説明

ポリマーとカーボンナノチューブに基づく複合材料の製造方法、この方法によって製造された複合材料及びその使用

【課題】 本願発明の目的は、有機ポリマー若しくは有機プラスチックとカーボンナノチューブを含む複合材料を製造する方法を提供することにある。
【解決手段】 本願発明は、少なくとも1つのポリマーとカーボンナノチューブとに基づいて複合材料を製造する方法であって、(a)連続相、好ましくは液相のカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を提供すること、特に連続相、好ましくは液相に、特に分散媒体若しくは分散剤に、分散し若しくは溶解するカーボンナノチューブを提供すること;(b)段階(a)において製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を、特に混合された少なくとも1つのポリマーの溶融物に、均質化、特に混合で、且つ、連続液相の排除によって導入すること;それから、(c)段階(b)で取得された溶融ポリマーとカーボンナノチューブの混合物を、少なくとも1つのポリマーとカーボンナノチューブを含む複合材料を形成するために、前記ポリマーが凝固するまで冷却すること;からなる方法であり、該方法によって製造された複合材料であり、該複合材料の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、少なくとも1つのポリマーと、カーボンナノチューブに基づく複合材料の製造方法、この方法によって得られた複合材料、及びその複合材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNTs)は、カーボンから製造された顕微鏡でしか見えない管状構造(いわゆる分子ナノチューブ)である。それらの壁部は、実質的にフラーレン若しくはグラファイトの層と類似する炭素から形成され、前記炭素原子は、六角形とそれぞれの場合に3つの結合パートナーとを有するハニカム構造を採用し、この構造は、炭素原子のsp混成によって製造される。
【0003】
カーボンナノチューブは、グラファイトの炭素層から形成され、いわゆるチューブ状に巻かれる。この炭素原子は、それぞれの場合に、3つの結合パートナーを有するハニカム状の六角形構造を形成する。完全な六角形構造を有するチューブは、均一の厚さを有し、線形であるが、五角形の炭素リングを有するねじれ若しくは狭小のチューブも可能である。ハニカムネットのグラファイトがどのようにチューブ状に(「まっすぐに」若しくは「対角線状に」)巻かれるかによって、鏡面対照でない、いわゆるキラル構造である螺旋構造(言い換えると、コルクスクリュー状に巻かれた構造)が製造される。
【0004】
区別は、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs若しくはSWNTs)か多層カーボンナノチューブ(MWCNTs若しくはMWNTs)かであり、開カーボンナノチューブか閉カーボンナノチューブ(いわゆる「キャップ」を有するか、例えばフラーレン構造の断面を有する)かであり、及び空カーボンナノチューブか(例えば銀、液体鉛、希ガスで充填された)充填カーボンナノチューブかである。
【0005】
カーボンナノチューブの直径は、数nm(例えば1〜50nm)の範囲内であるが、単に0.4nmのチューブ径を有するカーボンナノチューブもすでに製造されている。個々のチューブの数μmから数mmの長さ及びチューブ束について数cmまでの長さがすでに達成されている。
【0006】
従来技術によれば、カーボンナノチューブは、例えば3〜100nmの間の直径と、直径の数倍の長さを有する円筒状の炭素チューブであると理解される。これらのチューブは、整列した炭素現地の単又は多層からなり、形態に関して異なるコアを有する。これらのカーボンナノチューブは、例えば「炭素繊維」、「中空炭素繊維」等の同義語として知られている。
【0007】
カーボンナノチューブは、技術文書において長く知られている。イイジマ(S.イイジマ、ネイチャー 354、 56−58 1991)が一般的にナノチューブの発見家として参照される。これらの材料は、特に複数のグラファイト層を有する繊維状グラファイト材料は、1970年代及び1980年代初頭以来公知である。テイト及びベイカー(GB1469930A1及びEP0056004A2参照)は、炭化水素の触媒分解から非常に微細な繊維状炭素を分離することを最初に記載した。しかしながら、短鎖炭化水素に基づいて製造された炭素フィラメントは、それらの直径に関して詳細に特徴づけられていない。
【0008】
これらのカーボンナノチューブの通常の構造は、特に円筒形のものである。先に記載したように、特に円筒形の場合、区別は、単層カーボンナノチューブか、多層カーボンナノチューブかである。それらの製造に関する通常の方法の例は、アーク放電法、レーザ切断法、気相からの化学析出(CVD法)及び気相からの触媒化学析出(CCVD法)を含むものである。
【0009】
アーク放電法による炭素チューブの形成は、イイジマ、ネイチャー354,1991、56−8から知られている。これらの炭素チューブは、2つ又はそれ以上のグラファイト層からなり、境目のない円筒を形成するために巻き上げられ、お互いの内部で入れ子状にされる。炭素繊維の長手方向に関して炭素原子のキラル及びアキラル配置は、巻き上げベクトルに関係なく可能である。
【0010】
ナノチューブの構造の基礎である単凝集グラフェン層(「スクロール型」)若しくは断続グラフェン層(「タマネギ(構造)型」)を有する炭素チューブの構造はベイコン他、J. Appl. phys. 34, 1960, 283-90によって最初に記載された。対応する構造も、ゾウ他、科学、263, 1994, 1744-47及びラビン他、カーボン 40, 2002, 1123-30によって、後に発見された。
【0011】
カーボンナノチューブは、市販されており、いろいろな製造者によって提供されている(例えば、Bayer MaterialScience AG, ドイツ, CNT Co. Ltd, 中国, Cheap Tubes Inc., アメリカ合衆国,及びNanocyl S. A. ベルギー)。当業者には対応する製造方法にはなじみがあるはずである。例えば、カーボンナノチューブは、レーザ腐食(「蒸発」)によるグラファイトから開始し、例えば炭素電極間のアーク放電によって製造され、又は、炭化水素の触媒分解(化学的蒸着若しくは短期間のCVD)によって製造されるものである。
【0012】
その構造の詳細によれば、カーボンナノチューブ内の導電性は、金属又は半導体である。また、カーボンナノチューブは、低温で超伝導であることで知られている。
【0013】
トランジスタ及び簡単な回路は、半導体カーボンナノチューブを使用してすでに製造されている。選択的な方法においていろいろなカーボンナノチューブから複雑な回路を製造することも試されている。
【0014】
カーボンナノチューブの力学的性質は、カーボンナノチューブが、少なくとも7.8g/cm3の密度で単に約2MPaの最大引っ張り強さを有する鋼と比較して、例えば1.3〜1.4g/cm3の密度で数メガパスカルの大きな引っ張り強さを有し、そこから、それぞれのカーボンナノチューブが、鋼の場合よりも少なくとも135倍の引っ張り強さ比率を有することに優れている。
【0015】
とりわけ、通過容量、電気伝導性及び熱伝導性は、電子工学分野において関心が持たれている。通電容量は、銅線の1000倍以上であると評価されると共に、室温での熱伝導性は、ダイヤモンドの少なくとも2倍である。カーボンナノチューブが半導体であることもできるので、それらは、高い電圧及び温度に耐え、シリコントランジスタと比較してより高いクロック周波数に耐える優れたトランジスタを製造するために使用される。機能的トランジスタはすでにカーボンナノチューブから製造されている。さらに不揮発性メモリが、カーボンナノチューブを使用して製造される。カーボンナノチューブも、計測学の分野(例えば走査型トンネル顕微鏡)に使用される。
【0016】
それらの力学的及び電気的性質によって、カーボンナノチューブは、プラスチックにおいても使用される。例えば、これによって、プラスチックの力学的性質が、著しく改善される。この方法において、導電性プラスチックを製造することも可能である。
【0017】
上述されたカーボンナノチューブの性質及びその結果として使用についての成長の可能性は、大きな利益をもたらすものである。
【0018】
応用範囲に関して、特に、カーボンナノチューブとプラスチック若しくは有機ポリマーとの結合による「複合材料」の形でカーボンナノチューブを提供することが必要である。
【0019】
このように、プラスチック又は有機ポリマーとカーボンナノチューブに基づく複合材料を製造するための従来技術における試みの不足がある。
【0020】
WO2008/041965A2は、少なくとも1つの有機ポリマーとカーボンナノチューブとを含有するポリマー複合材料に関するもので、当該複合材料が、均質化で、ポリマーの溶解物に、カーボンナノチューブを導入することによって製造される。しかしながら、低い充填比率だけがこの方法において達成されるので、十分な電気的性質、特に表面及び体積抵抗が得られない。さらに、前記混合物は、不十分に均質化されるので、相対的に不均質な材料が得られる。
【0021】
同様に、WO2008/047022A1は、サーモプラスチックポリマーとカーボンナノチューブに基づく複合材料に関するもので、これらの複合材料が、カーボンナノチューブを、例えば射出成形若しくは押出成形によってポリマー溶解物に導入して製造されるもので、上述した不具合を伴うものである。
【0022】
C.-L. Yin他、「MBCNT水性懸濁液にiPP溶解物を配合することによって調合されたiPP/MWCNTの結晶化及び形態」Colloid. Polym. Sci., 2009は、水性懸濁液の形のイソタクチックポリプロピレンと多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)の複合を記載しており、得られた充填比率が大変低いことだけが記載され、さらに結果としての材料の電気的性質について記載されていない。
【0023】
A. P. Kumur et al.,「ポリマー分解及び安定化のためのナノスケール粒子−トランス及び将来展望」, Progress in Polymer Science 34 (2009), 479 - 515は、全ての種類のポリマーとナノ粒子に基づいたナノ複合材料を記載する。しかしながら、その記事は、ポリマーとカーボンナノチューブとの複合材料の問題点について特に対応していない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】S. Iijima Nature 354, 56-58, 1991
【非特許文献2】Bacon et al., J. Appl. Phys. 34, 1960, 283-90
【非特許文献3】Zhou et al., Science, 263,1994, 1744-47
【非特許文献4】Lavin et al., Carbon 40, 2002, 1123-30
【非特許文献5】C.-L, Yin et al., 「MBCNT水性懸濁液に溶解したiPPを配合することによって調合されたiPP/MWCNTの結晶化及び形態」Colloid. Polym. Sci., 2009
【非特許文献6】A. P. Kumur et al.,「ポリマー分解及び安定化のためのナノスケール粒子−トランス及び将来展望」, Progress in Polymer Science 34 (2009), 479 - 515
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】GB 1 469 930 A1
【特許文献2】EP 0 056 004 A2
【特許文献3】WO2008/041965A2
【特許文献4】WO2008/047022A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
要約すれば、有機ポリマーとカーボンナノチューブに基づく複合材料の製造は、従来技術において十分に解決されていなかった。特に結果として生じる複合材料は、不十分な充填比率を有し、高い不均等性で結合され、不十分な電気的力学的性質を有するものである。
