説明

ポリオレフィンのペレットの製造方法、および押出造粒機の起動方法

【課題】押出造粒機によるポリオレフィンのペレットの造粒を円滑に開始する。
【解決手段】
本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法は、スクリュ式ミキサ4に、MFRを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、ギアポンプ6の運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、上記造粒開始工程の後に、引き続きギアポンプ4を運転し、単位時間当たりに造粒される上記MFRを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、スクリュ式ミキサ4内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、上記低下工程に引き続き、ギアポンプ6を運転して、上記低下工程にてMFRを低下させたポリオレフィンを造粒する造粒工程とを含むため、MFRが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機1への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンのペレットの製造方法、および押出造粒機の起動方法に関するものであり、より具体的には、メルトフローレートが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始することができるペレットの製造方法、およびポリオレフィンを造粒する押出造粒機の起動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリオレフィンのペレットは、オレフィンを重合して得られたポリマーを造粒することによって得られる。この造粒は主に押出造粒機によって行われる。
【0003】
押出造粒機は、供給されたポリマーをスクリュ式ミキサ内で混練溶融し、ギアポンプで加圧してダイスから吐出し、カッターユニットで切断することによって、ペレットを製造する。
【0004】
通常、造粒現場では、押出造粒機を連続的に運転するが、何らかの理由によって一旦その運転を停止することがある。そのため、一旦停止した押出造粒機の運転を再開して造粒を開始する方法が必要となる。例えば、特許文献1には、一旦停止させた水中カット式造粒機を再起動するための自動運転スタート方法が開示されている。特許文献1に記載のスタート方法では、スクリュ式ミキサの運転によってスクリュ式ミキサ内に残留する樹脂を排出してから、樹脂の供給、およびギアポンプの運転を開始して、造粒を開始している。
【0005】
また、特許文献2には、アンダーカッティング方式の押出造粒機の運転停止方法および運転再開方法が開示されている。特許文献2に記載の運転停止および運転再開方法では、樹脂を溶融状態に保持した状態で停止状態を保持した後、樹脂の供給、スクリュ式ミキサの運転、およびギアポンプの運転を開始して、造粒を開始している。
【特許文献1】特開2004−130600号公報(2004年4月30日公開)
【特許文献2】特開平7−227837号公報(1995年8月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一旦停止した押出造粒機の運転を再開して造粒を開始するとき、MFRが低いポリオレフィンをスクリュ式ミキサに入った状態でギアポンプの運転を開始すると、MFRが低いポリオレフィンは溶融時の流動性が低いため、押出造粒機の備えるギアポンプおよびミキサーモーターには過負荷がかかる。
【0007】
一般に、押出造粒機のギアポンプにはシャーピンが設置されており、ギアポンプに過負荷がかかるとシャーピンが切れて、押出造粒機の運転は停止してしまう。また、ミキサーモーターに過負荷がかかると、過電流が発生する原因にもなる。これでは、押出造粒機の運転を円滑に再開することがないという問題が生じる。
【0008】
特許文献1および2に記載された押出造粒機の再起動方法等に、MFRが低いポリオレフィンを適用すると、ミキサーモーターおよびギアポンプに過負荷がかかる。そのため、押出造粒機の運転を円滑に再開することができない。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、MFRが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始することができるポリオレフィンのペレットの製造方法および押出造粒機の起動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法は、上記の問題を解決するために、スクリュ式ミキサおよびギアポンプを備える押出造粒機を用いるポリオレフィンのペレットの製造方法であって、上記スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、上記ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、上記造粒開始工程の後に、引き続き上記ギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、上記低下工程に引き続き、上記ギアポンプを運転して、上記低下工程にてメルトフローレートを低下させたポリオレフィンを造粒する造粒工程とを含み、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに当該ポリオレフィンより高いメルトフローレートを有する第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であり、上記低下工程では、上記過酸化物または上記第2のポリオレフィンの添加量を減少させることを特徴としている。
【0011】
造粒開始工程における、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンについては、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンと過酸化物とを溶融混練することによって得ることができる。ポリオレフィンと過酸化物とを溶融混練すると、ポリオレフィンは酸化分解されて、当該ポリオレフィンのメルトフローレートは上昇する。
【0012】
