説明

ポリカルバゾリル(メタ)アクリレート発光組成物

本発明は、次の式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれるポリマーを提供する。式中、R1はH又はCH3であり、R2はH又はC1〜C5アルキルであり、R3はH又はCH3であり、R4及びR5は独立にH、CH3、t−ブチル、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、ジフェニルホスフィンオキシド又はジフェニルホスフィンスルフィドであり、mは1〜約20であり、nは1〜約20であり、L′及びZ′は独立に二座配位子であり、L′及びZ′の少なくとも一方はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含み、MはGa、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Eu、Tb、La、Po又はこれらの組合せである。本発明の組成物は、発光デバイス中の発光層として有用である。したがって本発明は、式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれるポリマーを含む発光層を含んでなる有機発光デバイスも提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルバゾリル(メタ)アクリレート発光組成物及びそれを用いた有機発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧バイアスを受けると発光する薄膜材料を用いた有機発光デバイス(OLED)は、ますますポピュラーな形態のフラットパネルディスプレイ技術になるものと予想される。これは、OLEDが携帯電話、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、コンピューターディスプレイ、車両用情報ディスプレイ、テレビジョンモニター並びに一般照明用光源を含む多種多様の潜在的用途を有するからである。鮮明な色、広い視角、フルモーションビデオとの適合性、広い温度範囲、薄くてコンフォーマブルな形状因子、低い所要電力、及び低コスト製造プロセスの実現可能性を有するので、OLEDは陰極線管(CRT)及び液晶ディスプレイ(LCD)に対する未来の代替技術と見られている。また、高い視感度効率のため、OLEDはある種の用途のための白熱灯及び恐らくは蛍光灯にさえ取って代わる可能性を有すると見られている。
【0003】
フルカラーOLEDを達成するための1つのアプローチは、ホストから発光ゲスト分子へのエネルギー移行を含んでいる。これを実現するためには、ホストの三重項エネルギー状態がゲスト分子より高くなければならない。カルバゾール誘導体は、金属含有発光ゲスト分子の存在下でホスト分子としてうまく働く見込みがあることが判明している。この点では、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)が多用される。しかし、PVKはその三重項エネルギーギャップが約2.5eVであるので理想的なホスト候補ではない。イリジウム(III)ビス(4,6−ジフルオロフェニル−ピリジナト−N,C2−ピコリナト)(FIrpic)は、OLEDに使用すると高い量子効率を示す青色りん光色素である。FIrpicの三重項エネルギーギャップは2.7eVであり、これはPVKの三重項エネルギーギャップより大きく、デバイス中で量子効率の低下をもたらす。したがって、分子が赤色、緑色及び青色発光錯体のホストとして働く可能性をなお維持しながら、高い三重項エネルギーギャップを有するポリマーを有するOLEDを開発することが当技術分野で要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/091862号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Chen Y. et al.: "Synthesis and characterization of bi-functional photorefractive polymers", Polymer, 1 February 2001, pages 1101-1107
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、次の式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれるポリマーを提供する。
【0007】
【化1】

式中、R1はH又はCH3であり、R2はH又はC1〜C5アルキルであり、R3はH又はCH3であり、R4及びR5は独立にH、CH3、t−ブチル、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、ジフェニルホスフィンオキシド又はジフェニルホスフィンスルフィドであり、mは1〜約20であり、nは1〜約20であり、L′及びZ′は独立に二座配位子であり、L′及びZ′の少なくとも一方はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含み、MはGa、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Eu、Tb、La、Po又はこれらの組合せである。
【0008】
別の態様では、本発明は、1以上の電極と、1以上の電荷注入層と、式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれるポリマーを含む1以上の発光層とを含んでなる有機発光デバイスを提供する。
【0009】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳しい説明を読んだ場合に一層よく理解されよう。添付の図面中では、図面全体を通じて類似の部分は同一の符号で表されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のポリマーを含む有機発光デバイスによって生み出される典型的な空色のエレクトロホスホレセントスペクトルを示す。
【図2】図2は、本発明のポリマーを含む有機発光デバイスの効率をバイアス電圧の関数として示す。正方形はcd/A単位で測定した電流効率を表す一方、三角形はlm/W単位で測定した電力効率を表している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物及びデバイスで使用するためのポリマーは、ペンダントカルバゾリル基を有するメタクリレートモノマーである式Iのモノマーから導かれる構造単位を含んでいる。場合によっては、カルバゾール単位の3,6位は酸化カップリング反応を受けやすいことがあり、これらの位置の1以上を保護するのが有利なことがある。したがって、ある実施形態では、R4及びR5はt−ブチル基であり、他の実施形態では、R4及びR5はトリアルキルシリル基及びトリアリールシリル基であり、さらに他の実施形態では、これらはジフェニルホスフィンオキシド又はジフェニルホスフィンスルフィドである。カルバゾールの3位及び6位を保護するためにはその他多種多様の基を使用することもでき、特に限定されないが、メチル、エチル、メトキシ、トリル、メチルシクロヘキシル及びハロメチルが挙げられる。他の実施形態では、R4及びR5は水素であり、カルバゾール単位の3位及び6位は保護されていない。
【0012】
式Iのモノマーは、当技術分野で公知の合成手順に従うことによって高い収率で得ることができる。式Iのモノマーは(メタ)アクリル酸のエステルであり、例えば、(メタ)アクリロイルクロリドとN−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾールとのエステル化反応によって合成できる。かかるモノマーは、Aldrich Chemical社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)のような供給源から商業的に入手することもできる。当業者には容易に理解される通り、使用する合成方法に応じ、n及びmの値は特定の値を有する整数であることがあり、或いは一定の分布を有するために平均値として表されることもある。
【0013】
特定の一態様では、n及びmの値は1であり、モノマーは次式を有する。
【0014】
【化2】

