説明

マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注するための計量ドロップボトル

本発明は、マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注する計量ドロップボトルに関し:(a)内部体積を所定体積だけ減少させる可撓部を壁に有するボトル;(b)ボトルの壁の可撓部を押圧するための、所定のストロークを有するプランジャー;ならびに(c)1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注するための計量ドロップボトルに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の背景
本発明に関するタイプの液滴ディスペンサーは、種々の寸法および形状で入手することができ、液体内容物を分注するための種々のメカニズムで動く。従来のディスペンサーに関する1つの問題は、分注する薬剤の量、即ち、分注する液滴の数および液滴の体積を正確にコントロールすることが難しいことであった。特に体腔に薬剤を投与する場合、液滴の形態でマイクロリットル量の液体を分注するニーズがある。これは、液滴の体積がコントロールされない場合、投与した過剰の薬剤が、薬剤による全身毒性のリスクをもたらすことがあり、薬剤の無駄遣いを引き起こす可能性もあるからである。これは眼用薬剤と特に関係があり、全身毒性は、部分的には、比較的大きなサイズの市販の点眼薬の作用である。
【0003】
従来の点眼薬1滴の平均サイズは、約50〜70マイクロリットルである。しかしながら、涙液層は通常7〜10マイクロリットルだけ含んでいる。点眼薬を注入する場合、涙液層は瞬きをする前、一時的に30マイクロリットルもの量を保持することができる。残りの点眼薬、少なくとも20〜40マイクロリットルは頬に溢れ出る。素早く瞬きをすることで、余剰分を鼻涙システムに送り込むことによって、直ぐさま通常の涙液量に戻す。点眼薬の80%はこのルートから排出されることが見積られており、それは全身に吸収され得る。より大きい点眼薬が存在する場合、より多くの薬剤が鼻涙嚢に入り、吸収量および全身毒性のリスクは増加する(Brown,R Hら、Am J Ophthal.、1985年4月、99巻、460−464)。生物薬剤学および毒物学の観点から、液滴のサイズが5〜15マイクロリットルに減少すると、排出による薬剤損失の割合、全身毒性作用の発生率、加えて治療費が減少することが示唆されている(Sklubalova Zら、DDIP、2006年、32巻、197−205)。Brown,R Hらは、送出口先端部を有するボトルを検証した。彼らは先端部の内径および外径を変化させて、約0.02インチ〜約0.06インチの範囲で一定の内径に対して、外径を約0.02インチから約0.18インチに増加させた場合、液滴のサイズが約10マイクロリットルから約60マイクロリットルに増加することを見出した。先端部の外径が0.047インチよりも小さい場合、常に25マイクロリットルよりも少ない点眼薬が送出された。Brown,R Hらは更に、ボトルは、液体を収容する内側チャンバー、ならびに一方の端にある送出口先端部および他方の端にある第2の狭い開口部で終わる外側チャンバーという2つのチャンバーを有し、外側チャンバーが内側チャンバーから分けられていることを開示している。ボトルを圧迫した場合、液体はストリームではなく液滴として現れる。
【0004】
米国特許第5,356,052号は、所定のサイズの液滴を正確に分注するための液滴ディスペンサーに関する。ディスペンサーは、平たい流路またはチャンバーに通じる開口部を有する首部を有しており、チャンバーは送出口で終わる。容器からの液体は、首部の平たい流路に流され、液体が集まる先端部のチャンバーに排出される。次に、開口部から液体を分注し、開口部の寸法が分注する液滴のサイズを決定する。
【0005】
米国特許第5,673,822号は、可撓性を有するバイアル瓶に収容された液体を液滴送出するためのデバイスに関し、デバイスはバイアル瓶を包囲することができるチューブ状のケーシングを有して成り、ケーシングには内側面がバイアル瓶の底壁の外側面に対向して位置する底部を有して設けられ、ケーシングの底部は、バイアル瓶を圧迫して液体の液滴を押し出すように、バイアル瓶の底壁を押すように動かすことができる弾性的に移動可能なタブを備えている。一滴だけ押し出すように、タブのストロークを決めるのが理想的であることを開示している。バイアル瓶を圧迫することができるように、ボトル全体は可撓性を有する。ボトル自身がその剛性を維持する必要があるので、この可撓性は制限される。タブは平坦な壁を押すが、壁の或る決まった部分というよりもボトルの壁面全体を押圧するので、一般的に動かす体積が大きくなり得ることを、我々は見出している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要約
