説明

マイクロ反応装置および反応方法

【課題】従来の問題を解決し、安全且つ効率的に一重項酸素を用いた反応を行うことができるマイクロ反応装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を、マイクロ流路8を有し、前記マイクロ流路8の内面にポーラスシリコンの層5が設けられた反応部2と、前記マイクロ流路8に酸素が溶存する原料液体を送り込む液体送り込み手段13と、前記マイクロ流路8のポーラスシリコン層5に光を照射する光照射手段12と、を備えたマイクロ反応装置により達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光増感剤としてポーラスシリコンを用いて一重項酸素を生成させ、該一重項酸素による酸化反応を行うことができるマイクロ反応装置および反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の状態で存在する酸素(三重項酸素)を励起させると、非常に高いエネルギーを有する一重項酸素となる。この一重項酸素は非常に反応性が高く、様々な化学反応に用いられている。しかし、基底状態にある三重項酸素を、例えば光によって励起させ一重項状態にする遷移は、スピン禁制のため通常は殆ど起こらない。
【0003】
そこで、三重項酸素から一重項酸素を生成させる方法として、マイクロ波放電を用いる方法や、低温プラズマを用いる方法、光増感剤を用いる光増感法等が行われている。化学物質の合成反応において、溶液中で一重項酸素を用いた反応を行う場合には一般的に光増感法が用いられている。
【0004】
前記光増感剤としては、ローズベンガル、メチレンブルー等の有機系の色素化合物が用いられる。そして、前述のように溶液中で一重項酸素を用いた反応を行う場合には、前記光増感剤色素を反応容器中の反応溶液に分散させて行うバッチ方式が一般的であった。
【0005】
しかしながら、前記バッチ方式で反応を行う場合、反応容器全体に充分な光を照射することが困難であり、光増感剤による一重項酸素の生成のために用いる光の利用効率が悪くなってしまう問題があった。
【0006】
また、溶液中で一重項酸素を用いた反応を行った後、目的生成物を精製するためには前記反応溶液中に分散させた光増感剤を除去する工程が必要であり、該目的生成物の精製工程が煩雑になる。更に、酸素と有機物とが混合した状態にあると爆発の虞があり、その取り扱いには細心の注意を払う必要があった。
【0007】
ここで、近年、無機系のポーラスシリコンが光増感剤としての機能を有することが報告されている(特許文献1)。前記ポーラスシリコンは前記有機系光増感剤よりも高効率に一重項酸素を生成することが可能である。
【0008】
また、前記ポーラスシリコンの形状は、粉末状以外に例えばカセット状に形成することが可能であるため、粉末状の場合よりも取り扱いが容易であり、光増感剤の供給または除去等を簡単に行うとができる。しかしながら、一重項酸素を用いる反応を前記バッチ方式で行う場合には、依然として反応容器全体に充分な光を照射することができないという問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許出願公開第2003/106583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題を解決し、安全且つ効率的に一重項酸素を用いた反応を行うことができる反応装置および反応方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係るマイクロ反応装置は、マイクロ流路を有し、前記マイクロ流路の内面にポーラスシリコンの層が設けられた反応部と、前記マイクロ流路に酸素が溶存する原料液体を送り込む液体送り込み手段と、前記マイクロ流路のポーラスシリコン層に光を照射する光照射手段と、を備えている。
【0012】
本発明において「マイクロ流路」とは、数十〜数千μm程度の微細な径の反応流路を指すものである。また「原料液体」とは、その液体自体が目的の反応(一重項酸素を用いた反応)の反応物質である場合の他、反応物質を溶媒に溶解した反応物質含有溶液を含むものである。本態様によれば、反応部のマイクロ流路の内面にポーラスシリコンの層が設けられているので、前記マイクロ流路に酸素が溶存する原料液体を流して該原料液体中の酸素から一重項酸素を生成させ、当該一重項酸素と原料液体中の反応物質とを反応させることができる。
【0013】
また、マイクロ流路を反応場として用いることによって、マイクロ流路の内面に設けられたポーラスシリコン層全体に光を満遍なく照射することができ、前記原料液体中に含まれる反応分子を効率的に反応させることができる。すなわち、原料液体中の酸素から一重項酸素が生成する効率が高められ、更に、当該一重項酸素と原料液体中の反応物質とが反応する効率が高められる。
【0014】
