説明

マトリクスコンバータ装置

【課題】絶縁耐圧試験に際して、双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の過電圧破壊を防止したマトリクスコンバータ装置を提供する。
【解決手段】交流電源1に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、逆方向に直列接続されたIGBTトランジスタ102、103と前記各IGBTトランジスタに逆並列接続されたダイオード104、105を備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群5を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、前記双方向スイッチを構成するIGBTトランジスタの直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器R1,R2を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多相交流電源を入力として任意の多相交流または直流の電圧出力を行うマトリクスコンバータ装置において、前記装置の必須構成要素となる双方向スイッチを構成しているIGBTトランジスタ(絶縁ゲート形バイポーラトランジスタ)等の半導体スイッチング素子が、マトリクスコンバータ装置の組み立て品質検査のため行われる絶縁耐圧試験に際して、過電圧破壊するのを防止する機能を備えたマトリクスコンバータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なマトリクスコンバータ装置は交流電源の各相入力端子と任意の直交流電圧を出力する各相出力端子との間を繋ぐ各双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備えた構成となっており、これを具体的に示したのが図1である。図1において、双方スイッチS1ないしS9をCPU(図示していない)等の制御装置を介してオン・オフPWM制御することで、交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換出力する。
【0003】
双方向スイッチはIGBTトランジスタ等の半導体スイッチング素子を基本にして構成されるが、双方向スイッチの各種接続構成例を具体的に示したのが図17ないし図19である。図17では、IGBTトランジスタ102および103が逆方向に直列接続され、この各IGBTに対してダイオード104および105が逆並列に接続されて双方向スイッチ100が構成される。IGBTトランジスタ102のエミッタ端子は相入力端子Rに接続され、IGBTトランジスタ103のエミッタ端子側は相出力端子Uに接続される。共通接続されたIGBTトランジスタの各コレクタ端子は、各相入出力端子とは接続されてない。
図17の双方向スイッチ100に対しIGBTトランジスタ102および103のコレクタ端子相互間の接続を切り離したものが、図18に示す双方向スイッチ110である。双方向スイッチ110においても、IGBTトランジスタの各コレクタ端子は各相入出力端子とは接続されてない。
図19は、ブリッジ構成のダイオード122ないし125とIGBTトランジスタ121とを逆並列に接続して双方向スイッチ120を構成したものである。この場合にも、IGBTトランジスタのコレクタ端子およびエミッタ端子は、各相入出力端子とは接続されてない。
【0004】
ところで、マトリクスコンバータ装置で用いる双方向スイッチはIGBTトランジスタ等の高速半導体スイッチング素子で構成されるため、IGBTトランジスタの瞬時オフ動作によって導通電流が瞬時遮断され、IGBTトランジスタの出力端子間にはサージ電圧が発生する。大電流の遮断を行う大容量機種では、サージ電圧を吸収抑制するためのスナバ回路を適切な回路位置に接続配置するのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。好適な位置にスナバ回路を接続するため、前記双方向スイッチ100をモジュール構成とした上で、IGBTトランジスタのコレクタ端子共通接続部をモジュールの外部端子とするものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−262264号公報(第9図)
【特許文献2】特開2003−333826号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マトリクスコンバータ装置はAC200VまたはAC400Vの商用交流電源を入力とし、その出力も入力と同様の高電圧出力となるため、組み立て品の製造品質試験の際、あるいはマトリクスコンバータ装置を機器に据付けた際には、絶縁耐圧試験が実施される。
絶縁耐圧試験では、交流電源入力を遮断した上でマトリクスコンバータ装置の全ての相入力端子および相出力端子を一括コモンにして共通接続し、この共通接続点およびマトリクスコンバータ装置の接地端子との間に60Hz、AC3000V等の交流電圧を印加し、その際に発生する漏れ電流量の大小に応じて絶縁耐圧試験の合否判定を行う手法が採られている。
