説明

ポリマー基材上の耐久性透明電極

【課題】堅牢で耐久性に優れ、ナノスケールの透明電極に適用可能な伝導性組成物を提供する。
【解決手段】変性ナノコンダクターを形成するために第1の官能基をナノコンダクターの表面104上に導入し、伝導性材料組成物を形成するために少なくとも第1の官能基及び第2の官能基を含む分散剤を変性ナノコンダクターと混合し、変性ナノコンダクターの表面の第1の官能基が分散剤と反応することを特徴とするポリマー基材に用いるためのナノコンダクター100を処理する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、透明電極に関し、さらに詳細にはポリマー基材上の耐久性透明電極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、透明な伝導性酸化物は透明電極のグループに分類される。これらの透明な伝導性酸化物は、一般に、伝導性及び透明性の一方又は双方により定義される。これらの電極は、静電気防止コーティング、タッチ・スクリーン、フレキシブル・ディスプレイ、電子発光デバイス、エレクトロクロミック・システム、太陽電池及びエネルギー効率の良い窓等に幅広く応用されている。それぞれの応用には、通常一定の伝導性及び透明性が要求される。厳しい環境下で用いられる場合には、透明な伝導性酸化物の構造的及び機能的完全性を確保するというより厳しい要求が課せられることがある。
【0003】
静電気防止コーティング、タッチ・スクリーン、フレキシブル・ディスプレイ等の開発において、耐久性透明電極の処理に関連した技術が鍵となっている。これら全ての応用は、透明電極の優れた電気的、光学的及び機械的特性に依存する。
【0004】
酸化インジウムスズ(ITO)の薄膜は最も一般的な透明電極の一つであり、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、電子線蒸着、反応性蒸着及びパルスレーザー堆積を用いることによりポリエステルやポリカーボネート等のポリマー基材上に処理される。このような手法は、通常高い温度でのアニールや紫外線レーザープロセスを要求するため、ポリマー基材にダメージを与え、特にポリマーが芳香族系である場合には構造及び色の変化を引き起こす。さらには、圧縮内部応力が発生し、ITO薄膜に容易に引張亀裂を生じさせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、伝導性材料組成物が提供される。該伝導性材料組成物は、表面(104)が第1の官能基を含むナノコンダクター(100)と、少なくとも第1の官能基と第2の官能基を含む分散剤とを含むことを特徴とする。
【0006】
他の一態様によれば、ポリマー基材に用いるためのナノコンダクター(100)を処理する方法が提供される。該方法は、変性ナノコンダクターを形成するために第1の官能基をナノコンダクターの表面(104)上に導入し(12)、伝導性材料組成物を形成するために、少なくとも第1の官能基及び第2の官能基を含む分散剤を変性ナノコンダクターと混合する(14)ことを含み、変性ナノコンダクターの表面の第1の官能基が分散剤と反応することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】透明な伝導性酸化物(TCO)上の表面変性及びヒドロキシル基から異なる官能基への変換を示す図である。
【図2】炭素電極上の表面変性を示す図である。
【図3】透明電極の製造工程に用いられる分散剤の代表的な構造を示す図である。TBDMSはtert−ブチルジメチルシリルの略である。
【図4】透明電極の製造工程に用いられる分散剤の代表的な構造を示す図である。
【図5】コンダクターの表面上にアクリレートを導入することによる透明な伝導性酸化物(TCO)上の表面変性を示す図である。
【図6】ポリマー基材に用いるためのナノコンダクター(100)を処理する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に記載される実施形態は透明電極に関し、より詳細には、ポリマー基材上に透明電極を処理するために利用する組成物及びプロセスに関する。このような電極の例としては、酸化インジウムスズ(ITO)、ドープ酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、アンチモン添加酸化スズ(Sb−SnO)等の透明な伝導性酸化物がある。他の例としては、グラフェンのシート、炭素ナノチューブ、銀、銅、金、ニッケル、又はこれらの複合体がある。このような電極は表面上で変性され(即ち、機能化され)、化学的にポリマー基材に結合される。さらにはここで述べるように、電極はナノメーターのディメンションを有することが好ましい。このようなディメンションを有する電極は、一般的にここで述べるようなナノコンダクターであり、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノロッド、ナノベルト、ナノリボン及びナノ粒子を含む。これらの電極は、スピンコーティング、スプレー、浸漬コーティング、スクリーン印刷又はインクジェット印刷によって、ポリマー基材上に適用される。
