発明で有用な熱硬化性繊維には、アクリル繊維が含まれる。本発明の目的のためには、アクリルは、ポリマーの少なくとも85重量パーセントがアクリロニトリル単位であるポリマーを意味する。アクリロニトリル単位は−(CH−CHCN)−である。幾つかの実施形態では、アクリル繊維は、アクリロニトリルと共重合できる15重量%以下のエチレン系モノマーと共に85重量%以上のアクリロニトリルで構成されたアクリル繊維ポリマーおよびこれらのアクリル繊維ポリマーの2つもしくはそれ以上の混合物から製造することができる。アクリロニトリルと共重合できるエチレン系モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど)、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、アリルスルホン酸、メタンスルホン酸およびスチレンスルホン酸が挙げられる。
【0035】
本発明で有用な他の熱硬化性繊維には、メラミン樹脂ベースとする繊維(バソフィル・ファイバース社(Basofil Fibers,LLC)によって供給されるバソフィル(BASOFIL)(登録商標)繊維のような)および他の熱硬化性樹脂をベースとする繊維が含まれる。
【0036】
ポリアレーンアゾール繊維
ポリアレーンアゾール繊維は、原料中の全固形分の3〜40重量%、好ましくは原料中の全固形分の25〜40重量%の濃度に加えられる。ポリアレーンアゾール繊維は、好ましくは10デシテックス以下、より好ましくは0.8〜2.5デシテックスの線密度を有する。ポリアレーンアゾール繊維はまた、その縦軸に沿って好ましくは10cm以下の平均長さ、より好ましくは0.65〜2.5cmの平均長さ、最も好ましくは0.65〜1.25cmの平均長さを有する。
【0037】
ポリアレーンアゾールポリマー
ポリアレーンアゾール繊維の製造での使用に好適なポリマーは、繊維へ造形されるために繊維形成分子量のものでなければならない。このポリマーには、ホモポリマー、コポリマー、およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0038】
本明細書で定義されるところでは、「ポリアレーンアゾール」は、繰り返し単位構造(a):
【0039】
【化1】

【0040】
(式中、Nが窒素原子であり、そしてZが硫黄、酸素、またはRがNに結合した水素または置換もしくは非置換アルキルもしくはアリールであるNR基である)
の隣接芳香族基(Ar)と縮合した1つの複素芳香環、または繰り返し単位構造(b1またはb2):
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、Nは窒素原子であり、Bは酸素、硫黄、またはRがNに結合した水素または置換もしくは非置換アルキルもしくはアリールであるNR基である)
のうちのいずれかの共有芳香族基(Ar)にそれぞれ縮合した2つの複素芳香環のいずれかを有するポリマーを意味する。構造(a)、(b1)、および(b2)で表される繰り返し単位構造の数は決定的に重要であるわけではない。各ポリマー鎖は典型的には約10〜約25,000の繰り返し単位を有する。ポリアレーンアゾールポリマーには、ポリベンザゾールポリマーおよび/またはポリピリダゾールポリマーが含まれる。ある種の実施形態では、ポリベンザゾールポリマーは、ポリベンゾイミダゾールまたはポリベンゾビスイミダゾールポリマーを含んでなる。ある種の他の実施形態では、ポリピリダゾールポリマーは、ポリピリドビスイミダゾールまたはポリピリドイミダゾールポリマーを含んでなる。ある種の好ましい実施形態では、このポリマーは、ポリベンゾビスイミダゾールまたはポリピリドビスイミダゾール型のものである。
【0043】
構造(b1)および(b2)において、Yは芳香族、複素芳香族、脂肪族基、またはなし、好ましくは芳香族基、より好ましくは炭素原子の6員環芳香族基である。さらにより好ましくは、炭素原子の6員環芳香族基(Y)は、2個の置換ヒドロキシル基とパラ位結合を、さらにより好ましくは2,5−ジヒドロキシ−パラ−フェニレンを有する。
【0044】
構造(a)、(b1)、または(b2)において、ArおよびArはそれぞれ、任意の芳香族または複素芳香族基を表す。芳香族または複素芳香族基は、縮合または非縮合多環系であることができるが、好ましくは単6員環である。より好ましくは、ArもしくはAr基は、窒素原子が環系の炭素原子の1個と置き換わっている好ましくは複素芳香族であるか、またはArもしくはArは炭素環原子のみを含有してもよい。さらにより好ましくは、ArもしくはAr基は複素芳香族である。
【0045】
本明細書で定義されるところでは、「ポリベンザゾール」は、繰り返し構造(a)、(b1)、または(b2)(式中、ArもしくはAr基は炭素原子の単6員環芳香環である)を有するポリアレーンアゾールポリマーを意味する。好ましくは、ポリベンザゾールには、構造(b1)または(b2)を有する剛性ロッドポリベンザゾール、より好ましくは6員環炭素芳香環Arの構造(b1)または(b2)を有する剛性ロッドポリベンザゾールの種類が含まれる。かかる好ましいポリベンザゾールには、ポリベンゾイミダゾール(B=NR)、ポリベンゾチアゾール(B=S)、ポリベンゾオキサゾール(B=O)、およびそれらの混合物またはコポリマーが含まれるが、それらに限定されない。ポリベンザゾールがポリベンゾイミダゾールであるとき、好ましくはそれはポリ(ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスイミダゾール−2,6−ジイル−1,4−フェニレン)である。ポリベンザゾールがポリベンゾチアゾールであるとき、好ましくは、それはポリ(ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール−2,6−ジイル−1,4−フェニレン)である。ポリベンザゾールがポリベンゾオキサゾールであるとき、好ましくはそれはポリ(ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール−2,6−ジイル−1,4−フェニレン)である。
【0046】
