説明

ポリ(ヒドロキシアルカノエート)及び二酸の連結を含む埋め込み型用具のためのコーティング

埋め込み型医療用具のためのコーティング及びその製造方法が開示され、該コーティングは、少なくとも1つのポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)のブロックと、生体適合性ポリマーの少なくとも1つのブロックと少なくとも1種の連結部分とを含むブロックポリマーを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、薬剤溶出用血管ステントのような薬剤送達用具のためのコーティング、及びその製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
経皮経管冠状血管形成術(PTCA)は、アテローム性硬化症により冠状動脈に狭窄として現れることが多い心臓疾患を治療する手段である。外科医は、上腕動脈又は大腿動脈を経由して皮膚を介して患者の循環器系にバルーン部分を有するカテーテル部品を挿入する。外科医は、閉塞病変を横切ってカテーテル部品の位置決めを行う。外科医は、いったん位置決めされたバルーンを所定のサイズに膨らませ、病変のアテローム硬化性プラークを放射状に圧迫し、動脈壁を再構築する。バルーンをしぼませた後、外科医は、患者の脈管構造からカテーテルを引き出す。
【0003】
しかし、この処置は、内膜弁を形成したり、動脈内面を引き裂いたりすることがある。これらの損傷は、血管を破壊する又は閉塞する可能性がある。さらに、動脈は、この処置の数ヵ月後までに血栓及び再狭窄を発生する可能性があり、さらなる血管形成術又はバイパス手術による外科処置を必要とする可能性がある。動脈にステントを埋め込むことは、損傷を修正し、血管の開放性を維持するのに役立つ可能性がある。
【0004】
関連した様態で、ステント又はステントコーティングによる治療剤の局所投与によって再狭窄が軽減されている。しかし、近年のステント技術の進歩によってさえも、ステントは依然として望ましくない影響を引き起こしうる。たとえば、ステントを血液に連続して暴露することは血栓形成自体を招きうるし、血管におけるステントの存在は、長期に亘ると血管壁を弱め、それによって動脈破裂又は動脈瘤の形成が生じうる。また、ステントは組織肥大を生じうるので、それが役に立たなくなり、且つその連続した存在が種々の問題又は合併症の原因となる可能性がある。従って、治療部位に、もはや必要のない用具が連続して存在することに関連するリスクを減らすには、生分解性又は生体吸収性のステントが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリマーのステントコーティングは、生体内で有害反応及び炎症反応を起こしうる。そして、ポリマーで被覆されたステントの歴史はあまりない一方で、金属のままのステントは広範な歴史を有する。吸収可能な又は再吸収可能なコーティングを使用することによって、非吸収性ポリマーでは達成するのが難しい薬剤放出特性が可能になる。それ故、ステント上で浸食性、吸収性又は再吸収性のコーティングを使用することに大きな関心がある。次に、非ファウリング特性を持つ用具コーティングが望ましい。たとえば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)のような非ファウリング化合物がこれらの特性を提供する。しかし、PEGを含有するコポリマーが非ファウリング特性を持つためには、反発するタンパク質がこれを必要とするので、コポリマーがポリマーと水の界面で高い濃度のPEGを提示してタンパク質をはじかねばならないと考えられる。コポリマーにおける高い濃度のPEGは、他のコーティング性能の態様に有害に影響する可能性がある。たとえば、高いレベルのPEGは、水の膨潤を有意に高めることができる。このことは、言い換えれば、急速過ぎる薬剤放出につながりうる。それはまた、コーティングの機械的特性も低下させることができ、その耐久性を危うくする。従って、同時に非ファウリングであり、コーティングに好適な薬剤放出及び機械的特性を有する、生体吸収性又は生体分解性のポリマーに基づいた非ファウリング性コーティングに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施態様は、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックを含むブロックコポリマーに関するものであり、ブロックは、生体適合性ポリマー及び連結部分を含む。
【0007】
一部の実施態様では、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、以下に記載される特定の化合物から選択される。一部の実施態様では、ポリ(エチレングリコール)であるように生体適合性ポリマーを選択し、又は以下に記載されるそのほかのポリマーが選択される。
【0008】
一部の実施態様では、ジカルボン酸、二酸塩化物、無水物から、又はジイソシアネートから連結部分が選択される。場合によっては、ジカルボン酸は、以下で議論される特定の化合物から選択される。
【0009】
本発明のブロックポリマーは以下の式を有する
【化1】

