ミシンの作業分析装置
【課題】縫製作業の効率化を図る。
【解決手段】ミシン10の回転数の変化及び縫製作業時刻が時系列的に記録されると共にオペレータIDや工程IDが設定時点で挿入された記録データDを取得するデータ取得手段36と、いずれかのIDと期間とを選択する選択手段M1と、選択手段で選択されたIDと選択期間とから各記録データの該当部分を抽出する抽出処理手段105と、抽出データを所定のグラフで表示手段103に表示させるグラフ表示処理手段105とを備えている。
【解決手段】ミシン10の回転数の変化及び縫製作業時刻が時系列的に記録されると共にオペレータIDや工程IDが設定時点で挿入された記録データDを取得するデータ取得手段36と、いずれかのIDと期間とを選択する選択手段M1と、選択手段で選択されたIDと選択期間とから各記録データの該当部分を抽出する抽出処理手段105と、抽出データを所定のグラフで表示手段103に表示させるグラフ表示処理手段105とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの作業分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンによる縫製物の生産を効率的に行うため、ミシンの作業分析装置が開発されている。従来の作業分析装置は、例えば、時間経過に伴うミシンの上軸の回転数の推移や単位時間毎の縫製枚数等の生産効率にかかわる指標を計測、算出し、数値化又はグラフ化された結果を操作パネルに表示してユーザに知らせるようになっている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開昭64−86994号公報
【特許文献2】特公平3−10357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の作業分析装置は、単体のミシンでの記録に基づく分析のみが可能であるに過ぎず、当該単体のミシンについて複数のオペレータが使用する場合に各人の技量などを見極めることはできなかった。
また、単体のミシンが、多岐にわたる縫製物の製造工程の内の複数種の作業工程に使用される場合であっても、各作業工程ごとの効率などを見極めることはできなかった。
さらに、複数台のミシンを用意して多岐にわたる縫製物の製造工程を各ミシンで分担して製品の完成までを担う場合などには、特に上記の点が問題となり、各オペレータの長所を生かしたり、短所を補うなどで作業の効率化を図ったり、各種の作業工程における効率比較が行えないことから作業の流れを円滑にすることができなかった。
【0004】
本発明は、複数台のミシンによる共同の縫製作業における作業効率の向上を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、複数のミシンから取得した記録データを集計して表示手段を制御してグラフ表示を行わせるミシンの作業分析装置であって、ミシンの回転数の変化及び個々の縫製作業単位の縫製作業時刻が時系列的に記録されると共に複数のオペレータ特定情報及び複数の作業分類特定情報からなる識別情報が設定された時点に応じて時系列的に挿入された前記記録データを取得するデータ取得手段と、前記識別情報の中からいずれか複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報を選択すると共にデータ記録期間中のいずれかの期間を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報と選択期間とから前記各記録データの該当部分を抽出する抽出処理手段と、前記抽出データを所定のグラフで前記表示手段に表示させるグラフ表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
「記録データ」は、個々のミシンが備えるデータ記録手段によって時系列的に記録されるミシンの回転数、縫製作業時刻からなり、ある時刻にミシンに対してオペレータ特定情報や作業分類特定情報の設定入力が行われると、時系列的に記録されているミシンの回転数や縫製作業時刻のデータの途中にその設定時刻に応じて特定情報データが記録されるようになっている。
「縫製作業時刻」とは、一つの縫製作業(一つの被縫製物に対する一つの作業工程)の開始又は終了又はこれら両方のタイミング(日付及び時刻)を示す。
「作業分類特定情報」とは、ミシンによる縫製作業の分類全般の識別情報(識別情報とはID、その他、データ処理を行う装置で識別可能な情報であれば何でも良い)を示し、例えば、各種の縫いの識別情報、各種の縫いの各工程ごとの識別に用いられる工程識別情報、ロット単位で作業を管理する場合にはロット識別情報等が該当する。
「縫製作業単位」とは、縫製作業を工程などで区分した一つの作業の単位をいう。一般には縫いを開始してから糸切りを行い縫いを終了するまでを一つの縫製作業単位とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から個々の縫製作業単位について縫製所要時間を求める所要時間算出手段と、前記選択された各識別情報ごとに前記縫製所要時間を外れ値を除いて平均値を算出する平均化処理手段と、前記グラフ表示処理手段は、前記各識別情報の縫製所要時間の平均値を並べてグラフ表示すると共に、前記選択された全識別情報についての前記縫製所要時間の平均値を示す平均値ラインと前記全識別情報の平均値に対して所定の比率で増減させた上限値及び下限値ラインを前記グラフに重ねて表示することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から前記選択された複数の識別情報について個別に縫製作業単位の生産数量を求めると共に、前記各識別情報の生産数量における選択されなかった識別情報についての内訳となる個々の該当数量を求める縫製作業単位計数手段を備え、前記グラフ表示処理手段は、前記抽出データの複数の識別情報についての生産数量を棒グラフで表示する場合に、各オペレータ特定情報と各作業分類特定情報の内の選択されなかった方の個々の情報について個別に求められた該当数量が識別可能となるように前記棒グラフの表示態様を区分けすることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データの複数の識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替える第一の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれるミシンの回転数の変化から選択された各識別情報ごとに稼働時間と休止時間とを累計する稼働時間累計手段を備え、前記グラフ表示処理手段は、前記累計された稼働時間と休止時間の比率が識別可能となるように表示態様を区分けした棒グラフで表示することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、他方の前記識別情報をパラメータとするグラフ表示に切り替える第二の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記抽出データに含まれながら前記表示処理手段によるグラフ表示に反映されない項目について前記グラフをさけて表形式で前記表示手段に表示させる補足表表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データに含まれるミシンの回転数の変化を示す波形グラフの表示に切り替える第三の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、複数のミシンから取得された複数の記録データに対して、選択手段により、いずれかの特定情報と期間の選択が行われると、全記録データの中から該当する期間における該当する特定情報に属するデータが抽出される。例えば、あるオペレータ特定情報とある日付の一日が選択された場合には、当該日付の日時において、当該オペレータ特定情報が入力されてから次の別のオペレータ情報が入力されるまでのミシンの回転数と縫製作業時刻のデータが抽出データとなる。また、特定情報が複数選択され場合には、それぞれに該当する抽出データが抽出される。
そして、各抽出データは所定のグラフで表示手段に表示される。
【0015】
これにより、単数乃至複数のミシンを複数のオペレータが使用する場合であっても、選択手段と抽出処理手段により各オペレータの使用状況をデータとして抽出しグラフ表示を行うことが可能となる。このため、各オペレータの技量の見極めを容易に行うことが可能となる。
さらに、選択手段により作業分類特定情報を選択すれば、当該作業分類情報に関連する抽出データが得られるので、単数乃至複数のミシンで複数の作業工程(作業分類)が行われたとしても、分析に必要な作業工程のデータのみをグラフ化することができ、各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めを容易に行うことが可能となる。
また、複数台のミシンにより複数のオペレータが複数の作業工程(作業分類)を分担して製品の完成までを担う場合であっても、オペレータごと或いは作業工程(作業分類)ごとの縫いの状態や達成の状態を把握することができ、全体の効率の低下の原因を容易に把握することが可能となり、例えば、習熟度が低いオペレータは作業の手間の低い工程に配置する、補助のオペレータをつける、手間がかかり作業時間が余分にかかる作業工程については習熟度の高いオペレータを配置する、オペレータを増やす等の対策を講じることが可能となる。
【0016】
請求項2記載の発明は、選択された識別情報に属する縫製作業単位における縫製所要時間を求めることができるので、オペレータごと或いは作業工程などの作業分類ごとに一つの作業単位の所要時間を求めることができ、各オペレータの技量や各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めをより容易に行うことが可能となる。
さらに、縫製所要時間について外れ値を除いて平均化する処理が行われる。なお、その処理の具体例は段落番号0043以降に記載する。ただし、その記載に限定されるものではない。これにより、縫製作業における不慮の要因(例えば、糸切れや糸絡み、糸交換等)によるタイムロスの影響を効果的に排除することができ、例えば、オペレータごとの技量や作業工程ごとの作業の円滑性などを正確に把握することが可能となる。
また、縫製所要時間のグラフ表示において、平均値ライン及び設定された上下限値を示す上限値及び下限値ラインを表示するので、選択された識別情報について縫製所要時間の評価を円滑且つ確実に行うことが可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、抽出データの縫製作業単位(例えば一つの被縫製物)の縫製作業時刻から、選択された各識別情報について個別に縫製作業単位の生産数量を求める。これにより、例えば、あるオペレータ識別情報が選択されていた場合には、選択された期間における当該オペレータが縫製を行った枚数が求められる。
さらに、各識別情報ごとの生産数量について、選択されなかった方の識別情報ごとの内訳が求められる。例えば、オペレータ識別情報が選択されていた場合には、生産数量の内の各作業分類識別情報に属する該当数量が内訳として求められる。つまり、あるオペレータが複数の作業分類についての縫製を行っていた場合には、各作業分類ごとの縫製枚数が内訳として求められる。
そして、各識別情報ごとに生産数量がグラフ化されて表示されることになるが、その際には、各棒グラフ表示について、もう一方の識別情報に属する該当数量の内訳が色分け等で区分けされて表示される。
【0018】
このように、選択された各識別情報ごとに総生産数量のみが分かるだけでなく、選択されていない識別情報の内訳までが認識可能にグラフ化されるので、例えば、オペレータごとの技量の把握と作業工程ごとの作業の円滑性などが同時に把握でき且つそれらの関連も把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0019】
請求項4では、選択された識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている状態から当該識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替えることができるので、ある識別情報(例えば、あるオペレータ識別情報や作業分類識別情報)について特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えによりその識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を速やかに確認することができ、オペレータごとの技量の把握や作業工程ごとの作業の円滑性などを把握しながら他の情報との関連を把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、選択された識別情報について稼働時間と休止時間の比率が棒グラフ表示されるので、オペレータや作業工程ごとに稼働率がわかり、作業効率の高低の原因の把握などに利用することができる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0021】
