説明

マッサージ機

【課題】 ふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施す際にふくらはぎが前方に逃げることのないマッサージ機を提供することである。
【解決手段】 被施療者の脚部を収納するレッグレスト30の樋状凹部32(脚収納部)と踵から先の足先を収納するフットレスト40の樋状凹部42(足先収納部)を具え、樋状凹部32の底面には被施療者のふくらはぎを裏側から押圧するエアバック37を有し、フットレスト40の樋状凹部42の底面には、土踏まずに当って足先が前方へずれるのを阻止するずれ防止突部70を設ける。
【効果】 ふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施す際に、防止突部が土踏まずにくい込んで、足先やふくらはぎが前方へ逃げなくなり、効果的にふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の脚部を収納する脚収納部と踵から先の足先を収納する足先収納部を具え、脚収納部の底面には被施療者のふくらはぎを裏側から押圧する押圧手段を具えたマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の脚部を収納する脚収納部と踵から先の足先を収納する足先収納部を具え、脚収納部の底面にはふくらはぎを裏側から押圧する押圧手段を具えたマッサージ機は、特許文献1に見られるように広く知られている。特許文献1のマッサージ機では、押圧手段は、空気の供給排気により膨張収縮するエアバックより構成され、また脚収納部と足先収納部には、ふくらはぎや足先を側面から押圧して挟持する挟持手段としてのエアバックを具えている。そして押圧手段によりふくらはぎを裏側から押圧する際、ふくらはぎが前方に押し出されないように、予め脚収納部や足先収納部の挟持手段としてのエアバックを膨張させて、ふくらはぎや足先を動かないように固定し、ふくらはぎが前方に逃げないようにしている。
【特許文献1】特開2004−230088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
予め脚収納部や足先収納部の挟持手段としてのエアバックを膨張させるには、押圧手段のエアバックと挟持手段のエアバックを夫々独立して制御できる独立した別個の配管通路にする必要がある。配管通路の構造簡素化やコストの低減を図るため、押圧手段のエアバックと挟持手段のエアバックの配管通路を共通化させると、押圧手段のエアバックと挟持手段のエアバックが同時に膨張し、ふくらはぎや足先を予め動かないように固定しておくことができず、ふくらはぎ裏側を押圧する際、ふくらはぎが前方に逃げてしまう。
【0004】
本発明の目的は、脚収納部や足先収納部にふくらはぎや足先を側面から挟持する挟持手段がなくとも、ふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施す際にふくらはぎが前方に逃げることのないマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、被施療者の脚部を収納する脚収納部と踵から先の足先を収納する足先収納部を具え、脚収納部の底面には被施療者のふくらはぎを裏側から押圧する押圧手段を有するもので、足先収納部の底面には、土踏まずに当って足先が前方へずれるのを阻止するずれ防止突部を設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のマッサージ機によれば、ふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施す際に、足先収納部の底面に設けたずれ防止突部が土踏まずにくい込んで、足先が前方へ逃げるのを阻止する。足先が固定されることで、ふくらはぎも前方へ逃げなくなり、効果的にふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施すことができる。またこのずれ防止突部により、土踏まずに刺激を与えることができ、マッサージ効果が向上できる。
【0007】