【0009】
ここで述べるプロセスは、基材に透明電極を適用するための処理に着目したものであり、特にポリマー基材に適用するプロセスに関する。後述するように、少なくとも一つの先行技術の欠点に対応している。特に透明電極の薄膜がポリマー基材上に適用される場合、むき出しの電極は応力及び張力のためにラックが生じる傾向がある。特定の用途では、薄膜全体が基材から剥がれてしまうことがある。
【0010】
一実施例において、透明電極の良好な耐久性は、電極とポリマー基材とを結ぶ透明電極及び分散剤間の強固な共有結合によるものである。この化学結合は、例え2つの組成(透明電極及びポリマー基材)が異なる機械的、物理的及び化学的特性を有していても、効果的に透明電極材料とポリマー基材とを結びつけ、透明電極システムの良好な持続性を確保する。
【0011】
当実施例のさらなる利点は、透明電極に関する製造コストを削減することにある。特に、本開示に係る透明電極は単純な化学手法を用いて処理され、高真空装置やプロセスを用いない。透明電極もまたグラファイト等の安価な材料でよい。このような材料の併合は現在の薄膜体積技術とは大きく異なり、前述のようなコストの抑制に寄与する。
【0012】
一実施例において、本開示はポリマー基材に用いるためのナノコンダクター(100)を処理する方法に関する。図6はこのプロセスを説明するフローチャート10である。特に、電極は、変性ナノコンダクターを形成するために第1の官能基をナノコンダクターの表面上に導入することにより処理される(12)。該変性ナノコンダクターは、伝導性材料組成物を形成するために、好ましくは昇温状態で、分散剤と混合される(14)。該分散剤は、少なくとも2官能性であり、少なくとも第1の官能基及び第2の官能基を含む。混合において、変性ナノコンダクターの表面の官能基が分散剤、とりわけ、分散剤上の官能基と反応する。最終的な混合物は伝導性材料組成物であり、樹脂、ペースト又はインクである。
【0013】
そして、伝導性材料組成物はポリマー基材に適用される。反応せずに残った分散剤上の官能基は、ポリマー基材と化学的に反応して共有結合を形成する。この化学結合は電極とポリマー基材とを効果的に結合し、良好な持続性を確保する。
【0014】
他の実施例において、本開示は伝導性材料組成物に関する。伝導性材料組成物は統合製品を形成するためにポリマー基材に適用される。伝導性材料組成物は、電極、分散剤、及び随意で溶剤を含む。
【0015】
一般的に、電極は、透明な伝導性酸化物、炭素電極、金属及びこれらの組み合わせからなる。透明な伝導性酸化物(TCOs)としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、ドープ酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、アンチモン添加酸化スズ(Sb−SnO)及びこれらの組み合わせがある。炭素電極の例としては、グラフェンのシート、炭素ナノチューブがある。金属電極は、銀、銅、ニッケル、金、又はこれらの組み合わせがある。一般的に、TCOs及び炭素電極の伝導性は10−4Ωcm程度である。銀、銅及び金は典型的な優れた金属電極であり、TCOs及び炭素電極の約100−1000倍の範囲の伝導性を有する。
【0016】
本開示の組成物及び方法において、上記電極は単独或いは他の電極と組み合わせて用いられてもよい。先述の伝導性材料の複合体(即ち、2つあるいはそれ以上の組み合わせ)は、上記の伝導性材料を単独で用いた場合と比べて伝導性及び透明性を改良することができる。全ての伝導性材料がナノメーターの大きさで使用できる。一般的に、このようなディメンションを有する電極は、特に限定されないが、ここで述べるようなナノワイヤ、ナノチューブ、ナノロッド、ナノベルト、ナノリボン及びナノ粒子等を含むナノコンダクターである。以上のように、「電極」はナノコンダクターを含む。
【0017】
先述のように、電極の表面上に官能基を導入するために、電極が変性される。適切な官能基としては、特に限定されないが、ヒドロキシル(OH)、アミン(NH)、メルカプト(SH)、カルボキシル(COOH)、スルホン酸クロリド(SOCl)、ビニル(−C=C)、アクリレート(C=C−C=O)、エポキシ基、エステル、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。電極の表面上に官能基を導入するためには、どのような適切な方法も利用できる。官能基を導入するために用いられる方法は電極のタイプにより異なる。
【0018】
例えば、一実施形態において、電極は透明伝導性酸化物(TCO)であり、官能基はヒドロキシル基である。ヒドロキシル基は、図1に示すような、電極の表面を洗浄するプロセスにより、TCO電極の表面上に導入されてもよい。
【0019】
