説明

ポリエステル、ポリエステル組成物、粘着剤組成物、粘着剤層及び粘着シート

【課題】植物由来の原料を使用し、地球環境に優しく、粘着特性に優れた粘着剤を得ることができるポリエステル、ポリエステル組成物、粘着剤組成物、これらを用いて得ることができる粘着剤層及び粘着シートを提供すること。
【解決手段】少なくとも、乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位を含有するポリエステルであって、前記二塩基酸単位が、ダイマー酸を含有し、前記ポリエステルが示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で測定した際のガラス転移温度が−70〜−20℃であり、重量平均分子量が2万〜30万であり、水酸基価が1〜100mgKOH/gであることを特徴とするポリエステル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル、ポリエステル組成物、粘着剤組成物、粘着剤層及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石資源の枯渇や地球温暖化の防止策として、再生可能な材料である植物由来の原料の使用が推奨されている。
【0003】
このような中、粘着剤の材料には、これまで、主に合成ゴムやアクリル系原料が使用され、現時点で粘着剤に使用可能な植物由来のアクリル系粘着剤は、見つかっていない。
【0004】
一方、ポリエステル系の粘着剤としては、その原料成分であるジカルボン酸やジオール成分に、植物由来のものが存在し、これら再生可能な循環型原料を使用することにより、地球環境への負荷を低減することができる。
【0005】
前記ポリエステル系粘着剤としては、ジオール成分に室温で液状のポリカプロラクトンジオールを用いたポリエステルが開示されている(特許文献1)。
【0006】
また、特許文献2には、主原料にポリカーボネート構造を有する脂肪族ジオールないしジカルボン酸と、リノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化したダイマー酸を水素化した水添ダイマー酸又はこれを還元した水添ダイマージオール等を用いたポリエステルが提案されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1及び2記載のポリエステルは、植物由来のポリエステルではない。
【0008】
一方、植物由来の原料として、ポリ乳酸が知られており、ポリ乳酸を用いたポリエステルを粘着剤に使用することが試みられている。例えば、特許文献3には、乳酸残基を55重量%以上含有し、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が0.11〜9、還元粘度が0.2〜1.0dl/gの範囲にある脂肪族ポリエステル(A)と、天然物系粘着付与樹脂(B)を必須成分として含有する生分解性粘着剤が開示されている。
【0009】
また、特許文献4には、ポリ乳酸、生分解性を有する原料及び/又は植物由来原料からなるガラス転移温度低下剤、及び粘着付与剤を含有する粘着剤が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献5には、乳酸を主原料として反応させた脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、ロジン又はロジン誘導体(B)を含有し、前記乳酸が、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が1〜9であり、かつ、ガラス転移温度(Tg)が−5〜−60℃の生分解性粘着剤が開示されている。
【0011】
しかし、特許文献3〜5に開示されているポリ乳酸系のポリエステルを用いた粘着剤は、十分な粘着特性を得ることが困難であった。
【0012】
【特許文献1】特開平8−157798号公報
【特許文献2】特開平11−241056号公報
【特許文献3】特開2004−231797号公報
【特許文献4】特開2006−070091号公報
【特許文献5】特開2006−131705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、植物由来の原料を使用し、地球環境に優しく、粘着特性に優れた粘着剤を得ることができるポリエステル、ポリエステル組成物、粘着剤組成物、これらを用いて得ることができる粘着剤層及び粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示すポリエステル等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明のポリエステルは、少なくとも、乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位を含有するポリエステルであって、前記二塩基酸単位が、ダイマー酸を含有し、前記ポリエステルが、示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で測定した際のガラス転移温度が−70〜−20℃であり、重量平均分子量が2万〜30万であり、水酸基価が1〜100mgKOH/gであることを特徴とする。
【0016】
本発明のポリエステルは、前記乳酸単位を、10〜50モル%含有し、前記乳酸単位以外の成分を、50〜90モル%含有し、前記二塩基酸単位とグリコール単位のモル比が、1:0.8〜1:1.2であることが好ましい。
【0017】
本発明のポリエステルは、更に、前記二塩基酸単位が、ダイマー酸以外の脂肪族二塩基酸を含有することが好ましい。
【0018】
本発明のポリエステルは、前記乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位以外の成分として、3官能以上のカルボン酸及び/又はポリオールを含有し、分散度(Mw/Mn)が2.5〜10.0であることが好ましい。
【0019】
本発明のポリエステルは、酸価が5mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0020】
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエステル50〜99重量部と、水酸基価が100〜1000mgKOH/gである分岐型ポリエステルオリゴマー1〜50重量部を含有することが好ましい。
【0021】
本発明の粘着剤組成物は、前記ポリエステル又は前記ポリエステル組成物に、架橋剤を含有することが好ましい。
【0022】
本発明の粘着剤組成物は、前記架橋剤が、多価イソシアヌレートであることが好ましい。
【0023】
本発明の粘着剤層は、前記粘着剤組成物により形成されることが好ましい。
【0024】
本発明の粘着剤層は、動的粘弾性測定装置を用いて、23℃で周波数1Hzの条件下で測定したときの貯蔵弾性率が、1×10〜1×10Paであることが好ましい。
【0025】
また、本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を、支持体の少なくとも片面に形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、植物由来の原料である乳酸単位やダイマー酸等を使用するため、地球環境に優しく、また、特定のガラス転移温度(Tg)や重量平均分子量、水酸基価に調整することにより、粘着特性に優れた粘着剤を得ることができるポリエステル、ポリエステル組成物、粘着剤組成物、これらを用いて得ることができる粘着剤層及び粘着シートを得ることができ、有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のポリエステルは、少なくとも、乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位を含有する。
