説明

ポンプ装置

【課題】 摩擦トルクの増大を抑制することができるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】 駆動ギヤの一側面側に配置され、駆動ギヤの一側面との摺接面の摩擦係数が駆動ギヤの一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレートと、駆動ギヤの他側面側に配置され、駆動ギヤの他側面との摺接面の摩擦係数が駆動ギヤの他側面の摩擦係数よりも低く形成された第2サイドプレートと、第1サイドプレートと第2サイドプレートと共に外部から吸入した作動油を外部へ圧送するためのポンプ室を形成するために駆動ギヤの歯先をシールし、駆動ギヤの歯先面より低い摩擦係数を有するシール部材と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、ギヤ(インナロータ)の一側面側をメカニカルシールとし、他方側面側を樹脂シールとしているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−125272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、メカニカルシールの摺動状態によっては摺動抵抗が大きく変動し、摩擦トルクが大きくなるおそれがあった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、摩擦トルクの増大を抑制することができるポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本願発明では、駆動ギヤの一側面側に配置され、駆動ギヤの一側面との摺接面の摩擦係数が駆動ギヤの一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレートと、駆動ギヤの他側面側に配置され、駆動ギヤの他側面との摺接面の摩擦係数が駆動ギヤの他側面の摩擦係数よりも低く形成された第2サイドプレートと、第1サイドプレートと第2サイドプレートと共に外部から吸入した作動油を外部へ圧送するためのポンプ室を形成するために駆動ギヤの歯先をシールし、駆動ギヤの歯先面より低い摩擦係数を有するシール部材と、を設けた。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、摩擦トルクの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
【図2】実施例1のポンプ装置の軸方向断面図である。
【図3】実施例1のポンプ装置の軸方向断面図である。
【図4】実施例1のセンタプレートの斜視図である。
【図5】実施例1のサイドプレートの斜視図である。
【図6】実施例1のサイドプレートの平面図である。
【図7】実施例1のサイドプレートの平面図である。
【図8】実施例1のサイドプレートの低圧領域を示す図である。
【図9】実施例1のサイドプレートの低圧領域を示す図である。
【図10】実施例1のギヤ材料に対する各材料の摩擦係数を示すグラフである。
【図11】実施例1のサイドプレートの摺接部の液圧遷移の様子を示す図である。
【図12】実施例1のサイドプレートの摺接部の幅と機械効率の関係を示すグラフである。
【図13】実施例2のポンプ装置の軸方向断面図である。
【図14】実施例2のポンプ装置の軸方向断面図である。
【図15】実施例2の第2サイドプレートの斜視図である。
【図16】実施例2の第1サイドプレートの斜視図である。
【図17】実施例2のサイドプレートの平面図である。
【図18】実施例2のサイドプレートの平面図である。
【図19】実施例2のサイドプレートの低圧領域を示す図である。
【図20】実施例2のサイドプレートの低圧領域を示す図である。
【図21】実施例3のポンプ装置の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施例1〕
実施例1のポンプ装置1を備えたブレーキ液圧制御装置32のブレーキ液圧回路について説明する。
[ブレーキ液圧回路の構成]
図1は、ブレーキ液圧制御装置32の液圧回路図である。液圧回路は、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの間に設けられた液圧制御ユニット33内に形成されている。このブレーキ液圧制御装置32は、コントローラからのVehicle Dynamics Control(以下VDC)、Anti-lock Brake System(以下ABS)の要求液圧に応じて液圧制御を行う。ブレーキ液圧制御装置32においては、P系統のブレーキ液圧回路34PとS系統のブレーキ液圧回路34Sの2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統には、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)が接続されており、S系統には、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)が接続されている。ブレーキ液圧制御装置32と各ホイルシリンダW/Cとは、ホイルシリンダポート35FL,35FR,35RL,35RRに接続されている。ポンプ装置1はP系統、S系統それぞれに、第1ポンプPPと第2ポンプPSとが設けられたタンデムギヤポンプである。
【0009】
マスタシリンダM/Cと液圧制御ユニット33とは、マスタシリンダポート36P,36Sを介して液路37P,37Sにおいて接続されている。この液路37とポンプ装置1の吸入側とは、液路38P,38Sによって接続されている。液路37P上であって、マスタシリンダポート36Pと、液路38Pとの接続部との間にはマスタシリンダ圧センサ39が設けられている。
【0010】
ポンプ装置1の吐出側と各ホイルシリンダW/Cとは、液路41P,41Sによって接続されている。この各液路41上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧バルブ42FL,42FR,42RL,42RRが設けられている。また各液路41上であって、各増圧バルブ42とポンプ装置1との間にはチェックバルブ43P,43Sが設けられている。各チェックバルブ43は、ポンプ装置1から増圧バルブ42へ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。また各液路41上であって、各増圧バルブ42とポンプ装置1との間には吐出圧センサ44P,44Sが設けられている。
更に各液路41には、各増圧バルブ42を迂回する液路45FL,45FR,45RL,45RRが設けられており、液路45には、チェックバルブ46FL,46FR,46RL,46RRが設けられている。この各チェックバルブ46は、ホイルシリンダW/Cからポンプ装置1へ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0011】
マスタシリンダM/Cと液路41とは液路47P,47Sによって接続されており、液路41と液路47とはポンプ装置1と増圧バルブ42との間において合流している。この各液路47上には、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ48P,48Sが設けられている。また各液路47には、各ゲートアウトバルブ48を迂回する液路49P,49Sが設けられており、この液路49には、チェックバルブ50P,50Sが設けられている。この各チェックバルブ50は、マスタシリンダM/C側からホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ポンプ装置1の吸入側にはリザーバ85P,85Sが設けられており、このリザーバ85とポンプ装置1とは液路51P,51Sによって接続されている。リザーバ85とポンプ装置1との間にはチェックバルブ86P,86Sが設けられている。
