説明

マスク用材料、マスクの形成方法、パターン形成方法、及びエッチング保護膜

【課題】エッチング選択比の高いマスクを形成する技術を提供する。
【解決手段】エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクを形成するためのマスク用材料であって、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなることを特徴とするマスク用材料を提供する。また、エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクの形成方法であって、パターン化されたホトレジスト上に上記マスク形成用材料を用いてALD法により共形膜を形成する工程、エッチバックして前記レジスト膜の側面にマスク形成用材料が残るように加工する工程、前記レジスト膜を除去する工程、とを有することを特徴とするマスクの形成方法を提供する。こうして形成したマスク形成用材料をマスクとしてエッチングすることで、被エッチング物に微細パターンを形成する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク用材料、マスクの形成方法、パターン形成方法、及びエッチング保護膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、微細化によって高集積化および高速化を実現してきており、これに伴い、最小線幅が200nm以下の集積回路の研究が盛んに行われている。そのような中で、微細加工に必要な薄膜をカバレッジ良く成膜する技術として、単原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法が注目されている。
【0003】
一般に、半導体装置を微細加工する際には、フッ化炭素を用いたプラズマエッチングが用いられており、エッチング選択比の異なる膜種を利用し、エッチング深さの制御、微細形状の形成がなされている。例えば、Cu配線の拡散バリア膜には、エッチング選択比の高いSiCN膜が使用されており、ビアエッチングの際にエッチストップ膜として利用されている。ここで、エッチング選択比とは、マスクのエッチングレートに対するエッチング対象膜のエッチングレートの比のことをいい、この値が大きいほど、精度よく微細加工ができる。
【0004】
ALD法により、レジストにコンフォーマルな二酸化珪素(SiO)膜を成膜し、サイドウォールスペーサーをマスクとするダブルパターニングにおいても、エッチング選択比が重要な膜性能を決める要因となっている。すなわち、サイドウォールスペーサーのエッチングレートに対するレジストのエッチングレートの比が重要となっている。
【0005】
特許文献1には、レジストパターンに直接二酸化珪素膜系の膜を形成し、レジストパターンのピッチを縮小するサイドウォールスペーサー法が記載されている。
そして、二酸化珪素膜の形成には、アミノシラン化合物でレジストパターンの表面を覆い、その後CVD法またはALD法により二酸化珪素膜を形成する方法が採用されている。これにより、パターンの変形やLWR(line width roughness)の増大を防ぎ、精度の高いサイドウォールスペーサーパターンが形成可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−96896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、種々の被エッチング物(エッチング対象膜)にサイドウォールスペーサーを形成して加工することが求められており、被エッチング物とのエッチング選択比が高い膜からなるサイドウォールスペーサーが必要とされている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、サイドウォールスペーサーとして、二酸化珪素(SiO)膜が使用されており、二酸化珪素膜を形成するための材料として、アミノシラン化合物が用いられている。このため、炭素含有量の多い膜を成膜することができず、その結果、エッチング選択比が低くなるという不都合が生じていた。
このような背景の下、エッチング選択比の高いマスクを形成する技術が要望されていたが、有効適切なものが提供されていないのが実情であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願発明者らは、炭素含有量の多い膜の研究開発に鋭意取り組んでいたところ、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物を用いることで、炭素含有量の多い膜を成膜することができることを見出した。
【0010】
すなわち、請求項1に係る発明は、エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクを形成するためのマスク用材料であって、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなることを特徴とするマスク用材料である。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記イソブチル基を有するシラン化合物が、イソブチルトリメチルシランまたはジイソブチルジメチルシランであることを特徴とする請求項1に記載のマスク用材料である。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記環状炭化水素を有するシラン化合物が、5−シラスピロ[4、4]ノナンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスク用材料である。