請求項6記載の発明は、オペレータ識別情報(又は作業分類識別情報)が選択され、それをパラメータとしてグラフ表示が行われている状態から、作業分類識別情報(又はオペレータ識別情報)をパラメータとするグラフ表示に切り替えが可能であることから、オペレータと作業分類との関連がわかり、効率における相互の影響なども把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0022】
請求項7記載の発明は、グラフ表示に際して、グラフの種別によっては抽出データに含まれながらグラフ表示に反映されない項目が生じる場合がある。そのような場合でも、当該項目についてグラフをよける配置で表形式で表示が行われるので、同時に多くの情報を認識でき、より精細な分析が可能となる。
【0023】
請求項8記載の発明は、選択された識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている状態から、ミシンの回転数の変化を示す波形グラフの表示に切り替えることができるので、ある識別情報(例えば、あるオペレータ識別情報や作業分類識別情報)について特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えによりその識別情報についてのミシンの回転数変化を速やかに確認することができ、オペレータごとの技量の把握や作業工程ごとの作業の円滑性などを把握しながら他の情報との関連を把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(発明の実施形態の全体構成)
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの作業分析装置101を含んだミシンの作業分析システム100について図1乃至図22に基づいて説明する。図1は作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この作業分析システム100は、複数台の生産管理ミシン10と、当該各生産管理ミシン10と情報記録媒体の人為的な送受により記録データの送受を可能とした作業分析装置101とを備えている。
上記作業分析装置101としては、パーソナルコンピュータかあるいはワークステーションが使用される。また、作業分析装置101と各生産管理ミシン10との間での記録データの送受は、無線LANや有線LANなどの無線若しくは有線通信手段を利用しても良い。
【0025】
(生産管理ミシン)
図2は生産管理ミシン10を含む作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
各生産管理ミシン10は、縫い針を保持する針棒の上下動駆動源であるミシンモータ11と、ミシンモータ11の回転駆動力を上下動駆動源に変換して針棒に伝える図示しない上下動機構と、図示しない布送り機構と、図示しない糸調子装置と、縫いの完了後に縫い糸の切断を行う糸切りメスを駆動させるメス駆動ソレノイド12と、前踏みでミシンモータ11の起動指令を入力し、後踏みでメス駆動ソレノイド12の駆動指令を入力する操作ペダル13と、後述する各種の入力を行う操作キー21と所定の画面表示が行われる表示部22とを備える操作パネル20と、一つの縫製が完了したときに押下されるカウントスイッチ23と、後述する各種の処理を実行するための各種のプログラム及び初期データが記憶されたROM32と、各種のプログラムを実行するCPU31と、CPU31の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM33と、生産管理ミシン10において記録される記録データを格納するEEPROM35と、EEPROM35内の記録データを当該生産管理ミシン10と作業分析装置101との間で移送するための記録媒体であるフラッシュメモリカード36と、その読み取り書き込み装置37とを備えている。
【0026】
(記録データ)
上記生産管理ミシン10は、縫製の過程において図3に示す回転数データD1と縫製作業時刻データD2とからなる記録データDを生成し、EEPROM35に記録する。なお、この記録データDはEEPROM35からフラッシュメモリ36にコピーされて作業分析装置101に移送される。
回転数データD1は、CPU31が所定のサンプリング周期で操作ペダル13から入力されるミシンの回転数の検出を行って逐次記録することで生成され、その記録途中でオペレータ特定情報としてのオペレータIDと作業分類特定情報としての工程IDのいずれかでも入力されると、入力時点に応じて各回転数のデータの途中に介挿される。また、生産管理ミシン10の主電源投入時には、回転数データD1にミシン識別情報としてのミシンIDが記録される。さらに、この回転数データD1には、糸切りが行われるとその実行時点に応じて糸切り情報が介挿され、カウントスイッチ23が押下されると区切り情報が介挿される。区切り情報は、一つの縫製作業単位の区切りを示し、カウントスイッチ23の押下の時刻(年月日も含む)も記録される。
【0027】
縫製作業時刻データD2は、CPU31が一縫製作業単位(ここでは一つの被縫製物における一つの縫製工程をいうものとする)の縫いを行うごとにその縫製作業時刻(年月日も含むが図では省略)を逐次記録することで生成され、その記録途中でオペレータIDと工程IDのいずれかでも入力されると、入力時点に応じて各縫製作業時刻のデータの途中に介挿される。上記縫製作業時刻の記録は縫い終了時に押下されるカウントスイッチ23の押下の際に行われる。また、生産管理ミシン10の主電源投入時には、縫製作業時刻データD2にミシンIDが記録される。
【0028】
なお、ミシンIDとは、各生産管理ミシン10に対して個別に割り振られた各ミシンを区別するための符号である。
また、オペレータIDとは、各生産管理ミシン10を用いて縫製を行う複数のオペレータに対して個別に割り振られた各人を区別するための符号である。
また、工程IDとは、各種の被縫製物に対する各種の縫製種別で行われる各縫製工程ごとに個別に割り振られた各工程を区別するための符号である。
ここで、縫製工程について図4を例に補足説明する。図4はズボンの縫製の開始から完成までの各工程を示す工程図である。なお、この工程図は例示のために構成を若干簡略化している。ズボンは左右の前身頃と左右の後身頃の四つのパーツからなり、その縫製工程は、左右の前身頃を縫い合わせる「前中心接ぎ」、左右の後身頃を縫い合わせる「後中心接ぎ」、縫い合わされた左右の前身頃と縫い合わされた左右の後身頃の両脇を縫い合わせる「脇合わせ」、「裾三巻縫い」、「内股合わせ」、「ウェストゴム入れ」、「閂止」の七つの工程からなる。このように、一種類の被縫製物の完成に至るまでには複数の工程を有し、その縫製種別によって使用されるミシンの種別も異なってくる。なお、通常は、被縫製物の種類ごとに縫製工程は別のものとして識別されるが、同種の被縫製物について、サイズ、色、仕様、材料種等が異なる場合には、これらの縫製工程を別のものとして識別可能となるように別のIDを割り振っても良い。
なお、被縫製物の量産に対応すべく、被縫製物の生産をロット単位で管理している場合には、ロットが異なる場合も縫製工程を別のものとして識別しても良い。
また、上記の例では、作業分類特定情報として縫製工程の違いで分類を行っているが、ロットで生産管理が行われている場合には、ロット単位での識別を行うために、ロットIDをもミシンが記録データDの各データD1,D2中に記録可能としても良い。
【0029】
図5は生産管理ミシン10のCPU31により実行される記録データDの記録処理プログラムに基づいて行われる処理を示すフローチャートである。
これによれば、まず、主電源がオンされると、ミシン回転数を周期的に検出するための周期を計時する回転数記録タイマ(図示略)が計時を開始する(ステップS1)。そして、回転数データD1及び縫製作業時刻データD2にミシンIDを記録する(ステップS2)。
次いで、CPU31は、表示部22に対してオペレータIDと工程IDの入力を要求する指示を表示させ、操作キー群21からこれらの入力を受けると回転数データD1及び縫製作業時刻データD2にオペレータID及び工程IDを記録する(ステップS3)。
【0030】
そして、図示しない内蔵クロックにより現在時刻を参照し、区切り情報として回転数データD1に記録すると共に縫製作業時刻として縫製作業時刻データD2に記録する(ステップS4)。
次ぎに、回転数記録タイマが一周期をカウントアップしたか判定し(ステップS5)、カウントアップしていない場合にはステップS7に処理を進め、カウントアップした場合には現在の操作ペダル13の踏み込み量からモータ回転数を求めて回転数として回転数データD1に記録する(ステップS6)。
なお、各ID、縫製作業時刻、回転数はそれぞれが記録を実行した順番通りに記録され、回転数データD1及び縫製作業時刻データD2の中身となる各データ群を順番に参照すれば記録された順番が分かるようになっている。
【0031】
次いで、ステップS7では、オペレータの交代などにより新たなオペレータIDの入力が行われたかの判定を行い、入力がない場合にはステップS9に処理を進め、入力があった場合には回転数データD1及び縫製作業時刻データD2にオペレータIDを記録する(ステップS8)。
次いで、ステップS9では、工程の変更により新たな工程IDの入力が行われたかの判定を行い、入力がない場合にはステップS11に処理を進め、入力があった場合には回転数データD1及び縫製作業時刻データD2に工程IDを記録する(ステップS10)。
次いで、ステップS11では、操作ペダル13から糸切り指示の入力があったか否かの判定を行い、入力がない場合にはステップS13に処理を進め、入力があった場合には回転数データD1に糸切り情報を記録する(ステップS12)。
ステップS13では、カウントスイッチ23の入力があったか否かの判定を行い、入力がない場合にはステップS5に処理を戻す。また、入力があった場合には回転数データD1に区切り情報として現在時刻を記録し、縫製作業時刻データD2に縫製作業時刻を記録してから(ステップS14)、ステップS5に処理を戻す。
上記処理は、生産管理ミシン10の主電源のオフまで継続して行われ、これにより、生産管理ミシン10のEEPROM35には回転数データD1及び縫製作業時刻データD2からなる記録データDが記録される。
なお、生産管理ミシン10は、操作ペダル13から回転数を検出しているが、ミシンモータ11にエンコーダ等の回転数検出手段を設けても良い。
【0032】
(作業分析装置)
作業分析装置101は、後述する各種の入力を行うキーボード102と、所定の画面表示が行われる表示手段としてのモニタ103と、基本プログラム及び初期データが記憶されたROM104と、各種のプログラムを実行するCPU105と、CPU105の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM106と、CPU105と、後述する各処理を行うためのプログラムと各生産管理ミシン10から受信した記録データDを格納する記憶手段としてのHD(ハードディスク)装置108と、記録データDを生産管理ミシン10から取得するためのデータ取得手段としてのフラッシュメモリカード36及びその読み取り書き込み装置109と、モニタ103に表示されるポインタの移動操作及び決定の入力を行うマウス110とを備えている。なお、以下に説明する表示画面に対するマウス110による選択や決定の入力操作は周知であるため、その原理や詳細説明は省略する。
【0033】
(メイン画面)
作業分析装置101では、各生産管理ミシン10から記録データDを取得すると、所定の処理プログラムによりメイン画面M1を表示する。図6はメイン画面M1の表示例である。
メイン画面M1は、各生産管理ミシン10から取得された記録データDの中に、いずれの識別情報(オペレータID及び工程ID)に属し、いずれの期間(日時)についてのデータが存在するかを示す一覧表形式の表示である。かかるメイン画面M1では、縦軸にオペレータID又は工程IDの識別情報の一覧が表示されると共にこれらがIDの選択スイッチとなり、横軸に期間が時系列で並んで表示されると共にこれらが期間の選択スイッチとなっている。そして、任意のIDから横一列に並んだマス目と任意の期間から縦一列に並んだマス目との交差する位置にあるマス目の表示色が、任意のIDにおける任意の期間についてデータが存在するかを示すようになっている。
また、縦軸にオペレータIDと工程IDのいずれをとるかは切り替えスイッチM11へのマウス操作により選択可能となっており、期間の表示範囲の選択は表示期間指定スイッチM12へのマウス操作により行われるようになっている。
さらに、メイン画面M1は、後述する各種のグラフ表示を行う対象となるデータを選択するために、識別情報とデータ記録期間中のいずれかの期間(日時)を選択する「選択手段」として機能する。即ち、前述したように、縦軸はIDの選択スイッチ、横軸は日時の選択スイッチとなっていることから、これらをそれぞれマウス操作で選択することで、選択IDについて選択日時に取得されたデータが特定され、抽出される。
