説明

ポリカーボネート/ポリエステル組成物とポリウレタンの改良された接着性を有する複合材料部材

本発明は、以下のa)およびb)を具備する複合材料部材に関する。a)以下のA)〜C)を含有する熱可塑性組成物からなる支持体、A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、(A)の含有量は20.0〜85.0重量部である、B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、(B)の含有量は15.0〜80.0重量部であり、成分Bに基づき、少なくとも25.0重量部のゴム含量[R]を有し、およびC)少なくとも1種のポリマー添加剤;成分AおよびBの合計に基づき(C)の含有量は0〜30.0重量部である、ならびに、b)少なくとも1種のポリウレタン層、ただし、該熱可塑性組成物は、成分AおよびCの合計に基づき、少なくとも12重量部の総ゴム含量を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な加工性のポリカーボネートおよび/またはポリエステル組成物の構造付与(structure-imparting)支持体と少なくとも1種のポリウレタン層とを含有する、高い靱性と安定な接着結合を備える複合材料部材を提供し、およびそれらの使用ならびにそれらの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
WO2006/072366A1は、少なくとも2つのキャビティを備える型中で基体を成形しコーティングするための方法を開示する。該方法は以下の工程を有する:
a)型の第1キャビティ中で基体を成形し、
b)型の第2キャビティ内へ、前工程において製造された基体を導入し、および
c)ラッカーを用いて第2キャビティ中の基体をコーティングする。なお、該コーティングは上昇させた圧力下で行われる。
【0003】
ポリウレタンラッカーおよびPC+ABS基体(ポリカーボネート+アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン基体)は、実施例の目的で記載され、好ましいものとして記載されている。支持材料組成物が接着特性に及ぼす影響に関しては、この出願において記載されていない。
【0004】
DE10 2006 048 252 B3は、複合材料部材、特に、射出成形された部分とポリウレタン要素を含有する複合材料部材の製造法を開示し、以下の工程を有する:
a)支持体要素の製造
b)型の開放キャビティ内へ支持体要素を導入または移動させ、
c)予め規定された位置へ型を近接させ、第1サイズを有する拡大されたキャビティを作り、
d)第1サイズの拡大されたキャビティ中に、圧力の減少をもたらし、
e)拡大されたキャビティをフラッディング材料で充填し、および
f)フラッディング材料での充填と同時におよび/または充填後にエンボス加工処理を行い、キャビティサイズを少なくとも僅かに減少させる。
【0005】
接着結合を向上させるために、表面処理、プラズマ帯電、またはガスによる熱可塑性物質の表面活性がここに記載されている。支持材料組成物が複合材料の接着特性に及ぼす影響に関しては、この出願において記載されていない。
【0006】
DE 2006 033 059 A1は、プラスチック製のインテリア部品の製造法を開示する。これにおいて、第1工程における型内で支持体が形成され、次いで、第1型の少なくとも一部が第2型に置換えられ、次いで、第2工程において支持体上に最上層が形成される。この工程において、ハード要素、例えば、PA+ABSブレンド(ポリアミド+アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)またはPC+ABSブレンド(ポリカーボネート+アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)が、支持材料として使用され、また、ソフト要素、好ましくはポリウレタンフォームが、最上層として使用される。支持材料の組成物が、この方法により調製される要素の接着特性に及ぼす影響に関しては、この出願において記載されていない。どちらかといえば、DE 2006 033 059 A1においては、プライマーまたはレーザー、コロナまたはプラズマ処理による表面の前処理が、接着性を改良するために同様に提案されている。
【0007】
WO99/20464は、相互に直接貼り合された、少なくとも2種類の異なるプラスチック材料製の複合材料を開示し、この場合において、a)は、極めて微細な無機粉末として、周期表の主族1〜5またはサブグループ1〜8の少なくとも1種の金属のうち、少なくとも1種の極性化合物を含有するポリマーの熱可塑性混合物または熱可塑性ポリマーであり、b)は、フォーム、ラッカーまたは圧縮材料として存在するポリウレタンである。複合材料に関して接着促進剤層は要求されない。ABSおよびゴム在中物に関する支持材料組成物が、複合材料の接着特性に影響を及ぼすことは、この公報において記載されていない。
【0008】
DE 101 09 226 A1は、a)芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネート、b)グラフトポリマーおよびc)カルボキシル基を含有するモノマーとスチレンのコポリマー(ただし、該コポリマーは、平均分子量≧10500g/molを示し、および該コポリマーは1種以上のビニルモノマーを含有できる)。成分Cは、好ましくは、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーである。さらに、DE 101 09 226 A1は、層(1)が少なくともポリカーボネート組成物(a、bおよびcの下に記載される)を含有し、および層(2)が少なくともポリウレタンを含有する、少なくとも1種の第1層(1)と第2層(2)を含有する複合材料部材を開示する。該複合材料は、二重交互気候試験(double alternating climate test)(ACT)後の層(1)と層(2)の間のフォーム接着性における減少が最大で35%のものに区別される。ABSおよびゴム在中物に関する支持材料組成物が、複合材料の接着特性に影響を及ぼすことは、この公報において記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許出願公開第2006/072366号A1明細書
【特許文献2】独国特許第10 2006 048 252号B3明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2006 048 252号A1明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第101 09 226号A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、良好な加工性のポリカーボネートおよび/またはポリエステル組成物から成る構造付与支持体と、少なくとも1種のポリウレタン層とを含有する、高い靱性と改良された接着結合を備える代替複合材料部材を提供すること、それらの使用およびこれらの複合材料部材の製造方法を提供することである。
【0011】
これに関連して、例えば、ポリウレタン層は、複合材料部材の表面特性、触感特性、視覚特性ならびに遮音性および断熱性を改良することに役立つことができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、以下のa)およびb)から成る複合材料部材によりもたらされる:
a)以下のA)〜C)を含有する熱可塑性組成物からなる支持体;
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[A]の含有量は20.0〜85.0重量部である、
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[B]の含有量は15.0〜80.0重量部であり、成分Bに基づき、少なくとも25.0重量部のゴム含量[R]を示す、
および
C)少なくとも1種のポリマー添加剤;成分A〜Cの合計に基づき、[C]の含有量は0〜30.0重量部である、ならびに
b)少なくとも1種のポリウレタン層、
ただし、熱可塑性組成物は、成分AおよびBの合計に基づき、少なくとも12重量部の総ゴム含量を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の目的は、以下のa)およびb)を具備する複合材料部材により更におよび好ましくもたらされる:
a)以下のA)〜C)を含有する熱可塑性組成物からなる支持体;
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[A]の含有量は20.0〜85.0重量部である
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[B]の含有量は15.0〜80.0重量部であり、成分Bに基づき、少なくとも25.0重量部のゴム含量[R]を示す、
および
C)少なくとも1種のポリマー添加剤;成分A〜Cの合計に基づき、[C]の含有量は0〜30.0重量部である、ならびに
b)少なくとも1種のポリウレタン層、
ただし、該熱可塑性組成物は、
比率Q=[B]/[R]が<2であり、および
成分AおよびBの合計に基づく、ゴム含量[R]=[R]・[B]/100が少なくとも12重量部であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明に係る複合材料部材の製造に関する本発明による方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
成分Bのゴム含量[R]は、好ましくは25.0〜80.0重量部、より好ましくは25.0〜50.0重量部、特に30.0〜45.0重量部である。
【0016】
いずれの場合も成分Aと成分Bの合計に基づき、総ゴム含量およびゴム含量[R]は、少なくとも12重量部、好ましくは少なくとも13重量部、および特に好ましくは少なくとも14重量部である。
【0017】
いずれの場合も成分Aと成分Bの合計に基づく、総ゴム含量およびゴム含量[R]は、好ましくは最大で35重量部、より好ましくは最大で30重量部、特に好ましくは25重量部であり、該範囲は、上記の上限および下限の間の望ましい組合せであることができる。
【0018】
いずれの場合も成分Aと成分Bの合計に基づく、総ゴム含量およびゴム含量[R]は、好ましくは12〜35重量部、より好ましくは13〜30重量部、および特に好ましくは14〜25重量部である。
【0019】
これに関連して、例えば、ポリウレタン層は、例えば、1μmから最大20cmのポリウレタン層厚を備える圧縮PUスキン、PUラッカーまたはPUフォームであることができる。
【0020】