【0013】
また、請求項4に係る発明は 前記マスクがサイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマスク用材料である。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクの形成方法であって、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物を用いて、ALD法によって、前記被エッチング物上にマスクを形成することを特徴とするマスクの形成方法である。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、前記イソブチル基を有するシラン化合物が、イソブチルトリメチルシランまたはジイソブチルジメチルシランであることを特徴とする請求項5に記載のマスクの形成方法である。
【0016】
また、請求項7に係る発明は、前記環状炭化水素を有するシラン化合物が、5−シラスピロ[4、4]ノナンであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のマスクの形成方法である。
【0017】
また、請求項8に係る発明は、前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のマスクの形成方法である。
【0018】
また、請求項9に係る発明は、被エッチング物上にパターニングされたレジスト膜を形成する工程と、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物を用いて、ALD法によって、前記被エッチング物上および前記レジスト膜上にマスクを形成する工程と、前記レジスト膜の側面に前記マスクが残るように、前記マスクをエッチバックする工程と、前記レジスト膜を除去する工程と、前記マスクをマスクとしてエッチングすることで、被エッチング物にパターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法である。
【0019】
また、請求項10に係る発明は、前記イソブチル基を有するシラン化合物が、イソブチルトリメチルシランまたはジイソブチルジメチルシランであることを特徴とする請求項9に記載のパターン形成方法である。
【0020】
また、請求項11に係る発明は、前記環状炭化水素を有するシラン化合物が、5−シラスピロ[4、4]ノナンであることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のパターン形成方法である。
【0021】
また、請求項12に係る発明は、エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、珪素に対する炭素の比率が2.5以上のSiC膜であることを特徴とするエッチング保護膜である。
【0022】
また、請求項13に係る発明は、前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項12に記載のエッチング保護膜である。
【0023】
また、請求項14に係る発明は、エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、珪素に対する炭素の比率が2.0以上のSiCN膜であることを特徴とするエッチング保護膜である。
【0024】
また、請求項15に係る発明は、前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項14に記載のエッチング保護膜である。
【0025】
また、請求項16に係る発明は、エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、珪素に対する炭素の比率が2.0以上のSiOC膜であることを特徴とするエッチング保護膜である。
【0026】
また、請求項17に係る発明は、前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項16に記載のエッチング保護膜である。
【0027】
また、請求項18に係る発明は、エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、珪素に対する炭素の比率が1.0以上のSiOCN膜であることを特徴とするエッチング保護膜である。
【0028】
また、請求項19に係る発明は、前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項18に記載のエッチング保護膜である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、マスク用材料としてイソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物が用いられるので、炭素含有量を多くすることができ、エッチング選択比の高いマスクを形成することができる。
【0030】
また、本発明のエッチング保護膜は、炭素含有量が多いので、エッチング選択比の高いマスクとして機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るマスクの形成方法において用いられる成膜装置の示す概略構成図である。
【図2】図2(a)〜図2(e)は、本発明の実施形態に係るパターン形成方法を示す断面工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を適用した一実施形態であるマスク用材料、マスクの形成方法、パターン形成方法、およびエッチング保護膜について説明する。
