説明

マイクロ電子部品とキャリア基板との間に接点構造を形成する方法、および、この方法によって形成されるアセンブリユニット

【課題】
【解決手段】 本発明は、マイクロ電子部品(11)と支持基板(12)との間で接点構造(10)を形成する方法、および、当該方法によって形成される部品ユニット(24)に関する。本発明によれば、部品とレーザエネルギとの後方衝突により接続領域で熱エネルギが生み出され、部品および支持基板の対向する接続面(17,18)間に機械的な接続接点(23)が形成され、ハンダ材料を少なくとも部分的に溶解させることにより支持基板および部品の接続面(13,15)間に少なくとも1つの導電接続接点(22)が形成され、当該接続面が互いに対して角度を成して配置される。前記方法によって形成される部品は少なくとも1つの接点構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電子部品とキャリア基板との間の接点構造を形成する方法およびこの方法によって形成されるアセンブリユニットであって、部品の背面をレーザエネルギに晒すことにより、接続領域で必要とされる熱エネルギが得られ、部品およびキャリア基板の対向する接続面間に機械的な接続接点が形成され、ハンダ材料を少なくとも部分的に溶解させることによりキャリア基板および部品の端子面間に少なくとも1つの導電接続接点が形成される方法およびアセンブリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
前述したタイプの方法は、マイクロ電子部品、センサ、アクチュエータまたはMEMS部品を接触させるるために使用されることが好ましい。一般に“ダイボンディング”として知られるこれらの方法を用いると、部品は、キャリア基板上に機械的に固定されるとともに、ワイヤまたはハンダ接続を介してキャリア基板のプリントされた導電経路に対して接続される。そのような接続を1つの作業で形成するため、これまでは、キャリア基板の対向する端子面に対して、部品の底面を、端子面同士の間にギャップが形成されるように位置決めし、それにより、ハンダ材料を溶解させることで電気的な接続を形成できることが必要であった。部品はキャリア基板と直接に接触しないが、接触面のみを介してキャリア基板と接触するため、部品とキャリア基板との間に形成されるキャビティを満たして部品とキャリア基板との間に密接な機械的接続を形成するために、接続材料、例えば接着材料を設ける必要がある。キャリア基板上における部品の構造的な高さは、これらの間にある端子面に起因して比較的大きいので、これに応じて、キャビティにわたって機械的接続を形成するために多量の接着剤を用いなければならない。部品を接触させた後は、ハンダ接続の視覚的な品質管理は不可能である。これは、ハンダ接続が端子面の接触ギャップ内に形成されており部品及び/又は接着材料によって覆われているからである。
【0003】
DE 199 01 623 A1は、前述したような接点接続を形成する方法およびデバイスを開示している。この方法において、部品は、接触デバイスに収容され、その後、必要な加工温度を得るために背面がレーザエネルギに晒され、キャリア基板に接触させられる。部品は、吸引によって、接触デバイスに収容されて保持される。加工温度を得るために必要とされるレーザエネルギは、ガラスファイバによって部品内へ導入される。このようにして、キャリア基板および部品の対向する端子面をハンダ材料の溶融によって接触させることができるとともに、機械的な接続接点を形成するために比較的多量の接着材料を移動させることができ、部品を全体的に硬化させることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の目的は、迅速かつ容易で、安価な製造を可能にする、接点構造を形成する方法であって、それにより、部品の構造的高さはキャリア基板に比べて小さく、導電接続接点が視認できるものとなる、接点構造を形成する方法およびこの方法によって形成されるアセンブリユニットを提供することにある。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法および請求項12の特徴を有するアセンブリユニットによって達成される。
【0006】
マイクロ電子部品とキャリア基板との間の接点構造を形成するための本発明の方法を用いると、部品の背面をレーザエネルギに晒すことにより、接続領域で必要とされる熱エネルギが得られる。これにより、部品の非常に容易な加熱が可能となり、また、加熱時間が短いことによって、部品およびキャリア基板に許容できない温度負荷がかかることを回避できる。また、部品およびキャリア基板の対向する接続面間に機械的な接続接点が形成され、ハンダ材料を少なくとも部分的に溶解させることによりキャリア基板および部品の端子面間に少なくとも1つの導電接続接点が形成され、これにより、端子面が互いに対して角度を成して配置される。端子面間に形成される角度は、好ましくは90°であるが、45°,80°,100°,135°であってもよいし、または、そのような接続に適する0°よりも大きく180°よりも小さい他の角度を成してもよい。端子面が互いに完全に対向するように配置されていないため、キャリア基板上の部品の高さが小さくなり、導電接続接点を視認できるので視覚的な品質管理が可能になる。また、部品を吸引によって受け、部品の背面をレーザエネルギに晒す既知の接触デバイスを用いると、接続接点を特に容易に形成することができる。