式中、R1はH又はCH3である。特定の一実施形態では、R1はCH3であり、モノマーは次式のメタクリレートエステルである。
【0015】
【化3】

別の特定の実施形態では、R1はHであり、モノマーは次式のアクリレートエステルである。
【0016】
【化4】

モノマーとしての2−(9−カルバゾリル)−エチルメタクリレート及び2−(9−カルバゾリル)−エチルアクリレート、並びにポリマーとしてのポリ(2−(9−カルバゾリル)−エチルアクリレート)及びポリ(2−(9−カルバゾリル)−エチルメタクリレート)もまた、Aldrich Chemical社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)のような様々な供給源から商業的に入手できる。
【0017】
ある実施形態では、本発明で有用なポリマーはホモポリマーである。他の実施形態では、ポリマーはコポリマーであり、さらに(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、ビニル芳香族モノマー、置換エチレンモノマー及びこれらの組合せから導かれる構造単位を含んでいる。コポリマーはブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー又はグラフトコポリマーである。モノマー並びに開始剤、温度及び/又は溶媒のような反応条件を適切に選択することで、様々な種類のコポリマーを得ることができる。
【0018】
本発明で有用なポリマーは、遊離基開始剤、カチオン開始剤、アニオン開始剤などを含む開始剤によって生起されるモノマーの重合によって製造できる。重合は、バルク状態で、適当な溶媒を用いた溶解状態で、或いは適切な懸濁又は乳濁状態で実施できる。特定の一実施形態では、重合はベンゼン又はトルエンのような無極性溶媒中でアゾビスイソブチロニトリルのような遊離基開始剤を用いて実施される。
【0019】
(メタ)アクリレートモノマーを重合させるための方法は、当技術分野で公知である。ある実施形態では、重合反応は約−50〜約100℃の温度で実施できる。重合はまた、大気圧、大気圧未満の圧力、又は大気圧を超える圧力で実施できる。重合反応は、適当な分子量のポリマーを得るために必要な時間にわたって実施される。ポリマーの分子量は当業者にとって公知の技法のいずれかによって決定され、粘度測定法、光散乱法、浸透圧法などがある。ポリマーの分子量は、通例、数平均分子量(Mn)又は重量平均分子量(Mw)として表される。分子量平均値を決定するための特に有用な技法は、数平均分子量及び重量平均分子量の両方が得られるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)である。ある実施形態では、ポリマーのMwは皮膜形成を可能にするのに十分な程度に高いことが望ましく、通例は約5000g/molを超えることが望ましい。他の実施形態では、30000g/molを超えるMwのポリマーが望ましく、さらに他の実施形態では、70000g/molを超えるMwのポリマーが望ましい。Mwは、ポリスチレンを標準として用いて決定される。
【0020】
本発明の組成物及びデバイスで使用するためのりん光性有機金属化合物は、式L2MZを有している。式中、L及びZは独立に二座配位子であり、MはGa、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Eu、Tb、La、Po又はこれらの組合せである。
【0021】
一実施形態では、Mはイリジウムであり、りん光性有機金属化合物は有機イリジウム組成物である。
【0022】
ある実施形態では、Lはシクロメタレート化配位子である。ある特定の実施形態では、L及びZは独立に、フェニルピリジン、トリルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、フェニルイソキノリン、ジベンゾキノザリン、フルオレニルピリジン、ケトピロール、ピコリネート、アセチルアセトネート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、8−ヒドロキシキノリネート、アミノ酸、サリチルアルデヒド、イミノアセトネート、2−(1−ナフチル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、クマリン、チエニルピリジン、フェニルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、3−メトキシ−2−フェニルピリジン、チエニルピリジン、フェニルイミン、ビニルピリジン、ピリジルナフタレン、ピリジルピロール、ピリジルイミダゾール、フェニルインドール、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる。
【0023】
ある実施形態では、1種以上のりん光性有機金属化合物は次式の化合物である。
【0024】
【化5】

式中、R11及びR12は一緒に置換又は非置換の単環式又は二環式ヘテロ芳香環を形成し、R13及びR14は各々独立にハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、置換アルキル、置換アリール又は置換アリールアルキルであり、p及びqは独立に0又は1〜4の整数である。特定の実施形態では、Lはフェニルピリジンから導かれ、及び/又はZはピコリネートから導かれる。特定の一実施形態では、Mはイリジウムであり、Lは2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジンから導かれ、Zはピコリン酸から導かれ、りん光性有機金属化合物は次式を有する。
【0025】
【化6】

この有機イリジウム化合物(FIrpic)は公知の青色りん光色素である。この有機イリジウム組成物は、American Dye Sources社(カナダ、ケベック)のような様々な供給源から商業的に入手できる。別法として、それは合成することもできる。そのためには、まず適当な反応条件下でシクロメタレート化用配位子2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジンを塩化イリジウム(III)と反応させてクロリド架橋シクロメタレート化イリジウムダイマー中間体を得、次いで適当な反応条件下で中間体をピコリン酸と反応させて有機イリジウム組成物を得る。
【0026】
他の実施形態では、りん光色素は赤色りん光色素、緑色りん光色素、青色りん光色素又はこれらの組合せである。
【0027】
例示的な青色りん光色素には、特に限定されないが、以下のものがある。
【0028】
【化7】

例示的な緑色りん光色素には、特に限定されないが、以下のものがある。
【0029】
【化8】

例示的な赤色りん光色素には、特に限定されないが、以下のものがある。
【0030】
【化9】

本明細書に記載されるりん光性有機金属化合物は、前述したような標準技法又は当技術分野で公知の他の技法によって合成できる。別法として、本発明のりん光性有機金属化合物は、American Dye Sources社(カナダ、ケベック)のような商業的供給源から入手できる。
【0031】
一実施形態では、1種以上のりん光性有機金属化合物は、式Iのモノマーから導かれる構造単位のモル数に対して約0.01〜約25モル%の量で存在する。別の実施形態では、1種以上のりん光性有機金属化合物は約0.1〜約10モル%の量で存在する。別法として、有機金属化合物の量はポリマーの総重量に対する重量%として表すことができる。このような場合、有機金属化合物の量は約0.1〜約40重量%である。
【0032】
別の態様では、本発明は、式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれる構造単位を含むポリマーに関する。式中、L′及びZ′は独立に二座配位子であり、L′及びZ′の少なくとも一方はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含み、MはGa、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Eu、Tb、La、Po又はこれらの組合せである。
【0033】
ある実施形態では、MはTc、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt又はこれらの組合せである。他の実施形態では、MはRu、Pd、Os、Ir、Pt又はこれらの組合せである。特定の一実施形態では、MはIrであり、重合可能なりん光性有機金属化合物は有機イリジウム組成物である。
【0034】
一実施形態では、L′はシクロメタレート化配位子である。ある実施形態では、L′及びZ′は独立に、フェニルピリジン、トリルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、フェニルイソキノリン、ジベンゾキノザリン、フルオレニルピリジン、ケトピロール、ピコリネート、アセチルアセトネート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、8−ヒドロキシキノリネート、アミノ酸、サリチルアルデヒド、イミノアセトネート、2−(1−ナフチル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、クマリン、チエニルピリジン、フェニルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、3−メトキシ−2−フェニルピリジン、チエニルピリジン、フェニルイミン、ビニルピリジン、ピリジルナフタレン、ピリジルピロール、ピリジルイミダゾール、フェニルインドール、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる。他の特定の実施形態では、L′は1−フェニルイソキノリン、2−フェニルピリジン、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる。
【0035】
ある特定の実施形態では、重合可能な有機金属化合物は次式の化合物である。
【0036】
【化10】

