説明

ポンプ装置

【課題】ポンプ装置において、装置の小型化及び低コスト化を可能とする。
【解決手段】中空形状をなすハウジング11内に、電気モータ13と、この電気モータ13により負圧流体を生成可能な圧力流体生成機構12と、この圧力流体生成機構12により生成される負圧流体を蓄圧可能なチャンバ17を設け、このチャンバ17内に電気モータ13の本体部を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を吸引して負圧を生成したり、流体を圧縮して高圧を生成するポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置として用いられるスラストピストンポンプ装置としては、例えば、下記特許文献1、2に開示されたものがある。特許文献1に記載されたスラストピストンポンプ装置は、ホルダに対して、その内部に設けられたシリンダ部材の相対的な回転運動を、カム部材を介してピストンの往復運動に変換させ、このピストンの往復運動により吸入した流体を圧縮し、圧力流体として蓄圧するものである。
【0003】
また、特許文献2に開示された往復ピストン式気体圧縮機では、電動機により駆動軸を駆動し、一体のクランク軸をもってシリンダに挿入したピストンを往復運動させ、気体を電動機ケースの導気孔から吸引し、電動機を経てクランクケース内へ導き、シリンダにおけるピストンの前側へ吸引して加圧し、シリンダの先端より送り出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−223512号公報
【特許文献2】特開2007−051615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なポンプ装置の構成要素としては、電動機(モータ)とポンプ機構と蓄圧タンクが必要である。上述した従来のポンプ装置(特許文献1,2)にあっては、この電動機とポンプと蓄圧タンクが別々に設けられていることから、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、装置の小型化及び低コスト化を可能とするポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のポンプ装置は、中空形状をなすハウジング内に、電動機と、該電動機により負圧流体または高圧流体を生成可能な圧力流体生成機構と、該圧力流体生成機構により生成される負圧流体または高圧流体を蓄圧可能なチャンバが設けられ、前記チャンバ内に前記電動機の本体部が設けられる、ことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のポンプ装置では、前記ハウジングは、モータハウジングとポンプハウジングとが一体に固定されて構成され、前記モータハウジング内に前記電動機の本体部と前記チャンバが設けられることを特徴としている。
【0009】
本発明のポンプ装置では、前記圧力流体生成機構は、前記電動機の内側に配置されることを特徴としている。
【0010】
本発明のポンプ装置では、前記圧力流体生成機構は、吸入部から吸入した流体を圧縮して排出部から排出可能であり、前記チャンバは、一端部に吸入口が設けられて他端部が前記圧力流体生成機構の吸入部に連通されることで、負圧流体を蓄圧可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明のポンプ装置では、前記圧力流体生成機構は、円筒形状をなして前記ハウジングに固定されるシリンダ部材と、該シリンダ部材の内部にシリンダ軸方向にて往復動自在に設けられて各軸端部と前記シリンダ部材との間に第1ポンプ室及び第2ポンプ室を区画する往復動ピストンと、前記シリンダ部材の外側に相対回転自在に設けられて前記電動機により回転可能なホルダと、前記ホルダの回転運動を前記往復動ピストンの往復運動に変換する運動変換機構と、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室に流体を吸入可能な吸入通路と、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を排出可能な排出通路とを有することを特徴としている。
【0012】
本発明のポンプ装置では、前記ハウジングは、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を排出する第1排出口及び第2排出口が前記電動機の回転軸中心における各軸端部側に配置され、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室に流体を吸入可能な吸入口が前記第1排出口及び前記第2排出口より前記電動機の径方向の外側に配置されることを特徴としている。
【0013】