特に、図1に示されるように、酸化インジウムスズ(ITO)等の伝導性材料を含むナノワイヤ電極100は、脱イオン水、メタノール、イソプロピルアルコール及びアセトン中で、続けて超音波洗浄される。一実施形態において、連続した超音波洗浄のステップは、それぞれ10分程度ずつ行われる。超音波洗浄の後、電極は空気中で乾燥され、室温において約5分酸素プラズマ102にさらされる。具体例としては、酸素プラズマの照射は、酸素圧力約200mtorr、約30Wのプラズマ出力において行われる。次いで、電極100は0.05Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液中に約5分間浸され、多量のイオン水で完全に洗浄されて空気流で乾燥される。このプロセスの完了後、ITOナノワイヤ100の表面104はヒドロキシル基106を有している。
【0020】
他の実施形態では、電極100は透明な伝導性酸化物及び官能基はアクリレート154である。この例においては、図5に示すように、80℃の温度で一晩、アクリレート試薬144に電極100をさらすことにより、アクリレート官能基154は電極の表面104上に導入される。他の官能基もまた、同様の技術で電極の表面上に導入される。
【0021】
表面上の第1の官能基の導入によりTCO電極の表面が変性された後、該官能基を異なる一つ又は複数の官能基へ変換することにより、変性した表面はさらに随意で変性されてもよい。このような追加の官能基の例としては、特に限定されないが、アクリレート、エポキシ基、エステル、アミン、メルカプト基、スルホン酸クロリド、ビニル及びカルボン酸基等が挙げられる。第1の官能基を一つ又は複数の追加の官能基に変換するのはいかなる適切な方法であってもよい。これは、例えば、電極の表面上の第1の官能基を一つ又は複数の反応剤を用いて反応させる。
【0022】
このような反応の具体例が図1に示されている。具体的には、図1からわかるように、第1の官能基がヒドロキシル基106の場合、表面104上にヒドロキシル基106を有する電極100は、フタルイミド120やアジリジン122、又は他のアミドあるいはポリイミド(図示せず)等の反応剤と結合する。反応の結果、電極100の表面104上のヒドロキシル基106はアミン(NH)基130に変換される。あるいは、電極100の表面104上のヒドロキシル基106は、僅かに高い温度で、エステル140、アミド、ポリカーボネート、又はポリイミド(図示せず)等の反応剤と反応してヒドロキシル基106をカルボキシル基150に変換する。あるいは、電極100の表面104上のヒドロキシル基106は、僅かに高い温度で、エポキシ142と反応してヒドロキシル基106をアクリレート基152に変換する。他の適切な反応もまた利用される。これらの反応は一般的な化学変化であり、当業者によって容易に成されうる。この反応はTCO電極100の表面104を好ましい官能基に変性させる簡易な方法を提供する。
【0023】
他の実施形態において、電極はグラフェンのような炭素電極であってもよい。官能基は、過マンガン酸カリウム(KMnO)および硫酸(HSO)を用いたグラファイトの酸化によって、このような電極上に導入されてもよい。この酸化に続いて洗浄プロセスを行うことにより、グラフェンの表面上にヒドロキシル基、エポキシ、及びカルボキシル官能基が生じる。これは図2に示されている。
【0024】
表面への第1の官能基の導入によって炭素電極の表面が変性した後、該官能基を異なる一つ又は複数の官能基へ変換することにより、変性した表面はさらに随意で変性されてもよい。このような追加の官能基の例としては、特に限定されないが、アクリレート、エポキシ基、エステル、アミン、メルカプト基、スルホン酸クロリド、ビニル及びカルボン酸基等が挙げられる。第1の官能基の一つ又は複数の追加の官能基への変換は、いかなる適切な方法で行ってもよい。これは、例えば、上記のTCO電極のように、電極の表面上の第1の官能基を一つ又は複数の反応剤を用いて反応させる。
【0025】
官能基を導入することにより電極の表面が変性された後、変性された電極は伝導性材料組成物を形成するために、分散剤、あるいは随意で溶剤と混合される。一般的には、伝導性材料組成物は、約0.5重量%から約90重量%の電極を含み、約10重量%から約90重量%の分散剤を含む。伝導性材料組成物中に存在する電極及び分散剤の的確な量は、特定の用途や、製造された製品の伝導性及び透明性の要件に依存する。
【0026】
本開示の組成物及び方法に用いられる分散剤は、伝導性材料組成物中での電極の分散を助ける。さらには、先述のように、分散剤はポリマー基材に電極が化学的に結合するための架橋としても働き、電極及びポリマー基材は完全に併合される。この化学結合は、分散剤上に存在する官能基を介して成される。特に、分散剤は少なくとも、2官能性であり、少なくとも第1の官能基及び第2の官能基を含む。分散剤が変性された電極と混合されたとき、例えば、僅かに高い温度で一晩放置したとき、電極の表面の官能基は分散剤と、とりわけ、分散剤上の官能基の一つと反応する。この反応は、安定して、よく分散した、樹脂、ペースト又はインクといった伝導性材料組成物を提供する。さらなる変性電極上のオリゴマー化は、分散剤中の電極の分散性を向上させる。伝導性材料組成物は、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリイミド(PI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾオキサゾール(PBX)、ポリサルフォン、エポキシ、又は関連したシステム等の基材に適用される。組成物の基材への適用において、反応せずに残った分散剤上の官能基は、ポリマー基材と化学的に反応して共有結合を形成する。この化学結合は電極とポリマー基材とを効果的に結合し、良好な持続性を確保する。官能基及びポリマー基材が相溶性である場合には、電極上の官能基がポリマー基材上に直接結合してもよい。