【0028】
前記乳酸単位としては、特に限定されないが、例えば、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、メソラクチド、L−乳酸、D−乳酸及びDL−乳酸等が挙げられる。これらの中でも、重合反応の効率、溶剤への溶解性から、DL−ラクチドが好ましい。これらの乳酸単位を共重合させることにより、所望の特性を有するポリエステルを得ることができる。前記乳酸単位は、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
前記乳酸単位は、ポリエステル成分中、10〜50モル%含有することが好ましく、より好ましくは、15〜45モル%である。10モル%未満であると、前記ポリエステルを用いた粘着剤層の弾性率が低下し、経時的に粘着剤の粘着特性が変化する恐れがある。一方、50モル%を越えると、前記ポリエステルのガラス転移温度(Tg)が高くなり、粘着特性の低下原因となる恐れがあり、好ましくない。
【0030】
一方、前記乳酸単位以外の成分は、ポリエステル成分中、50〜90モル%含有することが好ましく、より好ましくは、55〜85モル%である。50モル%未満であると、前記ポリエステルを用いた粘着剤の粘着特性が低下し、90モル%を越えると、前記ポリエステルを用いた粘着剤の凝集力が低下し、貼り付け材(基材や支持体等)との接着(粘着)力が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0031】
本発明における前記二塩基酸単位は、ダイマー酸を含有する。また、前記ダイマー酸単位としては、水添ダイマー酸を用いてもよい。これらの二塩基酸単位を共重合させることにより、粘着特性に優れたポリエステルを得ることができる。前記二塩基酸単位は、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
本発明のポリエステルは、前記二塩基酸単位が、前記ダイマー酸以外の脂肪族二塩基酸を含有することが好ましい。ダイマー酸以外の脂肪族二塩基酸を共重合することにより、ダイマー酸と乳酸の相溶性を向上させることができ、溶剤溶解性を改良することが期待できる。
【0033】
前記脂肪族二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、多価カルボン酸やそのアルキルエステル、酸無水物などを挙げることができる。
【0034】
前記多価カルボン酸として、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水琥珀酸、フマル酸、琥珀酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、特にセバシン酸は植物から得られるため好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0035】
更に、本発明のポリエステルの特性を損なわない程度であれば、芳香族二塩基酸を使用することができる。前記芳香族二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
前記グリコール単位としては、特に制限されないが、例えば、脂肪族グリコールを使用することができる。脂肪族グリコールを使用することにより、本発明におけるポリエステルの高分子量化が可能となり、前記ポリエステルを用いた粘着剤の粘着特性や耐久性向上を図ることができる。
【0037】
前記脂肪族グリコールとして、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、特に1,3−プロパンジオールは植物から得られるため好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0038】
本発明のポリエステルの特性を損なわない程度であれば、前記脂肪族グリコール以外のグリコール単位を併用してもよく、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートグリコール等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0039】
前記二塩基酸単位とグリコール単位のモル比は、1:0.8〜1:1.2であることが好ましく、より好ましくは、1:0.9〜1:1.1である。モル比が1:0.8より低い(グリコール単位の含有割合が低い)場合は、酸価が高くなったり、分子量が低くなったりし、1:1.2より高い(グリコール単位の含有割合が高い)場合は、分子量が低くなったり、粘着特性が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0040】
更に、本発明のポリエステルは、更に、前記乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位以外の成分として、3官能以上のカルボン酸及び/又はポリオールを含有し、分散度(Mw/Mn)が2.5〜10.0であることが好ましく、より好ましくは2.5〜9.5である。分散度が前記範囲内にある場合、粘着力の向上や、被着体への、粘着剤の転移を防ぐことができ有効である。3官能以上のカルボン酸及び/又はポリオールを含有することにより、本発明のポリエステルをより高分子化することができ、このポリエステルを使用した粘着剤が、粘着特性に優れたものとなる。なお、Mwとは、重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量を表すものである。
【0041】
前記3官能以上のカルボン酸としては、特に制限されないが、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グルセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。
【0042】
また、前記3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリンなどが挙げられる。
【0043】
前記3官能以上のカルボン酸及び/又はポリオールは、反応性の観点から、ポリエステル成分中、0.01〜10モル%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5モル%である。
【0044】
また、本発明のポリエステルの特性を損なわない程度であれば、グリコール酸やラクトン類を共重合(使用)することもでき、また、他の成分を重合後に、前記グリコール酸やラクトン類を添加・重合して、分子末端を変性することも可能である。また、他の成分を重合後に、酸無水物を添加・重合して、分子末端をカルボキシル基に変性することも可能である。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0045】
本発明のポリエステルは、示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で測定した際のガラス転移温度(Tg)が−70〜−20℃であり、好ましくは、−60〜−40℃である。Tgが−70℃未満であると、保持力が低下する恐れがあり、−20℃を越える場合は、前記ポリエステルを用いた粘着剤の常温での粘着特性が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0046】