本発明のポンプ装置では、前記第1ポンプ室と前記第2ポンプ室のいずれか一方から前記往復動ピストンを貫通して前記運動変換機構に潤滑材を供給可能な潤滑材供給路が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポンプ装置によれば、中空形状をなすハウジング内に電動機と圧力流体生成機構とチャンバを設け、チャンバ内に電動機の本体部を設けている。従って、装置の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るポンプ装置を表す断面図である。
【図2】図2は、実施例1のポンプ装置におけるカム軌跡を表す概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係るポンプ装置を表す概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施例3に係るポンプ装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るポンプ装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1に係るポンプ装置を表す断面図、図2は、実施例1のポンプ装置におけるカム軌跡を表す概略図である。
【0018】
実施例1のポンプ装置は、電気モータ(電動機)により駆動可能な電動式のスラストピストンポンプ装置である。そして、このポンプ装置は、後述するが、ハウジング内に、電気モータと、この電気モータにより負圧流体(負圧エア)を生成可能な圧力流体生成機構と、圧力流体生成機構により生成される負圧流体を蓄圧可能なチャンバが設けられ、このチャンバ内に電気モータの本体部が設けられている。
【0019】
即ち、実施例1のポンプ装置にて、図1に示すように、中空形状をなすハウジング11内には、その中心部に圧力流体生成機構12が配置され、この圧力流体生成機構12の外周側に電気モータ13が配置されている。このハウジング11は、圧力流体生成機構12の外側であって、電気モータ13の回転軸中心における軸方向の一方側に、圧力流体生成機構12へ流体を吸入可能な吸入口14が形成される一方、圧力流体生成機構12の軸中心における軸方向の両方側に、圧力流体生成機構12から流体を排出する第1排出口15及び第2排出口16が形成されている。そして、ハウジング11内にて、吸入口14から圧力流体生成機構12までの空間が、この圧力流体生成機構12により生成される負圧流体を蓄圧可能なチャンバ17として機能し、このチャンバ17内に電気モータ13の本体部が位置している。
【0020】
ハウジング11は、有底の円筒形状をなすモータハウジング21と、このモータハウジング21の開口端側に嵌合するように一体に固定される円板形状をなすポンプハウジング22とにより構成されている。そして、モータハウジング21における底部の外周側に吸入管23が固定されることで、吸入口14が形成されている。また、モータハウジング21における底部の中心部と、ポンプハウジング22における中心部に排出管24,25が固定されることで、第1排出口15と第2排出口16が形成されている。この場合、モータハウジング21内に電気モータ13の本体部とチャンバ17が設けられている。
【0021】
圧力流体生成機構12は、円筒形状をなすシリンダ部材26と、このシリンダ部材26内に組付けられて円柱形状をなす往復動ピストン27と、シリンダ部材26の外側に組付けられて円筒形状をなすホルダ28と、シリンダ部材26及び往復動ピストン27に対するホルダ28の相対的な回転運動を往復動ピストン27の往復運動に変換する運動変換機構29とを有している。
【0022】
シリンダ部材26は、内部に軸心方向に沿うシリンダ孔26aが形成されると共に、軸心方向に直交する方向に沿う2つの貫通孔26bが形成されている。そして、シリンダ部材26は、一端部が排出管24のフランジ部24aに嵌合するように固定され、他端部がポンプハウジング22の突出部22aに嵌合すると共に、排出管25のフランジ部25aに嵌合するように固定されている。即ち、シリンダ部材26は、各排出管24,25を介して、且つ、直接、ハウジング11の軸中心位置に固定されている。
【0023】
往復動ピストン27は、シリンダ孔26aにシリンダ軸方向に沿って移動自在に嵌合されており、軸方向の一方側に第1ピストン部31が設けられる一方、軸方向の他方側に第2ピストン部32が設けられている。そして、第1ピストン部31は、外周部にシリンダ孔26aとの間でシール機能を有する環状のシール部材33が装着され、第2ピストン部32は、外周部にシリンダ孔26aとの間でシール機能を有する環状のシール部材34が装着されている。
【0024】
排出管24の端部には、往復動ピストン27の第1ピストン部31に対向して仕切板35が固定されることで、シリンダ部材26と第1ピストン部31と仕切板35により第1ポンプ室P1が区画される。また、排出管25の端部には、往復動ピストン27の第2ピストン部32に対向して仕切板36が固定されることで、シリンダ部材26と第2ピストン部32と仕切板36により第2ポンプ室P2が区画される。
【0025】