【0010】
(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である。)
【0011】
ポリマーの実施態様に加えて、本発明の実施態様は、ポリマー、該ポリマーから作製されるコーティング及びそれらコーティングを含む医療用具の作製方法を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の定義が適用される。
【0013】
「生体分解性」、「生体浸食性」、「生体吸収性」及び「生体再吸収性」のコーティング又はポリマーは、血液のような体液に暴露された場合、完全に分解する又は浸食されることができ、生体が徐々に再吸収する、吸収する又は排除するそれらコーティング又はポリマーを意味する。コーティング又はポリマーを分解する、吸収する及び排除する過程は、加水分解、代謝過程、酵素的過程、全体の又は表面の分解などによって生じる。
【0014】
本開示の目的では、「生体分解性」、「生体浸食性(biologically erodable)」、「生体吸収性」及び「生体再吸収性」は、相互交換可能に使用される。
【0015】
「生体分解性」、「生体浸食性」、「生体吸収性」及び「生体再吸収性」のステントコーティング又はポリマーは、分解、浸食、吸収又は再吸収の過程が終了した後、ステント上にコーティングが残らないそれらコーティングを意味する。「分解性」、「生分解性」又は「生体分解性」は広く、生体分解性、生体浸食性、生体吸収性及び生体再吸収性のコーティング又はポリマーを包含する。
【0016】
「生体分解性」、「生体浸食性」、「生体吸収性」及び「生体再吸収性」は、コーティング又はポリマーを生体分解性、生体浸食性、生体吸収性及び生体再吸収性にするコーティング又はポリマーのそれら特性である。
【0017】
「大規模分解」及び「大規模で分解すること」は、幾つかの特徴を持つ分解過程を言う。先ず、ステント又はコーティングの高分子体への水の浸透速度は、ポリマーの加水分解又は質量損失速度よりはるかに速い。次に、加水分解が誘発するポリマーの分子量の低下が高分子ステント体又はステントコーティングの全体に亘って生じる。高分子体内部での酸性分解産物の集積による加水分解速度の特定の空間的変動を生じることができ、自己触媒効果と呼ばれる。酸性の分解産物自体が、さらにポリマーの加水分解を触媒することができる。質量損失相は、高分子体の分子量が低下した後、大規模分解にて後で生じる。その結果、理想化された大規模分解の場合、ステント又はコーティングの質量損失は、表面だけではなく、ステント又はコーティング全体に亘って生じる。
【0018】
用語「ブロックコポリマー」及び「グラフトコポリマー」は、国際純正応用化学連合(IUPAC)によって使用されている命名法に従って定義される。「ブロックコポリマー」は、ブロックの直鎖配置を有するコポリマーを言う。ブロックは、モノマー単位が隣接部分にない少なくとも1つの構成的な又は立体配置の特徴を有するポリマー分子の部分として定義される。「グラフトコポリマー」は、側鎖として主鎖に接続された1以上の種のブロックを伴った高分子から構成されるポリマーを言い、これらの側鎖は主鎖とは異なる構成的な又は立体配置の特徴を有する。
【0019】
用語「ABブロックコポリマー」は、一般式−{[A−]−[B]}−(式中、「m」、「n」、及び「x」は、それぞれ正の整数であり、mは2以上及びnは2以上である)に従って配置される部分A及びBを有するブロックコポリマーとして定義される。
【0020】
用語「ABAブロックコポリマー」は、一般式−{[A−]−[B]−[A]−}−(式中、「m」、「n」、「p」及び「x」は、それぞれ正の整数であり、mは2以上及びnは2以上及びpは2以上である)に従って配置される部分A及びBを有するブロックコポリマーとして定義される。
【0021】
A及びBのブロックの数を決定する整数の値は、たとえば、個々のブロックが正真正銘ポリマーであるとみなすに十分通常長いことを裏付けるためのものなので、ABA及びABのブロックコポリマーのブロックは末端で連結しなくてもよい。従って、ABAブロックコポリマーは、ポリA−ブロック−co−ポリBブロック−co−ポリAブロックコポリマーと命名することができ、ABブロックコポリマーは、ポリAブロック−co−ポリBブロックコポリマーと命名することができる。通常、3ブロックのサイズより大きいブロック「A」及び「B」は、交互又はランダムであることができる。
【0022】
用語「ポリ(ヒドロキシ酸)」は、高分子のヒドロキシ酸を言う。ヒドロキシ酸は、少なくともヒドロキシル基を1つ及び少なくともカルボキシル基を1つ有する物質である。
【0023】
用語「ポリ(ヒドロキシアルカノエート)」は、高分子のヒドロキシアルカノエートを言う。ヒドロキシアルカノエートは、ヒドロキシ酸のエステルである。
【0024】
本発明の実施態様に係るステントのような埋め込み型医療用具のためのコーティングは、以下の4つの層:
下塗り層
薬剤−ポリマー層(「リザーバ」若しくは「リザーバ層」とも言う)
上塗り層、又は
仕上げ塗り層
又は層の組み合わせのいずれかを含むことができる多層構造であることができる。
【0025】
ポリマー又はポリマーの混合物を溶媒又は溶媒の混合物に溶解し、用具上にスプレーすることにより又は用具を溶液に浸漬することによりその溶液を塗布することによって各コーティング層を形成することができる。この塗布の後、蒸発によってコーティングは乾燥する。高い温度での乾燥によって工程が加速される。約40℃〜約50℃の間で、約5分〜約60分の間、コーティングをアニールすることができる。一部の実施態様では、コーティングをアニールすることによってその熱力学的安定性が改善される。一部の実施態様はアニーリングを必要とし、一部の実施態様は特にアニーリングを排除する。
【0026】
薬剤をリザーバ層に組み入れるには、上述のように、用具に塗布するポリマー溶液と薬剤を組み合わせることができる。或いは、ポリマーを含まないリザーバを作製することができる。迅速な薬剤放出を望む一部の実施態様は、ポリマーを含まないリザーバを使用する。ポリマーを含まないリザーバを作製するには、薬剤を好適な溶媒又は溶媒混合物に溶解することができ、スプレーすることにより又はステントを薬剤溶液に浸漬することにより得られた薬剤溶液をステント上に塗布することができる。
【0027】
或いは、たとえば、適当な溶媒相における懸濁のようなコロイド系として、薬剤を導入することができる。たとえば、薬剤の性質のような種々の因子によって、当業者は、それに分散される薬剤の量と同様に懸濁溶媒、懸濁の溶媒相を選択することができる。懸濁液をポリマー溶液と混合することができ、上述のように混合物を用具に塗布することができる。ポリマーの溶液と混合することなく、薬剤の懸濁液を用具に塗布することができる。
【0028】
用具表面の少なくとも一部に薬剤−ポリマー層を直接塗布し、リザーバ層に組み入れられる少なくとも1つの活性剤又は薬剤を保存することができる。任意の下塗り層を用具とリザーバの間に塗布することができる。一部の実施態様では、これによって用具への薬剤−ポリマー層の接着性が改善される。リザーバ層の少なくとも一部に任意の上塗り層を塗布することができ、薬剤の放出速度を制御するのを助ける律速膜として役立つことができる。一部の実施態様では、上塗り層は本質的に活性剤又は薬剤を含まない。上塗り層を使用するのであれば、薬剤の放出速度をさらに制御し、コーティングの生体適合性を改善するために、上塗り層の少なくとも一部に任意の仕上げ塗り層を塗布することができる。上塗り層なしでは、リザーバ層に直接、仕上げ塗り層を溶着することができる。
【0029】
上塗り層及び仕上げ塗り層の双方を有するコーティングからの薬剤の放出は、少なくとも3つの工程を包含する。先ず、薬剤−ポリマーと上塗り層の界面で、上塗り層のポリマーが薬剤を吸着する。次に、上塗り層の高分子の間の自由体積を介して薬剤が拡散する。次に、薬剤が、上塗り層と仕上げ塗り層の界面に達する。最終的に、薬剤は、同様に仕上げ塗り層を介して拡散し、仕上げ塗り層の外面に達し、それから周囲の組織又は血流に脱離する。結果として、使用するならば、上塗り層と仕上げ塗り層の組み合わせは、律速バリアとして作用することができる。層の分解、溶解又は浸食を介して薬剤を放出することができる。
【0030】
実施態様の1つでは、用具コーティングのいずれか又はすべてを、生体的分解性、浸食性、吸収性又は再吸収性のポリマーから作製することができる。別の実施態様では、コーティングの最外層は、そのようなポリマーに限定することができる。
【0031】
さらに詳しく説明すると、上述の4つの層(すなわち、下塗り層、リザーバ層、上塗り層及び仕上げ塗り層)すべてを有するコーティングでは、最外層は、仕上げ塗り層であり、それは、生体的分解性、浸食性、吸収性又は再吸収性のポリマーから作製される。この場合、残りの層(すなわち、下塗り層、リザーバ層、上塗り層)は、生体分解性のポリマーを含むこともでき、それらは各層で同一であっても異なってもよい。
【0032】
仕上げ塗り層を使用しないのであれば、上塗り層が最外層であることができ、生体分解性のポリマーから作製することができる。これらの又はそのほかの実施態様では、残りの層(すなわち、下塗り層、リザーバ層)は、生体分解性のポリマーを含むこともでき、それらは3層のそれぞれで同一であっても異なってもよい。
【0033】
仕上げ塗り層も上塗り層も使用しないのであれば、用具コーティングは、2層のみ、下塗り層及びリザーバを有してもよい。この場合、リザーバが用具コーティングの最外層であり、生体分解性のポリマーを含むことができる。任意で、下塗り層も生体分解性のポリマーを含むことができる。2つの層は、同一素材又は異なった素材を含んでもよい。
【0034】
生体分解性、生体浸食性、生体吸収性又は生体再吸収性のポリマーの生体分解、生体浸食、生体吸収又は生体再吸収は、リザーバのポリマー、上塗り層又は双方が徐々に消失するので、薬剤の放出速度を高めることができる。薬剤の放出が高まるかどうかは、ポリマーの分解、浸食、及び吸収又は再吸収の速度に対比した薬剤の放出速度に依存する。適当なポリマー、薬剤対ポリマーの比、濃度及びコーティングの設計を選択することによって、コーティングは、所望に応じて迅速薬物放出又は持続薬物放出のいずれかを提供することができる。コーティングの設計において、PEG又は親水性成分の含量、ヒドロキシ酸のエステル結合の不安定性、ポリマーの分子量を選択することによって、ポリマーを操作して迅速分解又は持続分解を示すことができる。当業者は、持続放出速度又は迅速放出速度を有するコーティングが特定の薬剤に望ましいかどうかを決定することができる。たとえば、遊走抑制剤を負荷したコーティングには迅速放出が推奨されてもよく、1〜2週間以内に放出されることを必要とすることが多い。増殖抑制剤については、持続放出が必要とされてもよい(30日までの放出時間)。
【0035】
ステントコーティング層のいずれかを作製するのに使用することができる生体分解性、生体浸食性、生体吸収性又は生体再吸収性のポリマーには、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)のようなポリ(ヒドロキシ酸)若しくはポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)のようなその誘導体、又はその組み合わせの少なくとも1種が挙げられる。ポリ(ヒドロキシ酸)の例には、ポリ(乳酸)、すなわち、ポリ(D,L−乳酸)(DLPLA)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(β−ブチロラクトン)、ポリ(ベレロラクトン)、ポリ(グリコリド)ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸β−ラクトン)、及びポリ(ジオキサノン)が挙げられる。一部の実施態様は、特にこれらポリ(ヒドロキシ酸)の任意の1つ又は任意の組み合わせを排除する。
ポリ(乳酸)H−[O−CH(CH)−C(O)]−OHは、ラクチドが化合物(A)であり、ポリ(乳酸)が化合物(B)である反応1によって模式的に示されるようなラクチド(乳酸の環状二量体)の開環重合によって得ることができる。
【化2】