好ましい実施態様において、ポリウレタン層は、1〜1000μmの層厚を有するラッカーである。
【0021】
更なる好ましい実施態様において、ポリウレタン層は、1mm〜10mmの層厚を有する圧縮スキン層である。
【0022】
更なる好ましい実施態様において、ポリウレタン層は、4mm〜20cmの層厚を有するフォームである。
【0023】
原則として、複合材料部材は、任意の既知の方法で製造できる。
【0024】
好ましくは、ポリウレタン層は、
−少なくとも1種のポリイソシアネート成分、
−少なくとも1種の多官能性のH活性化合物、および
−所望による少なくとも1種のポリウレタン添加剤および/または反応補助物質、
を含有する反応性ポリウレタン原料混合物を、熱可塑性組成物から予め形成して固化させた支持体に直接接触させて完全に重合させることにより製造される。
【0025】
例えば、支持体要素を、熱可塑性PC+ABS組成物からから予め調製してもよく、そして、反応性ポリウレタン原料混合物を、そこに施して完全に反応させてもよい。ポリウレタン反応成分の反応性に依存して、これらを予め混合させてもよく、施す間に既知の方法で混合させてもよい。とりわけ、施すことは、噴霧、ナイフコーティングまたはカレンダー処理により行うことができる。
【0026】
しかしながら、既知の方法によって共押出することにより、本発明による複合材料を製造することも可能である。
【0027】
発泡した複合材料が製造される場合、反応混合物は、予め形成され固化させた支持体要素を包含する型内へそれ自体既知の方法で導入できる。型は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリウレタン噴霧スキン製の更なる装飾層(「スキン」と称される場合もある)を所望により含有できる。型中で、発泡性の反応混合物は、支持体要素および所望による装飾層と接触して発泡し、複合材料部材を形成する。これに関連して、複合材料部材がその表面にセル構造を有するように、発泡成形を行うことができる。しかしながら、複合材料部材が圧縮スキンおよび多孔質コア(一体フォーム)を有するようにそれが行われてもよい。ポリウレタン要素は高圧または低圧装置を備える型内へ導入できる。
【0028】
ポリウレタンフォームは、ブロックフォームとして製造されてもよい。
【0029】
ポリウレタン複合体は、サンドイッチ構造で製造されてもよい。これに関連して、方法は、堆積(deposit)または外皮(envelope)構造法を適用できる。貯蔵施工法および外皮施工法自体が共に既知である。堆積法(充填工法)において、2つの半分のシェル(例えば、プラスチック製の最上層)が予め作成され、型中に配置され、該シェル間のキャビティへ、PUフォームを発泡させて充填させる。外皮工法の場合、PUフォームのコアは、最初に型内へ導入され、次いで、適当な外皮材料、例えば記載された熱可塑性樹脂のうちの一種により包囲される。外皮工法は、サンドイッチ複合体の製造に関して好ましい。
【0030】
本発明における好ましい実施態様において、複合材料部材は、以下の工程により製造される:
(i)第1工程段階において、熱可塑性組成物の融成物を第1の型キャビティ内へ注入し、その後冷却させ、
(ii)第2工程段階において、射出成形型のキャビティを拡張させ、その結果、間隙を形成し、
(iii)第3工程段階において、
−少なくとも1種のポリイソシアネート成分、
−少なくとも1種の多官能性のH活性化合物、および
−所望による少なくとも1種のポリウレタン添加剤および/または反応補助物質、
を含有する反応性ポリウレタン原料混合物を、熱可塑性成分と拡大されたキャビティの型表面との間の、このような方法で生じた間隙内へ注入し、該ポリウレタン原料混合物を、熱可塑性支持体の表面と直接接触させて完全に重合させて、圧縮ポリウレタン層またはポリウレタンフォーム層をもたらし、および
(iv)第4工程段階において、複合材料部材を、型キャビティから取り出す。
【0031】
本発明による更に好ましい実施態様において、複合材料部材の製造における工程段階(i)〜(iv)は、相互にそのまま連続して行われる。
【0032】
工程段階を直接的に連続させることは、工程中に加工物の温度が室温まで冷却されることを防ぐ。製造時間の短縮と全工程におけるより高いエネルギー効率が、この方法によりもたらされる。
【0033】
工程段階(ii)および(iii)を、ポリウレタン系の変化に伴い少なくとも1回繰り返してもよく、1以上のポリウレタン層が支持体の片面のみまたは両面に施され、これにより、熱可塑性支持体および、所望により2層構造以上を備える、少なくとも2つの同一または異なるPU要素から構成される複合材料部材が得られる。
【0034】
工程(ii)および(iv)における型から、加工物を取り出す前に、寸法的に安定するまで該加工物を冷却する。
【0035】
工程段階(ii)において間隙を形成するために、射出成形型を開放し、その後、該射出成形型の片側を、より大きな型容量を備える新たな半分の型に置換えてもよく、または、構成要素を、第1型キャビティから、同一または第2型における、その型容量よりも大きな第2キャビティ内へ移動させてもよく、あるいは、第1キャビティを間隙で開放してもよい。
【0036】
工程(ii)における基体の移動は、既知の方法、例えば、多色射出成形において使用される方法により行うことができる。代表的な方法は、一方では、回転テーブル、標尺台、スライドキャビティまたは割出し板、あるいは基体が中心部に残る同等の方法である。移動に関して基体が中心に残る場合、移動後に位置も正確に嵌合されるので、このことは有利である。一方、支持体が、例えばハンドリングシステムを用いて1つのキャビティから取り出され、別のキャビティ中に配置される基体の移動法は、先行技術から既知である。基体の取りだしを伴う移動は、コーティング、例えばしわの生成または被覆領域の創出におけるデザインに更なる自由度をもたらす。
【0037】
係数Qが1.7未満、好ましくは1.5未満の複合材料部材が好ましい。
【0038】
本発明による複合材料部材の製造において使用される熱可塑性組成物は、好ましくは以下のものを含有する:
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分AおよびBの合計に基づき、30.0〜64.9重量部、特に40.0〜64.9重量部、特に好ましくは40.0〜55.0重量部、
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分AおよびBの合計に基づき、35.1〜70.0重量部、特に35.1〜60重量部、特に好ましくは45.0〜60.0重量部。
【0039】
好ましくは、成分C)は、成分A〜Cの合計に基づき、0〜20.0重量部、特に0.1〜10.0重量部の含有量で使用される。
【0040】
本発明による複合材料部材の製造において使用される熱可塑性組成物は、少なくとも1種の芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネートおよび少なくとも1種の芳香族ポリエステルの混合物を成分Aとして好ましく含有する。
【0041】
好ましい実施態様において、室温にておよび特に好ましくは-30℃にて、ISO180-1Aに従うノッチ付き衝撃試験において、30kJ/mよりも大きいノッチ付き衝撃強さにより特徴づけられる、靱性破壊性能を示し、および/またはISO6603に従う衝撃貫通破壊試験において靱性(破片のない)破壊分布を示す熱可塑性ポリマー組成物が、第1工程段階において使用される。
【0042】
本発明による複合材料部材の製造において使用される反応性ポリウレタン原料混合物は、80より大きく125よりも小さい、より好ましくは100よりも大きく120よりも小さい、および特に好ましくは105〜115の特性数を好ましく有する。
【0043】
特性数は、ポリオールが完全に反応した場合における算出化学量論量に対する、実際に使用されるイソシアネートの量のパーセンテージ比として定義され、すなわち、特性数=(使用したイソシアネートの量/イソシアネートの算出化学量論量)×100として定義される。
【0044】
別の実施態様において、熱可塑性ポリウレタンは反応性ポリウレタン原料混合物の代わりに使用されてもよい。
【0045】
更なる好ましい実施態様において、熱可塑性ポリマー組成物と接触する射出型の表面は、50〜95℃、好ましくは60〜85℃、および特に好ましくは60〜80℃の温度範囲で工程段階(iii)において温度制御される。
【0046】
更に好ましい実施態様において、反応性ポリウレタン混合物と接触する射出型の表面は、50〜160℃、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃、および特に好ましくは90〜100℃の範囲の温度で工程段階(iii)において温度制御される。
【0047】
より好ましい実施態様において、熱可塑性ポリマー組成物と接触する射出型の表面は、50〜95℃、好ましくは60〜85℃および特に好ましくは60〜80℃の範囲の温度で工程段階(iii)において温度制御され、反応性ポリウレタン混合物と接触する射出型の表面は、50〜160℃、好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜110℃、および特に好ましくは90〜100℃の範囲の温度で工程段階(iii)において温度制御される。
【0048】
装飾層を備える発泡ポリウレタン系の場合、別の実施態様において、熱可塑性ポリマー組成物と接触するか装飾スキンと接触する発泡用型の表面は、20〜80℃、好ましくは30℃〜60℃の範囲の温度で温度制御できる。
【0049】
本発明による複合材料部材は、トラック、飛行機または自動車の内装または外装部品として特に適当である。
【0050】
特に好ましい実施態様において、複合材料部材は、ISO6603に従う衝撃貫通試験における破壊様式を基に評価される、多軸衝撃応力の条件下、-30℃にて靱性(破片のない)破壊特性を示す。
【0051】
好ましい実施態様において、本発明による複合材料部材における、ポリカーボネート組成物製の支持体とポリウレタンコーティングの間の接着強度は、該部材から20mm幅で取り出されたサンプル片において、100mm/分試験速度で、DIN53357Aに従いローラー剥離試験で測定される場合、少なくとも1N/mmである。
【0052】
本発明による方法において使用されるポリマー組成物は、以下のものを含有する:
【0053】
成分A
本発明において適する成分Aに係る芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリエステルカーボネートは、関連文献に記載されており、または関連文献において記載されている方法により調製できる。芳香族ポリカーボネートの調製に関しては、例えば、シュネル著「ポリカーボネートの化学と物理」、インターサイエンス・パブリッシャーズ、1964年、ならびに独国特許(DE−AS)1495626号明細書、独国特許出願公開第2232877号A明細書、および同2703376号A明細書、同2714544号A明細書、同3000610号A明細書および同3832396号A明細書を参照。また、芳香族ポリエステルカーボネートの調製に関しては、例えば同3077934号A明細書を参照。
