説明

マンドレル、樹脂発泡シート製造装置及び樹脂発泡シートの製造方法、樹脂発泡シート

【課題】マンドレルを用いて樹脂発泡シートを形成するに際し、樹脂発泡シートに傷が発生するのを抑制すると共に、樹脂発泡シートに生じる応力ひずみを抑制するマンドレルを提供する。
【解決手段】樹脂発泡シートを作製するのに際してサーキュラーダイの押し出し方向前方に配置されるマンドレルであって、サーキュラーダイ側に配される端部には、前記筒状体が拡径される拡径領域が形成されており、該拡径領域には複数の微小突起Cによって凹凸構造が形成され、前記微小突起Cは、突出方向先端部に平面部C2及び/又は半径0.2mm以上の曲面部C1を備えると共に、隣接する微小突起C同士の突出方向先端間の距離LDが0.2〜2.0mmとなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーキュラーダイを用いて樹脂発泡シートを作製する際に用いられるマンドレル、該マンドレルを備える樹脂発泡シート製造装置、及び該マンドレルを用いた樹脂発泡シートの製造方法に関し、また、樹脂発泡シート製造装置を用いて形成された樹脂発泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明器具、照明看板、液晶表示装置などを構成する部材の1つとして、樹脂発泡シートを用いて形成された反射シートが広く利用されている。反射シートを形成する樹脂発泡シートには、発泡性樹脂組成物をシート状に発泡させた発泡層のみからなるものや、複数の発泡層を積層させたもの、発泡層と非発泡状態のソリッド層とを積層させたものなどが用いられている。
【0003】
一般的な樹脂発泡シートの製造方法としては、サーキュラーダイを用いた押出発泡法が知られている。斯かる押出発泡法について簡単に説明すると、溶融状態にある樹脂と発泡剤とを混練した混合物をサーキュラーダイの環状の吐出口から押し出し、筒状体を形成しつつ、筒状体の押し出し方向前方に配置されたマンドレルの外周面に筒状体の内周面を摺接させて筒状体を拡径し、得られた筒状体を軸方向に沿って切断してシート状にすることで、長尺状の樹脂発泡シートを形成する方法である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−138508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような方法を用いた場合、一般的に、長尺状の樹脂発泡シートは、連続的に巻き取りローラに巻き取られることとなるが、この際、マンドレルと筒状体との間に生じる強い摩擦によって、長尺状の樹脂発泡シートに応力ひずみが生じた状態で巻き取りが行なわれてしまう虞がある。このような場合、長尺状の樹脂発泡シートを後に加工する際に、樹脂発泡シートの寸法にズレが生じてしまったりするなどの不具合が発生する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、マンドレルを用いて樹脂発泡シートを形成するに際し、得られる樹脂発泡シートに生じる応力ひずみを抑制することができるマンドレルを提供することを課題とする。また、該マンドレルを備える樹脂発泡シート製造装置、及び該マンドレルを用いた樹脂発泡シートの製造方法、さらに樹脂発泡シート製造装置を用いて形成された樹脂発泡シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を行った結果、マンドレルにおける筒状体と摺接する領域に凹凸構造を形成することで、筒状体とマンドレルとの間の摩擦を低減し、筒状体、つまりは樹脂発泡シートに生じる応力ひずみを抑制しうることを見出し本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明に係るマンドレルは、発泡性樹脂組成物から形成された発泡層を備える樹脂発泡シートを作製するのに際して熱溶融された前記発泡性樹脂組成物を押し出しして筒状体を形成するサーキュラーダイとともに用いられ、前記サーキュラーダイの押し出し方向前方に配置されて前記筒状体を拡径しつつ冷却すべく用いられるマンドレルであって、サーキュラーダイ側に配される端部には、前記筒状体の内周面と摺接される外周面が押し出し方向に向けて径大となり当該外周面に沿って前記筒状体が拡径される拡径領域が形成されており、該拡径領域には複数の微小突起によって凹凸構造が形成され、前記微小突起は、突出方向先端部に平面部及び/又は半径0.2mm以上の曲面部を備えると共に、隣接する微小突起同士の突出方向先端間の距離が0.2〜2.0mmとなるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
斯かる構成によれば、該拡径領域には複数の微小突起によって凹凸構造が形成され、前記微小突起は、突出方向先端部に平面部及び/又は半径0.2mm以上の曲面部を備えると共に、隣接する微小突起同士の突出方向先端間の距離が0.2〜2.0mmとなるように形成されていることで、拡径領域と筒状体との接触面積を減少させることができ、微小突起が筒状体と接触した際の摩擦を低減することができる。これにより、拡径領域と筒状体との間に生じる摩擦が低減されるため、拡径領域に摺接した状態で筒状体が押し出し方向に向かって移動する際に移動方向に沿って筒状体に生じる応力ひずみを抑制することができる。このため、樹脂発泡シートに生じる応力ひずみを抑制することができる。