【0036】
ポリ(ラクチド)の数平均分子量は、約5,000〜約300,000ダルトンの間であり、化合物(B)における整数nの約69〜約4,166の間の値に相当する。当業者は、反応1によるラクチドのポリ(ラクチド)への変換を行うことができる条件を決定することができる。
【0037】
使用することができるポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)部分を含むポリマーには、式Iで説明されるブロックコポリマーが挙げられる。
【化3】

【0038】
(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは、連結部分であり、nは、約1〜約880の間、たとえば、約2〜約350の間、又は約4〜約175の間の値を有する整数である。
A−ブロック
【0039】
ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)A−ブロックの数平均分子量は、約72〜約100,000ダルトンの間、さらに狭くは約360〜約30,000ダルトンの間、又は約1,000ダルトンである。
【0040】
ポリ(ラクチド)の代わりに、そのほかのポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)A−ブロックが式Iのブロックコポリマーを構成することができる。代替のA−ブロックを作製するのに使用することができるポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)の一部の例には、以下が挙げられる。
ポリ(3−又は4−ヒドロキシブチレート)(3−PHB又は4−PHB)
ポリ(3−ヒドロキシバレレート)(3−PHV)
ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート)(3PHB又は3−HV)
ポリ(カプロラクトン)(PCL)
ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)
ポリ(L−ラクチド)
ポリ(D−ラクチド)
ポリ(D,L−ラクチド)
ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)
ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)
ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)
ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)
ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)
ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)
ポリ(L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)
ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)
ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)
ポリ(L−乳酸)
ポリ(D−乳酸)又は
ポリ(D,L−乳酸)
【0041】
上述の群の化合物のいかなる混合物も使用することができる。一部の実施態様では、これらの化合物は、それらが上述の群のいずれか1種又は任意の組み合わせを排除するように選択される。
B:B−ブロック
【0042】
Bブロックは生体適合性ポリマーである。好適な生体適合性部分の例には、以下が挙げられる。
ポリ(アルキレングリコール)、たとえば、PEG、ポリ(L−リジン)−グラフト−co−ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)又はポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);
ポリ(N−ビニルピロリドン);
ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)(AMPS)及びその塩;
ポリ(スチレンスルホネート);
スルホン化デキストラン;
ポリホスファゼン;
ポリ(オルソエステル);
ポリ(チロシンカーボネート);
ヒアルロン酸及びその誘導体、たとえば、ステアロイル又はパルミトイル置換基を有するヒアルロン酸、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸−ステアロイル又はヒアルロン酸−パルミトイルとPEGとのコポリマー;
ヘパリン及びその誘導体、たとえば、ヘパリンとPEGのコポリマー又はそのコポリマー;
ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);
ポリ(L−リジン)とポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマー及びその混合物;
ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);
ポリ(メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル);又は
ポリ(3−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)が挙げられる。
【0043】
これらの群の化合物のいかなる混合物も使用することができる。一部の実施態様は、これらの群又は化合物のいずれか1種又は任意の組み合わせが特に排除されるようにこれらの化合物を選択する。
【0044】
一部の実施態様では、好適な生体適合性ポリマー部分の分子量は、患者の腎臓が患者の血流から物質を取り除くように選択される。好適な生体適合性ポリマー部分の分子量は、化合物の腎臓クリアランスを確保するように40,000ダルトン未満、約100〜約40,000ダルトンの間、約300〜約20,000ダルトンの間、又は約1,000ダルトンであることができる。
C:連結部分X
【0045】
ブロックコポリマー(II)における連結部分Xは、2つの隣接する内部ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)ブロックを接続するように作用する。部分Xは、ジカルボン酸、(HOOC─(CH─COOH)、その無水物、酸塩化物、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン又はリジンジイソシアネートのようなジイソシアネートに由来することができ、その際、カルボキシルはエステル又はそのほかの非反応性の基に変換されている。使用することができるジカルボン酸の一例は、コハク酸である。使用することができる一部のそのほかのジカルボン酸の例を表1に要約する。
【表1】