【0054】
芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、例えば、ジフェノールと、炭酸ハロゲン化物(好ましくはホスゲン)および/または芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物(好ましくはベンゼンジカルボン酸二ハロゲン化物)を、界面重合法により、必要に応じて連鎖停止剤(例えばモノフェノール)を使用し、また必要に応じて、三官能性以上の分枝剤(例えばトリフェノールまたはテトラフェノール)を用いて反応させることにより調製される。ジフェノールと、例えばジフェニルカーボネートを反応させる溶融重合法による調製も同様に可能である。
【0055】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの調製に関するジフェノールは、好ましくは式(I)のものである:
【0056】
【化1】


式中、Aは単結合、C−C−アルキレン、C−Cアルキリデン、C−C−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−、C−C12−アリーレン(該アリーレンには、必要に応じてヘテロ原子を含有する更なる芳香族環を結合させてもよい)、あるいは、以下の式(II)若しくは(III)の基である;
【0057】
【化2】

【0058】
【化3】

式中、
Bは、いずれの場合もC-C12-アルキル(好ましくはメチル)、ハロゲン(好ましくは塩素および/または臭素)であり、
xは、いずれの場合も相互に独立して0、1または2であり、
pは、1または0を示し、および
およびRは、各Xに対して独立して選択され、相互に独立して水素またはC−C-アルキル、好ましくは水素、メチル若しくはエチルを示し、
は炭素を示し、ならびに
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5を示す、但し、少なくとも1つのX原子上においては、RおよびRは同時にアルキルを示す。
【0059】
好ましいジフェノールとしては、以下のものが含まれる:ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス-(ヒドロキシフェニル)−C−C−アルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)−C−C−シクロアルカン、ビス-(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス-(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス-(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス-(ヒドロキシフェニル)-スルホンおよびα,α-ビス-(ヒドロキシフェニル)-ジイソプロピル-ベンゼン、並びに環を臭素化および/または環を塩素化させたそれらの誘導体。
【0060】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス-(4−ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、1,1−ビス-(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびこれらのジ−およびテトラ臭素化若しくは塩素化誘導体、例えば2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス-(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)-プロパンまたは2,2−ビス-(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンなどである。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)-プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0061】
ジフェノールを単独で使用してもよく、任意の混合物として使用してもよい。ジフェノールは文献において既知であり、または文献において既知の方法に従い得ることができる。
【0062】
熱可塑性の芳香族ポリカーボネートを調製するために適当な連鎖停止剤は、例えば、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールまたは2,4,6−トリブロモフェノール、並びに長鎖アルキルフェノール、例えば4-[2-(2,4,4-トリメチルペンチル)]-フェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)-フェノール(独国特許出願公開第2842005号A明細書参照)など、またはアルキル置換基中に合計で8個〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノール若しくはジアルキルフェノール、例えば、3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、および2−(3,5−ジメチルヘプチル)-フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)-フェノールである。使用される連鎖停止剤の量は、具体的に使用されるジフェノールのモル数の合計に基づいて、一般に0.5モル%〜10モル%の間である。
【0063】
熱可塑性の芳香族ポリカーボネートは、既知の方法で岐分化でき、特に好ましくは、三官能性以上の化合物、例えば3個以上のフェノール性基有する化合物を、使用するジフェノールの合計量に基づき、0.05〜2.0モル%の量で組み込むことができる。
【0064】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートが共に適当である。使用するジフェノールの総量に基づき、1〜25wt%、好ましくは2.5〜25wt%の量で、ヒドロキシアリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンを、本発明に係る成分Aに係るコポリカーボネートを調製するために使用できる、これらは、US3419634において既知であり、該文献から既知の方法により調製できる。ポリジオルガノシロキサンを含有するコポリカーボネートの調製は、DE-A3334782に記載されている。
【0065】
ビスフェノールAのホモポリカーボネートに加えて、好ましいポリカーボネートは、ジフェノールの総モル数に基づき15モル%以下の、上記の好ましい他のジフェノール若しくは特に好ましい他のジフェノール、特に、2,2−ビス-(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンと、ビスフェノールAとのコポリカーボネートである。
【0066】
芳香族ポリエステルカーボネートの調製に使用する芳香族ジカルボン酸ジハライドは、好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル4,4'-ジカルボン酸およびナフタレン-2,6-ジカルボン酸の二酸ジクロリドである。
【0067】
イソフタル酸の二酸ジクロリドとテレフタル酸の二酸ジクロリドを1:20〜20:1の割合で混合させた混合物が特に好ましい。
【0068】
炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲンが、ポリエステルカーボネートの調製における二官能性酸誘導体として更に使用される。
【0069】
上述のモノフェノールに加えて、芳香族ポリエステルカーボネートの調製に使用できる連鎖停止剤は、それらのクロロ炭酸エステル、所望によりC〜C22-アルキル基またはハロゲン原子により置換できる、芳香族モノカルボン酸の酸塩化物、ならびに脂肪族C〜C22-モノカルボン酸塩化物である。
【0070】
連鎖停止剤の量は、フェノール系連鎖停止剤の場合ジフェノールのモル数に基づき、モノカルボン酸塩化物系連鎖停止剤の場合ジカルボン酸ジクロリドのモル数に基づき、何れの場合も0.1〜10モル%である。
【0071】
芳香族ポリエステルカーボネートは、導入した芳香族ヒドロキシカルボン酸を含有してもよい。
【0072】
芳香族ポリエステルカーボネートは直鎖状であってもよく、既知の方法で分岐化させてもよい(DE-A2940024およびDE-A3007934の関連部分参照)。
【0073】
分岐剤としては、以下のものが使用できる:例えば、三官能性以上のカルボン酸塩化物、例えばトリメシン酸トリクロリド、シアヌル酸トリクロリド、3,3',4,4'−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸テトラクロリド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸テトラクロリド若しくはピロメリット酸テトラクロリドなど、使用したジカルボン酸ジクロリドに基づき0.01〜1.0mol%の量;または三官能性以上のフェノール、例えばフロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−へプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス-(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス-(4−ヒドロキシフェニル-イソプロピル)-フェノール、テトラ-(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス-(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]−フェノキシ)−メタン、1,4−ビス-[4,4'−(ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンなど、使用するジフェノールに基づき0.01〜1.0mol%の量。フェノール系分岐剤はジフェノールと共に初めに導入でき、酸塩化物系分岐剤は酸ジクロリドと共に導入できる。
【0074】