【0034】
上記メイン画面M1においてCPU105が行う処理を図7に基づいて説明する。ここでは、縦軸にオペレータIDが選択された場合を例に説明する。
まず、メイン画面M1の表示の際に各ID及び各期間におけるデータの有無を色分けで示す場合の処理を説明する。
この処理は、まず、記録データD(例えば、回転数データD1)をデータの並びの先頭から読み込み(ステップS21)、一つ目のオペレータIDの記録が存在するかを判定し(ステップS22)、オペレータIDの記録が発見された場合には、当該オペレータIDよりも後方にある直近の区切り情報を探索し(ステップS23)、当該区切り情報からデータ記録の日時を読み出す(ステップS24)。これを各記録データDの全範囲に対して実行することで(ステップS25)、一つ目のオペレータIDの記録日時を全て得ることができる。同様の処理をそれ以降のオペレータIDについて実行することで、各オペレータIDについて各日時についての記録データの存在の有無が確認でき、これに従って、各マス目の色分け表示制御を実行する。
なお、切り替えスイッチM11により縦軸に工程IDが選択されている場合には、上記ステップS22の処理において工程IDが存在するか判定が行われる。
【0035】
次に、メイン画面M1において選択手段として機能する場合にCPU105が行う処理について図8に基づいて説明する。ここでは、縦軸にオペレータIDが選択された場合を例に説明する。
メイン画面M1の表示状態において、CPU105は、縦軸のいずれかのオペレータIDが選択されたか否かを判定し(ステップS31)、次に横軸のいずれかの期間が選択されたかを判定する(ステップS32)。そして、オペレータIDと期間の双方が選択されたか判定する(ステップS33)。
その結果、両方とも選択されている場合には、CPU105は、回転数データD1及び縫製作業時刻データD2に対して選択オペレータIDに属するデータの抽出を行う(ステップS34)。抽出の方法は、回転数データD1と縫製作業時刻データD2のそれぞれについて、それらの先頭からデータの読み込みを行い、オペレータIDの検索を行う。オペレータIDを検出すると、そのオペレータIDが選択されたオペレータIDであるかを判定し、それが選択オペレータIDである場合にのみ次のオペレータIDまでのデータを抽出して記録する。オペレータIDの検出、判定、データ抽出を回転数データD1の全範囲について行い、抽出された全データを一時抽出データとしてRAM106に記憶する。
次に、一時抽出データの抽出を行うと、これに対して、CPU105は、選択期間に属する抽出データの抽出を行う(ステップS35)。
抽出の方法は、まず、回転数データD1については、その一時抽出データの先頭から区切り情報の検索を行い、発見すると、区切り情報に含まれる時刻情報が選択された期間内であるかを判定し、期間内である場合のみ次の区切り情報の手前までのデータを抽出してRAM106に記録し、これを区切り情報ごとに繰り返す。これにより、回転数データD1について選択されたオペレータIDと選択期間に該当する抽出データが抽出される。
また、縫製作業時刻データD2については、その一時抽出データの先頭から各縫製作業時刻のデータを読み出し、各データの示す時刻が選択された期間内であるかを判定し、期間内である場合のみ抽出してRAM106に記録し、一時抽出データの全範囲に対して実行する。これにより、縫製作業時刻データD2について選択されたオペレータIDと選択期間に該当する抽出データが抽出される。
なお、切り替えスイッチM11により縦軸に工程IDが選択されている場合には、CPU105は、上記ステップS31の処理において工程IDの選択があるか判定を行い、ステップS34の処理において選択工程IDに属する一時抽出データの抽出を行う。
また、オペレータID又は工程IDと期間の選択は複数であっても良いことは言うまでもない。そして、その場合には、一時抽出データ及び抽出データの抽出は、各選択ID及び各期間ごとに行うことになる。
以上のように、上記図8に示す処理によりCPU105は「抽出処理手段」として機能する。
【0036】
(工程一覧表)
各表示画面には、表示カテゴリーの切り替えを行うタブスイッチM13〜M16があり、これら対するマウス操作により、メイン画面表示、稼働状況モニタ、ソーイングレコーダ、ピッチタイムモニタの各表示カテゴリーに切り替えることを可能としている。上記タブスイッチM14により表示カテゴリーを稼働状況モニタに切り替えると、後述する生産数量グラフ画面M3(図10参照)の表示が行われる。
かかる生産数量グラフ画面M3において表示される工程詳細一覧スイッチM35にマウス操作を行うと、図9に示す工程一覧表画面M2を表示することができる。かかる工程一覧表画面M2では、オペレータIDに示すオペレータが縫製を行った各工程を工程IDで示すことでこれらの対応関係を示している。即ち、第一列目にオペレータIDを表示し、第二列目に各オペレータIDに属する工程IDを表示することで、オペレータIDと工程IDとの対応関係を表形式で表示している。
かかる対応関係は、CPU105が、縫製作業時刻データD2に対して先頭から読み込みを行い、各オペレータIDごとにデータを区切り、当該各区切られた範囲内にあるデータがいずれ工程に属するかを工程IDの記録から求めることで各オペレータIDと各工程の対応関係を求めている。
【0037】
(生産数量グラフ)
前述した生産数量グラフ画面M3は、図10に示すように、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で、各オペレータIDごとに、縫製作業単位の生産数量を棒グラフ表示している。ここで、縫製作業単位とは一つの被縫製物に対して一つの工程が施されることを意味するものとする。
生産数量グラフ画面M3における各オペレータIDごとの棒グラフは、さらに各工程ごとの数量の内訳を色分けで表示している。
【0038】
図11は生産数量グラフ画面M3のグラフ表示処理を示すフローチャートである。CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとに縫製作業時刻データD2から抽出した各抽出データごとに以下の処理を行う。
まず、CPU105は、抽出データについて先頭から読み込みを行う(ステップS41)。
そして、抽出データの先頭からの読み込みの過程において、工程IDの検出を行い、各工程IDごとにデータを区切ると共に(ステップS42)、当該各区切りごとに縫製作業時刻のデータ数をカウントする(ステップS43)。これにより、各工程の該当数量を求めることができる。
そして、各工程IDごとの該当数量を総計し、選択された一つのオペレータIDにおける一つの選択期間についての生産数量を算出する(ステップS44)。
そして、選択された一つのオペレータIDにおける一つの選択期間についての生産数量から棒グラフの表示高さを求め、且つ、これに含まれる各工程ごとの数量から当該各工程の色分け幅を決定し、棒グラフ表示を実行する(ステップS45)。
【0039】
以上のように、上記図11に示すステップS41〜S44に示す処理により、CPU105は「縫製作業単位計数手段」として機能する。また、ステップS45に示す処理により、CPU105は「グラフ表示手段」としての一機能を果たしている。
また、生産数量グラフ画面M3内には、グラフ表示位置の下側に、生産数量グラフ上で選択されたオペレータIDにおける、生産数量以外のパラメータである「平均ピッチタイム」及び「ミシン稼働率」の数値を示す表M31の表示が行われている。かかる表M31の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS42において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対してオペレータIDの検出が行われ、ステップS43において、各オペレータIDごとに縫製作業時刻のデータ数がカウントされることで、各工程IDごとの棒グラフ表示が各オペレータIDごとに色分けされて行われる。
【0040】
また、生産数量グラフ画面M3内には、マウス操作により、抽出データの範囲内で、オペレータIDに基づく生産数量の表示を行う状態から工程IDに基づく生産数量の表示を行う状態に切り替えを行う切り替えスイッチM32が表示されている。
切り替えスイッチM32により切り替えられた生産数量グラフ画面M4は、図12に示すように、各工程IDごとの生産数量が選択オペレータIDごとに色分けされた状態で表示される。ここで棒グラフ表示が行われる工程IDは、選択オペレータIDに関連する工程IDのみである。
つまり、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間に属する抽出データを工程IDごとに区切り、各区切りごとの生産数量を求め、各工程ごと棒グラフを色分けして再表示を行う。これにより、CPU105は、「第二の切り替え表示制御手段」としての一機能を果たしている。
【0041】
(ピッチダイヤグラム)
前述した各表示カテゴリーの表示画面は、画面左側の共通スイッチ表示領域Aを除いてカテゴリー内でさらに個々の表示画面に切り替えることを可能としている。そして、表示カテゴリーを稼働状況モニタとしている場合には、共通スイッチ領域Aにはピッチダイヤグラムと稼働比較グラフとに画面切り替えを行うための切り替えスイッチM33,M34が設けられている。図13は切り替えスイッチM33により切り替えられたピッチダイヤグラム画面M5の表示例である。
かかるピッチダイヤグラム画面M5は、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で、各オペレータIDごとに個々の縫製作業単位について縫製所要時間(ピッチタイム)を求め、各オペレータIDごとの縫製所要時間の平均値を折れ線グラフ表示したものである。
また、このピッチダイヤグラム画面M5内には、選択された全オペレータIDについての総合的な縫製所要時間の平均値を示す平均値ラインM53と当該平均値から所定比率で求められた上限値ラインM54及び下限値ラインM55とが表示される。ここでは、上限値=平均値÷0.85 により算出される。また、下限値=平均値×2−上限値 により算出される。なお、予め定めた他の比率を平均値に乗じて上限値や下限値を求めても良い。
かかる各ラインM53〜M55により各オペレータの習熟度を計る際の目安となる。
【0042】
図14はピッチダイヤグラム画面M5のグラフ表示処理を示すフローチャートである。CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとに縫製作業時刻データD2から抽出した各抽出データに対して以下の処理を行う。
まず、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとの各抽出データについて先頭から縫製作業時刻のデータの読み込みを行う(ステップS51)。
そして、前後の縫製作業時刻から縫製所要時間を算出する(ステップS52)。
さらに、算出された各抽出データの縫製所要時間から外れ値を除外する処理を行う(ステップS53)。かかる処理は、原則として下記の説明の3σの範囲の平均値の算出が行われるが、各縫製所要時間を平均化してその平均値から大きく外れる値を除外しても良いし、各縫製所要時間の80〜90%を占める数値範囲内で平均化してその平均値から大きく外れる値を除外しても良いし、標準偏差を求めてそこから外れ値を求めて除外しても良いし、その他の周知の外れ値の算出手法を用いても良い。
次に、CPU105は、各選択オペレータIDごとに外れ値を除いた各縫製所要時間の平均値を算出する(ステップS54)。
【0043】
ここで、上記外れ値を除いて平均値を算出する処理について、CPU105が行う一例を詳述する。
まず、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で各オペレータIDごとに標準偏差Sを算出する。標準偏差Sは下式(1)〜(3)に基づいて算出される。即ち、選択期間における各オペレータの全縫製所要時間から平均値を算出する。ここで、符号xは対象となるオペレータの個々の縫製所要時間を示し、上線付きのxはその平均値を示す。また、符号nは対象となるオペレータの個々の縫製所要時間のサンプル数である。
そして、求められた平均値から下式(2)に基づいて平方偏差s2を算出し、その平方根から下式(3)に基づいて標準偏差sを算出する。
【0044】
【数1】
【0045】
次に、標準偏差sから3σの範囲の平均値を算出する。
即ち、+3σ=(xの平均値)+(s×3)と−3σ=(xの平均値)−(s×3)とを求め、±3σの範囲(−3σ以上であって+3σ以下の範囲)内の縫製所要時間のみを抽出し、抽出された縫製所要時間から再度平均値を算出する。当該平均処理により外れ値を除外することができる。以下、作業分析装置101では縫製所要時間の平均値とは、この外れ値を除いた平均値のことを示すものとする。
また、各ラインM53〜M55は上記外れ値を除いた平均値に基づいて表示される。