- ホイルシリンダW/Cと液路51とは液路87P,87Sによって接続されており、液路87と液路51とはチェックバルブ86とリザーバ85との間において合流している。この各液路87にそれぞれ、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ88FL,88FR,88RL,8RRが設けられている。
【0012】
[ポンプ装置の構成]
図2、図3はポンプ装置1の軸方向断面図である。ポンプ装置1は、後述する第1ポンプ室30、第2ポンプ室31のポンプ作用によって複数のホイルシリンダがそれぞれ加圧するタンデム式の外接ギヤポンプである。
図2に示すように、ポンプ装置1の外周はポンプケース2によって覆われている。ポンプケース2は、フロントケース3、センタプレート4、リアケース5によって構成されている。以下、説明のためポンプ装置1が組み立てられた状態でポンプ装置1の軸方向であってフロントケース3側を軸方向正側、リアケース5側を軸方向負側と称する。
ポンプケース2内にはモータにより回転駆動される駆動軸6が設けられ、この駆動軸6には、駆動軸6と一体に回転する第1駆動ギヤ8、第2駆動ギヤ9が取り付けられている。駆動軸6と並列に従動軸7が設けられ、この従動軸7には、従動軸7と一体に回転する第1従動ギヤ10、第2従動ギヤ11が取付けられている。第1従動ギヤ10は第1駆動ギヤ8と、第2従動ギヤ11は第2駆動ギヤ9と歯合している。
【0013】
第1駆動ギヤ8と第1従動ギヤ10の軸方向正側には第1サイドプレート12が、第2駆動ギヤ9と第2従動ギヤ11の軸方向負側には第2サイドプレート13が設けられている。センタプレート4は、第1駆動ギヤ8と第1従動ギヤ10の軸方向負側、第2駆動ギヤ9と第2従動ギヤ11の軸方向正側に配置されている。すなわち、センタプレート4と第1サイドプレート12によって第1駆動ギヤ8と第1従動ギヤ10を挟み込み、センタプレート4と第2サイドプレート13によって第2駆動ギヤ9と第2従動ギヤ11を挟み込むこととなる。
第1サイドプレート12には、第1駆動ギヤ8および第1従動ギヤ10の歯先をシールする第1シールブロック14が一体に形成されている。また第2サイドプレート13には、第2駆動ギヤ9および第2従動ギヤ11の歯先をシールする第2シールブロック15が一体に形成されている。
【0014】
[フロントケースの構成]
図2、図3を用いてフロントケース3の構成について説明する。フロントケース3は金属材料により形成されている。フロントケース3には、軸方向負側に開口する有底カップ状に形成されたギヤ収容孔3aが形成されている。このギヤ収容孔3aには、第1駆動ギヤ8、第1従動ギヤ10等が収容されている。
ギヤ収容孔3aの底部から軸方向正側に向かってベアリング装着孔3b,3cが形成されている。ベアリング装着孔3b,3cにはそれぞれニードルベアリング16,17が圧入されている。
ベアリング装着孔3bの更に奥には駆動軸収容孔3dが形成され、ベアリング装着孔3cの更に奥には従動軸収容孔3eが形成されている。駆動軸収容孔3d、従動軸収容孔3eにはそれぞれ駆動軸6、従動軸7の軸方向正側端部が収容されている。
【0015】
[リアケースの構成]
図2、図3を用いてリアケース5の構成について説明する。リアケース5は金属材料により形成されている。リアケース5には、軸方向正側に開口する有底カップ状に形成されたギヤ収容孔5aが形成されている。このギヤ収容孔5aには、第2駆動ギヤ9、第2従動ギヤ11等が収容されている。
ギヤ収容孔5aの底部にはリアケース5を軸方向に貫通する駆動軸貫通孔5fが形成されている。リアケース5の軸方向負側端面には、シール収容孔5bが形成され、更に奥にはベアリング装着孔5cが形成されている。ベアリング装着孔5cの底部には、駆動軸貫通孔5fが開口している。ベアリング装着孔5cには、ボールベアリング82が圧入されている。シール収容孔5bには、ボールベアリング82に隣接してシール部材83が挿入されている。
またギヤ収容孔5aの底部には軸方向負側に向かってベアリング装着孔5dが形成されている。ベアリング装着孔5dにはニードルベアリング18が圧入されている。ベアリング装着孔5dの更に奥には従動軸収容孔5eが形成されている。従動軸収容孔5eには従動軸7の軸方向負側端部が収容されている。
【0016】
[センタプレートの構成]
図4はセンタプレート4の斜視図である。図2〜図4を用いてセンタプレート4の構成について説明する。
センタプレート4の外観は全体としては軸方向長さが径方向よりも短い略円筒状に形成されている。センタプレート4の軸方向正側には、軸方向正側に突出したフロントケース嵌合凸部4aが形成されている。このフロントケース嵌合凸部4aの直径は、フロントケース3のギヤ収容孔3aの直径よりも若干小さく形成されており、このフロントケース嵌合凸部4aがギヤ収容孔3aに嵌合され、溶接によりセンタプレート4とフロントケース3とが固定されている。フロントケース3のギヤ収容孔3aの開口部がセンタプレート4により封止されることによってできる空間が第1ポンプ室30を構成している。
フロントケース嵌合凸部4aの軸方向正側側面には、軸方向正側に突出した摺接部4bが形成されている。摺接部4bは第1駆動ギヤ8、第1従動ギヤ10の軸方向負側に摺接している。摺接部4bには、センタプレート4を軸方向に貫通する駆動軸貫通孔4cおよび従動軸貫通孔4dが形成されている。
【0017】
センタプレート4の軸方向負側には、軸方向負側に突出したリアケース嵌合凸部4eが形成されている。このリアケース嵌合凸部4eの直径は、リアケース5のギヤ収容孔5aの直径よりも若干小さく形成されており、このリアケース嵌合凸部4eがギヤ収容孔5aに嵌合され、溶接によりセンタプレート4とリアケース5とが固定されている。リアケース5のギヤ収容孔5aの開口部がセンタプレート4により封止されることによってできる空間が第2ポンプ室31を構成している。
リアケース嵌合凸部4eの軸方向負側側面には、軸方向負側に突出した摺接部4fが形成されている。摺接部4fは第2駆動ギヤ9、第2従動ギヤ11の軸方向正側に摺接している。摺接部4fには、シャフトシール部材収容孔4g,4hが形成されており、このシャフトシール部材収容孔4g,4hにそれぞれ駆動軸貫通孔4c、従動軸貫通孔4dが開口している。シャフトシール部材収容孔4gにはシャフトシール部材19および封止部材21が、シャフトシール部材収容孔4hにはシャフトシール部材20および封止部材22がそれぞれ収容されている。
センタプレート4の摺接部4fは樹脂により形成されており、金属材料により形成された第1駆動ギヤ8、第2駆動ギヤ9、第1従動ギヤ10、第2従動ギヤ11よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。摺接部4f以外の本体部4iは金属材料により形成されている。またセンタプレート4は、移動不能に形成された固定側板である。
【0018】
[サイドプレート、シールブロックの構成]
図5は第1サイドプレート12、第2サイドプレート13の斜視図、図6は第1サイドプレート12、第2サイドプレート13をセンタプレート4逆側から見た図、図7は第1サイドプレート12、第2サイドプレート13をセンタプレート4側から見た図である。
図2、図3、図5〜図7を用いて第1サイドプレート12の構成について説明する。第1サイドプレート12は線対称に形成されており、第2サイドプレート13と同じ部材が用いられる。ここでは第1サイドプレート12についてのみ説明する。
第1サイドプレート12には第1シールブロック14が一体に形成されている。第1サイドプレート12および第1シールブロック14は樹脂により形成されており、金属により形成された第1駆動ギヤ8、第1従動ギヤ10よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。また第1サイドプレート12は、第1ポンプ室30内の圧力に応じて軸方向に移動可能である可動側板である。
