説明

ポリイミドフィルム

【課題】耐熱性、機械的性質に優れ、かつスリット端面に髭状物の発生が抑えられたポリイミドフィルムを提供すること。
【解決手段】レーザービームの適用や、スリット面積が0.045m2を超えないようにして刃物の交換もしくは刃先の更新を実施しての刃物によるスリットで得られる、ポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から2μm以上突出する髭状物(切断乱れ)が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であるポリイミドフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの端面における突出する髭状物(切断乱れ)がない、フレキシブルプリント配線板(FPC)などに使用する際にこれら端面の髭状物が障害を起こさないポリイミドフィルムおよびそのポリイミドフィルムがロール状に巻き取られたロール状ポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムはその化学構造により、種々特性が変化することが知られており、特に、全芳香族ポリイミドはその優れた耐熱性、機械特性、摺動特性から近年、電子、電気産業、自動車産業、宇宙、航空産業などにおいて注目を集めているエンジニアプラスチックの一つであり、高い需要が見込まれている。
ポリイミドフィルムに銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を接着剤で貼り合わせた、いわゆるフレキシブルプリント配線基板に用いられる金属化耐熱フィルムが知られている。
このものは使用する接着剤に起因すると考えられる次のような問題点がある。まずフィルムより熱的劣性能による寸法精度低下、不純物イオン汚染による電気特性が低下する欠点があり、高密度配線には限界がある。また接着層の厚み分や、両面用のスルホール穴あけ等の加工性が低下する欠点もある。よって、小型、軽量化対応に極めて不都合な点が多いといえる。一方、ポリイミドフィルム上に接着剤を用いず、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、銅めっき等の方法で金属層を形成させた、いわゆる薄膜タイプの接着剤レスフレキシブルプリント配線基板用の金属化耐熱フィルムも提案されている。
【0003】
これらのFPCなどにおいて使用されるポリイミドフィルムはその保有する耐熱性、絶縁性、高い弾性率や強度において優れたものが多く近年多用され、その表面接着性や表面特性においても多数の改善が提案されているが、ポリイミドフィルムの端面における髭状物(切断かすや切断乱れなど)に着目したものはない。このポリイミドフィルムの端面における髭状物(切断かすや切断乱れなど)がFPCなどに使用されたときに種々の障害が発生しがちである。
髭状物(切断かすや切断乱れ)のないポリエステルフィルムを使用したシュリンクラベルが提案(特許文献1参照)されているが、ポリエステルフィルムと異なりポリイミドフィルムは、剛直性が極めて高いゆえスリットが極めて困難であり、ポリイミドフィルムのスリット端面に髭状物が非常に多いポリイミドフィルムやポリイミドフィルムロールがほとんどであった。
特に電子、電気産業、自動車産業、宇宙、航空産業などにおいて注目を集めているポリイミドフィルムは、2次加工の際、これらフィルム端面の髭状物(切断かすなど)により、加工不良および加工不可の原因となる。そのため、髭状物の少ない好ましくは髭状物のないフィルムやフィルムロールを提供することが必要となってきている。
【特許文献1】特開2005−029216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、かかる問題に鑑み、髭状物を抑えたスリット方法を種々検討することで本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討した結果、耐熱性、機械的性質に優れたポリイミドフィルムを適正なスリット方法を採用することで、髭状物の発生が抑えられたポリイミドフィルムを得ることができることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の構成である。
1.ポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から2μm以上突出する髭状物が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であることを特徴とするポリイミドフィルム。
2.ポリイミドフィルムの引張弾性率が5〜15GPaである請求項1記載のポリイミドフィルム。
3.ポリイミドフィルムが芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有する前記1のポリイミドフィルム。
4.ポリイミドフィルムが長尺フィルムであってロール状に巻き取られたロール状ポリイミドフィルムである前記1〜3いずれかのポリイミドフィルム。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から突出する髭状物(切断乱れ)が、単位長さあたり1本以内であるポリイミドフィルムは、例えばFPC作製時の搬送や取扱い時に異物を取り込みや付着がし難く、かつ万一付着した異物の除去も容易であり、これらの異物による製品収率の低下も抑制され、実用的意義が極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明におけるポリイミドフィルムは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン
酸類を重縮合して得られるポリイミドフィルムであれば、特に限定されるものではないが、好ましくは下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
【0008】
中でも特にA.のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有するポリイ
ミドフィルムを製造するための組み合わせが好ましい。
本発明で特に好ましく使用できるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドベンゾオキサゾールに使用される、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
【化4】