式中、R10はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せであり、R11及びR12は一緒に置換又は非置換の単環式又は二環式ヘテロ芳香環を形成し、R13は各々独立にハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、置換アルキル、置換アリール又は置換アリールアルキルであり、pは0又は1〜4の整数である。基R10は有機金属化合物上の重合性基であり、一実施形態ではスチリル基、別の実施形態ではメタクリロイル基、さらに別の実施形態ではアクリロイル基である。
【0037】
特定の実施形態では、L′はフェニルピリジンから導かれ、及び/又はZ′はピコリネートから導かれると共に、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含む。特定の一実施形態では、Mはイリジウムであり、Lは2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジンから導かれ、Zはヒドロキシピコリン酸から導かれ、重合可能なりん光性有機金属化合物は次式を有する。
【0038】
【化11】

式中、R10はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せである。
【0039】
本発明の重合可能なりん光性有機金属化合物は多段階プロセスで製造できる。即ち、一実施形態では、水性2−メトキシエタノールのような溶媒の存在下で2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジンのような配位子前駆体をIrCl3のような金属ハロゲン化物と共に加熱してクロリド架橋シクロメタレート化イリジウムダイマー中間体(例えば、{(Fppy)2Ir(μ−Cl)}2)を得ることで第1の中間体を製造できる。クロリド架橋シクロメタレート化イリジウムダイマー中間体を塩基の存在下で4−ヒドロキシピコリン酸のような官能化補助配位子と反応させて対応する官能化有機イリジウム錯体を得ることができる。続いて、有機イリジウム錯体を、ビニル基を含む適当な有機反応体及び官能化有機イリジウム錯体と反応し得る官能基と反応させることで重合可能なりん光性有機金属化合物を得る。本明細書に記載する中間体の一部は、Aldrich Chemical社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)又はAmerican Dye Sources社(カナダ、ケベック)のような商業的供給源から入手することもできる。
【0040】
一実施形態では、1種以上の重合可能なりん光性有機金属化合物は、式Iを有するモノマーの総モル数に対して約0.1〜約25モル%の量で存在する。別の実施形態では、1種以上のりん光性有機金属化合物は、式Iを有するモノマーの総モル数に対して約1〜約10モル%の量で存在する。
【0041】
本発明によって提供される組成物及びポリマーは、特に限定されないが、発光電気化学セル、光検出器、光伝導セル、フォトスイッチ、フォトトランジスター、ディスプレイデバイスなどを含む多種多様の用途で使用できる。かくして一態様では、本発明は、1以上の電極と、1以上の正孔注入層と、1種以上のりん光性有機金属化合物及び式Iのモノマーの1種以上から導かれる構造単位を有する1種以上のポリマーを含む組成物を含む1以上の発光層とを含んでなる発光デバイスを提供する。別の態様では、本発明は、1以上の電極と、1以上の正孔注入層と、式Iのモノマーの1種以上から導かれる構造単位及び重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれる構造単位を有する1種以上のポリマーを含む組成物を含む1以上の発光層とを含んでなる発光デバイスを提供する。
【0042】
本発明の組成物は、有機発光デバイス中の電気活性層で使用するのに特によく適している。一実施形態では、本発明は、本発明の組成物又はポリマーから本質的になる電気活性層を含む有機発光デバイスを提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明の組成物又はポリマーを有機発光デバイスの電気活性層の一成分として含む有機発光デバイスを提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の組成物又はポリマーを有機発光デバイスの発光電気活性層の一成分として含む有機発光デバイスを提供する。
【0043】
有機発光デバイスは、通例、複数の層を含んでいる。かかる層には、最も簡単な場合、陽極層、対応する陰極層、及び前記陽極と前記陰極との間に配設された有機エレクトロルミネセント層がある。電極間に電圧バイアスを印加した場合、陰極からエレクトロルミネセント層中に電子が注入されると共に、エレクトロルミネセント層から陽極に電子が除去される(又は陽極からエレクトロルミネセント層中に「正孔」が「注入」される)。エレクトロルミネセント層中で正孔が電子と結合して一重項又は三重項励起子を形成する際に発光が起こると共に、一重項励起子が放射崩壊によってエネルギーを環境に移送する際にも発光が起こる。
【0044】
陽極、陰極及び発光材料に加えて有機発光デバイス中に存在し得る他の構成要素には、正孔注入層、電子注入層及び電子輸送層がある。電子輸送層は陰極に接触している必要はなく、多くの場合に電子輸送層は効率的な正孔輸送体でなく、したがってそれは陰極に向かって移動する正孔をブロックするために役立つ。電子輸送層を含む有機発光デバイスの動作中には、電子輸送層中に存在する電荷キャリヤー(即ち、正孔及び電子)の大部分は電子であり、電子輸送層中に存在する正孔及び電子の再結合を通じて発光が起こり得る。有機発光デバイス中に存在し得る追加の構成要素には、正孔輸送層、正孔輸送発光層及び電子輸送発光層がある。
【0045】
式Iのモノマーから導かれる構造単位を含むポリマーは、極めて効率的なデバイスを与え得るために有機発光デバイス(OLED)のような用途で有用な三重項エネルギー状態を有する。さらに、これらのポリマーの三重項エネルギーはデバイス中に使用されるりん光色素の三重項エネルギーより大きくなり得る程度に高いものであり、したがってホスト分子として役立つことができる。
【0046】
有機エレクトロルミネセント層は、動作時に電子及び正孔の両方を実質的な濃度で含み、励起子形成及び発光のための部位を提供する有機発光デバイス中の層である。正孔注入層は、陽極に接触していて陽極からOLEDの内層への正孔注入を促進する層であり、電子注入層は、陰極に接触していて陰極からOLED中への電子注入を促進する層であり、電子輸送層は、陰極から電荷再結合部位への電子伝導を容易にする層である。電子輸送層は陰極に接触している必要はなく、多くの場合に電子輸送層は効率的な正孔輸送体でなく、したがってそれは陰極に向かって移動する正孔をブロックするために役立つ。電子輸送層を含む有機発光デバイスの動作中には、電子輸送層中に存在する電荷キャリヤー(即ち、正孔及び電子)の大部分は電子であり、電子輸送層中に存在する正孔及び電子の再結合を通じて発光が起こり得る。正孔輸送層は、OLEDの動作時に陽極から電荷再結合部位への正孔伝導を容易にすると共に、陽極に接触している必要はない層である。正孔輸送発光層は、OLEDの動作時に電荷再結合部位への正孔伝導を容易にすると共に、電荷キャリヤーの大部分が正孔であり、残留電子との再結合によってばかりでなくデバイス中の他の場所にある電荷再結合ゾーンからのエネルギー移行によっても発光が起こる層である。電子輸送発光層は、OLEDの動作時に電荷再結合部位への電子伝導を容易にすると共に、電荷キャリヤーの大部分が電子であり、残留正孔との再結合によってばかりでなくデバイス中の他の場所にある電荷再結合ゾーンからのエネルギー移行によっても発光が起こる層である。
【0047】
陽極として使用するのに適した材料には、四点プローブ技法で測定して約100オーム/平方以上のバルク導電率を有する材料がある。陽極としては、酸化インジウムスズ(ITO)が多用される。これは、ITOが光の透過に対して実質的に透明であり、したがって電気活性有機層から放出された光の脱出を容易にするからである。陽極層として使用できる他の材料には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウムスズ、酸化アンチモン及びこれらの混合物がある。
【0048】
陰極として使用するのに適した材料には、負電荷キャリヤー(電子)をOLEDの内層に注入できるゼロ原子価金属がある。陰極として使用するのに適した各種のゼロ原子価金属には、K、Li、Na、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、ランタニド系列の元素、これらの合金及びこれらの混合物がある。陰極層として使用するのに適した合金材料には、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg、Al−Ca及びAl−Au合金がある。層状の非合金構造体、例えば金属(例えば、カルシウム)又は金属フッ化物(例えば、LiF)の薄層をゼロ原子価金属(例えば、アルミニウム又は銀)の厚い層で覆ったものも、陰極として使用できる。特に、陰極はただ1種のゼロ原子価金属(とりわけ、アルミニウム金属)からなり得る。
【0049】
正孔輸送層で使用するのに適した材料には、1,1−ビス((ジ−4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサン、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−(1,1′−(3,3′−ジメチル)ビフェニル)−4,4′−ジアミン、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン、フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、トリフェニルアミン、1−フェニル−3−(p−(ジエチルアミノ)スチリル)−5−(p−(ジエチルアミノ)フェニル)ピラゾリン、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン、N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン、銅フタロシアニン、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール、トリアリールジアミン、テトラフェニルジアミン、芳香族第三アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、及び米国特許第6,023,371号に開示されているようなポリチオフェンがある。
【0050】
電子輸送層として使用するのに適した材料には、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,1−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、1,3,4−トリアゾール含有ポリマー、キノキサリン含有ポリマー及びシアノPPVがある。
【0051】
定義