本発明の1つの要旨では、マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注するための計量ドロップボトルが提供され:
(a)内部体積を所定の体積だけ減少させる可撓部を壁に有するボトル;
(b)ボトルの壁の可撓部を押圧するように所定のストロークを有するプランジャー:
(c)1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部
を有して成る。
【0007】
下記の図面を参照すると、本発明の多くの要旨をより良く理解することができる。図面中の要素は必ずしも寸法通りであるとは限らず、本発明の原理を明確に説明することに重きを置いている。更に図面では、同様の参照番号等は、複数の図面を通じて対応する部分を示す。
【0008】
実施態様1:可撓性を有するノッチ領域;ボトルを包囲する外部カバーであって、プランジャーがカバーの側壁に組み込まれている(ビルトインされている)外部カバー;およびノズルを有する計量ドロップボトル。
【0009】
実施態様2:可撓性を有するノッチ領域;ボトルを包囲する外部カバー;外部カバーとは別個で、使用前に外部カバーに嵌め込まれるプランジャーおよびノズルを有する計量ドロップボトル。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ノズルを備えている計量ドロップボトルの外観図。
【図2】ノズルを備えている計量ドロップボトルの断面図。
【図3】ノズルの外観図。
【図4】1つの実施態様のノズルの断面図。
【図5】もう1つの実施態様のノズル断面図。
【図6】更にもう1つの実施態様のノズルの断面図。
【図7】ノズル、およびプランジャーを含む外部カバーを備えている計量ドロップボトルの外観図。
【図8】ノズル、およびプランジャーを含む外部カバーを備えている計量ドロップボトルの断面図。
【図9】ノズル、プランジャーを含む外部カバー、分注補助部およびキャップを備えている計量ドロップボトルの分解したアッセンブリの前方外観図。
【図10】ノズル、プランジャーを含む外部カバー、分注補助部およびキャップを備えている計量ドロップボトルの分解したアッセンブリの等尺外観図。
【図11】ノズル、プランジャーを含む外部カバー、分注補助部およびキャップを備えている計量ドロップボトルの分解したアッセンブリの垂直断面図。
【図12】ボトルを包囲する外部カバー;外部カバーとは別個で、使用前に外部カバーに嵌め込まれるプランジャー;およびノズルを有する計量ドロップボトルの分解したアッセンブリの前方外観図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の詳細な説明
本発明のデバイスを、本明細書の下記で説明する実施態様によって図示する。
【0012】
使用者に化粧品または薬液を投与するために、本発明の計量ドロップボトルを用いることができる。本発明の計量ドロップボトルは、マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注する。本発明の計量ドロップボトルは、約14マイクロリットル〜約25マイクロリットルの所定のサイズの分注すべき液体の液滴を分注する。好ましい態様では、計量ドロップボトルは、約14マイクロリットル〜約18マイクロリットルの所定のサイズの分注すべき液体の液滴を分注する。
【0013】
本発明の好ましい態様では、本発明のボトルを、使用者の目、耳、鼻などのような体腔に薬剤を送出するために用いる。本発明の特に好ましい態様では、本発明のボトルを、患者の目に薬剤を投与するために用いる。一般的に、計量ボトルを、使用者に目薬を送出するために用いる。
【0014】
本発明は、マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注するための計量ドロップボトルを提供し:
(a)内部体積を所定体積だけ減少させる可撓部を壁に有するボトル;
(b)ボトルの壁の可撓部を押圧するように所定のストロークを有するプランジャー;
(c)1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部
を有して成る。
【0015】
本発明の計量ドロップボトルは、壁に可撓部を有し、ボトルの内部体積を所定体積だけ減少させるために、ボトルの可撓部を押圧するプランジャーを備える。マイクロリットル量の液滴を分注するように、所定体積の液体をボトルから1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有す成るノズルに移す。壁の可撓部、プランジャーならびに1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有するノズルを有して成る本発明のこの組み合わせのボトルは、先行技術のボトルよりも確実にマイクロリットル量の液滴を供給すると、我々は考えている。
