説明

ポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法

【課題】改質硫黄を用いた空隙率が高い多孔体を、容易に、しかも効率的に製造することが可能なポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法は、粒径1mm以下の微粉末100質量部及び改質硫黄30〜400質量部とを含む改質硫黄含有流動材料と、粒径が5mm以上であって、粒径が異なる少なくとも2種以上の不定形骨材と、一方の開口が改質硫黄含有流動材料及び不定形骨材の両方が通過しうる開口(a)であり、他方の開口が改質硫黄含有流動材料が通過し、不定形骨材が通過しない開口(b)である、両端に開口を有する型枠とを準備する工程(A)、型枠内において、改質硫黄含有流動材料と不定形骨材の各々とが接触した状態から改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させる工程(B)及び、型枠内の改質硫黄含有流動材料を固化する工程(C)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質硫黄を利用した、各種ブロック、漁礁、藻礁、護岸用構造物等に有用な、空隙率が高い多孔体を容易に得ることができるポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防波堤基礎の地盤改良材、漁礁、藻礁、各種ブロック等に利用可能なポーラスコンクリートを利用した土木・建設用構造物の製造方法が、例えば特許文献1等を含め数多く提案されている。
一方、近年、コンクリートに代わる土木・建設資材として、耐酸性、機械的強度、遮水性等に優れる硫黄含有資材が多数提案され、利用されはじめている。
このような硫黄含有資材は、該資材中の硫黄又は改質硫黄の溶融温度が通常120℃以上であるため、120〜160℃程度に保持した溶融硫黄含有物を、所定の型枠に流し込み成型固化させることにより製造されている。また、硫黄含有資材を利用した多孔体として、特許文献2には、硫黄材料と骨材とを含み、透水性を示す連続空隙を有し、空隙率が5〜40容量%である多孔質硫黄資材が提案されている。
しかし、このような硫黄資材を利用した空隙率に優れた多孔体を、容易にしかも効率良く製造する方法については知られていない。
【特許文献1】特開平5−85851号公報
【特許文献2】特開2004−189538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、改質硫黄を用いた空隙率が高い多孔体を、容易に、しかも効率的に製造することが可能なポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、粒径1mm以下の微粉末100質量部及び改質硫黄30〜400質量部とを含む改質硫黄含有流動材料と、粒径が5mm以上であって、粒径が異なる少なくとも2種以上の不定形骨材と、一方の開口が前記改質硫黄含有流動材料及び前記不定形骨材の両方が通過しうる開口(a)であり、他方の開口が前記改質硫黄含有流動材料が通過し、前記不定形骨材が通過しない開口(b)である、両端に開口を有する型枠とを準備する工程(A)、前記型枠内において、前記改質硫黄含有流動材料と前記不定形骨材の各々とが接触した状態から改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させる工程(B)及び、工程(B)の後、型枠内の改質硫黄含有流動材料を固化する工程(C)を含む、ポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明のポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法は、上記工程(A)〜(C)を含み、特に、工程(B)において、改質硫黄含有流動材料と不定形骨材の各々とが接触した状態から改質硫黄含有流動材料の一部を型枠から流出させるという工程を採用するので、不定形骨材の各々がある程度の粘度を有する改質硫黄含有流動材料と接触している状態を維持しながらも、不定形骨材間空隙における余剰の該流動材料を容易に流出させることができ、不定形骨材間の間隙のほとんどを空洞とした固化体を容易に得ることができる。