本発明の文脈中では、アルキルは、線状、枝分れ又は環状の炭化水素構造及びこれらの組合せを含むものであり、低級アルキル及び高級アルキルを包含する。好ましいアルキル基はC20以下のものである。低級アルキルは、炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基をいい、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルが挙げられる。高級アルキルは、炭素原子数7以上、好ましくは炭素原子数7〜20のアルキル基をいい、n−ヘプチル、s−ヘプチル、t−ヘプチル、オクチル及びドデシルが挙げられる。シクロアルキルはアルキルの部分集合であって、炭素原子数3〜8の環状炭化水素基を包含する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びノルボルニルが挙げられる。アルケニル及びアルキニルは、2以上の水素原子がそれぞれ二重結合又は三重結合で置き換えられたアルキル基をいう。
【0052】
アリール及びヘテロアリールは、五員若しくは六員芳香環又はヘテロ芳香環であって窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を含むもの、二環式九員若しくは十員芳香環系又はヘテロ芳香環系であって窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を含むもの、或いは三環式十三員若しくは十四員芳香環系又はヘテロ芳香環系であって窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を含むものを意味する。六員乃至十四員芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン及びフルオレンがあり、五員乃至十員芳香族複素環としては、例えば、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール及びピラゾールがある。
【0053】
アリールアルキルとは、アリール環に結合したアルキル残基を意味する。その具体例はベンジル及びフェネチルである。ヘテロアリールアルキルとは、ヘテロアリール環に結合したアルキル残基を意味する。その具体例はピリジニルメチル及びピリミジニルエチルである。アルキルアリールとは、1以上のアルキル基が結合したアリール残基を意味する。その具体例はトリル及びメシチルである。
【0054】
アルコキシ又はアルコキシルとは、酸素を介して親構造に結合した、直鎖、枝分れ又は環状構造或いはこれらの組合せを有する炭素原子数1〜8の基をいう。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ及びシクロヘキシルオキシがある。低級アルコキシとは、炭素原子数1〜4の基をいう。
【0055】
アシルとは、カルボニル官能基を介して親構造に結合した、直鎖、枝分れ又は環状構造、飽和、不飽和又は芳香族構造或いはこれらの組合せを有する炭素原子数1〜8の基をいう。アシル残基中の1以上の炭素は、親構造への結合点がカルボニルに保たれる限り、窒素、酸素又は硫黄で置き換えることができる。その具体例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル及びベンジルオキシカルボニルがある。低級アシルとは、炭素原子数1〜4の基をいう。
【0056】
複素環とは、1〜3個の炭素が酸素、窒素又は硫黄のようなヘテロ原子で置き換えられたシクロアルキル又はアリール残基を意味する。本発明の技術的範囲に属する複素環の例には、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在する場合には一般にメチレンジオキシフェニルと呼ばれる。)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びトリアジンがある。
【0057】
置換とは、特に限定されないがアルキル、アルキルアリール、アリール、アリールアルキル及びヘテロアリールを含む構造単位において、その残基の3個以下のH原子が低級アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボキシ、カルボキシアルコキシ、カルボキサミド、アシルオキシ、アミジノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、OCH(COOH)2、シアノ、第一アミノ、第二アミノ、アシルアミノ、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール又はヘテロアリールオキシで置き換えられたものをいう。前記フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール及びヘテロアリールオキシの各々は、低級アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、アルコキシ、シアノ、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、カルボキサミド、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ニトロ及び−NRR(式中、Rは独立にH、低級アルキル又はシクロアルキルであり、−RRは縮合して窒素を含む環を形成し得る。)から選択される1〜3個の置換基で任意に置換される。
【0058】
ハロアルキルとは、1以上のH原子がハロゲン原子で置き換えられたアルキル残基をいう。ハロアルキルという用語はペルハロアルキルを包含する。本発明の技術的範囲に属するハロアルキル基の例には、CH2F、CHF2及びCF3がある。
【0059】
シリルとは、1〜3個の炭素が四価ケイ素で置き換えられかつケイ素原子を介して親構造に結合したアルキル残基を意味する。シロキシとは、2つの炭素がアルキル残基で末端封鎖された四価ケイ素で置き換えられかつ酸素原子を介して親構造に結合したアルコキシ残基である。
【0060】
二座配位子とは、2つの部位を介して金属に結合できる配位子である。同様に、三座配位子とは、3つの部位を介して金属に結合できる配位子である。シクロメタレート化配位子とは、炭素−金属単結合及び1つ又は2つの金属−ヘテロ原子結合により金属原子に結合して環状構造を形成している二座又は三座配位子を意味し、ヘテロ原子はN、S、P、As又はOである。
【0061】
本明細書に記載される任意の数値は、低い値と高い値との間に2単位以上の開きがあるときは、低い値から高い値まで1単位ずつ増分する値をすべて含む。例えば、成分の量又は例えば温度、圧力、時間などのプロセス変量の値が1〜90、好ましくは20〜80、さらに好ましくは30〜70であると記載されている場合、本明細書には15〜85、22〜68、43〜51及び30〜32などの値が明示されているものとする。1未満の値については、1単位は場合に応じて0.0001、0.001、0.01又は0.1であると考えられる。これらは明確に意図しているものの例示に過ぎず、記載された最低値と最高値の間の数値の可能な組合せはすべて、本出願において同様に明記されていると考えるべきである。
【実施例】
【0062】
一般手順:分子量データは、UV/VIS検出器を備えたPerkin Elmer GPC Series 2000、Polymer Laboratories PLGel 5mmカラム、溶離剤としてのクロロホルム、及び較正標準としてのポリスチレン標準を用いて求めた。NMR分光法はBruker 400MHz測定器上で実施した。酸化インジウムスズ(ITO)でプレコートしたガラスはApplied Films社から入手した。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)は、H.C.Starck社(ドイツ、レーバークーゼン)から購入した。H.W.Sands社から購入した3,5−ビス(4−tert−ブチル−フェニル)−4−フェニル−[1,2,4]トリアゾール(TAZ)を電子輸送材料として使用した。
【実施例1】
【0063】
実施例1:(F2ppy)2Ir(3−ヒドロキシピコリネート)の合成
100mLのガラス製ホイートン(Wheaton)バイアルに炭酸ナトリウム(2.4g、22.6mmol、Aldrich社)、3−ヒドロキシピコリン酸(0.90g、6.5mmol、Aldrich社)及び[(F2ppy)2IrCl]2(2.5g、2.05mmol、American Dye Source社)を仕込み、次いで50mLのDMF(Aldrich社)に溶解した。1インチの磁気撹拌子を加えた後、バイアルをクリンプキャップで密封し、注射器を用いて窒素で10分間パージした。溶液をさらに10分間撹拌した後、最初の黄色が橙色を帯びたところで、バイアルを予熱(85℃)した油浴中に一晩配置した。橙色の反応混合物を室温に冷却し、水(500mL)中に注ぎ込んだ。水性混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。回転蒸発によって濃縮した後、橙色の残留物を最小量のクロロホルムに溶解し、ヘキサンから再結晶させた。生成物を濾過によって集め、真空中で乾燥した。収量(2g、68%)。1H NMR(400MHz、d6−DMSO、25℃)δ 5.48(dd,1H)、5.66(dd,1H)、6.82(m,2H)、7.24(d,1H)、7.35(t,1H)、7.5(m,1H)、7.62(d,1H)、7.7(d,1H)、7.96(s,1H)、8.09(m,2H)、8.23(m,2H)、8.5(d,1H)、13.56(s,1H)。
【実施例2】
【0064】
実施例2:(F2ppy)2Ir(3−スチリルエーテルピコリネート)の合成
50mLのガラス製ホイートンバイアルに炭酸ナトリウム(2.3g、14.4mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.10g、0.27mmol)、4−クロロメチルスチレン(0.717g、4.7mmol)及び(F2ppy)2Ir(3−ヒドロキシピコリネート)(1.55g、2.18mmol)を仕込み、次いで15mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。1/2インチの磁気撹拌子を加えた後、バイアルをクリンプキャップで密封し、注射器を用いて窒素で10分間パージした。溶液をさらに10分間撹拌した後、最初の黄色が橙色を帯びたところで、バイアルを85℃に予熱した油浴中に2時間配置した。橙色の反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)中に注ぎ込んだ。沈殿した生成物を濾過によって集め、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出、ヘキサンから100%酢酸エチルまで)で精製した。生成物画分を合わせて濃縮した。濃縮物を最小量のクロロホルムに溶解し、次いでヘキサンから再結晶させた。黄色の結晶質生成物を濾過によって集め、真空中で乾燥した。収量(1.3g、71%)。1H NMR(400MHz、d6−DMSO、25℃)δ 5.27(d,1H)、5.29(s,2H)5.46(dd,1H)、5.68(dd,1H)、5.86(d,1H)、6.76−6.87(m,3H)、7.36(m,2H)、7.5−7.58(m,6H)、7.68(d,1H)、7.91(d,1H)、8.05(dt,2H)、8.23(d,1H)、8.29(d,1H)、8.59(d,1H)。