本明細書で定義されるところでは、「ポリピリダゾール」は、繰り返し構造(a)、(b1)、または(b2)(式中、ArもしくはAr基は5個の炭素原子および1個の窒素原子の単6員環芳香環である)を有するポリアレーンアゾールポリマーを意味する。好ましくは、これらのポリピリダゾールには、構造(b1)または(b2)を有する剛性ロッドポリピリダゾール、より好ましくは6員環複素芳香環Arの構造(b1)または(b2)を有する剛性ロッドポリピリダゾールの種類が含まれる。かかるより好ましいポリピリダゾールには、ポリピリドビスイミダゾール(B=NR)、ポリピリドビスチアゾール(B=S)、ポリピリドビスオキサゾール(B=O)、およびそれらの混合物またはコポリマーが含まれるが、それらに限定されない。さらにより好ましくは、ポリピリダゾールは、構造:
【0047】
【化3】

【0048】
(式中、Nは窒素原子であり、Rは、Nに結合した水素または置換もしくは非置換アルキルもしくはアリールであり、好ましくは、式中Rは水素である)
のポリピリドビスイミダゾール(B=NR)である。ポリマー鎖の繰り返し単位の平均数は典型的には約10〜約25,000の範囲に、より典型的には約100〜1,000の範囲に、さらにより典型的には約125〜500の範囲に、そしてさらに典型的には約150〜300の範囲にある。
【0049】
本発明の目的のためには、ポリアレーンアゾールポリマーの相対分子量は、メタンスルホン酸などの好適な溶剤でポリマー製品を0.05g/dlのポリマー濃度に希釈し、そして30℃で1つもしくはそれ以上の希薄溶液粘度値を測定することによって好適に特徴づけられる。本発明のポリアレーンアゾールポリマーの分子量増加は、1つもしくはそれ以上の希薄溶液粘度測定によって好適に監視され、そしてそれらと相互に関係づけられる。従って、相対粘度(「V相対」または「h相対」または「n相対」)および固有粘度(「V固有」または「h固有」または「n固有」)の希薄溶液測定は典型的には、ポリマー分子量を監視するために用いられる。希薄ポリマー溶液の相対粘度および固有粘度は、式
固有=ln(V相対)/C
(ここで、lnは自然対数関数であり、Cはポリマー溶液の濃度である)
に従って関係づけられる。V相対は、ポリマー溶液粘度対ポリマーを含まない溶剤の粘度の単位なしの比であり、こうしてV固有は逆濃度の単位で、典型的にはグラム当たりのデシリットル(「dl/g」)として表される。従って、本発明のある種の態様では、メタンスルホン酸中0.05g/dlのポリマー濃度で、30℃で少なくとも約20dl/gの固有粘度を有するポリマー溶液を提供するとして特徴づけられるポリピリドイミダゾールポリマーが製造される。本明細書に開示される本発明に由来するより高い分子量のポリマーは粘稠なポリマー溶液を生成するので、メタンスルホン酸中の約0.05g/dlポリマーの濃度は、適量の時間で固有粘度を測定するために有用である。
【0050】
幾つかの実施形態では、本発明は、少なくとも20dl/gの固有粘度を有するポリアレーンアゾール繊維を利用し、他のより好ましい実施形態では固有粘度が少なくとも25dl/gのものであり、そして幾つかの最も好ましい実施形態では固有粘度が少なくとも28dl/gのものである。
【0051】
任意の他の添加剤
他の添加剤は場合により、それらが混合工程でスラリー中に懸濁されたままであり、そして上に挙げた必須固体原料への精製工程の影響を有意に変えない限り添加することができる。好適な添加剤には、顔料、染料、酸化防止剤、難燃性化合物、ならびに他の加工助剤および分散助剤が含まれる。好ましくは、パルプ原料には、アスベストは含まれない。言い換えれば、生じたパルプは、アスベストを含まないまたはアスベストなしである。
【0052】

水は、全原料の95〜99重量%、好ましくは全原料の97〜99重量%の濃度に加えられる。さらに、水は最初に加えることができる。次に他の原料を、組み合わせられた原料を同時に混合しながら水への分散を最適化するための速度で加えることができる。
【0053】
混合工程
混合工程で、原料はほぼ均一なスラリーへ混合される。「ほぼ均一な」とは、スラリーのランダムサンプルが、組み合わせ工程での全原料と同じ重量%プラスまたはマイナス10重量パーセント、好ましくは5重量パーセント、最も好ましくは2重量パーセントの濃度の出発原料のそれぞれを含有することを意味する。例えば、全混合物中の固形分の濃度が50重量%熱硬化性繊維・プラス・50重量%ポリアレーンアゾール繊維である場合、混合工程でのほぼ均一な混合物は、スラリーの各ランダムサンプルが(1)50重量%プラスまたはマイナス10重量%、好ましくは5重量%、最も好ましくは2重量%の熱硬化性繊維の濃度、および(2)50重量%プラスまたはマイナス10重量%、好ましくは5重量%、最も好ましくは2重量%のポリアレーンアゾール繊維の濃度を有することを意味する。混合は、回転羽根または何らかの他の攪拌器を含有する任意の容器で行うことができる。混合は、原料が加えられた後にか、または原料が加えられているかもしくは組み合わせられている間に起こり得る。
【0054】
精製工程
精製工程で、パルプ原料は、次の通り同時に共精製され、変換されまたは改質される。熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾール繊維は、スタークおよびフィブリルを有する不規則形状の繊維状構造物へフィブリル化され、切断され、パルプ状にされる。全固形分は、精製スラリーがほぼ均一であるように分散される。「ほぼ均一な」は上に定義された通りである。精製工程は好ましくは、混合スラリーを1つもしくはそれ以上のディスクリファイナーに通すこと、またはスラリーを単一リファイナーにリサイクルバックすることを含んでなる。用語「ディスクリファイナー」とは、互いに回転し、それによってディスク間の剪断作用により原料を精製する1つもしくはそれ以上のペアのディスクを含有するリファイナーを意味する。1つの好適なタイプのディスクリファイナーでは、精製されているスラリーは、互いに狭い間隔で配置された円形回転子ディスクと固定子ディスクとの間にポンプ送液される。各ディスクは、少なくとも部分的に放射状に伸びる表面溝付きの、他のディスクと対面する表面を有する。用いることができる好ましいディスクリファイナーは米国特許第4,472,241号明細書に開示されている。好ましい実施形態では、ディスクリファイナーについてのプレートギャップ設定値は、最大0.18mmであり、好ましくはギャップ設定値は、約0.05mmの実用的な最小設定値までの、0.13mm以下である。
【0055】
