説明

マニピュレータ及びこれを用いたマニピュレーション装置

【課題】簡易でかつ新規な構造を持つ、屈曲動作が可能なマニピュレータを提供する。
【解決手段】第1駆動シャフト101は、それ自身の中心軸を中心として回動する。第2フレーム104は、第1フレーム102に対して回動する。第1フェースギヤ部材103は、第1駆動シャフト101により、正逆方向に回転駆動される。第3フレーム108は、第2フレーム104に対して回動する。第1ギヤ部材105は、第2フレーム104に固定されている。第1ギヤ部材105及び第2ギヤ部材106は、いずれも、第1フェースギヤ部材103によって回転駆動される。第2フレーム104は、第1ギヤ部材105の回動に伴って回動する。第3ギヤ部材107は、第2ギヤ部材106によって回転駆動される。第3ギヤ部材107は、第3フレーム108に固定されている。第3フレーム108は、第3ギヤ部材107の回動に伴って回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作を屈曲動作に変換することが可能なマニピュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、内視鏡を用いた手術においては、人体における狭小空間内での微細な作業が必要とされる。このような作業のためには、従来から、複数の自由度を持つマニピュレータを用いている。他にも、人の手を入れることができないほどに狭い空間内での操作や、危険区域(例えば被爆のおそれがある場所)での操作のために、マニピュレータを用いることがある。
【0003】
このような用途のマニピュレータの主な動作方式としては、従来から、以下の三種類が知られている。
・ワイヤ駆動式、
・リンク駆動式、
・ギヤ駆動式。
【0004】
ワイヤ駆動式のマニピュレータ(下記特許文献1及び3参照)は、小型化や多自由度化への対応が容易である。しかしながら、この方式においては、ワイヤの延びや断線によって制御困難になる可能性があり、安全確保のための対策が必要になる。このため、この方式では、安全確保のために、動作制御系などの周辺機器が大型化あるいは複雑化するという問題がある。
【0005】
リンク駆動式のマニピュレータ(下記特許文献5〜7参照)は、リンク機構を用いて動作を行うものである。この方式においては、操作対象に対して強い力を加えることができる。しかしながら、この方式では、リンク機構における関節部が、繰り返し使用によって緩んだり、遊びが生じる可能性があり、特に、小型化した場合に、耐久性を高めることが難しいという問題がある。
【0006】
ギヤ駆動式のマニピュレータ(下記特許文献1〜4参照)は、駆動方向の設定や多自由度化が比較的容易であり、しかも、小型化が容易であるという利点がある。しかしながら、この方式では、必要な部品要素の数が多くなりがちである。特に、ギヤが多くなると、バックラッシ(backlash)の解消が難しくなり、その結果、精密な動作が困難になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−122286号公報
【特許文献2】特開2007−152028号公報
【特許文献3】特開2008−161970号公報
【特許文献4】特開2008−307310号公報
【特許文献5】特開2005−169011号公報
【特許文献6】特開2004−154877号公報
【特許文献7】特開2003−38501号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】http://www.intuitivesurgical.com/products/endowrist_instruments/index.aspx
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の現状に鑑みてなされたものである。本発明は、簡易でかつ新規な構造を持つ、屈曲動作が可能なマニピュレータを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決する手段は、以下の項目のように記載できる。
【0011】
(項目1)
回転動作を屈曲動作に変換できるマニピュレータであって、
第1駆動シャフトと、第1フレームと、第1フェースギヤ部材と、第2フレームと、第1ギヤ部材と、第2ギヤ部材と、第3ギヤ部材と、第3フレームとを備えており、
前記第1駆動シャフトは、それ自身の中心軸を中心として回動できる構成となっており、
前記第2フレームは、前記第1フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1フェースギヤ部材は、前記第1駆動シャフトにより、前記第1駆動シャフトの中心軸を中心として、前記第1フレームに対して、正逆方向に回転駆動される構成となっており、
前記第3フレームは、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1ギヤ部材は、前記第2フレームに固定されており、
かつ、前記第1ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第2ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第3ギヤ部材は、前記第2ギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
かつ、前記第3ギヤ部材は、前記第3フレームに固定されており、
前記第3フレームは、前記第3ギヤ部材の回動に伴って回動する構成となっている
ことを特徴とするマニピュレータ。
【0012】
第1駆動シャフトを回転操作すると、第1フェースギヤ部材が回転する。すると、第1ギヤ部材が回転し、これに固定された第2フレームが回転する。さらに、第1フェースギヤ部材の回転に伴って、第2ギヤ部材が回転し、さらに、第3ギヤ部材が回転する。すると、第3ギヤ部材に固定された第3フレームが回転する。したがって、第3フレームに、1自由度での屈曲動作を行わせることができる。また、第1〜第3ギヤ部材のピッチ半径の比を設定することにより、第1駆動シャフトの回転量と第3フレームの移動量(傾き角度)との比を適宜に設定することができる。