【0007】
ところが、双方向スイッチを構成するIGBTトランジスタ等の半導体スイッチング素子には相入出力端子に接続されないIGBTトランジスタ出力端子が存在することから、前記絶縁耐圧試験での高圧交流電圧印加に際し、IGBTトランジスタと双方向スイッチ各部との間に存在する浮遊容量の影響で、前記IGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間に高電圧が発生し、IGBTトランジスタが過電圧破壊するという、通常のインバータ装置では起こり得ない、マトリクスコンバータ装置に特有の課題の存在することが判明した。
【0008】
この過電圧破損に至る原因を、図17の双方向スイッチ100を例に説明する。図2は図17の双方向スイッチ100を断面構造的に示したものである。IGBTトランジスタ102および103の各コレクタ・エミッタ端子間には浮遊容量Cpsが各々存在し、IGBTトランジスタ102および103のコレクタ端子共通部と各IGBTトランジスタが搭載された銅ベース(ケースの放熱面)51との間には浮遊容量Cmが存在する。面積、距離、構造等の関係から、Cpsに比してCmを大幅に小さくすることはできない。また、銅ベース51は、そのままマトリクスコンバータ装置の放熱用フィンに接触実装されるが、銅ベース、放熱用フィンともに金属であり、放熱用フィンはマトリクスコンバータ装置の接地端子に電気的に接触接続されるので、前記浮遊容量CmはIGBTトランジスタのコレクタ端子と接地端子との間の浮遊容量とほぼ等しくなる。
【0009】
この浮遊容量をも含めて、双方向スイッチ100を電気回路図として示したものが、図3である。絶縁耐圧試験に際しては、相入力端子Rおよび相出力端子Uを一括コモンにして共通接続し、この共通接続点および接地端子との間にAC3000Vの電圧印加を行うことになる。そこで絶縁耐圧試験時の回路図を示したものが、図4である。AC3000Vの電圧印加に際しては、ダイオード104および105があるためにIGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間で高電圧が発生するのは、接地端子側が高電位になる時に限られるが、説明の簡略化のために、以下の計算式ではダイオードの存在を考慮していない。そうすると、IGBTトランジスタ102および103の各コレクタ・エミッタ端子間には、√2・3000・Cm/(Cm+2・Cps)の最大電圧が発生することになる。CmがCpsに比べ大幅に小さくはならないので、IGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間には当該端子間の最大許容電圧を容易に越えてしまう。AC400V入力用のマトリクスコンバータ装置では、IGBTトランジスタの最大許容電圧は1200Vdcとなり、AC200V用ならば600Vdcとなるのが一般的である。従って、Cm>2.605・Cpsならば、前記絶縁耐圧試験においてIGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間の最大許容電圧1200Vを越える電圧が発生し、当該IGBTトランジスタは過電圧破壊する。このように絶縁耐圧試験において、極めて容易にIGBTトランジスタ等の半導体スイッチング素子が破損し、マトリクスコンバータ装置が破損するという事態が発生することになる。
【0010】
また、マトリクスコンバータ装置の動作中に双方向スイッチを構成するIGBTトランジスタ102,103がともにオフしている場合には、各コレクタ端子は電気的に浮いた状態となり、装置内部または外部からの侵入ノイズに対し、誤動作し易い不安定な状態にもなっている。
【0011】
そこで本発明は双方向スイッチを備えたマトリクスコンバータ装置に潜在する特有の課題を抽出し、この課題を解決して、絶縁耐圧試験に際してもマトリクスコンバータ装置が破損することのない、更には、通常動作中において前記半導体スイッチング素子が電気的に浮いた不安定な状態となり誤動作するのを防止できるマトリクスコンバータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、逆方向に直列接続された半導体スイッチング素子と前記各半導体スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えたことを特徴としている。
前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えることで、半導体スイッチング素子の出力端子間のインピーダンス値を低減でき、マトリクスコンバータ装置の絶縁耐圧試験に際して半導体スイッチング素子の出力端子間に発生する電圧を低減できるので、半導体スイッチング素子を過電圧破壊から防止できる。
【0013】