【0013】
【化5】

【0014】
【化6】

【0015】
【化7】

【0016】
【化8】

【0017】
【化9】

【0018】
【化10】

【0019】
【化11】

【0020】
【化12】

【0021】
【化13】

【0022】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを全芳香族ジアミン類の70モル%以上使用することが好ましい。
【0023】
本発明は、下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミン類の30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリアミド酸もしくはポリイミド前駆体粉末である。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
【0024】
3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
【0025】
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0026】
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、
【0027】
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0028】
3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0029】
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は好ましくは芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0030】
【化14】

【0031】
【化15】

【0032】
【化16】

【0033】
【化17】

【0034】
【化18】

【0035】
【化19】

【0036】
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全芳香族テトラカルボン酸類の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、
【0037】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0038】
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
【0039】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。
重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは20〜2000Pa・sであり、より好ましくは200〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
【0040】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
上記のポリアミド酸には、滑剤をその溶液中に添加含有せしめるなどしてポリイミド樹脂成形体表面に微細な凹凸を付与し滑り性など他機能を付与又は改善することもできる。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。得られたポリアミド酸溶液をステンレススチールやポリエステルフィルム上に、流延し乾燥して自己支持性のポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を得て、このポリイミド前駆体フィルムを熱処理してイミド化してポリイミドフィルムを得る。
【0041】
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
【0042】
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
【0043】
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液をイミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
【0044】
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0045】
本発明のポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、FPCの絶縁基材に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは5〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液などのフィルム原料液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液などののフィルム原料液における原料濃度によって容易に制御し得る。
本発明のポリイミドフィルムの引張弾性率は特に限定されないが、より薄いFPCの絶縁基材に用いることを考慮すると、5〜15GPa、好ましくは7〜15GPaである。この高い引張弾性率を持ったポリイミドフィルムは、例えば前記の特有の化学構造のポリイミドを採用するによって得られる。また、本発明のポリイミドフィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよいが、前記の特有の化学構造のポリイミドを採用しない場合は延伸する必要がある場合がある。ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明のポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から2μm以上突出する髭状物 (切断乱れ)が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であるポリイミドフィルムにおける、フィルム端面から2μm以上突出する髭状物(切断乱れ)が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であることは、フィルムのスリットされた面などにおけるフィルムの端面を、電子顕微鏡や光学顕微鏡などで観察し、フィルム長さ100μmあたりにその端面から2μm以上の大きさで突出する髭状物(切断乱れ)を測ってそれが1本以下であることをいうものである。
この髭状物(切断乱れ)が2μmに満たない大きさで端面から突出している場合は、FPC作製時などの搬送や取扱い時に異物の取り込みや付着にさほどの影響を及ぼさず、かつ万一付着した異物の除去も容易である。
【0046】
本発明のポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から2μm以上突出する髭状物(切断乱れ)が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であるポリイミドフィルムを得るためには、スリット方法は本発明のフィルム端面が得られる方法であれば特に限定されるものではないが、好ましくはスリット手段としてレーザービームを適用する方法(レーザービーム発振器でフィルム表面にビームを照射し、フィルムをレーザーの照射エネルギにより瞬時に溶解又は蒸発してビームの走査軌跡に沿ってスリットする方法で、レーザービームの照射には、炭酸ガスレーザ、アルゴンレーザー、YAGレーザー等の各種発振器が適用される方法。)刃物(トムソン刃物,回転刃等)でスリットする方法が挙げられる。
刃物(トムソン刃物,回転刃等)でスリットする方法を採用される場合は、刃物の交換もしくは刃先の更新を一定の条件化で実施する必要があり、例えばポリイミド(ベンゾオキサゾール)フィルムをスリットする際、切断面積が0.05m2を超えない、より好ましくは0.045m2を超えないようにして刃物の交換もしくは刃先の更新を実施することで本発明のポリイミドフィルムが得られる、例えば10μmのフィルムを24時間連続で1m/分の速度でスリットした場合0.043m2となりこの時点で刃物の交換もしくは刃先の更新を実施する。
また、刃物が片刃であって、それが所定の角度でフィルムに当接した状態でフィルムをスリットする場合は、フィルムの振動を抑え、できるだけフィルムスリット速度を上げ、フィルムが当接している刃先においてスリット速度がフィルム振動によるフィルム上下方向の振動速度より大きくすることが、本発明のポリイミドフィルムを得るために必要である。スリット速度はスリットに使用する刃物のスリット能力に拘束されるが、フィルム振動はスリット前後のフィルム搬送ローラーをできるだけ近づけることや、スリット時のフィルムテンションを3〜100Nに制御することなどをもって前記条件内に収めてスリットすることが必要となる。
また、経済的観点からやや問題はあるが、所定のスリットを終えたポリイミドフィルムのフィルム端面を再度、研磨や再加工することで本発明のポリイミドフィルムを得てもよい。
【実施例】
【0047】
実施例などで使用される評価方法は以下のとおりである。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムのフィルム厚さ
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
【0048】
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度(単に伸度とも表示する)
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(商品名)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張強度および破断伸度を求めた。
【0049】
4.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で、ポリイミドフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれの、30〜300℃までを15℃間隔で分割した各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
【0050】
5.フィルム端面の髭状物の測定
スリットされたポリイミドフィルムのスリット端面を光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡下で500〜3000倍の倍率で観察し、写真撮影して得られた画像から異なるスリット端面位置の各100μmあたりの2μm以上の髭状物突出をカウントして、少なくとも5位置でのカウントを平均してフィルム端面の髭状物数として評価した。
【0051】
〔参考例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、N−メチル−2−ピロリドン420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて50時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.7dl/gであった。
【0052】
〔参考例2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、N−メチル−2−ピロリドン390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.5dl/gであった。
【0053】
〔参考例3〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、N−メチル−2−ピロリドン420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて10時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.1dl/gであった。
【0054】
〔フィルム作製例1〜3〕
参考例1〜3で得たポリアミド酸溶液を、それぞれ支持体上に送液するギヤポンプのギヤがマルテンサイト系ステンレス鋼SUS440Cであるギヤポンプを使用して送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、150μm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ17μmのそれぞれのグリーンフィルムを得た。
得られたこれらのグリーンフィルムを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却しロール状に巻き取ることで、褐色を呈する実施例1〜3の幅60cmのロール状ポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの性能などの測定結果を表1に記載する。
【0055】
〔実施例1〜3、比較例1〜3〕
各フィルム作製例で得たロール状フィルムを使用し、幅方向に両端からそれぞれ5cmの部位と中央部位の3位置で、実施例においては新品の片刃をフィルムと45°に当接する設定で使用して1m/分の速度で18時間連続スリットを実施し25cm幅のスリットポリイミドフィルムを得た(スリット方法a法とする)。
また比較例においては、新品の片刃をフィルムと45°に当接する設定で使用して1m/分の速度で28時間連続スリットする試行を実施して、そのままの片刃を使用して実施例と同様にして1m/分の速度で18時間連続スリットを実施し25cm幅のスリットポリイミドフィルムを得た(スリット方法b法とする)。
各例で得られたスリットポリイミドフィルムの端面を観察し、フィルム端面からの髭状物数を測定した、その結果を表2に示す。
【0056】
【表1】