均一な分散および十分な精製のために必要な場合、混合スラリーを2回以上ディスクリファイナーにまたは一連の少なくとも2つのディスクリファイナーに通すことができる。混合スラリーが単一のリファイナーで精製されるとき、生じたスラリーは不十分に精製され、不均一に分散される傾向がある。完全にもしくは実質的に1つの固体原料、もしくは他のもの、または両方の集合体または凝集体は、分散形態ではなくほぼ均一な分散系を形成することができる。かかる集合体または凝集体は、混合スラリーがリファイナーに2回以上通されるかまたは2つ以上のリファイナーに通されるときにバラバラになり、スラリー中に分散されるより大きな傾向を有する。場合により、精製されるスラリーをスクリーンに通して長い繊維または塊を分離してもよく、それらは、受け入れられる長さまたは濃度へ切断されるまで1つもしくはそれ以上のリファイナーにリサイクルされてもよい。
【0056】
多数の原料を含有するほぼ均一なスラリーは、本方法のこの工程で共精製されるので、任意の1タイプのパルプ原料(例えば、ポリアレーンアゾール繊維)は、全ての他のタイプのパルプ原料(例えば、熱硬化性繊維)の存在下に、それらの他の原料もまた精製されながらパルプへ精製される。パルプ原料のこの共精製は、2種のパルプを単に混ぜ合わせることによって生成されるパルプブレンドより優れているパルプを形成する。2種のパルプを一緒に加え、次にそれらを単に混ぜ合わせても、本発明に従ってパルプ原料のパルプへの共精製によって生成されたパルプのほぼ均一な、密接に結び付いた繊維状構成成分を形成しない。
【0057】
除去工程
次に水が精製スラリーから除去される。水は、水平フィルターなどの脱水デバイスにパルプを集めることによって除去することができ、必要に応じて、パルプ・フィルターケーキを加圧するまたは圧搾することによってさらなる水を除去することができる。脱水パルプは、場合により次に所望の含水率まで乾燥することができる、および/または包装するもしくはロールに巻き取ることができる。幾つかの好ましい実施形態では、生成したパルプをスクリーン上に集めて、ロールに巻き取ることができる程度に水が除去される。幾つかの実施形態では、存在する約60総重量%以下、好ましくは4〜60総重量%の水が所望量の水である。しかしながら、幾つかの実施形態では、パルプはより多くの水を保持することができ、その結果、75総重量%水ほどにより多い量の総水が存在するであろう。
【0058】
図1および2
これより、本方法は図1および2に関連して説明される。この詳細な説明の全体にわたって、類似の参照文字は図面の全ての図で類似の要素を意味する。
【0059】
図1について言及すると、本発明に従って「湿潤」パルプを製造する湿式法の実施形態のブロック図がある。パルプ原料1がコンテナ2に加えられる。コンテナ2は、洗濯機のミキサーに類似の内部ミキサーを備えている。ミキサーは、原料を水中へ分散させてほぼ均一なスラリーを生成する。混合スラリーは、スラリーを精製する第1リファイナー3に移される。次に、場合により、精製スラリーは、第2リファイナー4に、そして場合により次に第3リファイナー5に移すことができる。3つのリファイナーが例示されているが、所望の均一性および精製の程度に依存して任意の数のリファイナーを用いることができる。一連のリファイナーの最後のリファイナーの後で、精製スラリーは場合によりフィルターまたはソーター6に移され、それは、選ばれたメッシュまたはスクリーン・サイズより下の分散固形分入りスラリーを通過させ、そして選ばれたメッシュまたはスクリーン・サイズより大きい分散固形分をライン7によってなど1つもしくはそれ以上のリファイナーへまたはこの再循環スラリーを精製するために役立つリファイナー8へバック再循環させ、再循環スラリーから精製スラリーはフィルターまたはソーター6に再び通される。好適に精製されたスラリーは、フィルターまたはソーター6から水平水真空フィルター9を通過し、それは、水を除去する。スラリーは、1つもしくはそれ以上のポンプ10を用いるなど、任意の従来法および装置によって次から次へと移すことができる。次にパルプは、パルプが所望の濃度の水を有するまでより多くの水を除去する乾燥機11に搬送される。次に精製パルプは梱包機12で包装される。
【0060】
図2について言及すると、本発明に従って「乾燥」パルプを製造する乾式法の実施形態のブロック図がある。この乾式法は、水平水真空フィルター9の後を除いて湿式法と同じものである。このフィルターの後、パルプは、パルプが所望濃度の水を有するまでより多くの水を除去するプレス13を通り抜ける。次にパルプは、パルプを毛羽立てるための毛羽立機14、次により多くの水を除去するための乾燥機11を通り抜ける。次に、パルプは回転子15に通され、梱包機12で包装される。
【0061】
II.本発明の方法の第2実施形態
第2実施形態では、熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法は、以下の相違点以外は上記の本方法の第1実施形態と同じものである。
【0062】
全ての原料を一緒に組み合わせる前に、熱硬化性繊維かポリアレーンアゾール繊維かのいずれか、または熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾール繊維の両方が短くされる必要があり得る。これは、水を繊維原料と組み合わせることによって行われる。次に水および繊維は混合されて第1懸濁液を形成し、繊維を短くするために第1ディスクリファイナーによって処理される。ディスクリファイナーは、10cm以下の平均長さに繊維を切断する。ディスクリファイナーはまた、繊維を部分的にフィブリル化し、そして部分的にパルプ状にするであろう。予め加えられなかった他の繊維は、この方法でもまた短くすることができて第2処理懸濁液を形成する。次に他の繊維(または、水中で処理される場合、第2懸濁液)は第1懸濁液と組み合わせられる。
【0063】
より多くの水が、水濃度を全原料の95〜99重量パーセントに上げるために、必要に応じて、他の原料が加えられる前にもしくは加えられた後に、または加えられるときに加えられる。全ての原料が組み合わせられた後に、それらは、必要に応じて、混合してほぼ均一なスラリーを達成することができる。
【0064】