第1サイドプレート12には、軸方向に貫通する貫通孔23,24が形成されている。この貫通孔23,24にはそれぞれ駆動軸6、従動軸7が挿通される。貫通孔23と貫通孔24との間には、軸方向に貫通する吸入孔25が形成されている。
【0019】
第1サイドプレート12の貫通孔23,24の周囲には第1駆動ギヤ8、第1従動ギヤ10側に突出した摺接部26が形成されている。摺接部26は第1駆動ギヤ8、第1従動ギヤ10の側面に摺接している。この摺接部26の幅は0.6[mm]程度に形成されている。第1サイドプレート12の貫通孔23,24のフロントケース3側には、貫通孔23,24および吸入孔25の周囲を取り囲むようにシール溝63が形成されている。このシール溝63にはシール部材84が挿入され、ポンプ組立時には第1サイドプレート12とフロントケース3との間で押しつけられ、シール部材84の内周側の低圧部と外周側の高圧部とをシールしている。
第1シールブロック14の貫通孔23,24側側面には、第1駆動ギヤ8、第1従動ギヤ10の歯先をシールするシール面27,28が形成されている。シール面27,28は、それぞれ貫通孔23と貫通孔24との中間部に向かって円弧状に形成されている。またシール面27とシール面28とが交わる位置に吸入溝29が形成されている。
図8は第1サイドプレート12、第2サイドプレート13のセンタプレート4逆側の低圧領域を示す図、図9は第1サイドプレート12、第2サイドプレート13のセンタプレート4側の低圧領域を示す図である。図8、図9の斜線部分がそれぞれ低圧領域を示している。
第1サイドプレート12、第2サイドプレート13のセンタプレート4逆側の低圧領域の面積をS1、第1サイドプレート12、第2サイドプレート13のセンタプレート4側の低圧領域の面積をS2とすると、S2>S1となるように形成されている。
【0020】
[作用]
実施例1のポンプ装置1の作用について説明する。
サイドプレート12,13、シールブロック14,15、センタプレート4によって高圧領域と低圧領域とを区画するため、高圧側から低圧側へブレーキ液が戻ることなくポンプ装置1の容積効率を確保することができる。
実施例1のポンプ装置1では、軸方向のシールを、固定されたセンタプレート4と軸方向に可動にもうけられた第1サイドプレート12、第2サイドプレート13とによって行う。上記のように、サイドプレート12,13のセンタプレート4逆側の低圧領域の面積S1は、サイドプレート12,13のセンタプレート4側の低圧領域の面積S2よりも小さい。そのため、ポンプ装置1が駆動するとサイドプレート12,13のセンタプレート4側と、センタプレート4逆側との間に押圧力の差が生じて、サイドプレート12,13は各ギヤ8,9,10,11側に押圧されることとなる。
【0021】
サイドプレート12,13が各ギヤ8,9,10,11を押圧する力は、サイドプレート12,13のセンタプレート4逆側の低圧領域の面積S1と、サイドプレート12,13のセンタプレート4側の低圧領域の面積S2との差、逆に言えば、サイドプレート12,13のセンタプレート4逆側の高圧領域の面積と、サイドプレート12,13のセンタプレート4側の高圧領域の面積との差によって決まる。つまり、サイドプレート12,13のセンタプレート4逆側の高圧領域の面積は、サイドプレート12,13のセンタプレート4側の高圧領域の面積よりも大きいため、サイドプレート12,13のセンタプレート4逆側の面圧は、サイドプレート12,13のセンタプレート4側の面圧よりも大きくなる。この面圧の差を圧力バランスと呼んでいる。最終的には、面圧の差がサイドプレート12,13の押圧力を決めることとなる。
圧力バランスは公差の範囲において、サイドプレート12,13にセンタプレート4側への押圧力が作用するよう設定しなければならない。サイドプレート12,13にセンタプレート4側への押圧力が作用しない場合、各ギヤ8,9,10,11に対して軸方向シール面が形成されず、ポンプ装置1の十分な吐出能力を確保することができない。
【0022】
圧力バランスは、サイドプレート12,13の軸方向シール面(図9の斜線部分)の高圧領域と低圧領域との区間形態により変化する。サイドプレート12,13の構成の説明では、図9の斜線部分を低圧領域と説明したが、厳密にはサイドプレート12,13の貫通孔23,24、吸入孔25、吸入溝29が最も低圧であって、サイドプレート12,13の外部から貫通孔23,24、吸入孔25、吸入溝29に向かって高圧から低圧に遷移する領域である。区間形態とは、軸方向シール面の液圧分布の形態であり、シールと潤滑の形態を示すものである。
ブレーキ液圧制御装置32に用いられるポンプ装置1のように比較的小型のポンプ装置1では、サイドプレート12,13の軸方向シール面を高圧領域から低圧領域への遷移を伴うクリアランスシールで行おうとしたとき、軸方向シール面を形成する区間の長さが短く、また公差上の安定した圧力の遷移を作り出すことが困難であった。そのため、潤滑状態が不安定となり軸方向シール面との摩擦による各ギヤ8,9,10,11の回転抵抗が大きく変動してしまう。また、回転抵抗の変動により容積効率が安定しないといった問題がある。
これらの問題を解決するため、積極的にメカニカルシールを行うことを目的として、サイドプレート12,13にセンタプレート4側への強い押圧力が作用するように圧力バランスを調整しなければならず、ポンプ装置1の機械効率の改善の妨げとなっていた。
【0023】
そこで実施例1のポンプ装置1では、第1サイドプレート12、第2サイドプレート13、第1シールブロック14、第2シールブロック15、センタプレート4の摺接部4b,4fを、第1駆動ギヤ8、第2駆動ギヤ9、第1従動ギヤ10、第2従動ギヤ11の摩擦係数よりも低く形成することとした。
これにより、第1駆動ギヤ8、第2駆動ギヤ9、第1従動ギヤ10、第2従動ギヤ11の摺動抵抗を小さくすることができ、積極的にメカニカルシールを行うようにしたとしても、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
また第1サイドプレート12、第2サイドプレート13、第1シールブロック14、第2シールブロック15、センタプレート4の摺接部4b,4fを樹脂材料により形成した。
図10は、ギヤ8,9,10,11の材料に対する各材料の摩擦係数を示すグラフである。横軸は、ギヤ8,9,10,11への各部材を押しつけたときの圧力と摺動するときの速度との積(PV値)を示す。縦軸は摩擦係数を示す。
図10に示すように、実施例1のポンプ装置1を実用するときのPV値の範囲内においては、樹脂の摩擦係数はアルミニウムを除く他の材料の摩擦係数よりも小さい。そのため、シール面とギヤ8,9,10,11との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0024】
なお、アルミニウムの摩擦係数は3700[kgf/cm2・m/min]付近までは樹脂よりも小さいが、アルミニウムは樹脂よりも耐摩耗性が低いため、実施例1では樹脂を用いるようにしている。
図11は、サイドプレート12,13の摺接部26の幅が厚いときと薄いときの液圧遷移の様子を示す図である。摺接部26における液圧遷移は、図11のグラフに実線で示すように、摺接部26の幅方向の始端部から終端部にかけて徐々に液圧が低下するように遷移することが望ましい。しかしながら、液圧遷移は一点鎖線に示すように幅方向の途中から液圧が低下し始めることもあり、摺接部26の幅が厚いほど液圧遷移のバラツキは大きくなる。液圧遷移のバラツキは大きくなると、このバラツキも考慮してサイドプレート12,13にセンタプレート4側への強い押圧力が作用するように圧力バランスを調整しなければならず、前述のようにポンプ装置1の機械効率を低下させてしまう。