熱可塑性の芳香族ポリエステルカーボネートにおけるカーボネート構造単位の含有量は、所望により変化できる。好ましくは、カーボネート基の含有量は、エステル基とカーボネート基の合計量に基づき、100モル%以下、特に80モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。芳香族ポリエステルカーボネートにおけるエステルおよびカーボネート含量は共に、ブロック状またはランダムに分布した状態で重縮合生成物中に存在できる。
【0075】
芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、好ましくは1.18〜1.4、特に好ましくは1.20〜1.32の範囲である(塩化メチレン溶液100ml中にポリカーボネートまたはポリエステルカーボネートを0.5g溶解させ、25℃で測定した)。芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは15000〜35000の範囲、より好ましくは20000〜33000の範囲、特に好ましくは23000〜30000であり、GPC(標準試料としてポリカーボネートを用いる塩化メチレン中でのゲル浸透クロマトグラフィー)により測定される。
【0076】
好ましい実施態様において、本発明に係る成分Aとして可能な芳香族ポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレートである、特に好ましい実施態様において、これらは、芳香族ジカルボン酸またはそれらの反応性誘導体、例えばジメチルエステル若しくは無水物と、脂肪族、脂環式若しくはアラリファティック(araliphatic)ジオールの反応生成物、ならびにこれらの反応生成物の混合物である。
【0077】
特に好ましいポリアルキレンテレフタレートは、ジカルボン酸成分に基づき、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%のテレフタル酸基、およびジオール成分に基づき少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90モル%の、エチレングリコールおよび/またはブタン-1,4-ジオール基を含有する。
【0078】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸基以外に、20mol%まで、好ましくは10mol%までで、8〜14個のC原子を有する他の芳香族または脂環式ジカルボン酸、または4〜12個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸の基、たとえば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびシクロヘキサン二酢酸の基を含有してもよい。
【0079】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、エチレングリコールまたはブタン−1,4−ジオールの基以外に、20mol%まで、好ましくは10mol%までで、3〜12個のC原子を有する他の脂肪族ジオール、または6〜21個のC原子を有する脂環族ジオールの基、たとえば、1,3−プロパンジオール、2−エチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、3−エチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2,2,4−トリメチルペンタン1,3−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、2,2−ビス−(4−β−ヒドロキシエトキシ−フェニル)−プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンの基を含有してもよい(DE−A 2407674、2407776および2715932)。
【0080】
ポリアルキレンテレフタレートを、たとえば、DE−A 1900270およびUS 3692744号公報に従って、比較的少量の3または4価アルコールまたは3または4塩基性カルボン酸を導入することによって分岐させてもよい。好ましい分岐剤の例は、トリメシン酸、トリメリト酸、トリメチロールエタンおよび−プロパン、およびペンタエリスリトールである。
【0081】
テレフタル酸およびその反応性誘導体(たとえば、そのジアルキルエステル)とエチレングリコールおよび/またはブタン−1,4−ジオールからのみ調製されるポリアルキレンテレフタレート、およびこれらのポリアルキレンテレフタレートの混合物が特に好ましい。
【0082】
ポリアルキレンテレフタレートの混合物は、1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%のポリエチレンテレフタレートと、50〜99重量%、好ましくは70〜99重量%のポリブチレンテレフタレートを含有する。
【0083】
好ましく使用されるポリアルキレンテレフタレートは一般的に、0.4〜1.5dl/g、好ましくは0.5〜1.2dl/gの制限粘度を有し、これはフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1重量部)中で、25℃にて、ウッベローデ(Ubbelohde)粘度計で測定される。
【0084】
ポリアルキレンテレフタレートを公知の方法によって調製することができる(たとえば、Kunststoff-Handbuch,第VIII巻,p.695et seq.,Carl-Hanser-Verlag,Munich,1973年参照)。
【0085】
成分B
成分Bは、ゴム系グラフトポリマーB.1または、ゴム系グラフトポリマーB.1とゴムが含まれていないビニル(コ)ポリマーB.2の混合物を含有し、この場合、構成成分の合計に関する成分Bのゴム含量は、少なくとも25.0重量部である。
【0086】
成分Bにおいて使用されるゴム系グラフトポリマーB.1は、以下のB.1.1およびB.1.2を含有する:
B.1.1 少なくとも1種のビニルモノマー;成分B.1に基づき、5〜95、好ましくは15〜92、特に25〜60重量%、および
B.1.2 10℃よりも小さい、好ましくは0℃よりも小さい、特に好ましくは−20℃よりも小さいガラス転移温度を有する1種以上のグラフトベース;成分B.1に基づき、95〜5、好ましくは85〜8、特に75〜40重量%。
【0087】
ガラス転移温度は、中心温度としてのTgを測定し、10K/分の加熱速度にて、DIN EN61006規格に従い、示唆熱分析法(DSC)を用いて測定された(タンジェント法)。
【0088】
一般に、グラフトベースB.1.2は、0.05〜10.00μm、好ましくは0.1〜5.0μm、特に好ましくは0.2〜1.0μmの平均粒子サイズ(d50値)を有する。
【0089】
平均粒子サイズd50は、各場合粒子の50重量%が存在する前後の直径である。これは遠心分離測定によって決定されてもよい(W.Scholtan),H.Lange,Kolloid,Z.ウント・Z.ポリマー 250 (1972年),第782頁−第1796頁)。
【0090】
モノマーB.1.1は、好ましくは以下のB.1.1.1およびB.1.1.2の混合物である:
B.1.1.1 B.1.1に基づき、50〜99、好ましくは65〜85、特に75〜80重量部の、ビニル芳香族および/または核上が置換されたビニル芳香族(例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン)および/またはメタクリル酸(C-C)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど)および
B.1.1.2 B.1.1に基づき、1〜50、好ましくは15〜35、特に20〜25重量部の、ビニルシアニド(不飽和ニトリル、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)、および/または(メタ)アクリル酸(C〜C)アルキルエステル、例えば、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、および/または不飽和カルボン酸の誘導体(例えば、無水物およびイミド)、たとえば、マレイン酸無水物およびN−フェニル−マレイミド。
【0091】
好ましいモノマーB.1.1.1は、モノマースチレン、α-メチルスチレンおよびメチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートのうちの少なくとも1種から選択され、および好ましいモノマーB.1.1.2はモノマーアクアクリロニトリル、および無水マレイン酸およびメチルアクリロリルのうち1種から選択される。特に好ましいモノマーは、B.1.1.1スチレンおよびB.1.1.2アクリロニトリルである。
【0092】
グラフトポリマーB.1に関して適当なグラフトベースB.1.2は、例えば、ジエンゴム、EP(D)Mゴム(すなわち、エチレン/プロピレンおよび所望によるジエンに基づくもの)、およびアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/酢酸ビニルゴム、ならびにシリコーン/アクリレート複合ゴムである。
【0093】
好ましいグラフトベースB.1.2は、ジエンゴム、例えば、ブタジエンおよびイソプレンに基づくもの、またはジエンゴムの混合物、またはジエンゴムのコポリマー、あるいは、それらと更なる共重合可能なモノマー(例えば、B.1.1.1およびB.1.1.2に係るもの)との混合物であり、ただし、成分B.1.2のガラス転移温度は10℃よりも低く、好ましくは0℃よりも低く、特に好ましくは−20℃よりも低い。
【0094】
グラフトベースB.1.2として、純粋なポリブタジエンゴムが特に好ましい。
【0095】
特に好ましいポリマーB.1は、例えば、ABSまたはMBSポリマー、例えばDE-OS2035390(=US3644574)またはDE-OS2248242(=GB1409275)ならびに、ウルマンズ、工業化学百科事典、第19巻(1980年)、第280以下参照)において記載されている。
【0096】
グラフトコポリマーB.1は、フリーラジカル重合、例えば乳化重合、懸濁重合、溶液重合、または塊状重合により、好ましくは乳化重合または塊状重合により、特に乳化重合により調製される。
【0097】
乳化重合法で調製されたグラフトポリマーB.1の場合、いずれの場合もB.1に基づき、グラフトベースB.1.2の含有量は、好ましくは20〜95重量%、特に好ましくは40〜85重量%、特に50〜75重量%である。
【0098】
塊状重合法で調製されたグラフトポリマーB.1の場合、いずれの場合もB.1に基づき、グラフトベースB.1.2の含有量は、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは8〜25重量%、特に10〜20重量%である。
【0099】
