説明

マイクロ流体デバイス及びその製造方法

【課題】複数のマイクロ流路間を容易にでき、従って容易に製造可能なマイクロ流体デバイスを提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイス1は、第1のマイクロ流路2と、第1のマイクロ流路2の一端部に接続され、第1のマイクロ流路2よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路3とを有する。マイクロ流体デバイス1は、第1のマイクロ流路2を構成する線条溝13が形成された第1の基板10と、板面方向に直線状に配列された線条溝よりも幅狭の複数の貫通孔21が形成された第2の基板20とを備えている。線条溝13の延びる方向と複数の貫通孔21の配列方向とが交差すると共に、複数の貫通孔21のうちのひとつまたはいくつかと線条溝13とが接続されて線条溝13と接続された貫通孔21aにより第2のマイクロ流路3が構成されるように、第1の基板10と第2の基板20とが貼り合わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体デバイス、特に、第1のマイクロ流路と、第1のマイクロ流路の一端部に接続され、第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路とを有するマイクロ流体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1のマイクロ流路と、第1のマイクロ流路の一端部に接続され、第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路とを有するマイクロ流体デバイスが種々知られている。
【0003】
このようなマイクロ流体デバイスの例としては、例えば特許文献1及び2に開示されたパッシブバルブや、ストップバルブ、アクティブバルブなどが挙げられる。
【特許文献1】特開2006−142448号公報
【特許文献2】特開2004−163104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、流路面積の異なる複数種類の流路を一枚の基板内に形成することは困難である。このため、特許文献1及び2に開示されたパッシブバルブのように、流路面積の異なる第1及び第2のマイクロ流路が形成されたマイクロ流体デバイスの製造方法として、第1のマイクロ流路が形成された第1の基板と、第2のマイクロ流路が形成された第2の基板とを貼り合わせることによりマイクロ流体デバイスを製造する方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、第1及び第2のマイクロ流路は、いずれも非常に細い。このため、第1のマイクロ流路と第2のマイクロ流路とを確実に接続するためには、第1の基板と第2の基板とを高精度に貼り合わせる必要があるが、第1の基板と第2の基板とを高い位置精度で貼り合わせることは非常に困難である。従って、上述の製造方法では、マイクロ流体デバイスの製造が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のマイクロ流路間を容易にでき、従って容易に製造可能なマイクロ流体デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマイクロ流体デバイスは、第1のマイクロ流路と、第2のマイクロ流路とを有する。第2のマイクロ流路は、第1のマイクロ流路の一端部に接続されている。第2のマイクロ流路は、第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する。本発明に係るマイクロ流体デバイスは、第1の基板と、第2の基板とを備えている。第1の基板は、対向する一対の主面を有する。第1の基板には、一方の主面側に第1のマイクロ流路を構成する線条溝が形成されている。第2の基板は、対向する一対の主面を有する。第2の基板には、少なくとも一方の主面側に開口し、板面方向に直線状に配列された線条溝よりも幅狭の複数の溝または線条溝よりも幅狭の複数の貫通孔が形成されっている。第1の基板の一方の主面と第2の基板の一方の主面とは、線条溝の延びる方向と複数の溝または貫通孔の配列方向とが交差すると共に、複数の溝または貫通孔のうちのひとつまたはいくつかと線条溝とが接続されて線条溝と接続された溝または貫通孔により第2のマイクロ流路が構成されるように貼り合わされている。
【0008】
なお、本明細書において「貼り合わせ」とは、接着剤、粘着剤やエネルギー硬化性樹脂などを使用して貼り合わせることや、圧着、熱融着など、2つの部材が離れないように半永久的に固定されることに限定されず、単に圧力をかけるのみによって一時的に固定することも含むものとする。
【0009】
また、「流路面積」とは、流路を流路の延びる方向に対して垂直に切断したときの流路の横断面の面積をいうものとする。
【0010】
「幅狭の複数の貫通孔」とは、貫通方向から視たときに、第2のマイクロ流路の延びる方向に対して垂直な方向における貫通孔の幅が線条溝の幅よりも狭いことをいう。
【0011】
本発明のある特定の局面では、マイクロ流体デバイスは、第2のマイクロ流路を介して第1のマイクロ流路と接続され、第2のマイクロ流路よりも大きな流路面積を有する第3のマイクロ流路をさらに有し、第2の基板には、複数の貫通孔が形成されており、対向する一対の主面を有し、一方の主面側に第3のマイクロ流路を構成する線条溝が形成された第3の基板をさらに備え、第3の基板に形成された線条溝と複数の貫通孔の配列方向とが略並行となると共に、第3の基板に形成された線条溝と少なくとも第1の基板に形成された線条溝と接続された1または複数の貫通孔とが接続されるように、第2の基板の他方の主面と第3の基板の一方の主面とが貼り合わされている。