【0016】
一般的に、本発明の計量ドロップボトルを硬質材料で作るが、壁には可撓部を有する。可撓部は、ボトルの側壁または底壁にあってよい。等量の体積の液体をボトルからノズルへ移動させる量だけボトルの可撓部を押圧するためにプランジャーが設けられている。一般的に、最終的にノズルから投与するマイクロリットルの液滴の体積とほぼ同じ量の液体量を、ボトルからノズルに移動させるように、プランジャーのストロークの長さおよびそれに伴いボトルの可撓壁が押圧される量を調節する。ボトルからノズルに移動するこの所定量の液体は、ノズルから1滴だけ分注することを可能にする。より多くの量の液体をボトルからノズルへ移動させる場合、単一の液滴の代わりに液体のストリームを分注する。好ましい態様では、ボトルの壁の可撓部は、可撓性を有するノッチ領域であり、これは一般的にボトルの側壁に位置してよい。この実施態様は、ボトル壁が過剰に撓むことを避けるために、可撓性を有するノッチ領域の周囲に存在するリブを更に有してよい。本発明の計量ドロップボトルは、ボトルを包囲してプランジャーを含む外部カバーを更に有してよい。
【0017】
ボトルの壁の可撓部およびプランジャーと組み合わせて、マイクロリットル量の液体の単一の液滴を分注するように、本発明の計量ドロップボトルのノズルを設計する。分注する液滴は、約18マイクロリットル未満の体積を有することが好ましい。本発明のボトルのノズル先端部は、1.2mm以下の内径および/または外径を有する。本発明のノズルは、分注すべき液体のマイクロリットルサイズの滴を生成して、分注するように機能する。分注端部にあるノズル先端部は、内径および外径を有しており、分注先端部からノズルの開口部に向けて先細るキャピラリーによって、先端部はノズル内側の開口部に接続する。投与する液体の表面張力と相俟って、開口部およびノズル先端部の直径は、マイクロリットルサイズの液滴を形成する。開口部およびノズル先端部の直径を変えてよく、種々の表面張力の液体に対して、所定サイズのマイクロリットル体積の液滴を生成する。本発明のある態様では、開口部は約0.2mmの内径を有し、ノズル先端部は約0.6mmの内径および約1.2mmの外径を有する。もう1つの態様では、ノズル先端部の内径および外径は共に等しく、約0.6mm〜約1.2mmの範囲であってよい。ノズルは、先端部の親水性を減少させて、液体が溜まって、より大きな液滴を形成することを避けるために、疎水性材料で作られてよく、あるいは疎水性物質で被覆されていてよい。
【0018】
本発明の好ましい態様では、本発明のボトルを、患者の目に薬剤を投与するために用いる。この場合ボトルは、ボトルのノズルが目の表面に接触することを避けるために、点眼薬分注補助部を有してよい。向きインジケーターも備えてよく、目に所望のサイズの液滴を適切に分注するために、目に対するボトルの向きが的確かどうかを患者に示す。
【0019】
本発明のある態様では、計量ドロップボトルは、可撓性を有するノッチ領域、側壁にプランジャーを組み込んでボトルを包囲する外部カバーならびに1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有するボトルを有して成る。
【0020】
本発明のもう1つの態様では、計量ボトルは、可撓性を有するノッチ領域、ボトルを包囲する外部カバー、外部カバーから独立しており、使用前に外部カバーに嵌め込まれるプランジャーならびに1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有するボトルを有して成る。
【0021】
実施態様1:可撓性を有するノッチ領域;側壁にプランジャーが組み込まれている、ボトルを包囲する外部カバー;ならびに1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有する計量ドロップボトル。
本実施態様では、計量ドロップボトルは、図面に示すように外部キャップ、ボトルキャップ、ノズル、点眼薬分注補助部、外部カバーおよび向きインジケーターを有して成る。本実施態様の計量ドロップボトルは、ノズルからマイクロリットル量の液体の単一の液滴を送出する。本実施態様の計量投薬ボトルの完成したアッセンブリを図9、図10および図11に示す。
【0022】
