説明

マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路

【課題】マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の検査を効率的に行うためには、内蔵されたカウンタ等の順序回路の出力を代替する検査信号を、外部より入力する。従来の技術ではこの検査信号用の端子が通常動作時の端子とは別途必要で、ピン数の増加からパッケージコストが増大し、端子ピッチの狭小化によりディップ半田槽が使えない等の課題があった。
【解決手段】マイクロコンピュータのバス入出力端子を入力とし、別の単独の端子より透過・保持の制御が可能なデータ保持回路を設け、前記データ保持回路の出力を、内蔵回路に対する検査信号とする。よって、マイクロコンピュータのバス入出力端子と検査信号の入力端子とを、同じ端子で共用することができるため、端子ピン数の増加、端子ピッチの狭小化を抑制し、パッケージのコストの削減と、生産設備の制限を緩和した集積回路を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ用のディスプレイ装置などに使用される、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路、及びその検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ用のディスプレイ装置は、近年、コンピュータの用途の拡大及び性能の向上に応じて、表示する解像度及び同期周波数・位相などの種類が増加しており、こうした各種の表示に対応する必要が出て来ている。
【0003】
特に陰極線管ディスプレイ(以下、CRTディスプレイと記す)装置の場合、表示の種類に広範囲に対応するためには、入力される信号の水平・垂直の各同期信号等を検出して、水平・垂直の各偏向周波数に同期した偏向駆動パルス等を出力することはもちろん、CRTに特有のピンクッション歪・リニアリティ歪等の画像歪の補正、あるいはダイナミックフォーカス・ダイナミックコンバーゼンス補正など、表示の種類に応じて最適に補正する必要がある。
【0004】
これらの同期信号を受け、偏向出力、あるいは高圧出力などを駆動する偏向制御回路には、従来、アナログ回路が用いられてきた。しかし、ますます高度化する表示品質への要求及び、表面が完全に平坦なCRT等、CRTの種類の多様化などにより、よりきめ細かい正確な制御を行うために、デジタル論理回路を用いた偏向制御回路も増加しつつある。
【0005】
また、マイクロコンピュータを用いて入力信号から映像の表示の種類を判断し、それぞれの映像等に対応した最適な値を偏向制御回路に設定する技術が一般化しているが、最近では、部品コスト低減及び生産の合理化のために、マイクロコンピュータと偏向制御回路を同一パッケージに収めた集積回路も登場してきている。
【0006】
ここでまず、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の基本的な動作について図面を用いて説明する。図7に、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の簡略化されたブロック図を示す。
【0007】
図7において、1はマイクロコンピュータ、2は偏向制御回路である。
【0008】
マイクロコンピュータ1はCPU11、ROM12、RAM13、I/Oポート14から構成されている一般的なものである。
【0009】
偏向制御回路2は同期発振器(以下PLLと称す)20、制御レジスタ21、波形テーブル23、カウンタ24、パルス発生器25、波形発生器26、D/Aコンバータ27から構成されている。
【0010】
31、32はそれぞれ複数の外部端子であって、外部端子31はマイクロコンピュータ1の制御バス(アドレスラッチALE、リードストローブRDX、ライトストローブWRX等)、外部端子32は、I/Oポート14を経由してマイクロコンピュータ1のアドレス・データバスに接続されている。
【0011】
33は単独の外部端子で、同期信号SYNCの入力端子であり、PLL20の入力及びカウンタ24のリセット入力に接続される。PLL20から出力されたクロック信号CLKは、カウンタ24、パルス発生器25、波形発生器26にそれぞれ接続されている。
【0012】
カウンタ24の値(COUNT)は、現在の偏向位置を示すアドレスとして用いられるもので、おおむね8〜12ビットの幅を有し、出力は波形テーブル23及びパルス発生器25に接続される。
【0013】
パルス発生器25は、図3に内部ブロック図を示すとおり、コンパレータ251及び252、J−K型フリップフロップ253から構成される。
【0014】
波形テーブル23は、カウンタ24から与えられるカウント値(COUNT)に対応したデータDATAを、波形発生器26に供給するメモリである。この波形データは例えば図5に示すごとく、最終的な出力波形に対し、一定区間ごとの差分値を記憶するものである。
【0015】
波形発生器26は、図4に内部ブロック図を示すとおり、加算器261、レジスタ262から構成される。