また、前記マイクロ流路にポーラスシリコン層が設けられているので、反応溶液(反応が行われた原料液体)中から光増感剤を除去する工程を必要としない。加えて、反応場がマイクロ流路であるため、その温度制御は容易であり、有機物を用いた反応において爆発の虞が低くなる。前記マイクロ流路を反応溶液が通過した後は、該反応溶液中から一重項酸素は速やかに消滅するので、爆発性の問題はほとんどなくなる。したがって、光増感剤によって一重項酸素を生成させて行う反応を安全に行うことができる。
更に、ポーラスシリコンは可視光領域での幅広い吸収が存在するため、可視光応答型の反応系に利用することが可能であり、フォトンコストの低減が期待される。
【0015】
本発明の第2の態様に係るマイクロ反応装置は、マイクロ流路を有し、前記マイクロ流路の内面にポーラスシリコンの層が設けられた反応部と、前記マイクロ流路に原料液体を送り込む液体送り込み手段と、前記マイクロ流路に構成成分として酸素を含む気体を送り込む気体送り込み手段と、前記マイクロ流路のポーラスシリコン層に光を照射する光照射手段と、を備えている。
【0016】
本態様に係るマイクロ反応装置は、液体送り込み手段によって前記マイクロ流路に原料液体を送り込むとともに、気体送り込み手段によって構成成分として酸素を含む気体(以下、単に「気体」と称する場合がある)を送り込む構成である。このことによって、原料液体をマイクロ流路内において酸素が溶存する状態にして流通させることができ、以って、前記第1の態様と同様の作用効果が得られる。加えて、マイクロ流路内において起こる反応によって消費される酸素を常に原料液体中に供給し続けることができる。
【0017】
前記構成成分として酸素を含む気体は、例えば大気のように、気体の構成成分の一部として酸素を含む気体はもちろんのこと、純酸素を用いることができる。前記気体中の酸素濃度は高い方が好ましく、純酸素を用いることがより好ましい。
【0018】
前記液体送り込み手段と前記気体送り込み手段によってマイクロ流路に送り込まれる原料液体および気体の流速は、前記原料液体と前記気体とが交互にマイクロ流路内を流通する状態のスラグフロー[図11(A)を参照]や、前記原料液体がマイクロ流路の内面に沿って流れ、前記気体が該マイクロ流路の中心を流れる状態のパイプフロー[図11(B)を参照]を形成することができるように調整することが望ましい。
【0019】
本発明の第3の態様に係るマイクロ反応装置は、第1の態様において、原料液体中に酸素を溶存させる酸素溶存手段を備えたことを特徴とするものである。
本態様によれば、前記原料液体中に確実に酸素を溶存させて前記マイクロ流路に送り、一重項酸素を用いた反応を行うために十分な酸素を原料液体中に供給することができる。前記酸素溶存手段によって原料液体を酸素飽和状態にしてマイクロ流路に送り込むことが望ましい。
【0020】
本発明の第4の態様に係るマイクロ反応装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様において、前記反応部は、板状の平面に貫通する細隙状の溝が形成されてなる流路形成部と、前記流路形成部の一方の面側に接合される第一基板と、前記流路形成部の他方の面側に接合される第二基板と、を備え、前記流路形成部の一方の面と前記第一基板との間、および/または、前記流路形成部の他方の面と前記第二基板との間に、板状に形成されたポーラスシリコン層が挿入された状態で、前記第一基板と前記流路形成部と前記第二基板とが接合され、前記第一基板または該第一基板側のポーラスシリコン層と、前記第二基板または該第二板側のポーラスシリコン層と、前記流路形成部の溝の内面と、により前記マイクロ流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
前記マイクロ流路は、板状の平面に貫通する細隙状の溝が形成されてなる流路形成部を、第一基板および第二基板によって挟んで形成される。その際、第一基板と前記流路形成部の一方の面との間、または、第二基板と前記流路形成部の他方の面との間、またはその両方に板状に形成されたポーラスシリコン層を挿入する。その結果、前記流路形成部の上面または下面または上下両面にポーラスシリコン層を備えたマイクロ流路を形成することができる。このことによって、構成簡単にしてポーラスシリコン層が設けられたマイクロ流路を有する反応部を形成することができ、第1の態様から第3の態様のいずれか一つと同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
本発明の第5の態様に係るマイクロ反応装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記反応部の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とするものである。
【0023】