【0027】
そのため、本願発明の目的は、ポリマー若しくはプラスチックと、カーボンナノチューブ(CNTs)に基づく複合材料を製造する方法を提供し、さらに対応する複合材料を提供することであり、特に従来技術で生じる上述した不具合を避けること、少なくともその一部を避けること、又は少なくともそれを抑制することである。
【0028】
特に、本願発明の目的は、有機ポリマー若しくは有機プラスチックとカーボンナノチューブを含む複合材料を製造する方法を提供することであり、その方法が従来技術と比較してより再生可能であり、カーボンナノチューブのより高い充填比率及び/若しくは改善された均質性を達成することができるものである。
【0029】
さらに、本願発明の目的は、有機ポリマー若しくは有機プラスチックと、カーボンナノチューブに基づく上述したタイプの複合材料を提供することであり、特にカーボンナノチューブの向上した充填比率且つ/又は改善された均質性且つ/又は改善された力学的及び/若しくは電気的特性を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上述された課題を解決するために、本願発明は、請求項1による方法を提案する。尚、請求項1に従属する方法に係る請求項は、さらに本願発明に係る方法の利益的な特徴に関するものである。
【0031】
本願発明はさらに、複合材料に従属する対応する請求項において記載され限定されるように、本願発明に係る方法によって得られる複合材料に関するものである。尚、それぞれの従属する請求項は、本願発明に係る複合材料の利益的な具体例に関するものである。
【0032】
さらにまた、本願発明は、対応する使用に関する請求項に記載され限定されるように、本願発明に係る方法によって得られる複合材料の使用に関するものである。
【0033】
本願発明の1つの様相に関連してだけに記載された形態及び具体例が、これが明確に述べられることがなくても、本願発明の他の様相に適用できることは明かである。
【0034】
注目すべきことは、構成成分、原料、添加物若しくは構成物質の含有物を有するそれらの合計が、100%まで若しくは100重量%まで付加されるという方法によって、以下に示される全ての関連する量及び百分率、特に重量に基づく量は、及本願発明に係る組成の範囲内で、当業者によって選択され結合されることである。しかしながら、これは、当業者には明確である。
【0035】
さらに、当業者は、本願発明の範囲から逸脱することなしに、下記に開示される値、量及び範囲から離れることもできる。
【0036】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、少なくとも1つのポリマーとカーボンナノチューブに基づく複合材料を製造する方法に関するものであり、該方法は、下記するステップを含むものである。
(a) 連続相好ましくは液相に、カーボンナノチューブを分散若しくは溶解すること、又は、連続相好ましくは液相に、特に分散媒体若しくは溶媒にカーボンナノチューブを分散し若しくは溶解すること;
(b) 均質性を有する少なくとも1つのポリマーの溶解物に、前記ステップ(a)で製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を、連続液相の除去によって導入すること;
(c) 前記ポリマーが少なくとも1つのポリマーとカーボンナノチューブを含有する複合材料を形成するために凝固するまで、前記ステップ(b)で得られた溶融ポリマーとカーボンナノチューブの混合物を冷却すること。
【0037】
出願人は、少なくとも1つの有機ポリマー若しくは有機プラスチックとカーボンナノチューブを含有する複合材料が、上述した方法によって効率的に製造されることを見出した。
【0038】
本願発明に係る方法は、前記カーボンナノチューブが、集合体形状でポリマーの溶解物に導入されるのではなく、希釈形状(いわゆる分散若しくは溶解の形)で導入されるので、有機ポリマー若しくは有機プラスチックにおけるカーボンナノチューブの分散に関して良好な均質性を達成することが可能となるものである。また、本願発明に係る方法は、カーボンナノチューブの相対的に高い充填比率を達成するので、取得された複合材料の改善された電気的性質、特に表面及び立体抵抗を達成することが可能となるものである。上述した均質性、特に均等な分散によって、曲げ強度、衝撃強度及び他の強度のような結果として生じた複合材料の改善された力学的性質が得られるものである。さらにまた、本願発明に係る方法は、実質的に制限のない数のポリマー及びプラスチックに広く適用することができるものである。
【0039】
本願発明にしたがって使用されるポリマーは、一般的にサーモプラスチックポリマーである。特に本願発明に従って使用されるポリマーは、ポリアミド、ポリアセテート、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルファイド、ポリビニルクロライド、ポリエーテルイミド、ポルテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリラクテート及びそれらの混合物並びにコポリマーの群から選択されるものである。
【0040】
本願発明にしたがって使用されるポリマーは、熱可塑性ポリマーから選択され、好ましくはポリアミド;ポリオレフィン、特にポリエチレン及び/若しくはポリプロピレン;ポリエチレンテレフタラート(PETs)及びポリウレタンテレフタラート(PBTs);サーモプラスチックエラストマー(TPEs)、特にオレフィンベースサーモプラスチックエラストマー(TPE−Os若しくはTPOs)、架橋オレフィンベースサーモプラスチックエラストマー(TPE−Vs若しくはTPVs)、ウレタンベースサーモプラスチックエラストマー(TPE−Us若しくはTPUs)、サーモプラスチックコポリエステル(TPE−Es若しくはTPCs)、サーモプラスチックスチレンブロックコポリマー(TPE−S若しくはTPS)、サーモプラスチックコポリアミド(TPE−As若しくはTPAs);サーモプラスチックアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS);ポリラクテート(PLAs);ポリメチル(メス)アクリレート(PMAs若しくはPMMAs);ポリフェニレンスルファイド(PPS);及びそれらの混合物並びにコポリマーの群から選択されることが好ましい。
【0041】
連続相、特に液相におけるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、従来技術から当業者には本質的に知られている。これについて、例えば下記する公報が参照され、それらの全体的に関連した開示が参照により組み込まれる:EP1359121A2、JP2005−089738A, JP2007−169120A,WO2008/058589A2及び対応するドイツの同等の(特許関連書類)DE102006055106A1、FR2899573A1及びUS2008/0076837A1。
【0042】
カーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、エネルギー入力によって、特に圧力の付与及び/若しくは超音波の入力で、ステップ(a)において製造される。
【0043】
前記分散若しくは溶解は、圧力の入力で、特に高せん断分散によって、若しくは摩耗によって、液相に混合によってステップ(a)において製造される。尚、詳細は以下に記載される。さらに、前記分散若しくは溶解は、超音波入力でステップ(a)において製造される。
【0044】
もしステップ(a)において実行されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解が、磨砕製粉機において、超音波入力で、特にエネルギー入力で、さらに固形カーボンナノチューブの5,000〜50,000kWh/tの範囲内、好ましくは固形カーボンナノチューブの5,000〜20,000kWh/tの範囲内の粉砕エネルギーの入力で実行されるならば、本願発明の範囲内で有益であることが証明された。この種の装置は、たとえばHosokawa alpina AG、Augsburg、ドイツによって提供される。しかしながら、これに代わって、ステップ(a)において実行されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、高せん断分散によって達成できるものである。上述した分散及び溶解技術は、大変短い時間で、固形カーボンナノチューブの最大含有量を達成することができるものである。
【0045】
もし前記ステップ(a)で実行されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解が、先に述べられた方法において高いエネルギー入力で実行されるならば、良好な最終製造物が得られ、特に本願発明に係る複合材料は、優れた電気伝導性を有すると同時に、優れた力学的荷重負担能力に対して良好であるように、優れた力学的性質に対して良好である。
【0046】
もし前記ステップ(a)において実行されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解が、結果として生じる分散若しくは溶解がカーボンナノチューブの低い粒子サイズ若しくは凝集サイズを有するように実行されるならば、良好な結果、特に優れた電気伝導性に対して良好であると同時に優れた力学的性質に対して良好である本願発明に係る複合材料が得られるものであり、d90値(たとえばレーザ回折による測定)として、100μmまで、好ましくは50μmまで、より好ましくは20μmまで、最も好ましくは10μmまで、さらには5μmまでのカーボンナノチューブの粒子若しくは凝集サイズが使用されるか得られるものである。
【0047】
もし、結果として生じた分散若しくは溶解がカーボンナノチューブの低い粒子サイズ若しくは凝集サイズを有するならば、これは、それに続く混入の間に、前記ステップ(b)によるポリマー溶解物へ導き、良好な分散若しくは均質性、言い換えるとポリマーへのカーボンナノチューブの良好で均質な分散を導き、そのため、最終製造物、言い換えると本願発明に係る複合材料において達成されるものであり、ステップ(a)においてカーボンナノチューブの先の分解若しくは先の溶解の結果として、上述されたように、特に微細なカーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解を有する。従来技術と比較して、特に塊形状若しくは凝集形状(いわゆる従来の分散なしに)において、より低いカーボンナノチューブ濃度及びカーボンナノチューブ荷重係数でより良い電気伝導性が達成される。また、導入されたカーボンナノチューブの微細なナノ粒子形状の結果として、改善された力学的性質が得られる。ポリマーに混入されたカーボンナノチューブは、十分に微細であり、通常の充填剤効果を達成できない程度に小さいものである。特に、ステップ(a)によるカーボンナノチューブの非凝集が、複合がステップ(b)において、好ましくは磨砕製粉機において実行される前に生じるので、良好な分散は本願発明によって達成され、カーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解の「唯一の」均質性及び微細な分散若しくは混入が、ステップ(b)において実行されるか実践されなければならない。
【0048】
ステップ(a)において、カーボンナノチューブは、一般的にそれぞれの場合で結果として生じる分散若しくは溶解に基づいて、0.001〜30重量%、特に、0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.01〜10重量%の濃度において使用される。
【0049】
本願発明の範囲内において、分散若しくは溶解が、カーボンナノチューブを少しずつ若しくは数回に分けて連続液相に付加することによってステップ(a)において製造される場合に、利益的であることが証明された。それぞれの回は、等しいか異なる量のカーボンナノチューブを含んでも良いものである。このアプローチは、カーボンナノチューブの改善された混入が達成されるという利点を有し、結果として生じる分散若しくは溶解の粘度の超過中間上昇が避けられ、著しく取り扱いを容易にするものである。
【0050】