【0046】
表1に示すジカルボン酸のいかなる混合物又はそれらの無水物も使用することができる。一部の実施態様では、表1に列記される酸のいずれか1種又は任意の組み合わせを排除するようにジカルボン酸が特に選択される。
【0047】
式Iで示されるブロックコポリマーは、当業者に既知の常法、たとえば、PEGのPLAとの縮重合、次いで、ジカルボン酸若しくは無水物、又は酸塩化物、又はクロロ無水物との反応によって合成することができる。
【0048】
式Iのブロックコポリマーを合成する方法の1つは、2工程法であり、第1の開環重合及び第2のカップリング工程を含む。開環重合は、ラクチドをPEGと反応させることを含み、その際、PEGはマクロ開始剤として使用される。オクタン酸スズの存在下、そのままで又はトルエンのような溶媒中で高い反応温度にて(約140℃)、縮合が起きることができ、これによって、ヒドロキシ末端のトリブロックコポリマーPLA−PEG−PLAが得られる。カップリングは、PLA−PEG−PLAトリブロックコポリマーをジカルボン酸又は無水物とさらに反応させ、鎖を接続することを含む。たとえば、コハク酸又はアジピン酸又は無水物をジカルボン酸として使用することができる。カップリング剤、たとえば、1,3−ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下でカップリングを行うことができる。DCCの代わりに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を使用することができる。カップリングでは、カルボジイミドと共に、たとえば、N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジン又は4−ピロリドンピリジンのような触媒が使用される。ジカルボン酸又は無水物の代わりに、ジイソシアネート又は二酸塩化物を使用することができる。
【0049】
一部の実施態様では、無水物として無水コハク酸を使用して、式Iのようなブロックコポリマーを得ることができ、その際、ポリ(D,L−ラクチド)がA−ブロックとして働き、ポリ(エチレングリコール)がB−ブロックとして働き、─CO─(CH2─COOH─が連結部分Xとして働く。そのようなブロックコポリマーの可能性のある構造の1つを式IIによって示す。
【化4】

【0050】
式IIによって示されるブロックコポリマーは、約2,000〜約200,000ダルトンの間、又は約45,000ダルトンの合計数平均分子量を有する。整数mの値は、約2〜約700、又は約10であることができる。整数nの値は、約2〜約700、又は約10であることができる。整数xの値は、約5〜約100、又は約14であることができる。整数yの値は、約2〜約700、又は約10であることができる。整数zの値は、約2〜約700、又は約10であることができる。整数aの値は、約5〜約100、又は約14であることができる。整数bの値は、約2〜約700、又は約10であることができる。
【0051】
これらの実施態様又はそのほかの実施態様では、ジカルボン酸又は無水物の代わりに、鎖の延長にジカルボン酸のクロロ無水物を使用することができる。たとえば、塩化アジポイル、塩化セバシル又は塩化テレフタロイルを使用することができる。この反応では、副生成物として放出されるHClを中和してPLAブロックを加水分解するのを回避することができる。一般的な中和剤は、トリエチルアミン及びピリジンである。当業者は、HClの中和のやり方を決定することができる。一部の実施態様では、鎖の延長に、ジカルボン酸のブロモ無水物を使用することができる。
【0052】
本発明の別の実施態様によれば、工程の順を反転することができる。縮合は、たとえば、乳酸のようなα−ヒドロキシ酸をジカルボン酸又は無水物と反応させてカルボキシル末端基を持つポリ(乳酸)−ジカルボン酸付加体を得ることを含むことができる。カップリングは、さらにPLA−ジカルボン酸付加体をPEGのようなヒドロキシ末端の生体適合性分子と反応させることを含む。DCC、又はDECのようなカップリング剤及びDMAPのような触媒の存在下、カップリングを行うことができる。このスキームは、下記式と非常に類似した複数ブロックのコポリマーを生じる。
【化5】

【0053】
(式中、A及びBのブロックは上記と同義である。
【0054】
本発明のさらに別の実施態様によれば、ブロックコポリマーが作製され、その際、ポリ(ヒドロキシ酸)と高分子生体適合性部分が別々に反応し、次いでカップリングされる。具体的には、反応IIで以下に示すように、PEGのようなヒドロキシ末端の高分子生体適合性部分を二酸又は無水物と反応させることによって第1のブロックを作製する。
【化6】

反応IIIに示すように、たとえば、1,3−プロパンジオールのような分子中に2個の水酸基を含む開始剤を用いて、ラクチドのような環状ヒドロキシ−アルカノエートの開環重合によって第2のブロックを作製する。
【化7】

【0055】
次いで、たとえば、DCC又はEDCのようなカップリング剤を用いて、これら2つのブロックを共にカップリングするが、それは、N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジン又は4−ピロリドンピリジンのような触媒によって促進される。この実施態様は、以下の式IIIによって説明されてもよい。
【化8】