本態様によれば、前記反応部の温度を、マイクロ流路内で行う一重項酸素を用いた反応に適した温度に調整することができる。
【0024】
本発明の第6の態様に係る反応方法は、光照射されたマイクロ流路内のポーラスシリコン層にて一重項酸素を生成し、生成した一重項酸素と原料液体とを反応させることを特徴とするものである。
【0025】
本態様によれば、マイクロ流路内のポーラスシリコン層に光を満遍なく照射して酸素から一重項酸素を効率よく生成することができるとともに、前記一重項酸素の生成後に続いて起こる一重項酸素と原料液体との反応を、マイクロ流路内で効率よく行うことができる。
【0026】
マイクロ流路は微細であるため温度制御が容易であり、有機物を用いた反応において爆発の虞を低くすることができる。また、前記マイクロ流路を反応溶液が通過した後は、該反応溶液中から一重項酸素は速やかに消滅するので、爆発性の問題はほとんどなくなる。したがって、一重項酸素を生成させて行う反応を安全に行うことができる。
【0027】
更に、ポーラスシリコンは可視光領域での幅広い吸収が存在するため、可視光応答型の反応を行うことができる。マイクロ流路を用いることによって光を効率よく利用することができる上、光源として太陽光等の自然光を用いることによって、フォトンコストを低く抑えて一重項酸素を生成させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、溶液中において一重項酸素を生成させ、一重項酸素を用いて行う反応を安全且つ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1に係るマイクロ反応装置の反応部を構成する第一基板、流路形成部、ポーラスシリコン層、および第二基板の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の第一基板、流路形成部、ポーラスシリコン層、および第二基板を接合して形成した反応部を有するマイクロ反応装置の斜視図である。
【図3】図2のマイクロ反応装置のX−X矢視図である。
【図4】実施例2に係るマイクロ反応装置の他の例を示す側断面図である。
【図5】実施例3に係るマイクロ反応装置の流路形成部の平面図である。
【図6】実施例4に係るマイクロ反応装置の反応部を構成する第一基板、流路形成部、ポーラスシリコン層、および第二基板の一例を示す分解斜視図である。
【図7】図6の第一基板、流路形成部、ポーラスシリコン層、および第二基板を接合して形成した反応部を有するマイクロ反応装置の斜視図である。
【図8】流路形成部の例を示す図であり、(A)はプレートに細隙状の貫通孔が設けられた流路形成部の例であり、(B)は複数のプレートを配置して細隙状の溝を形成する流路形成部の例であり、(C)はY字構造を備えた流路形成部である。
【図9】実施例5に係るマイクロ反応装置の反応部を構成する第一基板、図8(B)の流路形成部、ポーラスシリコン層、および第二基板の分解斜視図である。
【図10】図9の第一基板、流路形成部、ポーラスシリコン層、および第二基板を接合して形成した反応部を有するマイクロ反応装置の斜視図である。
【図11】スラグフロー(A)およびパイプフロー(B)を説明する図である。
【図12】酸素で飽和した原料液体をマイクロ流路に流通させた場合(図中、黒地の丸)と、原料液体と酸素をマイクロ流路に送り、スラグフローを形成させて流通させた場合(図中、白地の四角)の実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0031】
[実施例1]
図1は、実施例1に係るマイクロ反応装置1の反応部2を構成する第一基板3、流路形成部4、ポーラスシリコン層5、および第二基板6の一例を示す分解斜視図である。図2は、図1の第一基板3、流路形成部4、ポーラスシリコン層5、および第二基板6を接合して形成した反応部2を有するマイクロ反応装置1の斜視図である。図3は、図2のマイクロ反応装置1のX−X矢視図である。
【0032】
本実施例に係るマイクロ反応装置1の反応部2は、図1および図8(A)に示されるような板状のプレート平面に貫通する細隙状の溝7が形成されてなる流路形成部4の上下を、後述する第一基板3、第二基板6、またはポーラスシリコン層5等の他の板状体によって挟んでマイクロ流路8を形成する構成である。
【0033】
前記反応部2は、前記流路形成部4の上面に第一基板3を配設し、該流路形成部4の下面には板状に形成されたポーラスシリコン層5を配設し、更にその下面に第二基板6を配設し、これらを接合して形成されている。すなわち、図3に示されるように、前記第一基板3と、前記ポーラスシリコン層5と、前記流路形成部4の溝7の内面9により、マイクロ流路8が形成されている。
【0034】