【0016】
35、36はそれぞれ複数の外部端子であって、外部端子35はパルス発生器25の出力に、外部端子36はD/Aコンバータ26の出力に接続される。
【0017】
なお一般に、偏向制御回路は垂直・水平それぞれの同期信号を入力し、垂直・水平それぞれに応じた複数のパルス出力(たとえば水平偏向パルスや垂直ブランキングパルス)、波形出力(たとえば水平・垂直のダイナミックフォーカス波形)などを行うものであり、カウンタ24、パルス発生器25、波形発生器26などは、通常それぞれ複数の系統を構成し、それぞれ複数の回路ブロックから構成されるものであるが、図7では説明の簡単のために適宜省略している。
【0018】
つぎに、図7に示した、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の通常動作を説明する。
【0019】
最初に、マイクロコンピュータ1は、偏向制御回路2内の制御レジスタ21に対して、パルス発生器25において発生するパルスの、開始タイミングSTART・終了タイミングSTOPの値を設定する。また、マイクロコンピュータ1は、補正波形を出力するための波形データを、波形テーブル23に書き込む。
【0020】
外部端子33からは、同期パルスSYNCが、PLL20の入力およびカウンタ24のリセット入力に入力される。PLL20は、同期化されたクロック信号CLKを出力し、このCLKはカウンタ24のクロック入力へ入力される。カウンタ24は同期パルスにより初期化された後、クロック信号CLKを計数する。カウンタ24の出力COUNTは波形テーブル23、及びパルス発生器25に入力される。
【0021】
パルス発生器25は、カウンタ24の値COUNTと、制御レジスタ21に設定された開始タイミングSTARTとを比較し、一致すればパルスの出力を開始し、同様にカウンタ24の値COUNTと、制御レジスタ21に設定された終了タイミングSTOPとを比較し、一致すればパルスの出力を終了する。パルス発生器25の出力PULSEは外部端子35から取り出され、出力される。この動作の一例を図6のタイミング図に示す。
【0022】
一方、波形テーブル23からは、カウンタ24の値COUNTに応じた波形データDATAが出力され、波形発生器26に供給される。波形発生器26は前記波形データを累積加算して、D/Aコンバータ27に供給する。D/Aコンバータ27の出力は外部端子36から、アナログ波形として取り出される。
【0023】
ところで、マイクロコンピュータも偏向制御回路も、製造時に、回路が正常に動作することを何らかの方法で外部から検査する必要がある。マイクロコンピュータ1の検査を行う方法は、特開昭64−1040号公報などに示されており、たとえば外部端子31から制御信号を、外部端子32からアドレス信号及びデータ信号をI/Oポート13に入力することについては開示されている。それによってI/Oポート13を介し、マイクロコンピュータの内部バスを直接制御して各種の検査を行うことができる。
【0024】
また偏向制御回路の検査は、動作時と同様、入力信号を端子から入力し、出力信号を端子から出力して確認するのが基本的であるが、先に述べたように、表示の種類の増大に対応して動作モードが多岐にわたり、また内部には多ビットのカウンタ等順序回路を多数使用していることから、すべての場合を尽くすには長大な時間がかかる。そのため内部回路を幾つかのブロックに分割し、検査時には外部から直接一部のブロックに入出力を行う等の工夫により、検査時間の短縮を行う。
【0025】
ここで、従来の技術によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路及びその検査方法に関して説明する。
【0026】
図8は、従来の技術によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図である。図8のうち、図7に示したものと同一の符号を与えたものは、既に説明済みであるので、重ねての説明を省略する。
【0027】
22は設定レジスタ、40、41、42、43はそれぞれスイッチである。設定レジスタ22はマイクロコンピュータにより設定され、スイッチ40、41、42、43を制御するものである。
【0028】
34は単一の外部端子で、検査時にPLL20に代わってクロック信号CLKを供給する。スイッチ40は、カウンタ24、パルス発生器25、波形発生器26に対し、通常時はPLL20の出力、検査時は外部端子34から入力される検査用のクロックを切り替えて供給する。
【0029】
37は複数の外部端子である。50は検査バスであり、外部端子37に接続されている。スイッチ41は波形テーブル23、パルス発生器25の入力に対し、通常時はカウンタ24の出力COUNT、検査時は外部端子37からの検査バス50の信号TESTを切り替えて供給する。
【0030】
スイッチ42は同様に波形発生器26の入力に対し、通常時は波形テーブル23の出力DATA、検査時は外部端子37からの検査バス50の信号TESTを切り替えて供給する。
【0031】