【0033】
<マスク用材料>
まず、エッチングプロセスの際に用いられるマスクの材料(マスク用材料)について説明する。
本実施形態で用いるマスク用材料は、エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクを形成するための材料であって、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物から構成されている。このマスク用材料は、1気圧における沸点が300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。
【0034】
また、マスク用材料は、プラズマ雰囲気に曝されると、Si−(CH)Xで表されるラジカルまたはイオン種を優先的に発生することができ、基板等の対象上にSi−(CH)X−Siネットワークを成膜したマスク中に形成することができる。
【0035】
イソブチル基を有するシラン化合物としては、下記化学式(1)または下記化学式(2)で示されるものを用いることができ、i−ブチル基、i−ペンチル基、i−ネオペンチル基またはネオヘキシル基を含み、酸素を含まないことが好ましい。
【0036】
【化1】

【0037】
【化2】

【0038】
なお、上記化学式(1)および上記化学式(2)において、R〜Rはそれぞれ、H、CH2n+1、C2k―1、及びC2l―3からなる群から選択されるいずれかを表し、Rは、C2xを表し、nは1〜5の整数を表し、kおよびlは2〜6の整数を表し、xは3〜7の整数を表す;但しR〜Rのいずれか1つは、CHCH(CH)CH、CHCH(CH)CHCH、CHCHCH(CH)CH、CHC(CHCH、CHCHC(CHCHからなる群から選択されるいずれかを表す。
【0039】
上記化学式(2)で示される化合物の好ましい具体例としては、1−1−ジイソブチル−1−シラシクロペンタンが挙げられる。
これ以外に用いられるシラン化合物の例としては、1−イソブチルー1−シラシクロプロパン、1−イソブチルー1−シラシクロブタン、1−イソブチルー1−シラシクロペンタン、1−イソブチルー1−メチルー1−シラシクロプロパン、1−イソブチルー1−メチルー1−シラシクロブタン、1−イソブチルー1−エチルー1−シラシクロペンタン、1−イソブチルー1−ブチルー1−シラシクロプロパン、1−イソブチルー1−ブチルー1−シラシクロブタン、1−イソブチルー1−ブチルー1−シラシクロペンタン、1−イソブチルー1−ペンチルー1−シラシクロプロパン、1−イソブチルー1−ペンチルー1−シラシクロブタン、1−イソブチルー1−ペンチルー1−シラシクロペンタン、1−イソブチルー1−ターシャリーブチルー1−シラシクロプロパン、1−イソブチルー1−ターシャリーブチルー1−シラシクロブタン、1−イソブチルー1−ターシャリーブチルー1−シラシクロペンタン、 1−1−ジイソブチルー1−シラシクロプロパン、1−1−ジイソブチルー1−シラシクロブタン、1−1−ジイソブチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジターシャリーブチルー1−シラシクロプロパン、1−1−ジターシャリーブチルー1−シラシクロブタン、1−1−ジターシャリーブチルー1−シラシクロペンタン、 1−1−ジプロピルー1−シラシクロプロパン、1−1−ジプロピルー1−シラシクロブタン、1−1−ジプロピルー1−シラシクロペンタンなどがあげられる。
【0040】
上記化学式(3)で示される化合物の好ましい具体例としては、イソブチルトリメチルシラン、ジイソブチルジメチルシラン、ジイソブチルシラン、ジイソブチルメチルシラン、ジイソブチルエチルシラン、ジイソブチルエチルメチルシラン、ジイソブチルジエチルシラン、イソペンチルトリメチルシシラン、ネオペンチルトリメチルシシラン、ネオヘキシルトリメチルシランが挙げられる。
これ以外に用いられるシラン化合物の例としては、イソブチルトリエチルシラン、イソブチルトリプロピルシラン、イソブチルトリブチルシラン、テトライソソブチルシラン、イソブチルセカンダリーブチルシラン、イソブチルトリペンチルシラン、イソブチルイソペンチルシラン、イソブチルネオペンチルシラン、イソブチルターシャリーペンチルシラン、ジイソブチルジエチルシラン、ジイソブチルジプロピルシラン、ジイソブチルジブチルシラン、ジイソブチルセカンダリーブチルシラン、ジイソブチルジペンチルシラン、ジイソブチルイソペンチルシラン、ジイソブチルネオペンチルシラン、ジイソブチルターシャリーペンチルシラン、トリイソブチルエチルシラン、トリイソブチルプロピルシラン、トリイソブチルブチルシラン、トリイソブチルセカンダリーブチルシラン、トリイソブチルペンチルシラン、トリイソブチルイソペンチルシラン、トリイソブチルネオペンチルシラン、トリイソブチルターシャリーペンチルシラン、イソブチルジエチルシラン、イソブチルジプロピルシラン、イソブチルジブチルシラン、イソブチルジセカンダリーブチルシラン、イソブチルジイソペンチルシラン、イソブチルジネオペンチルシラン、イソブチルジターシャリーペンチルシラン、ターシャリーブチルトリエチルシラン、ターシャリーブチルトリプロピルシラン、ターシャリーブチルトリブチルシラン、テトラターシャリーブチルシラン、ターシャリーブチルセカンダリーブチルシラン、ターシャリーブチルトリペンチルシラン、ターシャリーブチルイソペンチルシラン、ターシャリーブチルネオペンチルシラン、ターシャリーブチルターシャリーペンチルシラン、ジターシャリーブチルジエチルシラン、ジターシャリーブチルジプロピルシラン、ジターシャリーチルジブチルシラン、ジターシャリーブチルセカンダリーブチルシラン、ジターシャリーブチルジペンチルシラン、ジターシャリーブチルイソペンチルシラン、ジターシャリーブチルネオペンチルシラン、ジターシャリーブチルターシャリーペンチルシラン、トリターシャリーブチルエチルシラン、トリターシャリーブチルプロピルシラン、トリターシャリーブチルブチルシラン、トリターシャリーブチルセカンダリーブチルシラン、トリターシャリーブチルペンチルシラン、トリターシャリーブチルイソペンチルシラン、トリターシャリーブチルネオペンチルシラン、トリターシャリーブチルターシャリーペンチルシラン、 