従って、得られるポーラス改質硫黄含有固化体は、空隙率が高く、しかも、耐塩水性、耐水性、機械的強度等に優れる改質硫黄により固定されているので、護岸用ブロック、水質浄化用ブロック、植生用ブロック、消波用ブロック、漁礁ブロック、藻礁ブロック等に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の製造方法は、粒径1mm以下の微粉末及び改質硫黄とを特定割合で含む改質硫黄含有流動材料と、粒径が5mm以上であって、粒径が異なる少なくとも2種以上の不定形骨材と、両端に特定の開口を有する型枠とを準備する工程(A)を含む。
前記改質硫黄含有流動材料に用いる改質硫黄は、通常の硫黄、例えば、天然産又は、石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等を硫黄改質剤により重合したものであって、硫黄と硫黄改質剤との反応物である。
【0007】
硫黄改質剤としては、例えば炭素数4〜20のオレフィン系炭化水素又はジオレフィン系炭化水素、具体的には、リモネン、ピネン等の環状オレフィン系炭化水素、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン等の芳香族炭化水素、ジシクロペンタジエン及びそのオリゴマー、シクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロオクタジエン等のジエン系炭化水素等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
前記改質硫黄は、硫黄と硫黄改質剤とを溶融混合することにより得ることができる。この際、硫黄改質剤の使用割合は、硫黄と硫黄改質剤との合計量に対して、通常0.1〜30質量%、特に、1.0〜20質量%の割合が好ましい。
前記溶融混合は、例えば、インターナルミキサー、ロールミル、ドラムミキサー、ポニーミキサー、リボンミキサー、ホモミキサー、スタティックミキサー等を用いて行うことができる。
前記改質硫黄の調製にあたり、溶融混合方法は、例えば、硫黄と硫黄改質剤とを120〜160℃の範囲、硫黄が効率よく改質するように好ましくは130〜155℃、より好ましくは140〜155℃の範囲で溶融混合し、140℃における粘度が0.05〜3.0Pa・sになるまで滞留させる方法等により行うことができる。
【0008】
前記改質硫黄含有流動材料において、前記改質硫黄の含有割合は、後述する微粉末100質量部に対して、通常30〜400質量部、好ましくは50〜300質量部である。30質量部未満では、微粉末との均一混合が十分でなく、400質量部を超えると、改質硫黄と微粉末とが分離して均一な改質硫黄含有流動材料が得られ難い。
【0009】
前記改質硫黄含有流動材料に用いる微粉末は、粒径1mm以下、好ましくは100μm以下の微粉末である。前記微粉末の粒径が1mmを超えると改質硫黄含有流動材料の流動状態の維持が困難であり、また、後述する工程(B)において、特定の不定形骨材間隙を該改質硫黄含有流動材料が通過して型枠外に流出させることが困難になる恐れがある。このような微粉末の粒径調整は公知技術が利用でき、例えば、篩等で調整することができる。粒径はJIS標準ふるいを使用して規定できる。
【0010】
微粉末としては、上記特定粒度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、粒経分布の調整が容易で均一なものを大量に入手しやすい点で、石炭灰、硅砂、シリカヒューム、石英粉、砂、ガラス粉末及び電気集塵灰からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
【0011】
前記改質硫黄含有流動材料は、流動状態の改質硫黄、即ち、改質硫黄溶融物と微粉末とを混合し、該改質硫黄の溶融状態を維持することにより得ることができる。この際、予め、改質硫黄溶融物と微粉末とを混合し、適当な大きさ、形態に固化したものを、使用時に溶融状態とし、改質硫黄含有流動材料とすることもできる。ここで、改質硫黄含有流動材料が、前記微粉末を含有しない場合には、最終的に得られるポーラス改質硫黄含有固化体の機械的強度が著しく低下する恐れがある。
【0012】
工程(A)において準備する特定の不定形骨材は、粒径が5mm以上、好ましくは10〜150mmの範囲であって、粒径が異なる少なくとも2種以上の不定形骨材である。ここで、粒径は、不定形骨材の長軸長さを意味する。そして、不定形骨材の形態及び粒度分布は、後述する型枠内に充てんした際に、不定形骨材同士が連続的に接触でき、且つ前記改質硫黄含有流動材料が、各不定形骨材の間隙を通過しうる形態及び流動分布となるように、型枠の容量、形状等に応じて適宜選択することにより決定できる。従って、例えば、長軸長さが10mm以上であっても、そのほとんどが板状等であって、前記改質硫黄含有流動材料が各不定形骨材の間隙を通過することが極端に困難な形態のみからなる場合を含むものではない。但し、不定形骨材に板状の骨材が含まれないというものではない。不定形骨材の短軸長さは、通常1mmを超える長さ、好ましくは3mmを超える長さである。