スイッチ43は、外部端子35に対し、通常時はパルス発生器25の出力PULSE、検査時は前記パルス発生器25の出力PULSE、若しくはカウンタ24の出力COUNT、若しくは波形発生器26の出力WAVEを切り替えて供給する。
【0032】
つぎに、検査時の動作について説明する。検査の対象となる回路ごとに動作が異なるので、個別に説明する。なお、マイクロコンピュータ自体の検査を行う方法は既に述べているため省略する。
【0033】
偏向制御回路2の検査を行う場合には、いずれの場合にも、マイクロコンピュータ1から制御する制御レジスタ21、波形テーブル23の設定、及びスイッチ41、スイッチ42、スイッチ43の制御を行う設定レジスタ22の設定は、外部端子31及び外部端子32を経由し、マイクロコンピュータ1の動作を利用して行う。
【0034】
カウンタ24の検査を行う場合、カウンタ24の出力COUNTを外部端子35に出力するようにスイッチ43を設定(図7でTと表示)する。外部端子33からは同期パルスSYNCがカウンタ24のリセット入力に、外部端子34からはクロック信号がカウンタ24のクロック入力に入力される。カウンタ24は同期パルスSYNCにより初期化された後、クロック信号CLKを計数する。カウンタ24の出力COUNTはスイッチ43を経由して外部端子34から取り出される。以上の動作により、カウンタ24の検査が行われる。
【0035】
パルス発生器25の検査を行う場合、クロック信号CLKが外部端子34から入力されるようにスイッチ40を設定(図7でTと表示)、検査信号バス50をパルス発生器25の入力とするようにスイッチ41を設定(図7でTと表示)、パルス発生器25の出力を外部端子35の出力とするようにスイッチ43を設定(図7でNと表示)する。外部端子37から入力された検査信号は、検査信号バス50TEST、スイッチ41を経由してパルス発生器25に入力される。パルス発生器25の出力PULSEは、スイッチ43を経由して外部端子35に取り出される。以上の動作により、パルス発生器25の検査が行われる。この動作の一例を図11に示すが、検査信号は、本来のカウントの順序にこだわらず、任意の値を入力することにより、検査時間を短縮する。
【0036】
波形発生器26の検査を行う場合、クロック信号CLKが外部端子34から入力されるようにスイッチ40を設定(図7でTと表示)、検査信号バス50を波形発生器26の入力とするようにスイッチ41を設定(図7でTと表示)、波形発生器26の出力を外部端子35の出力とするようにスイッチ43を設定(図7でT2と表示)する。外部端子34からはクロック信号が波形発生器26のクロック入力に、外部端子37からは検査信号が、検査信号バス50、スイッチ42を経由して波形発生器26に入力される。波形発生器26の出力WAVEは、スイッチ43を経由して外部端子35に取り出される。以上の動作により、波形発生器26の検査が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
以上説明したように、従来の技術によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路においては、偏向制御回路の検査を効率的に行うために、検査信号を入力するための外部端子37が、通常の機能を実現するための端子とは別途に必要である。この外部端子37は、たとえば12ビット幅のカウンタの出力を代替するためには、少なくとも12個の端子が必要である。
【0038】
パッケージの多ピン化そのものは、現在の技術で困難ではない。しかし、端子の間隔が狭小化されると、コンピュータディスプレイ装置の生産で一般的に用いられる、従来からのディップ半田槽では対応できず、リフロー半田槽などを必要とするため、生産設備・地域などが限定される。また逆に、端子の間隔を固定してパッケージを大型化すると、材料コストが増大するばかりでなく、熱ストレスによる破損が起こりやすくなるなどの問題が発生する。
【0039】
従って、従来の技術では、低コスト化を狙ってわざわざマイクロコンピュータと偏向制御回路を同一のパッケージに収めても、ピン数が増加することにより、生産コスト・材料コストの増大を招き、複合化のメリットが得にくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0040】
この課題を解決するために、本発明におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路は、バス入出力端子を有するマイクロコンピュータと、入力される周期信号により動作する少なくとも1個の順序回路と、前記順序回路の値にしたがって演算を行った結果を出力する、少なくとも1個の演算回路を含む偏向制御回路とを、同一のパッケージに内蔵した集積回路であって、前記マイクロコンピュータのバス入出力端子を入力とし、単一の外部端子からデータの透過・保持を制御するデータ保持回路を設け、前記データ保持回路の出力を、前記演算回路に対する、前記順序回路の出力を代替する検査信号とすることにより、マイクロコンピュータのバス入出力端子と、検査信号とを、同じ端子で共用したことを特徴とするものである。