請求項2記載の発明は、交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、順方向に直列接続された半導体スイッチング素子とダイオードとの接続体が2個逆並列に接続された双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子とダイオードとの直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えたことを特徴としている。
請求項1記載の発明に対して双方スイッチの構成が異なるものであるが、抵抗器を接続することで半導体スイッチング素子の出力端子間のインピーダンス値を低減でき、マトリクスコンバータ装置の絶縁耐圧試験に際して半導体スイッチング素子の出力端子間に発生する電圧を低減でき、半導体スイッチング素子が過電圧破壊するのを防止できる。
【0014】
また請求項3記載の発明は、交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、順方向に直列接続されたダイオードの接続体が2個並列接続された並列接続体と前記並列接続体に逆並列接続された半導体スイッチング素子を備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、前記双方向スイッチを構成する並列接続体の一方の並列接続点と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器、および前記並列接続体のもう一方の並列接続点と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えたことを特徴としている。
前記抵抗器を備えることで、半導体スイッチング素子の出力端子間のインピーダンス値を低減でき、マトリクスコンバータ装置の絶縁耐圧試験に際して半導体スイッチング素子の出力端子間に発生する電圧を低減でき、半導体スイッチング素子が過電圧破壊するのを防止できる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明に対して抵抗器の接続位置を変更したものであるが、半導体スイッチング素子の出力端子間のインピーダンス値を低減でき、マトリクスコンバータ装置の絶縁耐圧試験に際して半導体スイッチング素子の出力端子間に発生する電圧を低減でき、半導体スイッチング素子が過電圧破壊するのを防止できる。
【0016】
請求項5記載の発明は、交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、エミッタ端子どおしを共通接続されたIGBTトランジスタの直列接続体と前記各IGBTトランジスタに逆並列接続されたダイオードを備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、前記双方向スイッチを構成するIGBTトランジスタのオンオフ駆動用信号入力端子と前記相入力端子または相出力端子との間に接続されたインピーダンス低減手段を備えたことを特徴としている。
【0017】
エミッタ端子どおしを共通接続したIGBTトランジスタの直列接続体としたことで、オンオフ駆動用信号入力端子が前記直列接続部分を代用する外部端子となり、この代用外部端子に前記インピーダンス低減手段を接続することで、前記直列接続部分に接続したのと同様の効果を奏することができる。
双方向スイッチをモジュール構成にした場合、IGBTトランジスタの直列接続部分は外部にでないのが通常のため、前記直列接続部分にインピーダンス低減手段を接続するためには、特別仕様によって直列接続部分を外部端子化する必要があるが、請求項5記載の発明ならば、IGBTトランジスタの直列接続部分がオンオフ駆動用信号入力端子で代用外部端子化されるので、特別仕様を用いることなくインピーダンス低減手段を当該部に接続することが可能となる。インピーダンス低減手段はオンオフ駆動用信号入力端子に接続されており、小電流が流れる信号入力端子に接続され、大電流の導通経路とは異なる部位に接続されるものなので、大電流スイッチングによるサージ電圧を吸収するスナバ回路とは異なったものとなる。また、インピーダンス低減手段は抵抗器に限定されるものではなく、コンデンサによるもの、コンデンサと抵抗器とを組み合わせるもの等、インピーダンスを低減するものであればよい。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明に対して双方向スイッチの接続構成を変更したものであるが、IGBTトランジスタとダイオードとの直列接続部がIGBTトランジスタのオンオフ駆動用信号入力端子で代用外部端子化されており、この代用外部端子化で生ずる効果は請求項5記載の発明と同様である。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項4記載のマトリクスコンバータ装置において、前記双方向スイッチ群を内蔵するモジュール構造体を備え、前記モジュール構造体は前記抵抗器を内蔵することを特徴とするものである。
前記抵抗器は、マトリクスコンバータ装置の絶縁耐圧試験に際して半導体スイッチング素子の出力端子間で発生する電圧を当該部間の最大許容電圧以下に抑制することが目的であり、実際の各部浮遊容量値との関係から、数百kオームの高抵抗値であれば十分な電圧抑制効果を発揮することが確認されている。このように、抵抗器として数百kオームの高抵抗値を使用できるので、抵抗器内部の発熱量を抑制して小形で小容量の抵抗器を使用でき、モジュール構造体に内蔵することが可能となる。モジュール構造体に抵抗器を内蔵するので、IGBTトランジスタ等の直列接続部分をモジュールの外部端子とする必要もなくなる。
