説明

マルチ画像表示装置

【課題】 運転席側と助手席側のように、2つ視方向に対する第1、第2の画像の入力が
あって、これらを所定の配列に合成し、この合成された画像を夫々判別可能に表示するマ
ルチ画像表示装置において、一方の画像入力にエラーがあったときは他方の視方向の使用
者はそのエラーに気づかないという問題があった。
【解決手段】 2画面合成部16は第1の画像の入力エラーを検出すると、第2の視方向
の画面にエラー表示を所定の時間あるいは間欠的に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの画像を視方向により夫々判別可能な画面として同一画面に表示するマ
ルチ画像合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力という特徴があり、多くの電子機器に使用され
ている。ナビゲーション装置にも液晶表示装置が使用されるが、ナビゲーション装置はテ
レビジョン受信部やDVDビデオ再生部など運転中の運転者には交通安全上好ましくない
画像を表示することができる。
【0003】
そこで、同一表示画面に複数の画像を表示させ、視方向により異なる画像を認識できる
ようにする技術が開発され、右方向の運転者からはナビゲーションの画像が見え、左方向
の助手席からはテレビジョン受信部やDVDビデオ再生部の画像が見えるようになった(
特許文献1,2参照)。視方向により異なる画像を認識できるようにする技術としては、
液晶シャッターの遮光パターンによるもの(特許文献1参照)、レンチキュラーレンズに
よるものや信号線に対向する位置の両側にストライプ上の突起パターンを設けるものがあ
る(特許文献2参照)。視方向により異なる画像を認識できるようにする技術はナビゲー
ション装置のみでなく、他の電子機器に適用することができる。例えば、特許文献3の図
6に液晶表示装置を挟んで互いに向き合ったユーザーがどちらも逆様にならない文字を見
ることが記されている。
【特許文献1】特開2006−184859号公報
【特許文献2】特開2006−276591号公報
【特許文献3】特開2005−91561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一方の視方向画面でエラーがあっても、他方の視方向画面にはエラーが
表示されないという問題があった。例えば、特許文献1のナビゲーション装置において、
運転者はナビゲーションを見、助手席者がDVDビデオを見ている状態で、ナビゲーショ
ンが無信号になったときは、助手席者がナビゲーション装置に代わって道路案内のガイド
をすればよいのであるが、助手席者はナビゲーションの画面を見ていないので、ナビゲー
ションが無信号になったことに気づかないという問題があった。また、特許文献3の電子
機器において、教師と生徒が対面して、教師が教師用教材を見、生徒が生徒用教材を見て
いるときに、生徒の画像にエラーがあったときは、教師が生徒の画像のエラーに気づかず
に授業を進めることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のマルチ画像表示装置は、2つの視方向に対する第
1、第2の画像を出力する画像出力部と、前記第1、第2の画像を所定の並びに合成する
画面合成部と、前記所定の並びに合成された画像の第1の画像を第1の視方向に、第2の
画像を第2の視方向に夫々判別可能な合成画面として同一画面に表示する表示部とを備え
たマルチ画像合成装置であって、
前記画面合成部は前記第1の画像の入力エラーを検出すると、前記第2の視方向の画面
にエラー表示をすることを特徴とする。
【0006】
このように、第2の視方向の画面に第1の画像の入力エラー表示をするので、第2の視
方向の使用者が第1の視方向の画像にエラーがあったことに気づくことができる。
【0007】
また、前記エラー表示は所定の時間あるいは間欠的に表示されることを特徴とする。こ
のように、入力エラーの対象ではない画面への入力エラー表示時間を短くすることにより
、本来の表示の影響を少なくすることができる。
【0008】
また、前記第1、第2の画像の1画素はRGBの3つのサブ画素からなり、前記所定の
並びは、第1、第2の画像のサブ画素が交互に配設される並びであり、前記エラーの表示
の文字をドットフォントで構成する最小単位の点は複数のサブ画素からなり、前記点にお
いてRGB夫々のサブ画素の数は前記第1、第2の画像が同一であることを特徴とする。
【0009】
このように第1、第2の視方向のRGBの数を同じにすることにより、1つの合成画面