また、排気管24のフランジ部24aには、チャンバ17と第1ポンプ室P1とを連通する連通孔(吸入部)24bが形成されている。一方、シリンダ部材26における他端部には、連通孔26cが複数形成されると共に、排気管25のフランジ部25aには、チャンバ17(連通孔26c)と第2ポンプ室P2とを連通する連通孔(吸入部)25bが形成されている。
【0026】
更に、仕切板35は、外周部とシリンダ孔26aとの間に隙間が形成され、外周部には、この隙間を開閉する環状をなす吸気弁(一方向弁、逆止弁)37が固定されている。また、仕切板35は、中心部に開閉孔35aが形成され、排気管24の台座部24cには、この開閉孔35aを開閉する排気弁(一方向弁、逆止弁)38が圧縮ばね39に付勢支持されている。なお、排気管24には、仕切板35側と第1排出口15側とを連通する連通孔(排出部)24dが形成されている。
【0027】
従って、第1ポンプ室P1が負圧状態にあるとき、チャンバ17内の流体を連通孔24bから、吸気弁37により開放された隙間を通って第1ポンプ室P1に吸入することができる。なお、このとき、第1ポンプ室P1の負圧により排気弁38は、開閉孔35aを閉止している。一方、第1ポンプ室P1が高圧状態にあるとき、第1ポンプ室P1の高圧流体を排気弁38により開放された開閉孔35aを通り、且つ、連通孔24dを通って第1排出口15に排出することができる。なお、このとき、第1ポンプ室P1の高圧により吸気弁37は、隙間を閉止している。
【0028】
一方、仕切板36は、外周部とシリンダ孔26aとの間に隙間が形成され、外周部には、この隙間を開閉する環状をなす吸気弁(一方向弁、逆止弁)40が固定されている。また、仕切板36は、中心部に開閉孔36aが形成され、排気管25の台座部25cには、この開閉孔36aを開閉する排気弁(一方向弁、逆止弁)41が圧縮ばね42に付勢支持されている。なお、排気管25には、仕切板36側と第2排出口16側とを連通する連通孔(排出部)25dが形成されている。
【0029】
従って、第2ポンプ室P2が負圧状態にあるとき、チャンバ17内の流体を連通孔26c及び連通孔25bから、吸気弁40により開放された隙間を通って第2ポンプ室P2に吸入することができる。なお、このとき、第2ポンプ室P2の負圧により排気弁41は、開閉孔36aを閉止している。一方、第2ポンプ室P2が高圧状態にあるとき、第2ポンプ室P2の高圧流体を排気弁41により開放された開閉孔36aを通り、且つ、連通孔25dを通って第2排出口16に排出することができる。なお、このとき、第2ポンプ室P2の高圧により吸気弁40は、隙間を閉止している。
【0030】
この場合、吸入口14、チャンバ17、連通孔24b,25bが、第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2に流体を吸入可能な吸入通路として機能し、開閉孔35a,36a、連通孔24d,25d、排出口15,16が、第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2から流体を排出可能な排出通路として機能する。
【0031】
また、往復動ピストン27は、軸心方向に直交する方向に沿って取付孔27aが形成されており、この取付孔27aには、一対の支持筒43a,43bが移動自在に嵌合している。そして、各支持筒43a,43bは、先端部にカムフォロア44a,44bがそれぞれ装着されると共に、両者の間に介装された圧縮ばね45により離間する方向に付勢支持されている。
【0032】
ホルダ28は、シリンダ部材26の外周部に一対の軸受46,47を介して相対回転自在に組付けられている。一対の軸受46,47は、軸方向に所定距離だけ離れて配置されており、ホルダ28の内周部には、この軸受46,47の間に位置して2つのカムリング48,49が固定されている。このカムリング48,49は、対向する内側のエッジ部が傾斜面をなしており、この一対の傾斜面により三角形状に凹んだカム溝50が形成されている。このカム溝50は、図2に詳細に示すように、ホルダ28の周方向に沿って設けられると共に、軸方向に波形をなすように蛇行して設けられている。この場合、カム溝50の蛇行周期は、ホルダ28の1周Rに対して偶数周期(例えば、2周期)で形成されており、その蛇行幅はWに設定されている。
【0033】
そして、上述した支持筒43a,43bの先端部がシリンダ部材26の貫通孔26bを貫通し、カムフォロア44a,44bがホルダ28(カムリング48,49)のカム溝50に圧接するように係合している。この場合、貫通孔26bにおけるシリンダ部材26の軸方向長さは、カム溝50の蛇行幅W以上確保されている。なお、実施例1にて、支持筒43a,43b、カムフォロア44a,44b、カムリング48,49、カム溝50により運動変換機構29が構成される。
【0034】
また、シリンダ部材26とホルダ28との間には、軸受46,47の外側に隣接してシール部材51,52が装着されている。
【0035】
従って、シリンダ部材26に対してホルダ28が相対回転すると、カム溝50の蛇行形状に沿ってカムフォロア44a,44bが追従し、支持筒43a,43bを介して往復動ピストン27を軸心方向に移動することができる。この場合、カム溝50がホルダ28の1周に対して2周期に形成されていることで、ホルダ28が1回転するとき、往復動ピストン27は、2往復することができる。