【0046】
なお、参考のための具体的な数値を用いて上記処理の一例を説明する。
対象となる一人のオペレータの選択期間内の縫製所要時間が以下の数値であるものとする(サンプル数は15)。
縫製所要時間(x):411,723,110,343,38,38,40,34,32,2518,324,404,1115,419,237
平均値は、
xの平均値=(411+723+110+343+38+38+40+34+32+2518+324+404+1115+419+237)/15
=281.73
平方偏差は、
s2=(251−281.73)2+(443+281.73)2+…/(15−1)
=148769.50
標準偏差は、
s=385.71
+3σは、
+3σ=(xの平均値)+(s×3)
=1438.85
−3σは、
−3σ=(xの平均値)−(s×3)
=−875.39
±3σの範囲内の縫製所要時間は411,723,110,343,38,38,40,34,32,2518,324,404,1115,419,237
従って、
±3σの範囲内の縫製所要時間の平均値=(411+723+110+343+38+38+40+34+32+324+404+1115+419+237)/14
=193.43
このように、単なる平均値は281.73となり、上述の外れ値を除く平均化処理により平均値は193.43となる。
【0047】
上述のように、平均値が算出されるとCPU105は、その平均値から所定比率を乗じて上限値(=平均値÷0.85)と下限値(=平均値×2−上限値)とを算出する。
そして、各選択オペレータIDごとの縫製所要時間の平均値をプロットして折れ線グラフ表示を行うと共に、そのグラフ表示領域内に総合的な平均値の平均値ラインM53と上限値の上限値ラインM54、下限値の下限値ラインM55を表示する(ステップS55)。
【0048】
以上のように、上記図14に示すステップS52に示す処理により、CPU105は「所要時間算出手段」として機能する。また、ステップS53及びS54に示す処理により、CPU105は「平均化処理手段」として機能する。さらに、CPU105は、平均値ラインM53、上限値ラインM54及び下限値ラインM55を折れ線グラフ表示内に表示させることにより「グラフ表示処理手段」としての一機能を果たしている。
また、ピッチダイヤグラム画面M5内には、グラフ表示位置の下側に、グラフ上で選択されたオペレータIDにおける、ピッチタイム以外のパラメータである「総生産数量」及び「ミシン稼働率」の数値を示す表M51の表示が行われている。かかる表M51の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
【0049】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS52において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データごとに縫製作業時刻のデータから縫製所要時間が算出され、その他の処理については、オペレータIDの場合とほぼ同様である。
【0050】
また、ピッチダイヤグラム画面M5内には、マウス操作により、抽出データの範囲内で、オペレータIDに基づくピッチダイヤグラム表示を行う状態から工程IDに基づくピッチダイヤグラム表示を行う状態に切り替えを行う切り替えスイッチM52が表示されている。
切り替えスイッチM52により切り替えられたピッチダイヤグラム画面M6は、図15に示すように、各工程IDごとの縫製所要時間の平均値が折れ線グラフ表示で表示される。ここで折れ線グラフ表示が行われる工程IDは、選択オペレータIDに関連する工程IDのみである。
つまり、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間に属する抽出データを工程IDごとに区切り、各区切りごとの縫製所要時間を求め、各工程ごとに縫製所要時間を外れ値を除いて平均化し、各工程ごとに平均値をプロットして折れ線グラフの再表示を行う。また、総合的な平均値と上限値下限値をライン表示する点は図13と同様である。これにより、CPU105は、「第二の切り替え表示制御手段」としての一機能を果たすこととなる。
【0051】
(稼働比較グラフ)
表示カテゴリーを稼働状況モニタとしている場合で、共通スイッチ領域Aの切り替えスイッチM34をマウス操作すると稼働比較グラフ画面M7が表示される。図16は切り替えスイッチM34により切り替えられた稼働比較グラフ画面M7の表示例である。
かかる稼働比較グラフ画面M7は、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で、各オペレータIDごとに個々の縫製作業における稼働時間と非稼働時間とを求め、各オペレータIDごとの総稼働時間と総非稼働時間を求めてそれらの合計時間を棒グラフ表示したものである。また、各オペレータIDごとの棒グラフは、総稼働時間と休止時間との比率に応じて色分け表示がなされている。なお、「稼働時間」とはミシンモータが駆動した状態にある時間をいう。
【0052】
図17は稼働比較グラフ画面M7のグラフ表示処理を示すフローチャートである。CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとに回転数データD1から抽出した各抽出データに対して以下の処理を行う。
まず、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとの各抽出データについて先頭からデータの読み込みを行う(ステップS61)。
そして、区切り情報を逐次検出し、抽出データにおける最初の区切り情報と最終の区切り情報とから選択オペレータごとの作業従事時間を求め、選択期間分の累計を求める(ステップS62)。なお、「作業従事時間」とはミシンに向かって作業を行っている時間であって、稼働時間と休止時間の合計をいう。
また、各抽出データの読み込みに際し、0[rpm]以外の回転数を示すデータ数をカウントし(ステップS63)、オペレータIDごとの総カウント数にミシンの回転数のサンプリング周期を乗算することで稼働時間の累計を算出する(ステップS64)。
そして、各選択オペレータIDごとの作業従事時間の累計により棒グラフの高さを算出すると共に、作業従事時間の累計と稼働時間の累計とから作業従事時間を1とした場合の稼働時間の比率を稼働時間の累計値÷作業従事時間の累計値から算出し、棒グラフで色分けされる稼働時間部分の高さを算出し、各オペレータIDごとに棒グラフ表示を行う(ステップS65)。なお、作業従事時間の棒グラフ中に含まれる稼働時間が色分けされることで残りの部分が休止時間となり、結果的に窮し時間の累計も棒グラフ中に表示される。
【0053】
なお、上記処理説明では、稼働比較グラフの稼働時間の算出を0[rpm]以外の回転数のサンプリング個数をサンプリング周期で乗算することを算出しているが、予め、ミシン側で稼働時間を算出し、縫製作業時刻データD2に記録しておいて、それらを累計しても、上記と同様の結果を得ることができる。
【0054】
以上のように、上記図17のステップS62〜S64に示す処理により、CPU105は「稼働時間累計手段」として機能する。また、ステップS53及びS54に示す処理により、CPU105は「平均化処理手段」として機能する。さらに、CPU105は、稼働時間と休止時間と色分けされた状態で作業従事時間の棒グラフを表示させることにより「グラフ表示処理手段」としての一機能を果たしている。
また、稼働比較グラフ画面M7内には、グラフ表示位置の下側に、グラフ上で選択されたオペレータIDにおける、稼働率以外のパラメータである「総生産数量」及び「平均ピッチタイム」の数値を示す表M71の表示が行われている。かかる表M71の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
【0055】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS62において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して選択工程ごとに作業従事時間を求めて累計し、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データから稼働時間を累計し、その他の処理については、オペレータIDの場合とほぼ同様である。
【0056】
また、稼働比較グラフ画面M7内には、マウス操作により、抽出データの範囲内で、オペレータIDに基づく稼働比較表示を行う状態から工程IDに基づく稼働比較表示を行う状態に切り替えを行う切り替えスイッチM72が表示されている。
切り替えスイッチM72により切り替えられた稼働比較グラフ画面M8は、図18に示すように、各工程IDごとの稼働比較が棒グラフ表示で表示される。ここで棒グラフ表示が行われる工程IDは、選択オペレータIDに関連する工程IDのみである。
つまり、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間に属する抽出データを工程IDごとに区切り、各区切りの範囲内で作業従事時間と稼働時間とを求め、さらに、各工程ごとに作業従事時間と稼働時間とを集計して求め、各工程ごとの稼働比較について棒グラフの再表示を行う。また、稼働時間を休止時間とを色分けする点は図16と同様である。これにより、CPU105は、「第二の切り替え表示制御手段」としての一機能を果たすこととなる。
【0057】
(ソーイングレコーダ)
一乃至二種類の抽出データを選択し、タブスイッチM15をマウス操作すると、表示カテゴリーがソーイングレコーダとなり、ソーイングレコーダ画面M9が表示される。図19はソーイングレコーダ画面M9の表示例である。
かかるソーイングレコーダ画面M9は、オペレータIDと期間が選択された回転数データD1に基づく二種類の抽出データについて、それぞれミシンの回転数の時間的変化を示すミシンの動作波形を折れ線グラフで表示したものである。
【0058】
上記ソーイングレコーダ画面M9の表示に際し、CPU105は、選択された二つの回転数データD1に基づく抽出データを一つずつ読み込んで(選択された抽出データが一つの場合には一つのみ読み込む)、その中に含まれる回転数のデータを並び順にプロットしそれらの間を直線でつないで一乃至二種類の抽出データについてミシンの動作波形グラフを形成する。
なお、二つのミシンの動作波形グラフが表示される場合には回転数の記録開始時点を一致するように表示が行われるが、片方のグラフのみをマウスで選択操作することで、時間軸方向にミシンの動作波形グラフを位置調節することが可能である。さらに、ミシンの動作波形グラフの表示エリアには全てのミシンの動作波形グラフが表示し切れない場合があるので、表示スクロールスイッチM91に対するマウス操作により二つのミシンの動作波形グラフを同時にスクロールさせることが可能となっている。
また、横軸設定を1区間ごとに切り替えることで1縫製分の動作波形がグラフ上に表示されるようにすることができる。ここで、2区間ごと以上も選択でき、選択された区間分の縫製作業分が動作波形として表示される。
【0059】
また、ソーイングレコーダ画面M9でミシンの動作波形グラフ表示がなされる二つの抽出データの選択方法については、メイン画面M1からオペレータIDと期間との組み合わせを二組選択することでも可能であるが、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5、稼働比較グラフ画面M7から選択することも可能である。
即ち、(1)生産数量グラフ画面M3における各棒グラフ表示の一乃至二つをマウス操作で選択、(2)ピッチダイヤグラム画面M5におけるプロット点の一乃至二つをマウス操作で選択、(3)稼働比較グラフ画面M7における各棒グラフ表示の一乃至二つをマウス操作で選択のいずれかを行った後にタブスイッチM15をマウス操作することで二つの抽出データの選択が行われ、CPU105は、かかる一乃至二の抽出データに基づいてミシンの動作波形グラフの表示処理を実行する。
これにより、CPU105は、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5又は稼働比較グラフ画面M7のいずれかのグラフ表示を行っている場合に、タブスイッチM15による切り替え指示入力を受けて、ミシンの回転数の変化を示すミシンの動作波形グラフの表示に切り替える「第三の切り替え表示制御手段」として機能する。
【0060】
また、ソーイングレコーダ画面M9内には、グラフ表示位置の下側に、各選択オペレータIDにおける、回転数以外のパラメータである「区間タイム」及び「ミシン稼働率」の数値を示す表M92の表示が行われている。かかる表M92の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
【0061】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して選択工程ごとに回転数変化が求められてミシンの動作波形グラフの表示が行われる。