本発明のポリエステルは、重量平均分子量が2万〜30万であり、好ましくは、5万〜30万である。重量平均分子量が2万未満の場合は、前記ポリエステルを用いた粘着剤の粘着力低下の原因となる場合がある。また、30万を超えると、凝集力の低下や、保持力の低下などの原因となる場合があり、好ましくない。
【0047】
本発明のポリエステルは、水酸基価が1〜100mgKOH/gであり、好ましくは、3〜100mgKOH/gである。水酸基価が1mgKOH/g未満の場合は、架橋剤との反応性が悪くなり、前記ポリエステルを用いた粘着剤の凝集力の低下の原因となる。また、100mgKOH/gを超えると、耐水性が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0048】
本発明のポリエステルは、酸価が5mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/gを超えると、加水分解が促進され、耐久性を低下させる場合があり、好ましくない。
【0049】
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエステル(ポリエステル(i))を50〜99重量部含有し、更に、水酸基価が100〜1000mgKOH/gである分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)を1〜50重量部含有することが好ましく、より好ましくは、前記ポリエステル(i)を65〜99重量部、水酸基価が100〜800mgKOH/gである分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)を1〜35重量部含有することである。分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)を配合することにより、硬化(架橋)が促進され、粘着剤として利用した場合に、再剥離後の被着体への汚れが低減でき、有効である。また水酸基価が100mgKOH/g未満であると、硬化促進効果が不十分となり、1000mgKOH/gを超えると、汎用の有機溶剤への溶解性が悪化する恐れが有り、好ましくない。また、分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)の配合量が1重量部未満であると、硬化促進効果が不十分となり、50重量部を超えると、粘着特性を損なう恐れがあり、好ましくない。
【0050】
更に、ポリエステル組成物としての全体の水酸基価総量は、10〜200mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価総量が10mgKOH/g未満であると、硬化促進効果が不十分となることがあり、200mgKOH/gを超えると、粘着特性を損なう恐れがあり、好ましくない。
【0051】
前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)は、構造中に分岐を有し、有機溶剤への溶解性も良好であり、経済面においても、比較的安価である。
【0052】
前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)の数平均分子量は1000〜8000が好ましく、より好ましくは、1000〜6000である。1000未満であると、被着体への汚染の原因となる恐れがあり、8000を超えると、架橋剤との反応性が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0053】
前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)の構造については、特に限定されるものではないが、例えば、ABx型化合物の重縮合反応あるいは重付加反応により得られるものを主骨格とする構造を有することが好ましい。ここで、ABx型化合物とは、異なる官能基A及びB(有機基)を併せ持つ化合物を意味する。また、前記ABx型化合物は、分子内縮合や分子内付加反応は起こさないが、分子間縮合や分子間付加反応は起こすことが可能な官能基を有する化合物である。特に好ましくは、主骨格にエステル結合を有するものが好ましく、異なる官能基としては、例えば、官能基Aがカルボキシル基又はその誘導体基、官能基Bが水酸基又はその誘導体基であり、これらを併せ持つ化合物である。
【0054】
前記ABx型化合物の具体例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、5−(2−ヒドロキシエトキシ)イソフタル酸、5−アセトキシイソフタル酸、3,5−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、3,5−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸メチルエステル、4,4−(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、5−ヒドロキシシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、1,3−ジヒドロキシ−5−カルボキシシクロヘキサン、5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、1,3−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−カルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。特に、原料となる化合物の汎用性や、重合反応工程の簡便性の観点から、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸を用いることが好ましい。
【0055】
また、前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)は、エステル結合を有するため、ポリエステル(i)との相溶性に優れ、これらの反応物(架橋体)の透明性がより高まる傾向にあり、有効である。特に脂肪族モノマーからなる分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)は、より相溶性に優れる傾向にあり、好ましい。
【0056】
前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)の製造方法は、前記ABx型化合物を単独で、縮合反応触媒の存在下で反応させて合成することができ、また、多価水酸基含有化合物や、多価カルボン酸、あるいはこれらを併せ持つ化合物を用いて、前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)の分岐点として、用いることもできる。
【0057】
前記多価水酸基含有化合物として、汎用の種々のグリコール化合物や、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3官能以上の水酸基含有化合物が挙げられる。
【0058】
また、前記多価カルボン酸としては、汎用の種々の二塩基酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の3官能以上のカルボン酸化合物が挙げられる。
【0059】