前記ポーラスシリコン層5は、光増感剤として作用して一重項酸素を発生させることができるポーラスシリコンによって形成されている。ポーラスシリコンは、300nm〜800nmの波長の光エネルギーによって一重項酸素を生成させることができるものが好ましい。尚、ポーラスシリコンを構成するシリコンナノ結晶のサイズは、2.5nm程度(発光ピークエネルギーが1.63eV程度)のとき、一重項酸素を効率よく発生させることができることが報告されている(特許文献1:国際特許出願公開第2003/106583号公報)。
【0035】
このような性質のポーラスシリコン層5が設けられたマイクロ流路8に酸素が溶存する原料液体を流すことによって、該原料液体中に一重項酸素を効率よく生成させることができる。さらに、生成した一重項酸素と原料液体中の反応物質(原料液体自体が反応物質である場合も含む)とを反応させることができる。尚、このマイクロ流路8において行う反応については、後述する実施例5において詳細に説明する。
【0036】
前記第一基板3には、原料液体供給口10および反応溶液排出口11が設けられており、前記原料液体供給口10は、前記マイクロ流路8に酸素が溶存する原料液体を送り込むことが可能なポンプ等を備えた液体送り込み手段13に接続されている。原料液体供給口10からマイクロ流路8に原料液体が供給され、該マイクロ流路8を流通する間に前記原料液体中において一重項酸素を用いた反応が行われ、その反応溶液が反応溶液排出口11から排出される。前記原料液体供給口10および前記反応溶液排出口11は、いずれか一方または両方を第二基板6に設けることも可能である。
【0037】
酸素が溶存する原料液体としては、大気中の酸素の分圧に応じた量の酸素が溶存する原料液体を用いることも可能であるが、前記液体送り込み手段13の上流側に酸素溶存手段14を設け、前記原料液体中に充分な酸素を溶存させて前記マイクロ流路8に送ることができるように構成することが望ましい。酸素溶存手段14としては、例えば、原料液体中に酸素ガスを吹き込むバブリング装置等を用いることができる。
【0038】
更に、前記マイクロ反応装置1は、前記マイクロ流路8を形成するポーラスシリコン層5に光を照射する光照射手段12を備えている。図2においては、前記流路形成部4と前記第二基板6の間に設けられたポーラスシリコン層5に光を照射するため、第一基板3側からマイクロ流路8に向けて光を照射するように構成されている。尚、光照射手段12としては、LED等の人工光源を用いることができるのはもちろんのこと、可視光応答型の反応系に用いる場合には光源として太陽光を利用する構成とすることもできる。
【0039】
前記流路形成部4、前記第一基板3および前記第二基板6は、マイクロ流路8内への光透過性が高い透明な板材、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、アクリル等の材料によって形成された板材を用いることが好ましい。
【0040】
前記第一基板3、流路形成部4、ポーラスシリコン層5、および第二基板6は、例えば接着剤等により接着して接合される。また、それぞれのプレートの角部や辺に沿った端部に穴をあけ、ボルトとナットによって押えて接合することもできる。
【0041】
また、接着性樹脂フィルムを用いてそれぞれのプレートを接着することができる。接着性樹脂フィルムとしては、常温または加熱による自己接着性を有するものが好ましく、例えばフッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
尚、前記流路形成部4を、前記常温または加熱による自己接着性を有する接着性樹脂フィルムによって形成することも可能である。接着性樹脂フィルムは、石英やホウ珪酸ガラスのような硬い素材よりも細隙状の溝を形成する加工が容易である上、流路形成部4自体が接着材となって他のプレートを接合することができるので、マイクロ反応装置1を低コストで作成することができる。
【0042】
前記第一基板3と、前記ポーラスシリコン層5と、前記流路形成部4の溝7の内面9により形成されるマイクロ流路8は、幅50〜1000μm、深さ10μm〜1000μmであることが好ましい。特に、前記マイクロ流路を流通する流体に対し、レイノルズ数を数十〜1000以下程度に設定し、層流を保って流通可能に設計されることが好ましい。
【0043】
またマイクロ流路8の長さは、原料液体中の反応物質が反応するために必要な所定の反応時間に応じて設定される。すなわち、原料液体が前記所定の反応時間をかけて前記マイクロ流路8内を通過するように設定される。
【0044】
また、前記反応部2に当該反応部2の温度を調整する温度調整手段15を設け、マイクロ流路8内で行う一重項酸素を用いた反応に適した温度に調整できるように構成することが望ましい。
【0045】
マイクロ流路8の構造は上記のものに限定されるものではなく、反応器2のマイクロ流路8に光を照射することができるものであれば、マイクロ流路8の積層状態や位置関係、断面形状、マイクロ流路8の個数等を適宜変更することができる。また、複数のマイクロ流路8を備えるものについては、マイクロ流路毎に流路径や断面形状を変えることができる。