また、ソーイングレコードデータ(この処理で用いられたデータ)は、ファイル出力スイッチにより所定のファイル形式(例えば、csvファイル等)に加工されてHD装置10やフラッシュメモリ36に書き出すことが可能となっている。
【0062】
(行動タイプ表示)
表示カテゴリーをソーイングレコーダとしている場合で、共通スイッチ領域Aの切り替えスイッチM93をマウス操作すると行動タイプ表示画面M10が表示される。図20は切り替えスイッチM93により切り替えられた行動タイプ表示画面M10の表示例である。
かかる行動タイプ表示画面M10は、ソーイングレコーダ画面M9でミシンの動作波形グラフを表示するために選択されている一乃至二の抽出データに基づく行動タイプ別グラフの表示を行う。
かかる行動タイプ別グラフは、縫製作業の所定期間において回転数ごとの駆動時間の累計の分布を折れ線グラフで表示したものである。
【0063】
上記行動タイプ表示画面M10の表示に際し、CPU105は、選択された回転数データD1に基づく二つの抽出データを一つずつ読み込んで(選択された抽出データが一つの場合には一つのみ読み込む)、その中に含まれる回転数のデータについて各回転数ごとにデータ数をカウントする。そして、各回転数ごとのデータのカウント数のそれぞれに対してミシンでの回転数のサンプリング周期を乗じて、回転数ごとの駆動時間の累計を算出する。そして、各回転数の駆動時間をプロットしそれらの間を直線でつないで一乃至二種類の抽出データについてミシンの行動タイプ折れ線グラフを形成する。
また、行動タイプ表示画面M10には、各行動タイプ折れ線グラフの表示エリアに隣接して各種の行動タイプ折れ線グラフのサンプルとタイプごとの改善のポイントを表示した行動タイプ表M101が表示され、いずれのサンプルに近似するかを表意から判断し、改善ポイントを参照することを可能としている。
【0064】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS62において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して回転数を示すデータを読み込んで、回転数別にカウントし、回転数ごとの駆動時間の累計を算出する。その他の処理については、オペレータIDの場合とほぼ同様である。
【0065】
(ピッチタイムモニタ)
一種類の抽出データを選択し、タブスイッチM16をマウス操作すると、表示カテゴリーがピッチタイムモニタとなり、ピッチタイムモニタ画面M11が表示される。図21はピッチタイムモニタ画面M11の表示例である。
かかるピッチタイムモニタ画面M11は、オペレータIDと期間が選択された縫製作業時刻データD2に基づく抽出データについて、選択期間内での各時刻ごとの生産枚数を棒グラフで表示したものである。
【0066】
上記ピッチタイムモニタ画面M11の表示に際し、CPU105は、選択された一つの縫製作業時刻データD2に基づく抽出データを読み込んで、その中に含まれる縫製作業時刻のデータ一つ一つが、一定の時間幅の時刻帯のいずれに属するかを判定すると共に、各時刻帯に属するデータ数をカウントする。そして、各時刻帯ごとにデータ数を棒グラフ化し、表示させる。
なお、ピッチタイムモニタ画面M11のグラフ表示エリアには全ての棒グラフが表示し切れない場合があるので、表示スクロールスイッチM111に対するマウス操作により各棒グラフをその並び方向にスクロールさせることが可能となっている。
【0067】
また、ピッチタイムモニタ画面M11内には、複数の棒グラフを選択区間で選択する区間選択スイッチM112,M113と、単一の棒グラフを選択するグラフ選択スイッチM114とが表示されている。さらに、ピッチタイムモニタ画面M11内には、区間選択スイッチM112,M113で選択された複数の棒グラフに属する縫製作業時間データから選択区間内の生産数量と平均ピッチタイム(ピッチタイムの算出法は前述と同様)と、グラフ選択スイッチM114で選択された単一の棒グラフに属する縫製作業時間データからその時刻帯の生産数量と当該時刻帯の時刻とを表示する参考データ表M115の表示が行われる。
【0068】
また、ピッチタイムモニタ画面M11で棒グラフ表示がなされる単一の抽出データの選択方法については、メイン画面M1からオペレータIDと期間との組み合わせから選択することでも可能であるが、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5、稼働比較グラフ画面M7から選択することも可能である。
即ち、(1)生産数量グラフ画面M3における各棒グラフ表示の一つをマウス操作で選択、(2)ピッチダイヤグラム画面M5におけるプロット点の一つをマウス操作で選択、(3)稼働比較グラフ画面M7における各棒グラフ表示の一つをマウス操作で選択のいずれかを行った後にタブスイッチM16をマウス操作することで単一の抽出データの選択が行われ、CPU105は、かかる一つの抽出データに基づいてピッチタイムモニタ画面M11の各棒グラフの表示処理を実行する。
これにより、CPU105は、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5又は稼働比較グラフ画面M7のいずれかのグラフ表示を行っている場合に、タブスイッチM16による切り替え指示入力を受けて、一つの抽出データについての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替える「第一の切り替え表示制御手段」として機能する。
【0069】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、選択工程IDと選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して各時刻ごとの生産数量が求められてピッチタイムモニタ画面M11における複数の棒グラフの表示が行われる。
【0070】
(ピッチタイム度数モード)
表示カテゴリーをピッチタイムモニタとしている場合で、グラフ表示の切り替えスイッチM116をマウス操作するとピッチタイム度数モード画面M12が表示される。図22はピッチタイム度数モード画面M12の表示例である。
かかるピッチタイム度数モード画面M12は、オペレータIDと期間が選択された縫製作業時刻データD2に基づく抽出データについて、縫製所要時間ごとの生産枚数を棒グラフで表示したものである。
【0071】
上記ピッチタイム度数モード画面M12の表示に際し、CPU105は、選択された一つの縫製作業時刻データD2に基づく抽出データを読み込んで、その中に含まれる前後の並んだ縫製作業時刻の時刻差からそれぞれの縫製所要時間を算出する。そして、一定の時間幅の縫製所要時間帯のいずれに属するかを判定すると共に、各時間帯に属するデータ数をカウントする。そして、各時間帯ごとにデータ数を棒グラフ化し、表示させる。
なお、ピッチタイム度数モード画面M12のグラフ表示エリアには全ての棒グラフが表示し切れない場合があるので、表示スクロールスイッチM121に対するマウス操作により各棒グラフをその並び方向にスクロールさせることが可能となっている。
【0072】
また、ピッチタイム度数モード画面M12内には、複数の棒グラフを選択区間で選択する区間選択スイッチM122,M123と、単一の棒グラフを選択するグラフ選択スイッチM124とが表示されている。さらに、ピッチタイム度数モード画面M12内には、区間選択スイッチM122,M123で選択された複数の棒グラフに属する縫製作業時間データから選択区間内の生産数量であるピッチタイム度数と平均ピッチタイム(ピッチタイムの算出法は前述と同様)と、グラフ選択スイッチM124で選択された単一の棒グラフに属する縫製作業時間データからその縫製所要時間帯の生産数量であるピッチタイム度数と当該縫製所要時間とを表示する参考データ表M125の表示が行われる。
【0073】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、選択工程IDと選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して各縫製所要時間ごとの生産数量が求められてピッチタイム度数モード画面M12における複数の棒グラフの表示が行われる。
【0074】
また、ピッチタイムモニタ画面M11及びピッチタイム度数モード画面M12には、共通スイッチ領域Aに詳細データ一覧スイッチM117が表示されている。かかる詳細データ一覧スイッチM117がマウス操作されると、縫製データDについてそのデータの内容が表形式で一覧表示される。尚、データそのものは数値と記号の羅列の集まりに過ぎないのでそれぞれの数値と記号の羅列が何を意味するものであるかを表内で併記し、視覚的に内容が把握可能に加工されて表示される。また、この詳細データは、ファイル出力スイッチM118により、所定のファイル形式(例えば、CSVファイル等)に加工されてHD装置108やフラッシュメモリ36に書き出すことが可能となっている。
【0075】
(発明の実施形態の効果)
ミシンの作業分析システム100では、作業分析装置101において、複数の生産管理ミシン10から取得された複数の記録データDに対して、メイン画面M1からオペレータID又は工程IDの特定情報と期間の選択が行われると、該当する抽出データが抽出され、各抽出データは所定のグラフM1〜M12で表示手段であるモニタ103に表示される。
これにより、単体の生産管理ミシン10を複数のオペレータが使用する場合であっても、各オペレータIDごとに各種のグラフ表示を行うことが可能となる。このため、各オペレータの技量の見極めを容易に行うことが可能となる。
さらにオペレータIDに限らず、工程IDに基づいてデータの抽出が可能なため、工程単数乃至複数の生産管理ミシン10で複数の作業工程が行われたとしても、分析に必要な作業工程のデータのみをグラフ化することができ、各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めを容易に行うことが可能となる。
また、複数台のミシンにより複数のオペレータが複数の作業工程(作業分類)を分担して製品の完成までを担う場合であっても、オペレータごと或いは作業工程ごとの縫いの状態や達成の状態を把握することができ、全体の効率の低下の原因を容易に把握することが可能となり、人材の配置の適正化や各工程に投入する人員数の適正化を図ることができ、分担作業の効率を向上させることが可能となる。
【0076】
また、ピッチダイヤグラム画面M5により、選択されたオペレータIDや工程IDにおける縫製所要時間の平均値を速やかに表示させることができるので、各オペレータの技量や各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めをより容易に行うことが可能となる。
その場合、縫製所要時間について外れ値を除いて平均化する処理が行われるので、縫製作業における不慮の要因(例えば、糸切れや糸絡み、糸交換等)によるタイムロスの影響を効果的に排除することができ、オペレータごとの技量や作業工程ごとの作業の円滑性などをより正確に把握することが可能となる。
【0077】
また、生産数量グラフ画面M3、M4では、選択された各オペレータIDや工程IDについて個別に生産数量を求め、棒グラフで表示することができ、さらには、オペレータID(工程ID)が選択された場合には各棒グラフについて生産数量における工程ID(オペレータID)の内訳を色分けで表示するので、例えば、オペレータごとの技量の把握と作業工程ごとの作業の円滑性などが同時に把握でき且つそれらの関連も把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0078】
また、生産数量グラフ画面M3、M4、ピッチダイヤグラム画面M5、M6及び稼働比較グラフ画面M7、M8についてはグラフ表示を行っている状態からピッチタイムモニタM11やピッチタイム度数モード画面M12に切り替えることができるので、オペレータIDや工程IDについて特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えによりそれらのIDについての縫製作業時間経過ごとの生産数量や生産数量のピッチタイム度数分布を速やかに確認することができ、より精細な分析が可能となる。
【0079】
また、稼働比較グラフ画面M7、M8により、選択されたオペレータIDや工程IDについて稼働時間と休止時間の比率が棒グラフ表示されるので、オペレータや作業工程ごとに稼働率がわかり、作業効率の高低の原因の把握などに利用することができる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0080】
また、オペレータIDを選択した生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5及び稼働比較グラフ画面M7を、工程IDを選択した生産数量グラフ画面M4、ピッチダイヤグラム画面M6及び稼働比較グラフ画面M8に切り替えること(その逆も可)ができるので、オペレータと作業分類との関連がわかり、効率における相互の影響なども把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0081】