更に、水酸基等とカルボキシル基等を併せ持つ化合物としては、グリコール酸、ヒドロキシピバリン酸、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。
【0060】
前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)の分岐点として、多価水酸基含有化合物や、多価カルボン酸、あるいはこれらを併せ持つ化合物以外にも、二塩基酸とグリコール化合物の縮合反応により得られる直鎖状(線状)ポリエステルオリゴマーや、これらに3官能以上の多価水酸基含有化合物や、多価カルボン酸を共重合した特定官能基含有の分岐型ポリエステルオリゴマー(iii)を用いることもできる。
【0061】
前記分岐点となりうる直鎖状(線状)ポリエステルオリゴマーや、特定官能基含有の分岐型ポリエステルオリゴマー(iii)の原料として、汎用の種々の二塩基酸や、グリコール化合物、3官能以上の多価カルボン酸や、多価アルコール化合物を用いることができる。
【0062】
前記二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸などの脂肪族系二塩基酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,2−ナフタレンカルボン酸、1,6−ナフタレンカルボン酸等の芳香族系二塩基酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族二塩基酸などが挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,2−ナフタレンカルボン酸、1,6−ナフタレンカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、1,2−ナフタレンカルボン酸、1,6−ナフタレンカルボン酸が特に好ましい。
【0063】
前記グリコール化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジンオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族系ジオール類や、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールなどの脂環族系グリコール類、ビスフェノールAなどのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物等の芳香族系グリコール類などが挙げられる。
【0064】
更に、前記3官能以上の多価カルボン酸や多価水酸基含有化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0065】
前記重合(縮合)反応で生成する水を除去する方法としては、トルエンやキシレンを用いて共沸脱水させる方法や、反応系内に不活性ガスを吹き込み、不活性ガスと共に、生成した水や、モノアルコールを反応系外に噴出す方法、減圧下で溜出する方法等が挙げられる。
【0066】
前記重合(縮合)反応に用いられる重合触媒としては、通常のポリエステルの重合触媒に用いられるものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、チタン系、錫系、アンチモン系、亜鉛系、ゲルマニウム系等の種々の金属化合物や、p−トルエンスルホン酸や硫酸などの強酸化合物を用いることができる。
【0067】
また、前記ポリエステルとの相溶性を向上させるために、分岐型ポリエステルオリゴマーの末端基に炭素数6以上の長鎖炭化水素基を導入することがより好ましい。例えば、炭素数6以上の炭化水素基を導入する方法としては、炭素数6以上の炭化水素基を有する化合物を予め合成した分岐型ポリエステルオリゴマーの末端のカルボキシル基や水酸基に付加反応や縮合反応する方法などが挙げられる。このような化合物としては、ヘキサノール、オクタノール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール等の長鎖アルキル基を有するモノアルコール類や、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、不飽和基を有するオレイン酸等の長鎖アルキルやアルケニル基を有するモノカルボン酸類又はメチルエステル誘導体等が挙げられる。
【0068】
また、末端水酸基に対し、炭素数6以上の炭化水素基を有するカルボン酸無水物化合物を塩基性触媒存在下で開環付加させる方法や、末端カルボキシル基に対し、炭素数6以上の炭化水素基とグリシジル基を有する化合物をトリフェニルホスフィン等の適当な触媒の存在下で、反応付加させる方法などが挙げられる。前記炭化水素基を有する化合物としては、無水酸化合物が挙げられ、具体的には、ドデセニル琥珀酸無水物やオクタデシル琥珀酸無水物などが挙げられる。また、前記グリシジル基を有する化合物としては、フェニルグリシジルエーテル等の種々のアリールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノゴリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールモノグリシジルエーテルや、その他、アルキルやアルケニル、アルキニルグリシジルエーテル等のモノグリシジルエーテル類を挙げることができる。
【0069】
前記ポリエステル又はポリエステル組成物が、植物由来の原料により製造されることが好ましい態様である。その理由としては、植物由来の原料は、生分解性で、いわゆるカーボンニュートラルであるといわれており、地球環境に優しく、環境対応型の粘着剤を得ることができるからである。植物由来の原料をどのくらい含有するかの目安として、バイオマス度が、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。ここで、バイオマス度(%)とは、前記ポリエステル又はポリエステル組成物を構成する全モノマー成分の重量に対する植物由来のモノマー成分の重量から、植物由来のモノマー成分の割合により計算される。植物由来の原料として、酸成分では、乳酸、ダイマー酸、セバシン酸などが挙げられ、グリコール(ジオール)成分では、1,3−プロピレングリコールなどを挙げることができる。
【0070】
本発明の粘着剤組成物は、前記ポリエステル又は前記ポリエステル組成物に、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有する粘着剤組成物を、適宜、架橋反応させることにより、粘着剤層を得ることができる。前記架橋剤として、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができ、例えば、多価イソシアヌレート、多官能性イソシアネート、多官能性メラミン化合物、多官能性エポキシ化合物、多官能性オキサゾリン化合物、多官能性アジリジン化合物、金属キレート化合物などを用いることができ、特に得られる粘着剤層の透明性や、高いゲル分率を得るという観点から、多価イソシアヌレートや多官能性イソシアネート化合物を用いることが好ましい態様である。
【0071】
