説明

ポンプ装置

【課題】配管系統が簡素で、制御を必要とする電動弁が不要で、電動弁の故障等によりサイホン形成の不可やサイホン破壊の不可がなく、安価な設備コストで信頼性の高い自己サイホンの形成及びサイホン破壊ができるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプ吐出管11がサイホン形状に形成されたポンプ装置において、吐出管頂部12にサイホン補助管15の一端開口を接続し、サイホン補助管は管降下部16と、管底部17と、管上昇部18とが連続して形成された構成であり、管底部17の管内頂レベルは吐出し水面の常用水位NWL以下とし、管底部17から管上昇部18に複数の開口部を形成し、管底部17と管上昇部18の境界部に形成した第1の開口部Bの上端レベルは吐出し水面の常用水位NWL以下とし、管上昇部18の上端部に形成した第2の開口部Aの上端レベルは吐出水面の計画最高水位HWL以上とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清水その他の液体を揚水或いは排水するポンプ装置で、吐出管が吐出し水面よりも高い位置を経由して吐出し水面下に開口するサイホン形状の吐出管を有するポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のサイホン形状の吐出管を有し、真空ポンプ等の呼水用補機を使用せず、主ポンプの送水能力のみでサイホンを形成させる自己サイホン型ポンプ装置を備えたポンプ機場の構成例を示す図である。図1において、101はポンプ(ポンプ101は遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプのいずれでも構わない。)であり、該ポンプ101は吊り下げ管107を介して吸込水槽100の上部に設けた、機器設置床108に設置されたポンプベース109に固定されている。ポンプ101は吸込ベルマウス102、インペラ103、ガイドベーン104、水中軸受105、及びボウルブッシュ106を有するポンプボウル110を備えている。吊り下げ管107の吐出口には吐出管111が接続され、該吐出管111はサイホン部112を経由して吐出端111aから吐出水槽200の吐出し水面下に開口している。
【0003】
上記構成のポンプ装置において、駆動機113を起動して主軸114を回転させると、インペラ103が回転し、吸込ベルマウス102の吸込口102aから吸い込まれた水は吐出管111及びそのサイホン部112を経由して吐出水槽200の吐出し水面下に吐き出される。サイホン部112にはサイホンブレーカ115を設け、ポンプ運転時サイホンブレーカ115を閉状態とし、ポンプ停止時においては該サイホンブレーカ115を開いてサイホンを破壊し、吐出水槽200から吸込水槽100への逆流を防止している。なお、図1において、Haは定格排水運転時の実揚程、Hsは自己サイホン形成時の実揚程、NWLは吐出水槽200の常用水位、HWLは吐出水槽200の計画最高水位、PLは吐出管111の吐出端111aの開放端レベルを示す。また、図1では吐出管111の放流損失V÷2gを少なくするため、吐出端111aを広げ、損失水頭を少なくさせているが、広げず直管とする場合もある。また、吐出管111は円管だけではなく、矩形管などを用いる場合もある。
【0004】
上記サイホンブレーカには電動弁が用いられている。電動弁の駆動機構である電動機、各種リミッタ等は、絶縁の低下等、故障する可能性があり、万が一、故障し制御が正常に機能しなくなる場合、ポンプ停止時においては、上記逆流が防止できなくなり、浸水被害を起す可能性があり、信頼性に問題があった。信頼性を確保するため、サイホンブレーカ115を複数設置する場合もあるが、設備費、維持管理費が増えるため、経済性の点で問題がある。
【0005】