スラリー中の原料は次に、一緒に、すなわち同時に共精製される。この精製工程は、熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾール繊維の全てまたは実質的に全てが不規則形状のフィブリル化繊維状構造物に変換されるように懸濁液中の固形分をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすることを含む。この精製工程はまた、精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させる。次に水が本方法の第1実施形態におけるように除去される。両方法とも、同じまたは実質的に同じ熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールパルプを生成する。
【0065】
本発明のパルプ
本発明の方法によって製造された、生じた生成物は、製品での強化材として使用するための熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールパルプである。このパルプは、(a)不規則形状の熱硬化性繊維繊維状構造物、(b)不規則形状のポリアレーンアゾール繊維状構造物、(c)場合により他の少量の添加剤、および(d)水を含んでなる。
【0066】
パルプ中の別個の原料成分の濃度は、当然ながら、パルプを製造するのに使用される相当する原料の予め記載された濃度に相当する。
【0067】
不規則形状の熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールフィブリル化繊維状構造物はスタークおよびフィブリルを有する。熱硬化性繊維フィブリルおよび/またはスタークは、ポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡される。フィブリルは重要であり、パルプおよび最終製品で隣接粒子に粘着し、そしてそれを保持し、それによって最終製品に完全性を与えるホックまたはファスナーまたは触手の役割を果たす。
【0068】
熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールフィブリル化繊維状構造物は好ましくは5mm以下、より好ましくは0.1〜4mm、最も好ましくは0.1〜3mmの平均最大寸法を有する。この熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールフィブリル化繊維状構造物は好ましくは1.3mm以下、より好ましくは0.7〜1.2mm、最も好ましくは0.75〜1.1mmの長さ加重平均長さを有する。
【0069】
熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾールパルプは、同じ材料の実質的な凝集体または集合体を含まない。さらに、このパルプは100〜700ml、好ましくは250〜450mlの、その排水特性の尺度である、TAPPI試験T227om−92によって測定されるようなカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness)(CSF)を有する。
【0070】
パルプの表面積はフィブリル化の程度の尺度であり、パルプから製造される製品の間隙率に影響を及ぼす。本発明の幾つかの実施形態では、パルプの表面積はグラム当たり7〜11平方メートルである。
【0071】
強化材、ならびに摩擦材料および流体シーリング材の全体にわたって実質的に均一に分散された、フィブリル化繊維状構造物は、ポリアレーンアゾールポリマーの高温特性およびポリアレーンアゾール繊維のフィブリル化性向のために、強化の多くの部位および増加した耐摩耗性を提供すると考えられる。共精製されるとき、熱硬化性樹脂とポリアレーンアゾール材料とのブレンディングは非常に密であるので、摩擦材料または流体シーリング材で熱硬化性繊維構造物に近接した幾らかのポリアレーンアゾール繊維状構造物が常に存在し、その結果運転の応力および摩耗は常に共有される。それ故、共精製されるとき、熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール材料は、摩擦材料または液体シーリング材で熱硬化性繊維構造物に近接した幾らかのポリアレーンアゾール繊維状構造物が常に存在し、その結果運転の応力および摩耗が常に共有されるような密な接触にある。
【0072】
流体シーリング材
本発明はさらに、流体シーリング材および流体シーリング材の製造方法に関する。流体シーリング材は、流体および/またはガスの排出を防ぐためのバリアにまたはバリアとして使用され、2つのアイテムが接合されている場所で汚染物質の進入を防ぐために使用される。流体シーリング材のための例示的な使用はガスケットにある。流体シーリング材は、バインダーと、場合により少なくとも1つの充填剤と、本発明の熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプを含んでなる繊維強化材とを含んでなる。好適なバインダーには、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ネオプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。バインダーは、全ての他の出発原料と共に加えることができる。バインダーは典型的には、乾燥原料が混ぜ合わせられる、ガスケット製造方法の第1工程に加えられる。他の原料には、場合により未硬化ゴム粒子とバインダーに充填剤およびパルプの表面をコートさせるためのゴム溶剤または溶剤中のゴムの溶液とが含まれる。好適な充填剤には、硫酸バリウム、粘土、タルク、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0073】
流体シーリング材の好適な製造方法は、例えば、ビーター添加法もしくはガスケットが材料のスラリーから製造される湿式法であり、またはカレンダー掛けと呼ばれるものかまたは原料がエラストマー溶液もしくはゴム溶液で組み合わせられる乾式法による。
【0074】
摩擦材料
本発明のパルプは摩擦材料で強化材として使用することができる。「摩擦材料」とは、運動のエネルギーを止めるまたは移動させるための摩擦係数、高温での安定性、耐摩耗性、騒音および振動減衰特性などのようなそれらの摩擦特性のために使用される材料を意味する。摩擦材料に例示的な使用には、ブレーキパッド、ブレーキブロック、乾式クラッチフェーシング、クラッチフェイスセグメント、ブレーキパッドバッキング/絶縁層、自動変速機紙、湿式ブレーキおよび他の工業用の摩擦紙が含まれる。
【0075】