前記不定形骨材としては、例えば、砕石、玉石、高炉スラグ、転炉スラグ、電炉スラグ、フェロニッケルスラグ、溶融スラグ、各種貝殻の破砕物等が挙げられる。
【0013】
工程(A)において準備する型枠は、一方の開口が前記改質硫黄含有流動材料及び前記不定形骨材の両方が通過しうる開口(a)であり、他方の開口が前記改質硫黄含有流動材料が通過し、前記不定形骨材が通過しない開口(b)である、両端に開口を有する型枠である。
型枠の形態は特に限定されず、例えば、円柱、角柱、薄板により形成される種々の形態等が挙げられ、その大きさや容量は最終的に得られるポーラス改質硫黄含有固化体の用途や所望する性能等に応じて適宜選択することができる。
開口(b)は、上記条件を充足するために、例えば、改質硫黄含有流動材料が通過し、前記不定形骨材が通過しない大きさの貫通孔を多数有する板状物、金網等を備える開口であれば良い。
【0014】
前記型枠は、該型枠内部を加熱しうる熱源及び該熱源の温度を制御する熱制御手段を備える型枠であっても良い。熱源としては、例えば、前記不定形骨材を充てんし、改質硫黄含有流動材料が通過する型枠の周囲を被覆しうる熱源被覆体等が挙げられる。該熱源被覆体としては、被覆体内部に熱線ヒーター、面状発熱体、熱媒体流通機構を有するものが挙げられるがこれに限定されない。
【0015】
本発明の製造方法は、前記型枠内において、前記改質硫黄含有流動材料と前記不定形骨材の各々とが接触した状態から改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させる工程(B)を含む。
要するに、工程(B)においては、ある程度の粘度を有する改質硫黄含有流動材料が、不定形骨材の各々と接触し付着した状態を維持して、不定形骨材の各々の間隙に存在する余剰の改質硫黄含有流動材料を開口(b)から型枠外に流出させて前記間隙を空洞とする工程である。
【0016】
工程(B)としては、例えば、前記改質硫黄含有流動材料と前記不定形骨材とを予め混合した混合物を開口(a)から型枠内に導入し、改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させて実施する操作(1)、若しくは前記不定形骨材を型枠内に充填した後、前記改質硫黄含有流動材料を開口(a)から導入し、改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させて実施する操作(2)等により行うことができる。
【0017】
前記操作(1)において、改質硫黄含有流動材料と不定形骨材とを予め混合した混合物は、例えば、上述の改質硫黄含有流動材料の流動状態を維持しうる温度条件において、不定形骨材と混合することにより得ることができる。この際、改質硫黄含有流動材料と不定形骨材の割合は、不定形骨材量が型枠内を充てんするに必要な量であって、改質硫黄含有流動材料は、各不定形骨材と接触できれば、過剰量であっても良く、特に限定されない。
また、操作(1)においては、改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させた後に、再度改質硫黄含有流動材料のみを開口(a)から型枠内に導入する操作を繰返し、余剰の該流動材料を開口(b)から流出させても良い。
【0018】
前記操作(2)において、不定形骨材を型枠内に充填した後の改質硫黄含有流動材料の開口(a)への導入は、改質硫黄含有流動材料が、充てんした各不定形骨材と接触できる量導入すれば良く、過剰量であっても良い。また、改質硫黄含有流動材料の開口(a)への導入を、数回行っても良い。
操作(2)において、改質硫黄含有流動材料の開口(a)への導入は、通常、上方から下方に向けて行なうことにより重力を利用して行なうことができるがこれに限定されるものではなく、改質硫黄含有流動材料を圧送しうる装置を用いて、下方から上方へ、若しくは水平方向に圧送することもできる。
【0019】