【0020】
請求項8記載の発明は、交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、接地端子と、逆方向に直列接続された半導体スイッチング素子と前記各半導体スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、前記接地端子と前記各相入力端子および各相出力端子との間の絶縁耐圧試験に際して、前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間のインピーダンスが低減するように切換接続できる手段を備えたことを特徴としている。
マトリクスコンバータ装置の絶縁耐圧試験に際して、インピーダンスが低減するように切換接続し、半導体スイッチング素子の出力端子間に高電圧が発生するのを防止するものである。なお、通常動作中はインピーダンスを低減させる手段は機能していない。このように絶縁耐圧試験に際してインピーダンスが低減するように切換接続するものであるから、インピーダンスを低減させる手段の全てをマトリクスコンバータ装置に内蔵しておく必要はなく、従って、インピーダンスを低減させる手段全体として小形・低コストである必要がなくなる。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明に対して双方向スイッチの構成を変えたものであり、作用効果については請求項8記載の発明と同様である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、マトリクスコンバータ装置に関し、組み立て品の製造品質試験の際、あるいはマトリクスコンバータ装置を機器に据付けた際に行われる絶縁耐圧試験において、マトリクスコンバータ装置内の双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の端子間に最大許容電圧を越える過電圧が印加され、当該半導体スイッチング素子が過電圧破壊するのを、いいかえればマトリクスコンバータ装置が破壊するのを防止できるという効果がある。
【0023】
また、マトリクスコンバータ装置の動作中に双方向スイッチを構成する直列接続された両半導体スイッチング素子がともにオフしている場合には、半導体スイッチング素子の出力端子が電気的に浮いた状態となり、装置内部または外部からの侵入ノイズに対して極めて誤動作し易い不安定な状態になり得るのに対し、このような場合でも当該部を電気的に固定して電気的に浮いた不安定な状態となることを防止し、誤動作を防止できるという効果もある。
また双方向スイッチ群をモジュール構造とした場合にも、特別仕様的なモジュール構造を用いることなく、極めて容易に本発明を実施することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態について図を用いて説明する。
図1には本発明の前提となる一般的なマトリクスコンバータ装置の構成を示している。3相交流電源1、前記交流電源に接続された各相入力端子R、S、T、電動機9、前記電動機に任意の直交流電圧を出力する各相出力端子U、V、W、各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ双方向スイッチS1ないしS9、双方向スイッチS1ないしS9で構成される双方向スイッチ群5を備えたマトリクスコンバータ装置を示したものである。
【実施例1】
【0025】
図5は本発明の第1の実施例を示したものである。図1のマトリクスコンバータ装置を前提に、双方向スイッチS1ないしS9において本発明を実施したものである。双方向スイッチS1を代表例で説明(以下の各実施例においても同様)するが、双方向スイッチS2ないしS9もS1同様の構成となっている。図5に示す双方向スイッチS1は、図17の双方向スイッチ100に対して抵抗器R1およびR2(抵抗値はともにR0とする)を付加した点が異なる。従って共通箇所の器具符号は同じとしている。IGBTトランジスタ102および103の両コレクタ端子と接地端子間の浮遊容量をCm、各コレクタ・エミッタ端子間の浮遊容量をCpsとし、絶縁耐圧試験に際しては相入力端子Rおよび相出力端子Uとが共通接続されるので、抵抗器を含むこれらの電気回路図は図6の構成となる。本発明の作用効果に関する説明を容易にするため、以下の電圧計算式では、図6におけるダイオード104および105の存在は考慮しないこととする。すなわち絶縁耐圧試験に際しては、ダイオード104および105があるため、IGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間に高電圧の発生するのは接地端子106側が正電位となる場合に限られるが、便宜上、ダイオードをないものとして、接地端子側が負電位の場合にもIGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間に高電圧が発生すると考える。このようにすると交流電圧式を用いた簡略的な説明ができるので、抵抗器R1、R2を当該部に接続した意味およびその効果の理解も容易になる。