また、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンについては、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンおよび第2のポリオレフィンとを混合することによっても得ることができる。ここで、第2のポリオレフィンとは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンより高いメルトフローレートを有するポリオレフィンであればよい。
【0013】
造粒開始工程では、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンがスクリュ式ミキサに入った状態で、ギアポンプの運転を開始するため、ギアポンプおよびミキサーモーターに過負荷をかけることなく、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの造粒を開始することができる。
【0014】
低下工程については次の通りである。造粒開始工程の後に、引き続きギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が、予め設定した値よりも大きくなると、押出造粒機の運転状態は安定する。その後、上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンと溶融混練させる過酸化物の量を減少する。または、その後、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンと混合させる第2のポリオレフィンの量を減少する。これによって、スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させることができる。
【0015】
造粒工程では、押出造粒機の運転状態が安定してから引き続き、ギアポンプを運転するため、メルトフローレートが低いポリオレフィンの造粒は、ギアポンプおよびミキサーモーターに過負荷をかけることなく行われる。
【0016】
したがって、上記製造方法によれば、メルトフローレートが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始することができる。
【0017】
また、本発明に係る製造方法において、上記ポリオレフィンは、上記ポリオレフィンは、エチレン単独重合体、エチレン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、およびプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィンであることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る製造方法において、上記ポリオレフィンは、エチレン含有量が30重量%以下であるプロピレンとエチレンとの共重合体、ブテン含有量が30重量%以下であるプロピレンとブテンとの共重合体、およびエチレン含有量とブテン含有量との合計が30重量%以下であるプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィンであることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る製造方法において、上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンのメルトフローレートは1.0g/10min以下であることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法において、上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンのメルトフローレートは0.6g/10min以下であることが好ましい。
【0021】
一般に、メルトフローレートが1.0g/10min以下、特に0.6g/10min以下のポリオレフィンは溶融時の流動性が低いため、押出造粒機の備えるギアポンプおよびミキサーモーターに過負荷をかけやすい。
【0022】
本発明に係る製造方法によれば、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンがスクリュ式ミキサに入った状態で造粒開始工程を行うため、メルトフローレートが1.0g/10min以下、特に0.6g/10min以下のポリオレフィンに対しても好適に利用することができる。
【0023】
また、本発明に係る製造方法において、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンのメルトフローレートは、1.0g/10minより高いことが好ましい。
【0024】
メルトフローレートが1.0g/10minより高いポリオレフィンは、スクリュ式ミキサ内における溶融時、ギアポンプおよびミキサーモーターにかかる負荷を低減するために十分な流動性を有する。したがって、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンのメルトフローレートが1.0g/10minより高ければ、造粒開始工程では、ギアポンプおよびミキサーモーターに過負荷をかけることなく、造粒を好適に開始することができる。
【0025】
さらに、本発明に係る製造方法において、上記過酸化物には、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)へキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレラート、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−(3−メチルベンソイル)ペルオキシド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボナート、t−ヘキシルペルオキシベンゾアート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシ−3−メチルベンゾアート、またはt−ブチルペルオキシベンゾアートを好適に用いることができる。
【0026】
さらに、本発明に係る製造方法において、上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンのメルトフローレートは1.0g/10min以下であり、第2のポリオレフィンのメルトフローレートは1.0g/10minより大きいことが好ましい。
【0027】
上記製造方法によれば、上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンと、第2のポリオレフィンとの混合後、当該ポリオレフィンのメルトフローレートを、1.0g/10minより高いメルトフローレートに近づくように上昇させることができる。