【0013】
(項目2)
前記第2ギヤ部材のピッチ半径は、前記第1ギヤ部材及び前記第3ギヤ部材のピッチ半径よりも小さくされており、
前記第1フェースギヤ部材は、前記第1ギヤ部材とかみ合う第1フェースギヤ部と、前記第2ギヤ部材とかみ合う第2フェースギヤ部とを備えており、
前記第2フェースギヤ部は、前記第1フェースギヤ部よりも、前記第2ギヤ部材の方向に突出されている
項目1に記載のマニピュレータ。
【0014】
第2ギヤ部材のピッチ半径を小さくすることにより、第2ギヤ部材を小型化でき、第3フレームの回動量(回転角)を大きくすることが容易となる。また、第2ギヤを小型化した分、第2フェースギヤ部を第2ギヤの方向に突出させることで、両者のかみ合いを確保できる。また、第3ギヤのピッチ半径を第2ギヤのピッチ半径より大きくすることにより、第3フレームの傾斜角が過剰になることを防ぎ、第3フレームが他の部材に干渉する可能性を減らすことができる。
【0015】
(項目3)
前記第2ギヤ部材は、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられている
項目1又は2に記載のマニピュレータ。
【0016】
前記第2ギヤ部材を前記第2フレームに回動可能な状態で取り付けることによって、第2フレームの傾斜角に拘わらず、第2ギヤ部材を回動させることができる。
【0017】
(項目4)
前記第3ギヤ部材は、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられている
項目1〜3のいずれか1項に記載のマニピュレータ。
【0018】
前記第3ギヤ部材を前記第2フレームに回動可能な状態で取り付けることによって、第2フレームの傾斜角に拘わらず、第3ギヤ部材を回動させることができる。したがって、第2フレームに対する第3フレームの傾斜角を、第1フレームに対する第2フレームの傾斜角とは独立して設計することができる。
【0019】
(項目5)
前記第1ギヤ部材の回転軸と、前記第2ギヤ部材の回転軸と、前記第1フレームに対する前記第2フレームの回転軸とは、同軸とされている
項目1〜4のいずれか1項に記載のマニピュレータ。
【0020】
これらを同軸とすることにより、省スペース化、設計及び製作の容易化、並びに、パーツ数の低減を図ることができる。
【0021】
(項目6)
回転動作を、複数方向への屈曲動作に変換できるマニピュレータであって、
第1駆動シャフトと、第1フレームと、第1フェースギヤ部材と、第2フレームと、第1ギヤ部材と、第2ギヤ部材と、第3ギヤ部材と、第3フレームと、第2駆動シャフトと、第2フェースギヤ部材と、第4フレームと、第4ギヤ部材と、第5ギヤ部材と、第6ギヤ部材と、第5フレームと、可撓性連結具とを備えており、
前記第1駆動シャフトは、それ自身の中心軸を中心として回動できる構成となっており、
前記第2フレームは、前記第1フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1フェースギヤ部材は、前記第1駆動シャフトにより、前記第1駆動シャフトの中心軸を中心として、前記第1フレームに対して、正逆方向に回転駆動される構成となっており、
前記第3フレームは、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1ギヤ部材は、前記第2フレームに固定されており、
かつ、前記第1ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第2ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第3ギヤ部材は、前記第2ギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
かつ、前記第3ギヤ部材は、前記第3フレームに固定されており、
前記第3フレームは、前記第3ギヤ部材の回動に伴って回動する構成となっている
前記第2駆動シャフトは、前記第1駆動シャフトと同軸で回動できる構成となっており、
前記第4フレームは、前記第3フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記可撓性連結具は、前記第2駆動シャフトに取り付けられており、
かつ、前記可撓性連結具は、前記第2駆動シャフトの回転に伴って、前記可撓性連結具自体の中心軸を中心として自転する構成となっており、
前記第2フェースギヤ部材は、前記可撓性連結具により、前記第3フレームに対して、正逆方向に回転駆動される構成となっており、
前記第5フレームは、前記第4フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第4ギヤ部材は、前記第4フレームに固定されており、
かつ、前記第4ギヤ部材は、前記第2フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第5ギヤ部材は、前記第2フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第6ギヤ部材は、前記第5ギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
かつ、前記第6ギヤ部材は、前記第5フレームに固定されており、
前記第5フレームは、前記第6ギヤ部材の回動に伴って回動する構成となっている
ことを特徴とするマニピュレータ。
【0022】
このマニピュレータにおいては、第1駆動シャフトと第2駆動シャフトとをそれぞれ操作することで、第3フレームと第5フレームとを独立に回動させることができる。第3フレームの回動方向と第5フレームの回動方向を異ならせることにより、2自由度での屈曲操作が可能になる。