【0041】
あるいは、バス入出力端子を有するマイクロコンピュータと、入力される周期信号により動作する少なくとも1個の順序回路と、前記順序回路の値にしたがって演算を行った結果を出力する、少なくとも1個の演算回路を含む偏向制御回路とを、同一のパッケージに内蔵した集積回路であって、前記マイクロコンピュータから設定を行うレジスタを設け、前記レジスタの出力を、前記演算回路に対する、前記順序回路の出力を代替する検査信号とすることにより、マイクロコンピュータのバス入出力端子と、検査信号の入力端子とを、同じ端子で共用したことを特徴とするものである。
【0042】
この構成により、外部より検査信号を入力することが出来るため、外部端子のピン数を減らし、パッケージのコストを削減した集積回路を提供することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路は、マイクロコンピュータのバス入出力端子を入力とし、外部端子からデータの透過・保持を制御するデータ保持回路を設けるか、あるいは、マイクロコンピュータから設定を行うレジスタを設けることにより、マイクロコンピュータのバス入出力端子と、検査信号の入力端子とを、同じ端子で共用したことから、偏向制御回路の試験に必要な外部からの検査信号を、外部端子を別に設けることなく入力することができる。
【0044】
この構成により、パッケージのピン数を減らすことが可能になり、材料コストを低減できるだけではなく、ごく一般的な設備であるディップ半田槽での生産に対応できることから、トータルコストの大幅な低減を可能にするという優れた効果を奏する集積回路を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第一の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図である。
【0046】
図1において、同一の符号のものは、図8に示した従来の技術におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図と全く同じものであり、説明を省略する。
【0047】
図7における従来の技術におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路と異なるのは、外部端子31と、検査信号バス50との間にデータ保持回路51(以下データラッチと称す)を設けたことである。これにより、従来の技術における、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路で必要であった、外部端子37を削除している。
【0048】
また、38は単独の外部端子であって、データラッチ51の動作を制御するホールド制御信号HOLDが入力される。
【0049】
次に、図1を用い、本発明の好適な実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の検査時の動作を説明する。
【0050】
マイクロコンピュータ1の検査を行う場合は、図8に示した従来の技術によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路と同一である。
【0051】
偏向制御回路2の検査を行う場合には、いずれの場合にも、マイクロコンピュータ1から制御する制御レジスタ21、波形テーブル23の設定、及びスイッチ41、スイッチ42、スイッチ43の制御を行う設定レジスタ22の設定は、外部端子31及び外部端子32を経由し、マイクロコンピュータ1の動作を利用して行う。
【0052】
カウンタ24の検査を行う場合は、図7に示した従来の技術によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路と同一である。
【0053】
パルス発生器25の検査を行う場合、まず外部端子38からホールド制御信号HOLDを制御して、データラッチ51の出力を保持状態とし、外部端子31、外部端子32から、マイクロコンピュータ1の動作を利用して制御レジスタ21に値を設定する。同様に、クロック信号CLKが外部端子34から入力されるようにスイッチ40を設定(図1でTと表示)、検査信号バス50TESTをパルス発生器25の入力とするようにスイッチ41を設定(図1でTと表示)、パルス発生器25の出力を外部端子35の出力とするようにスイッチ43をそれぞれ設定(図1でNと表示)する。
【0054】
次に、外部端子38からのホールド制御信号HOLDを制御して、データラッチ51の出力を通過状態とする。外部端子32から入力された検査信号は、データラッチ51、検査信号バス50TEST、スイッチ41を経由してパルス発生器25に入力される。パルス発生器25の出力PULSEは、スイッチ43を経由して外部端子35に取り出される。この動作の一例を図9に示すが、マイクロコンピュータ1を経由して設定する制御レジスタの値と、データラッチ51を経由して与えられる検査信号とが、同じ外部端子32から交互に与えられ、またホールド制御信号HOLDが切り替わる以外は、図11に示した従来の技術によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の動作と同じである。以上の動作により、パルス発生器25の検査が行われる。