電動弁を不要としたサイホン破壊方法として、特許文献1に開示するポンプ装置がある。このポンプ装置は、ポンプの吐出口に接続される吐出管が吐出し水面より高い位置を経由して該吐出し水面下に開口するサイホン形状の吐出管を具備するポンプ装置であり、サイホン形状の吐出管頂付近に一端が接続された空気供給管の他端と、一端が大気に開放された空気吸込管の他端を規定高さで合流させて一本の合流管とし、該合流管をポンプ吐出管に接続し、ポンプ運転中は吐出し水の動水位により空気をポンプ吐出管に吸込むことなくサイホンを形成したまま運転を継続し、ポンプ停止後は空気吸込管により自動的に吐出管内に空気を吸込みサイホンを破壊するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−98085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の自己サイホン型ポンプ装置を備えた排水機場においては、吐出管頂部は屋外に出され、ポンプ及びその吐出配管の殆どが、ポンプ室(建屋)内に設置されている。特許文献1に開示されたポンプ装置の場合、空気供給管を躯体を貫通させて設置する必要があり、建屋の強度等に影響を与える等の問題があった。また、ポンプ始動時の過渡的状態において、空気吸込管の空気取入口から、水しぶきが出るなどの恐れがあり、空気吸込管の空気取入口をポンプ室内に配設するのは好ましくなく、吐出水槽に開放することになる。しかしながら、このような構成にすると、建屋を貫通する躯体内配管と吐出水槽への屋外配管の2系統を布設する必要が生じ、配管系統が複雑になり、簡素な構成にならないという問題があった。また、経済性の点でも問題があった。
【0008】
また、排水機場の排水ポンプは、河川から河川に排水(揚水)するポンプであり、水位差(実揚程)が大きくないものが一般的である。つまり、吐出管の頂部までの立上がり部の配管は、それ程長くなく、その大部分が、コンクリート内部に配置される場合があり、特許文献1の技術では、空気吸込管を吐出管に接続するための接続口が設けられないという問題もあった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、配管系統が簡素で、制御を必要とする電動弁が不要で、電動弁の故障等によりサイホン形成の不可やサイホン破壊の不可がなく、安価な設備コストで信頼性の高い自己サイホンの形成及びサイホン破壊ができるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、ポンプと該ポンプの吐出口に接続された吐出管とを具備し、吐出管が吐出し水面より高い位置を経由して前記吐出し水面下に開口するサイホン形状に形成されたポンプ装置において、サイホン形状の吐出管頂部に接続され、下方に向う管降下部と、底部を形成する管底部と、該管底部から上方に向う管上昇部とが連続して形成されたサイホン補助管を有し、管底部の管内頂レベルは吐出し水面のポンプ運転開始水位以下とし、管底部から管上昇部に複数の開口部を形成し、管底部と管上昇部の境界部に形成した第1の開口部の上端レベルは吐出し水面のポンプ運転開始水位以下とし、管上昇部の上端部に形成した第2の開口部の上端レベルは前記吐出し水面の計画最高水位以上としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記ポンプ装置において、管底部の管内頂レベルを該管底部から管上昇部に移る境界部のポンプ停止時の動水位より高くしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記ポンプ装置において、管上昇部の第2の開口部の断面面積を該サイホン補助管の他の部分の断面積より大きくしたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記ポンプ装置において、管上昇部の第2の開口部の断面積を第1の開口部の断面積よりも大きくしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記ポンプ装置において、管上昇部の第2の開口部にサイホン破壊時の空気吸入音を抑制するサイレンサを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サイホン形状の吐出管頂部に接続され、下方に向う管降下部と、底部を形成する管底部と、該管底部から上方に向う管上昇部とが連続して形成されたサイホン補助管を有し、管底部の管内頂レベルは吐出し水面の常用水位(ポンプ運転開始水位)以下とし、管底部から管上昇部に複数の開口部を形成し、管底部と管上昇部の境界部に形成した第1の開口部の上端レベルは吐出し水面の常用水位(ポンプ運転開始水位)以下とし、管上昇部の上端部に形成した第2の開口部の上端レベルは吐出し水面の計画最高水位以上としたので、サイホン補助管を吐出管頂部から吐出水槽の間で布設するだけの簡素で、且つ安価な設備構成で信頼性の高い自己サイホンの形成及びサイホン破壊ができるポンプ装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、管底部の管内頂レベルを該管底部から管上昇部に移る境界部のポンプ停止時の動水位より高くしたので、ポンプ停止時(逆流サイホン時)に吐出管の頂部で発生した負圧がサイホン補助管の管底部と管上昇の境界部分に伝播し、この部分の水位変動を起し、この部分より空気が流れ込みサイホン破壊が起る。