ステップ(a)において、分散若しくは溶解工程は、少なくとも1つの添加剤、特に少なくとも1つの分散若しくは溶解添加剤の存在で実行される。この種の添加剤の例としては、分散剤、特に湿潤剤若しくは界面活性剤、消泡剤、安定剤、pH調整剤、レオロジー調整剤若しくはレオロジー添加剤、並びに親和性を改善する添加剤等であり、さらに上述したものの混合物である。
【0051】
本願発明の1つの実施形態によれば、前記ステップ(a)は、少なくとも1つの分散剤の存在において実行される。これは多くの利点を有する。一方で、カーボンナノチューブの分散若しくは溶解作用は、より高い濃度とより短い分散若しくは溶解時間に関して十分に改善されるものである。分散若しくは溶解の両方及びそれに続いて製造された複合材料の均質性は、これに関する特別な理論に関係することを要求することなしに、調整されるものであり、これらの効果は、これによって改善されたカーボンナノチューブがポリマー若しくはプラスチックにより良く混入されるために、分散剤がカーボンナノチューブの表面に少なくともその一部が残ること若しくはそこに接着すること、又はそこに結合されるという事実によって説明される。
【0052】
本願発明の特に好ましい実施形態によれば、湿潤剤及び界面活性剤は、本願発明によれば分散剤として使用され、好ましくはポリエーテル基によって改質された不飽和1,2酸無水物のコポリマーの群から、若しくはヒドロキシル化合物の付加産物及び/若しくはポリイソシアネートの第3級アミノ基含有化合物から使用されるものである。
【0053】
さらに、たとえ本願発明に従って好ましいものでないとしても、本願発明にしたがって使用される分散剤は、官能基及び/若しくは顔料親和性基を含有するポリマー及びコポリマー、ポリマー及びコポリマーのアルキルアンモニウム塩、酸性基を有するポリマー及びコポリマー、塩基顔料親和性基を含有するブロックコポリマーのような櫛状及びブロックコポリマー、改質アクリラートブロックコポリマー、改質ポリウレタン、改質及び/若しくは随意塩漬けポリアミン、リン酸塩エステル、エトキシレート、脂肪酸エステル含有ポリマー及びコポリマー、エステル交換されたポリアクリレートのような改質ポリアクリレート、酸官能ポリエステルのような随意改質ポリエステル、カルボキシメチルセルロースのようなセルロースの誘導体、ドデシルスルホン酸ナトリウムのようなより高い炭化水素の水溶性硫酸塩若しくはスルホン酸塩、若しくはスルホン酸ポリスチレンのようなより低い有機ポリナーの水溶性硫酸塩若しくはスルホン酸塩、ポリビニルピロリドンのような水分散性ピロリドン、ポリフォスフェイト、及びそれらの混合物から選択されるものである。
【0054】
少なくとも1,000g/mol、好ましくは少なくとも2,000g/mol、より好ましくは少なくとも3,000g/mol、最も好ましくは少なくとも4,000g/molの数平均分子量を有する本願発明にしたがって好ましい分散剤が、使用される。最終製造物(いわゆる複合材料)における移行傾向が、少なくとも実質的にこの種の分子量で、特に上昇する分子量で減少されるか抑制される。
【0055】
もし分散剤が、ステップ(a)において使用されるならば、この分散剤は、それぞれの場合で分散され若しくは溶解されるカーボンナノチューブに基づいて、10〜300重量%、好ましくは50〜250重量%の量で使用されることが好ましい。
【0056】
本願発明の範囲内において使用されるように、「分散剤」という語句−分散剤、湿潤剤等として同義語的に参照される−は、2つの成分(分散される粒子と分散剤)の間の界面張力を低下させることによって、いわゆる湿潤することによって、分散媒体に粒子の分散を容易にする物質を示す。結果として、分散剤に関する多くの同義語的な名称、例えば、分散添加剤、沈殿予防剤、湿潤剤、浄化剤、懸濁補助剤、分散補助剤、乳化剤等が使用される。「分散剤」という語句は、分散媒体が分散の連続相(いわゆる液体であり、連続分散媒体である)を示すので、「分散媒体」と混同されることはない。本願発明の範囲内において、分散剤が、分散される粒子(いわゆるカーボンナノチューブ)を安定化するために、いわゆる分散中においてそれらを安定させるために、且つ、それらの再凝集を十分に防止するか少なくとも最小化するために使用される。これは、早期に取り扱われるので、結果として生じる分散の所望の粘度に導き、これによって自由流系が、分散されたカーボンナノチューブの高い濃度ですら、実際に製造されるものである。
【0057】
「分散相」、「分散する」、「分散剤」、「分散系」及び「分散」という語句に関するさらなる詳細については、ロンプ ケミエレクシコン、第10編、ゲオルグ論文出版社、シュタットガルト/ニューヨーク、第2巻、1997、1014/1015ページ、及びそこに参照される文献を例として参照することができ、それによってその全体的な開示若しくはその内容を参照することによって本願発明に取り入れることができるものである。
【0058】
本願発明の独特な実施形態によれば、ステップ(a)が少なくとも1つの消泡剤の存在で実行される。消泡剤は、唯一の添加剤として、若しくは、少なくとも1つの他の添加剤、特に分散剤と一緒に(上述したように)使用されるものである。消泡剤は、いろいろな面で、分散若しくは溶解特性に対する十分な改善に貢献するだけでなく、ポリマーとこれによって製造された複合材料の混入の特性に関しても貢献する。一方で、消泡剤は、ステップ(a)の範囲内において分散若しくは溶解の製造工程の間の発泡を十分に防止する。他方で、消泡剤は、ポリマー若しくはプラスチックの溶解物への導入の間、この導入が高い圧力で生じるので、ステップ(a)においてカーボンナノチューブの分散若しくは溶解の要求されない発泡を防止するものである。さらに、消泡剤がカーボンナノチューブの分散若しくは溶解の導入の間に、ポリマーの望まれない発泡を防止し、その結果として最終製造物、いわゆる結果として生じる複合材料の改善された特性を生じるものである。
【0059】
本願発明にしたがって使用されることが好ましい消泡剤は、ミネラルオイルベース若しくはシリコンベース消泡剤及びそれらの混合物若しくは合成物の群から選択されるものである。
【0060】
ステップ(a)で使用される消泡剤の量は、広い範囲で変化することができる。一般的に、それぞれの場合においてカーボンナノチューブに基づいて、0.1〜300重量%、特に0.5〜150重量%、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは10〜150重量%、特に好ましくは20〜100重量%の量の消泡剤がステップ(a)で使用される。本願発明によれば、消泡剤は、それぞれの場合で、結果として生じる分散若しくは溶解に基づいて、0.01〜20重量%、特に0.02〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%の量で使用されるものである。
【0061】
ステップ(a)で使用される連続相、一般的に液相に関して、特にステップ(a)で使用される溶剤若しくは分散媒体に関して、これは、水性物、有機物、若しくは水性有機溶剤、若しくは分散媒体である。分散若しくは溶解化の状態下において、特に大気圧(101.325kPa)で且つ10〜100℃の温度範囲、好ましくは25〜75℃の温度範囲で、液体凝集体の状態で存在する溶剤若しくは分散媒体は、ステップ(a)において連続液相として使用される。これに関して、カーボンナノチューブの分散若しくは溶解の製造に関して先に述べた従来技術が参照されるものである。
【0062】
連続相、特に溶剤若しくは分散媒体に関して、これは、一般的に大気圧(101.325kPa)で20〜300℃の温度範囲、好ましくは50〜200℃の温度範囲、より好ましくは60〜150℃の温度範囲の沸点を有するように、選択されるものである。
【0063】
ステップ(a)において製造されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、供給ポンプ及び/若しくは定量ポンプによって一般的に利益的に導入される。連続液相の蒸気圧が中和されるようなカーボンナノチューブの分散若しくは溶解が溶融ポリマーに導入されるので、この導入は、2〜100bar、好ましくは5〜50bar、より好ましくは10〜40barの供給圧での圧力の付加によって実行される。導入は、一定の計量率で及び/若しくは一定の計量精度で、実行されるので、前記溶融ポリマーへの一定の均等導入が確保され、且つ均等で、均質な品質の最終製造物を得られる。
【0064】
本願発明に適当な供給ポンプ及び/若しくは定量ポンプは、例えばViscoTec pumpen und Dosiertechnik GmbH トーギン/イン ドイツによって販売されている。
【0065】
カーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解は、凝集形状の可能性なしにポリマーにおける瞬時若しくは瞬間的分散のために、溶解の圧力に対してポリマー溶解に直接的に導入され若しくは計量されながら導入されるものである。
【0066】
カーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解は、液相においてポリマー溶解に計量されて導入され若しくは配置される。ここでは、蒸気圧に注意が払われるべきである。特に良好な結果は、このアプローチによって得られる。
【0067】
ステップ(b)の実施に関して、少なくとも1つのポリマーの溶解に、ステップ(a)において製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解の導入に関して、このステップ若しくはこの導入は、押出成形機で実行される。好ましい実施形態によれば、この押出成形機は、スクリュー型押出成形機である。
【0068】
ポリマーは、その融点若しくは融解範囲以上、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、特に好ましくは10〜50℃に加熱される。これによって全てのポリマーが融解状態で存在することが確保されるものである。150℃〜300℃、特に180℃〜280℃の範囲内の温度が、本願発明によって使用されるポリマーに適用される。言い換えると、ポリマーは、ステップ(b)において、150℃〜300℃、特に180℃〜280℃の範囲の温度まで加熱されるものである。それに反して、過度に高い温度は、存在するポリマー及び添加剤の部分的な分解若しくは部分的な崩壊を生じ、また過度に低い温度は、溶融物が、不均質となるというリスク、若しくは少なくともいくつかのポリマーが溶融しないというリスクがある。
【0069】
特別な実施形態によれば、押出成形機は、少なくとも1つのポリマーの溶融物で、ステップ(a)において製造されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を均質化するための、特に全体にわたって混合するための混合手段を具備することがのぞましく、且つ/又は、連続液相を排除することを目的として減少した圧力でガス抜きを行うためのガス抜き装置を具備することが望ましい。
【0070】
また別の実施形態によれば、押出成形機は、複数の区間若しくは領域に分割される。押出成形機は、少なくとも1つのポリマーを導入するための第1の区間若しくは第1の領域を有し、それに続いてポリマーを溶融する溶融区間(溶融領域)が続き、さらにカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を供給する供給区間(供給領域)が続き、そして、均質化及びガス抜き区間(均質化及びガス抜き領域)が続き、そして排出区間(排出領域)に接続される。
【0071】