【0046】
本実施例によれば、反応部2のマイクロ流路8の内面にポーラスシリコン層5を構成簡単にして設けることが可能であり、前記マイクロ流路8に酸素を含む原料液体を流して該原料液体中に一重項酸素を生成させ、当該一重項酸素を用いた反応を行うことができる。
【0047】
マイクロ流路8を反応場として用いることによって、マイクロ流路8の内面に設けられたポーラスシリコン層5全体に光を満遍なく照射することができ、前記原料液体中に含まれる反応分子を効率的に反応させることができる。すなわち、原料液体中の酸素から一重項酸素が生成する効率が高められ、更に、当該一重項酸素と原料液体中の反応物質とが反応する効率が高められる。
【0048】
また、前記マイクロ流路8にポーラスシリコン層5が設けられているので、反応溶液中から光増感剤を除去する工程を必要としない。加えて、反応場がマイクロ流路8であるため、その温度制御は容易であり、有機物を用いた反応において爆発の虞が低くなる。前記マイクロ流路8を反応溶液が通過した後は、該反応液中から一重項酸素は速やかに消滅するので、爆発性の問題はほとんどなくなる。したがって、光増感剤によって一重項酸素を生成させて行う反応を安全に行うことができる。
【0049】
[実施例2]
実施例1においては、前記流路形成部4と第二基板6との間にポーラスシリコン層5を設ける構成(図3を参照)としたが、図4に示されるように前記流路形成部4と第一基板3との間にもポーラスシリコン層5を挟み、上下両面にポーラスシリコン層5を配設する構成とすることもできる。
【0050】
上下両面にポーラスシリコン層5を設ける場合、該ポーラスシリコン層5は光を透過する程度に薄く形成されていることが望ましい。または、ポーラスシリコン層5にスリットや微小な孔等を設けることによって光が到達するように構成してもよい。その際、第一基板3側および第二基板6側のポーラスシリコン層5の両面に光を均一に照射するため、光照射手段12を第一基板3側および第二基板6側の両側に設けることができる。
【0051】
本実施例によれば、実施例1のマイクロ反応装置と同様の作用効果に加え、マイクロ流路内におけるポーラスシリコン層と液体原料との接触効率が高められ、以って一重項酸素を高効率で発生させることができる。
【0052】
[実施例3]
次に、本発明にかかるマイクロ反応装置の他の実施例について説明する。本実施例では、複数のマイクロ流路51を平行に配列して形成された流路形成部50を用いている。図5は、本実施例に係るマイクロ反応装置の流路形成部50の平面図である。
【0053】
前記流路形成部50の複数のマイクロ流路51は、共通の液体供給流路52と共通の液体排出流路53とに合流するように形成されている。複数のマイクロ流路51に原料液体を均一に供給するため、液体供給流路52は幅広流路部54を備え、液体排出流路53は幅広流路部55を備えている。
【0054】
本実施例によれば、実施例1のマイクロ反応装置と同様の作用効果に加え、原料液体を一つの共通の液体供給流路52に導入することによって、該原料液体が、複数のマイクロ反応流路51に送り込まれるので、大容量の反応を行うことができる。更に、各マイクロ流路51から排出される反応溶液は、再度合流されて一つの液体排出流路53から排出されるので、その回収が容易である。
【0055】
[実施例4]
本実施例は、マイクロ流路に原料液体を送り込む液体送り込み手段33と、前記マイクロ流路に構成成分として酸素を含む気体を送り込む気体送り込み手段34と、を備えたマイクロ反応装置の例である。
【0056】
図6は、実施例4に係るマイクロ反応装置21の反応部22を構成する第一基板23、流路形成部24、ポーラスシリコン層25、および第二基板26の一例を示す分解斜視図である。図7は、図6の第一基板23、流路形成部24、ポーラスシリコン層25、および第二基板26を接合して形成した反応部22を有するマイクロ反応装置21の斜視図である。
【0057】
本実施例では、図6に示すように板状のプレートにY字の細隙状の溝27(貫通孔)が設けられた流路形成部24が用いられる。Y字を成す二股の一方は、原料液体を送り込む原料液体供給口30に繋がる流路として用いられ、前記二股の他方は、構成成分として酸素を含む気体を送り込む気体供給口32に繋がる流路として用いられる。
【0058】
前記第一基板23には、原料液体供給口30、気体供給口32、および反応溶液排出口31が設けられている。前記原料液体供給口30は、マイクロ流路28に原料液体を送り込むことが可能なポンプ等を備えた液体送り込み手段33に接続されている。前記気体供給口32は、マイクロ流路28に前記酸素を含む気体を送り込むことが可能なポンプ等を備えた気体送り込み手段34に接続されている。尚、前記原料液体供給口30、気体供給口32、および反応溶液排出口31は第二基板26に設けることも可能である。
【0059】