前記操作(1)及び(2)を含む工程(B)において、型枠として前記型枠内部を加熱しうる熱源及び該熱源の温度を制御する熱制御手段を備えた型枠を用いて行う場合には、例えば、型枠内の温度を120〜160℃、好ましくは130〜150℃になるように前記熱源温度を制御することによって、改質硫黄含有流動材料の不定形骨材間の通過を促進することができ、該流動材料が型枠内の途中で固化したり急激な粘度上昇を引き起こし詰まることを有効に抑制することができる。また、目的とするポーラス改質硫黄含有固化体を最終的に脱型して製造した場合の該固化体の外表面を滑らかに仕上げることもできる。
尚、工程(B)において開口(b)から流出した改質硫黄含有流動材料は、回収して、再度加熱して流動状態とすることにより再利用が可能である。
【0020】
本発明の製造方法は、工程(B)の後、型枠内の改質硫黄含有流動材料を固化する工程(C)を含む。
工程(C)において型枠内の改質硫黄含有流動材料の固化は、型枠全体の自然冷却又は強制冷却により行うことができる。この際、型枠内の改質硫黄が急激な冷却により表面等における不具合な収縮が生じないように、前記型枠に設けた熱源を利用してその温度を段階的に徐々に下げることが好ましい。このような熱履歴は、型枠の容量、形態等に応じて適宜決定することができる。このような操作を行うことにより、目的とするポーラス改質硫黄含有固化体を最終的に脱型して製造した場合の該固化体の外表面を更に滑らかに仕上げることができる。
工程(C)により、型枠内の改質硫黄含有流動材料を固化し、該固化体を脱型することにより、所望のポーラス改質硫黄含有固化体を製造することができる。
【0021】
本発明の製造方法においては、以上の工程(A)〜(C)の実施により、所望のポーラス改質硫黄含有固化体を製造することができるが、これら必須の工程以外に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、更に他の効果を得るために、他の工程を付加することもできる。
ここで、本発明の製造方法により得られるポーラス改質硫黄含有固化体の空隙率は、用いる不定形骨材の形態や大きさ、型枠の容量、形態、大きさ等によって変化するが、同一材料及び同一形態及び大きさの型枠を用いた従来の方法に比して、高い空隙率を有するポーラス改質硫黄含有固化体を容易に得ることができる。また、得られる固化体の圧縮強度は、不定形骨材の種類や大きさ、その粒度分布等を適宜選択することにより調整することができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されない。
実施例1
密閉式撹拌混合槽中に、固体硫黄95kgを入れ、120℃で加温して溶解後、130℃に保持した。続いて、約50℃に加熱溶解したジシクロペンタジエン5kgをゆっくりと添加し、約10分間静かに撹拌して、初期反応による温度上昇が収束することを確認してから、140℃まで昇温した。反応が開始され、次第に粘度が上昇し、約1時間で粘度が0.1Pa・sに達したところで直ちに加熱を停止し、適当な型又は容器に流し込んで室温で冷却し、改質硫黄を得た。
次いで、140℃に予熱した粒径1mm以下の石炭灰20kgと、前記改質硫黄40kgを130℃に再加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練した後冷却し、100mm以下に破砕して改質硫黄含有材料を調製した。
【0023】
次に、図1(a)に示すように、バッチ式撹拌混合槽11中に、上記改質硫黄含有材料12を導入し、120℃で加温して溶解後、130℃に保持した。続いて、粒径10〜15mmの不定形の砕石13を130℃に予熱した状態で導入し、130℃で10分間混練した。
続いて、図1(b)に示す、周囲に熱源被覆体(図示せず)を有する、直径10cm、高さ20cmの円柱状型枠10を、該熱源被覆体により約130〜140℃に保持した状態とし、該型枠10の上方開口から前記調製した混合物を、図1(c)ような状態となるように導入した。ここで、型枠10の下方には、不定形の砕石13を通過させず、改質硫黄含有流動材料12を通過させる孔を有する金網(5mmメッシュ)14が設置されている。
次いで、型枠内の砕石13に付着した改質硫黄含有流動材料12を徐々に冷却し、固化させた。
固化したポーラス硫黄含有固化体について、空隙率を水量法により実測した。更に固化体の圧縮強度をJIS A1108により測定した。結果を表1に示す。
【0024】
比較例1
実施例1と同様な材料を用い、また、実施例1と同一形状及び大きさの型枠であるが、下方が金網でなく閉塞された型枠に、実施例1と同様な混合物を同量充てんした。充てん物を冷却し、固化させ、ポーラス硫黄含有固化体を製造した。得られた固化体について実施例1と同様に空隙率及び圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