【0055】
波形発生器26の検査を行う場合、まず外部端子38からのホールド制御信号HOLDを制御して、データラッチ51の出力を保持状態とする。外部端子31、外部端子32からマイクロコンピュータ1の動作を利用して、クロック信号CLKが外部端子34から入力されるようにスイッチ40を設定(図1でTと表示)、検査バス50の入力を波形発生器26の入力とするようにスイッチ42を設定(図1でTと表示)、波形発生器26の出力を外部端子35の出力とするようにスイッチ43を設定(図1でT2と表示)する。
【0056】
つぎに、外部端子38からのホールド制御信号を制御して、データラッチ51の出力を通過状態とする。外部端子34からはクロック信号CLKが波形発生器26のクロック入力に、外部端子32からは検査信号が、検査信号バス50TEST、スイッチ42を経由して波形発生器26に入力される。波形発生器26の出力WAVEは、スイッチ43を経由して外部端子35に取り出される。以上の動作により、波形発生器26の検査が行われる。
【0057】
以上のように、本発明の第一の実施例によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の好適な実施例においては、マイクロコンピュータ1のアドレス・データバスと、検査信号バス50との間にデータラッチ51を設置したことにより、従来の技術において必要であった、検査信号バス50のための外部端子37が不要となり、パッケージのピン数を削減することが可能となったため、コストの削減を行うことができる。
【0058】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第二の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図である。
【0059】
図2において、同一の符号のものは、図1に示した本発明の第一の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図と全く同じものであり、説明を省略する。
【0060】
図1における本発明の第一の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路と異なるのは、図1のデータラッチ51に替えて、マイクロコンピュータ1により制御されるテストレジスタ52を設け、検査バス50をテストレジスタ52の出力に接続したことである。これにより、本発明の第一の実施例における、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の特徴に加え、さらに外部端子38を不要としている。
【0061】
つぎに、図2を用い、本発明の第二の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の検査時の動作を説明する。なお、第一の実施例と異なるところは、データラッチをテストレジスタ52に替えた部分のみであるから、説明の簡単のために、パルス発生器25の検査を代表として説明し、その他の説明を省略する。
【0062】
パルス発生器25の検査を行う場合、外部端子31、外部端子32から、マイクロコンピュータ1の動作を利用して制御レジスタ21に値を設定する。同様に、クロック信号CLKが外部端子34から入力されるようにスイッチ40を設定(図2でTと表示)、検査信号バス50TESTをパルス発生器25の入力とするようにスイッチ41を設定(図2でTと表示)、パルス発生器25の出力を外部端子35の出力とするようにスイッチ43をそれぞれ設定(図2でNと表示)する。
【0063】
次に、外部端子31、外部端子32から、マイクロコンピュータ1の動作を利用してテストレジスタ52に最初の検査信号を設定する。検査信号は、検査信号バス50TEST、スイッチ41を経由してパルス発生器25に入力される。パルス発生器25の出力PULSEは、スイッチ43を経由して外部端子35に取り出される。以上の動作により、パルス発生器25の検査が行われる。この動作を図10に示す。本発明の第一の実施例と異なるのは、検査信号をマイクロコンピュータ1の動作により設定するため、制御がやや複雑になっている点であるが、本質的には大差ない。
【0064】
波形発生器26の検査を行う場合、外部端子31、外部端子32からマイクロコンピュータ1の動作を利用して、クロック信号CLKが外部端子34から入力されるようにスイッチ40を設定(図1でTと表示)、検査バス50の入力を波形発生器26の入力とするようにスイッチ42を設定(図1でTと表示)、波形発生器26の出力を外部端子35の出力とするようにスイッチ43を設定(図1でT2と表示)する。
【0065】