【0036】
往復動ピストン27は、第2ピストン部32に、第2ポンプ室P2側から取付孔27aに貫通する潤滑材供給孔(潤滑材供給路)53が形成されている。そして、支持筒43a,43bには、潤滑材供給孔53に対向して貫通孔43c,43dが形成されている。従って、第2ポンプ室P2側からこの潤滑材供給孔53及び貫通孔43c,43dを通して運動変換機構29に対して潤滑材(オイル)を供給することができる。なお、往復動ピストン27の作動時には、潤滑材供給孔53に栓54を固定して潤滑材の漏洩を阻止している。
【0037】
電気モータ13は、シリンダ部材26に対してホルダ28を回転駆動するものである。この電気モータ13は、モータハウジング21の内周部に固定されるマグネット61と、ホルダ28の外周部に固定されるコイル62と、このコイル62に通電するためのブラシ63を有しており、ブラシ63にコネクタ64が接続されている。なお、この電気モータ13は、図示しない制御装置により制御されるように構成されている。この場合、電気モータ13は、マグネット61とコイル62とブラシ63により本体部が構成される。
【0038】
ここで、実施例1のポンプ装置の作動について説明する。電気モータ13に通電すると、ハウジング11に固定されたシリンダ部材26に対してその外周側にあるホルダ28が回転する。すると、ホルダ28と共にカム溝50が回転することから、このカム溝50と係合するカムフォロア44a,44b及び支持筒43a,43bを介して往復動ピストン27が軸心方向に往復動する。つまり、運動変換機構29によりホルダ28の回転運動が往復動ピストン27の往復運動に変換される。この場合、ホルダ28の1周に対して往復動ピストン27が2往復する。
【0039】
往復動ピストン27がシリンダ部材26に対して軸方向に往復動(ポンプ作動)すると、各ポンプ室P1,P2の容積がそれぞれ増減する。即ち、往復動ピストン27が図1にて上方に移動して第1ポンプ室P1の容積が増加すると、第1ポンプ室P1が吸引されて負圧が発生する。すると、この負圧が吸気弁37を開放し、連通孔24bからチャンバ17に作用し、このチャンバ17内の流体を連通孔24bから、吸気弁37により開放された隙間を通って第1ポンプ室P1に吸入される。そのため、チャンバ17内に負圧流体が蓄圧されることとなる。
【0040】
一方、往復動ピストン27が図1にて下方に移動して第1ポンプ室P1の容積が減少すると、第1ポンプ室P1が圧縮されて高圧が発生する。すると、この高圧が排気弁38を開放することで、第1ポンプ室P1内の流体が開閉孔35a及び連通孔24dを通って第1排出口15から外部に排出される。
【0041】
また、往復動ピストン27が図1にて下方に移動して第2ポンプ室P2の容積が増加すると、第2ポンプ室P2が吸引されて負圧が発生する。すると、この負圧が吸気弁40を開放し、連通孔25bからチャンバ17に作用し、このチャンバ17内の流体を連通孔26c、連通孔25bから、吸気弁40により開放された隙間を通って第2ポンプ室P2に吸入される。そのため、チャンバ17内に負圧流体が蓄圧されることとなる。
【0042】
また、往復動ピストン27が図1にて上方に移動して第2ポンプ室P2の容積が減少すると、第2ポンプ室P2が圧縮されて高圧が発生する。すると、この高圧が排気弁41を開放することで、第2ポンプ室P2内の流体が開閉孔36a及び連通孔25dを通って第2排出口16から外部に排出される。
【0043】
このように往復動ピストン27が往復動すると、各ポンプ室P1,P2の容積がそれぞれ増減することで、チャンバ17内の流体が各ポンプ室P1,P2に吸引される。そのため、吸入口14からハウジング11内に吸入された流体は、圧力流体生成機構12の一端部側にある連通孔24bから第1ポンプ室P1に流れると共に、マグネット61とコイル62の隙間を通り、圧力流体生成機構12の他端部側にある連通孔26c、連通孔25bから第2ポンプ室P2に流れる。ここで、流体は、電気モータ13の本体部、つまり、マグネット61とコイル62とブラシ63を冷却する。
【0044】
このように実施例1のポンプ装置にあっては、中空形状をなすハウジング11内に、電気モータ13と、この電気モータ13により負圧流体を生成可能な圧力流体生成機構12と、この圧力流体生成機構12により生成される負圧流体を蓄圧可能なチャンバ17を設け、このチャンバ17内に電気モータ13の本体部を配置している。
【0045】
従って、ハウジング11内に電気モータ13と圧力流体生成機構12とチャンバ17を効率良く配置し、電気モータ13のハウジングとチャンバ17とをハウジング11として共用化することで、装置の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
【0046】