【0056】
(式中、A−ブロック及びB−ブロック、及び連結部分Xは上記と同義である。連結部分Yは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ヒドロキシメチルベンゼン、セリノール、ジヒドロキシアセトン、2つの1級ヒドロキシル基を持つ直鎖又は分枝鎖のC〜C12炭化水素、及び不飽和及び2つの1級ヒドロキシル基を持つ直鎖又は分枝鎖のC〜C12であることができる分子中に2個の水酸基を持つ部分である。一部の実施態様では、上記のいずれか1つ又は任意の組み合わせを特に排除するようにY−部分が選択される。
【0057】
コーティングのいずれの層もいかなる量の上述の生体吸収性ポリマー又は1を超えるそのようなポリマーの混合物を含有することができる。層の100%未満が上述の生体吸収性ポリマーを含むのであれば、そのほかの代替のポリマーが残りを構成する。使用することができる代替ポリマーの例には、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸エチル−co−メタクリル酸ブチル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(エチレン−co−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリロニトリル−co−スチレン)及びポリ(シアノアクリレート)のようなポリアクリレート類;ポリ(フッ化ビニリデン)及びポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)のようなフッ素化ポリマー又はコポリマー;ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリジオキサノン;ポリオルソエステル;ポリ無水物;ポリ(L−ラクチド);ポリ(D,L−ラクチド);ポリ(D−ラクチド);ポリ(グリコリド);ポリ(ラクチド−co−グリコリド);ポリ(カプロラクトン);ポリ(3−ヒドロキシブチレート);ポリ(4−ヒドロキシブチレート);ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート);ポリ(グリコール酸);ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート);ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリ(アミノ酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);co−ポリ(エーテル−エステル);ポリシュウ酸アルキレン;ポリホスファゼン;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン及びヒアルロン酸のような生体分子;ポリウレタン;シリコーン;ポリエステル;ポリオレフィン;ポリイソブチレン及びエチレン−αオレフィンのコポリマー;ポリ塩化ビニルのようなビニルハロゲン化物のポリマー及びコポリマー;ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルケトン;ポリスチレンのようなポリビニル芳香族;ポリ酢酸ビニルのようなポリビニルエステル;ビニルモノマー同士及びビニルモノマーとオレフィンのコポリマー、たとえば、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL);ABS樹脂;及びポリ(エチレン−co−酢酸ビニル);ナイロン66及びポリカプロラクタムのようなポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル、エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;セルロース;酢酸セルロース;酪酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;セロファン;硝酸セルロース;プロピオン酸セルロース;セルロースエーテル及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。一部の実施態様は代替ポリマーを選択して、上記で列記された代替ポリマーのいずれか1種又は任意の組み合わせを特に排除する。
【0058】
ステントコーティングを作製するのに好適な一部の溶媒の代表例には、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、アセトン、i−プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル及びジオキサンが挙げられる。一部の溶媒混合物も同様に使用することができる。混合物の代表例には、
DMACとメタノール(たとえば、質量比50:50の混合物)
水とi−プロパノールとDMAC(たとえば、質量比10:3:87の混合物)
i−プロパノールとDMAC(たとえば、質量比80:20、50:50又は20:80の混合物)
アセトンとシクロヘキサノン(たとえば、質量比80:20、50:50又は20:80の混合物)
アセトンとキシレン(たとえば、質量比50:50の混合物)
アセトンとフルックスリムーバAMSとキシレン(たとえば、質量比10:50:40の混合物)及び
1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム((たとえば、質量比80:20の混合物)が挙げられる。
【0059】
フルックスリムーバAMSは、テキサス州、アマリロのテック・スプレー社により製造された溶媒の商標名であり、93.7%の3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンとの混合物を含み、残りはメタノールであり、微量のニトロメタンを含む。当業者は、溶解される特定のポリマーに好適な溶媒又は溶媒の混合物を選択するであろう。
【0060】
一部の実施態様は、ポリマーを含有する若しくはポリマーから構成される医療用具上に、又は金属を含有する若しくは金属から構成される医療用具上に又は未処理の医療用具上にコートされた発明のポリマーを含み、又は、医療用具上にすでに存在する薬剤コーティングの上にコートされた発明のポリマーを含む。或いは、一部の実施態様は、医療用具と薬剤コーティングの間に溶着された発明のポリマーを含む。また、一部の実施態様は、ポリマーに基づいた医療用具を含む発明のポリマー又は医療用具の基材(埋め込み型又はそうではない)を含む発明のポリマーを含む。一部の発明の実施態様は、ポリマーを含有するステント又はポリマーから構成されるステントから作製されない医療用具を含む。一部の発明の実施態様は、金属を含有するステント又は金属から構成されるステントから作製されないステントを含む。
【0061】
一部の実施態様では、発明のポリマーは、医療用具上のコーティングのための原料物質として役立つ。一部の実施態様では、コーティングは下塗り層を含有してもよい。一部の実施態様は、下塗り層を排除する。一部の実施態様では、発明のポリマーは、ポリマーを含有するか、含有しないかのいずれかの薬剤リザーバ層上の上塗りとして役立つ。一部の実施態様は、発明のポリマーの上に追加のポリマー層を採用する。この上層は、発明のポリマーの別の層であることができ、典型的なプラズマ重合層、プラズマ源なしで重合された層、又はこれらの組み合わせであることができる。これらの実施態様のうちで、一部は、追加の発明のポリマーの層、典型的なプラズマ重合層、プラズマ源なしで重合された層、又はこれらの組み合わせを特に排除する。
【0062】
一部の実施態様は、小型の疎水性薬剤のような従来の薬剤を発明のポリマー(上記実施態様のいずれかで議論したような)に添加して、それらを生体安定性の薬剤システムとする。一部の実施態様は、発明のポリマーに従来の薬剤をグラフトし、又は従来の薬剤を混合する。発明のポリマーは、生体有益性のポリマー層の基層又は上塗り層として役立つことができる。一部の実施態様では、薬剤は、患者において治療効果、診断効果又は予防効果を発揮することが可能である任意の物質である。
【0063】
選択された薬剤は、血管の平滑筋細胞の活性を阻害することができる。さらに具体的には、薬剤の活性は、平滑筋細胞の異常な又は不適当な移動又は増殖を阻害して再狭窄を防ぐ、抑制する、軽減する又は治療することを目的とする。薬剤はまた、本発明の実践において治療効果又は予防効果を発揮することが可能である任意の物質を包含する。そのような活性剤の例には、抗腫瘍物質、抗新生物物質、抗炎症性物質、抗血小板物質、抗凝固性物質、抗フィブリン性物質、抗血栓性物質、細胞分裂抑制性物質、抗生物質、及び抗酸化物質、並びにそれらの組み合わせ、及びプロドラッグ、代謝産物、類縁体、同族体、誘導体、塩及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
増殖抑制物質の例は、アクチノマイシンD又はその誘導体及び類縁体(ウィスコンシン州53233、ミルウォーキー、ウエストセントポール通り1001番地のシグマ−アルドリッチにより製造される;又はメルクから入手可能なコスメゲン)である。アクチノマイシンDの同義語には、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンCが挙げられる。抗新生物物質の例には、パクリタキセル及びドセタキセルが挙げられる。抗血小板物質、抗凝固性物質、抗フィブリン性物質、及び抗血栓性物質の例には、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類縁体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗血栓剤)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗剤、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤(バイオゲンから入手可能)及び7E−3B(登録商標)(セントコールの抗血小板剤)が挙げられる。細胞分裂抑制性物質の例には、メソトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン及びムタマイシンが挙げられる。細胞静止剤又は増殖抑制剤の例には、アンギオペプチン(イブセンのソマトスタチン類縁体)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、たとえば、カプトプリル(スクイブから入手可能)、シラザプリル(ホフマン・ラ・ロシュから入手可能)又はリシノプリル(たとえば、ニュージャージー州、ホワイトハウスステーションのメルク社から入手可能)、カルシウムチャンネル遮断剤(たとえば、ニフェジピン)、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗剤、ヒスタミン拮抗剤、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下剤、メルク社)、モノクローナル抗体(たとえば、PDGF受容体)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤(グラゾから入手可能)、スラミン、セロトニン遮断剤、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗剤)、及び一酸化窒素が挙げられる。そのほかの有用な薬剤には、α−インターフェロン、遺伝子操作を施した上皮細胞、デキサメタゾン、エストラジオール、プロピオン酸クロベタゾール、シスプラチン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤及びカルボプラチンが挙げられてもよい。組成物の薬剤への暴露が、薬剤の組成又は特徴を有害に変えるべきではない。従って、薬剤を含有する実施態様は組成物と相溶性である薬剤を選択する。ラパマイシンは好適な薬剤である。さらに、40−O−(ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン又はその機能的類縁体若しくは構造的誘導体も同様に好適である。40−O−(ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの類縁体又は誘導体の例には、とりわけ、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン及び40−O−2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチルラパマイシンが挙げられる。当業者は、40−O−(ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンのような薬剤の放出速度を有利に制御する種々の方法及びコーティングについて知っている。
【0065】
一部の実施態様は、それが、抗腫瘍物質、抗新生物物質、抗炎症性物質、抗血小板物質、抗凝固性物質、抗フィブリン性物質、抗血栓性物質、細胞分裂抑制性物質、抗生物質、若しくは抗酸化物質、又はプロドラッグ、代謝産物、類縁体、同族体、誘導体、塩及びそれらの組み合わせの少なくとも1つ又は任意の組み合わせを含有しないように薬剤を選択する。
【0066】
一部の実施態様は、それが、アクチノマイシンD、アクチノマイシンDの誘導体、ダクチノマイシン、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、及びアクチノマイシンC、パクリタキセル、ドセタキセル、アスピリン、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類縁体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗血栓剤)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗剤、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤及び7E−3B、メソトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、ムタマイシン、アンギオペプチン、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、カプトプリル、シラザプリル又はリシノプリル、カルシウムチャンネル遮断剤、ニフェジピン、コルヒチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗剤、ヒスタミン拮抗剤、ロバスタチン、モノクローナル抗体、PDGF受容体、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、PDGF拮抗剤、セロトニン遮断剤、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン、一酸化窒素、α−インターフェロン、遺伝子操作を施した上皮細胞、デキサメタゾン、エストラジオール、プロピオン酸クロベタゾール、シスプラチン、インスリン増感剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、カルボプラチン、ラパマイシン、40−O−(ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン又は40−O−(ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの機能的類縁体、40−O−(ヒドロキシ)エチル−ラパマイシンの構造的誘導体、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン及び40−O−2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチルラパマイシン、又はプロドラッグ、代謝産物、類縁体、同族体、誘導体、塩及びそれらの組み合わせの少なくとも1つ又は任意の組み合わせを含有しないように薬剤を選択する。