グラフトベースB.1.2のゲル含有量は、いずれの場合もB.1.2に基づき、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、特に少なくとも60重量%であり、トルエン中の不溶性含量として測定した。
【0100】
また、特に適当なグラフトゴムはABSポリマーであり、US4937285に従い、アスコルビン酸および有機ヒドロペルオキシドの開始剤系を用いるレドックスにより調製される。
【0101】
既知のように、グラフト化モノマーは、グラフト反応の間にグラフトベース上に必ずしも完全にグラフト化されるのではなく、また、本発明に係るグラフトポリマーB.1は、グラフトベースの存在下、グラフト化モノマーの(共)重合により調製され、また、後処理する間に得られるこれらの生成物を意味するものと理解される。これらの生成物は、それによって、グラフト化モノマーの遊離(すなわち、ゴムに対して化学的に結合されない)(コ)ポリマーも含有できる。
【0102】
B.1.2に係る適当なアクリレートゴムは、好ましくはアクリル酸アルキルエステルのポリマー、所望により、B.1.2に基づき40重量%以下の他の重合可能なエチレン性不飽和モノマーを有するポリマーである。好ましい重合性アクリル酸エステルには、C−C−アルキルエステル、例えばメチル、エチル、ブチル、n−オクチルおよび2−エチルヘキシルエステル、ハロアルキルエステル、好ましくはハロ−C−C−アルキルエステル、例えばクロロエチルアクリレート、並びにこれらモノマーの混合物が含まれる。
【0103】
架橋のために、2以上の重合性二重結合を有するモノマーを共重合することができる。架橋モノマーの好ましい例は、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸と、3〜12個の炭素原子を有する不飽和1価アルコールのエステル、または2〜4個のOH基と2〜20個の炭素原子を有する飽和ポリオールとのエステル、例えばエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレートなど;ポリ不飽和複素環化合物、例えば、トリビニルおよびトリアリルシアヌレートなど;多官能性ビニル化合物、例えば、ジ−およびトリ−ビニルベンゼン;並びにトリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートである。好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレートおよび少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する複素環化合物である。特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーであるトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジンおよびトリアリルベンゼンである。架橋モノマーの量は、グラフトベースB.1.2.に基づき、好ましくは0.02〜5.00%、特に0.05〜2.00重量%である。少なくとも3個のエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーの場合、グラフトベースB.1.2の1.00重量%未満の量に制限することが有利である。
【0104】
アクリル酸エステルに加えて、グラフトベースB.1.2を調製するために所望により添加することができる、好ましい「他の」他の重合性のエチレン性不飽和モノマーは、例えば、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC-C-アルキルエーテル、メチルメタクリレートおよびブタジエンである。グラフトベースB.1.2として好ましいアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含有量を有するエマルションポリマーである。
【0105】
B.1.2に係る更に適当なグラフトベースは、グラフト活性部位を有するシリコーンゴムであり、例えばDE-OS3704657、同3704655、同3631540および同3631539に記載されている。
【0106】
グラフトポリマーB.1とグラフトベースB.1.2のゲル含有量は、25℃にて、適当な溶媒を用いて、これらの溶媒中の不溶性含量として測定される。(M.ホフマン、H.クルーマー、R.カーン著、ポリマー分析(Polymeranalytik)IおよびII、ゲオルグ・シーメ-バーグ、シュトゥットガルト、1977年)。
【0107】
成分B.2に係るゴムを含有しないビニル(コ)ポリマーは、好ましくは、ゴムを含有しないホモ−および/またはビニル芳香族、ビニルシアニド(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C〜C)-アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(例えば無水物およびイミド)からなる群からの少なくとも1種のモノマーのコポリマーである。
【0108】
特に適当な(コ)ポリマーB.2は、以下のものから構成されるものである:
B.2.1 ビニル芳香族、例えばスチレン、α-メチルスチレン、核上が置換されたビニル芳香族、例えばp-メチルスチレン、p-クロロスチレン、および(メタ)アクリル酸(C〜C)-アルキルエステル、例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレートなどからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー;いずれの場合も(コ)ポリマーB.2の総重量に基づき、50〜99重量%、好ましくは60〜80重量%、特に70〜80重量%、および、
B.2.2 シアン化ビニル、例えば不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸(C〜C)-アルキルエステル、例えば、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸の誘導体、例えば無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミドから成る群から選択される少なくとも1種のモノマー;いずれの場合も(コ)ポリマーB.2の総重量に基づき、1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、特に20〜30重量%。
【0109】
これらの(コ)ポリマーB.2は、樹脂性で、熱可塑性であり、ゴムを含有しない。B.2.1がスチレンで、B.2.2がアクリロニトリルであるコポリマーが特に好ましい。
【0110】
このような(コ)ポリマーB.2は、既知であり、フリーラジカル重合により、特に、乳化重合、懸濁重合、溶液重合または塊状重合により調製される。(コ)ポリマーは、好ましくは15000g/mol〜250000g/mol、好ましくは80000〜150000g/molの範囲内で、平均分子量M(重量平均、GPCによって測定)を有する。
【0111】
成分C
組成物は、成分Cとして商業的に入手可能なポリマー添加剤を含有できる。成分Cに係る商業的に入手可能なポリマー添加剤は、例えば、防炎剤(たとえば、リン化合物、例えばリン酸またはホスホン酸エステル、ホスホネートアミン(phosphonatamine)並びにホスファゼンまたはハロゲン化合物)、防炎協力剤(たとえば、ナノスケール金属酸化物)、発煙抑制添加剤(たとえば、ホウ酸またはホウ酸塩)、ドリップ抑制剤(例えば、フッ素化ポリオレフィン類、シリコーンの物質群からなる化合物、およびアラミド繊維)、内部および外部潤滑剤および離型剤(たとえば、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリールステアレート、モンタンワックスまたはポリエチレンワックス)、流動性補助剤(たとえば、低分子量ビニル(コ)ポリマー)、帯電防止剤(たとえば、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロックコポリマー、他のポリエーテルまたはポリヒドロキシエーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミドまたはスルホン酸塩)、導電性添加剤(たとえば、導電性カーボンブラックまたはカーボンナノチューブ)、核形成剤、安定剤(たとえば、UV/光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、エステル交換抑制剤、加水分解防止剤)、抗菌性添加剤(たとえば、銀または銀塩)、耐ひっかき性を改良する添加剤(たとえば、シリコンオイルまたは硬質充填剤たとえば、(中空)セラミック球)、IR吸収剤、光学的光沢剤、蛍光添加剤、充填剤および補強材料(たとえば、タルク、所望による粉末ガラスまたはカーボンファイバ、ガラスまたはセラミック(中空)粒子、マイカ、カオリン、CaCOおよびガラスフレーク)、染料および顔料(たとえば、カーボンブラック、二酸化チタンまたは酸化鉄)、塩基捕捉剤としてのブレンステッド酸およびB.1の分類に該当しない衝撃改質剤、および上述の複数の添加剤の混合物である。
【0112】
ポリウレタン
ポリウレタンフォームまたは圧縮ポリウレタン層は、コーティングとして好ましく使用される。
【0113】
本発明により使用されるポリウレタンは、ポリイソシアネートと、H活性多官能性化合物、好ましくはポリオールの反応により得られる。
【0114】
これに関連して、用語「ポリウレタン」は、N-H官能基を有するこれらの化合物(所望によりポリオールと混合される)がH活性多官能性化合物として使用されるポリウレタン-ウレアもまた意味するものと、本発明において理解される。
【0115】
適当なポリイソシアネートは、好ましくは2以上のNCO官能価を有し、当該技術分野における当業者にそれ自体既知である芳香族、アラリファティック、脂肪族または脂環式ポリイソシアネートであり、また、それはイミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ウレトジオン、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレア、オキサジアジントリオン、オキサゾリジノン、アシルウレアおよび/またはカルボジイミド構造を含有してもよい。これらは、単独で使用されてもよく、または、相互に所望の混合状態で使用されてもよい。
【0116】