次に、外部端子31、外部端子32から、マイクロコンピュータ1の動作を利用してテストレジスタ52に最初の検査信号を設定する。外部端子34からはクロック信号CLKが波形発生器26のクロック入力に、外部端子32からは検査信号が、検査信号バス50TEST、スイッチ42を経由して波形発生器26に入力される。波形発生器26の出力WAVEは、スイッチ43を経由して外部端子35に取り出される。以上の動作により、波形発生器26の検査が行われる。
【0066】
以上のように、本発明によるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路の第二の実施例においては、マイクロコンピュータ1により設定を行うテストレジスタを設けたことにより、従来の技術において必要であった、検査信号バス50のための外部端子37が不要となり、パッケージのピン数を削減することが可能となったため、コストの削減を行うことができる。また、第二の実施例の場合は、データラッチの状態を制御する外部端子38も不要である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明にかかるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路は、パッケージのピン数を減らすことが可能になり、材料コストを低減できるだけではなく、ごく一般的な設備であるディップ半田槽での生産に対応できることから、トータルコストの大幅な低減を可能にするという優れた効果を奏するものであり、コンピュータ用のディスプレイ装置などに使用される、マイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路、及びその検査方法等において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第一の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図
【図2】本発明の第二の実施例におけるマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路のブロック図
【図3】パルス発生器の内部構成を示すブロック図
【図4】波形発生器の内部構成を示すブロック図
【図5】波形テーブルのデータと波形発生器の出力の関係を示す図
【図6】パルス発生器の通常動作を示すタイミング図
【図7】マイクロコンピュータと偏向制御回路とを内蔵した集積回路の基本構成を示すブロック図
【図8】従来の技術によるマイクロコンピュータと偏向制御回路とを内蔵した集積回路の一例を示すブロック図
【図9】本発明の第一の実施例におけるパルス発生器の検査タイミング図
【図10】本発明の第二の実施例におけるパルス発生器の検査タイミング図
【図11】従来の技術におけるパルス発生器の検査タイミング図
【符号の説明】
【0069】
1 マイクロコンピュータ
2 偏向制御回路
24 カウンタ
25 パルス発生器
32 外部端子
51 データラッチ
52 テストレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス入出力端子を有するマイクロコンピュータと、入力される周期信号により動作する少なくとも1個の順序回路と、前記順序回路の値にしたがって演算を行った結果を出力する、少なくとも1個の演算回路を含む偏向制御回路とを、同一のパッケージに内蔵した集積回路であって、前記マイクロコンピュータのバス入出力端子を入力とし、外部端子からデータの透過・保持を制御するデータ保持回路を設け、前記データ保持回路の出力を、前記演算回路に対する、前記順序回路の出力を代替する検査信号とすることにより、マイクロコンピュータのバス入出力端子と、検査信号の入力端子とを、同じ端子で共用したことを特徴とするマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路。
【請求項2】
バス入出力端子を有するマイクロコンピュータと、入力される周期信号により動作する少なくとも1個の順序回路と、前記順序回路の値にしたがって演算を行った結果を出力する、少なくとも1個の演算回路を含む偏向制御回路とを、同一のパッケージに内蔵した集積回路であって、前記マイクロコンピュータから設定を行うレジスタを設け、前記レジスタの出力を、前記演算回路に対する、前記順序回路の出力を代替する検査信号とすることを特徴とするマイクロコンピュータ及び偏向制御回路を内蔵した集積回路。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−139768(P2006−139768A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298657(P2005−298657)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【分割の表示】特願平10−172413の分割
【原出願日】平成10年6月19日(1998.6.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】