ターシャリーブチルジエチルシラン、ターシャリーブチルジプロピルシラン、ターシャリーブチルジブチルシラン、ターシャリーブチルジセカンダリーブチルシラン、ターシャリーブチルジイソペンチルシラン、ターシャリーブチルジネオペンチルシラン、ターシャリーブチルジターシャリーペンチルシラン、プロピルトリエチルシラン、テトラプロピルシラン、プロピルトリブチルシラン、テトラプロピルシラン、プロピルセカンダリーブチルシラン、プロピルトリペンチルシラン、プロピルイソペンチルシラン、プロピルネオペンチルシラン、プロピルターシャリーペンチルシラン、ジプロピルジエチルシラン、ジプロピルジプロピルシラン、ジプロピルジブチルシラン、ジプロピルセカンダリーブチルシラン、ジプロピルジペンチルシラン、ジプロピルイソペンチルシラン、ジプロピルネオペンチルシラン、ジプロピルターシャリーペンチルシラン、トリプロピルエチルシラン、テトラプロピルシラン、トリプロピルブチルシラン、トリプロピルセカンダリーブチルシラン、トリプロピルペンチルシラン、トリプロピルイソペンチルシラン、トリプロピルネオペンチルシラン、トリプロピルターシャリーペンチルシラン、プロピルジエチルシラン、プロピルジプロピルシラン、プロピルジブチルシラン、プロピルジセカンダリーブチルシラン、プロピルジイソペンチルシラン、プロピルジネオペンチルシラン、プロピルジターシャリーペンチルシランなどがあげられる。
【0041】
また、環状炭化水素を有するシラン化合物としては、下記化学式(3)または下記化学式(4)で示されるものを用いることができ、酸素を含まないことが好ましい。
【0042】
【化3】

【0043】
【化4】

【0044】
なお、上記化学式(3)および上記化学式(4)において、R〜Rはそれぞれ、H、C2n+1、C2k―1、及びC2l―3からなる群から選択されるいずれかを表し、R〜Rは、C2xを表し、nは1〜5の整数を表し、kおよびlは2〜6の整数を表し、xは3〜7の整数を表す。
【0045】
上記化学式(3)で示される化合物の好ましい具体例としては、1−1−ジビニル−1−シラシクロペンタンが挙げられる。
これ以外に用いられるシラン化合物の例としては、1−1−ジアリルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジエチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジプロピルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジブチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジイソブチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジターシャリーブチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジイソペンチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジペンチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジネオペンチルー1−シラシクロペンタン、1−1−ジターシャリーペンチルー1−シラシクロペンタンなどが挙げられる。
【0046】
上記化学式(4)で示される化合物の好ましい具体例としては、5−シラスピロ[4、4]ノナンが挙げられる。なお、5−シラスピロ[4、4]ノナンは、シラシクロノナン(SSN)と呼ばれることもあり、以下の説明では5−シラスピロ[4、4]ノナンの代わりにシラシクロノナンとの表記を用いて説明している部分もある。
これ以外に用いられるケイ素化合物の例としては、4−シラスピロ[3、3]ヘプタン、3−シラスピロ[2、2]ペンタンなどがあげられる
【0047】
以上のようにマスク用材料は、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなるので、このマスク用材料を用いてマスクを形成すると、マスク中の炭素含有量が多くなり、その結果、エッチング選択比を大きくすることができる。
【0048】
<マスクの形成方法>
次に、マスクの形成方法について説明する。
本実施形態では、上述したマスク用材料を用いて、ALD法によって、被エッチング物(エッチング対象膜)上にマスクを形成する。ALD法とは、プラズマCVD法の一種であり、原子レベルで膜を成膜する方法のことをいう。
【0049】
マスク用材料の流量は、用いる材料によって異なり、適宜材料の性質に応じて決定すればよい。
また、マスク用材料は、常温で気体状であればそのまま用いることができ、液体状のものであれば、ヘリウムなどの不活性ガスを用いたバブリングによる気化、気化器による気化、または加熱による気化によってガス化して用いる。また、ヘリウム(He)などをキャリアガスとして用いて、マスク用材料と併せて用いて成膜しても構わない。
【0050】