前記多価イソシアヌレートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体などが挙げられる。これらを用いることにより、得られる粘着剤層の透明性や、高いゲル分率を得るという目的を達成することができ、有効である。前記多価イソシアヌレートの市販品を使用することもでき、具体的には、商品名「デュラネートTPA−100」(旭化成ケミカルズ社製)、商品名「コロネートHK」、「コロネートHX」、「コロネート2096」(日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0072】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物であることが好ましく、より好ましくは3個以上(前記分岐型ポリエステルオリゴマー(ii)を配合する場合には、2個以上でよい。)であれば、特に制限されず、具体的には、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0073】
前記脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネートや、1,2−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−テトラメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネートなどのテトラメチレンジイソシアネート、1,2−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0074】
前記脂環族ポリイソシアネート類としては、例えば、イソホロンジイソシアネートや、
1,2−シクロヘキシルジイソシアネート、1,3−シクロヘキシルジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネートなどのシクロヘキシルジイソシアネート、1,2−シクロペンチルジイソシアネート、1,3−シクロペンチルジイソシアネートなどのシクロペンチルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0075】
前記芳香族ポリイソシアネート類としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2, 2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2, 2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3, 3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0076】
また、前記多官能性イソシアネート化合物として、前記脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類、芳香脂肪族ポリイソシアネート類による二量体や三量体を用いることができ、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなどの重合物などが挙げられる。
【0077】
前記多官能性イソシアネート化合物として、市販品を使用することもでき、具体的には、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物として、商品名「コロネートL」(日本ポリウレタン工業社製)や、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの三量体付加物として、商品名「コロネートHL」(日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。
【0078】
前記多官能性メラミン化合物としては、メチル化メチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミンなどが挙げられ、前記多官能性エポキシ化合物としては、ジグリシジルアニリン、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0079】
前記架橋剤の使用量は、ポリエステル又はポリエステル組成物100重量部に対して、0.001〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜10重量部である。使用量が0.001重量部未満であると、粘着剤層とした場合に、凝集力の向上を図ることができず、20重量部を超えると、得られる粘着剤層が十分な粘着力を得ることができず、粘着力が低下するため、好ましくない。
【0080】
また、上述のポリエステルやポリエステル組成物に、前記架橋剤と共に、粘着付与樹脂を組み合わせることで、所望の特性を有する粘着剤組成物(及び粘着剤、粘着剤層)を得ることができる。
【0081】
前記粘着付与樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができ、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂などが挙げられ、特に植物由来のロジン系やテルペン系粘着付与樹脂を用いることが好ましい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0082】
前記テルペン系樹脂として、具体的には、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体や、これらをフェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性したテルペン系樹脂を使用することができる。
【0083】
前記フェノール系粘着付与樹脂としては、具体的には、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなどの各種フェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物を使用することができる。更に、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒下で付加反応させて得られるレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを、酸触媒下で縮合反応させて得られるノボラック、未変性や変性ロジンやこれらの誘導体などのロジン類に、フェノールを酸触媒下で付加させ、熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などを使用することができる。
【0084】
前記ロジン系粘着付与樹脂としては、具体的には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらを水添化、不均化、重合、その他の化学的に修飾された変性ロジン、これらの誘導体を使用することができる。
【0085】
前記粘着付与樹脂の添加量は、ポリエステル又はポリエステル組成物100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、より好ましくは15〜80重量部であり、特に好ましくは20〜60重量部である。添加量が10重量部未満であると、添加による効果が得られず、所望の粘着力を得られず、更に、ポットライフ延長効果も発現されない場合が生じる。一方、100重量部を超えると、前記架橋剤による架橋効果が不十分となり、更にポリマー成分(ポリエステル又はポリエステル組成物)との相溶性も劣り、粘着力低下などの問題が生じ、好ましくない。
【0086】
本発明の粘着剤組成物(及び粘着剤、粘着剤層)の特性を損なわない程度であれば、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料や染料などの着色剤、老化防止剤、界面活性剤などの一般的な添加剤を使用することができる。