また、微小突起の突出方向先端部に平面部及び/又は曲面部が形成されているため、筒状体の内周面に傷が発生するのを抑制することもでき、樹脂発泡シートに発生する傷を抑制することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マンドレルを用いて樹脂発泡シートを形成するに際し、樹脂発泡シートに生じる応力ひずみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る樹脂発泡シートの構造を示す断面図。
【図2】樹脂発泡シートの製造方法に用いる装置構成を示す概略図。
【図3】合流金型の構造を示す断面図。
【図4】サーキュラーダイから筒状体が吐出されてマンドレルへ送られた様子を示した断面図。
【図5】(a)は、微小突起の先端部に曲面部が形成されている凹凸構造を示す断面図、(b)は、微小突起の先端部に平面部が形成されている凹凸構造を示す断面図、(c)は、1つの角錐状の微小突起の平面視図。
【図6】実施例において樹脂発泡シートの製造に用いた装置構成を示す概略図。
【図7】実施例において樹脂発泡シートの製造に用いた合流金型の構造を示す断面図。
【図8】実施例において樹脂発泡シートの製造に用いたマンドレルの構造を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
本発明に係るマンドレルは、熱溶融状態で押し出しを実施することで発泡を生じる樹脂組成物(以下「発泡性樹脂組成物」ともいう)を発泡させて形成させた発泡層のみからなる樹脂発泡シートや、複数の発泡層を積層させたり発泡層と非発泡層(ソリッド層)とを積層させたりした樹脂発泡シートを製造する際に用いられるものである。以下の説明では、主に、発泡層とソリッド層とが積層されてなる樹脂発泡シート1について説明する。
【0014】
斯かる樹脂発泡シート1は、図1に示すように、発泡状態に形成されている発泡層10と気泡が含有されていない非発泡状態に形成されたソリッド層20との2層構造を有している。
【0015】
樹脂発泡シート1の厚みとしては、樹脂発泡シートの用途などにもよるが、反射シートとして用いる場合には、1.5mm以下であることが好ましい。また、発泡層10とソリッド層20とのそれぞれの厚みについては、発泡層10が0.5〜0.9mmのいずれかの厚みとされ、ソリッド層20が0.1〜0.6mmのいずれかの厚みとされることが好ましい。
【0016】
発泡層10の形成に用いられる発泡性樹脂組成物としては、通常、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂など)や、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(ポリスチレン系樹脂など)をベースポリマーとして含有する樹脂組成物に、さらに、発泡のための成分を含有させたものを用いることができる。なかでも、ポリプロピレン樹脂がベースポリマーとして好適に用いられ得る。なお、ベースポリマーとして用いられる樹脂は、複数種類を併用して用いてもよい。
【0017】
また、前記ポリプロピレン樹脂は、プロピレンの単独重合体(ホモPP)、又はプロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体(ランダムPPやブロックPP)であってもよい。共重合体の場合には、プロピレン以外のオレフィンを共重合体中に0.5〜30重量%の割合で含有させることが好ましく、1〜10重量%の割合であることが特に好ましい。
【0018】
プロピレン以外のオレフィンとしては、エチレン、或いは炭素数が4〜10のα−オレフィンを挙げることができ、これらを1種、又は2種以上を組み合わせて使用する事ができる。
【0019】
以上のようなポリプロピレン樹脂として特に好適には、発泡性に優れた高溶融張力ポリプロピレン系樹脂が好ましく、例えば、特許第2521388号、特開2001−226510号記載のものなどを用いることができる。
【0020】
発泡性樹脂組成物に含有させる発泡のための成分としては、例えば、少なくともベースポリマーの融点において気体状態となるガス成分や、該ガス成分によって気泡を形成させる際の核となる核剤や、少なくともベースポリマーの融点において熱分解して気体を発生させる熱分解型発泡剤などが挙げられる。
【0021】
前記ガス成分としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)などのフロン系ガス成分、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気などが挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素が好ましい。なお、これらのガス成分は単独で使用されても複数併用されてもよい。
【0022】
前記核剤としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズなどの無機化合物粒子、ポリテトラフルオロエチレン、などの有機化合物粒子などが挙げられる。
【0023】
さらに、加熱分解型の発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などが挙げられる。
【0024】
なお、発泡層10の発泡倍率としては、特に限定されるものではないが、通常、見掛け密度が0.06〜2.8g/cm3の範囲の内のいずれかとされ得る。
【0025】
前記ソリッド層20の形成には、非発泡な状態で押し出し可能な樹脂組成物(以下「非発泡性樹脂組成物」という)であれば、特にその使用材料に限定が加えられるものではなく、この非発泡性樹脂組成物は、例えば、発泡層10の形成に用いられた樹脂組成物が好適に用いられ得る。