これに関連して、上記ポリイソシアネートは、当該技術分野における当業者にそれ自体既知であるジ-およびトリイソシアネートに基づき、および脂肪族的、脂環式的、アラリファティック的および/または芳香族的に結合したイソシアネート基を有し、これらが、ホスゲンを用いて調製されるか、またはホスゲンを含まない方法で調製されるかどうかは、重要でない。このようなジ-およびトリイソシアネートは、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’-ジ-イソシアナトジシクロヘキシルメタン(Desmodur(登録商標) W、Bayer AG、レバークーゼン、ドイツ)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタン−ジイソシアネート(トリイソシアナトノナン、TIN)、ω,ω’−ジイソシアナト-1,3-ジメチルシクロヘキサン(HXDI)、1-イソシアナト-1-メチル-3-イソシアナトメチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-1-メチル-4-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、特に、2,4および2,6異性体および2つの異性体の工業銘柄の混合物、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、ポリマー性MDI(pMDI)、1,5-ジイソシアナトナフタレン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)および任意の所望の上記化合物の混合物である。
【0117】
これに関連して、ポリイソシアネートは、好ましくは2.0〜5.0の平均NCO官能価を有し、好ましくは2.2〜4.5、特に好ましくは2.2〜2.7であり、イソシアネート基の含有量は5.0〜37.0重量%、好ましくは14.0〜34.0重量%である。
【0118】
好ましい実施態様において、ポリイソシアネートまたは、専ら脂肪族的におよび/または脂環族的に結合したイソシアネート基を含有する上記種類のポリイソシアネート混合物が使用される。
【0119】
正に特に好ましくは、上記種類のポリイソシアネートは、ヘキサメチレン-ジイソシアネート、イソホロン-ジイソシアネート、異性体ビス-(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびそれらの混合物に基づくものである。
【0120】
より高分子量の変性ポリイソシアネートの間でも、400〜15000、好ましくは600〜12000の分子量範囲の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化学から既知のプレポリマーが、特に興味深い。これらの化合物は、例によって記載された種類の単一のポリイソシアネートの過剰量と、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも2つの基を有する有機化合物、特に有機ポリヒドロキシ化合物との反応により、それ自体既知の方法で調製される。このような適当なポリヒドロキシ化合物は、62〜599、好ましくは62〜200の分子量の単純な多官能アルコール、例えばエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロパン-1,2-ジオールまたはブタン1,4-ジオールあるいは、ブタン-2,3-ジオールなど、ならびに、少なくとも2つ、一般に2〜8、好ましくは2〜6の第1級および/または第2級ヒドロキシル基を有する600〜12000、好ましくは800〜4000の分子量を備えるポリウレタン化学から既知の、特により高い分子量のポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。例えば、例によって記載された種類の低分子量ポリイソシアネートから得られるNCOプレポリマー、およびイソシアネート基に対して反応性を示す基を有する若干好ましい化合物、例えばポリチオエーテルポリオール、ヒドロキシル基含有ポリアセタール、ポリヒドロキシ-ポリカーボネート、ヒドロキシル基含有ポリエステル-アミド、オレフィン性不飽和化合物性の、ヒドロキシル基含有コポリマーも、勿論使用できる。
【0121】
イソシアネート基に対して反応性である基(特にヒドロキシル)を有し、NCOプレポリマーの調製に適当な化合物は、例えば、US-A4218543に記載された化合物である。NCOプレポリマーの調製では、イソシアナト基と反応し得る基を有するこれらの化合物を、例によって上述した種類の単純なポリイソシアネートと反応させて、NCO過剰を保持する。NCOプレポリマーは、一般に、10〜26重量%、好ましくは15〜26重量%のNCO含量を有する。本発明に関し、「NCOプレポリマー」または「末端イソシアネート基を有するプレポリマー」は、反応生成物と、過剰量の未反応の出発ポリイソシアネートを含む混合物の両者を意味するものと解されると考えられ、これらは、しばしば、「セミ-プレポリマー」と呼ばれる。
【0122】
500mgKOH/gを超えるOH価を有し、入手できる脂肪族ジオールは、ポリウレタン化学で通常使用される鎖延長剤であり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、およびプロパン-1,3-ジオールである。ジオール、例えば、2-ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-2,3-ジオールおよび/または2-メチルプロパン-1,3-ジオールなどが好ましい。脂肪族ジオールを相互に混合させて使用することも当然可能である。
【0123】
適当なH-活性成分は、平均OH価5〜600mgKOH/gおよび平均官能価2〜6を有するポリオールである。平均OH価10〜50mgKOH/gを有するポリオールが好ましい。本発明に適当なポリオールは、例えば、ポリヒドロキシ-ポリエーテルであり、これは適当な出発分子、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ジヒドロキシブタン、1,6-ジヒドロキシへキサン、ジメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたはスクロースなどのアルコキシル化によって得られる。アンモニアまたはアミン、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、アニリンまたはアミノアルコールなど、あるいはフェノール(例えばビスフェノールA)も出発物質として同様に機能できる。アルコキシル化は、任意所望の順序または混合物として、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドを用いて行われる。
【0124】
ポリオールに加えて、アミンおよびアミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、イソホロンジアミン、N,N’-ジメチル(ジエチル)-エチレンジアミン、2-アミノ-2メチル(またはエチル)-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル(エチル)-1,3-プロパンジオールなど、およびアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ジヒドロキシブタン、1,6-ジヒドロキシヘキサン、ジメチロールプロパン、グリセロールおよびペンタエリスリトール、およびソルビトールならびにスクロース、あるいはこれらの化合物の混合物を含有する群から選択される、少なくとも1種の更なる架橋剤および/または鎖延長剤が更に存在してもよい。
【0125】
低分子量アルコールと多官能性カルボン酸、例えばアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸など、またはこれらの酸の無水物との反応によりそれ自体既知の方法で得ることが出来るポリエステルポリオールは、H-活性成分の粘度が高くなりすぎない限り、更に適当である。エステル基を含有する好ましいポリオールは、ヒマシ油である。さらに、樹脂、例えば、アルデヒドケトン樹脂の溶解によって得られる種類のヒマシ油を用いる配合物、ならびに、ヒマシ油、および他の天然油に基づくポリオールの変性も適当である。
【0126】
高分子量の付加重合体または重縮合体またはポリマーが微細分散した、溶解したまたはグラフト化した形態の高分子量のポリヒドロキシ-ポリエーテルも同様に適当である。このような変性ポリヒドロキシ化合物は、例えば、重付加反応(例えば、ポリイソシアネートとアミノ官能化合物との反応)または重縮合反応(例えば、ホルムアルデヒドおよびフェノールおよび/またはアミンの反応)を、ヒドロキシル基を含有する化合物中にてインサイチュで行うことができる場合に、それ自体既知の方法でそのような変性ポリヒドロキシル化合物が得られる。しかしながら、予め調製した水性ポリマー分散液とポリヒドロキシ化合物を混合させ、その後、混合物から水を取り除くことも可能である。
【0127】
ビニルモノマーにより変性されたポリヒドロキシ化合物、例えば、ポリエーテルまたはポリカーボネートポリオールの存在下スチレンおよびアクリロニトリルの重合により得られるものなども、ポリウレタンの調製に関して適当である。ビニルホスホン酸エステルと所望による(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドまたは、OH官能性(メタ)アクリル酸エステルとのグラフト重合により、DE-A2442101、DE-A2844922およびDE-A2646124に従い変性されるポリエーテルポリオールが使用される場合、際立った難燃性のプラスチックが得られる。
【0128】
H-活性な化合物として使用される前記化合物の代表は、例えば、ハイ・ポリマーズ(High Polymers)第XVi巻、「ポリウレタンズ・ケミストリー・アンド・テクノロジー(Polyurethanes Chemistry and Technology)」、サンダーズ−フィッシュ(編)インターサイエンス・パブリッシャーズ、ニューヨーク、ロンドン、第1巻、第32〜42、44、54頁、および第II巻、1984年、第5〜6頁および第198〜199頁に記載されている。
【0129】
前述の化合物の混合物も使用できる。
【0130】
H-活性な成分の平均OH値および平均官能価の限定は、特に得られるポリウレタンの増加する脆化をもたらす。しかしながら、ポリウレタンの物理的なポリマー特性に影響を及ぼす可能性は、原則として当業者において既知であるので、NCO成分、脂肪族ジオールおよびポリオールは、好ましい方法で相互に調整される。
【0131】
ポリウレタン層(b)は、発泡体であってもよく、または、ラッカー若しくはコーティングのように固体であってもよい。
【0132】
例えば、剥離剤、発泡剤、フィラー、触媒および難燃剤などのそれ自体が既知である添加剤および補助物質を、それらの調製に使用できる。
【0133】
これに関連して、所望により使用される補助物質および添加剤には、以下のものが含まれる:
a)水および/または発泡剤としての揮発性無機または有機物質。使用できる有機発泡剤は、例えば、アセトン、酢酸エチル、ハロゲン置換アルカン、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチリデン、塩化ビニリデン、モノフルロロトリクロロメタン、クロロジフルオロメタンおよびジクロロジフルオロメタンなど、および更に、ブタン、ヘキサン、ヘプタンまたはジエチルエーテル、および、可能な無機発泡剤は、空気、COまたはNOである。発泡作用は、室温以上の温度で解離して、例えば窒素などの気体を分離する化合物、例えばアゾ化合物(例えば、アゾジカルボキシアミドまたはアゾイソ酪酸ニトリルなど)の添加によってももたらすことができる。
【0134】
b)触媒
触媒は、例えば、
第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよびより高級同族体、1,4-ジアザビシクロ-(2,2,2)-オクタン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス-(ジメチルアミノアルキル)-ピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、ビス-(N,N-ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、単環及び二環式アミド、ビス-(ジアルキルアミノ)アルキルエーテル、アミド基(好ましくはホルムアミド基)含有三級アミンなど、2級アミン(例えばジメチルアミン)とアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)またはケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、もしくはシクロヘキサノン)とフェノール(例えばフェノール、ノニルフェノールもしくはビスフェノール)とのマンニッヒ塩基、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を含有する3級アミン(例えば、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン)、およびそれらと、アルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド)の反応生成物、第2級−第3級アミン、炭素−ケイ素結合を有するシランアミン、(2,2,4−トリメチル−2−シラモルホリンおよび1,3−ジエチルアミノメチルテトラメチルジシロキサン)、窒素含有塩基(例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)、アルカリ金属ヒドロキシド(例えば、水酸化ナトリウム)、アルカリ金属フェノラート(例えばナトリウムフェノラート)、アルカリ金属アルコラート(例えば、ナトリウムメチラート)、および/またはヘキサヒドロトリアジンである。
【0135】
NCO基とツェレビチノフ活性水素原子との反応もまた、ラクタムおよびアズラクタム(azlactams)により、それ自体既知の方法で多きく加速され、ラクタムと酸性水素を有する化合物間の結合が初めに形成される。
【0136】
有機金属化合物、特に有機スズおよび/またはビスマス化合物も触媒として使用できる。硫黄含有化合物に加えて、可能な有機スズ化合物は、例えば、ジ-n-オクチル-スズメルカプチド、好ましくはカルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキソエートおよびスズ(II)ラウレートなど、ならびにスズスズ(IV)化合物、例えば、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレアート、またはジオクチルスズジアセテートなどである。有機ビスマス触媒は、例えば特許出願WO2004/000905に記載されている。
【0137】
全ての上記触媒は、もちろん混合物として使用できる。これに関連して、有機金属化合物とアミジン、アミノピリジンまたはヒドラジノピリジンの組み合せから成る触媒が特に好ましい。
【0138】
一般に、触媒は、イソシアネートに対して反応性である少なくとも2つの水素原子を有する化合物の総量に基づき、0.001〜10重量%の量で使用される。
【0139】
c)界面活性添加剤、例えば乳化剤およびフォーム安定剤
可能な乳化剤は、例えば、ヒマシ油スルホネートのナトリウム塩、またはアミンと脂肪酸の塩、例えばジエチルアミンオレイン酸塩、またはジエタノールアミンステアリン酸塩などである。スルホン酸のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸またはジナフチルメタンジスルホン酸の該塩、あるいは、脂肪酸、例えばリシノール酸の該塩、または、高分子脂肪酸の該塩も、界面活性添加剤として共に使用できる。
【0140】
可能なフォーム安定剤は、上記全ての、ポリエーテル-シロキサン、具体的には、水溶性の典型的なものである。一般に、これらの化合物は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーがポリジメチルシロキサン基へ結合する様に構成される。アロファネート基を介して分岐したポリシロキサン/ポリオキシアルキレンコポリマーは、特に興味深い場合が多い。
【0141】
d)反応遅延剤
可能な反応遅延剤は、例えば酸反応物質(例えば、塩酸または有機酸ハロゲン化物など)である。
【0142】
e)添加剤
可能なPU添加剤は、例えば、それ自体既知の種類のセル調節剤(例えばパラフィンまたは脂肪アルコール)またはジメチルポリシロキサンおよび顔料または染料、および
それ自体既知の種類の防炎剤(例えば、トリスクロロエチルホスフェート、トリクレジルホスフェートまたはアンモニウムホスフェートおよびポリホスフェート)、および老化と風化の影響に対する更なる安定剤、可塑剤、および抗菌と殺菌活性物質、ならびに充填材(例えば、硫酸バリウム、珪藻土、カーボンブラックまたは調製したチョークなど)である。
【0143】
本発明において所望により使用される界面活性添加剤およびフォーム安定剤、ならびにセル調節剤、反応遅延剤、安定剤、難燃性物質、可塑剤、染料および充填材ならびに抗菌と殺菌活性物質の更なる例は、当該技術分野における当業者に既知であり、文献において記載されている。
【実施例】
【0144】
ポリカーボネート組成物
成分A
成分A-1
28000g/モルの重量平均分子量Mを有するビスフェノールAに基づく直鎖状のポリカーボネート
成分B
成分B-1
アクリロニトリル:ブタジエン:スチレンの重量比が20:18:62重量部であるABSポリマー
成分B-2
アクリロニトリル:ブタジエン:スチレンの重量比が20:26:54重量部であるABSポリマー
成分C
C-1:潤滑/離型剤としてのペンタエリスリトールテトラステアレート(PETS)
C-2:Irganox(登録商標)B900:80重量%のIrgafos(登録商標)168(トリス-(2,4-ジ-tert-ブチル)フェニル亜リン酸塩)と20重量%のIrganox(登録商標)1076(オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)の混合物(BASF、ドイツ)
C-3:Irganox(登録商標)1076(オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(BASF、ドイツ)
C4:顔料としてのカーボンブラック
【0145】
反応性ポリウレタン原料混合物
95の特性数を有する、Bayflex(登録商標)VP.PU 47IF01A(ポリオール成分)およびDesmodur(登録商標)VP.PU48IF30(ジイソシアネート成分)の混合物(いずれもバイエルマテリアルサイエンスAG社、レバークーヘン、ドイツ)は、ポリウレタンコーティング系として使用された。
【0146】
Bayflex(登録商標)VP.PU 47IF01Aは、長鎖ポリエーテルに基づくポリオールであり、およびエタンジオール、ジエタノールアミン、イソホロンジアミンを含有し、20℃にて1600mPa.sのDIN53019に従う粘度、20℃にて1.04g/cmのDIN51757に従う密度、および166mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0147】
Desmodur(登録商標)VP.PU48IF30は、イソホロン-ジイソシアネートに(IPDI)に基づく脂肪族イソシアネートであり、30.5重量%のDIN EN ISO11909に従うNCO含量と、200mPa・sのDIN EN ISO3219/A.3に従う23℃での粘度と、1.1g/cmのDIN EN ISO2811に従う20℃での密度を有する。
【0148】
ポリカーボネート成形材料の調製と特性評価
表1に記載した出発物質を、220rpmの回転速度および260〜280℃の範囲の溶融温度にて20kg/hの処理量で、2軸押出機(ZSK-25)(Werner und Pfleiderer)で配合し、次いで、化合物の融成物を冷却および固化する後、化合物を粒状化する。
【0149】
特定の配合から得られる細粒は、260℃の溶融温度および80℃の型温度にて、射出成形機(Arburg)により加工され、80mm×10mm×4mmの寸法の試験片をもたらす。
【0150】
他に記載のない限り、本明細書において記載される値は、以下の方法により定義される。
【0151】
成形組成物の延性は、23℃および-30℃にて、ISO 180-1Aに従いこれらの試験片について測定したノッチ付き衝撃強度値aを用いて評価される。
【0152】
加熱歪み温度は、ISO306に従いこれらの試験片について測定したビカットB120値を用いて評価される。
【0153】
融成物の流動性は、ISO11443に従い、260℃にておよび1000s-1のせん断速度で測定した溶融粘度を用いて評価した。
【0154】
ポリカーボネート組成物製の基体とポリウレタンスキンとの間の接着結合は、100mm/分の試験速度にてDIN 53357に従うローラー剥離試験によって、このような方法で製造したPU−被覆2成分複合材シートを部分的に切り出された20mmの幅を有する試験片を用いて測定した。
【0155】
複合材料部材の製造
412cmの投影面積を備える表面を部分的に被覆した成型物を、2つのキャビティ(RIMユニットと接続されたポリウレタン側コーティングキャビティと基体側キャビティ)を備える射出成形型を用いて、射出成形機で製造した。複合材料部材は、熱可塑性物質(支持体)から構成されるシート状要素であり、その表面はポリウレタンスキンで部分的に被覆されている。支持体成型物の壁厚は、約4mmである。ポリウレタン層の厚さは、同様に4mmである。
【0156】
実施例において記載された本発明に係る複合材料部材の製造に関する本発明による方法は、良好な説明である図1に示される。