【0012】
本発明の別の特定の局面では、マイクロ流体デバイスは、途中部において第1のマイクロ流路の他端部に接続され、第1のマイクロ流路と交差する第4のマイクロ流路をさらに有している。
【0013】
ここで、「交差する」とは、斜め方向または垂直に延びることをいう。言い換えれば、「交差する」とは、平行ではない方向に延びることをいい、「交差する」には、所謂ねじれの位置関係にあり、平面視において交差する場合も含まれるものとする。従って、本発明の別の特定の局面では、第4のマイクロ流路は第1のマイクロ流路に対して垂直または斜めに延びている。なお、「交差する」は「角度をなしている」とも言い換えることができる。
【0014】
本発明のさらに別の局面では、マイクロ流体デバイスは、第1のマイクロ流路と、第2のマイクロ流路と、第4のマイクロ流路とを含むマイクロ流体秤量ユニットを複数備えている。
【0015】
本発明の他の特定の局面では、第1の基板は、線条の貫通孔が形成された第4の基板と、第4の基板に積層され、線条の貫通孔の一方側を閉塞することで、線条溝を形成する第5の基板とを含んでいる。
【0016】
本発明のさらに他の特定の局面では、第1の基板の一方の主面と第2の基板の一方の主面とは、線条溝の延びる方向と複数の溝または貫通孔の配列方向とが略垂直となるように貼り付けられている。
【0017】
本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法は、第1のマイクロ流路と、第1のマイクロ流路の一端部に接続され、第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路とを有するマイクロ流体デバイスの製造方法である。本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法は、対向する一対の主面を有し、一方の主面側に第1のマイクロ流路を構成する線条溝が形成された第1の基板を用意する工程と、対向する一対の主面を有し、少なくとも一方の主面側に開口し、板面方向に直線状に配列された線条溝よりも幅狭の複数の溝または貫通孔が形成された第2の基板を用意する工程と、線条溝の延びる方向と複数の溝または貫通孔の配列方向とが交差すると共に、複数の溝または貫通孔のうちのひとつまたはいくつかと線条溝とが接続されて線条溝と接続された溝または貫通孔により第2のマイクロ流路が構成されるように、第1の基板の一方の主面と第2の基板の一方の主面とを貼り合わせる工程とを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、第1の基板の線条溝の延びる方向と、第2の基板の複数の溝または貫通孔の配列方向とが交差するように第1の基板と第2の基板とが貼り合わされている。このため、第1の基板と第2の基板との貼り合わせ位置が線条溝の延びる方向と垂直な方向にずれたとしても、第1の基板の線条溝と、第2の基板の複数の溝または貫通孔のうちのひとつまたはいくつかとが確実に接続される。従って、第1の基板と第2の基板との貼り合わせにおいて要求される位置決め精度が低くなるため、本発明によれば、容易に製造可能なマイクロ流体デバイスを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。下記第1〜第3の実施形態及び変形例では、本発明を実施したマイクロ流体デバイスとして、パッシブバルブを利用したマイクロ流体秤量デバイス、マイクロ流体混合デバイス、ストップバルブを利用したマイクロ流体デバイス、アクティブバルブを利用したマイクロ流体デバイスを例に挙げて説明する。
【0020】
但し、下記第1〜第4の実施形態は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの単なる例示である。本発明に係るマイクロ流体デバイスは、第1のマイクロ流路と、第1のマイクロ流路の一端部に接続され、第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路とを有するマイクロ流体デバイスである限り、特に限定されない。本発明に係るマイクロ流体デバイスにおいて、第1のマイクロ流路と第2のマイクロ流路とはバルブとは異なる部材を構成するものであってもよい。
【0021】
(第1の実施形態)
−マイクロ流体秤量デバイス1の構成−
第1の実施形態では、図1に示すパッシブバルブ7を利用したマイクロ流体秤量デバイス1について説明する。図1は、マイクロ流体秤量デバイス1の要部の構成を表す概念図である。図2は、マイクロ流体秤量デバイス1の要部を表す分解斜視図である。図3は、各流路の位置関係を説明するための略図的平面図である。図4は、図3に示す切り出し線VI−VIで切り出された部分の断面図である。図5は、第1の基板10の斜視図である。図6は、第3の基板30の斜視図である。図7〜図9は、マイクロ流体秤量デバイス1の動作を説明するための概念図である。
【0022】
マイクロ流体秤量デバイス1は、マイクロリットルオーダー以下のオーダーの液体を秤量するためのものである。具体的には、マイクロ流体秤量デバイス1は、ピコリットル〜マイクロリットルオーダーの液体を秤量するものであってもよい。
【0023】
まず、図1を参照しつつ、第1の実施形態に係るマイクロ流体秤量デバイス1の要部構成について説明する。マイクロ流体秤量デバイス1は、マイクロ流体秤量ユニット6と、第3のマイクロ流路4とを備えている。マイクロ流体秤量ユニット6は、パッシブバルブ7と、第4のマイクロ流路5とを備えている。