【0087】
本発明の粘着剤層は、前記粘着剤組成物により形成されることが好ましい。前記粘着剤組成物を使用することにより、地球環境にやさしく、粘着特性に優れた粘着剤層を得ることができる。
【0088】
本発明の粘着剤層は、動的粘弾性測定装置を用いて、23℃で周波数1Hzの条件下で測定したときの貯蔵弾性率が、1×10〜1×10Paであることが好ましく、より好ましくは1×10〜1×10Paである。貯蔵弾性率が1×10Pa未満であると、粘着剤層の凝集力と保持力が低下するという問題が生じ、一方、1×10Paを超えると、粘着剤層が硬くなり、粘着力が低下する問題が生じ好ましくない。
【0089】
本発明の粘着剤層の厚さとしては、適宜選択することができるが、例えば、5〜1000μm程度が好ましくは、より好ましくは20〜500μmであり、更に好ましくは50〜200μm程度である。なお、粘着剤層としては、単層、積層体のいずれの形態であっても良い。
【0090】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を、支持体の少なくとも片面に形成することが好ましい。なお、本発明の粘着シートとしての特性を損なわない範囲であれば、中間層や下塗り層などを有していても、問題ない。
【0091】
前記支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。たとえば、グラシン紙、クラフト紙、和紙、上質紙、合成紙等の紙;綿布やスフ布などの天然繊維、半合成繊維又は合成繊維の繊維状物質による布(織布);レーヨン、ポリビニルアルコール繊維(ビニロン)、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリオレフィン繊維(ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維など)、アクリル系繊維、アセテート繊維、マニラ麻、綿などの天然繊維、半合成繊維、合成繊維などの繊維状物質による不織布;ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系フィルムやシートなどの多孔質プラスチック基材;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン/αオレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、エチレン/n−ブチルアクリレート共重合体、ポリプロピレンなどのホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどのポリオレフィン樹脂などを使用することができる。なお、前記多孔性プラスチック基材や不織布等を使用する場合には、その片面に、プラスチックフィルムやシートなどの非多孔性基材を積層することができる。
【0092】
前記支持体には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、充填剤、顔料や染料などの通常の粘着テープ用基材(支持体)に用いられる各種添加剤を使用することができる。
【0093】
また、前記支持体には、コロナ放電処理やプラズマ処理などの物理的処理、下塗り処理や背面処理などの化学的処理などを、適宜行うことができる
【0094】
前記支持体(基材)の厚さとしては、その材質や形態などに応じて、適宜選択することができるが、例えば、1〜1000μm程度が好ましくは、より好ましくは20〜500μm程度である。
【0095】
前記粘着剤層の形成は、たとえば、粘着剤の溶剤による溶液や熱溶融液を支持体(基材)に塗布する方法や、それに準じ剥離ライナー上に塗布、形成した粘着剤層を移着する方法、粘着剤層形成材を支持体(基材)上に押出し形成塗布する方法、支持体(基材)と粘着剤層を二層または多層にて押出しする方法、支持体(基材)上に粘着剤層を単層ラミネートする方法またはラミネート層とともに粘着剤層を二層ラミネートする方法、粘着剤層とフィルムやラミネート層等の支持体(基材)形成材とを二層または多層ラミネートする方法などの、公知の粘着シートの製造方法に準じて行うことができる。また、熱可塑性樹脂からなる支持体(基材)層とともに粘着剤層を、インフレーション法やTダイ法による二層又は多層による共押出し成形する方法などを用いることができる。なお、本発明における粘着シートとは、粘着フィルムや粘着テープ等を含むものである。
【0096】
前記粘着剤組成物を塗布する方法としては、従来公知の塗工機を用いることができる。具体的には、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどが挙げられる。
【0097】
前記剥離ライナーとしては、特に限定されず、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、基材(剥離ライナー用基材)の少なくとも片面に、剥離コート層を形成したものを用いることができる。なお、剥離ライナー用基材は、単層、複数層のいずれの形態も用いることができる。
【0098】
前記剥離ライナー用基材としては、プラスチックフィルム、紙、発泡体、金属箔等の各種薄葉体等を用いることができ、特に好ましくは、プラスチックフィルムである。また、プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0099】
前記剥離ライナー用基材の厚さは、目的に応じて、適宜選択することができる。
【0100】
前記剥離コート層としては、特に制限されず、従来公知のものを使用することができるが、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの適宜な剥離剤からなるコート層を設けることもできる。
【0101】
本発明の粘着シートは、従来周知の粘着シートの代替品として、広く使用することができるが、使用後に廃棄しても、地球環境に与える負荷が小さいため、使用後に再剥離され、廃棄物を発生する用途に好ましく使用することができ、例えば、表面保護用や工程材料用などの用途を有する粘着シートとして好適に使用することができる。
【実施例】
【0102】
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。また、実施例中の「部」とは、「重量部」を示す。なお、配合内容及び評価結果いついては、表1及び表2に示した。
【0103】
(ポリエステルの調製)
<実施例1−1>
撹拌機、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、ダイマー酸86部、セバシン酸10部、1,3−プロピレングリコール30部、トリメチロールプロパン0.4部、DL−ラクチド50部、及び重合触媒であるテトラブチルチタネートを0.014部、オクチル酸錫を0.014部配合し、窒素雰囲気の常圧下で、5時間かけて250℃まで昇温させた後、1時間反応させ、留出する水を系外に除去し、エステル化反応を行った。更に、30分かけて、10mmHgまで減圧し、250℃で、30分間、初期重合を行った。更に、1mmHgまで減圧し、250℃で、30分間、後期重合を行い、ポリエステルAを得た。得られたポリエステルAの評価結果を表1に示した。
【0104】
<実施例1−2>
実施例1−1と同様に、ダイマー酸74部、セバシン酸4部、ネオペンチルグリコール30部、トリメチロールプロパン1.2重量部、DL−ラクチド65部、およびテトラブチルチタネートを0.009部、オクチル酸錫0.018部を用いてポリエステルBを得た。得られたポリエステルBの評価結果を表1に示した。