本発明の本実施態様で用いるボトル4を、図1および図2に示す。一般的に、本実施態様のボトル4を硬質材料で作るが、その側壁には可撓性を有するノッチ領域5を有する。プランジャーが押圧し得るのであれば、ノッチ部は任意の形状であってよい。一旦プランジャーを挿入してその最大深度まで押すと、それがボトルの可撓性を有するノッチ領域を押圧し、ボトルの内部体積を所定量だけ減少させて、所定体積の液体をノズルに送出するように、このノッチ部の構造を計算する(図8)。好ましい態様では、所定体積の液体をボトルからノズルに送出するために、プランジャーが可撓性を有するノッチ領域を、約0.8mm〜約2mmの距離だけコントロール可能に押圧する。この場合、プランジャーは、所定体積の液体をボトルからノズルに送出するために、可撓性を有するノッチ領域を、約0.8mm〜約2mmの距離だけ押圧するのに適する長さである。もう1滴分注するために、使用者はボトルを直立させて、再び同様の手順を実施する必要がある。プランジャーを押す際、ボトルの可撓性を有するノッチ領域以外の周囲壁のどの部分もが撓まないように、可撓性を有するノッチ領域5の周囲のボトル壁にリブ15を設ける。図1および図8に示すように、可撓性を有するノッチ領域に対向する周囲壁に、スロット11を設ける。ボトルを外部カバー内に正しく位置決めして配置し、それが外部カバー内で移動することを防ぐために、外部カバー上の対応するリブ16にぴったり適合するように、このスロットを用いる(図8)。好ましい態様では、ボトルを透明にしており、薬剤との非相溶性の問題を引き起こす可能性がある二酸化チタンなどのような乳白剤を用いる必要はない。また、透明なボトルは、ボトルに残っている液体/薬剤の量をより容易に見ることを助長し、また、薬剤の保管中に生じる可能性がある液体中の粒子状物質または懸濁の存在を確認することも助長する。
【0023】
本発明の本実施態様のデバイスのノズル2を、図3、図4、図5および図6に示す。プランジャーおよびボトルの可撓性を有するノッチ領域と組み合わせて、マイクロリットル量の分注すべき液体の単一の液滴を送出するように、ノズルを設計する。送出する液体1滴は、約18マイクロリットル未満の体積を有することが好ましい。ステップ3を設けて、ノズルの広域部を、ノズル先端部の分注端部に到るノズルの狭窄部と結合する(図3)。ボトルのノズル先端部は、1.2mm以下の内径および/または外径を有する。図4、図5および図6で理解できるように、分注端部のノズル先端部は内径および外径を有し、先端部は、分注先端端部からノズルの開口部に向けて先細るキャピラリーによって、ノズル内部の開口部に接続する。図4は、内径および外径、プラットフォーム幅ならびに開口部を有するノズル先端部を有するノズルの断面図を示す。図5および図6は、ノズル先端部の内径が外径と等しく、プラットフォーム幅が存在しないノズルの断面図を示す。本発明の1つの態様では、開口部は約0.2mmの内径を有し、ノズル先端部は約0.6mmの内径および約1.2mmの外径を有する。もう1つの態様では、ノズル先端部の内径および外径は等しく、約0.6mm〜約1.2mmの範囲であってよい。ノズルは、分注すべき液体のマイクロリットルサイズの液滴を生成および分注するように機能する。
【0024】
本発明のデバイスの実施態様では、ボトルを包囲する外部カバー8が存在し、図7および図8でそれを詳細に示す。外部カバーは一般的に硬質材料で作られ、ノズルに所定体積の液体を送出するために、ボトルの可撓性を有するノッチ領域5を押圧するためのプランジャー6を含む。本発明のデバイスの1つの実施態様では、リブ16を外部カバーのプランジャーの反対側に設けて、ボトルのスロット11にぴったり適合させる。外部カバーのリブおよびボトルのスロットは、ボトルを外部カバー8内で正確に位置決めして配置し、カバーの中でボトル4が不必要に動くことを避け、ボトルを所定のように取り付けるために有用である。プランジャーおよびリブが異なる位置にある外部カバーの種々のデザインが可能である。外部カバーは、プランジャー6を含む役割を果たし、点眼薬分注補助部7および向きインジケーター9のベースとしての役割を果たし、薬剤の内容物および使用上の注意のラベルを貼るための大きな表面積を提供し、液滴を効果的に分注するように、ボトル4を適切な角度で把持することに役立つ。本発明の好ましい態様では、外部カバーは不透明であり、望ましくない紫外線への暴露からボトル内の薬剤を保護する。
【0025】