この新たな使用を考慮して、本発明はさらに、摩擦材料および摩擦材料の製造方法に関する。具体的には、本摩擦材料は、摩擦改良剤、場合により少なくとも1つの充填剤、バインダー、および本発明の熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプを含んでなる繊維強化材を含んでなる。好適な摩擦改良剤は、鉄、銅および亜鉛などの金属粉末;マグネシウムおよびアルミニウムの酸化物などの研磨材;合成および天然グラファイト、ならびにモリブデンおよびジルコニウムの硫化物などの滑剤;ならびに合成ゴムおよびカシューナッツ殻樹脂粒子などの有機摩擦改良剤である。好適なバインダーは、フェノール樹脂(すなわち、ストレート(100%)のフェノール樹脂およびゴムまたはエポキシで変性された様々なフェノール樹脂)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂、ならびにそれらの混合物などの熱硬化性樹脂である。好適な充填剤には、バライト、白亜、石灰、粘土、タルク、様々な他のマグネシウム−アルミニウム−シリケート粉末、ウォラストナイト、アタパルジャイト、およびそれらの混合物が含まれる。
【0076】
摩擦材料を製造するための実際の工程は、所望の摩擦材料のタイプに依存して変わることができる。例えば、成形摩擦部品の製造方法は一般に、金型で所望の原料を組み合わせる工程と、部品を硬化させる工程と、必要に応じて部品を造形し、熱処理し、そして研削する工程とを含む。自動変速機および摩擦紙は一般に、所望の原料をスラリーで組み合わせ、従来の製紙法を用いて抄紙機で製紙することによって製造することができる。
【0077】
チキソトロープなどの加工助剤としてのその使用、またはフィルター材料としてのその使用をはじめとする、本パルプの多くの他の用途が可能である。フィルター材料として使用されるとき、典型的には本発明のパルプは、バインダーと組み合わせられ、成形品、シートまたは紙製品は従来法によって製造される。
【0078】
試験方法
以下の試験方法を以下の実施例で用いた。
【0079】
カナダ標準ろ水度(CSF)は、光学顕微鏡法と併せてTAPPI方法T227に記載されているように測定した。CSFは希薄パルプ懸濁液の排水速度を測定する。それは、フィブリル化の程度を評価するための有用な試験である。当該試験の実施から得られたデータは、指定条件下に水性スラリーから排出する水のミリリットルを表す、カナダろ水度数として表現される。大きな数は、高いろ水度および水が排出する高い傾向を示唆する。低い数は、分散系がゆっくり排水する傾向を示唆する。多数のフィブリルは、水が形成紙マットを通って排出する速度を低下させるので、ろ水度はパルプのフィブリル化の程度に反比例する。
【0080】
長さ加重平均長さをはじめとする、平均繊維長さは、TAPPI試験方法T271に従って繊維品質分析計(Fiber Quality Analyzer)(オプテスト・イクイップメント社、カナダ国K6A 3S3、ON、ホークスベリ、900タッパー・ストリート(OpTest Equipment Inc.,900 Tupper St.,Hawkesbury,ON,K6A 3S3 Canada)によって販売される)を用いて測定した。
【0081】
温度:全ての温度は、度摂氏(℃)単位で測定する。
【0082】
デニールは、ASTM D1577に従って測定し、9000メートルの繊維のグラム単位の重量として表されるような繊維の線密度である。デニールは、独国ミュンヘンのテクステクノ(Textechno of Munich,Germany)製の振動計(Vibroscope)で測定する。デニールの(10/9)倍はデシテックス(dtex)に等しい。
【実施例】
【0083】
これより、本発明を以下の具体的な実施例によって例示する。全ての部および百分率は、特に明記しない限り重量による。本発明の方法に従って製造した実施例は数値によって示す。比較例は文字によって示す。
【0084】
以下の実施例は、熱硬化性繊維の存在下に少量のポリアレーンアゾール繊維を共精製することによる熱硬化性繊維のフィブリル化の程度の意外な増加を例示する。フィブリル化の程度はパルプ製品の重要な特性である。フィブリル化の程度と充填剤保持率との間には直接的な関係がある。加えて、フィブリル化は、様々な材料でパルプ製品の均一な分散を達成するために有用である。高度にフィブリル化した繊維はまた、物理的な交絡によって非フィブリル化繊維より強くマトリックスに結合することができるであろう。次に続く実施例で、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維を、ポリアレーンアゾール繊維系を代表するものとして使用し、そしてアクリル繊維を、熱硬化性繊維を代表するために使用した。
【0085】
比較例A
比較例は、熱硬化性繊維がポリアレーンアゾール繊維を全く用いずに精製されるときに製造される先行技術の材料を例示する。9.5mmの切断長を有する68.1グラムの1.9デシテックスのアクリル繊維(スターリング・ファイバース社、フロリダ州32571、ペイス、5005スターリング・ウェイ(Sterling Fibers,Inc.,5005 Sterling Way,Pace,FL 32571)によって販売される)を2.7Lの水に分散させた。分散系を、0.26mmに設定したディスクギャップのスプラウト−ワルドロン(Sprout−Waldron)単一速度、30cmシングルディスクリファイナー(アンドリッツ社、ペンシルバニア州17756、マンシー、スプラウト−バウアー・イクイップメント(Andritz,Inc.,Sprout−Bauer Equipment,Muncy,PA 17756)によって販売される)に5回、引き続き0.13mmに設定したディスクギャップのこのリファイナーに12パス通した。製造されたままの100%アクリル精製材料の特性を表1に示し、図3は、精製後にこの材料が受けた限定されたフィブリル化を示す材料のデジタル光学顕微鏡写真である。
【0086】
紙を次に精製材料から、標準パルプ粉砕機(TAPPI 205の付属書Aに記載されているような)で6.7グラムの材料(乾燥重量基準で)を1.5Lの水に3分間分散させ、21cm×21cmの寸法のスクリーンを有するウェット−レイド紙型に分散系を加えることによって製造した。分散系を次に5Lの水で希釈し、ウェット−レイド紙をスクリーン上に形成し、過剰の水を麺棒で除去した。紙を次に紙乾燥機中100℃で10分間乾燥させた。製造されたままの紙の特性を表1に示す。