【0027】
分散剤は、少なくとも2官能性の、即ち、少なくとも第1の官能基と第2の官能基とを含む、いかなる置換又は非置換の脂肪族化合物又は芳香族化合物でよい。分散剤上の第1及び第2の官能基は、同じものであってもよいし、それぞれ異なる官能基であってもよい。分散剤上の第1及び第2の官能基が同じである場合、好ましくは、一つの基は電極と反応する間に保護される。この保護は、伝導性材料をポリマー基材に適用する前に取り除かれる。
【0028】
例えば、一実施形態において、分散剤は次の構造を有する。
−R−R
【0029】
は置換又は非置換の脂肪族又は芳香族ヒドロカルビル部であり、R及びRはそれぞれ、アセチル酸クロリド、カルボン酸、エステル、イソシアネート、ビニル、アクリレート、アミン、アルデヒド及びヒドロキシルからなる群より選択される官能基である。特定の非限定的な分散剤の適例を図3及び4に示す。ここで示される特定の分散剤の例は限定的に解釈されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく変更されてもよい。
【0030】
先述のように、伝導性材料組成物はさらに、随意で溶剤を含んでいてもよい。この場合、伝導性材料組成物は約0.1重量%から約95重量%の溶剤を含む。用いられる溶剤の具体的な量は組成物の形態(例えば、インク、ペースト、樹脂)に依存する。メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−ジメチルホルムアミド、2−イソプロポキシエタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、トルエン、キシレン、ベンゼン、トリエチルアミン、及びこれらの組み合わせ等の、種々の溶剤を用いることができる。典型的には、伝導性材料組成物を形成する、僅かに高い温度における電極と分散剤との反応の前に、溶剤が電極及び分散剤と結合する。
【0031】
先述のように、伝導性材料組成物は、樹脂、ペースト又はインクの形態で作成されてもよい。組成物は、スピンコーティング、スプレー、浸漬コーティング、スクリーン印刷又はインクジェット印刷等のあらゆる適切な方法によって、ポリマー基材上に適用される。
【0032】
上記の処理方法によって得られるのは、ポリマー基材上の透明電極の処理のための伝導性材料組成物である。該伝導性材料組成物は、電極、分散剤、及び随意で溶剤を含む。電極に関しては、伝導性材料組成物は、一般的に透明な伝導性酸化物電極であり、特に限定されないが、酸化インジウムスズ(ITO)、ドープ酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、アンチモン添加酸化スズ(Sb−SnO)、グラフェンのシート、炭素ナノチューブ等の炭素電極、及び、銀、銅、ニッケル及び金等の金属電極のうちの一つあるいは複数である。電極は、ナノコンダクターであり、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノロッド、ナノベルト、ナノリボン及びナノ粒子、あるいは他のナノスケール・ディメンションを有する形態であってよい。
【0033】
上記の実施形態は次世代透明電極の記述である。ここで述べた材料及びプロセスは、すぐに様々な製造ライン及び製造プロセスへ適用することができ、その一方で、上記の実施形態と併合されたシステムをより堅牢で耐久性のあるものにすることができる。
【0034】
上記の材料及びプロセスは透明電極をナノスケール・ディメンションに利用することができる。結果として、内部応力が生じず、クラックが電極組成物内に導入されない。先述のように、プロセスはナノ電極(例えば、透明電極)の表面を変性し、共有結合によって電極をポリマー・マトリクスに併合させる。このようなプロセスを用いることにより、電極はマトリクス構造内に包含される。以上に述べたプロセス及び方法の様々な組み合わせの結果として、伝導性層には良好な耐久性及び堅牢性が付与される。
【0035】
様々な特定の実施形態によって本発明を記述したが、当業者であれば、本特許請求の精神及び範囲において、本発明が変更されることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(104)が第1の官能基を含むナノコンダクター(100)と、少なくとも第1の官能基と第2の官能基を含む分散剤とを含むことを特徴とする伝導性材料組成物。
【請求項2】
ナノコンダクター(100)が透明な伝導性酸化物、炭素電極、金属及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項3】
透明な伝導性酸化物が酸化インジウムスズ、ドープ酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモン添加酸化スズ及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の伝導性材料組成物。