【0024】
パッシブバルブ7は、第1のマイクロ流路2と、第2のマイクロ流路3とを備えている。第2のマイクロ流路3は、第1のマイクロ流路2の一方の端部に接続されている。第2のマイクロ流路3は、第1のマイクロ流路2からほぼ第2のマイクロ流路3の延びる方向に延びている。
【0025】
第2のマイクロ流路3は、第1のマイクロ流路2よりも小さな流路面積を有する。詳細には、第2のマイクロ流路3は、第1のマイクロ流路2から供給された液体が第2のマイクロ流路3においてラプラス圧によって停止する程度の流路面積に形成されている。具体的には、第2のマイクロ流路3の流路面積は、第1のマイクロ流路2の流路面積の1/2以下であることが好ましい。第2のマイクロ流路3の流路面積は、第1のマイクロ流路2の流路面積の1/10以上であることが好ましい。さらに具体的には、第1のマイクロ流路2は、横断面矩形状である場合、高さ及び幅が100μmオーダーであってもよい。一方、第2のマイクロ流路3は、断面矩形状である場合、高さ及び幅が1〜50μm程度であってもよく、特には5〜25μm程度であることが好ましい。第1のマイクロ流路2の高さは、第2のマイクロ流路3の高さの1〜10倍程度であってもよく、1〜5倍程度であることが好ましい。
【0026】
第1のマイクロ流路2は、後述する第4のマイクロ流路5から供給された液体を秤量する部分である。第1のマイクロ流路2の容量は、秤取しようとする液体の体積に応じて適宜設定される。例えば、ピコリットル〜マイクロリットルコーダーの微小体積の液体を秤取しようとする場合は、第1のマイクロ流路2の容量はピコリットル〜マイクロリットルオーダーに設定される。具体的には、その場合には、第1のマイクロ流路2の容量は、1ピコリットル以上999マイクロリットル以下であることが好ましく、3ピコリットル以上100マイクロリットル以下であることがより好ましく、5ピコリットル以上50マイクロリットル以下であることが特に好ましい。
【0027】
第1のマイクロ流路2の他方の端部には、第4のマイクロ流路5が接続されている。第4のマイクロ流路5は、第1のマイクロ流路2の延びる方向に対してほぼ垂直に延びている。第4のマイクロ流路5は、第1のマイクロ流路2に対して秤取対象となる液体を供給するための流路である。第4のマイクロ流路5には、秤取対象となる液体が溜められた液溜及びポンプ(共に図示せず)が接続されている。これにより、第4のマイクロ流路5に対して秤取しようとする液体や空気が供給される。なお、第4のマイクロ流路5の流路面積は、秤取しようとする液体や気体が通過可能である限りにおいて、特に限定されない。
【0028】
一方、第2のマイクロ流路3の先端部には、第3のマイクロ流路4が接続されている。第3のマイクロ流路4は、第2のマイクロ流路3と交差している。具体的には、第3のマイクロ流路4は、第2のマイクロ流路3の延びる方向に対して略垂直に延びている。この第3のマイクロ流路4は、秤取された液体を検出部などに移送するための流路である。第3のマイクロ流路4の流路面積は、秤取された液体が移送可能な限りにおいて特に限定されない。
【0029】
なお、第1〜第4のマイクロ流路1〜5は、撥水性の流路壁を有するものであってもよいし、親水性の流路壁を有するものであってもよい。第1〜第4のマイクロ流路1〜5の流路壁に撥水性または親水性を付与する方法は特に限定されないが、例えば撥水処理または親水処理を施すことで流路壁に撥水性または親水性を付与してもよい。また、撥水性または親水性を有する材料により流路壁を形成してもよい。
【0030】
次に、図2〜図4を参照しつつ、マイクロ流体秤量デバイス1の詳細構造について説明する。図2に示すように、マイクロ流体秤量デバイス1は、第1の基板10と、第2の基板20と、第3の基板30とを備えている。各基板10,20,30の材質は特に限定されない。各基板10,20,30は、樹脂基板、ガラス基板、セラミックス基板、金属基板などであってもよい。樹脂基板の具体例としては、アクリル基板、ポリカーボネート基板、ポリエチレン基板、ポリスチレン基板、塩化ビニル基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)などが挙げられる。
【0031】
図4に示すように、第1の基板10は、対向する第1の主面10a及び第2の主面10bを備えている。図5に示すように、第1の基板10の第1の主面10a側には、線条溝13及び14が形成されている。線条溝13と線条溝14とは、垂直に配置されている。線条溝13の一方の端部には、線条溝14の途中部が接続されている。第1のマイクロ流路2は、線条溝13により構成されている。一方、第4のマイクロ流路5は、線条溝14により構成されている。
【0032】
具体的には、図2、図4及び図5に示すように、第1の基板10は、貼り合わされた第4の基板11及び第5の基板12を備えている。第4の基板11は、第1の主面10a側に位置している。第5の基板12は、第2の主面10b側に位置している。第4の基板11と第5の基板12とは貼り合わされている。
【0033】
第4の基板11と第5の基板12との貼り合わせ方法は特に限定されない。例えば、接着剤、粘着剤、エネルギー硬化樹脂などを用いて第4の基板11と第5の基板12とを貼り合わせてもよいし、第4の基板11と第5の基板12とを熱融着または圧着させてもよい。さらには、第4の基板11と第5の基板12とを相互に近接する方向に押圧することで第4の基板11と第5の基板12とを貼り合わせてもよい。なお、エネルギー硬化樹脂の例としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などが挙げられる。