また、生産数量グラフ画面M3、M4、ピッチダイヤグラム画面M5、M6、稼働比較グラフ画面M7、M8及びソーイングレコーダ画面M9は、グラフ表示に際して、抽出データに含まれながらグラフ表示に反映されない項目が生じる場合があるが、それらの項目についてグラフをよける配置で表形式で表示が行われるので、同時に多くの情報を認識でき、より精細な分析が可能となる。
【0082】
また、生産数量グラフ画面M3、M4、ピッチダイヤグラム画面M5、M6及び稼働比較グラフ画面M7、M8についてはグラフ表示を行っている状態からソーイングレコーダ画面M9や行動タイプ別グラフ画面M10に切り替えることができるので、オペレータIDや工程IDについて特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えにより、それらのIDについての回転数の変化や行動タイプを速やかに確認することができ、より精細な分析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ミシンの作業分析システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】生産管理ミシン10を含む作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
【図3】記録データを構成する回転数データと縫製作業時刻データの記録構造を示す説明図である。
【図4】ズボンの縫製の開始から完成までの各工程を示す工程図である。
【図5】生産管理ミシンのCPUにより実行される記録データの記録処理プログラムに基づいて行われる処理を示すフローチャートである。
【図6】メイン画面の表示例である。
【図7】メイン画面においてCPUが行う表示処理を示すフローチャートである。
【図8】メイン画面においてCPUが行う選択処理を示すフローチャートである。
【図9】工程一覧表画面の表示例である。
【図10】生産数量グラフ画面の表示例である。
【図11】生産数量グラフ画面のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【図12】生産数量グラフ画面の識別情報切り替え後の表示例である。
【図13】ピッチダイヤグラム画面の表示例である。
【図14】ピッチダイヤグラム画面のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【図15】ピッチダイヤグラム画面の識別情報切り替え後の表示例である。
【図16】稼働比較グラフ画面の表示例である。
【図17】稼働比較グラフ画面のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【図18】稼働比較グラフ画面の識別情報切り替え後の表示例である。
【図19】ソーイングレコーダ画面の表示例である。
【図20】行動タイプ表示画面の表示例である。
【図21】ピッチタイムモニタ画面の表示例である。
【図22】ピッチタイム度数モード画面の表示例である。
【符号の説明】
【0084】
10 生産管理ミシン
36 フラッシュメモリ(データ取得手段)
37 読み取り書き込み装置(データ取得手段)
101 作業分析装置
103 モニタ(表示手段)
105 CPU(抽出処理手段、グラフ表示処理手段)
109 読み取り書き込み装置(データ取得手段)
D 記録データ
M1 メイン画面(選択手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの作業分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンによる縫製物の生産を効率的に行うため、ミシンの作業分析装置が開発されている。従来の作業分析装置は、例えば、時間経過に伴うミシンの上軸の回転数の推移や単位時間毎の縫製枚数等の生産効率にかかわる指標を計測、算出し、数値化又はグラフ化された結果を操作パネルに表示してユーザに知らせるようになっている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開昭64−86994号公報
【特許文献2】特公平3−10357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の作業分析装置は、単体のミシンでの記録に基づく分析のみが可能であるに過ぎず、当該単体のミシンについて複数のオペレータが使用する場合に各人の技量などを見極めることはできなかった。
また、単体のミシンが、多岐にわたる縫製物の製造工程の内の複数種の作業工程に使用される場合であっても、各作業工程ごとの効率などを見極めることはできなかった。
さらに、複数台のミシンを用意して多岐にわたる縫製物の製造工程を各ミシンで分担して製品の完成までを担う場合などには、特に上記の点が問題となり、各オペレータの長所を生かしたり、短所を補うなどで作業の効率化を図ったり、各種の作業工程における効率比較が行えないことから作業の流れを円滑にすることができなかった。
【0004】
本発明は、複数台のミシンによる共同の縫製作業における作業効率の向上を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、複数のミシンから取得した記録データを集計して表示手段を制御してグラフ表示を行わせるミシンの作業分析装置であって、ミシンの回転数の変化及び個々の縫製作業単位の縫製作業時刻が時系列的に記録されると共に複数のオペレータ特定情報及び複数の作業分類特定情報からなる識別情報が設定された時点に応じて時系列的に挿入された前記記録データを取得するデータ取得手段と、前記識別情報の中からいずれか複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報を選択すると共にデータ記録期間中のいずれかの期間を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報と選択期間とから前記各記録データの該当部分を抽出する抽出処理手段と、前記抽出データを所定のグラフで前記表示手段に表示させるグラフ表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
「記録データ」は、個々のミシンが備えるデータ記録手段によって時系列的に記録されるミシンの回転数、縫製作業時刻からなり、ある時刻にミシンに対してオペレータ特定情報や作業分類特定情報の設定入力が行われると、時系列的に記録されているミシンの回転数や縫製作業時刻のデータの途中にその設定時刻に応じて特定情報データが記録されるようになっている。
「縫製作業時刻」とは、一つの縫製作業(一つの被縫製物に対する一つの作業工程)の開始又は終了又はこれら両方のタイミング(日付及び時刻)を示す。
「作業分類特定情報」とは、ミシンによる縫製作業の分類全般の識別情報(識別情報とはID、その他、データ処理を行う装置で識別可能な情報であれば何でも良い)を示し、例えば、各種の縫いの識別情報、各種の縫いの各工程ごとの識別に用いられる工程識別情報、ロット単位で作業を管理する場合にはロット識別情報等が該当する。
「縫製作業単位」とは、縫製作業を工程などで区分した一つの作業の単位をいう。一般には縫いを開始してから糸切りを行い縫いを終了するまでを一つの縫製作業単位とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から個々の縫製作業単位について縫製所要時間を求める所要時間算出手段と、前記選択された各識別情報ごとに前記縫製所要時間を外れ値を除いて平均値を算出する平均化処理手段と、前記グラフ表示処理手段は、前記各識別情報の縫製所要時間の平均値を並べてグラフ表示すると共に、前記選択された全識別情報についての前記縫製所要時間の平均値を示す平均値ラインと前記全識別情報の平均値に対して所定の比率で増減させた上限値及び下限値ラインを前記グラフに重ねて表示することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から前記選択された複数の識別情報について個別に縫製作業単位の生産数量を求めると共に、前記各識別情報の生産数量における選択されなかった識別情報についての内訳となる個々の該当数量を求める縫製作業単位計数手段を備え、前記グラフ表示処理手段は、前記抽出データの複数の識別情報についての生産数量を棒グラフで表示する場合に、各オペレータ特定情報と各作業分類特定情報の内の選択されなかった方の個々の情報について個別に求められた該当数量が識別可能となるように前記棒グラフの表示態様を区分けすることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データの複数の識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替える第一の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれるミシンの回転数の変化から選択された各識別情報ごとに稼働時間と休止時間とを累計する稼働時間累計手段を備え、前記グラフ表示処理手段は、前記累計された稼働時間と休止時間の比率が識別可能となるように表示態様を区分けした棒グラフで表示することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、他方の前記識別情報をパラメータとするグラフ表示に切り替える第二の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記抽出データに含まれながら前記表示処理手段によるグラフ表示に反映されない項目について前記グラフをさけて表形式で前記表示手段に表示させる補足表表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データに含まれるミシンの回転数の変化を示す波形グラフの表示に切り替える第三の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、複数のミシンから取得された複数の記録データに対して、選択手段により、いずれかの特定情報と期間の選択が行われると、全記録データの中から該当する期間における該当する特定情報に属するデータが抽出される。例えば、あるオペレータ特定情報とある日付の一日が選択された場合には、当該日付の日時において、当該オペレータ特定情報が入力されてから次の別のオペレータ情報が入力されるまでのミシンの回転数と縫製作業時刻のデータが抽出データとなる。また、特定情報が複数選択され場合には、それぞれに該当する抽出データが抽出される。
そして、各抽出データは所定のグラフで表示手段に表示される。
【0015】
これにより、単数乃至複数のミシンを複数のオペレータが使用する場合であっても、選択手段と抽出処理手段により各オペレータの使用状況をデータとして抽出しグラフ表示を行うことが可能となる。このため、各オペレータの技量の見極めを容易に行うことが可能となる。
さらに、選択手段により作業分類特定情報を選択すれば、当該作業分類情報に関連する抽出データが得られるので、単数乃至複数のミシンで複数の作業工程(作業分類)が行われたとしても、分析に必要な作業工程のデータのみをグラフ化することができ、各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めを容易に行うことが可能となる。
また、複数台のミシンにより複数のオペレータが複数の作業工程(作業分類)を分担して製品の完成までを担う場合であっても、オペレータごと或いは作業工程(作業分類)ごとの縫いの状態や達成の状態を把握することができ、全体の効率の低下の原因を容易に把握することが可能となり、例えば、習熟度が低いオペレータは作業の手間の低い工程に配置する、補助のオペレータをつける、手間がかかり作業時間が余分にかかる作業工程については習熟度の高いオペレータを配置する、オペレータを増やす等の対策を講じることが可能となる。
【0016】
請求項2記載の発明は、選択された識別情報に属する縫製作業単位における縫製所要時間を求めることができるので、オペレータごと或いは作業工程などの作業分類ごとに一つの作業単位の所要時間を求めることができ、各オペレータの技量や各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めをより容易に行うことが可能となる。
さらに、縫製所要時間について外れ値を除いて平均化する処理が行われる。なお、その処理の具体例は段落番号0043以降に記載する。ただし、その記載に限定されるものではない。これにより、縫製作業における不慮の要因(例えば、糸切れや糸絡み、糸交換等)によるタイムロスの影響を効果的に排除することができ、例えば、オペレータごとの技量や作業工程ごとの作業の円滑性などを正確に把握することが可能となる。