【0025】
従来では、確実にシール性を確保するためにサイドプレート12,13の摺接部26の幅をできる限り厚く形成するようにしていた。一方、実施例1ではサイドプレート12,13の摺接部26の幅をできる限り薄く形成するようにした。摺接部26の幅を薄く形成することにより、サイドプレート12,13に作用する押圧力が同じであったとしても、摺接部26が各ギヤ8,9,10,11に作用する圧力は摺接部26の幅が厚いときに比べて高くすることが可能となる。摺接部26が各ギヤ8,9,10,11に作用する圧力を高くすることにより、シール性の確保することができる。
図12はサイドプレート12,13の摺接部26の幅と機械効率の関係を示すグラフである。図12に示すように機械効率のグラフは、摺接部26の幅が0.6[mm]付近で最初の大きな変曲点を有している。そこで実施例1のポンプ装置1では、サイドプレート12,13の摺接部26の幅を0.6[mm]程度に形成している。
【0026】
[効果]
実施例1のポンプ装置1の効果について、以下に列記する。
(1)駆動軸6によって回転駆動する第1駆動ギヤ8と、第1駆動ギヤ8と噛み合うことで回転する第1従動ギヤ10と、第1駆動ギヤ8および第1従動ギヤ10の一側面側に配置され、一側面に対向する面の摩擦係数が第1駆動ギヤ8および第1従動ギヤ10の一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレート12と、駆動軸6によって第1駆動ギヤ8と共に回転駆動する第2駆動ギヤ9と、第2駆動ギヤ9に噛み合うことで回転する第2従動ギヤ11と、第2駆動ギヤ9および第2従動ギヤ11の他側面側に配置され、他側面に対向する面の摩擦係数が第2駆動ギヤ9および第2従動ギヤ11の他側面の摩擦係数より低く形成された第2サイドプレート13と、第1駆動ギヤ8および第1従動ギヤ10の他側面側と第2駆動ギヤ9および第2従動ギヤ11の一側面側との間に配置され、各ギヤ8,9,10,11と対向する面の摩擦係数が各ギヤ8,9,10,11の対向する面より低く形成されたセンタプレート4と、第1サイドプレート12とセンタプレート4と共に第1駆動ギヤ8および第1従動ギヤ10の歯先をシールし、第1駆動ギヤ8および第1従動ギヤ10の歯先面より低い摩擦係数を有する第1シールブロック14とによって構成された第1ポンプPPを備えた第1ポンプ室30と、第2サイドプレート13とセンタプレート4と共に第2駆動ギヤ9および第2従動ギヤ11の歯先をシールし、第2駆動ギヤ9および第2従動ギヤ11の歯先面より低い摩擦係数を有する第2シールブロック15とによって構成された第2ポンプPSを備えた第2ポンプ室31と、を備え、ポンプPP,PSは、ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダM/Cからブレーキ液を吸入すると共に、ブレーキ液をソレノイドバルブ42,48,54を介して車輪に設けられたホイルシリンダW/Cへ吐出するようにした。
よって、第1駆動ギヤ8、第2駆動ギヤ9、第1従動ギヤ10、第2従動ギヤ11の摺動抵抗を小さくすることができ、積極的にメカニカルシールを行うようにしたとしても、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
【0027】
(2)第1サイドプレート12、第2サイドプレート13及びセンタプレート4はそれぞれ各ギヤ8,9,10,11と互いに摺接しているようにした。
よって、高いシール性を確保することができる。
(3)第1サイドプレート12及び第2サイドプレート13は、第1ポンプ室30と第2ポンプ室31の液圧が上昇することによってセンタプレート4の方に移動して各ギヤの摺接面に対する面圧が上昇する可動側板であり、センタプレート4は固定側板であることとした。
よって、第1ポンプ室30と第2ポンプ室31の液圧が上昇するのにつれて、第1サイドプレート12及び第2サイドプレート13の各ギヤ8,9,10,11側への押圧力を高くすることができ、シール性を向上させることができる。
(4)各ギヤ8,9,10,11は金属材料で形成し、第1サイドプレート12、第2サイドプレート13、第1シールブロック14、第2シールブロック15を樹脂部材で形成するようにした。
よって、第1サイドプレート12、第2サイドプレート13、第1シールブロック14および第2シールブロック15とギヤ8,9,10,11との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0028】
(5)センタプレート4は、金属材料から成る本体部4iと、本体部4iの両側面に設けられ、各ギヤ8,9,10,11と摺接する樹脂材料から成る摺接部4b,4fとから形成することとした。
よって、本体部4iを金属材料により形成することによりセンタプレート4全体の剛性を確保するともに、金属材料で形成されているフロントケース3、リアケース5との熱膨張差を生じないようにしている。また摺接部4b,4fを樹脂材料で形成することにより、摺接部4b,4fとギヤ8,9,10,11との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。
(6)第1サイドプレート12、第2サイドプレート13、センタプレート4の摺接部4b,4f及び第1シールブロック14、第2シールブロック15を同一の樹脂材料で形成することとした。
よって、材料を統一化し、製造コストを抑制することができる。
(7)第1サイドプレート12と第1シールブロック14を一体成形することとした。
よって、第1サイドプレート12と第1シールブロック14を一度に形成することができ、製造コストを抑制することができる。
(8)第2サイドプレート13と第2シールブロック15を一体成形することとした。
よって、第2サイドプレート13と第2シールブロック15を一度に形成することができ、製造コストを抑制することができる。
【0029】
〔実施例2〕
実施例2のポンプ装置1について説明する。実施例1のポンプ装置1はポンプ室を2つ有するタンデム式の外接ギヤポンプであったが、実施例2のポンプ装置1はポンプ室を1つだけ有する外接ギヤポンプである。
[ポンプ装置の構成]
図13、図14はポンプ装置1の軸方向断面図である。図13に示すように、ポンプ装置1の外周はポンプケース52によって覆われている。ポンプケース52は、フロントケース53、リアケース55によって構成されている。以下、説明のためポンプ装置1が組み立てられた状態でポンプ装置1の軸方向であってフロントケース53側を軸方向正側、リアケース55側を軸方向負側と称する。
ポンプケース52内にはモータにより回転駆動される駆動軸56が設けられ、この駆動軸56には、駆動軸56と一体に回転する駆動ギヤ58が取り付けられている。駆動軸56と並列に従動軸57が設けられ、この従動軸57には、従動軸57と一体に回転する従動ギヤ60が取付けられている。従動ギヤ60は駆動ギヤ58と歯合している。
駆動ギヤ58と従動ギヤ60の軸方向負には第1サイドプレート62が設けられている。駆動ギヤ58と従動ギヤ60の軸方向正側には第2サイドプレート54が設けられている。すなわち、第1サイドプレート62と第2サイドプレート54によって駆動ギヤ58と従動ギヤ60を挟み込むこととなる。
第1サイドプレート62には、駆動ギヤ58および従動ギヤ60の歯先をシールするシールブロック64が一体に形成されている。
【0030】
[フロントケースの構成]
図13、図14を用いてフロントケース53の構成について説明する。フロントケース53は金属材料により形成されている。フロントケース53の軸方向負側には2つの円筒状の嵌合凸部53a,53fが形成されている。それぞれの嵌合凸部53a,53fの中心部には、軸方向正側に向かってベアリング装着孔53b,53cが形成されている。ベアリング装着孔53b,53cにはそれぞれニードルベアリング66,67および封止部材91,92が圧入されている。