【0028】
また、本発明に係る製造方法において、上記予め設定した値が上記押出造粒機の定格能力の60%であることが好ましい。
【0029】
押出造粒機の定格能力とは、押出造粒機ごとに定められた、単位時間当たりに造粒されるポリオレフィンの最大量を示す数値である。単位時間当たりに造粒されるポリオレフィンの量が、定格能力の60%より大きくなれば、押出造粒機の運転状態はより確実に安定する。これによって、後述の造粒工程にて、ギアポンプおよびミキサーモーターに過負荷をかけることなく、造粒をより好適に開始することができる。
【0030】
また、本発明に係る製造方法において、上記低下工程では、上記過酸化物または第2のポリオレフィンの添加を停止することが好ましい。
【0031】
上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンを、予め、目的とするメルトフローレートを有するポリオレフィンにしておけば、上記過酸化物または第2のポリオレフィンの添加を停止することによって、後述の造粒工程にて、目的とするメルトフローレートを有するポリオレフィンを容易に造粒することができる。
【0032】
本発明に係る押出造粒機の起動方法は、スクリュ式ミキサおよびギアポンプを備える押出造粒機の起動方法であって、スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、上記造粒開始工程の後に、引き続きギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、上記低下工程に引き続き、ギアポンプを運転して、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンに比べて、メルトフローレートが低いポリオレフィンの造粒を開始する第2の造粒開始工程とを含み、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに当該ポリオレフィンより高いメルトフローレートを有する第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であり、上記低下工程では、上記過酸化物または上記第2のポリオレフィンの添加量を減少させることを特徴としている。
【0033】
上記押出造粒機の起動方法によれば、MFRが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始させることができる。なお、「押出造粒機の起動」とは、押出造粒機が備えるギアポンプの運転を開始させることによって、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの造粒を開始させてから、メルトフローレートを低下させたポリオレフィンの造粒を開始させるまでを指すものとする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法によれば、MFRが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。
【0036】
〔本発明に係る製造方法〕
本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法は、スクリュ式ミキサおよびギアポンプを備える押出造粒機を用いるポリオレフィンのペレットの製造方法であって、上記スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、上記ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、上記造粒開始工程の後に、引き続き上記ギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、上記低下工程に引き続き、上記ギアポンプを運転して、上記低下工程にてメルトフローレートを低下させたポリオレフィンを造粒する造粒工程とを含み、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに当該ポリオレフィンより高いメルトフローレートを有する第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であり、上記低下工程では、上記過酸化物または上記第2のポリオレフィンの添加量を減少させればよい。
【0037】
なお、メルトフローレートについては、JIS K7210の規定に従って測定すればよい。メルトフローレート(MFR;Melt Flow Rate)とは、一定圧力および一定温度の下で、規定の寸法を持つノズルから流出する量を測定することによって得られる値であり、g/10minの単位で表される。
【0038】
本発明に係る製造方法において、ペレットを製造する対象となるポリオレフィンの具体例としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、およびプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体などが挙げられる。特に、ポリオレフィンは、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、またはプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体であることが好ましく、エチレン含有量が30重量%以下であるプロピレンとエチレンとの共重合体、ブテン含有量が30重量%以下であるプロピレンとブテンとの共重合体、またはエチレン含有量とブテン含有量との合計が30重量%以下であるプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体であることがさらに好ましい。
【0039】
なお、上記ポリオレフィンには、フェノール系抗酸化剤またはステアリン酸カルシウム等、樹脂に通常添加される添加剤が混合されてもよい。
【0040】
〔押出造粒機について〕
まず、本実施形態に用いられる押出造粒機1について図1を参照して以下に説明する。図1は、押出造粒機1の構成を模式的に示す図である。
【0041】