また、縫製所要時間のグラフ表示において、平均値ライン及び設定された上下限値を示す上限値及び下限値ラインを表示するので、選択された識別情報について縫製所要時間の評価を円滑且つ確実に行うことが可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、抽出データの縫製作業単位(例えば一つの被縫製物)の縫製作業時刻から、選択された各識別情報について個別に縫製作業単位の生産数量を求める。これにより、例えば、あるオペレータ識別情報が選択されていた場合には、選択された期間における当該オペレータが縫製を行った枚数が求められる。
さらに、各識別情報ごとの生産数量について、選択されなかった方の識別情報ごとの内訳が求められる。例えば、オペレータ識別情報が選択されていた場合には、生産数量の内の各作業分類識別情報に属する該当数量が内訳として求められる。つまり、あるオペレータが複数の作業分類についての縫製を行っていた場合には、各作業分類ごとの縫製枚数が内訳として求められる。
そして、各識別情報ごとに生産数量がグラフ化されて表示されることになるが、その際には、各棒グラフ表示について、もう一方の識別情報に属する該当数量の内訳が色分け等で区分けされて表示される。
【0018】
このように、選択された各識別情報ごとに総生産数量のみが分かるだけでなく、選択されていない識別情報の内訳までが認識可能にグラフ化されるので、例えば、オペレータごとの技量の把握と作業工程ごとの作業の円滑性などが同時に把握でき且つそれらの関連も把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0019】
請求項4では、選択された識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている状態から当該識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替えることができるので、ある識別情報(例えば、あるオペレータ識別情報や作業分類識別情報)について特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えによりその識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を速やかに確認することができ、オペレータごとの技量の把握や作業工程ごとの作業の円滑性などを把握しながら他の情報との関連を把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、選択された識別情報について稼働時間と休止時間の比率が棒グラフ表示されるので、オペレータや作業工程ごとに稼働率がわかり、作業効率の高低の原因の把握などに利用することができる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0021】
請求項6記載の発明は、オペレータ識別情報(又は作業分類識別情報)が選択され、それをパラメータとしてグラフ表示が行われている状態から、作業分類識別情報(又はオペレータ識別情報)をパラメータとするグラフ表示に切り替えが可能であることから、オペレータと作業分類との関連がわかり、効率における相互の影響なども把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0022】
請求項7記載の発明は、グラフ表示に際して、グラフの種別によっては抽出データに含まれながらグラフ表示に反映されない項目が生じる場合がある。そのような場合でも、当該項目についてグラフをよける配置で表形式で表示が行われるので、同時に多くの情報を認識でき、より精細な分析が可能となる。
【0023】
請求項8記載の発明は、選択された識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている状態から、ミシンの回転数の変化を示す波形グラフの表示に切り替えることができるので、ある識別情報(例えば、あるオペレータ識別情報や作業分類識別情報)について特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えによりその識別情報についてのミシンの回転数変化を速やかに確認することができ、オペレータごとの技量の把握や作業工程ごとの作業の円滑性などを把握しながら他の情報との関連を把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(発明の実施形態の全体構成)
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの作業分析装置101を含んだミシンの作業分析システム100について図1乃至図22に基づいて説明する。図1は作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この作業分析システム100は、複数台の生産管理ミシン10と、当該各生産管理ミシン10と情報記録媒体の人為的な送受により記録データの送受を可能とした作業分析装置101とを備えている。
上記作業分析装置101としては、パーソナルコンピュータかあるいはワークステーションが使用される。また、作業分析装置101と各生産管理ミシン10との間での記録データの送受は、無線LANや有線LANなどの無線若しくは有線通信手段を利用しても良い。
【0025】
(生産管理ミシン)
図2は生産管理ミシン10を含む作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
各生産管理ミシン10は、縫い針を保持する針棒の上下動駆動源であるミシンモータ11と、ミシンモータ11の回転駆動力を上下動駆動源に変換して針棒に伝える図示しない上下動機構と、図示しない布送り機構と、図示しない糸調子装置と、縫いの完了後に縫い糸の切断を行う糸切りメスを駆動させるメス駆動ソレノイド12と、前踏みでミシンモータ11の起動指令を入力し、後踏みでメス駆動ソレノイド12の駆動指令を入力する操作ペダル13と、後述する各種の入力を行う操作キー21と所定の画面表示が行われる表示部22とを備える操作パネル20と、一つの縫製が完了したときに押下されるカウントスイッチ23と、後述する各種の処理を実行するための各種のプログラム及び初期データが記憶されたROM32と、各種のプログラムを実行するCPU31と、CPU31の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM33と、生産管理ミシン10において記録される記録データを格納するEEPROM35と、EEPROM35内の記録データを当該生産管理ミシン10と作業分析装置101との間で移送するための記録媒体であるフラッシュメモリカード36と、その読み取り書き込み装置37とを備えている。
【0026】
(記録データ)
上記生産管理ミシン10は、縫製の過程において図3に示す回転数データD1と縫製作業時刻データD2とからなる記録データDを生成し、EEPROM35に記録する。なお、この記録データDはEEPROM35からフラッシュメモリ36にコピーされて作業分析装置101に移送される。
回転数データD1は、CPU31が所定のサンプリング周期で操作ペダル13から入力されるミシンの回転数の検出を行って逐次記録することで生成され、その記録途中でオペレータ特定情報としてのオペレータIDと作業分類特定情報としての工程IDのいずれかでも入力されると、入力時点に応じて各回転数のデータの途中に介挿される。また、生産管理ミシン10の主電源投入時には、回転数データD1にミシン識別情報としてのミシンIDが記録される。さらに、この回転数データD1には、糸切りが行われるとその実行時点に応じて糸切り情報が介挿され、カウントスイッチ23が押下されると区切り情報が介挿される。区切り情報は、一つの縫製作業単位の区切りを示し、カウントスイッチ23の押下の時刻(年月日も含む)も記録される。
【0027】
縫製作業時刻データD2は、CPU31が一縫製作業単位(ここでは一つの被縫製物における一つの縫製工程をいうものとする)の縫いを行うごとにその縫製作業時刻(年月日も含むが図では省略)を逐次記録することで生成され、その記録途中でオペレータIDと工程IDのいずれかでも入力されると、入力時点に応じて各縫製作業時刻のデータの途中に介挿される。上記縫製作業時刻の記録は縫い終了時に押下されるカウントスイッチ23の押下の際に行われる。また、生産管理ミシン10の主電源投入時には、縫製作業時刻データD2にミシンIDが記録される。
【0028】
なお、ミシンIDとは、各生産管理ミシン10に対して個別に割り振られた各ミシンを区別するための符号である。
また、オペレータIDとは、各生産管理ミシン10を用いて縫製を行う複数のオペレータに対して個別に割り振られた各人を区別するための符号である。
また、工程IDとは、各種の被縫製物に対する各種の縫製種別で行われる各縫製工程ごとに個別に割り振られた各工程を区別するための符号である。
ここで、縫製工程について図4を例に補足説明する。図4はズボンの縫製の開始から完成までの各工程を示す工程図である。なお、この工程図は例示のために構成を若干簡略化している。ズボンは左右の前身頃と左右の後身頃の四つのパーツからなり、その縫製工程は、左右の前身頃を縫い合わせる「前中心接ぎ」、左右の後身頃を縫い合わせる「後中心接ぎ」、縫い合わされた左右の前身頃と縫い合わされた左右の後身頃の両脇を縫い合わせる「脇合わせ」、「裾三巻縫い」、「内股合わせ」、「ウェストゴム入れ」、「閂止」の七つの工程からなる。このように、一種類の被縫製物の完成に至るまでには複数の工程を有し、その縫製種別によって使用されるミシンの種別も異なってくる。なお、通常は、被縫製物の種類ごとに縫製工程は別のものとして識別されるが、同種の被縫製物について、サイズ、色、仕様、材料種等が異なる場合には、これらの縫製工程を別のものとして識別可能となるように別のIDを割り振っても良い。
なお、被縫製物の量産に対応すべく、被縫製物の生産をロット単位で管理している場合には、ロットが異なる場合も縫製工程を別のものとして識別しても良い。
また、上記の例では、作業分類特定情報として縫製工程の違いで分類を行っているが、ロットで生産管理が行われている場合には、ロット単位での識別を行うために、ロットIDをもミシンが記録データDの各データD1,D2中に記録可能としても良い。
【0029】
図5は生産管理ミシン10のCPU31により実行される記録データDの記録処理プログラムに基づいて行われる処理を示すフローチャートである。
これによれば、まず、主電源がオンされると、ミシン回転数を周期的に検出するための周期を計時する回転数記録タイマ(図示略)が計時を開始する(ステップS1)。そして、回転数データD1及び縫製作業時刻データD2にミシンIDを記録する(ステップS2)。
次いで、CPU31は、表示部22に対してオペレータIDと工程IDの入力を要求する指示を表示させ、操作キー群21からこれらの入力を受けると回転数データD1及び縫製作業時刻データD2にオペレータID及び工程IDを記録する(ステップS3)。
【0030】
そして、図示しない内蔵クロックにより現在時刻を参照し、区切り情報として回転数データD1に記録すると共に縫製作業時刻として縫製作業時刻データD2に記録する(ステップS4)。
次ぎに、回転数記録タイマが一周期をカウントアップしたか判定し(ステップS5)、カウントアップしていない場合にはステップS7に処理を進め、カウントアップした場合には現在の操作ペダル13の踏み込み量からモータ回転数を求めて回転数として回転数データD1に記録する(ステップS6)。
なお、各ID、縫製作業時刻、回転数はそれぞれが記録を実行した順番通りに記録され、回転数データD1及び縫製作業時刻データD2の中身となる各データ群を順番に参照すれば記録された順番が分かるようになっている。
【0031】
次いで、ステップS7では、オペレータの交代などにより新たなオペレータIDの入力が行われたかの判定を行い、入力がない場合にはステップS9に処理を進め、入力があった場合には回転数データD1及び縫製作業時刻データD2にオペレータIDを記録する(ステップS8)。
次いで、ステップS9では、工程の変更により新たな工程IDの入力が行われたかの判定を行い、入力がない場合にはステップS11に処理を進め、入力があった場合には回転数データD1及び縫製作業時刻データD2に工程IDを記録する(ステップS10)。
次いで、ステップS11では、操作ペダル13から糸切り指示の入力があったか否かの判定を行い、入力がない場合にはステップS13に処理を進め、入力があった場合には回転数データD1に糸切り情報を記録する(ステップS12)。
ステップS13では、カウントスイッチ23の入力があったか否かの判定を行い、入力がない場合にはステップS5に処理を戻す。また、入力があった場合には回転数データD1に区切り情報として現在時刻を記録し、縫製作業時刻データD2に縫製作業時刻を記録してから(ステップS14)、ステップS5に処理を戻す。
上記処理は、生産管理ミシン10の主電源のオフまで継続して行われ、これにより、生産管理ミシン10のEEPROM35には回転数データD1及び縫製作業時刻データD2からなる記録データDが記録される。