【0034】
図2に示すように、第4の基板11には、線条の貫通孔11a及び11bが形成されている。これら線条の貫通孔11a及び11bの一方の開口が第5の基板12により閉塞されることにより、線条溝13及び14が形成されている。
【0035】
第2の基板20には、複数の線条貫通孔21が形成されている。複数の線条貫通孔21は、直線状に等間隔に配列されている。複数の線条貫通孔21は、相互に略並行である。図3に示すように、線条貫通孔21の幅W2は、第1のマイクロ流路2の幅W1よりも狭い。具体的には、後述のように、複数の線条貫通孔21のひとつまたはいくつかが第2のマイクロ流路3を構成することとなるため、線条貫通孔21の幅W2は、好ましくは第1のマイクロ流路2の幅W1の1/2以下に形成されている。また、隣接する線条貫通孔21の間隔W3は、第1のマイクロ流路2の幅W1よりも狭いことが好ましい。
【0036】
線条貫通孔21の数は特に限定されない。線条貫通孔21は、2つでもよく、3つ以上でもよい。線条貫通孔21は、両端に位置する線条貫通孔21相互間の距離が第1のマイクロ流路2の幅W1よりも広くなるような数以上形成されていることが好ましい。また、線条貫通孔21は、連続して形成されてなくてもよい。例えば、周期的に設けられていてもよい。具体的には、図19、図20に示すように、2〜10本の線条貫通孔21が周期的に設けられていてもよい。
【0037】
なお、図3は、第1のマイクロ流路2と1つの線条貫通孔21とが接続される場合を表している。しかしながら、図17〜図20に示すように、第1のマイクロ流路2には、複数の線条貫通孔21が接続されていてもよい。また、図18及び図20に示すように、平面視において、その一部においてのみ第1のマイクロ流路2と接続された線条貫通孔21が存在してもよい。図17に示す場合は、第1のマイクロ流路2に接続される線条貫通孔21の本数をn本とすると、W1≧nW2+(n−1)W3となることが好ましい。ただし、nは1以上の整数である。図18に示す場合は、W1≧(n−2)W2+(n−1)W3となることが好ましい。ただし、nが3以上の整数である。n=2である場合は、第1のマイクロ流路2の幅W1は、W1=W3となる。
【0038】
図4に示すように、第3の基板30は、対向する第1の主面30a及び第2の主面30bを有する。図2及び図6にも示すように、第3の基板30の第1の主面30a側には、線条溝33が形成されている。第4のマイクロ流路5は、この線条溝33により構成されている。
【0039】
具体的には、図2、図4及び図6に示すように、第3の基板30は、貼り合わされた第6の基板31及び第7の基板32を備えている。第6の基板31は、第1の主面30a側に位置している。第7の基板32は、第2の主面30b側に位置している。図2に示すように、第6の基板31には線条貫通孔31aが形成されている。この線条貫通孔31aの一方の開口が第7の基板32により閉塞されることによって図6などに示す線条溝33が形成されている。
【0040】
なお、第6の基板31と第7の基板32との貼り合わせ方法は、上記第4の基板11と第5の基板12との貼り合わせ方法と同様に、特に限定されない。
【0041】
主として図2及び図3に示すように、第1の基板10の第1の主面10aと第2の基板20の第1の主面20aとは、線条溝13と複数の貫通孔21の配列方向Xとが交差するように貼り合わされている。具体的には、線条溝13と複数の貫通孔21の配列方向Xとが略垂直となるように第1の基板10と第2の基板20とが貼り合わされている。第1の基板10と第2の基板20とが張り合わされることにより、第1のマイクロ流路2を構成する線条溝13と、複数の貫通孔21のうちのひとつまたはいくつかとが接続されている。具体的には、図3に示す場合では、線条溝13と、複数の貫通孔21のうちのひとつの貫通孔21aとが接続されている。この線条溝13と接続された貫通孔21aが第2のマイクロ流路3を構成している。
【0042】
一方、第2の基板20の第2の主面20bと第3の基板30の第1の主面30aとは、第3のマイクロ流路4を構成する線条溝33の延びる方向と複数の貫通孔21の配列方向Xとが略並行となるように貼り合わされている。
【0043】
第2の基板20と第3の基板30とが張り合わされることにより、第2のマイクロ流路3を構成する貫通孔21aと、第3のマイクロ流路4を構成する線条溝33とが接続される。これにより、第1のマイクロ流路2と第3のマイクロ流路4とが第2のマイクロ流路3を介して接続された構造が形成される。
【0044】
なお、第1の基板10と第2の基板20との貼り合わせ方法、第2の基板20と第3の基板30との貼り合わせ方法は特に限定されない。例えば、接着剤、粘着剤、エネルギー硬化樹脂などを用いて基板同士を貼り合わせてもよいし、基板同士を熱融着または圧着させてもよい。さらには、相互に近接する方向に押圧することで基板同士を貼り合わせてもよい。なお、エネルギー硬化樹脂の例としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などが挙げられる。
【0045】
−マイクロ流体秤量デバイス1の使用方法−
次に、図7〜図9を参照しつつ、マイクロ流体秤量デバイス1を使用した液体の秤量方法について説明する。
【0046】
まず、図7に示すように、図7における左側から第4のマイクロ流路5に秤量対象となる液体Lが導入される。第4のマイクロ流路5に導入された液体Lは、第1のマイクロ流路2にも引き込まれる。第1のマイクロ流路2に引き込まれた液体Lは、第2のマイクロ流路3の入口境界面又は出口境界面付近で停止する。これは、第2のマイクロ流路3における気液界面の表面張力に起因するラプラス圧が流体の背圧と釣合うためである。