図9、図10および図11に示すように、ボトル4の外部キャップ1は、ボトルキャップ14の頂部に配置され、使用者がキャップを取り外し易いように設計される。外部キャップ1を、ボトルキャップ14に取り付けることができ、または両方のキャップを、例えば、熱で封止することによって、あるいは一体に溶接することによってなど、当該技術分野において既知の手段によって一体に結合することができる。別の態様では、ノズルを覆う単一のキャップを用いる。キャップは、ノズルおよびボトルの内容物が外部環境に晒されることから保護するように主に機能する。本発明のキャップのもう1つの機能は、使用者がボトルを次に使用することに備えて、薬剤を初めて投与する前にキャップを捩る動作により、トルクを生じさせることによって、ボトルの封止状態を破り易くすることである。図9、図10および図11に示すように、外部キャップ1の形状は、キャップを捻り、ボトルの封止材を破るために充分なトルクを発生させる作業および薬剤の各投与前にキャップを取り外す作業も遙かに容易にする、キャップの人間工学に基づいた握り心地を提供する。
【0026】
図9に示すように、この実施態様の計量ドロップボトルは、外部カバー8に取り付ける向きインジケーター9を有する。本実施態様の向きインジケーターは、インジケーターの頂部に位置するボールを有する。向きインジケーターは、目に対するボトルの向きが、所望のサイズの液滴を目に適切に分注するために的確かどうかを患者に示す。視覚に訴える向きインジケーターの特に好ましい例は、LED(発光ダイオード)ディスプレイである。薬剤を分注する間、ボトルが適切な向きに達した際、発光が患者にボトルの適切な向きに関して肯定的なフィードバックを与えるような方法で、LEDディスプレイを用いることができる。視覚的な信号に加えて、音声信号も追加してよく、ボトルの正しい向きおよび使用者に対する正しい角度にあるノズルの位置を伝える。別の態様では、薬剤を投与する間、患者にボトルの適切な位置および向きを知らせるために、視覚的なフィードバックを与える種々の他の向きインジケーターを用いることができ、あるいは聴覚的な信号または視覚的および聴覚的なフィードバックの組み合わせを与えるインジケーターを用いることができる。
【0027】
計量ドロップボトルは、ボトルのノズルが目の表面に接触することを避け、ノズルが目に接触する恐れを払拭することによって使用者/患者の安心感を増すために、点眼薬分注補助部7を有する。用いる点眼薬分注補助部7は、当該技術分野において既知のデザインであってよい。図9、図10および図11に示す実施態様では、点眼薬分注補助部7は、外部カバー8の頂部に位置する中空カップであり、ノズルおよびキャップの領域を包囲する。目の周囲の領域によく適合するように、点眼薬分注補助部の上部13の湾曲部を設計する。もう1つの態様では、点眼薬分注補助部7は、外部カバーの頂部に位置する中空リングを有してよく、ノズルおよびキャップの領域を包囲する。薬剤を患者に投与する第3者がノズルの先端部を見ることができるように、点眼薬分注補助部を設計する。点眼薬分注補助部を、使用者にとって快適感のある特別なソフトな感触の材料で作ることができる。
【0028】
使用に際して、ボトルの封止を破るために、使用者はキャップを捩る。一旦封止材を破れば、使用者はキャップを取り除く。薬剤を分注すべき目の下まぶたを、僅かに下へ引っ張り、ボトルを目の周囲を囲む点眼薬分注補助部を用いて配置する。次に、向きインジケーターがボトルの適切な配置に関して肯定的なフィードバックを与えるまで、頭を後ろに傾ける。1つの態様では、向きインジケーターの中央にくる赤いボールが正しい傾きを示し、一方別の態様では、LEDディスプレイの発光がボトルの適切な配置を指示する。次に、使用者がプランジャーを押して、マイクロリットル量の液体の単一の液滴をノズルから目に送出する。もう1滴分注するためには、直立状態に戻し、同じ手順を再び実施する必要がある。
【0029】
実施態様2:可撓性を有するノッチ領域;ボトルを包囲する外部カバー;外部カバーとは別個で、使用前に外部カバーに適合するプランジャーならびに1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部を有する計量ドロップボトル。
本実施態様では、図12に示すように、計量ボトルは、保護キャップ、ボトルキャップ、ノズル、外部カバーおよび外部カバーとは別個のプランジャーを有して成る。本実施態様の計量ボトルは、マイクロリットル量の単一の液滴をノズルの送出口から送出する。
【0030】
本実施態様の計量ボトルは、実施態様1で説明したものと類似のキャップ14、ボトル4およびノズル2を有し、プランジャーを偶発的に押すのを防ぐために、追加の保護キャップ19も有する。目に薬剤を送出するためにこのボトルを用いる場合、ボトルは実施態様1で説明した点眼薬分注保護部7および向きインジケーター9も有してよい。しかしながら、ボトルは、外部カバー8と別個であり、使用前に外部カバーに嵌め込まれるプランジャー6を有するという点で、実施態様1のデバイスとは異なる。本実施態様のデバイスの例を、図12に図示する。
【0031】