【実施例3】
【0065】
実施例3:(F2ppy)2Ir(5−ヒドロキシピコリネート)の合成
100mLのガラス製ホイートンバイアルに炭酸ナトリウム(2.4g、22.6mmol、Aldrich社)、5−ヒドロキシピコリン酸(0.96g、6.9mmol、Synchem Ltd)及び[(F2ppy)2IrCl]2(2.72g、2.2mmol、American Dye Source社)を仕込み、次いで50mLのDMF(Aldrich社)に溶解した。1インチの磁気撹拌子を加えた後、バイアルをクリンプキャップで密封し、注射器を用いて窒素で10分間パージした。溶液をさらに10分間撹拌した後、最初の黄色が橙色を帯びたところで、バイアルを予熱(85℃)した油浴中に一晩配置した。橙色の反応混合物を室温に冷却し、水(500mL)中に注ぎ込んで生成物の一部を沈殿させた。固形分を濾過によって集め、取り置いた。水性画分をクロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。濃縮物及び最初の固体沈殿物を合わせ、最小量のクロロホルムに溶解し、次いでヘキサンから再結晶させた。黄色の結晶質生成物を濾過によって集め、真空中で乾燥した。収量(2.17g、68%)。1H NMR(400MHz、d6−DMSO、25℃)δ 5.47(dd,1H)、5.69(d,1H)、6.8(m,2H)、7.23(d,1H)、7.34(t,1H)7.42(dd,1H)、7.5(t,1H)、7.68(d,1H)、7.95(s,1H)、8.04(m,2H)、8.26(t,2H)、8.54(d,1H)、11.1(s,1H)。
【実施例4】
【0066】
実施例4:(F2ppy)2Ir(5−(9−ヒドロキシノニル)ピコリネート)の合成
ディーン・スタークトラップを備えた三つ口丸底フラスコ内で、0.37gの(F2ppy)2Ir(5−ヒドロキシピコリネート)及び0.4gのK2CO3を20mLのDMFに一緒に添加した。次に、3mLのトルエンを添加し、反応物を120℃に加熱して水を共沸的に除去した。すべてのトルエンを除去した後、0.5gの1−ブロモノナノールを0.1gのテトラブチルアンモニウムヨージドと共に添加した。反応混合物を120℃に12時間保った。室温に冷却した後、酢酸エチル(30mL)及び水(30mL)を添加した。有機層及び水性層を分離し、有機層をさらに水(30mL×2)及びブライン(30mL×1)で抽出した。続いて、有機層をMgSO4上で乾燥した。次いで、溶媒を真空中で除去した。溶離溶媒としてCH2CH2/MeOHを用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーを行うことで、生成物として0.284gの粘性固体を得た。1H(CDCl3)δ 8.75(s,1H)、8.26(m,3H)、7.78(s,2H)、7.47(d,1H)、7.37(d,1H)、7.36(s,1H)、7.20(t,1H)、7.00(t,1H)、6.49(t,1H)、6.39(t,1H)、5.83(d,1H)、5.56(d,1H)、3.89(t,2H)、3.63(t,2H)、1.73(t,2H)、1.56(t,2H)、1.30(ブロードピーク,10H)。
【実施例5】
【0067】
実施例5:(F2ppy)2Ir(5−(9−ノニルアクリレート)ピコリネート)の合成
丸底フラスコ内で、0.284gの(F2ppy)2Ir(5−(9−ヒドロキシノニル)ピコリネート)を15mLの乾燥塩化メチレンに溶解した。溶液をアルゴンでパージし、250μlの塩化アクリロイルを添加した。この反応混合物を氷水浴中で冷却し、注射器を用いて250μlのトリエチルアミンを滴下した。0.5時間後、氷水浴を取り除き、反応物を室温で一晩撹拌した。塩化メチレンを除去し、エーテル(20mL)を用いて固体を抽出した。濃縮後、粗生成物をシリカゲルカラム上にロードし、溶離溶媒としてCH2CH2/MeOHを用いて精製することで、生成物として0.13gの黄色固体を得た。1H(CDCl3)δ 8.77(s,1H)、8.29(m,3H)、7.80(t,2H)、7.49(d,1H)、7.39(d,1H)、7.21(t,1H)、7.01(t,1H)、6.51(t,1H)、6.42(d,1H)、6.41(t,1H)、6.14(dd,1H)、5.86(d,1H)、5.84(d,1H)、5.57(d,1H)、4.16(t,2H)、3.91(t,2H)、1.75(t,2H)、1.68(t,2H)、1.30(ブロードピーク,10H).
【実施例6】
【0068】
実施例6:(F2ppy)2Ir(3−ヒドロキシピコリネート)の合成
100mLのガラス製ホイートンバイアルに炭酸ナトリウム(2.4g、22.6mmol、Aldrich社)、3−ヒドロキシピコリン酸(0.90g、6.5mmol、Aldrich社)及び[(F2ppy)2IrCl]2(2.5g、2.05mmol、American Dye Source社)を仕込み、次いで50mLのDMF(Aldrich社)に溶解した。1インチの磁気撹拌子を加えた後、バイアルをクリンプキャップで密封し、注射器を用いて窒素で10分間パージした。溶液をさらに10分間撹拌した後、最初の黄色が橙色を帯びたところで、バイアルを予熱(85℃)した油浴中に一晩配置した。橙色の反応混合物を室温に冷却し、水(500mL)中に注ぎ込んだ。水性混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。回転蒸発によって濃縮した後、橙色の残留物を最小量のクロロホルムに溶解し、ヘキサンから再結晶させた。生成物を濾過によって集め、真空中で乾燥した。収量(2g,68%)。1H NMR(400MHz、d6−DMSO、25℃)δ 5.48(dd,1H)、5.66(dd,1H)、6.82(m,2H)、7.24(d,1H)、7.35(t,1H)、7.5(m,1H)、7.62(d,1H)、7.7(d,1H)、7.96(s,1H)、8.09(m,2H)、8.23(m,2H)、8.5(d,1H)、13.56(s,1H)。
【実施例7】
【0069】
実施例7:(F2ppy)2Ir(3−スチリルエーテルピコリネート)の合成
50mLのガラス製ホイートンバイアルに炭酸ナトリウム(2.3g、14.4mmol、Aldrich社)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.10g、0.27mmol、Aldrich社)、4−クロロメチルスチレン(0.717g、4.7mmol、Aldrich社)及び(F2ppy)2Ir(3−ヒドロキシピコリネート)(1.55g、2.18mmol)を仕込み、次いで15mLのDMF(Aldrich社)に溶解した。1/2インチの磁気撹拌子を加えた後、バイアルをクリンプキャップで密封し、注射器を用いて窒素で10分間パージした。溶液をさらに10分間撹拌した後、最初の黄色が橙色を帯びたところで、バイアルを予熱(85℃)した油浴中に2時間配置した。橙色の反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)中に注ぎ込んだ。沈殿した生成物を濾過によって集め、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出、ヘキサンから100%酢酸エチルまで)で精製した。生成物画分を合わせて濃縮した。濃縮物を最小量のクロロホルムに溶解し、次いでヘキサンから再結晶させた。黄色の結晶質生成物を濾過によって集め、真空中で乾燥した。収量(1.3g、71%)。1H NMR(400MHz、d6−DMSO、25℃)δ 5.27(d,1H)、5.29(s,2H)5.46(dd,1H)、5.68(dd,1H)、5.86(d,1H)、6.76−6.87(m,3H)、7.36(m,2H)、7.5−7.58(m,6H)、7.68(d,1H)、7.91(d,1H)、8.05(dt,2H)、8.23(d,1H)、8.29(d,1H)、8.59(d,1H)。
【実施例8】
【0070】
実施例8:(F2ppy)2Ir(3−アクリロイルピコリネート)の合成
20mLのガラス製ホイートンバイアルに(F2ppy)2Ir(3−ヒドロキシピコリネート)(0.25g、0.35mmol)を仕込み、次いで10mLのクロロホルム(Aldrich社)に溶解した。1/2インチの磁気撹拌子を加えた後、
塩化アクリロイル(200mg、2.2mmol)及び0.5mLのトリエチルアミン(3.6mmol)をピペットで添加した。バイアルをクリンプキャップで密封し、室温で一晩撹拌した。橙色の反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出、クロロホルム:メタノール(97:3比))で精製した。生成物画分を濃縮し、最小量のクロロホルムに溶解し、ヘキサンから再結晶させた。黄色の結晶質生成物を濾過によって集め、真空中で乾燥した。収量(144mg、54%)。1H NMR(400MHz、d6−DMSO、25℃)δ 5.44(dd,1H)、5.68(dd,1H)、6.18(d,1H)、6.39−6.54(m,2H)、6.8−6.9(m,2H)、7.35(t,1H)、7.52(t,1H)、7.65−7.77(m,3H)、8.0−8.11(m,3H)、8.28(m,2H)、8.50(d,1H)。
【実施例9】
【0071】
実施例9:ポリ(9H−カルバゾール−9−エチルメタクリレート−コ−(F2ppy)2Ir(3−スチリルエーテルピコリネート))を合成するための一般手順
こはく色のバイアルにビニルモノマーを秤取した。(実際の量は表1中に示す。)このバイアルに、適当な量のN−メチルピロリドン(NMP)をアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のNMP溶液(0.1g/mL)と共に添加した。すべてのスチレン性FIrpicが完全に溶解するまで、反応混合物を室温で撹拌した。ホールピペットを用いて反応混合物をシュレンク(Shlenk)フラスコに注意深く移し、1mLのNMPを用いてフラスコ及びピペットをすすいだ。凍結融解サイクルを用いてシュレンクフラスコを3回脱気し、65℃の油浴中に配置した。反応混合物を一晩撹拌した後、室温に冷却した。必要ならば、塩化メチレンをフラスコに添加して溶液を希釈した。次に、この混合物を撹拌しながら10倍容のメタノールに滴下したところ、その間にポリマーが白色粉末として沈殿し、次いでそれを真空濾過によって集めた。集めたポリマーを塩化メチレンに再溶解し、アセトンから再沈殿させた。再び、ポリマーを真空濾過によって集め、さらに50℃の真空炉内で一晩乾燥した。溶液噴霧誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES、Varian Liberty II)によって実験的に測定したポリマー中のIrのwt%からFIrpicの量を計算した。合成したコポリマーの詳細を下記表1に示す。
【0072】
【表1】