【0067】
一部の発明の実施態様は、薬剤又は薬剤の組み合わせを含み、一部は、薬剤又は薬剤の組み合わせを必要とする。上記で具体的に列記した薬剤のうち、一部の発明の実施態様は、これら薬剤の1つ又は任意の組み合わせを排除する。
【0068】
一部の実施態様は、多層配置においてほかのポリマーと組み合わせた発明のポリマーを含む。たとえば、発明のポリマーは、用具、医療用具、埋め込み型医療用具又はステントの上にコートされたポリマーのような別のポリマーの下に又は上に重ねればよい。一部の実施態様では、発明のポリマーは別のポリマーの下にはならず、他の実施態様では、発明ポリマーは、別のポリマーの上に重ならなければならない。
【0069】
一部の本発明の実施態様は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、ステント移植片、移植片(たとえば、大動脈移植片)、血管移植片、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカーの電極、ガイドワイヤ、心室補助人工心臓、人工心臓、心肺バイパス回路、血液酸素付加装置又は心内膜リードの少なくとも1つを排除するように医療用具の種類を規定する。
【0070】
一部の発明の実施態様は、発明のポリマーが、多層構造の1以上の層に存在する多層構造を含む。
【0071】
薬剤−ポリマー層を医療用具表面の少なくとも一部に直接塗布し、少なくとも1つの活性剤又は薬剤のためのリザーバとして役立てることができる。任意の下塗り層を用具とリザーバの間に塗布してポリマーの医療用具への接着性を改善することができる。一部の実施態様は、リザーバ層の少なくとも一部の上に上塗り層を塗布し、上塗り層は律速膜として役立ち、それは、薬剤の放出速度を制御するのを助ける。
【0072】
埋め込み型医療用具も本発明の範囲内である。そのような埋め込み型用具の例には、ステント、ステント移植片、移植片(たとえば、大動脈移植片)、人工心臓弁、腹部大動脈瘤用具、脳脊髄液シャント、ペースメーカーの電極、及び心内膜のリード(たとえば、ガイダント社より入手可能なフィネリン及びエンドタック)が挙げられる。用具の下に置く構造は、事実上、いかなる設計のものでもよい。用具は、コバルトクロム合金(エルギロイ)、ステンレス鋼(316L)、「MP35N」、「MP20N」、エラスチナイト(ニチノール)、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金イリジウム合金、金、マグネシウム、又はこれらの組み合わせのような、しかし、これらに限定されない金属材料又は合金から作製することができる。「MP35N」及び「MP20N」は、ペンシルベニア州、ジェンキンタウンのスタンダードプレススチール社から入手可能なコバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンの合金の商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム及び10%のモリブデンから成り、「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム及び10%のモリブデンから成る。
【0073】
以下の実施例を提供して本発明の実施態様をさらに説明する。
【実施例1】
【0074】
質量比30/70の、コハク酸でカップリングされるマルチブロック、PEG300−ポリ(D,L−ラクチド)の合成
【0075】
磁気撹拌機、吸引機及びアルゴンパージを備えた250mLの三つ首フラスコに、PEG300(37.5mg、0.125モル)を加える。油槽を用いて、PEGを105℃に加熱し、減圧下で2時間撹拌して水を除く。フラスコをアルゴンでパージし、D,L−ラクチド(76.94g、0.534モル)を加え、さらに30分間撹拌しながら、減圧する。アルゴンでパージした後、フラスコを140℃に加熱し、10.8mLの5%(w/w)オクタン酸スズの無水トルエン溶液を加えることによって重合を開始する。24時間撹拌した後、反応溶液を冷却し、500mLの冷却メタノールに注いでポリマーを沈殿させる。メタノール/石油エーテルでポリマーを洗浄し、減圧下で乾燥する。上記からのトリブロックコポリマー(25g、4.17x10−4モル)及び無水コハク酸(0.0417g、4.17x10−4モル)を200mLの無水ジクロロメタンに溶解する。これに、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.103g、5x10−4モル)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.0012g、1x10−5モル)を加える。室温にて24時間撹拌した後、反応溶液を遠心してジシクロヘキシル尿素を沈殿させ、上清溶液を150mLの冷却メタノールに注いでポリマーを沈殿させる。ろ過した後、メタノール/石油エーテルでポリマーを洗浄し、減圧下で乾燥する。
【実施例2】
【0076】
質量比10/90の、ヘキサメチレンジイソシアネートでカップリングされるマルチブロック、PEG600−ポリ(D,L−ラクチド)の合成
【0077】
磁気撹拌機、吸引機及びアルゴンパージを備えた250mLの三つ首フラスコに、PEG600(12.5mg、0.0208モル)を加える。油槽を用いて、PEGを105℃に加熱し、減圧下で2時間撹拌して水を除く。フラスコをアルゴンでパージし、D,L−ラクチド(109.4g、0.76モル)を加え、さらに30分間撹拌しながら、減圧する。アルゴンでパージした後、フラスコを140℃に加熱し、15.4mLの5%(w/w)オクタン酸スズの無水トルエン溶液を加えることによって重合を開始する。24時間撹拌した後、10%の無水ジメチルホルムアミドの溶液として1,6−ジイソシアナトヘキサン(10.13g、0.0602モル)を加え、140℃にてさらに1時間溶液を撹拌する。反応溶液を冷却し、500mLの冷却メタノールに注いでポリマーを沈殿させる。メタノール/石油エーテルでポリマーを洗浄し、減圧下で乾燥する。上記からのトリブロックコポリマー(25g、4.17x10−4モル)及び無水コハク酸(0.0417g、4.17x10−4モル)を200mLの無水ジクロロメタンに溶解する。これに、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.103g、5x10−4モル)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.0012g、1x10−5モル)を加える。室温にて24時間撹拌した後、反応溶液を遠心してジシクロヘキシル尿素を沈殿させ、上清溶液を150mLの冷却メタノールに注いでポリマーを沈殿させる。ろ過した後、メタノール/石油エーテルでポリマーを洗浄し、減圧下で乾燥する。
【実施例3】
【0078】
生体適合性の上塗りとしての実施例1のポリマーの使用
【0079】
以下の成分:
約2.0質量%のポリ(D,L−ラクチド)及び
残り部分、アセトン
を混合することによって第1の組成物を調製することができる。
【0080】
未処理の12mm小型ビジョンステント(ガイダント社から入手可能)の表面に第1の組成物を塗布することができる。コーティングをスプレーし、乾燥して下塗り層を形成することができる。約2.5psi(0.17気圧)のフィード圧及び約15psi(1.02気圧)の噴霧圧を持ち、常温で維持された0.014丸型ノズルを有するスプレーコーターを使用することができる。スプレーパス1回当たり約20μgのコーティングを塗布することができる。スプレーパスとスプレーパスの間で、約50℃の蒸気流中にて約10秒間ステントを乾燥することができる。水分を持ったコーティング約110μgを塗布することができる。約80℃にて約1時間ステントを焼き付け、約100μgのポリ(D.L−ラクチド)から構成される下塗り層を得ることができる。
【0081】
以下の成分:
約2.0質量%のポリ(D,L−ラクチド)
約1.0質量%のエベロリムス及び
残り部分、アセトンと2−ブタノンの50/50混合物(w/w)
を混合することによって第2の組成物を調製することができる。
【0082】
下塗り層を塗布するのに使用したのと同様のスプレー技法及び器具を用いて、乾燥した下塗り層の上に第2の組成物を塗布して、薬剤−ポリマー層を形成することができる。約水分を含んだコーティング180μgを塗布し、次いで乾燥し、約50℃にて約1時間焼き付けて固形分約170μgを有する乾燥薬剤−ポリマー層を得ることができる。
【0083】
以下の成分:
約2.0質量%の実施例1のポリマー;及び
残り部分、アセトンとクロロホルムの50/50混合物(w/w)
を混合することによって第3の組成物を調製することができる。
【0084】
下塗り層及び薬剤−ポリマー層を塗布するのに使用したのと同様のスプレー技法及び器具を用いて、乾燥した薬剤−ポリマー層の上に第3の組成物を塗布して、上塗り層を形成することができる。水分を含んだコーティング約110μgを塗布し、次いで乾燥し、約50℃にて約1時間焼き付けて固形分約100μgを有する乾燥上塗り層を得ることができる。
【実施例4】
【0085】
薬剤/ポリマーリザーバコーティングとしての実施例1のポリマーの使用
【0086】
以下の成分:
約2.0質量%のポリ(D,L−ラクチド)及び
残り部分、アセトン
を混合することによって第1の組成物を調製することができる。
【0087】
未処理の12mm小型ビジョンステント(ガイダント社から入手可能)の表面に第1の組成物を塗布することができる。コーティングをスプレーし、乾燥して下塗り層を形成することができる。約2.5psi(0.17気圧)のフィード圧及び約15psi(1.02気圧)の噴霧圧を持ち、常温で維持された0.014丸型ノズルを有するスプレーコーターを使用することができる。スプレーパス1回当たり約20μgのコーティングを塗布することができる。スプレーパスとスプレーパスの間で、約50℃の蒸気流中にて約10秒間ステントを乾燥することができる。水分を持ったコーティング約110μgを塗布することができる。約80℃にて約1時間ステントを焼き付け、約100μgのポリ(D.L−ラクチド)から構成される下塗り層を得ることができる。
【0088】
以下の成分:
約2.0質量%の実施例2のポリマー
約0.5%のパクリタキセル
残り部分、アセトンとクロロホルムの50/50混合物(w/w)
を混合することによって第2の組成物を調製することができる。
【0089】
下塗り層を塗布するのに使用したのと同様のスプレー技法及び器具を用いて、乾燥した下塗り層の上に第2の組成物を塗布して、薬剤−ポリマー層を形成する。水分を含んだコーティング約150μgを塗布し、次いで乾燥し、約50℃にて約1時間焼き付けて固形分約140μgを有する薬剤−ポリマー層を得ることができる。
【0090】
本発明の特定の実施態様を示し、記載してきたが、さらに広い側面にて本発明から逸脱することなく、変更及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。従って、添付のクレームは、本発明の真の精神及び範囲に入るものとしてそのような変更及び修正すべてをその範囲内に包含するものとする。
【0091】
従って、種々の実施態様を上記に記載している。便宜上、発明の実施態様を構成する側面(たとえば、モノマー又は開始剤の種類)の組み合わせは、それらが必ずしも排他的であることを意図しない場合、当業者がそれらを互いに排他的であると読み取ってもよいような方法で列記されている。ただし、1つの実施態様に関する側面の詳述は、過度の実験なしで該側面を組み入れることができるすべての実施態様でのその使用を開示することを意味する。同様に、実施態様の一部を構成するときの側面の詳述は、該側面が特に該側面を排除する補完的実施態様が存在するという暗黙の認識である。
【0092】
さらに、一部の実施態様は、範囲を列挙する。これが行われる場合、範囲(単数)としての範囲(複数)を開示し、端点を含む範囲の中で各点及びあらゆる点を開示することを意味する。側面に関する具体的な値又は条件を開示するそれら実施態様については、さもなけば同一であるが、具体的には該側面に関する該値又は該条件を含む補完的実施態様が存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)のブロックと、少なくとも1種の生体適合性ポリマーのブロックと、連結部分とを含むポリマー。
【請求項2】
前記ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)が、ポリ(3−又は4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(D,L−乳酸)又はこれらの組み合わせの1つである請求項1のポリマー。
【請求項3】
前記生体適合性ポリマーがポリ(エチレングリコール)である請求項1のポリマー。
【請求項4】
前記生体適合性ポリマーが、ポリ(アルキレングリコール)、PEG、ポリ(L−リジン)−グラフト−co−ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)又はポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)及びその塩;ポリ(スチレンスルホネート);スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン;ポリ(オルソエステル);ポリ(チロシンカーボネート);ヒアルロン酸及びその誘導体、ステアロイル又はパルミトイル置換基を有するヒアルロン酸、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸−ステアロイル又はヒアルロン酸−パルミトイルとPEGとのコポリマー;ヘパリン及びその誘導体、ヘパリンとPEGのコポリマー又はそのコポリマー;ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);ε−カプロラクトン;β−ブチロラクトン;δ−バレロラクトン;ポリ(L−リジン)とポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマー及びその混合物;グリコリド;ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);ポリ(メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル);ポリ(3−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)又はこれらの組み合わせの1つである請求項1のポリマー。
【請求項5】
前記連結部分が、ジカルボン酸、二酸塩化物、若しくは無水物、又はジイソシアネートに由来する請求項1のポリマー。
【請求項6】
前記ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン−1,9−ジカルボン酸、デカン1,10−ジカルボン酸、ブラシル酸、ドデカン−1,12−ジカルボン酸、トリデカン−1,13−ジカルボン酸、タプス酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸及び1,3−アセトンジカルボン酸の少なくとも1つ又は任意の組み合わせである請求項1のポリマー。
【請求項7】
以下の式を有する請求項1のポリマー
【化1】