また、ふくらはぎ裏面に押圧マッサージを施すためのエアバックを具え、脚収納部や足先収納部には、ふくらはぎや足先を側面から挟持するエアバックからなる挟持手段を具えた場合は、ふくらはぎ裏面の押圧用エアバックと、ふくらはぎや足先の挟持用エアバックの空気供給用配管を共通化でき、コスト低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のマッサージ機を、一例として示した椅子式マッサージ機について説明する。図1及び図2は、椅子式マッサージ機10の斜視図である。椅子式マッサージ機10は、被施療者が腰掛けるシート部11の後部に背凭れ12、前部にレッグレスト30、レッグレスト30下端にフットレスト40を具えて構成される。背凭れ12は、シート部11に対して傾動可能且つ任意の位置で位置決め可能に連結される。レッグレスト30は、シート部11の前方に上下に回動自在に且つ任意の位置で位置決め可能に連結される。また、フットレスト40は、レッグレスト30に回動自在に連結される。
【0009】
背凭れ12には、被施療者の肩、背中、腰をマッサージする公知のマッサージユニット15が背凭れ12に沿って昇降可能に配備される。マッサージユニット15は、左右に一対の施療指16、16を具え、両施療指16、16を上下、左右及び/又は前後に移動させることによって、被施療者の肩等に揉みや叩きなどのマッサージを施す。背凭れ12やシート部11は、図示しないが布製のカバーやクッションで覆われている。
【0010】
レッグレスト30は、図1及び図2に示すように、被施療者の左右の脚部(ふくらはぎ)を夫々収納する脚収納部となる一対の樋状凹部32、32を有している。各樋状凹部32の両側面には、膨張することによりふくらはぎを側面から押圧して挟持する挟持手段となる側面エアバック34が配備されている。側面エアバック34は、配管を通して図示しないエアポンプに接続され、空気が供給されて膨張し、排出されて収縮する。
【0011】
樋状凹部32、32の底面上には、ふくらはぎを後側から押圧する押圧手段となる3個の底面エアバック37、37、37が、樋状凹部32の軸方向に沿って並んで配備されている。各底面エアバック37には、指圧突部37aが溶着されている。底面エアバック37も、配管を通して図示しないエアポンプに接続され、空気が供給されて膨張し、排出されて収縮する。レッグレスト30は、布カバー75(図3において網目で示す)により覆われている。図1、図2、図4では布カバーを除いている。
【0012】
上記構成のレッグレスト30において、被施療者が凹部32にふくらはぎを挿入した状態で、側面エアバック34にエアポンプから圧縮空気の供給と排気を繰り返すことにより、ふくらはぎは側面エアバック34、34に挟まれて、圧迫と解放を繰り返し、ふくらはぎに対しマッサージが施される。また底面エアバック37に対しエアポンプから圧縮空気を供給することにより膨張して、指圧突部37aによりふくらはぎの裏面を押圧し指圧マッサージを施す。
【0013】
フットレスト40は、図1及び図2に示すように、被施療者の左右の足先(踝よりも下の踵から先の部分)を夫々挿入する足先収納部となる一対の樋状凹部42、42を有している。各樋状凹部42の両側面には、膨張することにより足先を側面から挟持する挟持手段となる側面エアバック44、44が配備されている。側面エアバック44は、配管を通して図示しないエアポンプに接続され、空気が供給されて膨張し、排出されて収縮する。
【0014】
樋状凹部42、42の底面の裏側には、足裏を押圧する足裏用エアバック47が配備されている。足裏用エアバック47の上面には、足裏を指圧する2個の指圧突部47aが図3の如く左右方向に並んで溶着されている。足裏用エアバック47も、配管を通して図示しないエアポンプに接続され、空気が供給されて膨張し、排出されて収縮する。膨張すると、指圧突部47aが、樋状凹部42の底面に開口した穴46(図6参照)から突出し、足裏を指圧する。フットレスト40も、布カバー75により覆われている。
【0015】
上記構成のフットレスト40において、被施療者が凹部42に足先を挿入した状態で、側面エアバック44にエアポンプから圧縮空気の供給と排気を繰り返すことにより、足先は側面エアバック44、44に挟まれて、圧迫と解放を繰り返し、マッサージが足先に対し施される。また足裏用エアバック47に対しエアポンプから圧縮空気を供給することにより膨張して、指圧突部47aにより足裏を押圧し指圧マッサージを施す。
【0016】
図5は、レッグレスト30やフットレスト40の回動機構を示す。レッグレスト30はその底部の金属パイプからなる枠状フレーム31で骨組みが構成され、このフレーム31の左右両端が上下に延長され、上方に延長された部分が、シート部11の前方に支軸33により回動自在に連結されている。
【0017】
フットレスト40はその底部の金属パイプからなる枠状フレーム41で骨組みが構成され、このフレーム41の左右両側の中央付近より斜め上方へ突出片43が突設され、この突出片43の上端と前記枠状フレーム31の左右両端の下方へ延長した部分が、支軸46で回動自在に連結されている。