【0047】
第2のマイクロ流路3において液体Lが停止していられる背圧の上限値は、ラプラスの法則に従い、気液界面の表面張力と第2のマイクロ流路3にできる気液界面の曲率半径で決まる。ラプラスの法則は、背圧(P)により膨張可能な気液界面が、2つの主な曲率半径(R1、R2)によって分けられた気液界面内の張力(σ)に起因するラプラス圧と平衡下で等しいことを大まかに述べており、これはP=σ(1/R1+1/R2)で表せる。第2のマイクロ流路3が矩形断面をもつとき、その矩形の一辺の長さをa、他辺の長さをb、と表すと、0.5<a/b<2のとき、R1=a/2、R2=b/2と近似でき、P=2σ(1/a+1/b)となる。a/b<0.1のとき、P=4σ/aと近似され、a/b>10のとき、P=4σ/bと近似される。ここで、σは、温度依存の物性値で、例えば純水であれば、5℃〜35℃の範囲で、70〜75dyn/cm程度である。なお、第2のマイクロ流路3の断面形状が矩形ではない場合においても、横断面積をS、横断面の周辺長をLとすれば、ラプラス圧は、おおまかにP=σL/Sと近似される。
【0048】
したがって、「第2のマイクロ流路3が、第1のマイクロ流路2よりも小さい流路面積を有する」とは、具体的には、第2のマイクロ流路3の横断面積に対する該横断面の辺周の比率が、第1のマイクロ流路2の横断面積に対する該横断面の辺周の比率よりも2倍以上10倍以下であることをいう。
【0049】
第2のマイクロ流路3の入口境界面で停止するか、出口境界面付近で停止するかは、第2のマイクロ流路3を形成する流路壁の濡れ性、すなわち流路壁が濡れやすい性質を有するか、濡れにくい性質を有するかによってきまる。
【0050】
尚、本明細書において、「濡れにくい性質」と、「相対的に毛管引力が働きにくい性質」とは、実質的に同義である。例えば、第2のマイクロ流路3が第1のマイクロ流路2よりも濡れにくいとは、液体Lが第1のマイクロ流路2に引き込まれたときに、そのままの圧力では第2のマイクロ流路3を流れる事ができないことをいう。濡れにくい性質の大小は、接触角の大小で規定できる。例えば、「流路が液体Lに対して濡れにくい性質を有する」とは、液体Lと流路壁との接触角が90度以上であることをいう。
【0051】
図7に示すように、第4のマイクロ流路5と第1のマイクロ流路2とに液体Lが引き込まれた後に、図8に示すように、第4のマイクロ流路5に残存する液体Lが第4のマイクロ流路5の第1のマイクロ流路2が接続された部分よりも下流側に送られる。この液体Lの移送は、例えば、第4のマイクロ流路5の両端部に適当な圧力差を形成するなどによって行われる。また、第4のマイクロ流路5に残存する液体Lを第4のマイクロ流路5から取り除いてもよい。これにより、第1のマイクロ流路2内の液体Lが孤立する。
【0052】
この際、第1のマイクロ流路2内の液体Lは、通常、第4のマイクロ流路5内に実質的に戻らない。よって、例えば、第1のマイクロ流路2の液体Lが第2のマイクロ流路3の入口境界面付近でせき止められている場合は、第1のマイクロ流路2の容積に応じた体積の液体Lが秤取される。
【0053】
一方、第1のマイクロ流路2の液体Lが第2のマイクロ流路3の出口境界面付近でせき止められている場合は、第1のマイクロ流路2の容積と第2のマイクロ流路3の容積との和に応じた体積の液体Lが秤取される。通常、第2のマイクロ流路3の容積は第1のマイクロ流路2の容積よりも非常に小さい。このため、実質的には、第1のマイクロ流路2の容積に応じた体積の液体Lが秤取される。
【0054】
図9に示すように、このようにして第1のマイクロ流路2、若しくは第1のマイクロ流路2と第2のマイクロ流路3とにおいて秤量された液体Lは、第4のマイクロ流路5の圧力が第3のマイクロ流路4の圧力と第4の流路の気液界面におけるラプラス圧の和よりも相対的に高くなるように調節することで、第2のマイクロ流路3を経由して第3のマイクロ流路4内に移送され、秤取される。秤取された液体Lは、第3のマイクロ流路4を経由して、例えば反応場や分析場などの他の場所へ移送可能である。
【0055】
−マイクロ流体秤量デバイス1の製造方法−
次に、主として図2を参照しつつ、マイクロ流体秤量デバイス1の製造方法について説明する。
【0056】
まず、第1の基板10と第2の基板20と第3の基板30を用意する。具体的には、ガラス基板や樹脂基板などに貫通孔11a及び11bを形成することで、第4の基板11を作成する。貫通孔11a及び11bの形成方法は特に限定されないが、貫通孔11a及び11bは、例えばドライレジストなどのレジストを用いたリソグラフィー、打ち抜き加工、レーザー加工などにより形成することができる。リソグラフィーの具体例としては、フォトリソグラフィーやインプリントリソグラフィーなどが挙げられる。そして、作成された第4の基板11と第5の基板12とを貼り合わせることによって、線条溝13及び14が形成された第1の基板10を得ることができる。
【0057】
また、ガラス基板や樹脂基板などに複数の貫通孔21を形成することで、第2の基板20を作成する。複数の貫通孔21の形成方法も特に限定されず、具体例としては、例えばドライレジストなどのレジストを用いたリソグラフィー、打ち抜き加工、レーザー加工などが挙げられる。
【0058】