また、SiCN膜やSiOCN膜等、成膜されたマスクに窒素を含ませたい場合はアンモニア(NH)を、SiOC膜やSiOCN膜等、酸素を含ませたい場合は酸素(O)を、適宜併せて用いても構わない。この場合は、マスク用材料と同時に供給しても構わないが、マスク用材料とアンモニアや酸素を切り替えて供給するなど、適宜の条件で供給しても構わない。例えば、マスク用材料とアンモニアを用い、ガスの切替時間を5秒とした場合は、マスク用材料の供給を開始してから5秒間後に供給を停止し、それと同時にアンモニアを供給し始め、5秒後に供給を停止して、それと同時に再度マスク用材料の供給を開始することとなる。
【0051】
マスク用材料の成膜装置としては、周知なものを用いることができる。例えば、図1に示すような平行平板型の成膜装置1などを利用して、マスク用材料を用いて成膜しても構わない。
【0052】
成膜装置1は、減圧可能なチャンバー2を備え、このチャンバー2は、排気管3、開閉弁4を介して排気ポンプ5に接続されている。また、チャンバー2には、図時しない圧力計が備えられ、チャンバー2内の圧力が測定できるようになっている。チャンバー2内には、相対向する一対の平板状の上部電極6と、下部電極7とが設けられている。上部電極6は、高周波電源8に接続され、上部電極6に高周波電流が印加されるようになっている。
【0053】
下部電極7は、基板9を載置する載置台を兼ねており、その内部にはヒーター10が内蔵され、基板9を加熱できるようになっている。
また、上部電極6には、ガス供給配管が接続されている。このガス供給配管11には、図示しない成膜用ガス供給装置が接続され、この成膜用ガス供給装置から、マスク用材料が供給される。そして、このマスク用材料は、上部電極6内に形成された複数の貫通孔を通って、下部電極7に向けて拡散しつつ流れ出るようになっている。
【0054】
また、成膜用ガス供給装置には、マスク用材料を気化する気化装置と、その流量を調整する流量調整弁を備えるとともに、キャリアガスや、酸素またはアンモニアを供給する供給装置が設けられており、これらのガスもガス供給配管11を流れて、上部電極6からチャンバー2内に流れ出るようになっている。
【0055】
マスクを形成する際には、まず、成膜装置1のチャンバー2内の下部電極7上に基板9を置き、成膜用ガス供給装置からマスク用材料をチャンバー2内に送り込む。そして、高周波電源8から高周波電流を上部電極6に印加して、チャンバー2内にプラズマを発生させる。これにより、基板9上にマスク用材料を用いて、ALD法によって、マスクを形成することができる。
【0056】
なお、成膜装置としては、平行平板型の他に、ICPプラズマ、ECRプラズマ、マグネトロンプラズマ、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマなどを用いることが可能であり、平行平板型装置の下部電極にも高周波を導入する2周波励起プラズマを使用することもできる。
【0057】
成膜装置1におおける成膜条件は、以下の範囲が好適であるが、この限りではない。
マスク用材料流量 :20〜100cc/分
キャリアガス流量 :0〜50cc/分
圧力 :0.5〜10Torr
RF周波数:0.38〜200MHz
RFパワー :50〜500W
基板温度 :400℃以下
反応時間 :1秒〜1800秒
成膜厚さ :100nm〜200nm
【0058】
以上のように、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなるマスク材料を用いて、マスクを形成するので、形成されたマスク中の炭素含有量が多くなり、この結果、エッチング選択比が高くなる。
【0059】
<エッチング保護膜>
次に、上記のようなマスク材料を用いて、ALD法によって形成されたマスク(エッチング保護膜)について説明する。
エッチング保護膜は、SiC膜、SiCN膜、SiOC膜、またはSiOCN膜のいずれかの膜であり、用いたマスク用材料や、アンモニアや酸素を併せて用いて成膜したか否かによって決定される。エッチング保護膜は、炭素を多く含む組成が望ましいが、OまたはNが含有されていてもよく、下記化学式(1)〜化学式(4)の組成となる。
【0060】
【数1】

【0061】
【数2】

【0062】
【数3】

【0063】
【数4】

【0064】
エッチング保護膜がSiC膜の場合、珪素に対する炭素の比率が2.5以上に構成されている。また、エッチング保護膜がSiCN膜の場合、珪素に対する炭素の比率が2.0以上に構成され、SiOC膜の場合、珪素に対する炭素の比率が2.0以上に構成され、SiOCN膜の場合、珪素に対する炭素の比率が1.0以上に構成される。
【0065】
以上のように、本実施形態のエッチング保護膜は、膜中の炭素含有量が多いので、エッチング選択比の高いマスクとして機能することができる。
【0066】
<パターンの形成方法>
次に、上記のようなマスク用材料を用いて形成されたマスク(エッチング保護膜)を用いたパターンの形成方法について説明する。
本実施形態のパターンの形成方法は、ダブルパターニングと称される方法の一つで、まず、図2(a)に示すように、基板21上に形成された被エッチング物22(エッチング対象膜)上にレジストを塗布し、レジスト膜23を形成する
その後、露光、現像することで、レジスト膜23を所望の形状にパターニングする。
【0067】
次に、図2(b)に示すように、被エッチング物22上およびレジスト膜23の上面23a及び側面23bを覆うように、上述したマスクの形成方法によって、マスク24を形成する。すなわち、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなるマスク用材料を用いて、ALD法によって、マスク24を形成する。この際、ALD法によってマスク24を形成するので、レジスト膜23の側面23bにも精度良くマスクを形成することができる。