【実施例10】
【0073】
実施例10:反応番号275−44−3から製造したポリマーに基づくりん光性OLED
有機発光ダイオード(OLED)は次のようにして作製した。陽極基板として使用する予備パターン化ITO被覆ガラスをUV−オゾンで10分間(min)清浄処理した。次に、スピンコーティングによって60nmのPEDOT:PSS層をITO上に堆積させ、次いで空気中において180℃で1時間ベークした。次いで、アルゴン(水分及び酸素は共に1ppm未満であった)を満たしたグローブボックス内に基板を移した。次いで、反応番号275−44−3から製造したポリマーの発光層をそれの1重量%(wt%)クロロホルム溶液からPEDOT:PSS層上に溶液をスピンコートし、120℃に予熱したホットプレート上で10分間ベークした。次に、2×10-6トルの基礎真空下で40nmのTAZ層を発光層上に熱蒸着し、次いでCsF(4nm)/Al(130nm)二層陰極を熱蒸着した。金属被覆後、Norland Products社(米国ニュージャージー州クランベリー)から入手した光学接着剤Norland 68でシールしたカバーガラスを用いてデバイスを封入した。活性面積は約0.2cm2であった。
【0074】
OLEDは、図1に示す発光スペクトルからわかる通り、(0.166,0.365)のCIE座標を有する空色の光を発生する。デバイスの性能を図2に示す。OLEDは、25.7cd/Aの最大電流効率及び12.6lm/Wの最大電力効率を示した。
【0075】
以上、本明細書には本発明の幾つかの特徴のみを例示し説明してきたが、当業者には数多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は本発明の真の技術思想に含まれるこのような修正及び変更のすべてを包含することを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれるポリマー。
【化1】