第3の基板30も第1の基板10と実質的に同様の手順により作製することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、第1の基板10及び第3の基板30のそれぞれを2枚の基板により構成しているが、第1の基板10及び第3の基板30のそれぞれは、一枚の基板により形成されていてもよい。その場合、第1の基板10及び第3の基板30のそれぞれは、図5に示す線条溝13及び14、若しくは図6に示す線条溝33を形成することにより作製される。
【0060】
次に、第1の基板10と第2の基板20と第3の基板30とを貼り合わせることで、マイクロ流体秤量デバイス1を完成させる。第1の基板10と第2の基板20と第3の基板30との貼り合わせ順番は特に限定されず、例えば、第1の基板10と第2の基板20と第3の基板30とを一度に貼り合わせてもよい。また、第1の基板10と第2の基板20とを貼り合わせた後に、第3の基板30を貼り合わせてもよい。
【0061】
第1の基板10と第2の基板20とは、線条溝13と複数の貫通孔21の配列方向Xとが交差するように貼り合わされる。これにより、第1のマイクロ流路2を構成する線条溝13と、複数の貫通孔21のうちのひとつまたはいくつかとが接続される。具体的には、図3に示す場合では、線条溝13と、複数の貫通孔21のうちのひとつの貫通孔21aとが接続される。
【0062】
また、第2の基板20と第3の基板30とは、第3のマイクロ流路4を構成する線条溝33の延びる方向と複数の貫通孔21の配列方向Xとが略並行となるように貼り合わされる。これにより、第2のマイクロ流路3を構成する貫通孔21aと、第3のマイクロ流路4を構成する線条溝33とが接続される。
【0063】
(作用及び効果)
以上説明したように、本実施形態では、貫通孔21が複数形成された第2の基板20と、第1のマイクロ流路2が形成された第1の基板10とが、複数の貫通孔21の配列方向Xと第1のマイクロ流路2の延びる方向Yとが交差するように貼り合わされている。このため、図3に示す配列方向Xに関して、第1の基板10と第2の基板20との位置が多少ずれても第1のマイクロ流路2と複数の貫通孔21のうちのひとつまたはいくつかとを確実に接続させることができる。このため、第1の基板10と第2の基板20とを貼り合わせる際に要求される位置決め精度が低い。従って、第1の基板10と第2の基板20との貼り合わせが容易であり、本実施形態のマイクロ流体秤量デバイス1は容易に製造可能である。
【0064】
なお、第1の基板10と第2の基板20との貼り合わせ位置がずれた場合、図10に示すように、第1のマイクロ流路2と複数の貫通孔21とが接続されることも考えられる。しかしながら、この場合であっても、第1のマイクロ流路2の流路面積の大きさと第2のマイクロ流路3の流路面積の大きさとの比が所定の範囲であれば、パッシブバルブとしての機能が損なわれないため、特に支障は生じない。
【0065】
図3に示す隣接する線条貫通孔21の間隔W3は、第1のマイクロ流路2の幅W1よりも狭いことが好ましい。この構成によれば、第1のマイクロ流路2と複数の貫通孔21のうちのひとつまたはいくつかとのより確実な接続が可能となる。
【0066】
また、本実施形態のように、第1のマイクロ流路2の延びる方向と複数の貫通孔21の配列方向とが直行していることが好ましい。この構成によれば、第1のマイクロ流路2と複数の貫通孔21のうちのひとつまたはいくつかとのさらに確実な接続が可能となる。
【0067】
第3のマイクロ流路4は、複数の貫通孔21の配列方向Xと平行な方向に延びている。このため、第2の基板20と第3の基板30とを貼り合わせる際に要求される配列方向Xに関する位置決め精度が低い。従って、第2の基板20と第3の基板30との貼り合わせが容易となり、マイクロ流体秤量デバイスの製造がより容易となる。
【0068】
本実施形態では、第1の基板10が第4の基板11と第5の基板12とにより構成されている。そして、線条溝13及び14は、貫通孔11a及び11bの一方の開口が第5の基板12によって閉塞されることにより形成されている。例えば、一枚の基板に線条溝13及び14を直接加工することは困難であるが、このように、貫通孔11a及び11bを形成した後に第5の基板12により閉塞するのであれば比較的容易に線条溝13及び14を形成することができる。よって、第1の基板10の作製が容易となる。
【0069】
同様に、第3の基板30についても、第6の基板31に形成された貫通孔31aの開口の一方を第7の基板32により閉塞することで線条溝33を形成するようにすることで、第3の基板30の作製が容易となる。
【0070】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、マイクロ流体秤量ユニット6が1つだけ設けられたマイクロ流体デバイスの例について説明したが、マイクロ流体秤量ユニット6は複数設けられていてもよい。本実施形態では、マイクロ流体秤量ユニット6が複数設けられたマイクロ流体デバイスとして、図11に示すマイクロ流体混合デバイス1aについて説明する。
【0071】
なお、以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を第1の実施形態と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0072】
図11に示すように、第2の実施形態に係るマイクロ流体混合デバイス1aには、第3のマイクロ流路4に接続された2つのマイクロ流体秤量ユニット6a及び6bが設けられている。このため、マイクロ流体秤量ユニット6aで秤量された液体と、マイクロ流体秤量ユニット6bで秤量された液体とを第3のマイクロ流路4により混合することができる。
【0073】