図1に示すように、押出造粒機1は、ミキサーモーター2、駆動機3、スクリュ式ミキサ4、ダイバーターバルブ5、ギアポンプ6、スクリーンチェンジャ7、ダイス8、カッターユニット9、ホッパー10を備えている。ホッパー10にはフィーダ(図示しない)が接続されており、リアクタ(図示しない)にて重合されたポリオレフィンは、フィーダの運転によって、ホッパー10を介してスクリュ式ミキサ4内に連続的に供給される。ミキサーモーター2の運転を開始すると、スクリュ式ミキサ4の運転が開始される。スクリュ式ミキサ4内で混練溶融されたポリオレフィンは、ダイバーターバルブ5を経てギアポンプ6に送られ、ギアポンプ6で加圧され、スクリーンチェンジャ7を経てダイス8から吐出される。カッターユニット9に吐出されたポリオレフィンは、カッターによって切断されてペレット状になる。
【0042】
また、ギアポンプ6は、ギアポンプ6に受ける過負荷によって切れる仕組みのシャーピン(図示しない)を備える。押出造粒機1は、シャーピンが切れると運転を停止する。
【0043】
また、押出造粒機1が運転停止した状態において、スクリュ式ミキサ4内に前回運転分の樹脂が残留している場合には、まず残留樹脂の排出を行うことが好ましい。具体的には、スクリュ式ミキサ4、ダイバーターバルブ5、ギアポンプ6、スクリーンチェンジャ7、およびダイス8を運転可能状態に加温し、残留樹脂を再溶融する。次いで、ダイバーターバルブ5を排出側に切り替え、カッターユニット9をダイス8から引き離した状態で、駆動機3に連結されたディスチャージモーター(図示しない)の運転を開始し、スクリュ式ミキサ4を低速運転させる。これによって、残留樹脂がダイバーターバルブ5から機外へ排出される。
【0044】
次に、本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法における各工程について図1を用いながら説明する。
【0045】
〔造粒開始工程〕
本発明に係る製造方法に含まれる、造粒開始工程では、スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始すればよい。
【0046】
MFRを上昇させる前のポリオレフィンのMFRとしては、1.0g/10min以下であってもよいし、0.6g/10min以下であってもよい。
【0047】
MFRを上昇させたポリオレフィンを得るためには、上記MFRを上昇させる前のポリオレフィンに添加剤を添加する。この添加剤は、過酸化物であってもよいし、MFRを上昇させる前のポリオレフィンよりMFRが高い第2のポリオレフィンであってもよい。
【0048】
過酸化物または第2のポリオレフィンの添加量は、MFRを上昇させる前のポリオレフィンのMFRを上昇させる量であればよい。
【0049】
なお、MFRを上昇させる前のポリオレフィンのMFRが1.0g/10min以下である場合、過酸化物または第2のポリオレフィンの添加量は、押出造粒機に充填されたポリオレフィンのMFRを1.0g/10minより高く上昇させる量であることが好ましい。また、この場合、第2のポリオレフィンのMFRは、1.0g/10minより高いことが好ましい。
【0050】
過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)へキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレラート、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−(3−メチルベンソイル)ペルオキシド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボナート、t−ヘキシルペルオキシベンゾアート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシ−3−メチルベンゾアート、またはt−ブチルペルオキシベンゾアートなどを好適に用いることができる。
【0051】
また、MFRを上昇させたポリオレフィンは、MFRを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、MFRを上昇させる前のポリオレフィンに第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であればよい。
【0052】
MFRを上昇させる前のポリオレフィンのMFRが1.0g/10min以下であるときは、MFRを上昇させたポリオレフィンのMFRが1.0g/10minより高くなることが好ましい。MFRが1.0g/10minより高ければ、ポリオレフィンの溶融時の流動性が十分に高いため、後述の造粒開始工程にて、ギアポンプおよびミキサーモーターに過負荷をかけることなく、MFRを上昇させたポリオレフィンの造粒を開始することができる。
【0053】
本実施の形態では、ミキサーモーター2の運転を開始してスクリュ式ミキサ4を運転させる。さらに、フィーダの運転を開始して、リアクタにて重合されたポリオレフィンを、ホッパー10を介してスクリュ式ミキサ4内へ供給し、それと同時に、該ポリオレフィンに過酸化物または第2のポリオレフィンを添加する。
【0054】
ポリオレフィンに過酸化物を添加した場合、スクリュ式ミキサ4の運転によって、過酸化物およびポリオレフィンはスクリュ式ミキサ4内で混練溶融される。このとき、過酸化物はポリオレフィンを酸化分解し、当該ポリオレフィンのMFRが上昇する。なお、過酸化物は、ポリオレフィンと混合してからスクリュ式ミキサ4に供給してもよいし、ポリオレフィンとは別に供給し、スクリュ式ミキサ4内で混合させてもよい。
【0055】
また、ポリオレフィンに第2のポリオレフィンを添加した場合、ポリオレフィンと第2のポリオレフィンとを混合すれば、ポリオレフィンのMFRは上昇する。したがって、第2のポリオレフィンを用いてポリオレフィンのMFRを上昇させる場合、スクリュ式ミキサ4へポリオレフィンを供給する前にポリオレフィンおよび第2のポリオレフィンを混合してもよいし、スクリュ式ミキサ4内にポリオレフィンを供給して、または供給しながら、第2のポリオレフィンを当該スクリュ式ミキサ4内に供給して混合してもよい。
【0056】
さらに、本実施形態では、ギアポンプ6の運転を開始し、ダイバーターバルブ5を閉弁する。次いで、カッターユニット9において、ダイス8に接続した循環箱9aに循環水を供給し、さらにカッターモーター9bの運転を開始する。スクリュ式ミキサ4内のポリオレフィンは、ギアポンプ6の作動によって、ダイス8から吐出され、循環箱9a内でカットされる。
【0057】
スクリュ式ミキサ4にはMFRを上昇させたポリオレフィンが入っているため、ギアポンプ6およびミキサーモーター2に過負荷をかけることなく、MFRを上昇させたポリオレフィンの造粒を開始することができる。このとき、MFRを上昇させたポリオレフィンのMFRが1.0g/10minより高ければ、当該ポリオレフィンの流動性は十分に高いため、造粒をより好適に開始することができる。