本実施例に係るマイクロ反応装置21は、液体送り込み手段33によって前記原料液体供給口30から前記マイクロ流路28に原料液体を送り込むとともに、気体送り込み手段34によって前記気体供給口32から酸素を含む気体を送り込み、マイクロ流路28内で前記原料液体と前記気体とを合一させて該マイクロ流路28を流通させる構成である。このことによって、原料液体をマイクロ流路28内において酸素が溶存する状態にして流通させることができ、以って、実施例1に記載のマイクロ反応装置1と同様の作用効果を得ることができる。加えて、マイクロ流路28内において起こる反応によって消費される酸素を常に原料液体中に供給し続けることができる。
【0060】
前記酸素を含む気体は、例えば大気のように、構成成分の一部として酸素を含む気体はもちろん、純酸素を用いることができる。前記気体中の酸素濃度は高い方が好ましく、純酸素を用いることがより好ましい。
【0061】
また、前記液体送り込み手段33と前記気体送り込み手段34によってマイクロ流路28に送り込まれる原料液体および気体の流速は、図11(A)のように前記原料液体(図中L)と前記気体(同G)とが交互にマイクロ流路(同MC)内を流通する状態のスラグフローや、図11(B)のように前記原料液体(L)がマイクロ流路(MC)の内面に沿って流れ、前記気体(G)が該マイクロ流路の中心を流れる状態のパイプフローを形成することができるように調整することが望ましい。前記スラグフローやパイプフローを形成して前記原料液体および前記気体をマイクロ流路28に流通させることによって、一重項酸素の生成効率、および生成した一重項酸素と原料液体中の反応物質との反応の効率を更に高めることができる。
【0062】
[実施例5]
本発明に係るマイクロ反応装置の他の例について説明する。図9は、実施例5に係るマイクロ反応装置41の反応部42を構成する第一基板43、流路形成部44、ポーラスシリコン層45、および第二基板46の分解斜視図である。図10は、図9の第一基板43、流路形成部44、ポーラスシリコン層45、および第二基板46を接合して形成した反応部42を有するマイクロ反応装置41の斜視図である。
【0063】
本実施例に係るマイクロ反応装置41は、実施例1、実施例2、および実施例4のようにプレートに細隙状の貫通孔が設けられた流路形成部[例えば図8(A)]にかえて、図8(B)のように複数のプレートを配置して細隙状の溝を形成した流路形成部44によってマイクロ流路48が形成されている。
【0064】
本実施例における流路形成部44は、例えばカットした樹脂板や接着性樹脂フィルム等を配置して形成することができ、マイクロ流路を成す溝を加工容易にして設けることができるため、実験室レベルのマイクロ反応装置を簡易的に作成する場合にも適している。図8(B)のように二枚の板状体の辺を平行にして並べることによって、直線のマイクロ流路48を形成することができる。
【0065】
本実施例では、図10のように、前記第一基板43、流路形成部44、ポーラスシリコン層45、および第二基板46を接合して形成された反応部42の側面に開口が形成される。この開口を実施例1における原料導入口および反応溶液排出口として利用することができるため、第一基板43または第二基板35に原料導入口および反応溶液排出口としての穴を設けない構成とすることができる。
【0066】
また、図8(C)のような形状にアクリル板等をカットすることにより、Y字を成す溝57を形成することができる。当該図8(C)の流路形成部54を用いることによって、実施例4と同様、原料液体と酸素を含む気体をマイクロ流路内で合一させて流通させることが可能なマイクロ流路を形成することができる。
【0067】
本実施例によれば、低コスト且つ容易にマイクロ反応装置を作成することができるとともに、実施例1または実施例2に係るマイクロ反応装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
[実施例6]
次に、本発明に係るマイクロ反応装置を用いて行う反応方法について実施例1のマイクロ反応装置1を用いて説明する。本反応方法は、光照射されたマイクロ流路8内のポーラスシリコン層5にて一重項酸素を生成し、生成した一重項酸素と原料液体とを反応させて行うものである。
【0069】
酸素が溶存する原料液体をマイクロ流路8に供給し、該マイクロ流路8に光を照射すると、当該マイクロ流路8に設けられたポーラスシリコン層5の作用により、前記原料液体中に溶存する酸素が励起されて一重項酸素を生成する。原料液体中で生成した前記一重項酸素は、該原料液体中の反応物質とを反応して目的生成物を生成する。
尚、原料液体としては、その液体自体が目的の反応(一重項酸素を用いた反応)の反応物質である場合の他、反応物質を溶媒に溶解した反応物質含有溶液を用いることができる。
【0070】