【0105】
<実施例1−3>
実施例1−1と同様に、ダイマー酸96部、1,3−プロピレングリコール25部、トリメチロールプロパン0.3部、DL−ラクチド49部、およびテトラブチルチタネートを0.011部、オクチル酸錫0.013部を用いてポリエステルCを得た。得られたポリエステルCの評価結果を表1に示した。
【0106】
<実施例1−4>
実施例1−1と同様に、ダイマー酸79部、セバシン酸9部、1,3−プロピレングリコール28部、DL−ラクチド49部、およびテトラブチルチタネートを0.011部、オクチル酸錫0.013部を用いてポリエステルDを得た。得られたポリエステルDの評価結果を表1に示した。
【0107】
<比較例1−1>
撹拌機、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、L−ラクチド30部、DL−ラクチド20部、ε−カプロラクトン33部、ネオペンチルグリコール0.2部、及び重合触媒であるオクチル酸錫を0.026部配合し、窒素雰囲気の常圧下で、1時間かけて180℃まで昇温させた後、更に3時間反応させた。ついで、10分かけて、1mmHgまで減圧し、180℃で、30分間減圧することにより、残留ラクチドの除去を行い、ポリエステルEを得た。得られたポリエステルEの評価結果を表1に示した。
【0108】
<比較例1−2>
比較例1−2と同様に、L−ラクチド21部、DL−ラクチド14部、ε−カプロラクトン53部、エチレングリコール0.2部、及び重合触媒であるオクチル酸錫0.029部を用いてポリエステルFを得た。このようにして得られたポリエステルFの評価結果を表1に示した。
【0109】
<比較例1−3>
撹拌機、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、ダイマー酸86部、セバシン酸10部、1,3−プロピレングリコール30部、トリメチロールプロパン0.4部、DL−ラクチド50部、及び重合触媒であるテトラブチルチタネートを0.014部及びオクチル酸錫を0.014部配合し、常圧下で、5時間かけて250℃まで昇温させた後、更に1時間反応させ、留出する水を系外に除去し、エステル化反応を行った。更に、30分かけて、10mmHgまで減圧することによりポリエステルGを得た。得られたポリエステルGの評価結果を表1に示した。
【0110】
(粘着剤組成物の調製)
<実施例2−1>
ポリエステルA100部を、メチルエチルケトン(MEK)75部と酢酸エチル75部の混合溶媒に溶解した後、架橋剤としてポリイソシアヌレートである商品名「デュラネートTPA100」(旭化成ケミカルズ社製)8部を配合し、この混合物を乾燥後の厚みが50μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、80℃で3分間相乾燥後、更に50℃で5日間放置し、粘着シートを得た。
【0111】
<実施例2−3>
ポリエステルA100部、分岐型ポリエステルオリゴマーとして、商品名「ハイパーブランチポリマー Boltorn H20(水酸基価500mgKOH/g、重量平均分子量2100)8部を、メチルエチルケトン(MEK)100部と酢酸エチル100部の混合溶媒に溶解した後、架橋剤として、ポリイソシアネートである商品名「コロネートHK」(日本ポリウレタン社製)10部を配合し、この混合物を乾燥後の厚みが50μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、80℃で3分間相乾燥後、更に50℃で5日間放置し、粘着シートを得た。
【0112】
<実施例2−4>
分岐型ポリエステルオリゴマーとして、商品名「ハイパーブランチポリマー Boltorn H40(水酸基価490mgKOH/g、重量平均分子量5100)8部、架橋剤として、ポリイソシアネートである商品名「コロネートHK」(日本ポリウレタン社製)を6部配合した以外は、実施例2−3と同様の方法で、粘着シートを得た。
【0113】
<実施例2−5>
長鎖炭化水素基が導入された分岐型ポリエステルオリゴマーとして、商品名「ハイパーブランチポリマー Boltorn H2004(水酸基価120mgKOH/g、重量平均分子量3200)30部、架橋剤として、ポリイソシアネートである商品名「コロネートHK」(日本ポリウレタン社製)を6部配合した以外は、実施例2−3と同様の方法で、粘着シートを得た。
【0114】
<実施例2−2、比較例2−1〜2−3>
配合内容以外は、実施例2−1と同様の方法にて、粘着シートを得た。
【0115】
得られたポリエステル、これを用いた粘着剤層及び粘着シートについて、以下の評価を行い、評価結果を表1及び表2に示した。
【0116】
(ポリエステルの組成)
ポリエステルをクロロホルムDに溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)400−MRを用いて、H−NMR分析を行うことにより、ポリエステルの組成を解析した。
【0117】
(分子量)
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、架橋剤を添加する前のポリエステル又はポリエステル組成物を、乾燥後の厚みが100μmになるように、剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、120℃×2時間、乾燥させ溶剤を除去した。ついで、前記フィルム上から、ポリエステル層又はポリエステル組成物層を剥離し、これらを0.01gに秤量して、テトラヒドロフラン(THF)10gに添加し、24時間放置して溶解した。この溶液をゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンにより作成した検量線から、それぞれの分子量を測定した。
(測定条件)
装置名:東ソー社製、HLC−8220GPC
サンプル濃度:0.1重量%(THF溶液)
サンプル注入量:20μl
溶離液:THF
流速:0.300ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−L(1本)+TSKgel SuperHZM−M(2本)、リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)、東ソー製
検出器:示差屈折計(RI)
【0118】
(ポリエステルのガラス転移温度)
示差走査熱量計(装置名:DSC220、セイコーインスツルメント社製)を用い、測定条件として、測定試料5mgをアルミパンに入れ、温度条件:−120〜150℃、昇温速度:20℃/分にて測定し、ガラス転移温度(Tg:℃)を測定した。
【0119】
(ポリエステルの水酸基価)
250ml三角フラスコに試料(ポリエステル)を約0.5g採取し、重量を測定した。ついで、無水酢酸と無水ピリジンを1:10(質量比)に調整・混合した溶液20.00mlを採取し、前記三角フラスコに入れ、冷却器を取り付けて、20分間、攪拌しながら還流させた後、室温まで冷却した。更に、前記三角フラスコ内に冷却器を通じてアセトン20ml、蒸留水20mlを加えた。これにフェノールフタレイン指示薬を入れて、1.00N(規定)の水酸化ナトリウム水溶液により、滴定した。なお、別途測定したブランク(試料を含まない)の測定結果を差し引き、水酸基価(mgKOH/g)を算出した。
【0120】
(ポリエステルの酸価)
樹脂0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、指示薬としてフェノールフタレインを用いて、0.100N(規定)の水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、酸価(mgKOH/g)を算出した。