【0023】
(項目7)
項目1〜6のいずれか1項に記載のマニピュレータと、少なくとも前記第1駆動シャフトを回転駆動するアクチュエータとを備えたマニピュレーション装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡易でかつ新規な構造を持つ、屈曲動作が可能なマニピュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマニピュレータの分解斜視図である。
【図2】図1のマニピュレータの斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2の側面図、図3(b)は図2の平面図である。
【図4】図1のマニピュレータに用いる第2フレームの拡大斜視図である。
【図5】図1のマニピュレータに用いる第1フェースギヤ部材の拡大斜視図である。
【図6】図6(a)は図1のマニピュレータの要部拡大図、図6(b)は図6(a)の側面図、図6(c)は図6(a)の背面図である。
【図7】図1のマニピュレータに用いる第3フレームの拡大斜視図である。
【図8】図8(a)は、図6(a)に相当する部分を示す動作説明図である。図8(b)は図8(a)の背面図である。
【図9】図8の斜視図である。
【図10】図1のマニピュレータを操作した状態における斜視図である。
【図11】図11(a)は図10の右側面図、図11(b)は図10の平面図、図11(c)は図10の左側面図である。
【図12】図1のマニピュレータを操作した状態における斜視図である。
【図13】図13(a)は図12の右側面図、図13(b)は図12の平面図、図13(c)は図12の左側面図である。
【図14】図1のマニピュレータにおいて、ホルダ及びカバー部材を除外して内部を露出させた状態における斜視図である。
【図15】図14のマニピュレータを操作した状態における斜視図である。
【図16】図14のマニピュレータを操作した状態における斜視図である。
【図17】図17(a)は図15の平面図、図17(b)は図14の平面図、図17(c)は図16の平面図である。
【図18】図18(a)は図17(c)の背面図、図18(b)は図17(b)の背面図、図18(c)は図17(a)の平面図である。
【図19】第1フェースギヤ部材の作製方法の一例を説明するための説明図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係るマニピュレータの分解斜視図である。
【図21】図20のマニピュレータの斜視図である。
【図22】図21の側面図である。
【図23】図21の平面図である。
【図24】図21の拡大正面図(先端方向から見た図)である。
【図25】図20のマニピュレータに用いる第3フレームの拡大斜視図である。
【図26】図20のマニピュレータの第1及び第2駆動シャフト部分における拡大横断面図である。
【図27】図27(a)は図20のマニピュレータを操作した状態におけるの要部拡大図、図27(b)は、図27(a)におけるトルクコイル(可撓性連結具の一例)のみを取り出した状態での説明図である。
【図28】図26(a)に示すマニピュレータにおいて、内部を露出させた状態での斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るマニピュレータを、図1〜図19を参照しながら説明する。本実施形他のマニピュレータは、回転動作を屈曲動作に変換するためのものである。
【0027】
(マニピュレータの構成)
本実施形態のマニピュレータ100は、第1駆動シャフト101と、第1フレーム102と、第1フェースギヤ部材103と、第2フレーム104と、第1ギヤ部材105と、第2ギヤ部材106と、第3ギヤ部材107と、第3フレーム108と、カバー部材109と、ホルダ110と、エンドエフェクタ115とを備えている(図1〜図3参照)。
【0028】
第1駆動シャフト101は、それ自身の中心軸を中心として回動できる構成となっている。具体的には、この実施形態では、第1駆動シャフト101に駆動部1(図2参照)が接続されており、駆動部1によって、正逆方向に、回転駆動されるようになっている。駆動部1は、第1駆動シャフト101を回転させるためのアクチュエータ11と、アクチュエータ11の動作を制御する制御部12とを備えている(図2参照)。制御部12としては、例えば、アクチュエータ11との間での適宜なインタフェース(図示せず)を有するパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0029】
第1駆動シャフト101の端部(図1において左端)には、第1フェースギヤ部材103を回転駆動するための突出部1011及び1012が形成されている。
【0030】
第1フレーム102の端部には、後述する第1ピン111及び第2ピン112を取り付けるための挿通孔1021及び1022が形成されている。
【0031】
第2フレーム104(図4参照)には、第1ピン111及び第3ピン113を取り付けるためのピン取付穴1041及び1042が形成されており、これらのピンによって、第1フレーム102に、回動可能な状態で取り付けられている。
【0032】
また、第2フレーム104には、第3フレームを取り付けるためのピン取付穴1043及び1044が形成されている(後述)。
【0033】
第1フェースギヤ部材103(図5参照)は、第1駆動シャフト101により、第1駆動シャフト101の中心軸を中心として、第1フレーム102に対して、正逆方向に回転駆動される構成となっている。
【0034】
より具体的には、第1フェースギヤ部材103は、第1ギヤ部材105とかみ合う第1フェースギヤ部1031と、第2ギヤ部材106とかみ合う第2フェースギヤ部1032とを備えている。第2フェースギヤ部1032は、第1フェースギヤ部1031よりも、第2ギヤ部材106の方向に突出されている。