【0026】
端子Rおよび端子Uと接地端子106との間にAC3000V、60Hzの電圧印加を行うと、IGBTトランジスタ102および103の各コレクタ・エミッタ端子間に発生する最大電圧Vceは、Vce=|√2・3000・Z0/(Z0+1/(j・120・π・Cm))|=√2・3000/√((1+2・Cps/Cm)+1/(60・π・Cm・R0))となる。(但し、Z0=((R0/2)・1/(j・240・π・Cps))/(R0/2+1/(j・240・π・Cps))とする。)
従って、抵抗器がない場合(R0=∞)の√2・3000/(1+2・Cps/Cm)に比べて、前記端子間に発生する電圧を低減できる。
【0027】
なお、図6からも明らかであるが、抵抗器がR1のみの場合、あるいはR2のみの場合も図6と同様な回路構成となるので(但し、抵抗値はR0/2⇒R0となる)、この場合にもコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧を低減できることになる。この場合には、コレクタ・エミッタ端子間で発生する電圧が√2・3000/√((1+2・Cps/Cm)+1/(120・π・Cm・R0))となるので、抵抗器がない場合に比べて、該端子間に発生する電圧は低減される。
なお本実施例では、IGBTトランジスタ102および103のコレクタ端子共通接続部が抵抗器を介して相入力端子Rおよび相出力端子Uに接続されているが、その接続先は前記以外の相入力端子S,T、または相出力端子V,Wのいずれであっても差し支えはない。絶縁耐圧試験に際しては入出力端子が全相一括コモンに共通接続されるからであり、抵抗器が高抵抗値なので、通常運転中において他相から高抵抗値の抵抗器を介して受ける干渉は無視できる程に小さいものだからである。このことは以下の各実施例においても同様である。
【実施例2】
【0028】
図7は本発明の第2の実施例を示したものである。図1のマトリクスコンバータ装置を前提に、双方向スイッチS1ないしS9において本発明を実施したものである。図7に示す双方向スイッチS1は、図18の双方向スイッチ110に対して抵抗器R3およびR4(抵抗値はともにR0とする)を付加した点が異なる。従って共通箇所の器具符号は同じとしている。IGBTトランジスタ112および113のコレクタ端子と接地端子間の各浮遊容量をCm、コレクタ・エミッタ端子間の各浮遊容量をCpsとし、絶縁耐圧試験に際しては相入力端子Rおよび相出力端子Uとが共通接続されるので、抵抗器を含むこれらの電気回路図は、図8に示す構成となる。端子Rおよび端子Uと接地端子との間にAC3000V60Hzの電圧印加を行うと、前記同様の簡略化した計算式によれば、IGBTトランジスタ112および113の各コレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧は、√2・3000/√((1+Cps/Cm)+1/(120・π・Cm・R0))となり、抵抗器がない場合の√2・3000/(1+Cps/Cm)に比べて、該端子間に発生する電圧を低減できる。
なお図8からも明らかであるが、抵抗器R3に代えてダイオード114に並列に抵抗器R5を接続した場合、あるいは抵抗器R4に代えてダイオード115に並列に抵抗器R6を接続した場合、更には抵抗R3ないしR6の全てを接続した場合のいずれにおいても、コレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧を低減できることになる。
【実施例3】
【0029】
図9は本発明の第3の実施例を示したものである。図9に示す双方向スイッチS1は、図19の双方向スイッチ120に対して抵抗器R7およびR8(抵抗値はともにR0とする)を付加した点が異なる。従って共通箇所の器具符号は同じとしている。IGBTトランジスタ121のコレクタ端子と接地端子間の浮遊容量をCm、エミッタ端子と接地端子間の浮遊容量をCn、コレクタ・エミッタ端子間の浮遊容量をCpsとし、絶縁耐圧試験に際しては相入力端子Rおよび相出力端子Uとが共通接続されるので、抵抗器を含むこれらの電気回路図は図10に示す構成となる。
端子Rおよび端子Uと接地端子との間にAC3000V60Hzの電圧印加を行い、接地端子側に対して端子Rおよび端子U側が正電位となる場合には、図10の回路図は図11(a)のように簡略化できる。この場合にIGBTトランジスタ121のコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧は、前記同様の簡略化計算によれば、√2・3000/√((1+Cps/Cn)+1/(120・π・Cn・R0))となり、抵抗器がない場合の√2・3000/(1+Cps/Cn)に比べて、前記端子間に発生する電圧を低減できる。また、接地端子側に対して端子Rおよび端子U側が負電位となる場合には、図11(b)のように簡略化でき、この場合にIGBTトランジスタ121のコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧は、√2・3000/√((1+Cps/Cm)+1/(120・π・Cm・R0))となり、抵抗器がない場合の√2・3000/(1+Cps/Cm)に比べて、前記端子間に発生する電圧を低減できる。