【0087】
比較例B
比較例は100%ポリアレーンアゾールパルプを例示する。100%PBOパルプを、アクリル繊維ではなく68.1グラムの12.7mmの切断長を有する1.7デシテックスPBO繊維(東洋紡績株式会社、ザイロン事業部、大阪市北区堂島浜2−2−8(Toyobo Co.,Ltd.,Zylon Department,2−2−8 Dojima−Hama,Kita−Ku Osaka)によって販売される)を使用することを除いて比較例Aと同じ手順を用いて製造した。製造されたままの100%PBO精製材料の特性を表1に示し、図4は、精製後のPBO繊維のフィブリル化を示すパルプのデジタル光学顕微鏡写真である。紙を次にPBO精製材料から(比較例Aに記載したように)製造した。製造されたままの紙の特性を表2に示す。
【0088】
実施例1
本発明のパルプは、比較例Aの出発未精製切断繊維と比較例Bの出発未精製切断繊維との混合物を含有する分散系をディスクリファイナーに17回通して共精製パルプを形成することを除いて比較例Aと同じ手順を用いて製造した。繊維混合物は、9.5mmの切断長を有する61.7グラムの1.9デシテックスのアクリル繊維(スターリング・ファイバース社、フロリダ州32571、ペイス、5005スターリング・ウェイ(Sterling Fibers,Inc.,5005 Sterling Way,Pace,FL 32571)によって販売される)と12.7mmの切断長を有する6.4グラムの1.7デシテックスPBO繊維(東洋紡績株式会社、ザイロン事業部、大阪市北区堂島浜2−2−8(Toyobo Co.,Ltd.,Zylon Department,2−2−8 Dojima−Hama,Kita−Ku Osaka)によって販売される)とを含有した。共精製パルプは、約9重量パーセントPBOと91重量パーセントのアクリルとを有した。製造されたままのパルプの特性を表1に示す。紙を次にこのパルプから(比較例Aに記載したように)製造した。製造されたままの紙の特性を表2に示す。
【0089】
実施例2
本発明の別のパルプは、混合物が50.8グラムの1.9デシテックスのアクリル繊維と17.3グラムの1.7デシテックスPBO繊維とを含有することを除いて実施例1と同じ手順を用いて製造した。共精製パルプは、約25重量パーセントPBOと75重量パーセントのアクリルとを有した。製造されたままのパルプの特性を表1に示し、図5は、精製後のPBOおよびアクリル繊維の両方のフィブリル化を示すパルプのデジタル光学顕微鏡写真である。紙を次にこのパルプから(比較例Aに記載したように)製造した。製造されたままの紙の特性を表2に示す。
【0090】
比較例C
この比較例は、ポリアレーンアゾール繊維とは別々に熱硬化性繊維を精製し、次にそれらを混ぜ合わせると、本発明の共精製パルプから製造した紙より低い引張強度(ひいては、より少ないフィブリル化)を有する紙を与えるパルプをもたらすことを実証する。
【0091】
比較例Aで製造した精製材料のサンプルを比較例Bの精製材料のサンプルと、75重量%アクリル材料対25重量%PBO材料(乾燥重量基準)の量で、TAPPI 205の付属書Aに記載されているような標準パルプ粉砕機を5分間用いて混合した。TAPPI粉砕機は、攪拌が予め精製されたパルプをよく混合し、そして分散させるのに十分に激しいが、それがそれらの長さまたはフィブリル化を変えないであろうから、比較例AおよびBの2つの精製パルプを混合するために用いた。製造されたままのパルプの特性を表1に示す。紙を次にこのパルプから(比較例Aに記載したように)製造した。製造されたままの紙の特性を表2に示す。実施例2からの紙の強度とこの比較例から製造された紙との比較は、共精製パルプから製造された紙が著しく改善された物理的特性(例えば、この比較例のパルプから製造された紙についての0.07N/cmに対して共精製パルプからの紙についての0.18N/cmの引張強度)を有したことを明らかにする。
【0092】
比較例Aに記載されたような精製熱硬化性樹脂材料は、感知できるほどのフィブリル化した繊維を有さない。ポリアレーンアゾール繊維を熱硬化性繊維に添加し、次に実施例1および2におけるように2つの繊維を一緒に精製すると、生じた熱硬化性繊維はより高程度のフィブリル化を示す。この影響は、図3に示される25/75PBO/アクリル共精製パルプ製品で明らかに観察できる。興味深いことには、実施例2のパルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は、比較例Cに記載されるように75/25乾燥重量基準で100%アクリルパルプを100%PBOパルプと混合することによって得られたCSFに匹敵する。光学顕微鏡法からの結果をCSFと組み合わせると、ポリアレーンアゾール材料が熱硬化性樹脂材料にフィブリル化を誘導することを示唆する。
【0093】
実施例で製造したパルプ製品の繊維長さ平均値を表1に載せ、興味深いことには、共精製サンプルは、単一のタイプの繊維を含有するサンプルより短い繊維長さを有する。これは、ポリアレーンアゾール繊維と共精製することによって、ポリアレーンアゾールパルプを他のパルプと単に混合することでは達成することができない非常に異なるタイプのパルプ製品が製造されることを実証する。
【0094】
表2は、実施例で製造したハンドシートから得た弾性率および靱性結果をまとめる。実施例2についてのハンドシートのデータは、意外なほどに高い弾性率の紙を本発明の幾らかのパルプから形成できることを示す。弾性率は、単一材料紙より数倍高く、ポリアレーンアゾールおよび熱硬化性樹脂が一緒に処理されるときに達成できるに過ぎない。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
実施例3
本発明のパルプを組み込んだディスクブレーキパッドを次の方法で製造する。7重量%カシューナッツ殻樹脂と、17重量%無機充填剤と、21重量%グラファイト、コークおよび滑剤と、18重量%無機研磨材と、16重量%軟質金属との混合物を含んでなる約20キログラムのアスベストを含有しないベース配合粉末を、50リットルのリトルフォード(Littleford)ミキサーで10〜20分間混ぜ合わせた。本ミキサーは、「星および棒」構造のブレード付きの2つの高速チョッパーとより遅い回転プラウとを有する。
【0098】