【0018】
また枠状フレーム41の後側の中央部には、リンク47の下端が支軸49より回動自在に連結され、このリンク47の上端は、シート部11の裏側に支軸50により回動自在に連結されている。51は駆動機構で、ケース52とケース52内をモータ53により出没移動するロッド54で構成され、ロッド54の一端がリンク47に支軸55にて回動自在に連結され、ケース52の一端が椅子の底部適所に支軸56にて回動自在に連結されている。
【0019】
図5は、ロッド54がケース52内へ最も引き込まれた状態で、レッグレスト30やフットレスト40は、図1の状態にある。そこでモータ53を駆動してロッド54を突出させることにより、リンク47を介してレッグレスト30やフットレスト40を持ち上げていくが、上述のような構成によって、フットレスト40はレッグレスト30の回動にもかかわらず、略水平状態を保ちながら持ち上げられる。図2は最も持ち上げられてた状態を示す。モータ53を一時停止させることにより、レッグレスト30やフットレスト40は、任意の位置で停止される。
【0020】
ここでレッグレスト30の構成について更に詳しく説明する。レッグレスト30は、その底部の枠状フレーム31に、一対の樋状凹部32、32が形成された合成樹脂製のボディ35を取り付けて構成される。樋状凹部32の底面上に、底面エアバック37が、樋状凹部32の両側面に側面エアバック34、34が夫々配備され、各エアバック34、37へは、ボディ35の裏側より配管を通して空気が供給される。各樋状凹部32の外側の側面32aの裏側には、金属製補強パイプ60が配備される。この補強パイプ60は、図3、図4、図7に示すように、枠状フレーム31の左右両側フレームに基端が固着され、前方へ向かって、且つ少しばかり内側に向かって延びている。そして補強パイプ60は、樋状凹部32の外側の側面32aの裏側に形成した突部32bに当接している。突部32bは、図7に示す如く、ボディ35上面の裏側より一体に形成されたコ字型のリブからなる。
【0021】
側面エアバック34、34が膨張してふくらはぎを押圧すると、樋状凹部32の側面は、エアバック34を介して外側への反力F(図7参照)を受ける。ここで補強パイプ60がないと、レッグレスト30のボディ35は合成樹脂製なので、樋状凹部32の側面は外側へ変形して逃げてしまい、ふくらはぎへの押圧が充分にできなくなるところであるが、補強パイプ60が、樋状凹部32の外側側面32aの裏側に形成した突部32bに当接することにより、かかる側面32aが外側へ逃げるのを阻止でき、ふくらはぎに充分な押圧力を加えることができる。
【0022】
補強パイプ60は、樋状凹部32の外側の側面32aに当って変形を防止しており、内側の側面32cに対しては補強パイプが配備されていない。これは、各樋状凹部32、32の内側の側面32cは、互いに反対方向に変形しようとする力を受け、その結果打ち消しあうので、内側側面32cに対して補強パイプで補強しなくても、ふくらはぎへの押圧力の影響は少ないからである。
【0023】
なお、補強パイプ60はレッグレスト30に設けたが、フットレスト40の樋状凹部42の側面裏側に同様な補強パイプを設けてもよい。
【0024】
次にフットレスト40の構成について更に詳しく説明する。レッグレスト40は、その底部の枠状フレーム41に、一対の樋状凹部42、42が形成された合成樹脂製のボディ45を取り付けて構成される。樋状凹部42の底面の裏側には、足裏用エアバック47が、樋状凹部42の両側面に側面エアバック44、44が夫々配備され、各エアバック44、47へは、ボディ45の裏側より配管を通して空気が供給される。樋状凹部42の底面の裏側には、図4に示すように、エアバック受板48が、ボディ45の底面と共に枠状フレーム41に共締めされている。足裏用エアバック47は、このエアバック受板48上に配備され、膨張によって、指圧突起47aが樋状凹部42の底面の穴46より突出する。
【0025】
各樋状凹部42の底面には、図4や図6に示すように、丁度樋状凹部42上に置いた足先の土踏まずが当る位置に、ずれ防止突部70が一体に突設されている。このずれ防止突部70は、土踏まずに合致するように、内側が高くなるよう傾斜し、且つ平面視弓形に湾曲している。
【0026】