【0121】
(バイオマス度)
使用したモノマー成分全体の重量に対する植物由来のモノマー成分(例えば、ダイマー酸、セバシン酸、1,3−プロピレングリコール、乳酸など)の重量割合を算出したものを、バイオマス度(%)として、評価した。
【0122】
(貯蔵弾性率)
剥離ライナー上に粘着剤層を形成し、前記粘着剤層を厚さ3mm、直径8mmφに調製し、これを試験用サンプルとした。次いで、レオメトリックス社製粘弾性試験機ARESを用い直径7. 9mmのパラレルプレート(せん断試験用)で試験サンプルをはさみこみ、周波数1Hzの周波数のせん断ひずみを与え、23℃における貯蔵弾性率(G’:Pa)を測定した。
【0123】
(接着力:ピール強度)
ポリエチレンテレフタレート(厚さ25μm)上に、厚さ50μmに調製した粘着剤層を貼り合せ、縦100mm×横20mmの試験用サンプルを作製した。次いで、前記試験用サンプルを、ステンレス板(SUS板)上に、2kgローラーで1往復して貼りあわせ、JIS C 2107に準拠して引張速度300mm/minで、接着力(粘着力)(N/20mm)を測定した。また、ピール強度としては、使用される用途により、適宜選択され、特に制限されるものではないが、例えば、前記ポリエステル又はポリエステル組成物を製造工程用粘着剤として使用する場合には、2〜20N/20mmが好ましく、4〜10N/20mmがより好ましい。
【0124】
(保持力)
剥離ライナー上に粘着剤層を形成し、前記粘着剤層を厚さ50μmに調製したものを、厚さ90μmのアルミテープに貼り合せて、その後、縦100mm×横10mmの長方形型に切り出し、試験用サンプルとした。次いで、試験用サンプルを厚さ2mm×縦125mm×横25mmの接着面積でベークライト板に縦20mm×横10mmの接着面積になるように貼付け、雰囲気温度40℃で30分間放置した後、更に垂直方向に0.5kgの荷重を負荷し、2時間放置した際のズレ距離(mm)を測定し、1時間当たりのズレ距離を保持力(mm/hr)とした。また、保持力としては、使用される用途により、適宜選択され、特に制限されるものではないが、例えば、前記ポリエステル又はポリエステル組成物を製造工程用粘着剤として使用する場合には、0〜0.5mm/hrが好ましく、0〜0.1mm/hrがより好ましい。
【0125】
(タック)
厚さ50μm×縦100mm×横70mmの試料用サンプルを作製し、これを用いて、JIS Z 0237の転球法により、傾斜角30°、助走路長100mmで、ボール(鋼球)を転がし、長さ100mmの測定部(試料用サンプルの粘着面)内に完全に停止するボールの最大径(インチ)を、タックとして評価した。また、タックとしては、使用される用途により、適宜選択され、特に制限されるものではないが、例えば、前記ポリエステル又はポリエステル組成物を製造工程用粘着剤として使用する場合には、7〜15インチが好ましく、9〜12インチがより好ましい。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
表1より、本願発明に含まれる実施例1−1〜1−4(ポリエステルA〜D)のように、乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位を含有するポリエステルでは、所望の特性を有するポリエステルを得ることが確認できた。
【0129】
一方、比較例1−1(ポリエステルE)では、ダイマー酸及びグリコール単位を含有しないためガラス転移温度(Tg)、及び分散度が所定の数値を得ることができなかった。比較例1−2(ポリエステルF)では、ダイマー酸及びグリコール単位を含有しないため、水酸基価及び分散度が所定の数値を得ることができなかった。また、比較例1−3(ポリエステルG)では、重合度が低いため、重量平均分子量が所定の数値を得ることができなかった。
【0130】
表2より、実施例2−1〜2−5の粘着剤(粘着剤層、粘着シート)においては、ピール強度や保持力、貯蔵弾性率、タックなどの粘着特性が、良好な値を示し、粘着剤として優れていることが確認できた。また、バイオマス度も70%以上と、植物原料を多く含み、地球環境にやさしい粘着剤を得ることができた。
【0131】
一方、比較例2−1の粘着剤(粘着剤層、粘着シート)は、タックが小さく、バイオマス度も58%と低く、粘着特性が劣り、環境に対応できないことが確認された。また、比較例2−2では、保持力が高すぎ、タックが小さく、バイオマス度も39%と非常に低く、粘着特性が劣り、環境に対応できないことが確認された。比較例2−3では、保持力を示さず、タックが高すぎることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位を含有するポリエステルであって、
前記二塩基酸単位が、ダイマー酸を含有し、
前記ポリエステルが、示差走査熱量計を用いて昇温速度20℃/分で測定した際のガラス転移温度が−70〜−20℃であり、重量平均分子量が2万〜30万であり、水酸基価が1〜100mgKOH/gであることを特徴とするポリエステル。
【請求項2】
前記乳酸単位を、10〜50モル%含有し、
前記乳酸単位以外の成分を、50〜90モル%を含有し、
前記二塩基酸単位とグリコール単位のモル比が、1:0.8〜1:1.2であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル。
【請求項3】
更に、前記二塩基酸単位が、ダイマー酸以外の脂肪族二塩基酸を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル。
【請求項4】
前記乳酸単位、二塩基酸単位、及びグリコール単位以外の成分として、3官能以上のカルボン酸及び/又はポリオールを含有し、
分散度(Mw/Mn)が2.5〜10.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル。
【請求項5】
酸価が5mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル50〜99重量部と、
水酸基価が100〜1000mgKOH/gである分岐型ポリエステルオリゴマー1〜50重量部を含有することを特徴とするポリエステル組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル又は請求項6記載のポリエステル組成物に、架橋剤を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が、多価イソシアヌレートであることを特徴とする請求項7記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
請求項7又は8記載の粘着剤組成物により形成される粘着剤層。
【請求項10】
動的粘弾性測定装置を用いて、23℃で周波数1Hzの条件下で測定したときの貯蔵弾性率が、1×10〜1×10Paであることを特徴とする請求項9記載の粘着剤層。
【請求項11】
請求項9又は10記載の粘着剤層を、支持体の少なくとも片面に形成することを特徴とする粘着シート。


【公開番号】特開2010−37463(P2010−37463A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203352(P2008−203352)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】