なお、前記ソリッド層20の形成に用いる非発泡性樹脂組成物と発泡層10の形成に用いる発泡性樹脂組成物とは、発泡層10とソリッド層20との接着強度の観点から、同種のベースポリマーが採用されることが好ましい。具体的には、発泡層10とソリッド層20との形成には、それぞれのベースポリマーとしてポリプロピレン系樹脂を採用することによってこれらの接着強度の向上を図ることができる。
【0026】
また、ソリッド層20の形成に用いる非発泡性樹脂組成物には、上記のようなベースポリマーに加えて、一般的なポリマーフィルムの材料などとして用いられる添加剤を含有させることができ、例えば、耐候剤や老化防止剤といった各種安定剤、滑剤などの加工助剤、帯電防止剤、スリップ剤、顔料、充填剤などを添加剤としてさらに含有させることができる。
【0027】
また、樹脂発泡シートを液晶表示装置などの反射シートとして用いる場合には、光源からの光に対して優れた反射率を得るために、添加剤を樹脂発泡シートに含有させる。斯かる添加剤としては、例えば、ルチル型の二酸化チタンやアナターゼ型の二酸化チタンなどが挙げられ、特には、ルチル型の二酸化チタンを用いることが好ましい。
【0028】
斯かる添加剤の光触媒作用が強すぎる場合、樹脂の劣化を促進させる虞があるため、添加剤に表面処理をすることが好ましい。表面処理の方法としては、特に限定されないが、一般に二酸化チタンの粒子表面に、例えば、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、スズなどの含水酸化物を被覆させる方法が用いられる。
【0029】
また、優れた反射率を得るための添加剤の量としては、50〜200g/m2が好ましく、更に好ましくは、60〜170g/m2、特に好ましくは、70〜150g/m2である。50〜200g/m2の範囲とすることで、十分な反射率が得られると共に、樹脂発泡シート(即ち、反射シート)の重量が重たくなってしまうのを抑制することができる。
【0030】
樹脂発泡シートには、他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、銅害防止剤(金属不活性剤)、分散剤(ステアリン酸金属石鹸)、クエンチャー、帯電防止剤、ラクトン系加工安定剤などが挙げられる。
【0031】
銅害防止剤としては、例えば、N,N−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等のヒドラジン系化合物、3−(3,5−ジ−テトラ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルジハイドライジド等を用いることができる。
【0032】
樹脂発泡シートを構成する樹脂は、銅等の金属と接触したり、銅イオン等の重金属イオンが作用したりすると、劣化する場合があるが、上記のような銅害防止剤を添加しておくことで、劣化促進因子である銅イオン等をキレート化合物として捕捉することができる。このため、樹脂発泡シートを反射シートとして液晶表示装置や照明装置等に組み込んで用いた場合に、反射シートが銅等の金属と接触して劣化してしまうのを防止することができる。このような効果を得るためには、銅害防止剤の含有量は、樹脂発泡シートを構成する樹脂成分100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲のいずれかに設定しておくのが好ましい。
【0033】
また、樹脂発泡シートには、帯電防止剤を配合することもできる。帯電防止剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート等の界面活性剤や、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボン等を用いることができる。このような帯電防止剤を添加しておくと、反射シートの帯電を防止することができるので、反射シートに埃やゴミが付着するのを防止することができる。このような効果を得るためには、帯電防止剤の含有量は、樹脂発泡シートを構成する樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10.0重量部の範囲のいずれかに設定しておくのが好ましい。
【0034】
上記のような樹脂発泡シートは、以下のようにして作製することができる。
【0035】
図2は、本発明に係る樹脂発泡シートの製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図である。この図2にも示されているように、本実施形態の樹脂発泡シートの製造方法では、タンデム押出機である第1押出機70と、シングル押出機である第2押出機80とを有し、これらの押出機において溶融混練された樹脂組成物が合流される合流金型XHと、該合流金型XHで合流された樹脂組成物を筒状に押し出すサーキュラーダイCDとを有する設備が用いられる。
【0036】
また、この製造装置には、サーキュラーダイCDから筒状に吐出された筒状体1’を拡径して所定の大きさの筒状にするためのマンドレルMDと、該マンドレルMD通過後の筒状体1’をスリットして2枚のシートに分割して長尺状の樹脂発泡シート1を形成するスリット装置(図示せず:図2においては上下に分割する様子のみを示す)と、長尺状の樹脂発泡シート1を複数のローラ91を通過させた後に巻き取るための巻き取りローラ92がさらに備えられている。
【0037】