【0035】
この実施形態では、第2ギヤ部材106のピッチ半径は、第1ギヤ部材105のピッチ半径の半分となっており、両ピッチ半径における差分だけ、第2フェースギヤ部1032が突出させられている。したがって、この実施形態においては、第1フェースギヤ部1031と第2フェースギヤ部1032との間に段差が形成されている(図5及び図6参照)。第2ギヤ部材106のピッチ半径をRとすると、この実施形態における第1ギヤ部材105のピッチ半径は2Rであり、両者間の差分はRとなる。
【0036】
第3フレーム108(図7参照)は、第2フレーム104に、回動可能な状態で取り付けられている。具体的には、第3フレーム108は、第2ピン112及び第4ピン114を取り付けるためのピン挿通孔1081及び1082を備えている。これらのピン挿通孔1081及び1082は、第2ピン112及び第4ピン114を介して、前記した第2フレーム104のピン取付穴1043及び1044に取り付けられている。
【0037】
第1ギヤ部材105は、第2フレーム104に固定されている。より具体的には、第1ギヤ部材105は、ギヤ部1051と、二つの貫通孔1052及び1053を備えている。貫通孔1052には、第1ピン111が取り付けられ、貫通孔1053には、第2ピン112が取り付けられている。これら2本のピンにより、第1ギヤ部材105が第2フレーム104に固定されている。
【0038】
第1ギヤ部材105のギヤ部1051は、第1フェースギヤ部材103の第1フェースギヤ部1031(図5参照)とかみ合っており、これにより、第1ギヤ部材105が、第1フェースギヤ部材103によって回転駆動されるようになっている。
【0039】
第2ギヤ部材106は、いわゆるピニオンギヤとして用いられるギヤであり、その中心に貫通孔1061を備えている。第2ギヤ部材106は、その貫通孔1061を介して、第3ピン113により、第2フレーム104に、回転自在に取り付けられている。第2ギヤ部材106は、第1フェースギヤ部材103の第2フェースギヤ部1032(図5参照)とかみ合っている。この構成により、この実施形態では、第2ギヤ部材106が第1フェースギヤ部材103によって回転駆動されるようになっている。
【0040】
第3ギヤ部材107は、第2ギヤ部材106によって回転駆動される構成となっている。より具体的には、第3ギヤ部材107は、ギヤ部1071と貫通孔1072とを備えている。第3ギヤ部材107は、貫通孔1072を介して、第4ピン114により、第2フレーム104に回動可能なように取り付けられている。第3ギヤ部材107のギヤ部1071は、第2ギヤ部材106とかみ合っており、第2ギヤ部材106によって回転駆動されるようになっている。第3ギヤ部材107のピッチ半径は、第1ギヤ部材105と同様にRとされている。つまり、第3ギヤ部材107のピッチ半径は、第2ギヤ部材106のピッチ半径の2倍となっている。
【0041】
さらに、第3ギヤ部材107は、第3フレーム108に固定されている。具体的には、第3ギヤ部材107における、ギヤ部1071と反対側の端部は、第3フレーム108に、適宜な手段で固定されている。ここで固定とは、両者間の相対移動が、回転力の伝達に必要な程度に規制されていることを言い、物理的に厳密な意味で固定されている必要はない。例えば、第3ギヤ部材107の端部を収納できる凹部を第3フレーム108の内面に形成することにより、このような意味での固定を行うことができる。
【0042】
このようにして、第3フレーム108は、第3ギヤ部材107の回動に伴って回動する構成となっている。なお、マニピュレータの動作については追って詳しく説明する。
【0043】
カバー部材109は、第1フレーム102を覆うように配置されており、内部機構を見えにくくしている(図3参照)。
【0044】
ホルダ110は、円筒状に形成されており、その内部に第2フレーム104を収納できるようになっている。ホルダ110の内面には、軸方向に沿って延長された二つの凹部1101及び1102が形成されており、これらの内部に第1〜第4ピン111〜114の頭部を収納できるようになっている。
【0045】
エンドエフェクタ115は、第3フレーム108に取り付けられている。エンドエフェクタ115としては、マニピュレータの用途に応じて、各種のもの、例えば内視鏡、鉗子、電気メス、レーザ、超音波メス、カテーテルなどを用いることができる。また、医療用以外の工具や装置をエンドエフェクタとして用いることも可能である。さらに、本実施形態では、マニピュレータの内部が空洞となっているので、その空洞を利用して、エンドエフェクタの動作に必要な配線を配置することができるという利点もある。
【0046】
(第1実施形態の動作)
次に、本実施形態に係るマニピュレータ100の動作をする。まず、駆動部1のアクチュエータ11により、第1駆動シャフト101を軸回りに回転させる(図2参照)。なお、人力により第1駆動シャフト101を回転させることも可能である。
【0047】
すると、第1駆動シャフト101に連結された第1フェースギヤ部材103が、軸回りに回転する。
【0048】
すると、第1フェースギヤ部材103にかみ合っている第1ギヤ部材105と第2ギヤ部材106とが、いずれも、第1フェースギヤ部材103の回転に同期して回転する(図6参照)。
【0049】
まず、第1ギヤ部材105については、図8(a)に示されているように、第1フェースギヤ部材103の回転に伴って、角度θだけ回転したとする。このとき、第1ギヤ部材105に固定されている第2フレーム104は、第1フレーム102に対して、角度θだけ傾斜する。
【0050】
一方、第2ギヤ部材106については、図8(b)に示されているように、角度2θだけ回転する。これは、第1ギヤ部材105のピッチ半径と第2ギヤ部材106のピッチ半径との比を2:1としたためである。もちろん、2:1以外のピッチ円半径比を採用することも可能である。ここで、第2ギヤ部材106は、第2フレーム104の傾斜とは関係なく、回転することができる。