(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である)。
【請求項8】
nが約10である請求項7のポリマー。
【請求項9】
以下の式を有する請求項1のポリマー
【化2】

(式中、mは約2〜約700の間であり、nは約2〜約700の間であり、xは、約5〜約100の間であり、yは、約2〜約700の間であり、zは、約2〜約700の間であり、aは、約5〜約100の間であり、且つbは、約2〜約700の間である)。
【請求項10】
mが約10であり、nが約10であり、xが約14であり、yが約10であり、zが約10であり、aが約14であり、且つbが約10である請求項9のポリマー。
【請求項11】
少なくとも1種のポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)を少なくとも1種の生体適合性ポリマー及び少なくとも1種の鎖延長化合物と反応させてブロックコポリマーを得ることを含む方法。
【請求項12】
医療用具の埋め込み可能部分の領域上に前記ブロックコポリマーを溶着させることをさらに含む請求項11の方法。
【請求項13】
前記医療用具がステントである請求項12の方法。
【請求項14】
前記ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシ−アルカノエート)が、ポリ(ラクチド)、ポリ(乳酸)、ポリ(3−又は4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)又はそれらの混合物の1つである請求項11の方法。
【請求項15】
ポリ(ラクチド)が、ポリ(D−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)又はポリ(D,L−ラクチド)を包含する請求項14の方法。
【請求項16】
前記生体適合性ポリマーが、ポリ(エチレングリコール)である請求項11の方法。
【請求項17】
前記生体適合性ポリマーが、ポリ(アルキレングリコール)、PEG、ポリ(L−リジン)−グラフト−co−ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)又はポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)及びその塩;ポリ(スチレンスルホネート);スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン;ポリ(オルソエステル);ポリ(チロシンカーボネート);ヒアルロン酸及びその誘導体、ステアロイル又はパルミトイル置換基を有するヒアルロン酸、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸−ステアロイル又はヒアルロン酸−パルミトイルとPEGとのコポリマー;ヘパリン及びその誘導体、ヘパリンとPEGのコポリマー又はそのコポリマー;ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);ε−カプロラクトン;β−ブチロラクトン;δ−バレロラクトン;ポリ(L−リジン)とポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマー及びその混合物;グリコリド;ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル);ポリ(メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル);ポリ(3−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)又はこれらの組み合わせの1つである請求項11のポリマー。
【請求項18】
前記鎖延長化合物が、ジカルボン酸、二酸塩化物、若しくは無水物、又はジイソシアネートである請求項11の方法。
【請求項19】
前記ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン−1,9−ジカルボン酸、デカン1,10−ジカルボン酸、ブラシル酸、ドデカン−1,12−ジカルボン酸、トリデカン−1,13−ジカルボン酸、タプス酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸及び1,3−アセトンジカルボン酸の少なくとも1つ又は任意の組み合わせである請求項18の方法。
【請求項20】
前記ブロックポリマーが、以下の式
【化3】