本実施形態に係るマイクロ流体混合デバイス1aの場合、図12に示すように、第1の基板に2組の線条溝13及び14を形成すると共に、マイクロ流体秤量ユニット6a用の複数の線条貫通孔21aと、マイクロ流体秤量ユニット6b用の複数の線条貫通孔21bとを第2の基板20に形成するようにすればよい。
【0074】
本実施形態の場合であっても、マイクロ流体秤量ユニット6a用の第1のマイクロ流路2と、複数の線条貫通孔21aのひとつまたはいくつかとを確実に接続させることができる。同様に、マイクロ流体秤量ユニット6b用の第1のマイクロ流路2と、複数の線条貫通孔21bのひとつまたはいくつかとを確実に接続させることができる。従って、本実施形態に係るマイクロ流体混合デバイス1aは、容易に製造することができる。
【0075】
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、パッシブバルブとして第1のマイクロ流路2と第2のマイクロ流路3とが使用される例について説明したが、本発明において、第1のマイクロ流路2と第2のマイクロ流路3とはストップバルブとして用いられてもよい。本実施形態では、図13に示すストップバルブ40を有するマイクロ流体デバイス1bについて説明する。
【0076】
図13に示すように、ストップバルブ40は、第1のマイクロ流路2と第2のマイクロ流路3とを備えている。第2のマイクロ流路3は、第1のマイクロ流路2の先端部に接続されている。第1のマイクロ流路2には、図13において左側から右側へと流れる液体が供給される。第2のマイクロ流路3の先端は、開放されている。具体的には、第2のマイクロ流路3の先端は、大気と接続されている。第2のマイクロ流路3は、例えば図13における右方向に延ばされることにより大気と接続されていてもよい。また、第2のマイクロ流路3は、第1の基板10や第2の基板20に形成された貫通孔により大気と接続されていてもよい。
【0077】
本実施形態では、第2のマイクロ流路3の流路面積は、気体を通過させるものの、第1のマイクロ流路2を流れる液体は、原則として通過させないような大きさに設定されている。このため、第1のマイクロ流路2を流れる液体は、第1のマイクロ流路2においてせき止められる。
【0078】
図15に示すように、マイクロ流体デバイス1bは、第1の基板10と第2の基板20と第3の基板30を備えている。ここで、第2の基板20は、貫通孔31aの幅を除いて、上記第1の実施形態における第2の基板20と実質的に等しいものである。
【0079】
第1の基板10は、第4の基板11cと第5の基板12とを備えている。第5の基板12は、上記第1の実施形態の第5の基板12と実質的に等しいものである。本実施形態では、第4の基板11cには、線条の貫通孔11dが形成されている。この貫通孔11dの一方の開口が第2の基板30の末端の開放部とつながり大気解放されることによって、図14に示すように第1のマイクロ流路2が形成されている。
【0080】
本実施形態においても、図14に示すように、第1のマイクロ流路2の延びる方向と、複数の線条貫通孔21の配列方向とが交差するように、第1の基板10と第2の基板20とが貼り合わされている。このため、第1の基板10と第2の基板20とを貼り合わせる際に要求される位置決め精度が低い。従って、本実施形態に係るマイクロ流体デバイス1bも容易に製造することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、第2の基板20に複数の貫通孔21を形成する例について説明したが、複数の貫通孔21に替えて複数の溝を形成してもよい。
【0082】
(変形例)
上記第1の実施形態において説明したマイクロ流体秤量デバイス1は、使用方法によっては、図16に示すようにアクティブバルブとしても使用することができる。
【0083】
マイクロ流体秤量デバイス1をアクティブバルブとして使用する場合は、第3のマイクロ流路4を液体の流路とし、第4のマイクロ流路5を気体導入経路として使用する。第4のマイクロ流路5から気体を第3のマイクロ流路4に供給することで、図16に示すように、第3のマイクロ流路4に気泡が形成される。これにより、第3のマイクロ流路4を流れる液体がせき止められ、バルブとしての機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施形態に係るマイクロ流体秤量デバイスの要部の構成を表す概念図である。
【図2】第1の実施形態に係るマイクロ流体秤量デバイスの要部を表す分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態における各流路の位置関係を説明するための略図的平面図である。
【図4】図3に示す切り出し線VI−VIで切り出された部分の断面図である。
【図5】第1の基板の斜視図である。
【図6】第3の基板の斜視図である。
【図7】マイクロ流体秤量デバイスの動作を説明するための概念図である。
【図8】マイクロ流体秤量デバイスの動作を説明するための概念図である。
【図9】マイクロ流体秤量デバイスの動作を説明するための概念図である。
【図10】第1の基板10と第2の基板20との貼り合わせ位置がずれた場合を説明するための略図的平面図である。
【図11】第2の実施形態に係るマイクロ流体混合デバイスの要部の構成を表す概念図である。
【図12】第2の実施形態における各流路の位置関係を説明するための略図的平面図である。
【図13】第3の実施形態に係るマイクロ流体デバイスのストップバルブ部分の構成を表す概念図である。
【図14】第3の実施形態における各流路の位置関係を説明するための略図的平面図である。
【図15】第3の実施形態に係るマイクロ流体秤量デバイスの要部を表す分解斜視図である。