本発明のデバイスのこの実施態様では、ボトルを包囲する外部カバー8が存在し、これは一般的には硬質材料で作られ、プランジャー9を嵌め込むための矩形のスロット18を有する。リブをスロット18の反対側の外部カバーの壁に設けて、ボトルのスロットにぴったり適合させる。外部カバーのリブおよびボトルのスロットは、ボトルを正確に外部カバー8に位置決めして整列し、カバー内でボトル4が不必要に動くことを避けてボトルを所定の状態に取り付けるのに有用である。
【0032】
本実施態様のプランジャー6は一般的に矩形であり、それを外部カバーに取り付ける場合、プランジャーが回転することを防ぐ。外部カバーのスロットに一方向にスナップ嵌めするように、プランジャーを設計する。薬剤を分注する間、使用者が押す場合、プランジャーはボトルの可撓性を有するノッチ領域5を押圧して、所定体積の液体をノズルに送出する。
【0033】
使用に際して、ボトルをカバーの内側に配置して、カバーのリブをボトルのスロットにぴったり適合させる。次にプランジャーを取り付けるために、カバーに設けたスロットにプランジャーをスナップ嵌めする。薬剤を分注する目の下まぶたを僅かに下へ引っ張り、傾けた頭にボトルを適切な傾きで配置する。次に使用者がプランジャーを押して、マイクロリットル量の薬剤の液滴をノズルから目に送出する。もう1滴分注するためには、ボトルを真っ直ぐに立てて、同じ手順を再び実施する。
【0034】
本発明のデバイスで用いる計量ドロップボトルおよびその種々の要素を、当該技術分野において既知のいずれかの適当な材料で作ることができる。一般的にそれらを、任意のモールド可能なプラスチックまたは成形されるプラスチックから作る。一般的に、ボトルを低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)など、またはそれらの組み合わせで作ることができる。一般的に、ノズルを低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)など、またはそれらの組み合わせから作ることができる。別の態様では、ノズルを疎水性材料で作ることができ、またはテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)のようなフルオロポリマーなど疎水性材料で被覆することができる。一般的に、キャップを高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)など、またはそれらの組み合わせから作ることができる。一般的に、分注補助部をポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、熱可塑性エラストマー(TPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)など、またはそれらの組み合わせから作ることができる。一般的に、向きインジケーターを高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)など、またはそれらの組み合わせから作ることができる
【0035】
一般的に、ボトルを射出吹込成形法によって作ることができる。射出吹込成形は、射出成形および吹込成形という2つのプロセスを含む。射出成形では、溶融ポリマーをマニホールドに供給し、ノズルを介してそれを中空の加熱したプレフォーム金型に射出する。プレフォーム金型は外部形状を形成するもので、プレフォームの内部形状を形成するマンドレル(コアロッド)の周囲で締結される。プレフォームは、ポリマーの肉厚チューブを取り付けた十分に形成されたボトル/ジャーネックから成り、それは本体部を形成する。吹込成形では、プレフォームを冷却した吹込金型に配置し、コアロッドを回転させて、中空の冷却した吹込金型に締結する。コアロッドは開口して、プレフォームに空気を押し込むことを可能にし、吹込金型が規定する完成品の形状までそれを膨らませる。計量投薬ボトルの残りの要素を、射出成形によって作ることができる。射出成形は、溶融プラスチックを高圧および高温で閉じた金型に射出する技術であって、金型は製品形状の逆の形状を有しており、それによって、金型を冷却して開くと、必要な製品を得ることができる。
【0036】
本発明を、特定の実施態様および使用に関して説明したが、当業者はこの教示を踏まえて、特許請求の範囲に記載した発明の概念から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、更なる実施態様および変更を想到することができる。本発明の上述の実施態様、特に“好ましい”いずれの態様も、本発明の単なる実現可能な実施例であり、本発明の原理を明確に理解するために説明したものであることを強調しておく。従って、本発明の理解を助長するために、ここでは、例によって図面および説明を提供していると理解されるべきであり、その範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0037】