特に良好な結果、特に優れた電気伝導性に対する良好性と同時に、優れた力学的特性に対する良好性を有する本願発明に係る複合材料は、もしステップ(a)で製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解が、押出成形機、特に押出成形機の供給スクリューの高い回転速度で、及び/若しくは低い処理量で、及び/若しくは高いエネルギー消費でステップ(b)に導入されるならば、取得されるものである。特に上述したような微細なカーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解が使用される。カーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解は、1〜1,000ml/min、特に2〜500ml/min、好ましくは5〜200ml/min、より好ましくは10〜100ml/minの体積ベースの処理量で、ステップ(b)へ導入されることが好ましい。押出成形機、特に押出成形機の供給スクリューの回転速度は、本願発明によれば、100〜1,000rpm、特に200〜900rpm、好ましくは300〜800rpmの範囲である。ポリマーの体積ベース処理量は、0.1〜100kg/h、特に1〜50kg/h、好ましくは2〜25kg/h、より好ましくは3〜15kg/hの範囲内であることが本願発明によれば利点がある。
【0072】
カーボンナノチューブ分散若しくはカーボンナノチューブ溶解の連続相(例えば、水及び/若しくは有機溶剤、等)は、ステップ(b)の範囲内で、同時に排除される。連続相の残存量、特に水の残存量は、最終製造物に基づいて(いわゆる本願発明に係る複合材料に基づいて)、最大2重量%、特に最大1重量%、好ましくは最大0.5重量%、より好ましくは最大0.3重量%、元も好ましくは最大0.2重量%が得られること若しくは設定されることが好ましく、前記押出成形機は、付与された温度によってガス形状になった連続相を排出若しくは脱水するために対応する排出する若しくはガス抜きするための排出若しくはガス抜き手段を具備することが望ましい。尚、詳細については如何に記載される。
【0073】
押出成形機は、連結器及び変速機を介してモータを介して駆動される。前記押出成形機は、ヒータと、およそ8の字形でお互いに噛合する2つのハウジングボアとを有するハウジングを具備し、さらにハウジング内に形成されたお互いに平行な軸を具備するものである。2つのスクリュー軸は、これらハウジングボアに配置され、前記変速機に連結される。前記スクリュー軸は同一方向に駆動される。前記押出成形機は、供給方向の変速機後に配置される供給ホッパーを具備し、加工されるプラスチック(ポリマー)は、前記供給ホッパーと、この供給ホッパーにつながる集水領域を介して供給される。溶融領域は前記集水領域に接続される。供給領域は、前記溶融領域に接続される。フィラー混合領域は、それに続いて形成される。バックアップ領域はその下流に配置される。供給領域及び均質化領域が続く。真空ガス抜き領域は、それに続いて形成され、そこに混合領域が結合される。バックアップ領域が、この混合領域に続き、その後に真空ガス抜き領域が配置される。圧力構築領域がこれに続いて接続され、排出領域がそれに続いて設けられる。
【0074】
スクリュー軸は、集水領域においてスクリューエレメントを具備する。また、それらは、溶融領域に混練エレメントを有する。スクリューエレメントは、供給領域に再び配置される。DE4134026C2(US5318358Aに対応)からすでに公知である混合エレメントは、前記フィラー混合領域に設けられる。さらに、カーボンナノチューブ及び付加的に添加剤の分散若しくは溶解は、懸濁測定装置を介して、連続液相のハウジングボアに、供給ラインを介して導かれる。
【0075】
逆スクリューエレメントの形の蓄積エレメントがバックアップ領域に設けられる。スクリューエレメントが、供給領域に配置され、混合エレメントが均質化領域に配置される。スクリューエレメントが真空ガス抜き領域に設けられ、混練エレメントが混合領域に設けられる。
【0076】
せき止めエレメントがバックアップ領域に設けられる。スクリューエレメントが、真空ガス抜き領域、それに続く圧力構築領域及び排出領域に再度設けられる。ノズルは、前記圧力構築領域及び前記排出領域に接続される。
【0077】
溶融プラスチック(ポリマー)は、真空ガス抜き領域の真空下で、接続ラインを介してガス抜きされる。
【0078】
真空ガス抜き領域において、保持ガス抜きスクリュー機械が、ハウジングボアに、軸の径方向に導かれる。それは、同一方向で2つのしっかりと結合された供給スクリューを駆動する変速機に連結器を介して接続される駆動モータを具備する。供給スクリューは、8の字形状でお互いに貫通するハウジングボアに配置され、前記ハウジングに保持ガス抜き開口部を介してハウジングボアに導かれると共に、スクリューエレメントの近くまで到達する。
【0079】
溶融プラスチックは、同方向に駆動されるスクリューによって保持ガス抜きスクリュー機械に保持され、ガス抜き開口部を介して大気圧に対してハウジングにおいてガス抜きされる。
【0080】
溶融領域で溶融されたプラスチック(ポリマー)は、蓄積エレメントによって、少なくともフィラー充填領域においてスクリューの断面を満たす。前記押出成形機の回転速度は、混合領域の圧力が蒸気圧を超えるように、例えば200℃の温度でポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)の場合、例えば20bar以上となるように、選択される。
【0081】
分散若しくは溶解のための測定装置は、懸濁が測定されるときに、前記混合領域に広がる圧力を超えるように設計される。
【0082】
実際には、供給ラインの妨害物を防止するように、4mmより大きくするために供給ラインの直径を選択するのに適切であることが証明された。
【0083】
分散(いわゆる溶剤若しくは分散媒体、カーボンナノチューブ及び付加的な添加物)と混合される溶融プラスチック(ポリマー)は、バックアップ領域の後の供給領域に到達する。ここから、押出成形機の圧力は減少し、溶剤若しくは分散媒体の留分(例えば分散若しくは溶解の水留分)は、保持ガス抜きスクリュー機械のガス抜き開口部を介して排除される。保持ガス抜きスクリュー機械の回転速度は、溶融プラスチック(ポリマー)が操作上信頼できる方法で保持されるように選択される。
【0084】
力学的エネルギーは、凝縮エンタルピの結果として、プラスチック溶融物の過度に速い冷却を防止するように、混練エレメントによって混合領域のプラスチック溶融物に導入される。
【0085】
まだ残っている水蒸気及び溶剤の残留物は、接続ラインを介して真空ガス抜き領域において排除される。
【0086】
本願発明によって適当である押出成形機は、Coperion GmbH(前のCoperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co. KG)によって販売されている。
【0087】
本願発明による方法は、連続的に若しくは半連続的に実行される。特にステップ(a)は、非連続的に実行され、それに続くステップ(b)及び(b)は、連続的に実行される。
【0088】
本願発明の範囲内において、カーボンナノチューブは、高い濃度若しくは高い充填比率でポリマー若しくはプラスチックに混入される。カーボンナノチューブは、ポリマー及びカーボンナノチューブから形成される複合材料に基づいて、0.001〜20重量%、特に0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜10重量%の量で、混入されるものである。
【0089】
本願発明に係る方法の範囲内で使用されるカーボンナノチューブに関しては、下記に述べられるものである。
【0090】
公知の方法によって製造され、市販される製品(例えばBayer Material Science AG, Leverkusenから)として取得できるカーボンナノチューブは、本願発明の方法範囲内において使用される。
【0091】
例えば、本願発明によって使用されるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs若しくはSWNTs)若しくは多層カーボンナノチューブ(MWCNTs若しくはMCNTs)、特に2〜30層、好ましくは3〜15層カーボンナノチューブである。
【0092】
本願発明によって使用されるカーボンナノチューブは、0.4〜50nm、特に1〜10nm、好ましくは2〜6nmの平均内側直径を有し、且つ/又は、1〜60nm、特に5〜30nm、10〜20nmの平均外側直径を有することが好ましい。本願発明によって使用されるカーボンナノチューブは、0.01〜1,000μm、特に0.1〜500μm、好ましくは0.5〜200μm、より好ましくは1〜100μmの平均長を有することが好ましい。
【0093】
本願発明によって使用されるカーボンナノチューブは、少なくとも1GPa、特に少なくとも5GPa、好ましくは少なくとも10GPaのカーボンナノチューブ毎の引張強度を有し、且つ/又は、少なくとも0.1TPa、特に少なくとも0.5TPa、好ましくは少なくとも1TPaのカーボンナノチューブ毎の弾性係数を有し、且つ/又は、少なくとも500W/mK、特に少なくとも1,000W/mK、好ましくは少なくとも2,000W/mKの熱伝導性を有し、且つ/又は、少なくとも10S/cm、特に少なくとも0.5・10S/cm、好ましくは少なくとも10S/cmの電気伝導性を有することが好ましい。
【0094】
使用されるカーボンナノチューブは、0.01〜0.3g/cm、特に0.02〜0.2g/cm、好ましくは0.1〜0.2g/cmの範囲内の嵩密度を有し、多様性のカーボンナノチューブの凝集体若しくは集合体、特に高い塊状形状において存在するものである。
【0095】
本願発明によって適当であるカーボンナノチューブは、例えばBayer Material Science AG, Leverkusenによって市販されており、例えば取扱製品Baytubes(登録商標)(例えば、Baytubes(登録商標)C150P)である。
【0096】
原則的に、使用されるカーボンナノチューブは、円筒型、スクロール型若しくはタマネギ状構造を有する型であり、またそれぞれの場合で、単層若しくは多層、好ましくは多層であることが好ましい。
【0097】
好ましい実施形態によれば、使用されるカーボンナノチューブは、5以上、好ましくは100以上の外側直径に対する長さの比を有することが好ましい。
【0098】
ある特別な実施形態によれば、カーボンナノチューブは、凝集体の形で使用され、この凝集体は、0.05〜5mmの範囲内、特に0.1〜2mmの範囲内、好ましくは0.2〜1mmの範囲内の平均直径を有することが好ましい。
【0099】
別の実施形態によれば、使用されるカーボンナノチューブは、3〜100nm、好ましくは5〜80nm、より好ましくは6〜60nmの平均直径を有することが好ましい。
【0100】
例えば、積層を形成するために結合され若しくは巻き上げられた複数のグラファイト層を有するスクロール型のカーボンナノチューブが選択されることができる。この種の製品は、例えばBayer Material Science AG, Leverkusenから市販されおり、例えば取扱製品Baytubes(登録商標)(例えば、Baytubes(登録商標)C150P)である。
【0101】
上述したように、例えば円筒型、スクロール型、若しくはタマネギ状構造を有する単層若しくは多層カーボンナノチューブが、本願発明の意味する範囲内のカーボンナノチューブとして使用することができる。円筒型、スクロール型、若しくはそれらの混合型の多層カーボンナノチューブであることが好ましい。
【0102】
上述したように、5以上、好ましくは100以上の外側直径に対する長さの比を有するカーボンナノチューブが使用されることが好ましい。
【0103】
上述したように、前記カーボンナノチューブは、凝集体形状において使用されることが好ましく、特に前記凝集体は、0.05〜5mmの範囲内、好ましくは0.1〜2mmの範囲内、より好ましくは、0.2〜1mmの範囲内の平均直径を有するものである。
【0104】
本願発明によって使用されるカーボンナノチューブは、3〜100nm、好ましくは5〜80nm、より好ましくは6〜60nmの平均直径を有することが特に好ましいものである。
【0105】
単に1つの連続若しくは断続的なグラファイト層を有する最初に述べられたスクロール型の公知のカーボンナノチューブと対比して、積層を形成するために結合され若しくは巻き上げた複数のグラファイト層からなるカーボンナノチューブ構造(「マルチスクロール型」が、本願発明によって使用される。そのため、これらのカーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブ凝集体は、例えばDE102007044031及びUS2009/0124705A1の目的であり、これによってカーボンナノチューブに関してそのそれぞれの含有物及び生産は、本願の開示に含まれるものである。多層円筒状カーボンナノチューブ(円筒状MWNTs)の構造は、単層円筒状カーボンナノチューブの構造に対して比較的に反応するのと同じように、このカーボンナノチューブ構造は、単層スクロール型のカーボンナノチューブに対して反応する。