【図16】第1の実施形態において説明したマイクロ流体デバイスをアクティブバルブとして用いる場合を説明するための概念図である。
【図17】第1のマイクロ流路と線条貫通孔との接続状態のバリエーションを表す図である。
【図18】第1のマイクロ流路と線条貫通孔との接続状態のバリエーションを表す図である。
【図19】第1のマイクロ流路と線条貫通孔との接続状態のバリエーションを表す図である。
【図20】第1のマイクロ流路と線条貫通孔との接続状態のバリエーションを表す図である。
【符号の説明】
【0085】
1…マイクロ流体デバイス(マイクロ流体秤量デバイス)
2…第1のマイクロ流路
3…第2のマイクロ流路
4…第3のマイクロ流路
5…第4のマイクロ流路
6…マイクロ流体秤量ユニット
7…パッシブバルブ
10…第1の基板
10a…第1の主面
10b…第2の主面
11…第4の基板
11a…貫通孔
12…第5の基板
13…線条溝
14…線条溝
20…第2の基板
20a…第1の主面
20b…第2の主面
21…線条貫通孔
30…第3の基板
30a…第1の主面
30b…第2の主面
31…第6の基板
31a…線条貫通孔
32…第7の基板
33…線条溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のマイクロ流路と、前記第1のマイクロ流路の一端部に接続され、前記第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路とを有するマイクロ流体デバイスであって、
対向する一対の主面を有し、一方の主面側に前記第1のマイクロ流路を構成する線条溝が形成された第1の基板と、
対向する一対の主面を有し、少なくとも一方の主面側に開口し、板面方向に直線状に配列された前記線条溝よりも幅狭の複数の溝または貫通孔が形成された第2の基板と、
を備え、
前記線条溝の延びる方向と前記複数の溝または貫通孔の配列方向とが交差すると共に、前記複数の溝または貫通孔のうちのひとつまたはいくつかと前記線条溝とが接続されて前記線条溝と接続された前記溝または貫通孔により前記第2のマイクロ流路が構成されるように、前記第1の基板の一方の主面と前記第2の基板の一方の主面とが貼り合わされていることを特徴とする、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記第2のマイクロ流路を介して前記第1のマイクロ流路と接続され、前記第2のマイクロ流路よりも大きな流路面積を有する第3のマイクロ流路をさらに有し、
前記第2の基板には、前記複数の貫通孔が形成されており、
対向する一対の主面を有し、一方の主面側に前記第3のマイクロ流路を構成する線条溝が形成された第3の基板をさらに備え、
前記第3の基板に形成された線条溝と前記複数の貫通孔の配列方向とが略並行となると共に、前記第3の基板に形成された線条溝と少なくとも前記第1の基板に形成された線条溝と接続された1または複数の貫通孔とが接続されるように、前記第2の基板の他方の主面と前記第3の基板の一方の主面とが貼り合わされている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
途中部において前記第1のマイクロ流路の他端部に接続され、前記第1のマイクロ流路と交差する第4のマイクロ流路をさらに有する、請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記第1のマイクロ流路と、前記第2のマイクロ流路と、前記第4のマイクロ流路とを含むマイクロ流体秤量ユニットを複数備えた、請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記第1の基板は、線条の貫通孔が形成された第4の基板と、前記第4の基板に積層され、前記線条の貫通孔の一方側を閉塞することで、前記線条溝を形成する第5の基板とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記第1の基板の一方の主面と前記第2の基板の一方の主面とは、前記線条溝の延びる方向と前記複数の溝または貫通孔の配列方向とが略垂直となるように貼り付けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
第1のマイクロ流路と、前記第1のマイクロ流路の一端部に接続され、前記第1のマイクロ流路よりも小さな流路面積を有する第2のマイクロ流路とを有するマイクロ流体デバイスの製造方法であって、
対向する一対の主面を有し、一方の主面側に前記第1のマイクロ流路を構成する線条溝が形成された第1の基板を用意する工程と、
対向する一対の主面を有し、少なくとも一方の主面側に開口し、板面方向に直線状に配列された前記線条溝よりも幅狭の複数の溝または貫通孔が形成された第2の基板を用意する工程と、
前記線条溝の延びる方向と前記複数の溝または貫通孔の配列方向とが交差すると共に、前記複数の溝または貫通孔のうちのひとつまたはいくつかと前記線条溝とが接続されて前記線条溝と接続された前記溝または貫通孔により前記第2のマイクロ流路が構成されるように、前記第1の基板の一方の主面と前記第2の基板の一方の主面とを貼り合わせる工程と、
を備えていることを特徴とする、マイクロ流体デバイスの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−128049(P2009−128049A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300488(P2007−300488)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】