5キログラムの十分にブレンドされたベース配合物粉末を次に、配合物粉末とパルプとの総合重量を基準として3.8重量%の量での本発明のパルプ(50重量%ポリアレーンアゾールおよび50重量%熱硬化性樹脂である共精製パルプ)と組み合わせる。パルプを次に、追加の5〜10分間混合することによってベース配合物粉末中に分散させる。混合してから、生じたブレーキパッド組成物は、パルプの検出できる球状化または任意の成分の分離を実質的に全く伴わずに、繊維がベース配合物粉末中に十分に分散され、そしてそれで完全にコートされた、通常の外観を有する。
【0099】
ブレーキパッド組成物を次に、前輪ディスクブレーキパッド用の単一キャビティ・スチール金型へ注ぎ込み、約5/8インチ(16mm)の標準厚さへ冷間プレスし、次に金型から取り出して200グラムのおおよその重量を有する予成形ブレーキパッドを形成する。12の複製予成形物を製造する。予成形物を次に、2つの多数キャビティ金型に入れ、商業プレスに入れ、フェノール系反応ガスを逃がすために定期的に圧力解除しながら、300°F(149℃)で約15分間プレス硬化させ(バインダーフェノールの架橋および反応)、これに、フェノール系バインダー架橋を完了させるための340°F(171℃)で4時間の軽く制約されたオーブン硬化が続く。硬化した成形パッドを次に、約半インチ(13mm)の所望の厚さに研削する。
【0100】
実施例4
本実施例は、どのようにして本発明のパルプを流体シーリング用途向けビーター添加ガスケットへ組み込むことができるかを例示する。水、ゴム、ラテックス、充填剤、化学薬品、および本発明のパルプを所望量で組み合わせてスラリーを形成する。循環網篩(抄紙機スクリーンまたはすき網などの)で、スラリーは、その含水量を大部分排出し、加熱トンネルで乾燥され、加熱カレンダーロールで加硫して約2.0mmの最大厚さを有する材料を形成する。この材料は、液圧プレスまたは2ロールカレンダーで圧縮され、これにより、密度が増加され、シール適性が高められる。
【0101】
かかるビーター添加ガスケット材料は一般に、同等の圧縮繊維材料ほどに良好なシール適性を有さず、中圧高温用途に最適である。ビーター添加ガスケットは、補助エンジンガスケットまたは、さらなる加工後に、シリンダーヘッドガスケットの製造に適用性を見いだす。本目的のためには、半完成製品は、スパイク付き金属シートの両面上へ積層され、スパイクによって適所に物理的に固定される。
【0102】
実施例5
本実施例は、どのようにして本発明のパルプをカレンダー掛け法によって製造されるガスケットへ組み込むことができるかを例示する。実施例4と同じ原料、マイナス水を十分に乾式で混ぜ合わせ、次に適切や溶剤を使用して調製されたゴム溶液とブレンドする。
【0103】
混合後に、配合物を次に回分でロールカレンダーへ一般に搬送する。カレンダーは、冷却される小さなロールと加熱される大きなロールとよりなる。配合物はフィードされ、2つのロールの回転運動によってカレンダーニップへ引き込まれる。配合物は、圧力に依存して、一般に約0.02mm厚さの層で熱い下方ロール周りに付着し、そして巻き付いて組立配合物層でできたガスケット材料を形成する。その際に、溶剤は蒸発し、エラストマーの加硫が始まる。
【0104】
いったん所望のガスケット材料厚さが達成されると、ロールを停止し、ガスケット材料をホットロールから切り取り、所望のサイズに切断するおよび/またはパンチで打ち抜く。さらなる加圧または加熱は全く必要とされず、材料はいつでもガスケットとして機能することができる。この方法で約7mm厚さまでのガスケットを製造することができる。しかしながら、この方法で製造されたほとんどのガスケットは、はるかにより薄く、普通は厚さが約3mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に従って「湿潤」パルプの湿式製造方法を行うための装置のブロック図である。
【図2】本発明に従って「乾燥」パルプの乾式製造方法を行うための装置のブロック図である。
【図3】ポリアレーンアゾール繊維を全く用いずに熱硬化性繊維が精製されたときに製造される先行技術の材料のデジタル光学顕微鏡写真である。
【図4】精製後のPBO繊維のフィブリル化のデジタル光学顕微鏡写真である。
【図5】共精製後のPBOおよびアクリル繊維のフィブリル化のデジタル光学顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)全固形分の60〜97重量パーセントである、フィブリル化熱硬化性樹脂繊維状構造物と、
(b)全固形分の3〜40重量パーセントであるフィブリル化ポリアレーンアゾール繊維状構造物と
を含んでなる、強化材または加工助剤として使用するためのパルプであって、
熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物が5mm以下の平均最大寸法、1.3mm以下の長さ加重平均長さ、ならびに熱硬化性樹脂フィブリルおよび/またはスタークがポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡されるスタークおよびフィブリルを有するパルプ。
【請求項2】
熱硬化性樹脂繊維状構造物が全固形分の約60〜75重量パーセントである請求項1に記載のパルプ。
【請求項3】
ポリアレーンアゾール繊維状構造物が全固形分の約25〜40重量パーセントである請求項1に記載のパルプ。
【請求項4】
100〜700mlのカナダ標準ろ水度(CSF)を有する請求項1に記載のパルプ。
【請求項5】
熱硬化性樹脂繊維状構造物が熱硬化性繊維である請求項1に記載のパルプ。
【請求項6】
ポリアレーンアゾールが剛性ロッドポリベンザゾールまたは剛性ロッドポリピリダゾールポリマーである請求項1に記載のパルプ。
【請求項7】
ポリベンザゾールがポリベンゾビスオキサゾールである請求項6に記載のパルプ。
【請求項8】
ポリピリダゾールがポリピリドビスイミダゾールである請求項6に記載のパルプ。
【請求項9】
金属粉末、研磨材、滑剤、有機摩擦改良剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択される摩擦改良剤と、
熱硬化性樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択されるバインダーと、
請求項1に記載のパルプと
を含んでなる摩擦材料。
【請求項10】
請求項1に記載のパルプを含んでなるチキソトロープ。