フォントから2つの視方向が同じ色の文字を容易に生成することができる。また、2つの
視方向に入力エラーを表示したとき、第1の視方向から第2の視方向へ移行するときに色
の変化による違和感を与えることがない。
【0010】
また、前記画像出力部は画像を出力するときに同期信号を出力し、前記画面合成部は同
期信号が所定時間無いことにより画像の入力エラーを検出することを特徴とする。
【0011】
このように同期信号が所定時間無いことにより画像の入力エラーを検出するので、容易
な構成で入力エラーを検出することができる。
【0012】
また、前記画像出力部はテレビジョン受信部を有し、該テレビジョン受信部は受信感度
が閾値よりも低いときは前記同期信号の出力を禁止することを特徴とする。
【0013】
トンネルなどにより受信感度が低下しても同期信号が出力されないことがある。このよ
うなとき、画像出力部が同期信号の出力を停止させれば、ASIC(Application Specif
ic Integrated Circuit)である画面合成部を設計変更することなく使用することができ
る。
【0014】
また、前記画像出力部はディスク再生部を有し、該ディスク再生部はディスクの読取り
エラーを検出したときは前記同期信号の出力を禁止することを特徴とする。
【0015】
振動などによりディスクの読取りエラーが発生しても同期信号が出力されないことがあ
る。このようなとき、画像出力部が同期信号の出力を停止させれば、ASICである画面
合成部を設計変更することなく使用することができる。
【0016】
また、前記画像出力部は発生したエラーの種別に対応するエラー信号を前記画面合成部
に出力し、前記画面合成部はエラーの種別に対応して異なるエラー表示を行わせることを
特徴とする。
【0017】
これにより、他視方向の使用者はエラーの種別も知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態
は、本発明の技術思想を具体化するためのマルチ画像表示装置を例示するものであって、
本発明をこのマルチ画像表示装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範
囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明のナビゲーション装置1の要部を示すブロック図である。ナビゲーション
装置1は画像を出力するものとして、ナビゲーション部11、TV(テレビジョン)部12
、DVDビデオ再生部13、OSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)部14、切替回
路15、2画面合成部16、表示部17、制御部18、操作部19を有する。
【0020】
ナビゲーション部11はHDD(図示せず)より地図情報を読み出して、GPS受信部(
図示せず)より受信した位置情報や登録された経路を重畳した地図画像を出力する。また
、進路変更すべき交差点が近づくと交差点の拡大図を出力する。TV部12はアンテナ(
図示せず)より受信した放映画像を出力する。DVDビデオ再生部13はビデオなどの画
像が書き込まれたDVDより画像を読み出して出力する。OSD部14はOSD画像とし
て図2に示す如きタッチキーの画像を記憶しており、これを出力する。
【0021】
切替回路15は後述の制御回路18の操作信号に基づき、TV部12の出力信号かDV
Dビデオ再生部13出力信号のいずれか一方を択一的に選択して出力する。
【0022】
2画面合成部16はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、
2画面合成回路161とOSD処理回路162とエラー表示回路163を有する。2画面
合成回路161は設定、制御ラインに入力される信号に基づいて、ホスト1ラインとホス
ト2ラインに入力される2つの画像データを、同期を取りながら1画面分の所定の配列に
並べ替える。OSD処理部162は設定、制御ラインに入力される信号に基づいて、OS
Dラインから入力されるOSD画像データをOSDイネーブル信号が“H”(HIGH)
になったときに重畳する。重層する画面は設定、制御ラインに入力される信号に基づいて
選択される。エラー表示回路163はホスト1ラインとホスト2ラインに入力される画像
にエラーがあったことを表示部17に表示させる。
【0023】
表示部17はカラーのWVGAの液晶パネル(図示せず。)を有する。図3に示すごと
く、液晶パネルはゲートライン方向(横方向)に800画素、ソースライン方向(縦方向