ベアリング装着孔53bの更に奥には駆動軸収容孔53dが形成され、ベアリング装着孔53cの更に奥には従動軸収容孔53eが形成されている。駆動軸収容孔53d、従動軸収容孔53eにはそれぞれ駆動軸56、従動軸57の軸方向正側端部が収容されている。
【0031】
[リアケースの構成]
図13、図14を用いてリアケース55の構成について説明する。リアケース55は金属材料により形成されている。リアケース55には、軸方向正側に開口する有底カップ状に形成されたギヤ収容孔55aが形成されている。このギヤ収容孔55aには、駆動ギヤ58、従動ギヤ60等が収容されている。
リアケース55は、溶接によりフロントケース53と固定されている。リアケース55のギヤ収容孔55aの開口部がフロントケース53により封止されることによってできる空間がポンプ室80を構成している。
ギヤ収容孔55aの底部にはリアケース55を軸方向に貫通する駆動軸貫通孔55fが形成されている。リアケース55の軸方向負側端面には、シール収容孔55bが形成され、更に奥にはベアリング装着孔55cが形成されている。ベアリング装着孔55cの底部には、駆動軸貫通孔55fが開口している。ベアリング装着孔55cには、ボールベアリング89が圧入されている。シール収容孔55bには、ボールベアリング89に隣接してシール部材90が挿入されている。
またギヤ収容孔55aの底部には軸方向負側に向かってベアリング装着孔55dが形成されている。ベアリング装着孔55dにはニードルベアリング68が圧入されている。ベアリング装着孔55dの更に奥には従動軸収容孔55eが形成されている。従動軸収容孔55eには従動軸57の軸方向負側端部が収容されている。
【0032】
[第2サイドプレートの構成]
図15は第2サイドプレート54の斜視図である。図13〜図15を用いて第2サイドプレート54の構成について説明する。第2サイドプレート54は樹脂により形成されており、金属により形成された駆動ギヤ58、従動ギヤ60よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。
第2サイドプレート54は、板状のプレートを貫通する2つの嵌合孔54a,54fが形成されている。嵌合孔54a,54fの内径はフロントケース53の嵌合凸部53a,53fの外径とほぼ同径に形成されており、嵌合孔54aが嵌合凸部53aに、嵌合孔54fが嵌合凸部53eに嵌合されている。第2サイドプレート54は嵌合によってフロントケース53に固定されており、軸方向に移動不能に形成された固定側板となっている。
嵌合孔54a,54fの外周側には、嵌合孔54aと嵌合孔54fの中間部に向かって円弧状に形成されたシール面当接部54bが形成されている。シール面当接部54bが交わる位置に吸入溝54cが形成されている。
第2サイドプレート54の軸方向正側側面には、固定シール溝54dが形成されている。固定シール溝54dは嵌合孔54aの外周を包囲するように形成され、その端部はシール面当接部54bに開口している。
第2サイドプレート54の軸方向負側側面には、嵌合孔54a,54fの周囲が軸方向負側に突出した摺接部54eが形成されている。摺接部54eは駆動ギヤ58、従動ギヤ60の軸方向正側に摺接している。
【0033】
[第1サイドプレート、シールブロックの構成]
図16は第1サイドプレート62の斜視図、図17は第1サイドプレート62を第2サイドプレート54逆側から見た図、図18は第1サイドプレート62を第2サイドプレート54側から見た図である。図13、図14、図16〜図18を用いて第1サイドプレート62の構成について説明する。
第1サイドプレート62にはシールブロック64が一体に形成されている。第1サイドプレート62およびシールブロック64は樹脂により形成されており、金属により形成された駆動ギヤ58、従動ギヤ60よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。また第1サイドプレート62は、ポンプ室80内の圧力に応じて軸方向に移動可能に設けられた可動側板である。
第1サイドプレート62には、軸方向に貫通する貫通孔73,74が形成されている。この貫通孔73,74にはそれぞれ駆動軸56、従動軸57が挿通される。貫通孔73と貫通孔74との間には、軸方向に貫通する吸入孔75が形成されている。
【0034】
第1サイドプレート62の貫通孔73,74の周囲には駆動ギヤ58、従動ギヤ60側に突出した摺接部76が形成されている。摺接部76は駆動ギヤ58、従動ギヤ60の側面に摺接している。この摺接部76の幅は0.6[mm]程度に形成されている。第1サイドプレート62の貫通孔73,74のリアケース55側には、貫通孔73,74および吸入孔75の周囲を取り囲むようにシール溝65が形成されている。このシール溝65にはシール部材81が挿入され、ポンプ組立時には第1サイドプレート62とリアケース55との間で押しつけられ、シール部材81の内周側の低圧部と外周側の高圧部とをシールしている。
シールブロック64の貫通孔73,74側側面には、駆動ギヤ58、従動ギヤ60の歯先をシールするシール面77,78が形成されている。シール面77,78は、それぞれ貫通孔73と貫通孔74との中間部に向かって円弧状に形成されている。またシール面77とシール面78とが交わる位置に吸入溝79が形成されている。
シールブロック64の吸入孔75の外周には、固定シール溝59が形成されている。第1サイドプレート62と第2サイドプレート54とを組み合わせたときに、シールブロック64の固定シール溝59と、第2サイドプレート54の固定シール溝54dとが連結し、ここに固定シール61を挿入することにより、第1サイドプレート62に対して第2サイドプレート54を一体に保持することができる。
図19は第1サイドプレート62の第2サイドプレート54逆側の低圧領域を示す図、図20は第1サイドプレート62の第2サイドプレート54側の低圧領域を示す図である。図8、図9の斜線部分がそれぞれ低圧領域を示している。
第1サイドプレート62の第2サイドプレート54逆側の低圧領域の面積をS3、第1サイドプレート62の第2サイドプレート54側の低圧領域の面積をS4とすると、S4>S3となるように形成されている。
【0035】
[作用]
実施例2のポンプ装置1の作用について説明する。従来、シール性を確保しようとすると、第1サイドプレート62に第2サイドプレート54側への強い押圧力が作用するように圧力バランスを調整しなければならなかった。そのため、駆動ギヤ58、従動ギヤ60の摺動抵抗が大きくなり、ポンプ装置1の機械効率の改善の妨げとなっていた。
そこで実施例2のポンプ装置1では、第1サイドプレート62、第2サイドプレート54、シールブロック64を、駆動ギヤ58、従動ギヤ60の摩擦係数よりも低く形成することとした。
これにより、駆動ギヤ58、従動ギヤ60の摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
また第1サイドプレート62、第2サイドプレート54、シールブロック64を樹脂材料により形成した。
そのため、シール面とギヤ58,60との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0036】
[効果]
(9)駆動軸56によって回転駆動する駆動ギヤ58と、駆動ギヤ58に噛み合うことで回転する従動ギヤ60を備え、各ギヤ58,60の一側面側に配置され、一側面に対向する面の摩擦係数が各ギヤ58,60の一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレート62と、各ギヤ58,60の他側面側に配置され、他側面に対向する面の摩擦係数が各ギヤ58,60の他側面の摩擦係数より低く形成された第2サイドプレート54と、第1サイドプレート62と第2サイドプレート54と共に外部から吸入した作動油を外部へ圧送するためのポンプ室80を形成するために各ギヤ58,60の歯先をシールし、各ギヤ58,60の歯先面より低い摩擦係数を有するシールブロック64とからポンプ装置1を構成するようにした。