【0106】
タマネギ型構造と対比して、これらのカーボンナノチューブにおいて、それぞれのグラフェン若しくはグラファイト層は、断面図において示されるように、継続的に、カーボンナノチューブの中央から外側エッジに向けて連続して延出する。例えば、これは、より大きな開口エッジが単層スクロール構造のカーボンナノチューブ(Carbon 34,1996,1301−3)若しくはタマネギ型のカーボンナノチューブ(Science 263,1994,1744−7)と比較して挿入の入口領域として利用されるので、チューブ構造における他の材料の改善及びより迅速な挿入を可能にするものである。
【0107】
カーボンナノチューブの製造に関する今日知られている方法は、アーク放電、レーザ切断及び触媒法を含んでいる。高い直径の煤、非晶質炭素及び繊維が、これらの方法の多くにおいて副産物として形成される。触媒法に関して、補助する触媒粒子上の蒸着と、ナノメートル範囲の直径を有して形成される金属中心上の蒸着の間には区別がなされる(「フロー法」)。反応条件下でガス状である炭化水素から炭素の触媒蒸着によって製造する場合、アセチレン、メタン、エタン、エチレン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ベンゼン若しくは他の炭素開始材料が、可能な炭素供与体として使用される。そのため、触媒法から取得されるカーボンナノチューブは、本願発明によって使用されることが好ましい。
【0108】
触媒は、金属、金属酸化物若しくは分解可能な還元金属成分を含む。例えば、鉄、モリブデン、ニッケル、バナジウム、マンガン、スズ、コバルト、銅及び2次族元素が、触媒のための金属として従来技術において引用される。それぞれの金属は、カーボンナノチューブの形成を補助する傾向を有しているが、従来技術によれば、非晶質炭素の多産及び低い留分が、上述された金属の結合に基づいた金属触媒で達成されるものである。混合触媒の使用で得られるカーボンナノチューブは、本願発明によって使用されることが好ましい。
【0109】
カーボンナノチューブの製造のための利益的な触媒システムは、鉄、コバルト、マンガン、モリブデン及びニッケルからなる群から2つ若しくはそれ以上の元素を含む金属若しくは金属化合物の組み合わせに基づくものである。
【0110】
カーボンナノチューブの形成及び形成されるカーボンナノチューブの性質は、複雑な方法において、金属化合物に、若しくは触媒として使用される複数の金属化合物の組み合わせに、触媒とキャリアの間の相互作用に、開始材料ガスと部分圧及び水素若しくは他のガスの混合物に、反応温度に、及び滞留時間及び使用さえる反応器に依存する。
【0111】
カーボンナノチューブを製造するために使用される好ましい方法は、WO2006/050903A2から知られている。
【0112】
主にカーボンナノチューブ粉末として工程から除去される異なる構造のカーボンナノチューブは、異なる触媒システムを使用してここで引用される異なる方法において製造される。
【0113】
本願発明に関して好ましい適当なカーボンナノチューブは、下記に原則として記載される方法によって取得される。
【0114】
100nmより小さい直径を有するカーボンナノチューブの製造は、最初にEP0205556B1に記載された。軽質(いわゆる短−及び中鎖脂肪族化合物若しくは単−若しくは2核芳香族化合物)炭化水素及び鉄ベース触媒が、製造過程で使用され、そこで炭素キャリア接着は、800℃〜900℃以上の温度で破壊される。
【0115】
WO86/03455A1は、3.5〜70nmの一定の直径、100以上の縦横比(いわゆる直径に対する長さの比率)、及びコア領域を有する円筒状構造を有するカーボンフィラメントの製造を記載している。これらの小繊維は、小繊維の円筒軸に同心円状に配置された多くの連続層若しくは整列した炭素原子からなる。これらの円筒状ナノチューブは、850℃〜1200℃の間の温度で金属含有粒子によるCVD工程によって炭素化合物から製造された。
【0116】
触媒を製造する方法は、WO2007/093337A2より知られており、円筒構造の従来のカーボンナノチューブの製造に適している。
【0117】
5〜30nmの範囲の直径を有する円筒状カーボンナノチューブの高い生産性が、充填層にこの触媒を使用することによって得られるものである。
【0118】
円筒状カーボンナノチューブを製造する完全に異なる方法は、オベルリン、エンドウ及びコヤム(Carbon 14, 1976, 133)によって記載された。ベンゼンのような芳香族炭化水素が、金属触媒と反応する。製造されたカーボンチューブは、触媒粒子の直径を有し、且つ炭素があまりグラファイトに似ていない方法で整列する良く定義された中空グラファイトを示している。全体的なチューブは、高温(約2,500℃〜3,000℃)による処理によってグラファイト化されるものである。
【0119】
上述した方法(アーク放電、噴霧熱分解及びCVD等)のほとんどは、カーボンナノチューブの製造について現在使用されている。しかしながら、単層円筒状カーボンナノチューブの製造は、大変複雑であり、公知の方法による形成の大変低い比率で且つ多くの副反応を有して達成され、望まれない不純物の高い画分を生じる。いわゆるそのような方法の生産性は、比較的低い。そのため、このタイプのカーボンナノチューブの製造は、極端に技術的に複雑であり、且つ、高度で特定の用途についてとりわけ少量で使用されるものである。また、それらは、本願発明の使用について適当であるが、円筒型若しくはスクロール型の多層カーボンナノチューブの使用がより好ましいものである。
【0120】
多層カーボンナノチューブは、主に触媒法の使用によって、お互いに入れ子状の継ぎ目のない円筒状ナノチューブの形で、若しくは上述したスクロール型若しくはタマネギ状構造の形で、大量生産されるものである。これらの方法は、通常上述したアーク放電や他の方法よりも多くの生産性を示し、現在ではキログラム単位(世界中で、一日数百キログラム)で実行される。このように製造されるMWカーボンナノチューブは、単層ナノチューブよりも幾分費用効率が良く、そのため、例えば性能構造添加物として他の物質に使用される。
【0121】
本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、少なくとも1つのポリマーと、カーボンナノチューブを含み、特に本願発明に記載された方法によって取得された複合材料に関するものである。
【0122】
特に、本願発明は、少なくとも1つのポリマーと、カーボンナノチューブを含み、特に本願発明による上述した方法によって取得された複合材料であって、本願発明に係る複合材料が、複合材料に基づいて、0.001〜20重量%、特に0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜10重量%のカーボンナノチューブの含有量を有する複合材料に関するものである。
【0123】
特に製造工程によれば、本願発明の複合材料は、少なくとも1つの分散剤、特に上記に定義したような分散剤を、カーボンナノチューブに基づいて、0.01〜300重量%、特に0.05〜250重量%、好ましくは0.1〜200重量%、より好ましくは0.5〜150重量%、最も好ましくは1〜100重量%の量で、含むことが望ましい。前記分散剤は、製造工程の過程にわたってカーボンナノチューブの良好で均質な混入を可能にする。
【0124】
さらに、製造工程によれば、本願発明に係る複合材料は、上記に定義されたような少なくとも1つの消泡剤を、それぞれの場合カーボンナノチューブに基づいて、0.01〜200重量%、特に0.05〜175重量%、好ましくは0.1〜150重量%、より好ましくは0.2〜100重量%の量で含むことが望ましい。分散剤と同様に、消泡剤も、製造工程の過程にわたってカーボンナノチューブの良好で均質な混入を確保するものである。
【0125】
さらに、本願発明に係る複合材料は、優れた電気的伝導特性を有するものである。
【0126】
特に、本願発明に係る複合材料は、優れた電気抵抗値を有する。所定の形式の試料上の2つの電極間の絶縁体の電気抵抗は、絶縁抵抗と呼ばれ、3つの異なるタイプの抵抗、いわゆる体積抵抗/体積抵抗率、表面抵抗/表面抵抗率及び絶縁抵抗の間に区別がなされる。体積抵抗は、特にDIN IEC 60 093 VDE 0303/30によって測定されるような2つの電極間で測定される材料内部の抵抗を意味すると理解される。もし体積抵抗が1cmの立方体で測定されたものとして換算された場合、体積抵抗率が求められる。それに反して、表面抵抗は、特にDIC IEC 60 093 VDE 0303/30によって測定された絶縁体の表面の絶縁状態の情報を提供する。これについての詳細に関する参考文献は、例えばSchwarz/Ebeling (Hrsg.), Kunststoffkunde 第9版、Vogel Buchverlag, Wursburg, 2007、特に6.4章「電気的性質」である。
【0127】
また、前記表面抵抗は、実施例において説明されるような方法によって測定することができる。電気的表面抵抗は、加圧法によって製造された80mmの直径と2mmの厚さを有するサンプル試料上で、この方向によって測定される。この実施例において使用されるような異なるポリマーについて、例えば次の温度、例えばポリプロピレン200℃、ポリエチレン220℃、ポリアミド280℃が、加圧プレートの製造に使用される。
【0128】
特に、これによって、本願発明に係る複合材料は、10オームより小さい、特に10オームより小さい、好ましくは10オームより小さい、より好ましくは10オームより小さい、さらに好ましくは10オームより小さい、最も好ましくは10オームより小さい表面抵抗、特に表面抵抗率を有するものである。
【0129】
さらに、本願発明に係る複合材料は、1012オーム・cmより小さい、特に1011オーム・cmより小さい、好ましくは1010オーム・cmより小さい、より好ましくは109オーム・cmより小さい、さらに好ましくは108オーム・cmより小さい、最も好ましくは107オーム・cmより小さい体積抵抗、特に体積抵抗率を有するものである。
【0130】
さらにまた、本願発明に係る複合材料は、優れた衝撃強度、降伏歪み及び破損点伸び、降伏応力、引張係数、等のような優れた力学的特性を有する。
【0131】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、電子工学及び電気工学、コンピュータ及び半導体工学及び工業、計測学及び関連産業、航空工学及び航空宇宙工学、缶詰産業、自動車工業及び冷却技術の分野において、先に記載された本願発明に係る複合材料の使用に関する。
【0132】
先に記載された複合材料は、電子工学及び電気工学、コンピュータ及び半導体工学及び工業、計測学及び関連産業、航空工学及び航空宇宙工学、缶詰産業、自動車工業及び冷却技術の分野のための導体若しくは半導体構成部品、構成要素、構造、装置等の製造のために使用されるものである。
【0133】
本願発明、特に本願発明に係る方法、この方法において取得される複合材料は、従来技術に関して本願発明を区別する多くの特徴及び利益的特性と関連するものである。
【0134】
本願発明の範囲内において、カーボンナノチューブは、有機ポリマー及び有機プラスチックに、信頼され、再生される方法において混入されるものである。
【0135】
本願発明の範囲内において、複合材料は、有機ポリマー若しくは有機プラスチックとカーボンナノチューブに基づいて、カーボンナノチューブの相対的に高い充填比率若しくは濃度及び改善された均質性を有して、電気的及び力学的特性の改善を生じるように製造されるものである。特に、本願発明に係る複合材料は、従来技術と比較して改善された表面及び体積抵抗を有すると共に、改善された力学的抵抗を有する。
【0136】
本願発明に係る方法の範囲内において、カーボンナノチューブは、高い濃度で、正確に測定された精度で、高い処理能力で、且つ優れた均質性で、上述したポリマー及びプラスチックに混入される。
【0137】