前記第1押出機70は、発泡層10を形成させるためのものであり、その上流側の押出機(以下「上流側押出機70a」ともいう)には、ベースポリマーなどの材料を投入するためのホッパー71と、炭化水素などのガス成分をシリンダー内に供給するためのガス導入部72が設けられている。
そして、この上流側押出機70aの下流側には、ベースポリマーとガス性成分とを含有する発泡性樹脂組成物を溶融混練して合流金型XHに吐出するための押出機(以下「下流側押出機70b」ともいう)が備えられている。
【0038】
また、前記第2押出機80は、ソリッド層20を形成させるためのものであり、ベースポリマーなどの材料をホッパー81から投入して、シリンダー内部で非発泡性樹脂組成物を溶融混練して合流金型XHに吐出すべく構成されている。
【0039】
前記合流金型XHは、図3にその概略断面図を示すように、発泡性樹脂組成物を通過させる流路の途中に設けられた円環状のスリットから非発泡性樹脂組成物が吐出され、発泡性樹脂組成物に非発泡性樹脂組成物の外皮を被覆させた状態でサーキュラーダイCDへ供給を行うべく構成されている。
【0040】
前記サーキュラーダイCDは、図4に示すように、円環状の吐出口CDaを備え、発泡性樹脂組成物と非発泡性樹脂組成物とを共押し出しすることで、発泡層10と該発泡層10に積層されて外表面に位置するソリッド層20とを備える筒状体1’が形成されるように構成されている。吐出口CDaの外径としては、40〜300mm程度であることが好ましい。
【0041】
マンドレルMDは、図4に示すように、円筒状の形状を有し、該円筒形状の中心軸(軸線a)が前記吐出口CDaの略中心を通るように横置された状態でサーキュラーダイCDの押し出し方向前方に配置されている。
すなわち、マンドレルMDは、サーキュラーダイCD側(一端側)とそれに対向する側(他端側)とに開口部MDaを設けた状態でサーキュラーダイCDの前方に配置されている。
【0042】
なお、マンドレルMDは、前記吐出口CDaの外径よりも大径で前記筒状体1’を拡径しうるように形成されていれば、その大きさ等に特に限定がされるものではないが、吐出口CDaの大きさが先のような大きさの場合においては40〜700mm程度の外径であることが好ましく吐出口CDaの外径に対するマンドレルMDの外径の比率(ブローアップ比)は、2.5〜4.0であることが好ましい。
【0043】
また、マンドレルMDは、サーキュラーダイCD側の端部(以下、CD側端部と記す)と反対側の端部とを除く略全域が一定径とされている図4に例示の形状に限定されるものではなく、一端側のある程度の領域を一定径とし、他端側をその端縁に向けて外径寸法が漸次減少するように形成させてもよい。
【0044】
また、マンドレルMDは、サーキュラーダイCDから押し出された筒状体1’とCD側端部において接触し該筒状体1’の内周面にその外周面を摺接させて、当該外周面と略同径となるように前記筒状体1’を拡径した後に、拡径された筒状体1’が上記一定径部分上を走行する間に該筒状体1’を冷却し得るように構成されている。
具体的には、マンドレルMDは、ある程度時間をかけて前記筒状体1’を拡径し得るように、前記筒状体1’が初めに接する一端側の端縁部分が、前記一定径部分よりも小径となるように形成されており、該端縁から前記一定径部分にかけて徐々にその外径を拡大させた拡径領域Rを備えている。
【0045】
前記拡径領域Rは、CD側端部の全周に所定半径の面取りがされて形成された領域であり、その半径としては、5〜80mmであることが好ましい。
【0046】
前記拡径領域Rには、前記筒状体1’と摺接される外表面に凹凸構造が形成されている。該凹凸構造は、複数の微小突起Cによって形成されたものである。また、凹凸構造は、少なくとも、筒状体1’が拡径領域Rに最初に接触する位置(即ち、マンドレルMDと筒状体1’とが最初に接触する位置)Tから筒状体1’の移動方向に向かって10〜80mm(直線距離ではなくマンドレルMDの表面に沿った長さ)の領域に形成されることが好ましい。さらに、凹凸構造は、拡径領域RよりもマンドレルMDの他端側の実質上外径が変化しない領域にまで延出するように設けることが好ましく、押し出し方向に向かって5mm以上(好ましくは、8〜12mm)の領域Pにも形成されることが好ましい。また、凹凸構造は、拡径領域Rの全域に亘って形成されることが好ましい。以下では、マンドレルMDにおける凹凸構造が形成される領域(拡径領域R及びその他の領域P)を凹凸領域Eと記す。
【0047】
前記微小突起Cは、凹凸領域Eの表面に複数の溝部が形成されることによって形成されたものである。本実施形態では、凹凸領域Eの表面に複数の直線状の溝部(具体的には、V字状の溝部)が綾目状(格子状)に形成されることで、図5に示すような断面形状を有する錐状(具体的には、四角錐状)の微小突起Cが形成されている。
【0048】
凹凸構造は、凹凸領域Eの表面にローレット加工を施すことによって形成することができる。なお、ローレットの目としては、上述したような綾目状(四角目や菱形目)とすることが筒状体1’との摩擦や傷を抑制する点から好ましいが、平目状とすることもできる。また、微小突起Cを形成する直線状の溝部と筒状体1’の移動方向とのなす角度は、0〜90°であることが好ましく、25〜65°であることがより好ましい。
また、溝部の幅(以下、溝幅と記す)LDは、各微小突起Cの突出方向先端部から基端部側へ向かって0.05mm程度の高さ位置における微小突起C同士の間隔であり、0.2〜1.5mmであることが好ましく、0.2〜1.0mmであることがより好ましく、0.2〜0.7mmであることがさらに好ましい。
【0049】