表中、引張破断強度、引張弾性率、伸度、CTEの欄において上段はフィルムの長手方向であるMD方向の値で下段はフィルムの幅方向であるTD方向の値を示す。
【0057】
【表2】

【0058】
(金属化ポリイミドフィルムの製造)
各フィルム作製例で得たロール状フィルムを巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、プラズマ雰囲気での滞留時間約30秒であった。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ4000Åの銅薄膜を形成させた。得られた金属化フィルムを硫酸銅めっき浴を用いて、厚さ12μmの厚付け銅メッキ層を形成し、引き続き300℃で10分間熱処理し目的とする金属積層ポリイミドフィルムを得た。
【0059】
(評価パターンの形成)
得られたこれらの金属積層ポリイミドフィルムを使用し、フォトレジスト(シプレー社製、FR−200)を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、後述する耐マイグレーション評価試験に必要な40μmピッチの櫛形電極の各フィルムを使用したテストパターンを形成した。
(耐マイグレーション性評価)
上記で得られたそれぞれのポリイミドフィルムからの40μmピッチの櫛形電極に、電圧(DC60V)を印可し、85℃・85%RHの恒温恒湿槽(エタック社製、FX412Pタイプ)の中に入れ電圧負荷状態のまま5分毎に絶縁抵抗値を測定記録し、線間の抵抗値が100Mオーム以下に達する時間を測定しマイグレーション評価した、その結果を表2示す。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から2μm以上突出する髭状物(切断乱れ)が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であるポリイミドフィルムは、FPC作製時などの搬送や取扱い時にポリイミドフィルム端面の髭状物による異物の取り込みや付着がし難く、かつ万一付着した異物の除去も容易であり、これらの異物による製品品質の向上に効果があり、製品収率の低下も抑制され、実用的意義が極めて大きく、FPCの絶縁性基板や耐熱性放熱板の絶縁性基板などに使用することができ極めて有用となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドフィルムのスリット端面にフィルム端面から2μm以上突出する髭状物が、フィルム長さ100μmあたり1本以内であることを特徴とするポリイミドフィルム。
【請求項2】
ポリイミドフィルムの引張弾性率が5〜15GPaである請求項1記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
ポリイミドフィルムが芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基を有する請求項1記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
ポリイミドフィルムが長尺フィルムであってロール状に巻き取られたロール状ポリイミドフィルムである請求項1〜3いずれかに記載のポリイミドフィルム。

【公開番号】特開2007−253516(P2007−253516A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82634(P2006−82634)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】