感溶剤及び/若しくは感水ポリマーは、本願発明の範囲内で反応することができるものである。例えば、ポリアミドの場合、それらが、従来技術による合成工程の間、水の存在において加水分解する傾向がある感水ポリマーであるが、それらは、本願発明に係る方法の範囲内で容易に加工され且つ使用され(水の存在があっても)、対応する複合材料を製造するために、水性カーボンナノチューブ懸濁液を導入することができるものである。大変短い水量負荷がさらに高圧で存在するので、ポリマーの加水分解がない。
【0138】
本願発明の最終製品において、大変少ない残留蒸気若しくは実質的に残留蒸気が存在しないことが達成され、それは大量の水分が混ぜ合わされる時に予期されないものである。
【0139】
本願発明のさらなる実施形態、改善例及び変形例は、本願発明の範囲を離れることなしに、明細書を読み込むことによって当業者によって容易に確認でき且つ達成できるものである。
【0140】
本願発明は、下記する実施例の助けを借りて説明することができるが、これは本願発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、本願発明に係る方法の過程を示した概略説明図である。
【図2】図2は、本願発明の範囲内において使用される押出成形機の一部断面図である。
【図3】図3は、図2に示される保持脱気スクリュー機械の配置された押出成形機の縦断面図である。
【図4】図4は、試料の表面電気抵抗を測定する状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
以下、この発明の実施例ついて説明する。
【実施例】
【0143】
本願発明に係る方法過程が、1つの実施形態にしたがって図1に示される例によって説明される。
【0144】
図1は、本願発明に係る方法の過程を示した概略説明図である。第1のステップ(a)において、カーボンナノチューブは、この方法における条件下で通常液体である連続相に、特に分散媒体若しくは溶剤に、分散されるか溶解されるので、カーボンナノチューブの分散若しくは溶解が、連続相、一般的に液相において得られる(図1の1参照)。第2のステップ(b)において、前のステップで製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、以下に詳細が記載されるように、適当な押出成形機における押出条件下で生じる前記連続液相(分散媒体若しくは溶剤)の除去によって生じた均質性を有する少なくとも1つのポリマー若しくはプラスチックの溶解物、特に混合物に導入される(図1の2参照)。特に分散媒体若しくは溶剤において連続液相が除去されるとすぐに、溶融ポリマーとカーボンナノチューブの混合物が、それに続くステップ(c)において、ポリマーが凝固するまで放置され冷却される。少なくとも1つの一般的な有機ポリマー若しくは一般的な有機プラスチックと、カーボンナノチューブを含有する本願発明に係る複合材料が、得られる。
【0145】
しかしながら、本願発明に係る方法のステップ(a)による「連続相、好ましくは液相に、カーボンナノチューブの分散若しくは溶解を提供すること」は、ベルギーの会社、Nanocyl S. A. Sambreville, ベルギーによって、又は、FutireCarbon GmbH, Baureuth, ドイツによって購入できるように、連続相、好ましくは液相に、適当な市販のカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を使用する可能性を含んでいる。
【0146】
図2及び図3に示される実施例は、押出成形機1を具備する。前記押出成形機1は、連結器3及び変速機4を介してモータ2を介して駆動される。前記押出成形機1は、ヒータ5と、およそ8の字形でお互いに噛合する2つのハウジングボア7,8とを有するハウジング6を具備し、さらにハウジング6内に形成されたお互いに平行な軸9,10を具備するものである。2つのスクリュー軸11,12は、これらハウジングボア7,8に配置され、前記変速機4に連結される。前記スクリュー軸11,12は同一方向に駆動される。前記押出成形機1は、供給方向13の変速機4後に配置される供給ホッパー14を具備し、加工されるプラスチック(ポリマー)は、前記供給ホッパーと、この供給ホッパーにつながる集水領域15を介して供給される。溶融領域16は前記集水領域15に接続される。供給領域17は、前記溶融領域16に接続される。フィラー混合領域18は、それに続いて形成される。バックアップ領域19はその下流に配置される。供給領域19及び均質化領域21が続く。真空ガス抜き領域22は、それに続いて形成され、そこに混合領域23が結合される。バックアップ領域24が、この混合領域23に続き、その後に真空ガス抜き領域25が配置される。圧力構築領域26がこれに続いて接続され、排出領域27がそれに続いて設けられる。
【0147】
スクリュー軸11,12は、集水領域15においてスクリューエレメント28を具備する。また、それらは、溶融領域16に混練エレメント29を有する。スクリューエレメント30は、供給領域17に再び配置される。DE4134026C2(US5318358Aに対応)からすでに公知である混合エレメント33は、前記フィラー混合領域18に設けられる。さらに、カーボンナノチューブ及び付加的に添加剤の分散若しくは溶解は、懸濁測定装置31を介して、連続液相のハウジングボアに、供給ライン32を介して導かれる。
【0148】
逆スクリューエレメントの形の蓄積エレメント34がバックアップ領域19に設けられる。スクリューエレメント35が、供給領域20に配置され、混合エレメントが均質化領域21に配置される。スクリューエレメント37が真空ガス抜き領域22に設けられ、混練エレメント38が混合領域23に設けられる。
【0149】
せき止めエレメント39がバックアップ領域24に設けられる。スクリューエレメント40が、真空ガス抜き領域25、それに続く圧力構築領域26及び排出領域27に再度設けられる。ノズル42は、前記圧力構築領域26及び前記排出領域27に接続される。
【0150】
溶融プラスチック(ポリマー)は、真空ガス抜き領域25の真空下で、接続ライン41を介してガス抜きされる。
【0151】
真空ガス抜き領域22において、保持ガス抜きスクリュー機械43が、ハウジングボア7に、軸9の径方向に導かれる。それは、同一方向で2つのしっかりと結合された供給スクリュー48,49を駆動する変速機47に連結器46を介して接続される駆動モータ45を具備する。供給スクリュー48,49は、8の字形状でお互いに貫通するハウジングボア50に配置され、前記ハウジング6に保持ガス抜き開口部43を介してハウジングボア7に導かれると共に、スクリューエレメント37の近くまで到達する。
【0152】
溶融プラスチックは、同方向に駆動されるスクリューによって保持ガス抜きスクリュー機械43に保持され、ガス抜き開口部52を介して大気圧に対してハウジング51においてガス抜きされる。
【0153】
溶融領域16で溶融されたプラスチック(ポリマー)は、蓄積エレメント34によって、少なくともフィラー充填領域18においてスクリューの断面を満たす。前記押出成形機1の回転速度は、混合領域18の圧力が蒸気圧を超えるように、例えば200℃の温度でポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)の場合、例えば20bar以上となるように、選択される。
【0154】
分散若しくは溶解のための測定装置31は、懸濁が測定されるときに、前記混合領域18に広がる圧力を超えるように設計される。
【0155】
実際には、供給ラインの妨害物を防止するように、4mmより大きくするために供給ライン32の直径を選択するのに適切であることが証明された。
【0156】
分散(いわゆる溶剤若しくは分散媒体、カーボンナノチューブ及び付加的な添加物)と混合される溶融プラスチック(ポリマー)は、バックアップ領域19の後の供給領域20に到達する。ここから、押出成形機の圧力は減少し、溶剤若しくは分散媒体の留分(例えば分散若しくは溶解の水留分)は、保持ガス抜きスクリュー機械43のガス抜き開口部43を介して排除される。保持ガス抜きスクリュー機械43の回転速度は、溶融プラスチック(ポリマー)が操作上信頼できる方法で保持されるように選択される。
【0157】
力学的エネルギーは、凝縮エンタルピの結果として、プラスチック溶融物の過度に速い冷却を防止するように、混練エレメント38によって混合領域23のプラスチック溶融物に導入される。
【0158】
まだ残っている水蒸気及び溶剤の残留物は、接続ライン41を介して真空ガス抜き領域25において排除される。
【0159】
本願発明によって適当である押出成形機は、Coperion GmbH(前のCoperion Werner & Pfleiderer GmbH & Co. KG)によって販売されている。
【0160】
特に、本願発明に係る複合材料は、優れた電気抵抗値を有する。所定の形式の試料上の2つの電極間の絶縁体の電気抵抗は、絶縁抵抗と呼ばれ、3つの異なるタイプの抵抗、いわゆる体積抵抗/体積抵抗率、表面抵抗/表面抵抗率及び絶縁抵抗の間に区別がなされる。体積抵抗は、特にDIN IEC 60 093 VDE 0303/30によって測定されるような2つの電極間で測定される材料内部の抵抗を意味すると理解される。もし体積抵抗が1cmの立方体で測定されたものとして換算された場合、体積抵抗率が求められる。それに反して、表面抵抗は、特にDIC IEC 60 093 VDE 0303/30によって測定された絶縁体の表面の絶縁状態の情報を提供する。これについての詳細に関する参考文献は、例えばSchwarz/Ebeling (Hrsg.), Kunststoffkunde 第9版、Vogel Buchverlag, Wursburg, 2007、特に6.4章「電気的性質」である。
【0161】
また、前記表面抵抗は、図4に図示され、実施例において説明されるような方法によって測定することができる。電気的表面抵抗は、図4に示されるように、加圧法によって製造された80mmの直径と2mmの厚さを有するサンプル試料上で、この方向によって測定される。この実施例において使用されるような異なるポリマーについて、例えば次の温度、例えばポリプロピレン200℃、ポリエチレン220℃、ポリアミド280℃が、加圧プレートの製造に使用される。図4に示すように、2つの導電性銀長片54,55が、環状のテスト試料53に貼り付けられ、前記長片の長さBがその間隔Lと一致して面積sqが限定されるものである。オーム計25の電極が、導電性銀長片54,55に押し付けられ、オーム計25の抵抗値が読まれる。9ボルトの測定電圧が、面積当たり3×10オームまでの抵抗で使用され、100ボルトの電圧が面積当たり3×10オームからの抵抗で使用される。
【0162】
特に、これによって、本願発明に係る複合材料は、10オームより小さい、特に10オームより小さい、好ましくは10オームより小さい、より好ましくは10オームより小さい、さらに好ましくは10オームより小さい、最も好ましくは10オームより小さい表面抵抗、特に表面抵抗率を有するものである。
【0163】
さらに、本願発明に係る複合材料は、1012オーム・cmより小さい、特に1011オーム・cmより小さい、好ましくは1010オーム・cmより小さい、より好ましくは109オーム・cmより小さい、さらに好ましくは108オーム・cmより小さい、最も好ましくは107オーム・cmより小さい体積抵抗、特に体積抵抗率を有するものである。
【0164】
さらにまた、本願発明に係る複合材料は、優れた衝撃強度、降伏歪み及び破損点伸び、降伏応力、引張係数、等のような優れた力学的特性を有する。
【0165】
一般的なテストの実行
濃度を変化させたカーボンナノチューブの水性分散は、分散剤(分散剤若しくは湿潤剤と同様に消泡剤)の存在において、ホソカワアルパインアーゲー、アウグスブルグ、ドイツによって販売される磨砕製粉機を使用して製造され、前記カーボンナノチューブ分散は、ビスコテックプンペンウントドシエルテクニークゲーエムベーハー、トーギング/イン、ドイツによって販売される定量/供給ポンプによって、押出成形機(コペリオンゲーエムベーハー、以前のコペリオンヴェルナーウントプフライデラーゲーエムベーハーウントコーカーゲー、シュタットガルト、ドイツ)に、均質化若しくは混合され、連続液相(水)が除去された溶融ポリマーと共に導入される。押し出し及びこれによって得られた溶融ポリマー及びカーボンナノチューブの混合の後、ポリマーが凝固するまで冷却のために放置され、これによって、ポリマー及びカーボンナノチューブに基づく本願発明に係る複合材料が、得られた。