【請求項11】
バインダーと、
請求項1に記載のパルプを含んでなる繊維強化材と
を含んでなる流体リーリング材。
【請求項12】
バインダーがニトリルゴム、ブタジエンゴム、ネオプレン、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、およびそれらの混合物よりなる群から選択される請求項11に記載の流体シーリング材。
【請求項13】
請求項1に記載のパルプとバインダーとを含んでなるフィルター。
【請求項14】
(a)(1)フィブリル化されることができ、そして10cm以下の平均長さを有し、かつ、原料中の全固形分の60〜97重量パーセントである熱硬化性繊維、
(2)10cm以下の平均長さを有し、かつ、原料中の全固形分の3〜40重量パーセントである剛性ロッドポリアレーンアゾール繊維、および
(3)全原料の95〜99重量パーセントである水
を含むパルプ原料を組み合わせる工程と、
(b)原料をほぼ均一なスラリーへ混合する工程と、
(c)スラリーを同時に、
(1)スタークおよびフィブリルを有する不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化熱硬化性繊維およびポリアレーンアゾール繊維をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、ならびに
(2)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(d)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなる、強化材として使用するためのフィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法であって、
それによって、フィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物が5mm以下の平均最大寸法、1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する状態でフィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプを生成し、そしてフィブリル化熱硬化性樹脂フィブリルおよび/またはスタークがポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡される方法。
【請求項15】
熱硬化性繊維が10デシテックス以下の線密度を有し、そしてポリアレーンアゾール繊維が2.5デシテックス以下の線密度を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
パルプが同じ材料の実質的な凝集体を含まない請求項14に記載の方法。
【請求項17】
熱硬化性樹脂繊維状構造物が熱硬化性繊維である請求項14に記載の方法。
【請求項18】
精製工程が混合スラリーを一連のディスクリファイナーに通すことを含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項19】
(a)水と
(1)フィブリル化されることができ、パルプ中の全固形分の60〜97重量パーセントである熱硬化性繊維、および
(2)パルプ中の全固形分の3〜40重量パーセントである剛性ロッドポリアレーンアゾール繊維
よりなる群からの第1繊維とを含む原料を組み合わせる工程と、
(b)組み合わせられた原料をほぼ均一な懸濁液へ混合する工程と、
(c)懸濁液をディスクリファイナーで精製し、それによって10cm以下の平均長さを有するように繊維を切断し、そして繊維の少なくとも一部を不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化し、そしてパルプ状にする工程と、
(d)精製懸濁液、10cm以下の平均長さを有する(a)(1および2)の群の第2繊維、および、必要に応じて、水濃度を全原料の95〜99重量パーセントに上げるための水を含む原料を組み合わせる工程と、
(e)必要に応じて、原料を混合してほぼ均一な懸濁液を形成する工程と、
(f)混合懸濁液を同時に、
(1)熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維の全てまたは実質的に全てがスタークおよびフィブリルを有する不規則形状のフィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物へ変換されるように懸濁液中の固形分をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、ならびに
(2)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(g)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなる、強化材および加工助剤として使用するためのフィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプの製造方法であって、
それによって、フィブリル化熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾール繊維状構造物が5mm以下の平均最大寸法、1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する状態で熱硬化性樹脂およびポリアレーンアゾールパルプを生成し、そして熱硬化性樹脂フィブリルおよび/またはスタークがポリアレーンアゾールフィブリルおよび/またはスタークと実質的に交絡される方法。
【請求項20】
熱硬化性樹脂繊維状構造物が熱硬化性繊維である請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−521614(P2009−521614A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547399(P2008−547399)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048253
【国際公開番号】WO2007/075574
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】