【0068】
その後、図2(c)に示すように、レジスト膜23の上面23aおよび被エッチング物22上を覆っているマスク24を、エッチバックすることで除去する。この際、レジスト膜23の側面23bに形成されたマスク24が残存するようにする。
このようにして、レジスト膜23の側面23bに、マスク24からなるサイドウォールスペーサー25が形成される。すなわち、サイドウォールスペーサー25は、レジスト膜23の側面23bを覆うように形成されている。
【0069】
次に、図2(d)に示すように、レジスト膜23を除去する。この際、上述したマスク材料から形成されたサイドウォールスペーサー25(マスク24)は、エッチング選択比が高いので、サイドウォールスペーサー25の形状を崩すことなく、レジスト膜23のみをエッチングによって除去することができる。
【0070】
その後、図2(e)に示すように、残存したサイドウォールスペーサー25をマスクとして、被エッチング物22をエッチングし、被エッチング物22にパターンを形成する。
以上のような工程を経ることで、被エッチング物を微細に加工することができる。
【0071】
本実施形態のパターンの形成方法では、イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなるマスク用材料を用いてサイドウォールスペーサー25(マスク24)を形成しているため、サイドウォールスペーサー25中の炭素含有量が多くなる。この結果、サイドウォールスペーサー25のエッチング選択比が大きくなり、レジスト膜23を除去する際に、サイドウォールスペーサー25の形状を壊すことを防ぐことができ、サイドウォールスペーサー25の精度が高くなる。その結果、サイドウォールスペーサー25をマスクとしてエッチングした際の、被エッチング物22のパターンの精度も向上する。
【0072】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態において、マスクは、レジスト膜のサイドウォールスペーサーとして形成されているが、必ずしもこのような態様のマスクに限定されず、エッチングプロセスにおいて用いられるマスクであるのならば、どのような態様で用いられても構わない。
【0073】
以下、本発明を実施例および比較例により、さらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例においては、全て図1に示すような平行平板型の成膜装置を用いて、ALD法によってマスクを成膜した。
【0074】
<実施例1>
実施例1は、マスク用材料としてジイソブチルジメチルシラン(DiBDMS)を、キャリアガスとしてヘリウムを用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiC膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、キャリアガスの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiC膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=3となった。
【0075】
<実施例2>
実施例2は、マスク用材料としてシラシクロノナン(SSN)を、キャリアガスとしてヘリウムを用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiC膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、キャリアガスの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを300W、圧力を1Torrとした。
形成したSiC膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=4.2となった。
【0076】
<実施例3>
実施例3は、マスク用材料としてジイソブチルジメチルシラン(DiBDMS)を用いるとともに、アンモニアも用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiCN膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiCN膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=2.5となった。
【0077】
<実施例4>
実施例4は、マスク用材料としてシラシクロノナン(SSN)を用いるとともに、アンモニアも用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiCN膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを300W、圧力を1Torrとした。
形成したSiCN膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=3.5となった。
【0078】
<実施例5>
実施例5は、マスク用材料としてジイソブチルジメチルシラン(DiBDMS)を用いるとともに、酸素も用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiOC膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、酸素の流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiOC膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=2.5となった。