【0007】
ある実施形態では、接点構造を形成する前に、ハンダ材料から成る成形品が端子面上に配置されてもよい。この場合には、接続作業中に供給デバイスによりハンダ材料を供給する必要がない。少なくとも部分的に溶解したハンダ材料成形品は、同様の材料特性によって特に良好に接続することができるとともに、接続後に一緒に融合されてハンダ材料から成る更に大きい成形品を形成することができる。ハンダ材料は、表面張力によって球形状を形成することができ、その後、凝固する。
【0008】
他の実施形態では、接点構造が形成される前に、ハンダ材料から成る成形品がキャリア基板の端子面上に配置されてもよい。例えば、接触作業に先行するプロセスステップにおいて、キャリア基板の全ての端子面に、ハンダ材料から成る成形品が設けられてもよく、それにより、接触作業が全体として簡略化され得る。
【0009】
他の有利な実施形態では、接点構造を形成する前に、ハンダ材料から成る成形品が部品の端子面上に配置されてもよい。このようにすると、接続作業を実行する前に、ハンダ材料から成る成形品と部品の端子面との間に良質な接触を形成することができる。
【0010】
ハンダ材料から成る成形品が機械的に変形されれば特に有利であることが分かった。この場合、部品およびキャリア基板の接続面が相互接触する前にキャリア基板の端子面をハンダで湿らせることができる。部品の機械的変形に起因してハンダ材料から成る成形品がその接続面を超えて突出する場合には、電気的な接続接点の確実な形成を可能にすることは、特に容易である。
【0011】
機械的な接続接点および導電接続接点が1つのステップで形成される場合には、熱エネルギを用いる部品およびキャリア基板の処理は1つだけで済む。したがって、この方法は特に迅速に行なうことができる。
【0012】
方法の他の実施形態では、部品の端子面がハンダ材料から成る成形品と接触するように部品とキャリア基板との間で接続面の好ましくは平行な相対移動が行なわれてもよく、また、第2のステップで接続面が接触する。すると、キャリア基板上に部品を最終的に位置決めして固定する前に、最初に導電接続接点が形成され、その後、第2のステップにおいて、機械的な接続接点が形成されることができる。平行な相対移動が振動の態様で行なわれてもよく、それにより、部品の端子面を特に良好に湿らせることができる。
【0013】
部品とキャリア基板とが互いに対して角度を成して配置され、それにより、その頂点において端子面がハンダ材料から成る成形品と接触し、及び/又は複数のハンダ材料から成る成形品が端子面のそれぞれにおいて接触し、その後、第2のステップで、頂点を中心に部品を回動させることにより接続面が接触すれば特に有利であることが分かった。ハンダ材料から成る成形品のハンダで端子面を湿らせることにより、及び/又は、ハンダ材料から成る2つの融合された成形品の接続により、接続面が接触するより前に、導電接続接点を最初に確実に形成することができ、その後接続面が接触する。
【0014】
部品またはキャリア基板に対して塗布される接続材料により機械的な接続接点が形成される場合には、比較的しっかりとした機械的接続を形成することができる。接続接点を形成するためには少量の接続材料の使用で十分である。これは、中空空間を接続材料でブリッジする必要がないからである。
【0015】
ある実施形態では、接続材料として接着材料を用いてもよい。接着材料は、キャリア基板に対して或いは部品の接続面に対して容易に塗布することができる。接着材料は、熱可塑性高分子であってもよいし、または、温度によって若しくは温度とUV放射との組み合わせによって硬化する接着材料であってもよい。また、接着材料は、膜として或いは分配により塗布されてもよく、あるいは、他の膜形成方法によって形成されてもよい。
【0016】
他の実施形態では、接続材料としてハンダ材料を用いてもよい。機械的な接続接点は、導電接続接点と同じタイプの接続材料で形成されてもよい。キャリア基板と部品とをハンダ材料のみを用いて接続でき、接着材料が使用されない場合には、前述の方法のステップの数を更に減少させることができる。
【0017】
本発明のアセンブリユニットは、通常、本発明の方法によって形成される接点構造を少なくとも1つ有しており、したがって、アセンブリユニットは、少なくとも1つのマイクロ電子部品とキャリア基板とを有し、部品とキャリア基板との間に1つの機械的な接続接点と少なくとも1つの導電接続接点とが形成され、互いに対して角度を成して配置される部品およびキャリア基板の端子面間に、ハンダ材料によって導電接続接点が形成される。その結果、アセンブリユニットは、1つのステップで製造するのが特に容易となり、視認できる導電接続接点を有する。
【0018】
アセンブリユニットの1つの実施形態では、部品とキャリア基板との間の機械的な接続接点は接着材料によって形成されてもよい。
【0019】
アセンブリユニットの他の有利な実施形態では、機械的な接続接点は部品とキャリア基板との間のハンダ材料によって形成されてもよい。
【0020】
アセンブリユニットの他の有利な実施形態は、方法の請求項1を参照する従属請求項の特徴の記載から得られる。