【実施例4】
【0030】
図12は本発明の第4の実施例を示したものである。図12に示す双方向スイッチS1は、図19の双方向スイッチ120に対して抵抗器R9(抵抗値はR0とする)を付加した点が異なる。従って共通箇所の器具符号は同じとしている。IGBTトランジスタ121のコレクタ端子と接地端子間の浮遊容量をCm、エミッタ端子と接地端子間の浮遊容量をCn、コレクタ・エミッタ端子間の浮遊容量をCpsとし、絶縁耐圧試験に際しては相入力端子Rおよび相出力端子Uとが共通接続されるので、抵抗器を含むこれらの電気回路図は図13に示す構成となる。
端子Rおよび端子Uと接地端子との間にAC3000V60Hzの電圧印加を行い、接地端子側に対して端子Rおよび端子U側が正電位となる場合には前記図11(a)の回路図と等価(但し、器具符号R8はR9になる)となる。また、接地端子側に対して端子Rおよび端子U側が負電位となる場合には、前記図11(b)の回路図と等価(但し、器具符号R7はR9になる)になる。従って前記第3の実施例と同様に、IGBTトランジスタ121のコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧を低減できる。
【実施例5】
【0031】
図14は本発明の第5の実施例として、モジュール化された双方向スイッチS1を示したものである。双方向スイッチS1はIGBTトランジスタ131および132のエミッタ端子を共通接続点とする直列接続により構成される。大電流の流れるこの共通接続点はモジュール外部には出ないが、IGBTトランジスタのオンオフ駆動用信号入力端子がこの共通接続点の代用として外部端子化されている。ここで例えばオンオフ駆動用信号入力端子のうちエミッタ側の信号入力端子と相入力端子R、または相出力端子Sとの間に抵抗器またはコンデンサ等で構成される所定のインピーダンス値を有する回路を接続すれば、絶縁耐圧試験に際してIGBT131および132のコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧を低減できる。またIGBTトランジスタのゲート・エミッタ間に前記所定のインピーダンス値よりも小さなインピーダンス値を有する抵抗器等の素子を接続すれば、ゲート側の信号入力端子と相入力端子R、または相出力端子Sとの間に所定のインピーダンス値を有する回路を接続した場合にも、IGBT131および132のコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧を低減できる。
【実施例6】
【0032】
前記実施例1ないし4において、絶縁耐圧試験に際し、IGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間に発生する電圧を低減するための抵抗器は、数百kΩ程度の抵抗値でも十分に機能する。抵抗値が大きくなれば、抵抗器内部で消費される熱エネルギーは少なくて済むので、抵抗器サイズを十分に小さくすることが可能となる。そこで双方向スイッチS1、双方向スイッチS1ないしS3、または双方向スイッチS1ないしS9を一つのモジュールで構成した場合において、前記抵抗器を当該モジュールに内蔵させることが可能となる。内蔵の方法には、モジュール内部の基板に抵抗器が実装される場合だけでなく、例えば、モジュール上蓋としての機能も備えた基板に抵抗器を実装する等の場合も考えられる。
【実施例7】
【0033】
図15はモジュール化された双方向スイッチS1を示したものであり、双方向スイッチS1はIGBTトランジスタ141および142のコレクタ端子を共通接続点とする直列接続により構成され、前記直列接続点を大電流用外部端子としている。この外部端子は主回路基板上に半田接続されており、双方向スイッチS2ないしS9でも同様に、前記直列接続点は主回路基板上に半田接続されている。各双方向スイッチの共通接続点の外部端子は、主回路基板の導体パターン線等を介して図16に示すマトリクスコンバータ装置の外部ケーブル接続用入出力端子部の近くに配列された各ピン端子に各々接続されている。絶縁耐圧試験に際しては、各相入出力端子を一括コモンに共通接続し、更に前記各ピン端子も一括コモンにして各相入出力端子と共通接続する。こうすることで、絶縁耐圧試験に際してIGBTトランジスタの直列接続点と各相入出力端子とのインピーダンスをほぼゼロにでき、IGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間に高電圧が発生するのを防止できる。