また、実施例1のポンプ装置では、ハウジング11をモータハウジング21とポンプハウジング22とを一体に固定して構成し、モータハウジング21内に電気モータ13の本体部とチャンバ17を配置している。従って、モータハウジング21を、電気モータ13のケース及びチャンバ17として共通化し、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【0047】
また、実施例1のポンプ装置では、圧力流体生成機構12を電気モータ13の内側に配置している。即ち、電気モータ13の本体部をそれぞれ円筒形状のマグネット61、コイル62、ブラシ63により構成し、コイル62の内側に圧力流体生成機構12を配置している。従って、圧力流体生成機構12を効率良く配置することで、更なる装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【0048】
また、実施例1のポンプ装置では、圧力流体生成機構12は、吸入した流体を圧縮して排出可能であり、チャンバ17は、一端部に吸入口14が設けられて他端部が圧力流体生成機構12に連通されることで、負圧流体を蓄圧可能としている。従って、チャンバ17内の負圧流体により電気モータ13の本体部を効率良く冷却することができ、電気モータ13の発熱を抑制して許容電流を上昇し小型化を可能とすることができる。
【0049】
また、実施例1のポンプ装置では、圧力流体生成機構12として、ハウジング11に固定されるシリンダ部材26と、シリンダ部材26の内部に往復動自在に設けられてシリンダ部材26との間に第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2を区画する往復動ピストン27と、シリンダ部材26の外側に回転自在に設けられて電気モータ13により回転可能なホルダ28と、ホルダ28の回転運動を往復動ピストン27の往復運動に変換する運動変換機構29とを設けている。従って、ハウジング11内に第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2に対する流体の吸入通路と排出通路を簡単に設けることができ、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【0050】
また、実施例1のポンプ装置では、ハウジング11にて、第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2から流体を排出する第1排出口15及び第2排出口16を電気モータ13の回転軸中心における各軸端部側に配置し、第1ポンプ室P1及び第2ポンプ室P2に流体を吸入可能な吸入口14を第1排出口15及び第2排出口16より電気モータ13の径方向の外側に配置している。従って、流体の吸入経路を一つとすることで、電気モータ13、圧力流体生成機構12、チャンバ17を効率的に配置することができる。
【0051】
また、実施例1のポンプ装置では、第2ポンプ室P2から往復動ピストン27を貫通して運動変換機構29に潤滑材を供給可能な潤滑材供給孔53を設けている。従って、ハウジングを大型化及び複雑化することなく、運動変換機構29に対して潤滑材を供給することができる。
【実施例2】
【0052】
図3は、本発明の実施例2に係るポンプ装置を表す概略図である。
【0053】
実施例2のポンプ装置にて、図3に示すように、中空形状をなすハウジング101内には、その中間部に電気モータ102が配置され、一端部にこの電気モータ102の駆動軸103に連結された回転体104を有する圧力流体生成機構105が配置され、他端部に圧力流体生成機構105により生成された負圧流体を蓄圧するチャンバ106が配置されている。そして、ハウジング101は、側部に圧力流体生成機構105へ流体を吸入可能な吸入口107が設けられ、他端部に圧力流体生成機構105から流体を排出する第1排出口108及び第2排出口109が設けられている。そして、ハウジング101内にて、吸入口107から圧力流体生成機構105までの空間が、この圧力流体生成機構105により生成される負圧流体を蓄圧可能なチャンバ106として機能し、このチャンバ106内に電気モータ102の本体部が位置している。
【0054】
従って、ハウジング101内に電気モータ102と圧力流体生成機構105とチャンバ106を効率良く配置し、電気モータ102のハウジングとチャンバ106とをハウジング101として共用化することで、装置の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
【実施例3】
【0055】
図4は、本発明の実施例3に係るポンプ装置を表す概略図である。
【0056】
実施例3のポンプ装置にて、図4に示すように、中空形状をなすハウジング201内には、その中間部に電気モータ202が配置され、一端部にこの電気モータ202の駆動軸203に連結された回転体204を有する圧力流体生成機構205が配置され、他端部に圧力流体生成機構205により生成された負圧流体を蓄圧するチャンバ206が配置されている。そして、ハウジング201は、一端部に圧力流体生成機構205へ流体を吸入可能な吸入口207が設けられ、他端部に圧力流体生成機構205から流体を排出する第1排出口208及び第2排出口209が設けられている。そして、ハウジング201内にて、吸入口207から圧力流体生成機構205までの空間が、この圧力流体生成機構205により生成される負圧流体を蓄圧可能なチャンバ206として機能し、このチャンバ206内に電気モータ202の本体部が位置している。
【0057】
従って、ハウジング201内に電気モータ202と圧力流体生成機構205とチャンバ206を効率良く配置し、電気モータ202のハウジングとチャンバ206とをハウジング201として共用化することで、装置の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
【0058】
なお、上述した実施例では、本発明のポンプ装置を、スラストピストンポンプ装置や一般的な真空ポンプとしたが、これらの構造を有するポンプ装置に限定されるものではない。また、上述した実施例では、本発明のポンプ装置を負圧ポンプとして構成したが、高圧流体を吐出可能な高圧ポンプとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明に係るポンプ装置は、ハウジング内に電動機と圧力流体生成機構とチャンバを設け、チャンバ内に電動機の本体部を配置することで、装置の小型化及び低コスト化を可能とするものであり、どのような形式のポンプ装置に適用しても有用である。
【符号の説明】
【0060】
11 ハウジング
12 圧力流体生成機構
13 電気モータ
14 吸入口
15 第1排出口
16 第2排出口
17 チャンバ
21 モータハウジング
22 ポンプハウジング
26 シリンダ部材
27 往復動ピストン
28 ホルダ
29 運動変換機構
P1 第1ポンプ室
P2 第2ポンプ室
50 カム溝
53 潤滑材供給孔(潤滑材供給路)
61 マグネット
62 コイル
63 ブラシ
64 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状をなすハウジング内に、電動機と、該電動機により負圧流体または高圧流体を生成可能な圧力流体生成機構と、該圧力流体生成機構により生成される負圧流体または高圧流体を蓄圧可能なチャンバが設けられ、
前記チャンバ内に前記電動機の本体部が設けられる、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、モータハウジングとポンプハウジングとが一体に固定されて構成され、前記モータハウジング内に前記電動機の本体部と前記チャンバが設けられることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記圧力流体生成機構は、前記電動機の内側に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記圧力流体生成機構は、吸入部から吸入した流体を圧縮して排出部から排出可能であり、前記チャンバは、一端部に吸入口が設けられて他端部が前記圧力流体生成機構の吸入部に連通されることで、負圧流体を蓄圧可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記圧力流体生成機構は、円筒形状をなして前記ハウジングに固定されるシリンダ部材と、該シリンダ部材の内部にシリンダ軸方向にて往復動自在に設けられて各軸端部と前記シリンダ部材との間に第1ポンプ室及び第2ポンプ室を区画する往復動ピストンと、前記シリンダ部材の外側に相対回転自在に設けられて前記電動機により回転可能なホルダと、前記ホルダの回転運動を前記往復動ピストンの往復運動に変換する運動変換機構と、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室に流体を吸入可能な吸入通路と、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を排出可能な排出通路とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室から流体を排出する第1排出口及び第2排出口が前記電動機の回転軸中心における各軸端部側に配置され、前記第1ポンプ室及び前記第2ポンプ室に流体を吸入可能な吸入口が前記第1排出口及び前記第2排出口より前記電動機の径方向の外側に配置されることを特徴とする請求項5に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記第1ポンプ室と前記第2ポンプ室のいずれか一方から前記往復動ピストンを貫通して前記運動変換機構に潤滑材を供給可能な潤滑材供給路が設けられることを特徴とする請求項5または6に記載のポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−242523(P2010−242523A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89398(P2009−89398)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】