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について更に詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1、図2および図4を組み合わせて見ると、マイクロ電子部品11とキャリア基板12との間の接点構造10を形成するための一連のプロセスステップを示している。図1は、接点構造10を形成する直前におけるキャリア基板12に対する部品11の配置を示している。部品11の端子面13においては、ハンダビード14として形成されるハンダ材料から成る成形品が端子面13に対して接触する。キャリア基板12は端子面15と接着層16とを有しており、接着層は、部品11とキャリア基板12との間の機械的な接続接点を形成する役目を果たす。端子面13は端子面15に対して角度を成して配置され、それにより、部品11の接続面17がキャリア基板12の接続面18と平行に対向して配置される。
【0023】
図2に示されるように、部品11は、接触デバイス19によって取り扱うために、ここでは概略的に示されるように、矢印20により示される吸引によって、接触デバイス19上に固定される。また、部品11の背面は、ここでは簡略化された形態で矢印21により表わされるレーザエネルギに晒される。
【0024】
図2に示されるように、接続面17,18同士が接触し且つハンダビード14と端子面15とが接触した状態で、ハンダビード14が部分的に溶解して、端子面15がハンダで湿るように部品11およびキャリア基板12の加熱が行なわれ、導電接続接点22が形成される。同時に、接着層16の加熱によって、部品11とキャリア基板12との間に機械的な接続接点23が形成される。
【0025】
接点構造10における、接着層16の硬化と溶解したハンダビード14の凝固とによって形成されるアセンブリユニット24が図4に示されている。
【0026】
方法の第2の実施形態が図3に示され、ここではハンダビード14がまずキャリア基板12の端子面15と接触する。したがって、部品11は、キャリア基板12に対して角度αにわたって回動する。ハンダビード14が溶解されて端子面15が湿った後、部品11が角度αにわたって回動されてキャリア基板12と平行な位置になり、それにより、接続面17,18がそれらの間にある接着層16と接触するようになる。接着層16の硬化およびハンダビード14の凝固の後、図4に示されるアセンブリユニット24が形成される。
【0027】
図5は、方法の第3の実施形態を示し、ここでは、キャリア基板との良好な接続のためにハンダビード25がキャリア基板に接続される前に機械的に変形されて図5に示される略楕円の幾何学的形状となる。ハンダビード25は部品11の接続面17を超えて突出し、それにより、接続面17が対向する接続面と接触する前にハンダビード25が対向する端子面と接触する。ハンダビード25の溶解後、ハンダビード25は表面張力によって元の球形状に戻る。
【0028】
図6は、方法の第4の実施形態を示し、ここでは、部品11の端子面13にハンダビード14が設けられ、キャリア基板12の端子面15にハンダビード26が設けられる。また、図7も同様に、部品11をキャリア基板12に対して近づけていくと、2つのハンダビード14,26が接触し、それにより、機械的な接続接点が形成される前に、2つのハンダビード14,26が融合してハンダ接続部27が形成される。ハンダ接続部27は、電気的な接続接点として更に大きいハンダビード(ここでは図示せず)を形成することができる。
【0029】
図8は、方法の第5の実施形態を示し、ここでは、ハンダビード26がキャリア基板12の端子面15上に配置され、部品11は、ハンダビード26の端子面13との接触のために供給される。
【0030】
図9は、方法の第6の実施形態を示し、ここでは、良好な接続を提供するために、接触の際に部品11が矢印29により示されるようにハンダビード26の方向に移動させられる。部品11の移動は一方向で振動するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】接触前における部品およびキャリア基板を側面図で示している。
【図2】方法の第1の実施形態における部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。
【図3】方法の第2の実施形態における部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。
【図4】接点構造を形成した後における部品およびキャリア基板を示している。
【図5】方法の第3の実施形態における部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。
【図6】方法の第4の実施形態における部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。
【図7】方法の第5の実施形態における、第1のステップ中の部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。
【図8】方法の第5の実施形態における部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。