)に480画素ある。1画素はRGBの3つのサブ画素から成る。
【0024】
図4は合成画像の配列を示す図である。ホスト1ラインに入力された画像の半分とホス
ト2ラインに入力された画像の半分がサブ画素の市松模様(チェス盤の白黒模様)に配列
して合成される。液晶パネルの液晶シャッターの遮光パターンが市松模様になっており、
ホスト1ラインに入力されたナビゲーション画像は運転席の方向となる右方向からのみ認
識することができ、ホスト2ラインに入力されたTV画像あるいはDVDビデオ画像は助
手席となる左方向からのみ認識することができる。また、表示部17はタッチパネルであ
り、押圧された位置を示すタッチパネル信号を制御回路18に出力する。
【0025】
制御回路18は表示部17から入力されるタッチ信号と操作部19から入力されるキー
信号より操作の内容を示した操作信号をナビゲーション部11、TV部12、DVDビデ
オ再生部13、OSD部14、切替回路15、2画面合成部16に出力する。
【0026】
図1の構成の動作を説明する。使用者の操作部19の操作に基づいて、制御回路18は
切替回路15をTV部12側に切り替えさせる。ナビゲーション部11は同期信号とナビ
ゲーション画像データであるRGBを2画面合成部16のホスト1ラインに出力する。T
V部12は同期信号とTV画像データであるRGBを切替回路15を介して2画面合成部
16のホスト2ラインに出力する。OSD部14は同期信号とOSDデータであるRGB
とOSDイネーブルを切替回路15を介して2画面合成部16のOSDラインに出力する
。OSDイネーブルはOSD画像を重畳する場所(図2のタッチキーの場所)のタイミン
グで出力される。
【0027】
2画面合成部は図4に示す如く、ホスト1ラインに入力されたナビゲーション画像の半
分とホスト2ラインに入力されたTV画像の半分をサブ画素の市松模様(チェス盤の白黒
模様)に配列して合成する。このとき、OSDイネーブル信号に基づいて、OSDライン
に入力されたOSD画像を合成画面に重畳する。そして、合成された画面は表示部17に
出力され、表示部17は市松模様の遮光パターンのシャッターにより、ナビゲーション画
像を運転席の方向となる右方向からのみ認識することができるように表示し、TV画像を
助手席となる左方向からのみ認識することができるように表示する。
【0028】
図5は2画面合成部16のエラー表示回路163の動作を示すフローチャートである。
接続不良、断線、受信不良、振動などによってホスト1ラインやホスト2ラインに信号が
正常に入力されないことがある。エラー表示回路163はホスト1ラインに入力されるは
ずの同期信号が検出されない状態が所定時間継続するか否かを調べることによってホスト
1が無信号であるか否かを判断する(ステップS1)。ホスト2ラインについても同様な
方法でホスト2が無信号であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0029】
ホスト1が無信号であると(ステップS1のY)、エラー表示回路163は運転席方向
である右画面に「no signal on right side」を信号検出まで表示させ、助手積方向の左
画面に「no signal on right side」を3秒間表示させる(ステップS3)(図2参照)
。ホスト2が無信号であると(ステップS2のY)、エラー表示回路163は左画面に「
no signal on left side」を信号検出まで表示させ、右画面に「no signal on left side
」を3秒間表示させる(ステップS4)。図6に示す如く、この文字はドットフォント(
ビットマップフォント)であり、ドットフォント構成する最小単位の点は横4画素×縦4
画素となっている。このように偶数の画素になっており、左画面のRGBサブ画素は夫々
8つ、右画面のRGBサブ画素も夫々8つとなっている。このために、左右とも同じ色に
見える。また、左視方向から右視方向に移行するとき、色が変わって違和感を与えること
がない。
【0030】
TVの受信感度が弱くなっても、また、振動でディスクの読取りエラーが発生しても同
期信号は2画面合成部16に出力されることがある。これではASICである2画面合成
部16を設計変更しなければエラーを検出することができないので設計変更しなくてもよ
いように、TV部12の電界強度検出回路121は電界強度が所定レベル以下になると、
2画面合成部16への同期信号の出力を禁止する。また、DVDビデオ再生部13の読取