前記微小突起Cは、隣接する微小突起C同士の突出方向先端間の距離(以下、突起間隔と記す)iが0.2〜2.0mm、好ましくは0.2〜1.0mm、より好ましくは0.4〜0.7mmとなるように形成されることで前記凹凸構造を構成している。
各微小突起Cの基端部間の幅wは、0.2〜2.0mm程度であることが好ましく、0.2〜1.0mm程度であることがより好ましく、0.4〜0.7mm程度であることがさらに好ましい。
また、微小突起Cの高さfとしては、0.075〜1.0mm程度であることが好ましく、0.125〜0.75mm程度であることがより好ましい。また、隣り合う四角錐状の微小突起C同士の間に形成される角度θ2は、80〜100°程度であることが好ましい。
【0050】
また、微小突起Cの突出方向先端部には、図5(a)に示すような曲面部C1又は、図5(b)に示すような平面部C2が形成されている。曲面部C1は、半径が0.2mm以上(好ましくは、0.2〜0.4mm)となるように形成されることが好ましい。
また、図5(c)に示すように、角錐状(具体的には、四角錐状)に形成された微小突起Cの突出方向先端部に備えられた前記曲面部C1及び平面部C2は、平面視(微小突起Cを突出方向から見た状態)において、1辺の長さW’が微小突起Cの基端部の1辺の長さW(即ち、微小突起Cの基端部間の幅w)に対して13〜98%であることが好ましく、15〜95%であることがより好ましく、30〜95%であることがさらに好ましい。また、平面視における微小突起Cの基端部の面積に対する曲面部C1及び平面部C2の面積割合は、1.7〜90%であることが好ましく、2.3〜90%であることがより好ましく、9〜90%であることがさらに好ましい。
斯かる割合が上記の範囲を超えた場合、曲線部C1及び平面部C2と筒状体1’との接触面積が広くなって摩擦が大きくなるため、樹脂発泡シート1に発生する傷や応力ひずみを抑制する効果を低減させてしまう虞があり、好ましくない。一方、斯かる割合が上記の範囲よりも低い場合、微小突起Cの先端部が尖った状態となってしまうため、樹脂発泡シート1に発生する傷を抑制する効果を低減させてしまう虞があり、好ましくない。
【0051】
マンドレルMDを形成する素材としては、平面平滑性及び熱伝導率に優れた、例えばアルミニウムのような金属材料を用いることができる。また、マンドレルMDの表面には、アルマイト処理又は硬質アルマイト処理をしてもよく、その上にフッ素樹脂被覆層を形成してもよい。
【0052】
マンドレルMDとサーキュラーダイCDとの間の距離は、所定の値に設定されることが好ましい。具体的には、マンドレルMDと筒状体1’とが最初に接触する位置(筒状体接触位置)Tと吐出口CDaとの間における筒状体1’の軸線aに沿った距離(CD−MD間距離)hは、20〜100mmであることが好ましい。
【0053】
この際、サーキュラーダイCDとマンドレルMDとの間の筒状体1’と吐出口CDaから軸線aに沿って延びる仮想線L1とのなす角度、即ち、筒状体1’がマンドレルMDに接触する際の角度(筒状体接触角)θ1は、50〜85°となることが好ましく、60〜80°となることがより好ましい。
【0054】
また、マンドレルMD上を摺接しつつ移動する筒状体1’の移動速度(引き取り速度)としては、2.0〜10.0m/minであることが好ましい。
【0055】
また、マンドレルMDの表面には、前記凹凸領域Eに続く他端側に表面平滑な平滑領域Fが形成されている。該平滑領域Fにおいては、筒状のマンドレルMDの全周に亘って表面平滑となるように形成されており、凹凸領域Eを通過した後の筒状体1’の内周面の略全体と平滑なる外周面とを摺接させるべく凹凸領域Eに続く領域においては前記凹凸領域Eの他の領域Pと略同径になるように形成されている。より詳しくは、平滑領域Fの略全域が一定径となるように形成されている場合には、平滑領域Fの略全体が筒状体1’の内周面と摺接するように構成される。また、マンドレルMDの他端側において平滑領域Fが他端側に向かって外径寸法が漸次減少するように形成されている場合には、マンドレルMDの一端側では、平滑領域Fと筒状体1’の内周面とが摺接した状態となると共に、その後に他端側に向かって徐々に平滑領域Fと筒状体1’とが離間するように構成される。
以上のように、平滑領域Fと筒状体1’とが摺接することで、筒状体1’の熱がマンドレルMD側にさらに移動するため、筒状体1’の冷却を効果的に行なうことができる。
【0056】
マンドレルMDの内部空間には、樹脂発泡シート1を作製する際に、空気などの気体(加圧気体)がサーキュラーダイCD側に向かって流される。これにより、サーキュラーダイCDとマンドレルMDとの間における筒状体1’の内部空間が加圧され、サーキュラーダイCDとマンドレルMDとの間の筒状体1’に弛みが生じてしまうことが抑制され、筒状体1’が吐出口CDaからマンドレルMDへ向かう際の角度を維持することが可能となる。なお、加圧気体の温度としては、10〜90℃であることが好ましい。
【0057】
このような装置によって樹脂発泡シート1を作製する手順についてより詳しく説明すると、まず、第1押出機70のホッパー71から発泡層10の形成に用いる樹脂材料を投入し、且つ第2押出機80のホッパー81からソリッド層20の形成に用いる樹脂材料を投入する。そして、各押出機内で樹脂材料を溶融温度以上の温度に加熱し、溶融混練を実施する。
【0058】
なお、発泡性樹脂組成物や非発泡性樹脂組成物にベースポリマーとなる樹脂材料以外に添加剤等を含有させる場合には、これらも併せてホッパーから投入して各押出機内で溶融混練を実施する。
【0059】
これらの押出機のうち、第1押出機70においては、上流側押出機70aに設けられたガス導入部72からガス成分を圧入して、溶融樹脂と混合する。