【0058】
〔低下工程〕
本発明に係る製造方法に含まれる、低下工程は、上記造粒開始工程の後に、引き続きギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒されるメルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させればよい。
【0059】
本実施形態では、上記予め設定した値とは、後述する造粒工程において、ギアポンプおよび6ミキサーモーター2に過負荷をかけることなく造粒できる値であればよい。具体的には、上記予め設定した値は、押出造粒機1の定格能力の60%であることが好ましい。
【0060】
なお、定格能力とは、押出造粒機ごとに定められた、単位時間当たりに造粒されるポリオレフィンの最大量を示す値である。例えば、押出造粒機1の定格能力が25T/hである場合、上記予め設定した値は、定格能力の60%にあたる15T/hである。
【0061】
単位時間当たりに製造される造粒された上記ポリオレフィンの量が、予め設定した値より大きくなると、押出造粒機1の運転状態は安定する。その後、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる。具体的には、上記MFRを上昇させたポリオレフィンをスクリュ式ミキサ4内においてポリオレフィンと過酸化物と溶融混錬して得ていた場合、過酸化物の添加量を減少させればよい。
【0062】
また、上記MFRを上昇させたポリオレフィンを、ポリオレフィンに第2のポリオレフィンを添加して混合することで得ていた場合、第2のポリオレフィンの添加量を減少させることで、MFRを低下させたポリオレフィンがスクリュ式ミキサ4内に存在するようにすればよい。より具体的には、上記MFRを上昇させたポリオレフィンを、スクリュ式ミキサ4に入れる前にポリオレフィンに第2のポリオレフィンを添加して混合することで得て、これをスクリュ式ミキサ4内に入れていた場合は、第2のポリオレフィンの添加量を減少させてポリオレフィンをスクリュ式ミキサ4内に入れればよい。また、上記MFRを上昇させたポリオレフィンを、スクリュ式ミキサ4内にて、ポリオレフィンに第2のポリオレフィンを添加して混合することで得ていた場合には、スクリュ式ミキサ4内に添加する第2のポリオレフィンの量を減少させればよい。
【0063】
また、過酸化物または第2のポリオレフィンの添加量を減少させる量としては、例えば、過酸化物または第2のポリオレフィンの添加を停止してもよい。このとき、予め、MFRを上昇させる前のポリオレフィンを、目的とするMFRを有するポリオレフィンとしておけば、過酸化物または第2のポリオレフィンの添加を停止することによって、後述の造粒工程にて、目的とするMFRを有するポリオレフィンを好適に造粒することができる。
【0064】
〔造粒工程〕
本発明に係る製造方法に含まれる造粒工程は、上記低下工程に引き続き、ギアポンプを運転して、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンより、メルトフローレートが低いポリオレフィンを造粒すればよい。
【0065】
本実施形態では、低下工程後に押出造粒機1を引き続き運転し続ければよい。これによって、造粒工程では、MFRを上昇させたMFRよりMFRが低いポリオレフィンを、ギアポンプ6およびミキサーモーター2に過負荷をかけることなく造粒することができる。
【0066】
したがって、上記製造方法によれば、MFRを上昇させる前のポリオレフィンのMFRが、1.0g/10min以下、または0.6g/10min以下であっても、押出造粒機1への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始することができる。
【0067】
〔本発明に係る押出造粒機の起動方法〕
本発明に係る押出造粒機の起動方法は、スクリュ式ミキサおよびギアポンプを備える押出造粒機の起動方法であって、スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、上記造粒開始工程の後に、引き続きギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、上記低下工程に引き続き、ギアポンプを運転して、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンに比べて、メルトフローレートが低いポリオレフィンの造粒を開始する第2の造粒開始工程とを含み、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに当該ポリオレフィンより高いメルトフローレートを有する第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であり、上記低下工程では、上記過酸化物または上記第2のポリオレフィンの添加量を減少させればよい。
【0068】
上記押出造粒機の起動方法によれば、MFRが低いポリオレフィンであっても、押出造粒機への過負荷を抑え、造粒を円滑に開始することができる。
【0069】
各工程の説明については、上記本発明に係る製造方法の対応する工程の説明を準用できる。
【0070】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0071】
〔実施例1〕
実施例1では、実施形態に記載の装置を用いて、MFRが0.5g/10minであるプロピレン/エチレンブロックコポリマーの造粒を行った。添加開始工程には、過酸化物として、10ppmのパーヘキサ25B(日本油脂株式会社)を用いた。また、低下工程では、単位時間当たりに造粒された上記ポリオレフィンの量が、定格能力の60%より大きくなった後、過酸化物の添加を停止した。
【0072】
その結果、押出造粒機1の運転状態は安定し、MFRが0.5g/10minのプロピレン/エチレンブロックコポリマーを造粒することができた。
【0073】
〔比較例1〕
比較例1では、過酸化物の混合を省略することを除き、実施例1と同様に行った。その結果、シャーピン切れが発生し、押出造粒機1が停止したため、MFRが0.5g/10minであるプロピレン/エチレンブロックコポリマーの造粒を行うことができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るポリオレフィンのペレットの製造方法は、MFRが低いポリオレフィンのペレットの製造方法として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る製造方法に用いる押出造粒機の概略図である。