【0166】
本願発明におって使用される分散剤の製造
製造例1(EP0154678A1による例3)
7.7部の22%の自由NCO含有量を有するビウレット型の脂肪族ヘキサメチレンジイソシアネートベースポリイソシアネートが、保護雰囲気下で、750の数平均分子量マンガンを有する23部のエチルグリコールアセテート及び10.2部のモノヒドロキシ官能メソキシポリエチレングリコールと共に均質化され、15部のエチルグリコールアセテートに溶解され、0.004部のジブチル錫ジラウレートが付加され、反応混合物が50℃まで加熱される。NCO基の3分の1が反応した時点で、15部のエチルグリコールアセテートに溶解した800の数平均分子量マンガンを有する5.4部のポリエチレングリコールが付加された。導入されたNCO基の66%が反応した時点で、反応混合物は、23部のエチルグリコールアセテートで希釈され、さらに1.7部の1−(2−アミノエチル)ピペラジンが付加された。反応混合液は、70℃で5分間攪拌された。製造物は、黄みがかり、少し粘着性がある。
【0167】
製造例2(EP1640389による例)
ポリエーテル基によって改質された不飽和1,2−酸無水物のコポリマーに基づき、本願発明によって使用される分散剤の例:80gの共役ひまわり脂肪酸、37gの無水マレイン酸及び450の平均分子量を有する42gのポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの混合物が設けられ、137℃まで加熱され攪拌される。53gのジプロピレングリコールジメチルエーテルに4.4gの3級−ブチル過安息香酸エステルが溶解した溶液が、4時間かけて点滴により付加された。付加が完了した時点で、反応混合物は、137℃で、0.5時間攪拌された。得られた製造物は、75%の固体含有量を有した。この製造物の91gが、70/30のEO/PO比と、2,000の平均分子量を有する第1級のモノアミナルコキシレートの84gと混合され、さらに0.2gのパラ−トルエンスルホン酸と混合され、反応混合物は、170℃で3時間攪拌される。水分離器が導入され、反応水が、170℃で3時間蒸留された。得られた製造物は、1mg KOH/gより小さいアミン価と、46 mg KOH/gの酸価を有する。
【0168】
本願発明によって使用される消泡剤の製造
本願発明によれば、ミネラルオイル消泡剤(例えばDE3245482A1の例5)若しくはそれに代わるシリコン消泡剤(例えばDE19917186C1の例8)が、消泡剤として使用することができるものである。
【0169】
本願発明によって使用されるカーボンナノチューブ分散の製造
材料:水、湿潤剤若しくは分散剤(前記例による)、消泡剤(前記例による)、多層カーボンナノチューブ(Baytubes(登録商標)C150P)
装置:ビーズ、ポンプ、攪拌道具(溶解ディスク)を有する貯蔵コンテナを具備する磨砕製粉機
【0170】
【表1】

【0171】
水に50kgの3%のカーボンナノチューブ分散を製造する方法:
45.8kgの水が、貯蔵容器に付加され、低いせん断力で一定に循環された。2.3kgの湿潤剤若しくは分散剤が低いせん断力で付加され、約10分間混合された。0.5kgの消泡剤がゆっくりと付加され、媒体が完全に均質化するまで、5分間低いせん断力で、実行された。1.5kgのカーボンナノチューブが媒体にゆっくりと付加された。予備分散の一定の循環を確保するために、溶解ディスクのせん断力を上昇させると共に、カーボンナノチューブのガン流量を増加させる。全ての成分が貯蔵容器に入れられた時点で、それが均質化を示すまで、中くらいのせん断力で30分間攪拌される。連続分散は、磨砕製粉機による逆混合で生じる。この分散は、貯蔵容器の排出弁のホースパイプを介して磨砕製粉機にポンプに供給され、酸化ジルコニウムビーズによって破砕室において分散される。破砕室後に設けられる排出弁は、貯蔵容器の上方に固定されるので、分散の一部は、貯蔵容器に環流し、溶解ディスクの回転によって分散の他の部分と一定に混合される。この連続分散は、5時間若しくは分散のガラス排出が、円滑で、光沢があり、凝集体から自由である表面を有するまで実行される。
【0172】
磨砕製粉機の説明:
Hosokawa Alpine AGから販売される標準の磨砕製粉機90AHM及び132AHMモデル
下記する目的を有する装置の選択:
・粉砕ボールによる堅い粒状物の粉砕(少なくとも1.4〜1.7mm若しくは2.0〜2.5mmのサイズ)
・機械圧の減少(スクリーンカートリッジのギャップ幅>カーボンナノチューブ、1mm;大きなホースパイプ直径)
・冷却工程の最適化(2重製粉容器の冷却、SiC供給ホースパイプ;2重循環ポンプの冷却)
・循環タンクにおける良好な循環(溶解ディスク)
【0173】
分散方法の説明(年代順):
・循環タンクにキャリア液を満たす
・消泡剤を付加する(例えばByk(登録商標)028、BYK-Chemie GmbH):溶解ディスクを使用した攪拌によって均質化する
・分散添加剤を付加する(例えばByk(登録商標)LP-N6587、BYK-Chemie GmbH):溶解ディスクを使用した攪拌によって均質化する
・装置をスイッチオンする:製粉機における溶液を均質化する
・少しずつカーボンナノチューブを付加する(1つのステップで付加することは、粘度の強力な発達により利益的でない)
・132AHMモデルの磨砕製粉機/2.3kgカーボンナノチューブ/8%の固体を含む分散
分散において約50分後の5%カーボンナノチューブ
分散において約110分後の6%カーボンナノチューブ
分散において約240分後の7%カーボンナノチューブ
分散において約370分後の8%カーボンナノチューブ
・定義された時間/定義されたエネルギー入力/定義された分散品質まで分散の分散化
【0174】
装置の説明:
全体的な装置は、3つの装置、いわゆる分散ユニット(Hosokawa Alpine AG)、高圧供給ポンプ(ViscoTec)及び押出成形機(Coperion)に分割される。分散ユニット(加工に基づく)は、132AHM磨砕製粉機(Hosokawa Alpine)、2つのホースパイプポンプ、溶解攪拌機を有する2×25リッタータンク、9つのバルブ、ホースパイプ組立からなるものである。
【0175】
分散ユニットの特性:
・いろいろなモード(循環モード、単通路モード、振り子モード)において可能な操作
・非常に異なっている製造物のために可能な装置の分割
・アイドル時間の最小化(可能な循環粉砕モードの間の平行混合)
【0176】
関連したポリマーを有するそれぞれのテストで得られる結果は、下記する表に集約され、ポリアミド(PA)(表3及び表4)、ポリエチレン(PE)(表5〜表8)、ポリプロピレン(PP)(表9及び表10)及び熱可塑性エラストマー(TPE)(表11及び表12)がプラスチックとして使用された。尚、表2は表3〜表12の項目(キー)の説明を示したものである。
【0177】
【表2】

【0178】
【表3】

【0179】
【表4】

【0180】
【表5】

【0181】
【表6】

【0182】
【表7】

【0183】
【表8】

【0184】
【表9】

【0185】
【表10】

【0186】
【表11】

【0187】
【表12】

【0188】
さらなるテストの結果は、以下の表13に示される。
【0189】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリマーとカーボンナノチューブとに基づいて複合材料を製造する方法であって、
(a) 連続相、好ましくは液相のカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を提供すること、特に連続相、好ましくは液相に、特に分散媒体若しくは分散剤に、分散し若しくは溶解するカーボンナノチューブを提供すること;
(b) ステップ(a)において製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を、特に混合された少なくとも1つのポリマーの溶融物に、均質化、特に混合で、且つ、連続液相の排除によって導入すること;それから、
(c) ステップ(b)で取得された溶融ポリマーとカーボンナノチューブの混合物を、少なくとも1つのポリマーとカーボンナノチューブを含む複合材料を形成するために、前記ポリマーが凝固するまで冷却すること;というステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
ポリアミド、ポリアセテート、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルファイド、ポリビニルクロライド、ポリエーテルイミド、ポルテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリラクテート及びそれらの混合物並びにコポリマーの群から選択される熱可塑性ポリマーが、前記ポリマーとして使用されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
使用される前記ポリマーは、熱可塑性ポリマーから選択され、好ましくは、ポリアミド;ポリオレフィン、特にポリエチレン及び/若しくはポリプロピレン;ポリエチレンテレフタラート(PETs)及びポリウレタンテレフタラート(PBTs);サーモプラスチックエラストマー(TPEs)、特にオレフィンベースサーモプラスチックエラストマー(TPE−Os若しくはTPOs)、架橋オレフィンベースサーモプラスチックエラストマー(TPE−Vs若しくはTPVs)、ウレタンベースサーモプラスチックエラストマー(TPE−Us若しくはTPUs)、サーモプラスチックコポリエステル(TPE−Es若しくはTPCs)、サーモプラスチックスチレンブロックコポリマー(TPE−S若しくはTPS)、サーモプラスチックコポリアミド(TPE−As若しくはTPAs);サーモプラスチックアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS);ポリラクテート(PLAs);ポリメチル(メス)アクリレート(PMAs若しくはPMMAs);ポリフェニレンスルファイド(PPS);及びそれらの混合物並びにコポリマーの群から選択されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記分散若しくは溶解は、圧力の入力で及び/若しくは超音波の入力で、特に高せん断分散によって若しくは摩耗によって、液相に混合することによりステップ(a)において製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)において実行されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解化は、磨砕製粉機において、超音波入力で、特にエネルギー入力で、さらに固形カーボンナノチューブの5,000〜50,000kWh/tの範囲内、好ましくは固形カーボンナノチューブの5,000〜20,000kWh/tの範囲内の粉砕エネルギーの入力で実行されること、且つ/又は、ステップ(a)において実行されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、高せん断分散によって達成できることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブは、それぞれの場合で結果として生じる分散若しくは溶解に基づいて、0.001〜30重量%、特に0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.01〜10重量%の濃度において使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記分散若しくは溶解が、カーボンナノチューブを、少しずつ若しくは数回に分けて前記連続液相に付加することによってステップ(a)において製造されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(a)は、少なくとも1つの分散剤の存在において実行され、特に前記分散剤が、前記カーボンナノチューブに基づいて、10〜300重量%、好ましくは50〜250重量%の量で使用されること、且つ/又は、前記分散剤が、湿潤剤及び界面活性剤の群から、好ましくはポリエーテル基によって改質された不飽和1,2酸無水物のコポリマーの群から、若しくはヒドロキシル化合物の付加産物及び/若しくはポリイソシアネートの第3級アミノ基含有化合物から選択されること、且つ/又は、前記分散剤が、少なくとも1,000g/mol、好ましくは少なくとも2,000g/mol、より好ましくは少なくとも3,000g/mol、最も好ましくは少なくとも4,000g/molの数平均分子量を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(a)が、少なくとも1つの消泡剤の存在で実行され、該消泡剤が、ミネラルオイルベース若しくはシリコンベース消泡剤及びそれらの混合物若しくは合成物の群から選択され、それぞれの場合においてカーボンナノチューブに基づいて、0.1〜300重量%、特に0.5〜150重量%、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは10〜150重量%、特に好ましくは20〜100重量%の量で、且つ/又は、それぞれの場合で、結果として生じる分散若しくは溶解に基づいて、0.01〜20重量%、特に0.02〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%の量で使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