【0060】
第1押出機70における上流側押出機70aで溶融混練された発泡性樹脂組成物は、下流側押出機70bで押し出し発泡に適した温度に調整されて合流金型XHへと送られ、一方で第2押出機80では、非発泡性樹脂組成物がソリッド層20の形成に適した温度に調整されて合流金型XHへと送られる。
【0061】
そして、合流金型XH内で合流されたそれぞれの樹脂組成物を、サーキュラーダイCDの円環状の吐出口CDaから円筒状に共押し出しさせる。この際、前記発泡性樹脂組成物が発泡して発泡層10が形成され、前記非発泡性樹脂組成物によってソリッド層20が形成され、これにより、外表面にソリッド層20を備える筒状体1’が形成される。
【0062】
このとき、発泡層10とソリッド層20との形成には、例えば、いずれもポリプロピレン系樹脂を採用するなどして同種の樹脂材料を用いることでその界面における相溶性を向上させることができ、発泡層10とソリッド層20との剥離強度の向上を図ることができる。
【0063】
サーキュラーダイCDから押し出された筒状体1’は、その後、押し出し方向前方に位置するマンドレルMDに送られ、凹凸領域Eに内周面を摺接させつつマンドレルMDの他端側へ移動する。これにより、筒状体1’が拡径されると共に切断容易な温度にまで冷却される。
【0064】
そして、冷却された筒状体1’は、スリット装置によって2箇所切開されて長尺状の樹脂発泡シート1が形成される。該長尺状の樹脂発泡シート1は、巻き取りローラ92に巻き取られる。該巻き取りローラ92は、電動モーターなどの駆動手段(図示せず)によって回転されることによって長尺状の樹脂発泡シート1を巻き取る(引き取る)ように構成されている。なお、長尺状の樹脂発泡シート1を巻き取る際には、巻き取りローラ92によって長手方向に沿って張力がかけられる。引き取り速度(巻き取り速度)としては、1.0〜10.0m/min程度となるようにすることが好ましい。
【0065】
上記のようにして形成された樹脂発泡シート1は、反射シートとして使用する際には、光源の形状などに対応した形状となるように成形される。成形の方法としては、一般的に用いられる方法を用いることができ、例えば、棒状ヒーターを用いた成形や加熱しながらのプレス成形などを用いることができる。また、プレス成形後には、アニール処理などをさらに行なってもよい。
【0066】
以上のような構成によれば、マンドレルを用いて樹脂発泡シートを形成するに際し、樹脂発泡シートに生じる応力ひずみを抑制することができる。
【0067】
即ち、拡径領域Rには複数の微小突起Cによって凹凸構造が形成されており、微小突起Cの突出方向先端部には平面部C2又は半径0.2mm以上の曲面部C1が形成され、突起間隔iが0.2〜2.0mmであることで、拡径領域Rと筒状体1’との接触面積を減少させることができ、微小突起Cが筒状体1’と接触した際の摩擦を低減することができる。
【0068】
これにより、拡径領域Rと筒状体1’との間に生じる摩擦が低減されるため、筒状体1’が押し出し方向に向かって移動する際に移動方向に沿って筒状体1’に生じる応力ひずみを抑制することができる。このため、樹脂発泡シート1に生じる応力ひずみも抑制することができると共に、樹脂発泡シート1に傷が発生するのを抑制することができる。
【0069】
また、平面視における平面部C2又は曲面部C1の1辺の長さW’が微小突起Cの基端部の1辺の長さWに対して13〜98%であることで、平面部C2又は曲面部C1が筒状体1’に接触することによって筒状体1’に加わる力が分散されるため、筒状体1’に傷が発生するのを抑制することができると共に、筒状体1’に生じる応力ひずみを抑制することができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、上記においては、発泡層10とソリッド層20とが、各1層ずつ積層された樹脂発泡シート1について説明したが、これに限定されるものではなく、発泡層のみからなる樹脂発泡シート、複数の発泡層や複数のソリッド層が積層された樹脂発泡シートなどであってもよい。
【0072】
また、上記においては、発泡性樹脂組成物と非発泡性樹脂組成物とが共押し出しされることで、発泡層10とソリッド層20とが積層された樹脂発泡シートが形成されているが、本発明の製造方法によって発泡層のみを形成し、該発泡層上にソリッド層を押出ラミネートする方法や、他の方法で形成されたソリッド層を発泡層上に熱ラミネートする方法などで発泡層とソリッド層とが積層された樹脂発泡シートが形成されてもよい。
【0073】
また、曲面部C1を有する微小突起Cと平面部C2を有する微小突起Cとが凹凸構造中に混在するようにしてもよく、1つの微小突起Cにおいて曲面部C1と平面部C2とが形成されてもよい。
【実施例】
【0074】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
1.実施例1及び2
<使用設備>
図6に示すような装置構成の設備を用いて樹脂発泡シートの作製を行なった。合流金型XH’には、図7に示す構造のものを用いた。
【0076】
マンドレルMDとしては、図8に示す構造(D1=424mm、D2=418mm、D3=500mm、D4=100mm)のものを用いた。該マンドレルMDの凹凸領域Eの幅(筒状体と最初に接触する位置からの筒状体の移動方向に向かう距離)、図5に示す突起間隔i、溝幅LDについては、下記表1に示す通りである。微小突起の形成にはローレット加工機を用いた。そして、微小突起の突出方向先端部を研磨して、下記表1に示す半径の曲面部を形成した。
【0077】