【0017】
また、本発明によれば、サイホン破壊用の電動弁を有さず自己サイホンの形成及び破壊を行うので、設備コスト及びメンテナンスコストが安価となる。
【0018】
また、本発明によれば、管上昇部の第2の開口部の断面面積を該サイホン補助管の他の部分の断面積より大きくしたので、サイホン補助管から排出する空気を速やかに大気に導くことができ、ポンプ始動時間の短縮(サイホン形成までの時間短縮)が可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、上記ポンプ装置において、管上昇部の第2の開口部にサイホン破壊時の空気吸入音を抑制するサイレンサを設けたので、サイホン破壊時の空気吸入音が抑制でき、民家が近いポンプ機場の地域の騒音環境の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の自己サイホン型ポンプ装置を備えたポンプ機場の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る実施例2に係る自己サイホン型ポンプ装置を備えたポンプ機場の構成例を示す図である。
【図3】図2にポンプの始動時、運転時、停止時の動水勾配線、及び全揚程線を付加した図である。
【図4】ポンプの特性を示す図である。
【図5】本発明に係るポンプ装置のサイホン補助管の構成を示す図である。
【図6】本発明に係るポンプ装置のサイホン補助管の構成を示す図である。
【図7】本発明に係るポンプ装置のサイホン補助管の構成を示す図である。
【図8】本発明に係るポンプ装置のサイホン補助管の構成を示す図である。
【図9】本発明に係るポンプ装置の吐出管とサイホン補助管の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図2は本発明に係るポンプ装置を備えたポンプ機場の構成例を示す図である。図2において、1はポンプであり、該ポンプ1は遠心ポンプ、斜流ポンプ、横軸ポンプのいずれでも構わない。ポンプ1は吊り下げ管7を介して吸込水槽100の上部に設けた、機器設置床8に設置されたポンプベース9に固定されている。ポンプ1は吸込ベルマウス2、インペラ3、ガイドベーン4、水中軸受5、及びボウルブッシュ6を有するポンプボウル10を備えている。吊り下げ管7の吐出口には吐出管11が接続され、該吐出管11はサイホン部を構成する頂部12を経由して吐出端11aから吐出水槽200の吐出し水面下に開口している。
【0022】
吐出管11の頂部12にサイホン補助管15の一端開口を接続している。該サイホン補助管15は図5に示すように、吐出管11の頂部12から下方に向う管降下部16と底部を形成する管底部17と該管底部17から上方に向う管上昇部18とが連続して形成された構成である。管降下部16の下端レベルLPLは吐出水槽200の常用水位(=ポンプ運転開始水位)NWL以下(LPL≦NWL)である。サイホン補助管15の管上昇部18には複数の開口部が(ここでは第1の開口部Bと第2の開口部Aの2つ)が設けられ、第1の開口部Bの上端レベルMPLは吐出水槽200の常用水位NWL以下(MPL≦NWL)とし、第2の開口部Aの上端レベルHPLは吐出水槽200の計画最高水位HWL以上(HPL≧HWL)としている。
【0023】
図3は図2にポンプ始動時の動水勾配線E、ポンプ運転定格時の動水勾配線F、ポンプ停止時(逆流時)の動水勾配線J、及びポンプによるヘッドアップ(全揚程)Hを示した図である。ポンプ始動の初期時は吐出管11の頂部12の水位が実揚程となり、それ以降は自然流の状態となる。吐出管11内の空気が抜けるに従い頂部12の水位が上昇し、最終的に頂部12内の空気が全て抜け、サイホン状態となる。
【0024】