式中、
1はH又はCH3であり、
2はH又はC1〜C5アルキルであり、
3はH又はCH3であり、
4及びR5は独立にH、CH3、t−ブチル、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、ジフェニルホスフィンオキシド又はジフェニルホスフィンスルフィドであり、
mは1〜約20であり、
nは1〜約20であり、
L′及びZ′は独立に二座配位子であり、
L′及びZ′の少なくとも一方はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含み、
MはGa、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Eu、Tb、La、Po又はこれらの組合せである。
【請求項2】
1がHである、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
1がCH3である、請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
L′がシクロメタレート化配位子である、請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
MがTc、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt又はこれらの組合せである、請求項1記載のポリマー。
【請求項6】
MがRu、Pd、Os、Ir、Pt又はこれらの組合せである、請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
MがIrである、請求項1記載のポリマー。
【請求項8】
L′及びZ′が独立に、フェニルピリジン、トリルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、フェニルイソキノリン、ジベンゾキノザリン、フルオレニルピリジン、ケトピロール、ピコリネート、アセチルアセトネート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、8−ヒドロキシキノリネート、アミノ酸、サリチルアルデヒド、イミノアセトネート、2−(1−ナフチル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、クマリン、チエニルピリジン、フェニルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、3−メトキシ−2−フェニルピリジン、チエニルピリジン、フェニルイミン、ビニルピリジン、ピリジルナフタレン、ピリジルピロール、ピリジルイミダゾール、フェニルインドール、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる、請求項1記載のポリマー。
【請求項9】
L′が1−フェニルイソキノリン、2−フェニルピリジン、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる、請求項1記載のポリマー。
【請求項10】
L′が2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジンから導かれる、請求項1記載のポリマー。
【請求項11】
Z′がピコリネートから導かれ、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項12】
重合可能なりん光性有機金属化合物が次式の化合物である、請求項1記載のポリマー。
【化2】