なお図18に示す構成の双方向スイッチを用いて、各IGBTトランジスタのコレクタ端子を外部端子とし、これをマトリクスコンバータ装置の入出力端子部の近くに配列された各ピン端子に接続した場合、あるいは図19に示す構成の双方向スイッチを用いてIGBTトランジスタのコレクタ、エミッタ各端子を外部端子とし、前記同様に前記各ピン端子に接続した場合にも、IGBTトランジスタのコレクタ・エミッタ端子間に電圧が発生するのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は多相交流電源を入力とし、直接変換によって任意の多相交流または直流の電圧出力を行うマトリクスコンバータ装置に関するものである。
また本発明は、マトリクスコンバータ装置組み立て品の製造品質試験の際、あるいはマトリクスコンバータ装置を機器に据付けた際に行われる絶縁耐圧試験において、マトリクスコンバータ装置内の双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子に最大許容電圧を越える過電圧が発生し、半導体スイッチング素子が過電圧破壊もしくは劣化するのを防止して、高信頼・高品質のマトリクスコンバータ装置を提供でき、更には、マトリクスコンバータ装置を据えつけた装置全体としての高信頼・高品質化を実現したマトリクスコンバータ装置に関するものである。
また本発明は、マトリクスコンバータ装置の動作中に双方向スイッチを構成する直列接続された両IGBT等がともにオフしてIGBTトランジスタのコレクタまたはエミッタ端子が電気的に浮いた状態となり、装置内部または外部からの侵入ノイズに対して極めて誤動作し易い不安定な状態となる場合にも、当該部を電気的に電位固定して、安定した動作を実現できるマトリクスコンバータ装置に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の前提となる一般的なマトリクスコンバータ装置の構成図
【図2】双方向スイッチを断面構造的に示したもの
【図3】各部間に存在する浮遊容量を考慮した双方向スイッチの回路図
【図4】絶縁耐圧試験時における図3の双方向スイッチの回路図
【図5】本発明の第1の実施例を示したもの
【図6】本発明の第1の実施例における絶縁耐圧試験時の双方向スイッチ部の回路図
【図7】本発明の第2の実施例を示したもの
【図8】本発明の第2の実施例における絶縁耐圧試験時の双方向スイッチ部の回路図
【図9】本発明の第3の実施例を示したもの
【図10】本発明の第3の実施例における絶縁耐圧試験時の双方向スイッチ部の回路図
【図11】図10の回路図を簡略化した回路図
【図12】本発明の第4の実施例を示したもの
【図13】本発明の第4の実施例における絶縁耐圧試験時の双方向スイッチ部の回路図
【図14】本発明の第6の実施例における双方向スイッチモジュール構成図
【図15】本発明の第7の実施例における双方向スイッチモジュール構成図
【図16】本発明の第7の実施例におけるマトリクスコンバータ装置
【図17】双方向スイッチの第1例の回路図
【図18】双方向スイッチの第2例の回路図
【図19】双方向スイッチの第3例の回路図
【符号の説明】
【0036】
1 3相交流電源
5 双方向スイッチ群
9 モータ
11、12 IGBTトランジスタ
13,14 ダイオード
16 絶板(絶縁層)
17 導体パターン
41,42 双方向スイッチの外部端子
43,44 オンオフ駆動用信号入力端子(ゲート側入力端子)
51 銅ベース
52 放熱用フィン
53、106 接地端子
54 接地線
60 マトリクスコンバータ装置
61 外部ケーブル接続用入出力端子部
62 ピン端子
63 オペレータ
100、110、120 双方向スイッチ
102,103、112,113、121 IGBTトランジスタ
131,132,141,142 IGBTトランジスタ
104,105、114,115、122〜125 ダイオード
133,134,143,144 ダイオード
135、145 双方向スイッチS1の外部端子(相入力端子R側)
136、147 双方向スイッチS1の外部端子(相出力端子U側)
137、139、149、150 オンオフ駆動用信号入力端子(ゲート側入力端子)
138、148、151 オンオフ駆動用信号入力端子(エミッタ側入力端子)
140、152 双方向スイッチモジュール
146 共通接続部の外部端子
R、S,T 相入力端子
U,V,W 相出力端子
S1〜S9 双方向スイッチ
R1〜R9 抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、逆方向に直列接続された半導体スイッチング素子と前記各半導体スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項2】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、順方向に直列接続された半導体スイッチング素子とダイオードとの接続体が2個逆並列に接続された双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子とダイオードとの直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項3】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、順方向に直列接続されたダイオードの接続体が2個並列接続された並列接続体と前記並列接続体に逆並列接続された半導体スイッチング素子を備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記双方向スイッチを構成する並列接続体の一方の並列接続点と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器、および前記並列接続体のもう一方の並列接続点と前記相入力端子または相出力端子との間に接続された抵抗器を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項4】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、順方向に直列接続されたダイオードの接続体が2個並列接続された並列接続体と前記並列接続体に逆並列接続された半導体スイッチング素子を備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記双方向スイッチを構成する並列接続体に並列接続された抵抗器を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項5】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、エミッタ端子どおしを共通接続されたIGBTトランジスタの直列接続体と前記各IGBTトランジスタに逆並列接続されたダイオードを備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記双方向スイッチを構成するIGBTトランジスタのオンオフ駆動用信号入力端子と前記相入力端子または相出力端子との間に接続されたインピーダンス低減手段を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項6】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、IGBTトランジスタのエミッタ端子とダイオードのアノード端子が接続されたIGBTトランジスタおよびダイオードによる直列接続体が2個逆並列に接続された双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記双方向スイッチを構成するIGBTトランジスタのオンオフ駆動用信号入力端子と前記相入力端子または相出力端子との間に接続されたインピーダンス低減手段を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項7】
前記双方向スイッチ群を内蔵するモジュール構造体を備え、
前記モジュール構造体は前記抵抗器を内蔵することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のマトリクスコンバータ装置。
【請求項8】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、接地端子と、逆方向に直列接続された半導体スイッチング素子と前記各半導体スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記接地端子と前記各相入力端子および各相出力端子との間の絶縁耐圧試験に際して、前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子の直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間のインピーダンスが低減するように切換接続できる手段を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項9】
交流電源に接続される各相入力端子と、任意の直交流電圧を出力する各相出力端子と、接地端子と、順方向に直列接続された半導体スイッチング素子とダイオードとの接続体が2個逆並列に接続された双方向スイッチと、前記各相入力端子と各相出力端子との間を繋ぐ各前記双方向スイッチで構成される双方向スイッチ群を備え、前記双方向スイッチ群をPWM制御して前記交流電源電圧を任意の直交流電圧に変換して前記各相出力端子から出力するマトリクスコンバータ装置において、
前記接地端子と前記各相入力端子および各相出力端子との間の絶縁耐圧試験に際して、前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチング素子とダイオードとの直列接続部と前記相入力端子または相出力端子との間のインピーダンスが低減するように切換接続できる手段を備えたことを特徴とするマトリクスコンバータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−43795(P2007−43795A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223761(P2005−223761)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】