りエラー検出回路131は読取りエラーが発生すると、2画面合成部16への同期信号の
出力を禁止する。これにより、ASICである2画面合成部16は設計変更することなく
、これらのエラーを表示部17に表示させることができる。
【0031】
しかしながら、この方法では同じホスト2に関するエラー(TVの受信感度不良である
のか読取りエラーであるのか)の判別ができない。この問題を解決するために、図7、図
8に示す如く、TV部12の電界強度検出回路121は電界強度が所定レベル以下になる
と、制御回路18を介して2画面合成部16のエラーラインの第1ライン(図示せず。)
にエラー信号を出力する。また、DVDビデオ再生部13の読取りエラー検出回路131
は読取りエラーが発生すると、制御回路18を介して2画面合成部16のエラーラインの
第2ライン(図示せず。)にエラー信号を出力する。これにより、例えば、「TV error o
n left side」や「DVD error on left side」のように、ホスト2に関するエラーを異な
る文字で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のナビゲーション装置の要部を示すブロック図である。
【図2】2画面表示の例を示す図である。
【図3】表示部のサブ画素の配列を示す図である。
【図4】合成画面の配列を示す図である。
【図5】エラー表示回路の動作を示す図である。
【図6】ドットフォントの最小単位である点のサブ画素配列を示す図である。
【図7】他の実施例におけるナビゲーション装置の要部を示すブロック図である。
【図8】他の実施例におけるドットフォントの最小単位である点のサブ画素配列を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ナビゲーション装置
11 ナビゲーション部
12 TV部
13 DVDビデオ再生部
14 OSD部
15 切替回路
16 2画面合成部
161 2画面合成回路
162 OSD処理回路
163 エラー表示回路
17 表示部
18 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの視方向に対する第1、第2の画像を出力する画像出力部と、前記第1、第2の画
像を所定の並びに合成する画面合成部と、前記所定の並びに合成された画像の第1の画像
を第1の視方向に、第2の画像を第2の視方向に夫々判別可能な合成画面として同一画面
に表示する表示部とを備えたマルチ画像合成装置であって、
前記画面合成部は前記第1の画像の入力エラーを検出すると、前記第2の視方向の画面
にエラー表示をすることを特徴とするマルチ画像表示装置。
【請求項2】
前記エラー表示は所定の時間あるいは間欠的に表示されることを特徴とする請求項1に
記載のマルチ画像表示装置。
【請求項3】
前記第1、第2の画像の1画素はRGBの3つのサブ画素からなり、前記所定の並びは
、第1、第2の画像のサブ画素が交互に配設される並びであり、前記エラーの表示の文字
をドットフォントで構成する最小単位の点は複数のサブ画素からなり、前記点においてR
GB夫々のサブ画素の数は前記第1、第2の画像が同一であることを特徴とする請求項1
に記載のマルチ画像表示装置。
【請求項4】
前記画像出力部は画像を出力するときに同期信号を出力し、前記画面合成部は同期信号
が所定時間無いことにより画像の入力エラーを検出することを特徴とする請求項1に記載
のマルチ画像表示装置。
【請求項5】
前記画像出力部はテレビジョン受信部を有し、該テレビジョン受信部は受信感度が閾値
よりも低いときは前記同期信号の出力を禁止することを特徴とする請求項4に記載のマル
チ画像表示装置。
【請求項6】
前記画像出力部はディスク再生部を有し、該ディスク再生部はディスクの読取りエラー
を検出したときは前記同期信号の出力を禁止することを特徴とする請求項4に記載のマル
チ画像表示装置。
【請求項7】
前記画像出力部は発生したエラーの種別に対応するエラー信号を前記画面合成部に出力
し、前記画面合成部はエラーの種別に対応して異なるエラー表示を行わせることを特徴と
する請求項1に記載のマルチ画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−20138(P2009−20138A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180522(P2007−180522)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】