【0051】
すると、第2ギヤ部材106にかみ合っている第3ギヤ部材107は、第2ギヤ部材106とは逆方向に、角度θだけ回転する。第3ギヤ部材107が角度θだけ回転するのは、第2ギヤ部材106のピッチ半径と第3ギヤ部材107のピッチ半径との比を1:2としたためである。もちろん、1:2以外の減速比ないしピッチ円半径比を採用することも可能である。
【0052】
これにより、第3ギヤ部材107に固定されている第3フレーム108は、第2フレーム104に対して角度θだけ傾斜する(図8(b)参照)。したがって、第3フレーム108に固定されているエンドエフェクタ115は、θ+θ=2θ分だけ、第1フレーム102に対して傾斜することができる。
【0053】
第1駆動シャフト101を逆方向に回転させれば、前記と同様の動作により、エンドエフェクタ115は、逆方向に傾斜する。
【0054】
本実施形態によれば、第1駆動シャフト101の回転角を調整することにより、エンドエフェクタ115の傾斜角θを調整することができる(図9〜図18参照)。
【0055】
本実施形態では、第2ギヤ部材106のピッチ半径を、第1ギヤ部材105及び第3ギヤ部材107のピッチ半径よりも小さくしているので、第2ギヤ部材106を小型化することができる。第2ギヤ部材106が大きい場合は、第2ギヤ部材106と第3フレーム108との干渉により、第3フレーム108の傾斜角が制約される可能性がある。本実施形態では、第2ギヤ部材106の小型化により、第3フレーム108、ひいてはエンドエフェクタ115が傾斜できる範囲を広くすることができる。
【0056】
さらに、本実施形態では、第2ギヤ部材106を、第2フレーム104に、回動可能な状態で取り付けたので、前記したとおり、第2フレーム104の傾斜に関係なく、第2ギヤ部材106を回転させることができる。このようにして本実施形態では、回転運動を、自由度1の屈曲運動に変換することができる。
【0057】
また、本実施形態では、第3ギヤ部材107を、第2フレーム104に、回動可能な状態で取り付けたので、第2フレーム104の傾斜に関係なく、第3ギヤ部材107を回転させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、第1ギヤ部材105の回転軸と、第2ギヤ部材106の回転軸とを同軸としているので、これらのギヤのためのピンを用いて、第2フレーム104を第1フレーム102に取り付けることができる。これにより、第1フレーム102に対する第2フレーム104の回転軸を、これらギヤ部材の回転軸と同軸とすることができる。つまり、本実施形態では、第1ギヤ部材105の回転軸と第2フレーム104の回転軸とにおいて、一つのピン111を共用し、第2ギヤ部材106の回転軸と第2フレーム104の回転軸とにおいて、他の一つのピン113を共用している。この構成により、本実施形態では、省スペース化、すなわち、マニピュレータの小型化を図ることができる。また、このように同軸とすることにより、設計及び製作の容易化、並びに、パーツ数の低減を図ることができる。さらには、本実施形態では、これらの回転軸を同軸としつつ、ピン111とピン113とを別体としているので、これらのピンの間に、物品を挿通させることができる。上記と同じ目的で、本実施形態では、ピン112とピン114とを同軸として、複数の回転軸において共用するとともに、これらを別体としている。
【0059】
また、本実施形態では、動力伝達に要する部品点数が少ないため、製作、組み立て及びメンテナンスを簡便とすることができるという利点もある。しかも、組み立てには特殊の工具を基本的に必要としないので、組み立てが一層容易になる。
【0060】
さらに、本実施形態では、駆動部1のアクチュエータ11と第1駆動シャフト101との着脱を可能とするための各種の着脱機構(図示せず)を用いることができる。ここで、本実施形態では、第1駆動シャフト101を単に回転駆動できればよいため、着脱機構として、各種のものを用いることができ、しかも、その機構を単純とすることができる。また、アクチュエータ11と第1駆動シャフト101との接続を切り離すことにより、例えば非常時における手動での操作を容易に行うことができる。
【0061】
本実施形態の第1フェースギヤ部材103の歯厚あるいは歯幅を大きくすることにより、ギヤのかみ合い部分における伸びや変形を小さく抑えることができる。
【0062】
さらには、歯車を構成する各部品の材質変更、これらへの焼き入れ処理、あるいは表面処理を行うことにより、部品の性能を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、第1駆動シャフト101を第1フェースギヤ部材103の方向に押しつけながら回転させることにより、駆動時の遊びやバックラッシュを防止でき、エンドエフェクタ115の位置精度を向上させることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、駆動力を伝達する各要素が基本的には全て同軸上に配置されるため、アクチュエータ11や制御部12の構成を小型化あるいは単純化することができる。
【0065】
なお、前記実施形態では、第1フェースギヤ部材103の第1フェースギヤ部1031と第2フェースギヤ部1032との間に段差を形成しているが、第1ギヤ部材105及び第2ギヤ部材106のピッチ半径を等しくすれば、段差をなくすことができる。段差が形成されている場合は、第1駆動シャフト101の回転角は、最大でも180°であるが、段差をなくすことにより、180°以上の角度で回転させることができる。ただし、第1ギヤ部材105及び第2ギヤ部材106のピッチ半径を等しくすると、第2ギヤ部材106が大型化するという問題も発生する。
【0066】
(第1フェースギヤ部材の作製方法)