第1の開口部Bの上端レベルMPLを吐出水槽200の常用水位NWL以下(MPL≦NWL)とし、図5に示すように、吐出水槽200の水を利用し、サイホン補助管15の略U字状の管底部17に水が溜まっている状態とすることで、第2の開口部Aから空気が吐出管11側に流れることなく、排気方向のみ空気が流れる構造となっている。吐出管11内の空気は頂部12に溜まっている状態でポンプ1の運転を継続すると吐出管11内の水流によって頂部12の空気が順次押し出され吐出水槽200の水面下に吐き出される。つまり、図4に示すように、ポンプ1の排水量が定格排水量Q(>q)になるまでの時間が短縮でき、排水遅れによる浸水被害を未然に防止し、信頼性の高い設備とすることができる。図4はポンプ特性を示す図で、曲線aはポンプ始動時の損失曲線(空気排気運転時)であり、曲線bはポンプ運転時の損失曲線(サイホン形成後)を示す。
【0025】
上記のように、駆動機13を起動して主軸14を回転させインペラ3を回転させると、吸込ベルマウス2の吸込口2aから吸い込まれた水が頂部12の残存空気を吐出端11aから吐出すと共に、頂部12に接続したサイホン補助管15からも同時に残留空気が第1の開口部B及び第2の開口部Aから排出される。これにより吐出管11内の空気が速やかに吐き出されサイホンが形成されるまでの時間を短縮できる。
【0026】
また、ポンプ停止時にサイホンを破壊するために制御の必要な電動弁を介して吐出管11の頂部12に空気吸込管を接続する必要がなく、電動弁故障等によるサイホン形成不可、又はサイホン破壊不可等の心配が無く、信頼性の高い設備となる。また、電動弁の駆動機構や制御装置が不要となり、安価で経済性の良いポンプ機場設備を構成できる。
【0027】
また、サイホン補助管15は吐出管11と頂部12の1ヶ所で接続され、且つ該頂部12から吐出水槽200までの布設でよいため、サイホン補助管15を最短ルートの簡素な配管系統とすることができ、多様なポンプ場の多くで採用することができる。
【0028】
ポンプ1の始動完了(サイホン形成完了)後においては、サイホン補助管15の末端部は図6に示すように、動水勾配線Fはサイホン補助管15の管底部17の天端レベル(管内頂レベル)LPLより上方に位置し、正圧となるため、サイホン形成後の大気開放部となるG部の水位WLはWL>LPLとなり、大気(空気)が吐出管11内に流入することなく、サイホン形成を維持することが可能である(第1の開口部Bの上端が吐出水槽200の常用水位NW以上であった場合、吐出し水面が波打つことによりG部の水位が過渡的に管底部17の天端レベル(管内頂レベル)LPL以下となり、サイホンが破壊してしまう危険があるが、前記構成によれば、波面の整流が行え過渡的な波を抑制できる。)。これにより従来のように電動弁等で流入空気の遮断制御する必要はなくなり、設備構成が簡素で、信頼性及び経済性の高い設備となる。
【0029】
サイホン補助管15の管底部17の天端レベル(管内頂レベル)LPLは、図7に示すように、管底部17の天端レベル(管頂レベル)LPLでの動水勾配線Jより、高いレベルに設定することで、ポンプ停止時(逆流サイホン時)において吐出管11の頂部12で発生した負圧波がM部分に伝播し、M部より空気(大気)を流入させることが可能となる。なお、確実に空気を流入させ、サイホン破壊を行うには、管底部17の天端レベルLPLをM部での動水勾配線Jより高い位置とすることが最も好ましい。吐出水槽200の水面(吐出し水面)が高くなり、M部での動水位が管底部17の天端レベルLPLを上回った場合は、サイホンは破壊しないので、動水勾配線Jについては、吐出水槽200の計画最高水位HWLを基準として設定することが好ましい。
【0030】
図2に示すポンプ機場のポンプ装置において、サイホン補助管15の管上昇部18の上端の大気に開放している第2の開口部Aの開口断面Dを管降下部16や管水平部の断面aより大きくしている。また、第2の開口部Aの開口断面Dは吐出水槽200の常用水位NWLより下方に設けた第1の開口部Bの開口断面dよりも大きく構成されている。
【0031】
上記のように、大気に開放されている第2の開口部Aの開口断面Dを第1の開口部Bの開口断面d及び管降下部16や管水平部の断面aよりも大きく構成することにより、管上昇部まで到達した空気(気泡)の自然上昇を妨げることなくサイホン補助管15から排出する空気を速やかに大気に導くことが可能となり、始動時間の短縮(サイホン形成までの時間短縮)が可能となる。
【0032】
また、上記ポンプ装置において、図8に示すように第2の開口部Aにサイレンサ20を設けることにより、サイホン破壊時に第2の開口部Aに吸い込まれる空気吸入音を抑制することが可能となる。このように大気に開放された第2の開口部Aにサイレンサ20を設け、サイホン破壊時の空気吸入音を抑制することにより、民家が近くに存在するポンプ機場においては、地域の騒音環境の悪化を防止することが可能となる。