本発明に係るマイクロ反応装置1を用いることにより、マイクロ流路8内のポーラスシリコン層5に光を満遍なく照射することができるので、酸素から一重項酸素を効率よく生成することができるとともに、前記一重項酸素の生成後に続いて起こる一重項酸素と原料液体との反応も高効率で行うことができる。
【0071】
また、マイクロ流路8は微細であるため温度制御が容易であり、有機物を用いた反応において爆発の虞を低くすることができる。また、前記マイクロ流路8を反応溶液が通過した後は、該反応溶液中から一重項酸素は速やかに消滅するので、爆発性の問題はほとんどなくなる。したがって、一重項酸素を生成させて行う反応を安全に行うことができる。
【0072】
更に、ポーラスシリコンは可視光領域での幅広い吸収が存在するため、可視光応答型の反応を行うことができる。マイクロ流路8を用いることによって光を効率よく利用することができる上、光源として太陽光等の自然光を用いることによって、フォトンコストの低く抑えて一重項酸素を生成させることができる。
【0073】
以下に、本実施例に係る方法で行うことができる一重項酸素を用いた反応について具体例を挙げて説明する。一重項酸素は二重結合を有する有機化合物に対して作用し、次に説明するような反応が起こると考えられる
【0074】
<第一の反応工程>
一重項酸素分子1モルは、被酸化対象物である有機化合物の二重結合2当量、すなわち、それぞれのπ電子結合(2当量)のπ電子と選択的に反応する。一重項酸素分子による酸化反応は、その酸素原子2当量それぞれが、二重結合2当量それぞれの一方の端のπ電子結合のπ電子を奪う形で起こり、当該二重結合2当量のそれぞれを単結合(2当量)化する。前記それぞれの二重結合の対端のπ電子結合のπ電子は、隣接の単結合を二重結合化する。すなわち、二重結合を隣接部に移すことができる。
【0075】
更に、前記第一の反応工程の後、前記一重項酸素分子1モル(2当量)の酸素原子は、後述する第二の反応工程によって被酸化対象物に付加される。第二の反応工程において起こる酸素原子の付加にはいくつかのパターンがある。その例(パターン1〜パターン3)を以下に示す。
【0076】
<第二の反応工程>
(パターン1)エピジオキシ(−O−O−)架橋をなして被酸化対象物に付く場合
(パターン2)酸素原子が別れ、前記第一の反応において被酸化対象物からはじかれる水素原子を取り込み、水酸基(−OH)をなして被酸化対象物に付く場合
(パターン3)酸素原子が別れ、それぞれ二重結合(=O)で被酸化対象物に付く場合
【0077】
前記パターン1〜パターン3の反応例を以下に示す。
(パターン1の反応例)α−テルピネンの酸化
【0078】
【化1】

【0079】
(パターン2の反応例)3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オールの酸化
【0080】
【化2】

【0081】
(パターン3の反応例)1,5−ナフタレンジオールの酸化
【0082】
【化3】

【0083】
反応例1〜反応例3のような反応は、例えば製薬、香料等の高付加価値化合物の合成反応に利用できる。現在、このような合成反応はローズベンガル等の有機系光増感剤を用いる方法(爆発性の問題があり、合成後に光増感剤を除去する工程が必要)により行われているが、本発明に係るマイクロ反応装置を用いた反応を用いることによって、安全且つ効率的に前記合成反応を行うことができる。また、ポーラスシリコンは可視光領域での幅広い吸収を有するため、前記高付加価値化合物の合成反応をソーラーシステム化することも可能となる。
【0084】
尚、本発明に係るマイクロ反応装置を用いて行う反応は上記反応パターンに限られるものではなく、溶液中において一重項酸素を生成させて行う反応系であれば特に限定されない。
【0085】
[α−テルピネンの酸化]
実施例6において説明したパターン1の反応例であるα−テルピネンの酸化反応を、本発明に係るマイクロ反応装置を用いて行った。図12は、酸素で飽和した原料液体をマイクロ流路に流通させた場合(図中、黒地の丸)と、原料液体と酸素をマイクロ流路に送り、スラグフローを形成させて流通させた場合(図中、白地の四角)の実験結果である。ここで、図12のグラフの縦軸にとった相対濃度とは、スラグフローを形成させて行った実験における照射時間12秒のときの生成物濃度を1として、他の実験値(各照射時間における生成物濃度)を相対値として表したものである。
【0086】
原料液体と酸素ガスをマイクロ流路に送り、スラグフローを形成させて反応を行った場合、酸素で飽和した原料液体をマイクロ流路に流通させた場合に比して反応速度がおよそ6倍速くなった。スラグフローを形成することによって、酸素ガスと原料液体との接触面積が大きくなり、マイクロ流路内で生成した一重項酸素と原料液体中の反応物質との接触頻度が高まるため、反応を高効率で進行させることができると考えられる。
【0087】