ここで、第1フェースギヤ部材103の作製方法の一例を、図19を参照しながら説明する。この第1フェースギヤ部材103は、円筒状のベース1033と、ラック部材1034とから構成されている。ラック部材1034は、第1フェースギヤ部1031と、第2フェースギヤ部1032とを備えている。
【0067】
この作製方法においては、金属板を加工することにより、平板状のラック部材1034を作成する。ついで、ラック部材1034を、円筒状のベース1033の外周に巻き付ける。これにより、第1実施形態における第1フェースギヤ部材103を得ることができる。
【0068】
この作製方法によれば、ラック部材1034の作製が容易であるという利点がある。また、ラック部材1034をベース1033に取り付けることによって第1フェースギヤ部材103を得ることができるので、第1フェースギヤ部材103の作製が容易である。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るマニピュレータ200を、図20〜図28を参照しながら説明する。第2実施形態のマニピュレータ200は、第1実施形態におけるマニピュレータ構造を同軸で接続することにより、2自由度での屈曲を達成するものである。なお、第2実施形態の説明においては、前記した第1実施形態と基本的に共通する構成要素については、同一符号を用いることにより、説明の煩雑を避ける。
【0070】
本実施形態のマニピュレータ200は、図20〜図24に示されるように、第1実施形態のマニピュレータ100と同様に、第1駆動シャフト101と、第1フレーム102と、第1フェースギヤ部材103と、第2フレーム104と、第1ギヤ部材105と、第2ギヤ部材106と、第3ギヤ部材107と、カバー部材109と、ホルダ110と、エンドエフェクタ115とを備えている(図20参照)。これらの要素は、基本的に、第1実施形態と同様である。
【0071】
さらに、本実施形態のマニピュレータ200では、第1実施形態の第3フレーム108に代えて、第3フレーム208(図25参照)が用いられている。第3フレーム208は、既に説明したピン挿通孔1081及び1082(図7参照)とは反対側の位置に、ピン挿通孔2083及び2084を備えている。ピン挿通孔2083及び2084は、ピン挿通孔1081及び1082に対して、軸回りに90°回転した位置に形成されている。
【0072】
さらに、本実施形態のマニピュレータ200は、第2駆動シャフト201と、第2フェースギヤ部材202と、第4フレーム203と、第4ギヤ部材204と、第5ギヤ部材205と、第6ギヤ部材206と、第5フレーム207と、トルクコイル(可撓性連結具の一例)209と、ホルダ210を備えている(図20〜図24参照)。
【0073】
第2駆動シャフト201は、第1駆動シャフト101の内部に配置されており、これと同軸で回動できる構成となっている(図26参照)。第2駆動シャフト201の回動は、第1実施形態と同様に駆動部1で行うこともできるし、操作者の手動によって行うこともできる。第2駆動シャフト201の内径φ(図26参照)は、この実施形態では、例えば1mmとされているが、これに限るものではない。この内径を利用して、配線その他の部品を、第2駆動シャフト201の内部に配置することができる。
【0074】
第4フレーム203は、第3フレーム208に、回動可能な状態で取り付けられている。より詳しくは、第4フレーム203は、第2フレーム104と同様に、ピン取付穴2031〜2034を備えている。そして、第4フレーム203のピン取付穴2031及び2032は、第5ピン211及び第7ピン213を介して、第3フレーム208のピン挿通孔2083及び2084に取り付けられている。
【0075】
トルクコイル209は、第2駆動シャフト201の先端に取り付けられている。トルクコイル209は、第2駆動シャフト201の回転に伴って、トルクコイル209自体の中心軸を中心として自転する構成となっている。トルクコイル209は、湾曲した状態で、それ自身の中心軸を中心として回転することができるものである。
【0076】
第2フェースギヤ部材202は、トルクコイル209により、第3フレーム208に対して、正逆方向に回転駆動される構成となっている。第2フェースギヤ部材202の具体的な構成は、前記した第1フェースギヤ部材103と同様なので、これについての詳しい説明は省略する。
【0077】
第5フレーム207は、第4フレーム203に、回動可能な状態で取り付けられている。具体的には、第5フレーム207は、対向して形成された二つのピン挿通孔2071(図20においては一つのみ示している)を備えている。そして、これらのピン挿通孔2071は、第6ピン212及び第8ピン214を介して、第4フレーム203のピン取付穴2033及び2034に取り付けられている。
【0078】
第4ギヤ部材204は、第5ピン211及び第6ピン212により、第4フレーム203に固定されている。さらに、第4ギヤ部材204は、第2フェースギヤ部材202によって回転駆動される構成となっている。具体的には、第4ギヤ部材204は、第2フェースギヤ部材202にかみ合うギヤ部2041を備えている。
【0079】
第5ギヤ部材205は、第2フェースギヤ部材202とかみ合っており、これによって回転駆動される構成となっている。
【0080】
第6ギヤ部材206は、第5ギヤ部材205によって回転駆動される構成となっている。具体的には、第6ギヤ部材206は、第5ギヤ部材205とかみ合うギヤ部2061を備えている。
【0081】
さらに、第6ギヤ部材206は、第5フレーム207に固定されている。この構成により、第5フレーム207は、第6ギヤ部材206の回動に伴って回動する構成となっている。
【0082】
ホルダ210は、第4フレーム203の外側に配置されている。ホルダ210の内面には、凹部2101及び2102が形成されている。これら凹部2101及び2102の内部には、前記した第5〜第8ピン211〜214の頭部が収納されている。
【0083】
さらに、本実施形態のエンドエフェクタ115は、第5フレーム207に取り付けられている。
【0084】