よって、駆動ギヤ58、従動ギヤ60の摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
【0037】
(10)第1サイドプレート62と各ギヤ58,60の一側面と、第2サイドプレート54と各ギヤ58,60の他側面との間はそれぞれ互いに摺接するようにした。
よって、高いシール性を確保することができる。
(11)各ギヤ58,60は金属材料で形成し、第1サイドプレート62、第2サイドプレート54及びシールブロック64は樹脂材料で形成するようにした。
よって、第1サイドプレート62、第2サイドプレート54およびシールブロック64とギヤ58,60との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
(12)第1サイドプレート62とシールブロック64は一体成形するようにした。
よって、第1サイドプレート62とシールブロック64を一度に形成することができ、製造コストを抑制することができる。
(13)第1サイドプレート62はポンプ室80内の液圧が上昇することによって駆動ギヤ58の摺接面に対する面圧が上昇する可動側板であり、第2サイドプレート54は固定側板とした。
よって、ポンプ室80の液圧が上昇するのにつれて、第1サイドプレート62の各ギヤ58,60側への押圧力を高くすることができ、シール性を向上させることができる。
【0038】
〔実施例3〕
実施例3のポンプ装置1について説明する。実施例1および実施例2のポンプ装置1は外接ギヤポンプであったが、実施例3のポンプ装置1はトロコイドポンプである。
[ポンプ装置の構成]
図21はポンプ装置1の軸方向断面図である。図21に示すように、ポンプ装置1の外周はポンプケース93によって覆われている。ポンプケース93は、フロントケース94、センタケース95、リアケース96によって構成されている。以下、説明のためポンプ装置1が組み立てられた状態でポンプ装置1の軸方向であってフロントケース94側を軸方向正側、リアケース96側を軸方向負側と称する。
【0039】
ポンプケース93内にはモータにより回転駆動される駆動軸97がもうけられ、この駆動軸97には、駆動軸97と一体に回転するインナロータ99が取り付けられている。インナロータ99の外周にはアウタロータ98が設けられている。インナロータ99は外周に外歯99aを備えており、アウタロータ98は内周に内歯98aを備えている。インナロータ99とアウタロータ98とが互いの外歯99a、内歯98aによって複数の空隙部107を形成して噛合している。アウタロータ98の内歯98aは、インナロータ99の外歯99aの刃先をシールするシール部材として機能している。
アウタロータ98は樹脂材料により形成されており、金属材料で形成されたインナロータ99よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。
インナロータ99とアウタロータ98の軸方向負側には第2サイドプレート101が設けられている。インナロータ99とアウタロータ98の軸方向正側には第1サイドプレート100が設けられている。すなわち、第2サイドプレート101と第1サイドプレート100とによってインナロータ99とアウタロータ98を挟み込むこととなる。
【0040】
[フロントケースの構成]
図21を用いてフロントケース94の構成について説明する。フロントケース94は金属材料により形成され、外見は全体として円筒状に形成されている。フロントケース94の軸方向負側には凹状に刳り抜かれており、刳り抜かれた中に円筒状の嵌合凸部94aが形成されている。この嵌合凸部94aは、フロントケース94の外周円に対して偏芯して形成されている。
嵌合凸部94aには、軸方向正側に向かってベアリング装着孔94bが形成されている。ベアリング装着孔94bにはニードルベアリング105および封止部材106が圧入されている。
ベアリング装着孔94bの更に奥には駆動軸収容孔94cが形成されている。駆動軸収容孔94cにはそれぞれ駆動軸56の軸方向正側端部が収容されている。
【0041】
[センタケースの構成]
図21を用いてセンタケース95の構成について説明する。センタケース95は、全体として板状の円盤部材であって、内部にインナロータ99およびアウタロータ98を収容する収容孔95aが形成されている。この収容孔95aは、センタケース95の外周に対して偏芯して形成されており、センタケース95を軸方向に貫通している。
【0042】
[リアケースの構成]
図21を用いてリアケース96の構成について説明する。リアケース96は金属材料により形成されている。リアケース96には、軸方向正側に開口する有底カップ状に形成された第1サイドプレート収容孔96aが形成されている。この第1サイドプレート収容孔96aには、第2サイドプレート101が収容されている。
第1サイドプレート収容孔96aの底部にはリアケース96を軸方向に貫通する駆動軸貫通孔96bが形成されている。リアケース96の軸方向負側端面には、シール収容孔96cが形成され、更に奥にはベアリング装着孔96dが形成されている。ベアリング装着孔96dの底部には、駆動軸貫通孔96bが開口している。ベアリング装着孔96dには、ボールベアリング102が圧入されている。シール収容孔96cには、ボールベアリング102に隣接してシール部材103が挿入されている。
【0043】
[第1サイドプレートの構成]
図21を用いて第1サイドプレート100の構成について説明する。第1サイドプレート100は樹脂により形成されており、金属により形成されたインナロータ99よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。
第1サイドプレート100は、板状のプレートを貫通する嵌合孔100aが形成されている。嵌合孔100aの内径は、フロントケース94の嵌合凸部94aの外径よりも若干大きく形成されている。つまり、第1サイドプレート100は、軸方向に移動可能に形成された移動側板となっている。
第1サイドプレート100の軸方向正側側面には、シール溝100bが形成されている。シール溝100bは嵌合孔100aの外周を包囲するように形成され、シール部材108が挿入されている。
【0044】
[第2サイドプレートの構成]
図21を用いて第2サイドプレート101の構成について説明する。第2サイドプレート101は樹脂により形成されており、金属により形成されたインナロータ99よりも摩擦係数は小さくなるように形成されている。
第2サイドプレート101は、外観は円盤状に形成され、内部に駆動軸貫通孔101aが形成されている。駆動軸貫通孔101aは、第2サイドプレート101の外径に対して偏芯して形成されている。第2サイドプレート101の外径は、リアケース96の第1サイドプレート収容孔96aとほぼ同径に形成され、第1サイドプレート収容孔96aに嵌合されている。つまり、第2サイドプレート101は、軸方向に移動不能に形成された固定側板となっている。
【0045】
[作用]
実施例3のポンプ装置1の作用について説明する。従来、シール性を確保しようとすると、第1サイドプレート100に第2サイドプレート101側への強い押圧力が作用するように圧力バランスを調整しなければならなかた。そのため、インナロータ99の摺動抵抗が大きくなり、ポンプ装置1の機械効率の改善の妨げとなっていた。
そこで実施例3のポンプ装置1では、第1サイドプレート100、第2サイドプレート101、アウタロータ98を、インナロータ99の摩擦係数よりも低く形成することとした。
これにより、インナロータ99の摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