【0079】
<実施例6>
実施例6は、マスク用材料としてシラシクロノナン(SSN)を用いるとともに、酸素も用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiOC膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、酸素の流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを300W、圧力を1Torrとした。
形成したSiOC膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=3.5となった。
【0080】
<実施例7>
実施例7は、マスク用材料としてジイソブチルジメチルシラン(DiBDMS)を用いるとともに、酸素とアンモニアも用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiOCN膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、酸素の流量を15sccmにし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiOCN膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=1.4となった。
【0081】
<実施例8>
実施例8は、マスク用材料としてシラシクロノナン(SSN)を用いるとともに、酸素とアンモニアも用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiOCN膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、酸素の流量を15sccmにし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを300W、圧力を1Torrとした。
形成したSiOCN膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=2.2となった。
【0082】
<比較例1>
比較例1は、マスク用材料としてテトラメチルシラン(4MS)を、キャリアガスとしてヘリウムを用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiC膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、キャリアガスの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiC膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=2となった。
【0083】
<比較例2>
比較例2は、マスク用材料としてテトラメチルシラン(4MS)を用いるとともに、アンモニアも用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiCN膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiCN膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=0.5となった。
【0084】
<比較例3>
比較例3は、マスク用材料としてテトラメチルシラン(4MS)を用いるとともに、酸素も用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiOC膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiOC膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=1となった。
【0085】
<比較例4>
比較例4は、マスク用材料としてテトラメチルシラン(4MS)を用いるとともに、アンモニアと酸素も用いて、プラズマALD法によってSi基板上にSiOCN膜を200nm成膜した。具体的な成膜条件は、温度を50℃とし、マスク用材料の流量を15sccmとし、アンモニアの流量を15sccmにし、ガスの切替時間を5秒とした。また、RF周波数を13.56MHz、RFパワーを500W、圧力を1Torrとした。
形成したSiOCN膜のC/Si比をX線光電子分光法(XPS)によって求めたところ、C/Si=0.5となった。
【0086】
次に、エッチング選択比について確認を行った。具体的には、実施例1〜8および比較例1〜4において成膜したSi基板を用いて、SiO2のエッチング速度との比較により求めた。結果を表1〜4に示す。
【0087】
なお、プラズマエッチングの条件は、平行平板型プラズマエッチング装置を用い、温度を50℃とし、エッチングガスとしてC4F8を用いて、ガス流用を50sccmとした。また、RF周波数は13.56MHzとし、RFパワーは500W、圧力を0.1Torrとした。なお、SiO2には、Si基板上に成膜した200nmTEOS酸化膜を用いた。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