前記した組み立て状態は、トルクコイル209を用いる点を除き、第1実施形態のマニピュレータと基本的に同様である。
【0085】
(第2実施形態の動作)
つぎに、第2実施形態に係るマニピュレータの動作を説明する。
【0086】
第1駆動シャフト101を回転させると、第1実施形態において既に説明したように、第3フレーム208が正逆方向に回動する。したがって、第1駆動シャフト101を所定角度だけ回転させることにより、第3フレーム208を介して、エンドエフェクタ115を傾斜させることができる。これにより、第1駆動シャフト101の回転動作を、エンドエフェクタ115の屈曲動作に変換することができる。これによって1自由度を得ることができる。
【0087】
一方、第2駆動シャフト201を回転させると、トルクコイル209を介して、第2フェースギヤ部材202を回転させることができる。この実施形態では、可撓性のあるトルクコイル209によって第2駆動シャフト201と第2フェースギヤ部材202とを接続しているので、第3フレーム208が傾斜した状態であっても、第2フェースギヤ部材202を回転させることができる。
【0088】
第2フェースギヤ部材202が回転すると、これにかみ合う第4ギヤ部材204と第5ギヤ部材205とが回転する。すると、第4ギヤ部材204に固定された第4フレーム203を傾斜させることができる。さらに、第5ギヤ部材205にかみ合う第6ギヤ部材206の回転により、第5フレーム207を傾斜させることができる。これにより、第5フレーム207に取り付けられたエンドエフェクタ115を傾斜させることができる。すなわち、第2駆動シャフト201の回転動作を、エンドエフェクタ115の屈曲動作に変換することができる。この屈曲動作における屈曲の方向(回転平面)は、第1駆動シャフト101の回転によるものとは異なるので、これによって、他の1自由度を得ることができる。すなわち、第2実施形態のマニピュレータ200では、2自由度の屈曲動作を達成することができる。
【0089】
つまり、第2実施形態では、エンドエフェクタ115を、独立した二つの方向に屈曲させることができる。
【0090】
また、第2実施形態では、第3フレーム208におけるピン挿通孔2083及び2084の位置を調整することにより、二つの屈曲方向における回転平面のなす角度を、0°〜180°の間で適宜に調整することができるという利点もある。
【0091】
さらに、第2実施形態では、第1駆動シャフト101と第2駆動シャフト201とを独立して操作することにより、第1〜第5フレームの屈曲姿勢として、比較的に複雑なもの、例えばS字姿勢を取らせることも可能である。
【0092】
第2実施形態における他の構成及び利点は、前記した第1実施形態と基本的に同様なので、これ以上の説明は省略する。
【0093】
なお、前記した各実施形態の構成は、本発明の例示に過ぎず、本発明の内容を制限する趣旨のものではない。
【0094】
例えば、前記した第2実施形態では、屈曲方向についての2自由度を得ているが、同様の構造を接続することで、3以上の自由度を得ることができる。しかも、基本的に同様の部品を追加することによって自由度を追加することができるので、製作コストを低く抑えることができ、しかも、組み立てを容易に行うことができる。また、予備部品の管理が容易であり、メンテナンスコストの低減を図ることができる。
【0095】
また、前記した第2実施形態では、可撓性連結具としてトルクコイルを用いたが、これに限るものではない。要するに、第2駆動シャフトの回転力を、傾斜した状態の第2フェースギヤ部材に伝達できる部材であれば、各種のものを用いることができる。例えば、トルクコイルと同じようにトルクを伝達できる可撓性連結具としてトルクロープを用いることができる。通常のステンレスワイヤなどは、捻るとそのまま撚れてしまうが、トルクロープでは、特殊な編み方をしているため、回転トルクをそのまま伝達できる。但し、トルクロープは、中空ではなく中実なので、エンドエフェクタ用の配線をその内部に収納することが難しい。但し、エンドエフェクタ部分に特に機能を持たせず、屈曲だけを実現するのであれば、トルクロープを用いることによって可撓性連結具を細くすることができ、小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 駆動部
11 アクチュエータ
12 制御部
100 マニピュレータ
101 駆動シャフト
102 第1フレーム
103 第1フェースギヤ部材
1031 第1フェースギヤ部
1032 第2フェースギヤ部
104 第2フレーム
105 第1ギヤ部材
106 第2ギヤ部材
107 第3ギヤ部材
108 第3フレーム
109 カバー部材
110 ホルダ
111 第1ピン
112 第2ピン
113 第3ピン
114 第4ピン
115 エンドエフェクタ
200 マニピュレータ
201 第2駆動シャフト
202 第2フェースギヤ部材
203 第4フレーム
204 第4ギヤ部材
205 第5ギヤ部材
206 第6ギヤ部材
207 第5フレーム
208 第3フレーム
209 トルクコイル(可撓性連結具の一例)
210 ホルダ
211 第5ピン
212 第6ピン
213 第7ピン
214 第8ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動作を屈曲動作に変換できるマニピュレータであって、
第1駆動シャフトと、第1フレームと、第1フェースギヤ部材と、第2フレームと、第1ギヤ部材と、第2ギヤ部材と、第3ギヤ部材と、第3フレームとを備えており、
前記第1駆動シャフトは、それ自身の中心軸を中心として回動できる構成となっており、
前記第2フレームは、前記第1フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1フェースギヤ部材は、前記第1駆動シャフトにより、前記第1駆動シャフトの中心軸を中心として、前記第1フレームに対して、正逆方向に回転駆動される構成となっており、