【符号の説明】
【0076】
1 押出造粒機
2 ミキサーモーター
3 駆動機
4 スクリュ式ミキサ
5 ダイバーターバルブ
6 ギアポンプ
7 スクリーンチェンジャ
8 ダイス
9 カッターユニット
10 ホッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュ式ミキサおよびギアポンプを備える押出造粒機を用いるポリオレフィンのペレットの製造方法であって、
上記スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、上記ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、
上記造粒開始工程の後に、引き続き上記ギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、
上記低下工程に引き続き、上記ギアポンプを運転して、上記低下工程にてメルトフローレートを低下させたポリオレフィンを造粒する造粒工程とを含み、
上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに当該ポリオレフィンより高いメルトフローレートを有する第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であり、
上記低下工程では、上記過酸化物または上記第2のポリオレフィンの添加量を減少させることを特徴とするポリオレフィンのペレットの製造方法。
【請求項2】
上記ポリオレフィンは、エチレン単独重合体、エチレン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、およびプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
上記ポリオレフィンは、エチレン含有量が30重量%以下であるプロピレンとエチレンとの共重合体、ブテン含有量が30重量%以下であるプロピレンとブテンとの共重合体、およびエチレン含有量とブテン含有量との合計が30重量%以下であるプロピレンとエチレンとブテンとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンのメルトフローレートは1.0g/10min以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンのメルトフローレートは0.6g/10min以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンのメルトフローレートは、1.0g/10minより高いことを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項7】
上記過酸化物が、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)へキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレラート、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−(3−メチルベンソイル)ペルオキシド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボナート、t−ヘキシルペルオキシベンゾアート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシ−3−メチルベンゾアート、またはt−ブチルペルオキシベンゾアートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
上記メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンのメルトフローレートは1.0g/10min以下であり、
上記第2のポリオレフィンのメルトフローレートは1.0g/10minより大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
上記予め設定した値が上記押出造粒機の定格能力の60%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
上記低下工程では、上記過酸化物または第2のポリオレフィンの添加を停止することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
スクリュ式ミキサおよびギアポンプを備える押出造粒機の起動方法であって、
スクリュ式ミキサに、メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンが入った状態で、ギアポンプの運転を開始し、当該ポリオレフィンの造粒を開始する造粒開始工程と、
上記造粒開始工程の後に、引き続きギアポンプを運転し、単位時間当たりに造粒される上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンの量が予め設定した値より大きくなった後に、上記スクリュ式ミキサ内のポリオレフィンのメルトフローレートを低下させる低下工程と、
上記低下工程に引き続き、ギアポンプを運転して、上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンに比べて、メルトフローレートが低いポリオレフィンの造粒を開始する第2の造粒開始工程とを含み、
上記メルトフローレートを上昇させたポリオレフィンは、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに過酸化物を添加して溶融混練することによって得たもの、および、メルトフローレートを上昇させる前のポリオレフィンに当該ポリオレフィンより高いメルトフローレートを有する第2のポリオレフィンを添加して混合することによって得たもののうち少なくとも一方であり、上記低下工程では、上記過酸化物または上記第2のポリオレフィンの添加量を減少させることを特徴とする押出造粒機の起動方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−23416(P2010−23416A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190155(P2008−190155)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】