【0157】
第1工程段階において、支持体成型物を製造した。これに関して、表1に記載されるような組成物の熱可塑性細粒を、射出成形シリンダー中で溶解させ、融成物を、密閉型の第1型キャビティ内へ270℃の温度にて射出させた(図1における工程1および2)。型キャビティを80℃の温度にて温度制御した。支持体の固化をもたらす、保持圧力時間と冷却時間の終端に、第2工程段階で型を開放した(図1における工程3)。製造された支持体成分は、射出成形型の突出側上に保持され、金型コアを備える支持体位置(図1における工程3)から、滑走してコーティング位置(図1における工程4)へ移動した。その後、射出金型を再び閉鎖し(図1における工程5)、最大でも200barの圧力の密閉力を施し、第3工程段階において、溶媒を含有しない反応性ポリウレタン系(上記参照)を、約30bar(図1における工程6)の圧力の下、コーティングキャビティ内へ注入した。ポリウレタンコーティング系の2つの反応性成分は、RIMユニットにより、高圧逆流ミキシングヘッド内へ搬送され、注入される前にここで混合された。PU側のキャビティは、80℃の温度にて温度制御された。注入の終端にて、コーティング材料が逆流することを防ぐために、最初のうちは50barの圧力下、油圧シリンダーを用いて、ポリウレタンミキシングヘッドの注入ノズルを塞いだ。反応および冷却時間の終端では、第4の工程段階において、型を再び開放し(図1における工程7)、次いでコーティングされた成型物を型から取り出した(図1における工程8)。
【0158】
表1は、複合材料部材の層間接着に与える支持体組成物の影響を示す。驚くべきことに、実施例は、PUスキンに対する支持体の接着性において、AおよびBの合計に基づく、組成物のゴム含量[R]と、成分B中のゴム含量[R]が増加することにより、好ましい影響を示す。
【0159】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のa)およびb)を具備する複合材料部材であって、
a)以下のA)〜C)を含有する熱可塑性組成物を含有する支持体、
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[A]の含有量は20.0〜85.0重量部である、
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[B]の含有量は15.0〜80.0重量部であり、成分Bに基づき、少なくとも25.0重量部のゴム含量[R]を有し、
および、
C)少なくとも1種のポリマー添加剤;成分A〜Cの合計に基づき、[C]の含有量は0〜30.0重量部である、および、
b)少なくとも1種のポリウレタン層、
ただし、該熱可塑性組成物は、成分AおよびBの合計に基づき、少なくとも12重量部の総ゴム含量を有することを特徴とする、該複合材料部材。
【請求項2】
以下のa)およびb)を具備する複合材料部材であって、
a)以下のA)〜C)を含有する熱可塑性組成物からなる支持体、
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[A]の含有量は20.0〜85.0重量部であり、
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、[B]の含有量は15.0〜80.0重量部であり、成分Bに基づき、少なくとも25.0重量部のゴム含量[R]を有し、
および、
C)少なくとも1種のポリマー添加剤;成分A〜Cの合計に基づき、[C]の含有量は0〜30.0重量部である、ならびに、
b)少なくとも1種のポリウレタン層、
ただし、該熱可塑性組成物は、
比率Q=[B]/[R]が<2であり、および
成分AおよびBの合計に基づく、ゴム含量[R]=[R]・[B]/100が少なくとも12重量部であることを特徴とする、複合材料部材。
【請求項3】
支持体の熱可塑性組成物が以下のA)およびB)を含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1つに記載の複合材料部材:
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、30.0〜64.9重量部、および
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、35.1〜70.0重量部。
【請求項4】
支持体の熱可塑性組成物が以下のA)およびB)を含有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1つに記載の複合材料部材:
A)芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネートおよび芳香族ポリエステルから成る群から選択される少なくとも1種のポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、40.0〜64.9重量部、
B)少なくとも1種のゴム変性ビニル(コ)ポリマー;成分Aおよび成分Bの合計に基づき、35.1〜60重量部。
【請求項5】
比率Qが1.7未満であり、特に1.5未満であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載の複合材料部材。
【請求項6】
少なくとも1種の芳香族ポリカーボネートおよび/またはポリエステルカーボネートおよび少なくとも1種の芳香族ポリエステルの混合物が成分Aとして使用されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の複合材料部材。
【請求項7】
−少なくとも1種のポリイソシアネート成分、
−少なくとも1種の多官能性のH-活性化合物、および
−所望による少なくとも1種のポリウレタン添加剤および/または反応補助物質、
を含有する反応性ポリウレタン原料混合物を、
熱可塑性組成物から予め形成して固化させた支持体に直接接触させて、完全に重合させることにより、ポリウレタン層が製造されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の複合材料部材。
【請求項8】
−少なくとも1種のポリイソシアネート成分、
−少なくとも1種の多官能性のH-活性化合物、および
−所望による少なくとも1種のポリウレタン添加剤および/または反応補助物質
を含有する反応性ポリウレタン原料混合物を、
片側に、熱可塑性組成物から予め形成して固化させた支持体と直接接触させ、
他方に、所望によりポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリウレタン噴霧スキンを含有する装飾スキンと直接接触させて、完全に重合させることにより、ポリウレタン層が製造されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の複合材料部材。
【請求項9】
反応性ポリウレタン原料混合物が、80より大きく125よりも小さい特性数を有することを特徴とする、請求項7または8に記載の複合材料部材。
【請求項10】
成分Cが、以下のものからなる群の少なくとも1種の代表例から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の複合材料部材:
防炎剤、防炎協力剤、発煙抑制添加剤、ドリップ抑制剤、内部および外部潤滑剤および離型剤、流動性補助剤、帯電防止剤、導電性添加剤、核形成剤、安定剤、抗菌性添加剤、耐ひっかき性を改良する添加剤、IR吸収剤、光学的光沢剤、蛍光添加剤、充填剤および補強材料、染料および顔料、ブレンステッド酸化合物およびB.1の分類に該当しない衝撃改質剤。
【請求項11】
以下の工程を含む方法により製造される、請求項1から10のいずれか1つに記載の複合材料部材:
(i)第1工程段階において、熱可塑性組成物の融成物を第1の型キャビティ内へ注入し、その後冷却させ、
(ii)第2工程段階において、射出成形型のキャビティを拡張して、それにより間隙を形成し、
(iii)第3工程段階において、
−少なくとも1種のポリイソシアネート成分、
−少なくとも1種の多官能性のH-活性化合物、および
−所望による少なくとも1種のポリウレタン添加剤および/または反応補助物質、
を含有する反応性ポリウレタン原料混合物を、熱可塑性成分と該拡張したキャビティの該型表面との間の、このような方法で生じた該間隙内へ注入し、該ポリウレタン原料混合物を、該熱可塑性支持体の表面と直接接触させて完全に重合させ、圧縮ポリウレタン層またはポリウレタンフォーム層をもたらし、
(iv)第4工程段階において、複合材料部材を該型キャビティから取り出す、
ただし、工程段階(i)〜(iv)は、相互に直接的に続く。
【請求項12】
以下の工程を特徴とする、請求項1から11のいずれか1つに記載の複合材料部材の製造方法:
(i)第1工程段階において、熱可塑性組成物の融成物を第1の型キャビティ内へ注入し、その後冷却させ、
(ii)第2工程段階において、射出成形型のキャビティを拡張して、それにより間隙を形成し、
(iii)第3工程段階において、
−少なくとも1種のポリイソシアネート成分、
−少なくとも1種の多官能性のH-活性化合物、および
−所望による少なくとも1種のポリウレタン添加剤および/または反応補助物質
を含有する反応性ポリウレタン原料混合物を、該熱可塑性成分と該拡張したキャビティの該型表面との間の、このような方法で生じた該間隙内へ注入し、該ポリウレタン原料混合物を、該熱可塑性支持体の表面に直接接触させて完全に重合させ、圧縮ポリウレタン層またはポリウレタンフォーム層をもたらし、
(iv)第4工程段階において、複合材料部材を該型キャビティから取り出す、
ただし、工程段階(i)〜(iv)は、相互に直接的に続く。
【請求項13】
工程段階(iii)において、熱可塑性組成物と接触する射出成形型の表面が、50〜95℃の範囲の温度で温度制御され、反応性ポリウレタン混合物と接触する射出成形型の表面が50〜160℃の範囲で温度制御されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
トラック、飛行機または自動車の内装または外装部品としての、請求項1から11のいずれか1つに記載の複合材料部材の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2013−512805(P2013−512805A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542529(P2012−542529)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069119
【国際公開番号】WO2011/070044
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】