上記表1〜4から明らかなように、実施例1〜8に示すSiC膜、SiCN膜、SiOC膜、またはSiOCN膜は、エッチング選択比が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、エッチングプロセスに関するものなので、半導体装置等の成膜を必要とする製造業において幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1・・・成膜装置、2・・・チャンバー、3・・・排気管、4・・・開閉弁、5・・・排気ポンプ、6・・・上部電極、7・・・下部電極、8・・・高周波電源、9・・・基板、10・・・ヒーター、11・・・ガス供給配管、21・・・基板、22・・・被エッチング物、23・・・レジスト膜、23a・・・レジスト膜の上面、23b・・・レジスト膜の側面、24・・・マスク、25・・・サイドウォールスペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクを形成するためのマスク用材料であって、
イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物からなることを特徴とするマスク用材料。
【請求項2】
前記イソブチル基を有するシラン化合物が、イソブチルトリメチルシランまたはジイソブチルジメチルシランであることを特徴とする請求項1に記載のマスク用材料。
【請求項3】
前記環状炭化水素を有するシラン化合物が、5−シラスピロ[4、4]ノナンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマスク用材料。
【請求項4】
前記マスクがサイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマスク用材料。
【請求項5】
エッチングによって被エッチング物をパターニングする際に用いるマスクの形成方法であって、
イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物を用いて、ALD法によって、前記被エッチング物上にマスクを形成することを特徴とするマスクの形成方法。
【請求項6】
前記イソブチル基を有するシラン化合物が、イソブチルトリメチルシランまたはジイソブチルジメチルシランであることを特徴とする請求項5に記載のマスクの形成方法。
【請求項7】
前記環状炭化水素を有するシラン化合物が、5−シラスピロ[4、4]ノナンであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のマスクの形成方法。
【請求項8】
前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のマスクの形成方法。
【請求項9】
被エッチング物上にパターニングされたレジスト膜を形成する工程と、
イソブチル基および/または環状炭化水素を有するシラン化合物を用いて、ALD法によって、前記被エッチング物上および前記レジスト膜上にマスクを形成する工程と、
前記レジスト膜の側面に前記マスクが残るように、前記マスクをエッチバックする工程と、
前記レジスト膜を除去する工程と、
前記マスクをマスクとしてエッチングすることで、被エッチング物にパターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
【請求項10】
前記イソブチル基を有するシラン化合物が、イソブチルトリメチルシランまたはジイソブチルジメチルシランであることを特徴とする請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記環状炭化水素を有するシラン化合物が、5−シラスピロ[4、4]ノナンであることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、
珪素に対する炭素の比率が2.5以上のSiC膜であることを特徴とするエッチング保護膜。
【請求項13】
前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項12に記載のエッチング保護膜。
【請求項14】
エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、
珪素に対する炭素の比率が2.0以上のSiCN膜であることを特徴とするエッチング保護膜。
【請求項15】
前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項14に記載のエッチング保護膜。
【請求項16】
エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、
珪素に対する炭素の比率が2.0以上のSiOC膜であることを特徴とするエッチング保護膜。
【請求項17】
前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項16に記載のエッチング保護膜。
【請求項18】
エッチングプロセスにおいてマスクとして機能するエッチング保護膜であって、
珪素に対する炭素の比率が1.0以上のSiOCN膜であることを特徴とするエッチング保護膜。
【請求項19】
前記マスクが、サイドウォールスペーサーであることを特徴とする請求項18に記載のエッチング保護膜。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−169408(P2012−169408A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28399(P2011−28399)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】