(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは、ジカルボン酸若しくは無水物、又はジイソシアネートに由来する連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である)を有する請求項11の方法。
【請求項21】
前記ポリマーが、以下の式
【化4】

(式中、mは約2〜約700の間であり、nは約2〜約700の間であり、xは、約5〜約100の間であり、yは、約2〜約700の間であり、zは、約2〜約700の間であり、aは、約5〜約100の間であり、且つbは、約2〜約700の間である)有する請求項11の方法。
【請求項22】
mが約10であり、nが約10であり、xが約14であり、yが約10であり、zが約10であり、aが約14であり、且つbが約10である請求項21のポリマー。
【請求項23】
前記ブロックポリマーが、以下の式
【化5】

(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは、ジカルボン酸若しくは無水物、又はジイソシアネートに由来する連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である)を有する請求項11の方法。
【請求項24】
前記ブロックポリマーが、以下の式
【化6】

(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは、ジカルボン酸若しくは無水物、又はジイソシアネートに由来する連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である)を有する請求項11の方法。
【請求項25】
請求項1のポリマーで作られたコーティング。
【請求項26】
請求項2のポリマーで作られたコーティング。
【請求項27】
請求項6のポリマーで作られたコーティング。
【請求項28】
請求項7のポリマーで作られたコーティング。
【請求項29】
請求項9のポリマーで作られたコーティング。
【請求項30】
請求項1のコーティングを含む医療用具。
【請求項31】
請求項2のコーティングを含む医療用具。
【請求項32】
請求項6のコーティングを含む医療用具。
【請求項33】
請求項7のコーティングを含む医療用具。
【請求項34】
請求項9のコーティングを含む医療用具。
【請求項35】
以下の式を有する請求項1のポリマー
【化7】

(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である)。
【請求項36】
nが約10である請求項35のポリマー。
【請求項37】
以下の式を有する請求項1のポリマー
【化8】

(式中、Aは、ポリ(ヒドロキシ酸)又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)のブロックであり、Bは、高分子生体適合性部分のブロックであり、Xは連結部分であり、nは約2〜約700の間の整数である)。
【請求項38】
nが約10である請求項37のポリマー。

【公表番号】特表2008−508395(P2008−508395A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523593(P2007−523593)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/024314
【国際公開番号】WO2006/055049
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(504183388)アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド (40)
【Fターム(参考)】