また、第1サイドプレート100、第2サイドプレート101、アウタロータ98を樹脂材料により形成した。
そのため、シール面とインナロータ99との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0046】
[効果]
(14)駆動軸97によって回転駆動するインナロータ99と、インナロータ99の一側面側に配置され、インナロータ99の一側面との摺接面の摩擦係数がインナロータ99の一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレート100と、インナロータ99の他側面側に配置され、インナロータ99の他側面との摺接面の摩擦係数がインナロータ99の他側面の摩擦係数よりも低く形成された第2サイドプレート101と、第1サイドプレート100と第2サイドプレート101と共に外部から吸入した作動油を外部へ圧送するための空隙部107を形成するためにインナロータ99の歯先をシールし、インナロータ99の歯先面より低い摩擦係数を有するアウタロータ98とからポンプ装置1を構成するようにした。
よって、インナロータ99の摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
【0047】
(15)第1サイドプレート100は、空隙部107の液圧が上昇することによってインナロータ99の摺接面に対する面圧が上昇する可動側板であり、第2サイドプレート101は固定側板とした。
よって、空隙部107の液圧が上昇するのにつれて、第1サイドプレート100のインナロータ99側への押圧力を高くすることができ、シール性を向上させることができる。
(16)インナロータ99は金属材料で形成し、第1サイドプレート100、第2サイドプレート101及アウタロータ98は樹脂材料で形成するようにした。
よって、第1サイドプレート100、第2サイドプレート101およびアウタロータ98とインナロータ99との摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
(17)第1サイドプレート100とインナロータ99の一側面と、第2サイドプレート101とインナロータ99の他側面との間はそれぞれで互いに摺接するようにした。
よって、高いシール性を確保することができる。
【0048】
(18)第1サイドプレート100、第2サイドプレート101及びアウタロータ98は同一の樹脂材料で形成することとした。
よって、材料を統一化し、製造コストを抑制することができる。
【0049】
(19)駆動ギヤとしてのトロコイドポンプのインナロータ99と、アウタロータ98の刃先をシールするシール部材であるトロコイドポンプのアウタロータ98とからポンプ装置1を構成することとした。
よって、トロコイドポンプにおいても、インナロータ99の摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置1の機械効率を向上させることができる。
【0050】
〔他の実施例〕
以上、本願発明を実施例1ないし実施例4に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0051】
(イ)請求項2に記載のポンプ装置において、
前記第1サイドプレート、前記第2サイドプレート及びシール部材は同一の樹脂材料で形成されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、材料を統一化し、製造コストを抑制することができる。
(ロ)請求項1に記載のポンプ装置において、
前記駆動ギヤであるトロコイドポンプのアウタロータと、
前記シール部材であるトロコイドポンプのインナロータとから構成されることを特徴とするポンプ装置。
よって、トロコイドポンプにおいても、インナロータの摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置の機械効率を向上させることができる。
【0052】
(ハ)駆動軸によって回転駆動する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤに噛み合うことで回転する従動ギヤを備え、
前記各ギヤの一側面側に配置され、前記一側面に対向する面の摩擦係数が前記各ギヤの一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレートと、
前記各ギヤの他側面側に配置され、前記他側面に対向する面の摩擦係数が前記各ギヤの他側面の摩擦係数より低く形成された第2サイドプレートと、
前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートと共に外部から吸入した作動油を外部へ圧送するためのポンプ室を形成するために前記各ギヤの歯先をシールし、前記各ギヤの歯先面より低い摩擦係数を有するシール部材と、
から成ることを特徴とするポンプ装置。
よって、駆動ギヤ、従動ギヤの摺動抵抗を小さくすることができ、ポンプ装置の機械効率を向上させることができる。
(ニ)上記(ハ)に記載されたポンプ装置において、
前記第1サイドプレートと前記各ギヤの一側面と、前記第2サイドプレートと前記各ギヤの他側面との間はそれぞれ互いに摺接していることを特徴とするポンプ装置。
よって、高いシール性を確保することができる。
【0053】
(ホ)上記(ニ)に記載されたポンプ装置において、
前記各ギヤは金属材料で形成し、前記第1サイドプレート、前記第2サイドプレート及びシール部材は樹脂材料で形成されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、第1サイドプレート、第2サイドプレートおよびシール部材とギヤとの摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
(ヘ)上記(ホ)に記載されたポンプ装置において、
前記第1サイドプレートと前記シール部材は一体成形されていることを特徴するポンプ装置。
よって、第1サイドプレートとシール部材を一度に形成することができ、製造コストを抑制することができる。
(ト)上記(ヘ)に記載されたポンプ装置において、
前記第1サイドプレートは前記ポンプ室内の液圧が上昇することによって前記駆動ギヤの摺接面に対する面圧が上昇する可動側板であり、前記第2サイドプレートは固定側板であることを特徴とするポンプ装置。
よって、ポンプ室の液圧が上昇するのにつれて、第1サイドプレートの各ギヤ5側への押圧力を高くすることができ、シール性を向上させることができる。
【0054】
(チ)駆動軸によって回転駆動する第1駆動ギヤと、
前記第1駆動ギヤと噛み合うことで回転する第1従動ギヤと、
前記各第1ギヤの一側面側に配置され、前記一側面に対向する面の摩擦係数が前記各第1ギヤの一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレートと、
前記駆動軸によって前記第1駆動ギヤと共に回転駆動する第2駆動ギヤと、
前記第2駆動ギヤに噛み合うことで回転する第2従動ギヤと、
前記各第2ギヤの他側面側に配置され、前記他側面に対向する面の摩擦係数が前記各第2ギヤの他側面の摩擦係数より低く形成された第2サイドプレートと、
前記各第1ギヤの他側面側と前記各第2ギヤの一側面側との間に配置され、各ギヤと対向する面の摩擦係数が各ギヤの対向する面より低く形成されたセンタプレートと、
前記第1サイドプレートと前記センタプレートと共に前記各第1ギヤの歯先をシールし、前記各第1ギヤの歯先面より低い摩擦係数を有する第1シール部材とによって構成された第1ポンプを備えた第1ポンプ室と、
前記第2サイドプレートと前記センタプレートと共に前記各第2ギヤの歯先をシールし、前記各第2ギヤの歯先面より低い摩擦係数を有する第2シール部材と によって構成された第2ポンプを備えた第2ポンプ室と、
を備え、