このずれ防止突部70の働きについて説明する。レッグレスト30の樋状凹部32と、フットレスト40の樋状凹部42に、ふくらはぎと足先を挿入して、レッグレストの底面エアバック37を膨張して、指圧突部37aによりふくらはぎの裏面を押圧し指圧マッサージを施す場合、ふくらはぎが前方へ押されて逃げようとする。しかしながらずれ防止突部70が土踏まずにくい込んで、足先が前方へ逃げるのを阻止する。足先が固定されることで、ふくらはぎも前方へ逃げなくなり、ふくらはぎ裏面に対し、指圧突部37aにより充分な押圧力を与えることができ、良好な指圧マッサージを得ることができる。図4においてはふくらはぎや足先を二点鎖線示している。
【0027】
ふくらはぎの裏面に指圧マッサージを施す場合、レッグレスト30の側面エアバック34、34及び/又はフットレスト40の側面エアバック44、44を予め膨張させて、ふくらはぎや足先を側方から押圧して挟持することにより、ふくらはぎの前方への逃げを阻止することもできるが、エアバックへの配管通路の構造簡素化やコストの低減を図るために、底面エアバック37への配管通路と側面エアバック34や側面エアバック44への配管通路を共通化させると、底面エアバック37と側面エアバック34や側面エアバック44が同時に膨張し、ふくらはぎや足先を予め動かないようにしっかりと固定しておくことができなくなる。
【0028】
しかしながらずれ防止突部70によって、底面エアバック37や側面エアバック34や側面エアバック44の配管状態に関係なく、もっといえば、側面エアバック34や側面エアバック44を膨張させなくても、ふくらはぎの前方への逃げを阻止することができる。
【0029】
このずれ防止突部70は、ふくらはぎの裏面に指圧マッサージを施す場合に、ふくらはぎの前方への逃げを阻止する働きの他に、土踏まずに刺激を与えることができ、マッサージ効果を向上することができる。勿論土踏まずでなく踵で踏めば、踵を刺激することもできる。
【0030】
以上は、椅子式マッサージ機について説明したが、本発明は、脚部を収納する脚収納部と踵から先の足先を収納する足先収納部を具えたものであれば、椅子式マッサージ機に限らない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のマッサージ機の斜視図である。
【図2】同マッサージ機のレッグレストとフットレストを持ち上げた状態の斜視図である。
【図3】同マッサージ機のレッグレストとフットレストを示す図1の状態の正面図である。
【図4】同マッサージ機のレッグレストとフットレストを示す図1の状態の縦断面図である。
【図5】同マッサージ機のレッグレストとフットレストの回動機構を説明する側面図である。
【図6】同マッサージ機のフットレストの足先収納部を示す要部斜視図である。
【図7】図3におけるA−A線に基づく断面図である。
【符号の説明】
【0032】
30 レッグレスト
32 樋状凹部(脚収納部)
40 フットレスト
42 樋状凹部(足先収納部)
37 底面エアバック(押圧手段)
70 ずれ防止突部
34 側面エアバック(挟持手段)
44 側面エアバック(挟持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の脚部を収納する脚収納部と踵から先の足先を収納する足先収納部を具え、脚収納部の底面には被施療者のふくらはぎを裏側から押圧する押圧手段を有し、足先収納部の底面には、土踏まずに当って足先が前方へずれるのを阻止するずれ防止突部を設けたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記脚収納部及び/又は足先収納部には、ふくらはぎや足先を側面から挟持する挟持手段を具えてなる請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記脚収納部及び足先収納部を夫々左右一対有し、夫々の足先収納部の底面には、前記ずれ防止突部を内側が高くなるよう傾斜して設けてなる請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記押圧手段は、空気の供給排気により膨張収縮するエアバックより構成されてなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記挟持手段は、空気の供給排気により膨張収縮するエアバックより構成されてなる請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−195788(P2007−195788A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18791(P2006−18791)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】