【請求項4】
カーボンコンダクター(100)がグラフェン、炭素、ナノチューブ及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の伝導性材料組成物。
【請求項5】
金属が銀、銅、ニッケル、金及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の伝導性材料組成物。
【請求項6】
前記組成物が約0.5重量%ないし約90重量%のナノコンダクター(100)を含むことを特徴とする請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項7】
さらに溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項8】
前記溶剤がメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−ジメチルホルムアミド、2−イソプロポキシエタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、トルエン、キシレン、ベンゼン、トリエチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項7に記載の伝導性材料組成物。
【請求項9】
前記組成物が約0.1重量%ないし約95重量%の溶剤を含む請求項7に記載の伝導性材料組成物。
【請求項10】
前記組成物が約10重量%ないし約90重量%の分散剤を含む請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項11】
ナノコンダクター(100)の表面(104)の第1の官能基がヒドロキシル(106)、アクリレート(154)、エポキシ基(142)、エステル(140)、アミン、メルカプト、スルホン酸クロリド、ビニル及びカルボン酸基からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項12】
分散剤の第1の官能基及び分散剤の第2の官能基がそれぞれアセチル酸クロリド、カルボン酸、エステル(140)、イソシアネート、ビニル、アクリレート(154)、アミン、アルデヒド及びヒドロキシル(106)からなる群より選択される請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項13】
前記組成物が樹脂、ペースト又はインクである請求項1に記載の伝導性材料組成物。
【請求項14】
変性ナノコンダクターを形成するために第1の官能基をナノコンダクターの表面(104)上に導入し(12)、
伝導性材料組成物を形成するために、少なくとも第1の官能基及び第2の官能基を含む分散剤を変性ナノコンダクターと混合し(14)、
変性ナノコンダクターの表面の第1の官能基が分散剤と反応することを特徴とするポリマー基材に用いるためのナノコンダクター(100)を処理する方法。
【請求項15】
さらに、前記ポリマー基材に前記伝導性材料組成物を適用することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
スピンコーティング、スプレー、浸漬コーティング、スクリーン印刷又はインクジェット印刷によって、前記ポリマー基材に前記伝導性材料組成物を適用することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
変性ナノコンダクター(100)の表面(104)の第1の官能基がヒドロキシル基(106)であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
さらに、変性ナノコンダクター(100)の表面(104)のヒドロキシル基(106)を、アクリレート(154)、エポキシ基(142)、エステル(140)、アミン、メルカプト基、スルホン酸クロリド、ビニル、カルボン酸基及びこれらの組み合わせからなる群より選択された第2の官能基に変換することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
分散剤の第1の官能基及び分散剤の第2の官能基がそれぞれアセチル酸クロリド、カルボン酸、エステル(140)、イソシアネート、ビニル、アクリレート(154)、アミン、アルデヒド及びヒドロキシル(106)からなる群より選択される請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ナノコンダクター(100)が透明な伝導性酸化物、炭素電極、金属及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−50094(P2010−50094A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−186605(P2009−186605)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】