【0025】
実施例2
ホタテ貝殻を洗浄後、ジョークラッシャーにより粗粉砕し、恒温器により4時間乾燥した。次いで、ハンマークラッシャーにより粉砕及びJISふるいを用いて粒度調整した粒径10〜25mmの貝殻不定形骨材を調製した。得られた貝殻不定形骨材80質量部を、予め140℃に加熱した状態において、図2に示す、周囲に熱源被覆体(図示せず)を有する、直径10cm、高さ20cmの円柱状型枠20に充てんした。図2において21は、貝殻不定形骨材を示す。ここで、型枠20の下方には、貝殻不定形骨材21を通過させず、改質硫黄含有流動材料を通過させる孔を有する金網(5mmメッシュ)22が設置されている。
次いで、型枠20内に導入された貝殻不定形骨材21の表面温度を、前記熱源被覆体により約130〜140℃に保持した状態で、型枠20の上方開口から、実施例1と同様に調製した130℃に保持した改質硫黄含有材料を導入し、型枠20の下方の金網22から、余剰の改質硫黄含有流動材料を回収した。図2中の矢印は、改質硫黄含有材料の流れを示す。
型枠内の骨材21に付着した改質硫黄含有流動材料を徐々に冷却し、固化させた。
得られたポーラス硫黄含有固化体について、実施例1と同様に空隙率及び圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
比較例2
材料を実施例2と同様とした以外は、比較例1と同様にポーラス硫黄含有固化体を製造した。得られた固化体について実施例1と同様に空隙率及び圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1におけるポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法を説明するための説明概略図である。
【図2】実施例2におけるポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法を説明するための説明概略図である。
【符号の説明】
【0029】
10、20:型枠
11:混合槽
12:改質硫黄含有流動材料
13:砕石
14、22:金網
21:貝殻不定形骨材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径1mm以下の微粉末100質量部及び改質硫黄30〜400質量部とを含む改質硫黄含有流動材料と、粒径が5mm以上であって、粒径が異なる少なくとも2種以上の不定形骨材と、一方の開口が前記改質硫黄含有流動材料及び前記不定形骨材の両方が通過しうる開口(a)であり、他方の開口が前記改質硫黄含有流動材料が通過し、前記不定形骨材が通過しない開口(b)である、両端に開口を有する型枠とを準備する工程(A)、
前記型枠内において、前記改質硫黄含有流動材料と前記不定形骨材の各々とが接触した状態から改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させる工程(B)及び、
工程(B)の後、型枠内の改質硫黄含有流動材料を固化する工程(C)を含む、ポーラス改質硫黄含有固化体の製造方法。
【請求項2】
前記型枠が、型枠内部を加熱しうる熱源及び該熱源の温度を制御する熱制御手段を備え、少なくとも工程(B)を、型枠内の温度を120〜160℃に制御して実施する請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
工程(B)を、前記改質硫黄含有流動材料と前記不定形骨材とを予め混合した混合物を開口(a)から型枠内に導入し、改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させて実施する請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
工程(B)を、前記不定形骨材を型枠内に充填した後、前記改質硫黄含有流動材料を開口(a)から導入し、改質硫黄含有流動材料の一部を開口(b)から流出させて実施する請求項1又は2記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−204287(P2007−204287A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21970(P2006−21970)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】