また、スラグフローを形成すると、図11に示されるように、マイクロ流路28内において気体で区切られたそれぞれの液体部分Lにおいて二次流れ29が生じ、原料溶液が撹拌されながらマイクロ流路28内を流通するものと考えられる。このことによっても反応効率が高められていると推測される。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、一重項酸素を生成させ、当該一重項酸素を用いて行う反応系に使用するマイクロ反応装置に利用可能である。また、マイクロ流路内にて一重項酸素を生成させ、該一重項酸素を用いて行う反応方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 マイクロ反応装置、 2 反応部、 3 第一基板、 4 流路形成部、
5 ポーラスシリコン層、 6 第二基板、
7 溝、 8 マイクロ流路、 9 溝の内面、
10 原料液体供給口、 11 反応溶液排出口、 12 光照射部、
13 液体送り込み手段、 14 酸素溶存手段、 15 温度調整手段
21 マイクロ反応装置、 22 反応部、 23 第一基板、
24 流路形成部、 25 ポーラスシリコン層、 26 第二基板、
27 溝、 28 マイクロ流路、 29 二次流れ、
30 原料液体供給口、 31 反応溶液排出口、 32 気体供給口、
33 液体送り込み手段、 34 気体送り込み手段、
41 マイクロ反応装置、 42 反応部、 43 第一基板、
44 流路形成部、 45 ポーラスシリコン層、 46 第二基板、
47 溝、 48 マイクロ流路、
50 流路形成部、 51 マイクロ流路、 52 液体供給流路、
53 液体排出流路、 54 幅広流路部、 55 幅広流路部
L 原料液体、 G 気体、 MC マイクロ流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流路を有し、前記マイクロ流路の内面にポーラスシリコンの層が設けられた反応部と、
前記マイクロ流路に酸素が溶存する原料液体を送り込む液体送り込み手段と、
前記マイクロ流路のポーラスシリコン層に光を照射する光照射手段と、を備えたマイクロ反応装置。
【請求項2】
マイクロ流路を有し、前記マイクロ流路の内面にポーラスシリコンの層が設けられた反応部と、
前記マイクロ流路に原料液体を送り込む液体送り込み手段と、
前記マイクロ流路に構成成分として酸素を含む気体を送り込む気体送り込み手段と、
前記マイクロ流路のポーラスシリコン層に光を照射する光照射手段と、を備えたマイクロ反応装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたマイクロ反応装置において、原料液体中に酸素を溶存させる酸素溶存手段を備えたことを特徴とするマイクロ反応装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載されたマイクロ反応装置において、前記反応部は、板状の平面に貫通する細隙状の溝が形成されてなる流路形成部と、
前記流路形成部の一方の面側に接合される第一基板と、
前記流路形成部の他方の面側に接合される第二基板と、を備え、
前記流路形成部の一方の面と前記第一基板との間、および/または、前記流路形成部の他方の面と前記第二基板との間に、板状に形成されたポーラスシリコン層が挿入された状態で、前記第一基板と前記流路形成部と前記第二基板とが接合され、
前記第一基板または該第一基板側のポーラスシリコン層と、前記第二基板または該第二板側のポーラスシリコン層と、前記流路形成部の溝の内面と、により前記マイクロ流路が形成されていることを特徴とするマイクロ反応装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載されたマイクロ反応装置において、前記反応部の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とするマイクロ反応装置。
【請求項6】
光照射されたマイクロ流路内のポーラスシリコン層にて一重項酸素を生成し、生成した一重項酸素と原料液体とを反応させることを特徴とする反応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−161416(P2011−161416A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30142(P2010−30142)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発 行 者: 社団法人化学工学会 刊行物名: 化学工学会第41回秋季大会研究発表講演要旨集 発行年月日: 2009年08月16日
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【出願人】(500561931)三井造船プラントエンジニアリング株式会社 (41)
【出願人】(505252698)株式会社 IME (14)
【Fターム(参考)】