水性物、有機物、若しくは水性有機溶剤、若しくは分散媒体が前記連続液相として使用されること、且つ/又は、分散若しくは溶解化の状態下において、特に大気圧(101.325kPa)で、10〜100℃の温度範囲、好ましくは25〜75℃の温度範囲で、液体凝集体状態で存在する溶剤若しくは分散媒体が、連続液相として使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
連続相、特に溶剤若しくは分散媒体が、大気圧(101.325kPa)で、20〜300℃の温度範囲、好ましくは50〜200℃の温度範囲、より好ましくは60〜150℃の温度範囲の沸点を有することを特徴とする請求項1〜10の意いずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(a)において製造されるカーボンナノチューブの分散若しくは溶解は、供給ポンプ及び/若しくは定量ポンプによって導入され、該導入が、2〜100bar、好ましくは5〜50bar、より好ましくは10〜40barの供給圧による圧力の付加によって実行されること、且つ/又は、前記導入が、一定の測定値で及び/若しくは一定の測定精度で実行されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(b)、特に前記ステップ(a)で製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解の少なくとも1つのポリマーの溶融物への導入は、押出成形機において実行され、特に該押出成形機は、スクリュー型押出成形機であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記押出成形機は、少なくとも1つのポリマーの溶融物に、前記ステップ(a)で製造されたカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を均質化若しくは全体的に混合するための混合手段を具備すること、且つ/又は、連続液体相を除去するために、減圧でガス抜きするガス抜き手段を具備することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記押出成形機は、少なくとも1つのポリマーを導入する第1の領域と、それに続くポリマーを溶融するための溶融領域と、それに続くカーボンナノチューブの分散若しくは溶解を供給する供給領域と、それに続き、排出領域と接続される均質化及びガス抜き領域とを含む複数の領域に区分されることを特徴とする請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
前記カーボンナノチューブは、ポリマー及びカーボンナノチューブから形成される複合材料に基づいて、0.001〜20重量%、特に0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜10重量%の量で混入されることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
・使用されるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWCNTs若しくはSWNTs)若しくは多層カーボンナノチューブ(MWCNTs若しくはMCNTs)、特に2〜30層、好ましくは3〜15層カーボンナノチューブから選択されること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、0.4〜50nm、特に1〜10nm、好ましくは2〜6nmの平均内側直径を有すること、且つ/又は、使用されるカーボンナノチューブは、1〜60nm、特に5〜30nm、10〜20nmの平均外側直径を有すること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、0.01〜1,000μm、特に0.1〜500μm、好ましくは0.5〜200μm、より好ましくは1〜100μmの平均長を有すること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、少なくとも1GPa、特に少なくとも5GPa、好ましくは少なくとも10GPaのカーボンナノチューブ毎の引張強度を有すること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、少なくとも0.1TPa、特に少なくとも0.5TPa、好ましくは少なくとも1TPaのカーボンナノチューブ毎の弾性係数を有すること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、少なくとも500W/mK、特に少なくとも1,000W/mK、好ましくは少なくとも2,000W/mKの熱伝導性を有すること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、少なくとも10S/cm、特に少なくとも0.5・10S/cm、好ましくは少なくとも10S/cmの電気伝導性を有すること、且つ/又は、
・使用されるカーボンナノチューブは、0.01〜0.3g/cm、特に0.02〜0.2g/cm、好ましくは0.1〜0.2g/cmの範囲内の嵩密度を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
使用されるカーボンナノチューブは、円筒型、スクロール型若しくはタマネギ状構造を有する型であり、及び/若しくは、単層若しくは多層、好ましくは多層であること、且つ/又は、使用されるカーボンナノチューブは、5以上、好ましくは100以上の外側直径に対する長さの比を有すること、且つ/又は、カーボンナノチューブは、凝集体の形で使用され、この凝集体は、0.05〜5mmの範囲内、特に0.1〜2mmの範囲内、好ましくは0.2〜1mmの範囲内の平均直径を有すること、且つ/又は、使用されるカーボンナノチューブは、3〜100nm、好ましくは5〜80nm、より好ましくは6〜60nmの平均直径を有すること、且つ/又は、積層を形成するために結合され若しくは巻き上げられた複数のグラファイト層を有するスクロール型のカーボンナノチューブが選択されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
該方法は、連続的若しくは断続的に実行され、特にステップ(a)は、非連続的に実行され、及び/若しくは、それに続くステップ(b)及び(c)は連続して実行されること特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのポリマー及びカーボンナノチューブを含む複合材料であって、請求項1〜19のいずれか1つ記載の方法によって得られたことを特徴とする複合材料。
【請求項21】
少なくとも1つのポリマー及びカーボンナノチューブを含む複合材料であって、該複合材料が、請求項1〜19のいずれか1つ記載の方法によって得られるものであり、前記複合材料が、該複合材料に基づいて、0.001〜20重量%、特に0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜10重量%のカーボンナノチューブ含有量を有することを特徴とする複合材料。
【請求項22】
カーボンナノチューブに基づいて0.01〜300重量%の量で、特に0.05〜250重量%の量で、好ましくは0.1〜200重量%の量で、より好ましくは0.5〜150重量%の量で、最も好ましくは1〜100重量%の量で少なくとも1つの分散剤を含有することを特徴とする請求項20又は21記載の複合材料。
【請求項23】
カーボンナノチューブに基づいて0.01〜200重量%の量で、特に0.05〜175重量%の量で、好ましくは0.1〜150重量%の量で、より好ましくは0.2〜100重量%の量で少なくとも1つの消泡剤を含有することを特徴とする請求項20〜22のいずれか1つに記載の複合材料。
【請求項24】
10オームより小さい、特に10オームより小さい、好ましくは10オームより小さい、より好ましくは10オームより小さい、さらに好ましくは10オームより小さい、最も好ましくは10オームより小さい表面抵抗、特に表面抵抗率を有することを特徴とする請求項20〜23のいずれか1つに記載の複合材料。
【請求項25】
1012オーム・cmより小さい、特に1011オーム・cmより小さい、好ましくは1010オーム・cmより小さい、より好ましくは109オーム・cmより小さい、さらに好ましくは108オーム・cmより小さい、最も好ましくは107オーム・cmより小さい体積抵抗、特に体積抵抗率を有することを特徴とする請求項20〜24のいずれか1つに記載の複合材料。
【請求項26】
電子工学及び電気工学、コンピュータ及び半導体工学及び工業、計測学及び関連産業、航空工学及び航空宇宙工学、缶詰産業、自動車工業及び冷却技術の分野における請求項20〜25のいずれか1つに記載の複合材料の使用。
【請求項27】
電子工学及び電気工学、コンピュータ及び半導体工学及び工業、計測学及び関連産業、航空工学及び航空宇宙工学、缶詰産業、自動車工業及び冷却技術の分野のための導体若しくは半導体構成部品、構成要素、構造、装置等の製造のための請求項20〜25のいずれか1つに記載の複合材料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511576(P2013−511576A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539201(P2012−539201)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000757
【国際公開番号】WO2011/060839
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512125677)バーダー アーゲー (1)
【出願人】(510050270)ベイヤー マテリアル サイエンス アーゲー (3)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【出願人】(501164665)コペリオン ゲーエムベーハー (20)
【出願人】(594102418)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ (63)
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D−80686 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】