前記各ポンプは、ドライバのブレーキ操作によってブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダからブレーキ液を吸入すると共に、ブレーキ液を制御弁を介して車輪に設けられたホイルシリンダへ吐出することを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、第1駆動ギヤ、第2駆動ギヤ、第1従動ギヤ、第2従動ギヤの摺動抵抗を小さくすることができ、積極的にメカニカルシールを行うようにしたとしても、ポンプ装置の機械効率を向上させることができる。
【0055】
(リ)上記(チ)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置において、
前記第1サイドプレート、前記第2サイドプレート及び前記センタプレートはそれぞれ前記各ギヤと互いに摺接していることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、高いシール性を確保することができる。
(ヌ)上記(リ)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置において、
前記第1サイドプレート及び前記第2サイドプレートは、前記第1ポンプ室と前記第2ポンプ室の液圧が上昇することによって前記センタプレートの方に移動して前記各ギヤの摺接面に対する面圧が上昇する可動側板であり、前記センタプレートは固定側板であることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、第1ポンプ室と第2ポンプ室の液圧が上昇するのにつれて、第1サイドプレート及び第2サイドプレートの各ギヤ側への押圧力を高くすることができ、シール性を向上させることができる。
【0056】
(ル)上記(ヌ)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置において、
前記各ギヤは金属材料で形成し、前記第1サイドプレート、前記第2サイドプレート及びシール部材は樹脂部材で形成されていることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、第1サイドプレート、第2サイドプレート、第1シールブロックおよび第2シールブロックとギヤとの摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。また、樹脂は高い成型性を有するため、高精度の成型が求められるシール面の形成を型抜きによって行うことができ、製造コストを低減することができる。
(ヲ)上記(ル)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置において、
前記センタプレートは、
金属材料から成る本体部と、
前記本体部の両側面に設けられ、前記各ギヤと摺接する樹脂材料から成る摺接部と、
から成ることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、本体部を金属材料により形成することによりセンタプレート全体の剛性を確保するともに、金属材料で形成されているフロントケース、リアケースとの熱膨張差を生じないようにしている。また摺接部を樹脂材料で形成することにより、摺接部とギヤとの摺動時の発熱による焼き付きを抑えることができ、長時間の連続駆動が可能となる。
【0057】
(ワ)上記(ヲ)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置において、
前記第1サイドプレート、前記第2サイドプレート、前記摺接部及び前記シール部材は同一の樹脂材料で形成されていることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、材料を統一化し、製造コストを抑制することができる。
(カ)上記(ヲ)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置にいて、
前記第1サイドプレートと前記第1シール部材は一体成形されていることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、第1サイドプレートと第1シールブロックを一度に形成することができ、製造コストを抑制することができる。
(ヨ)上記(ヲ)に記載のブレーキ装置用ポンプ装置において、
前記第2サイドプレートと前記第2シール部材は一体成形されていることを特徴とするブレーキ装置用ポンプ装置。
よって、第2サイドプレートと第2シールブロックを一度に形成することができ、製造コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0058】
M/C マスタシリンダ
W/C ホイルシリンダ
4 センタプレート
4i 本体部
4f 摺接部
6 駆動軸
8 第1駆動ギヤ
9 第2駆動ギヤ
10 第1従動ギヤ
11 第2従動ギヤ
12 第1サイドプレート
13 第2サイドプレート
14 第1シールブロック(第1シール部材)
15 第2シールブロック(第2シール部材)
30 第1ポンプ室
31 第2ポンプ室
56 駆動軸
58 駆動ギヤ
60 従動ギヤ
62 第1サイドプレート
54 第2サイドプレート
64 シールブロック(シール部材)
97 駆動軸
98 アウタロータ(シール部材)
99 インナロータ(駆動ギヤ)
100 第1サイドプレート
101 第2サイドプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸によって回転駆動する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤの一側面側に配置され、前記駆動ギヤの一側面との摺接面の摩擦係数が前記駆動ギヤの一側面の摩擦係数より低く形成された第1サイドプレートと、
前記駆動ギヤの他側面側に配置され、前記駆動ギヤの他側面との摺接面の摩擦係数が前記駆動ギヤの他側面の摩擦係数よりも低く形成された第2サイドプレートと、
前記第1サイドプレートと前記第2サイドプレートと共に外部から吸入した作動油を外部へ圧送するためのポンプ室を形成するために前記駆動ギヤの歯先をシールし、前記駆動ギヤの歯先面より低い摩擦係数を有するシール部材と、
から成ることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置において、
前記第1サイドプレートは、前記ポンプ室内の液圧が上昇することによって前記駆動ギヤの摺接面に対する面圧が上昇する可動側板であり、前記第2サイドプレートは固定側板であることを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポンプ装置において、
前記駆動ギヤは金属材料で形成し、前記第1サイドプレート、前記第2サイドプレート及びシール部材は樹脂材料で形成されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のポンプ装置において、
前記第1サイドプレートと前記シール部材は一体成形されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のポンプ装置において、
前記第1サイドプレートと前記駆動ギヤの一側面と、前記第2サイドプレートと前記駆動ギヤの他側面との間はそれぞれで互いに摺接していることを特徴とするポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−202254(P2012−202254A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65614(P2011−65614)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】