図面は、本発明の実施態様を表しているだけである。実施態様は、本発明を説明するためだけのものである。これらの実施態様のデバイスの種々のパーツを図1〜図12で印しており、印したものを本明細書の下記の参照番号の一覧に記載する。
【符号の説明】
【0038】
参照番号の一覧:
1:外部キャップ
2:ノズル
3:ノズル(2)のステップ
3A:ノズルの開口部
3B:ノズル先端部
3OD:ノズル先端部の外径
3ID:ノズル先端部の内径
3W:ノズル先端部のプラットフォーム幅
4:計量ドロップボトル
5:ボトル(4)の可撓性を有するノッチ領域
6:プランジャー
7:点眼薬分注補助部
8:ボトル(4)の外部カバー
9:向きインジケーター
11:ボトル(4)のスロット
13: 点眼薬分注補助部(7)の頂部の湾曲部
14:ボトルキャップ
15:ボトルの可撓性を有するノッチ領域の周囲にあるリブ
16:ボトルのスロット(11)と合致する外部カバーのリブ
18:プランジャー(6)を取り付けるための外部カバーのスロット
19:保護キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリットル量の液体を液滴の形態で分注するための計量ドロップボトルであって:
(a)内部体積を所定体積だけ減少させるために、壁に可撓部を有するボトル;
(b)ボトルの壁の可撓部を押圧するための、所定のストロークを有するプランジャー;
(c)1.2mm以下の内径および/または外径を有するノズル先端部
を有して成る計量ドロップボトル。
【請求項2】
ボトルは、分注すべき液体の約14マイクロリットル〜約25マイクロリットルの所定のサイズの液滴を分注する、請求項1に記載の計量ドロップボトル。
【請求項3】
ボトルは、分注すべき液体の約14マイクロリットル〜約18マイクロリットルの所定のサイズの液滴を分注する、請求項2に記載の計量ドロップボトル。
【請求項4】
可撓部はボトルの側壁または底壁にある、請求項1に記載の計量ドロップボトル。
【請求項5】
ボトルの壁にある可撓部は、可撓性を有するノッチ領域である、請求項4に記載の計量ドロップボトル。
【請求項6】
可撓性を有するノッチ領域を、ボトルの側壁に設けている、請求項5に記載の計量ドロップボトル。
【請求項7】
所定の体積の液体をボトルからノズルに送出するために、プランジャーが可撓性を有するノッチ領域を、約0.8mm〜約2mmの距離だけコントロール可能に押圧する、請求項6に記載の計量ドロップボトル。
【請求項8】
ボトルは、ボトルを包囲して、プランジャーを含む外部カバーを更に有して成る、請求項4に記載の計量ドロップボトル。
【請求項9】
プランジャーはカバーの側壁に組み込まれている、請求項8に記載の計量ドロップボトル。
【請求項10】
プランジャーは外部カバーとは別個であり、使用前に外部カバーに嵌め込まれる、請求項8に記載の計量ドロップボトル。
【請求項11】
ボトルは少なくとも1つのキャップを更に有して成る、請求項1に記載の液滴の形態でマイクロリットル量の液体を分注するための計量ドロップボトル。
【請求項12】
ボトルは、可撓性を有するノッチ領域の周囲にリブを有して成る、請求項5に記載の計量ドロップボトル。
【請求項13】
ボトルはスロットを更に有する、請求項8に記載の計量ドロップボトル。
【請求項14】
外部カバーは、ボトルのスロットに嵌め込むためのリブを有して成る、請求項8に記載の計量ドロップボトル。
【請求項15】
外部カバーは不透明である、請求項8に記載の計量ドロップボトル。
【請求項16】
ボトルは透明である、請求項8に記載の計量ドロップボトル。
【請求項17】
ボトルは向きインジケーターを更に有して成る、請求項1に記載の計量ドロップボトル。
【請求項18】
ボトルは、薬剤を必要としている使用者の目に、薬剤を投与するために用いられる、請求項1に記載の計量ドロップボトル。
【請求項19】
デバイスは、点眼薬分注補助部を更に有して成る、請求項18に記載の計量ドロップボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−511577(P2010−511577A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539874(P2009−539874)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000576
【国際公開番号】WO2008/068775
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(507310592)サン・ファーマ・アドバンスド・リサーチ・カンパニー・リミテッド (10)
【Fターム(参考)】