前記第3フレームは、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1ギヤ部材は、前記第2フレームに固定されており、
かつ、前記第1ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第2ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第3ギヤ部材は、前記第2ギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
かつ、前記第3ギヤ部材は、前記第3フレームに固定されており、
前記第3フレームは、前記第3ギヤ部材の回動に伴って回動する構成となっている
ことを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
前記第2ギヤ部材のピッチ半径は、前記第1ギヤ部材及び前記第3ギヤ部材のピッチ半径よりも小さくされており、
前記第1フェースギヤ部材は、前記第1ギヤ部材とかみ合う第1フェースギヤ部と、前記第2ギヤ部材とかみ合う第2フェースギヤ部とを備えており、
前記第2フェースギヤ部は、前記第1フェースギヤ部よりも、前記第2ギヤ部材の方向に突出されている
請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記第2ギヤ部材は、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられている
請求項1又は2に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
前記第3ギヤ部材は、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられている
請求項1〜3のいずれか1項に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
前記第1ギヤ部材の回転軸と、前記第2ギヤ部材の回転軸と、前記第1フレームに対する前記第2フレームの回転軸とは、同軸とされている
請求項1〜4のいずれか1項に記載のマニピュレータ。
【請求項6】
回転動作を、複数方向への屈曲動作に変換できるマニピュレータであって、
第1駆動シャフトと、第1フレームと、第1フェースギヤ部材と、第2フレームと、第1ギヤ部材と、第2ギヤ部材と、第3ギヤ部材と、第3フレームと、第2駆動シャフトと、第2フェースギヤ部材と、第4フレームと、第4ギヤ部材と、第5ギヤ部材と、第6ギヤ部材と、第5フレームと、可撓性連結具とを備えており、
前記第1駆動シャフトは、それ自身の中心軸を中心として回動できる構成となっており、
前記第2フレームは、前記第1フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1フェースギヤ部材は、前記第1駆動シャフトにより、前記第1駆動シャフトの中心軸を中心として、前記第1フレームに対して、正逆方向に回転駆動される構成となっており、
前記第3フレームは、前記第2フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第1ギヤ部材は、前記第2フレームに固定されており、
かつ、前記第1ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第2ギヤ部材は、前記第1フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第3ギヤ部材は、前記第2ギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
かつ、前記第3ギヤ部材は、前記第3フレームに固定されており、
前記第3フレームは、前記第3ギヤ部材の回動に伴って回動する構成となっており、
前記第2駆動シャフトは、前記第1駆動シャフトと同軸で回動できる構成となっており、
前記第4フレームは、前記第3フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記可撓性連結具は、前記第2駆動シャフトに取り付けられており、
かつ、前記可撓性連結具は、前記第2駆動シャフトの回転に伴って、前記可撓性連結具自体の中心軸を中心として自転する構成となっており、
前記第2フェースギヤ部材は、前記可撓性連結具により、前記第3フレームに対して、正逆方向に回転駆動される構成となっており、
前記第5フレームは、前記第4フレームに、回動可能な状態で取り付けられており、
前記第4ギヤ部材は、前記第4フレームに固定されており、
かつ、前記第4ギヤ部材は、前記第2フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第5ギヤ部材は、前記第2フェースギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
前記第6ギヤ部材は、前記第5ギヤ部材によって回転駆動される構成となっており、
かつ、前記第6ギヤ部材は、前記第5フレームに固定されており、
前記第5フレームは、前記第6ギヤ部材の回動に伴って回動する構成となっている
ことを特徴とするマニピュレータ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のマニピュレータと、少なくとも前記第1駆動シャフトを回転駆動するアクチュエータとを備えたマニピュレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−52805(P2011−52805A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204642(P2009−204642)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】