第1押出機70として、口径が90mmの単軸押出機(上流側押出機70a)と、該単軸押出機に接続された口径が115mmの単軸押出機(下流側押出機70b)とからなるタンデム型押出機を用意した。
また、第2押出機80として口径が90mmの単軸押出機と、第3の押出機85として口径が65mmの単軸押出機を用意した。
【0078】
そして、第1押出機70から発泡性樹脂組成物を合流金型XH’に導入し、その外側に第2押出機80からの非発泡性樹脂組成物が被覆され、さらにその外側に第3押出機85からの非発泡性樹脂組成物が被覆されるように合流金型XH’にそれぞれの押出機を接続した。
【0079】
<樹脂発泡シートの作製手順>
【0080】
上記第1押出機70に、ベースポリマーとしてエチレン−プロピレンブロックポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ニューフォーマー「FB3312」)60重量部、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製、「PL500A」)20重量部、エチレン−プロピレンブロック共重合体中にルチル型の酸化チタンを含有させたマスターバッチ(東洋インキ製造社製、「PPM 1KB662 WHT FD」、エチレン−プロピレンブロック共重合体:30重量%、酸化チタン:70重量%)20重量部、気泡剤(重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合物)0.5重量部となる配合の樹脂材料を供給した。
そして、樹脂材料を200℃に加熱して溶融混練した後、上流側押出機70aにガス成分としてブタン(ノルマルブタン:65重量%、イソブタン:35重量%)1.0重量部を圧入し、さらに溶融混練して発泡性樹脂組成物(A)を作製した。
次に、斯かる発泡性樹脂組成物(A)を下流側押出機70bに導入し、180℃まで低下させて合流金型XH’に供給した。
【0081】
上記第2押出機80においては、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製、「PL500A」)50重量部、エチレン−プロピレンブロック共重合体中にルチル型の酸化チタンを含有させたマスターバッチ(東洋インキ社製「PPM 1KB662 WHT FD」、エチレンープロピレンブロック共重合体:30重量%、酸化チタン:70重量%)50重量部となる配合の樹脂材料を供給した。
そして、樹脂材料を200℃にて溶融混練して非発泡性樹脂組成物(B)を形成した後、合流金型XH’に供給した。
【0082】
さらに、上記第3押出機85においては、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製、「PL500A」、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)100重量部、エチレン−プロピレンブロックポリプロピレン(日本ポリプロ社製「FB3312」、メルトフローレイト:2.8g/10分、密度:0.9g/cm3)5重量部となる配合の樹脂材料を供給した。
そして、樹脂材料を200℃にて溶融混練して非発泡性樹脂組成物(C)を形成した後、合流金型XH’に供給した。
【0083】
各押出し機から合流金型XH’内に1種類の発泡性樹脂組成物(A)ならびに2種類の非発泡性樹脂組成物(B)(C)を押し出すことで、断面円形状の発泡性樹脂組成物層(A)の外周面に非発泡性樹脂組成物層(B)を積層し、さらに、その外側に非発泡性樹脂組成物層(C)を積層させた。
【0084】
そして、各樹脂組成物を積層させた状態で共押し出し用のサーキュラーダイCD(先端面直径:140mm、開口部のクリアランス:0.7mm)に連続的に供給して、該サーキュラーダイCDの環状の吐出口から押し出し発泡させ、円筒状の筒状体1’を作製した。該筒状体1’は、発泡性樹脂組成物(A)によって形成された発泡層(A)が最も内側に形成され、非発泡性樹脂組成物(C)によって形成されたソリッド層(C)が最も外側に形成され、発泡層(A)とソリッド層(C)との間に非発泡性樹脂組成物(B)によって形成されたソリッド層(B)が形成されている。
【0085】
押し出された筒状体1’の内側にマンドレルMDを摺接させることで拡径して冷却し、その後、この筒状体1’をその軸方向に沿って連続的に切断して切り開き、展開して長尺状の樹脂発泡シート1を形成した。そして、形成された長尺所の樹脂発泡シート1を長手方向に沿って張力をかけつつ巻き取りローラ92に巻き取った。なお、樹脂発泡シート1の巻き取り速度(引き取り速度)は、3.6m/minに設定した。また、巻き取りローラ92を駆動させる手段として電動モーターを用いた。
【0086】
得られた樹脂発泡シート1は、厚み0.71mm、幅640mmであった。また、発泡層(A)は、厚み0.4mm、密度0.46g/cm3であり、ソリッド層(B)は、厚み0.3mm、密度1.24g/cm3であり、ソリッド層(C)は、厚み0.01mm、密度0.9g/cm3であった。また、得られた樹脂発泡シートの光線全反射率は、98.8%であった。
【0087】
<試験方法>
樹脂発泡シート1のマンドレルMDと摺接した面(発泡層側の面)に形成された傷の深さを測定した。具体的には、得られた樹脂発泡シート1を長手方向と幅方向に切断し、各断面における傷の深さを走査型電子顕微鏡(日立製作所製、「S−3000N」)を用いて測定し、各断面の測定結果の平均値を測定結果として下記表1に記載した。また、樹脂発泡シート1を巻き取る際に電動モーターに加わる電気的な負荷(巻き取り負荷)を計測した。計測結果については下記表1に示す通りである。