【0033】
サイホン補助管15は断面形状は円形、楕円形、矩形、多角形でも構わない、開口断面を大きくする等、設置スペースを考慮し、決めることが好ましい。
【0034】
また、サイホン補助管15’を図9に示すように、土木躯体(コンクリート)21と一体に形成し、管降下部16’、管底部17’、管上昇部18’とを連続させ、管底部17’と管上昇部18’の境界部に第1の開口部B’を、管上昇部18’の上端に大気に開口する第2の開口部A’を設けてもよい。更に、第2の開口部Aにサイレンサ(図示を省略)を設けてもよい。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、サイホン形状の吐出管頂部に接続され、下方に向う管降下部と、底部を形成する管底部と、該管底部から上方に向う管上昇部とが連続して形成されたサイホン補助管を有し、管底部の管内頂レベルは吐出し水面の常用水位(ポンプ運転開始水位)以下とし、管底部から管上昇部に複数の開口部を形成し、管底部と管上昇部の境界部に形成した第1の開口部の上端レベルは吐出し水面の常用水位(ポンプ運転開始水位)以下とし、管上昇部の上端部に形成した第2の開口部の上端レベルは吐出し水面の計画最高水位以上としたので、サイホン補助管を吐出管頂部から吐出水槽の間で布設するだけの簡素で、且つ安価な設備構成で信頼性の高い自己サイホンの形成及びサイホン破壊ができるポンプ装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ポンプ
2 吸込ベルマウス
3 インペラ
4 ガイドベーン
5 水中軸受
6 ボウルブッシュ
7 吊り下げ管
8 機器設置床
9 ポンプベース
10 ポンプボウル
11 吐出管
12 頂部
15 サイホン補助管
15’ サイホン補助管
16 管降下部
16’ 管降下部
17 管底部
17’ 管底部
18 管上昇部
18’ 管上昇部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと該ポンプの吐出口に接続された吐出管とを具備し、
前記吐出管が吐出し水面より高い位置を経由して前記吐出し水面下に開口するサイホン形状に形成されたポンプ装置において、
前記サイホン形状の吐出管頂部に接続され、下方に向う管降下部と、底部を形成する管底部と、該管底部から上方に向う管上昇部とが連続して形成されたサイホン補助管を有し、
前記管底部の管内頂レベルは前記吐出し水面のポンプ運転開始水位以下とし、
前記管底部から管上昇部に複数の開口部を形成し、該管底部と該管上昇部の境界部に形成した第1の開口部の上端レベルは前記吐出し水面のポンプ運転開始水位以下とし、前記管上昇部の上端部に形成した第2の開口部の上端レベルは前記吐出し水面の計画最高水位以上としたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置において、
前記管底部の管内頂レベルを該管底部から前記管上昇部に移る境界部の前記ポンプ停止時の動水位より高くしたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポンプ装置において、
前記管上昇部の第2の開口部の断面面積を該サイホン補助管の他の部分の断面積より大きくしたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポンプ装置において、
前記管上昇部の第2の開口部の断面積を第1の開口部の断面積よりも大きくしたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポンプ装置において、
前記管上昇部の第2の開口部にサイホン破壊時の空気吸入音を抑制するサイレンサを設けたことを特徴とするポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−247163(P2011−247163A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120849(P2010−120849)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】