式中、
10はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せであり、
11及びR12は一緒に置換又は非置換の単環式又は二環式ヘテロ芳香環を形成し、
13は各々独立にハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、置換アルキル、置換アリール又は置換アリールアルキルであり、
pは0又は1〜4の整数である。
【請求項13】
10がスチリルである、請求項12記載のポリマー。
【請求項14】
10がアクリロイル又はメタクリロイルである、請求項12記載のポリマー。
【請求項15】
重合可能なりん光性有機金属化合物が次式の化合物である、請求項1記載のポリマー。
【化3】

式中、R10はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せである。
【請求項16】
ポリマーがさらに、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、ビニル芳香族モノマー、置換エチレンモノマー及びこれらの組合せから導かれる構造単位を含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項17】
重合可能なりん光性有機金属化合物が次式の化合物であり、
【化4】

10がスチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せであり、
ポリマーが以下のものから選択されるモノマーから導かれる構造単位を含む、請求項1記載のポリマー。
【化5】

【請求項18】
1以上の電極と、
1以上の電荷注入層と、
次の式Iのモノマー及び式L′2MZ′の重合可能なりん光性有機金属化合物から導かれるポリマーを含む1以上の発光層と
を含んでなる有機発光デバイス。
【化6】

式中、
1はH又はCH3であり、
2はH又はC1〜C5アルキルであり、
3はH又はCH3であり、
4及びR5は独立にH、CH3、t−ブチル、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、ジフェニルホスフィンオキシド又はジフェニルホスフィンスルフィドであり、
mは1〜約20であり、
nは1〜約20であり、
L′及びZ′は独立に二座配位子であり、
L′及びZ′の少なくとも一方はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含み、
MはGa、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Eu、Tb、La、Po又はこれらの組合せである。
【請求項19】
1がHである、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
1がCH3である、請求項18記載のデバイス。
【請求項21】
L′がシクロメタレート化配位子である、請求項18記載のデバイス。
【請求項22】
MがTc、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt又はこれらの組合せである、請求項18記載のデバイス。
【請求項23】
MがRu、Pd、Os、Ir、Pt又はこれらの組合せである、請求項18記載のデバイス。
【請求項24】
MがIrである、請求項18記載のデバイス。
【請求項25】
L′及びZ′が独立に、フェニルピリジン、トリルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、フェニルイソキノリン、ジベンゾキノザリン、フルオレニルピリジン、ケトピロール、ピコリネート、アセチルアセトネート、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、8−ヒドロキシキノリネート、アミノ酸、サリチルアルデヒド、イミノアセトネート、2−(1−ナフチル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、クマリン、チエニルピリジン、フェニルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、3−メトキシ−2−フェニルピリジン、チエニルピリジン、フェニルイミン、ビニルピリジン、ピリジルナフタレン、ピリジルピロール、ピリジルイミダゾール、フェニルインドール、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる、請求項18記載のデバイス。
【請求項26】
L′が1−フェニルイソキノリン、2−フェニルピリジン、これらの誘導体又はこれらの組合せから導かれる、請求項18記載のデバイス。
【請求項27】
L′が2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジンから導かれる、請求項18記載のデバイス。
【請求項28】
Z′がピコリネートから導かれ、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルケニルオキシ、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル及びメタクリロイルから選択される1以上の置換基を含む、請求項18記載のデバイス。
【請求項29】
重合可能なりん光性有機金属化合物が次式の有機金属錯体からなる、請求項18記載のデバイス。
【化7】

式中、
10はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せであり、
11及びR12は一緒に置換又は非置換の単環式又は二環式ヘテロ芳香環を形成し、
13は各々独立にハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、置換アルキル、置換アリール又は置換アリールアルキルであり、
pは0又は1〜4の整数である。
【請求項30】
10がスチリルである、請求項18記載のデバイス。
【請求項31】
10がアクリロイル又はメタクリロイルである、請求項18記載のデバイス。
【請求項32】
重合可能なりん光性有機金属化合物が次式の有機金属錯体からなる、請求項18記載のデバイス。
【化8】

式中、R10はC2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C2-20置換アルケニル、C2-20置換アルキニル、C2-20アルキニルオキシ、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せである。
【請求項33】
発光層がさらに、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、ビニル芳香族モノマー、置換エチレンモノマー及びこれらの組合せから導かれる構造単位を含む、請求項18記載のデバイス。
【請求項34】
重合可能なりん光性有機金属化合物が次式の化合物であり、
【化9】

10がスチリル、アクリロイル、メタクリロイル又はこれらの組合せであり、
ポリマーが以下のものから選択されるモノマーから導かれる構造単位を含む、請求項18記載のデバイス。
【化10】


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−525112(P2010−525112A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504152(P2010−504152)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/059110
【国際公開番号】WO2008/130806
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】