【図9】方法の第6の実施形態における部品およびキャリア基板を接触デバイスと共に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子部品(11)とキャリア基板(12)との間の接点構造(10)を形成する方法であって、前記部品の背面をレーザエネルギに晒すことにより、接続領域で必要とされる熱エネルギが得られ、前記部品および前記キャリア基板の対向する接続面(17,18)間に機械的な接続接点(23)が形成され、ハンダ材料を少なくとも部分的に溶解させることにより、前記キャリア基板および前記部品の端子面(13,15)間に少なくとも1つの導電接続接点(22)が形成される方法において、
前記端子面が互いに対して角度を成して配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記接点構造(10)が形成される前に、ハンダ材料から成る成形品(14,25,26)が端子面(13,15)上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接点構造(10)が形成される前に、ハンダ材料から成る成形品(26)がキャリア基板(12)の端子面(15)上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接点構造(10)が形成される前に、ハンダ材料から成る成形品(14,25)が前記部品(11)の端子面(13)上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ハンダ材料から成る前記成形品(25)が機械的に変形されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
機械的な接続接点(23)および導電接続接点(22)が1つのステップで形成されることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記部品(11)と前記キャリア基板(12)との間で相対的な移動(29)があり、それにより、前記部品の端子面(13)がハンダ材料から成る前記成形品(26)と接触し、第2のステップで接続面(17,18)が接触することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記部品(11)と前記キャリア基板(12)とが互いに対して角度(α)を成して配置され、それにより、その頂点において、端子面(15)がハンダ材料から成る成形品(14,25)と接触し、そして/または、複数のハンダ材料から成る成形品(14,25,26)が端子面(13,15)のそれぞれにおいて接触し、第2のステップで、前記頂点を中心に部品を回動させることにより接続面(17,18)が接触することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
機械的な接続接点(23)は、前記部品(11)または前記キャリア基板(12)に塗布される接続材料により形成されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
接続材料として接着材料(16)が用いられることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
接続材料としてハンダ材料が用いられることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法によって形成される少なくとも1つの接点構造(10)を有するアセンブリユニット(24)であって、
少なくとも1つのマイクロ電子部品(11)とキャリア基板(12)とを有し、前記部品と前記キャリア基板との間に1つの機械的な接続接点(23)と少なくとも1つの導電接続接点(22)とが形成され、互いに対して角度を成して配置される前記部品および前記キャリア基板の端子面(13,15)間で、ハンダ材料によって導電接続接点(22)が形成されることを特徴とするアセンブリユニット(24)。
【請求項13】
前記機械的な接続接点(23)は、前記部品(11)と前記キャリア基板(12)との間で接着材料(16)により形成されることを特徴とする、請求項12に記載のアセンブリユニット。
【請求項14】
前記機械的な接続接点(23)は、前記部品(11)と前記キャリア基板(12)との間でハンダ材料により形成されることを特徴とする、請求項12に記載のアセンブリユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−516378(P2009−516378A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540448(P2008−540448)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/DE2006/002021
【国際公開番号】WO2007/056997
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(501198796)パック テック−パッケージング テクノロジーズ ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】