【0088】
2.実施例3
第2及び第3押出機80,85からの非発泡性樹脂組成物(B)(C)の押し出しを行なわず、第1押出機70から発泡性樹脂組成物(A)を合流金型XH’に供給したこと以外は、実施例1と同一条件で発泡層(A)のみからなる樹脂発泡シート(厚み0.4mm、密度0.46g/cm3)を作製し、試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。なお、得られた樹脂発泡シート1の光線全反射率は、97.0%であった。
【0089】
3.実施例4
マンドレルMDとして曲面部の半径、突起間隔i及び溝幅LDが下記表1に記載の通りとなるものを用いたこと以外は、実施例1と同一条件で樹脂発泡シート1を作製し、試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
【0090】
4.比較例1
マンドレルMDとして微小突起に曲面部を形成しないものを用いたこと以外は、実施例1と同一条件で樹脂発泡シート1を作製し、試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
【0091】
5.比較例2
マンドレルMDとして微小突起に曲面部を形成しないものを用いたこと以外は、実施例3と同一条件で樹脂発泡シート1を作製し、試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
【0092】
6.比較例3
マンドレルMDとして微小突起に曲面部を形成しないものを用いたこと以外は、実施例4と同一条件で樹脂発泡シート1を作製し、試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
【0093】
7.比較例4
マンドレルMDとして凹凸構造を有しないものを用いたこと以外は、実施例1と同一条件で樹脂発泡シート1を作製し、試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
6.まとめ
実施例1〜4と比較例1〜3とを比較すると、各実施例の方が各比較例よりも傷の発生が抑制されることが認められる。また、実施例1〜4と比較例4とを比較すると、両方の条件において、傷の発生は殆ど認められなかったが、比較例4の方が巻き取り負荷が高くなり、実施例1〜4の方が樹脂発泡シート1に加わる張力が低減されることが認められる。
このように、曲面部が形成されている微小突起によって形成された凹凸構造を有するマンドレルMDを用いることで、筒状体1’とマンドレルMDとが摺接する際の摩擦が低減されるため、筒状体1’、つまりは樹脂発泡シート1に発生する応力ひずみを抑制することができると認められると共に、樹脂発泡シート1に傷が発生してしまうのを抑制することができると認められる。
【符号の説明】
【0096】
1・・・樹脂発泡シート、10・・・発泡層、20・・・ソリッド層、CD・・・サーキュラーダイ、CDa・・・吐出口、MD・・・マンドレル、XH・・・合流金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性樹脂組成物から形成された発泡層を備える樹脂発泡シートを作製するのに際して熱溶融された前記発泡性樹脂組成物を押し出しして筒状体を形成するサーキュラーダイとともに用いられ、前記サーキュラーダイの押し出し方向前方に配置されて前記筒状体を拡径しつつ冷却すべく用いられるマンドレルであって、
サーキュラーダイ側に配される端部には、前記筒状体の内周面と摺接される外周面が押し出し方向に向けて径大となり当該外周面に沿って前記筒状体が拡径される拡径領域が形成されており、該拡径領域には複数の微小突起によって凹凸構造が形成され、前記微小突起は、突出方向先端部に平面部及び/又は半径0.2mm以上の曲面部を備えると共に、隣接する微小突起同士の突出方向先端間の距離が0.2〜2.0mmとなるように形成されていることを特徴とするマンドレル。
【請求項2】
前記微小突起が錐状であることを特徴とする請求項1に記載のマンドレル。
【請求項3】
前記拡径領域と筒状体とが最初に接触する位置から筒状体の移動方向に向かって30〜80mmの領域に前記凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマンドレル。
【請求項4】
発泡性樹脂組成物から形成された発泡層を備える樹脂発泡シートを作製する樹脂発泡シート製造装置において、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のマンドレルを備えることを特徴とする樹脂発泡シート製造装置。
【請求項5】
発泡性樹脂組成物から形成された発泡層を備える樹脂発泡シートの製造方法において、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のマンドレルを用いることを特徴とする樹脂発泡シートの製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の樹脂発泡シート製造装置を用いて形成された樹脂発泡シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−212989(P2011−212989A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83887(P2010−83887)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】