なお、生産管理ミシン10は、操作ペダル13から回転数を検出しているが、ミシンモータ11にエンコーダ等の回転数検出手段を設けても良い。
【0032】
(作業分析装置)
作業分析装置101は、後述する各種の入力を行うキーボード102と、所定の画面表示が行われる表示手段としてのモニタ103と、基本プログラム及び初期データが記憶されたROM104と、各種のプログラムを実行するCPU105と、CPU105の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM106と、CPU105と、後述する各処理を行うためのプログラムと各生産管理ミシン10から受信した記録データDを格納する記憶手段としてのHD(ハードディスク)装置108と、記録データDを生産管理ミシン10から取得するためのデータ取得手段としてのフラッシュメモリカード36及びその読み取り書き込み装置109と、モニタ103に表示されるポインタの移動操作及び決定の入力を行うマウス110とを備えている。なお、以下に説明する表示画面に対するマウス110による選択や決定の入力操作は周知であるため、その原理や詳細説明は省略する。
【0033】
(メイン画面)
作業分析装置101では、各生産管理ミシン10から記録データDを取得すると、所定の処理プログラムによりメイン画面M1を表示する。図6はメイン画面M1の表示例である。
メイン画面M1は、各生産管理ミシン10から取得された記録データDの中に、いずれの識別情報(オペレータID及び工程ID)に属し、いずれの期間(日時)についてのデータが存在するかを示す一覧表形式の表示である。かかるメイン画面M1では、縦軸にオペレータID又は工程IDの識別情報の一覧が表示されると共にこれらがIDの選択スイッチとなり、横軸に期間が時系列で並んで表示されると共にこれらが期間の選択スイッチとなっている。そして、任意のIDから横一列に並んだマス目と任意の期間から縦一列に並んだマス目との交差する位置にあるマス目の表示色が、任意のIDにおける任意の期間についてデータが存在するかを示すようになっている。
また、縦軸にオペレータIDと工程IDのいずれをとるかは切り替えスイッチM11へのマウス操作により選択可能となっており、期間の表示範囲の選択は表示期間指定スイッチM12へのマウス操作により行われるようになっている。
さらに、メイン画面M1は、後述する各種のグラフ表示を行う対象となるデータを選択するために、識別情報とデータ記録期間中のいずれかの期間(日時)を選択する「選択手段」として機能する。即ち、前述したように、縦軸はIDの選択スイッチ、横軸は日時の選択スイッチとなっていることから、これらをそれぞれマウス操作で選択することで、選択IDについて選択日時に取得されたデータが特定され、抽出される。
【0034】
上記メイン画面M1においてCPU105が行う処理を図7に基づいて説明する。ここでは、縦軸にオペレータIDが選択された場合を例に説明する。
まず、メイン画面M1の表示の際に各ID及び各期間におけるデータの有無を色分けで示す場合の処理を説明する。
この処理は、まず、記録データD(例えば、回転数データD1)をデータの並びの先頭から読み込み(ステップS21)、一つ目のオペレータIDの記録が存在するかを判定し(ステップS22)、オペレータIDの記録が発見された場合には、当該オペレータIDよりも後方にある直近の区切り情報を探索し(ステップS23)、当該区切り情報からデータ記録の日時を読み出す(ステップS24)。これを各記録データDの全範囲に対して実行することで(ステップS25)、一つ目のオペレータIDの記録日時を全て得ることができる。同様の処理をそれ以降のオペレータIDについて実行することで、各オペレータIDについて各日時についての記録データの存在の有無が確認でき、これに従って、各マス目の色分け表示制御を実行する。
なお、切り替えスイッチM11により縦軸に工程IDが選択されている場合には、上記ステップS22の処理において工程IDが存在するか判定が行われる。
【0035】
次に、メイン画面M1において選択手段として機能する場合にCPU105が行う処理について図8に基づいて説明する。ここでは、縦軸にオペレータIDが選択された場合を例に説明する。
メイン画面M1の表示状態において、CPU105は、縦軸のいずれかのオペレータIDが選択されたか否かを判定し(ステップS31)、次に横軸のいずれかの期間が選択されたかを判定する(ステップS32)。そして、オペレータIDと期間の双方が選択されたか判定する(ステップS33)。
その結果、両方とも選択されている場合には、CPU105は、回転数データD1及び縫製作業時刻データD2に対して選択オペレータIDに属するデータの抽出を行う(ステップS34)。抽出の方法は、回転数データD1と縫製作業時刻データD2のそれぞれについて、それらの先頭からデータの読み込みを行い、オペレータIDの検索を行う。オペレータIDを検出すると、そのオペレータIDが選択されたオペレータIDであるかを判定し、それが選択オペレータIDである場合にのみ次のオペレータIDまでのデータを抽出して記録する。オペレータIDの検出、判定、データ抽出を回転数データD1の全範囲について行い、抽出された全データを一時抽出データとしてRAM106に記憶する。
次に、一時抽出データの抽出を行うと、これに対して、CPU105は、選択期間に属する抽出データの抽出を行う(ステップS35)。
抽出の方法は、まず、回転数データD1については、その一時抽出データの先頭から区切り情報の検索を行い、発見すると、区切り情報に含まれる時刻情報が選択された期間内であるかを判定し、期間内である場合のみ次の区切り情報の手前までのデータを抽出してRAM106に記録し、これを区切り情報ごとに繰り返す。これにより、回転数データD1について選択されたオペレータIDと選択期間に該当する抽出データが抽出される。
また、縫製作業時刻データD2については、その一時抽出データの先頭から各縫製作業時刻のデータを読み出し、各データの示す時刻が選択された期間内であるかを判定し、期間内である場合のみ抽出してRAM106に記録し、一時抽出データの全範囲に対して実行する。これにより、縫製作業時刻データD2について選択されたオペレータIDと選択期間に該当する抽出データが抽出される。
なお、切り替えスイッチM11により縦軸に工程IDが選択されている場合には、CPU105は、上記ステップS31の処理において工程IDの選択があるか判定を行い、ステップS34の処理において選択工程IDに属する一時抽出データの抽出を行う。
また、オペレータID又は工程IDと期間の選択は複数であっても良いことは言うまでもない。そして、その場合には、一時抽出データ及び抽出データの抽出は、各選択ID及び各期間ごとに行うことになる。
以上のように、上記図8に示す処理によりCPU105は「抽出処理手段」として機能する。
【0036】
(工程一覧表)
各表示画面には、表示カテゴリーの切り替えを行うタブスイッチM13〜M16があり、これら対するマウス操作により、メイン画面表示、稼働状況モニタ、ソーイングレコーダ、ピッチタイムモニタの各表示カテゴリーに切り替えることを可能としている。上記タブスイッチM14により表示カテゴリーを稼働状況モニタに切り替えると、後述する生産数量グラフ画面M3(図10参照)の表示が行われる。
かかる生産数量グラフ画面M3において表示される工程詳細一覧スイッチM35にマウス操作を行うと、図9に示す工程一覧表画面M2を表示することができる。かかる工程一覧表画面M2では、オペレータIDに示すオペレータが縫製を行った各工程を工程IDで示すことでこれらの対応関係を示している。即ち、第一列目にオペレータIDを表示し、第二列目に各オペレータIDに属する工程IDを表示することで、オペレータIDと工程IDとの対応関係を表形式で表示している。
かかる対応関係は、CPU105が、縫製作業時刻データD2に対して先頭から読み込みを行い、各オペレータIDごとにデータを区切り、当該各区切られた範囲内にあるデータがいずれ工程に属するかを工程IDの記録から求めることで各オペレータIDと各工程の対応関係を求めている。
【0037】
(生産数量グラフ)
前述した生産数量グラフ画面M3は、図10に示すように、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で、各オペレータIDごとに、縫製作業単位の生産数量を棒グラフ表示している。ここで、縫製作業単位とは一つの被縫製物に対して一つの工程が施されることを意味するものとする。
生産数量グラフ画面M3における各オペレータIDごとの棒グラフは、さらに各工程ごとの数量の内訳を色分けで表示している。
【0038】
図11は生産数量グラフ画面M3のグラフ表示処理を示すフローチャートである。CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとに縫製作業時刻データD2から抽出した各抽出データごとに以下の処理を行う。
まず、CPU105は、抽出データについて先頭から読み込みを行う(ステップS41)。
そして、抽出データの先頭からの読み込みの過程において、工程IDの検出を行い、各工程IDごとにデータを区切ると共に(ステップS42)、当該各区切りごとに縫製作業時刻のデータ数をカウントする(ステップS43)。これにより、各工程の該当数量を求めることができる。
そして、各工程IDごとの該当数量を総計し、選択された一つのオペレータIDにおける一つの選択期間についての生産数量を算出する(ステップS44)。
そして、選択された一つのオペレータIDにおける一つの選択期間についての生産数量から棒グラフの表示高さを求め、且つ、これに含まれる各工程ごとの数量から当該各工程の色分け幅を決定し、棒グラフ表示を実行する(ステップS45)。
【0039】
以上のように、上記図11に示すステップS41〜S44に示す処理により、CPU105は「縫製作業単位計数手段」として機能する。また、ステップS45に示す処理により、CPU105は「グラフ表示手段」としての一機能を果たしている。
また、生産数量グラフ画面M3内には、グラフ表示位置の下側に、生産数量グラフ上で選択されたオペレータIDにおける、生産数量以外のパラメータである「平均ピッチタイム」及び「ミシン稼働率」の数値を示す表M31の表示が行われている。かかる表M31の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS42において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対してオペレータIDの検出が行われ、ステップS43において、各オペレータIDごとに縫製作業時刻のデータ数がカウントされることで、各工程IDごとの棒グラフ表示が各オペレータIDごとに色分けされて行われる。
【0040】
また、生産数量グラフ画面M3内には、マウス操作により、抽出データの範囲内で、オペレータIDに基づく生産数量の表示を行う状態から工程IDに基づく生産数量の表示を行う状態に切り替えを行う切り替えスイッチM32が表示されている。
切り替えスイッチM32により切り替えられた生産数量グラフ画面M4は、図12に示すように、各工程IDごとの生産数量が選択オペレータIDごとに色分けされた状態で表示される。ここで棒グラフ表示が行われる工程IDは、選択オペレータIDに関連する工程IDのみである。
つまり、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間に属する抽出データを工程IDごとに区切り、各区切りごとの生産数量を求め、各工程ごと棒グラフを色分けして再表示を行う。これにより、CPU105は、「第二の切り替え表示制御手段」としての一機能を果たしている。
【0041】
(ピッチダイヤグラム)
前述した各表示カテゴリーの表示画面は、画面左側の共通スイッチ表示領域Aを除いてカテゴリー内でさらに個々の表示画面に切り替えることを可能としている。そして、表示カテゴリーを稼働状況モニタとしている場合には、共通スイッチ領域Aにはピッチダイヤグラムと稼働比較グラフとに画面切り替えを行うための切り替えスイッチM33,M34が設けられている。図13は切り替えスイッチM33により切り替えられたピッチダイヤグラム画面M5の表示例である。
かかるピッチダイヤグラム画面M5は、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で、各オペレータIDごとに個々の縫製作業単位について縫製所要時間(ピッチタイム)を求め、各オペレータIDごとの縫製所要時間の平均値を折れ線グラフ表示したものである。
また、このピッチダイヤグラム画面M5内には、選択された全オペレータIDについての総合的な縫製所要時間の平均値を示す平均値ラインM53と当該平均値から所定比率で求められた上限値ラインM54及び下限値ラインM55とが表示される。ここでは、上限値=平均値÷0.85 により算出される。また、下限値=平均値×2−上限値 により算出される。なお、予め定めた他の比率を平均値に乗じて上限値や下限値を求めても良い。
かかる各ラインM53〜M55により各オペレータの習熟度を計る際の目安となる。
【0042】
図14はピッチダイヤグラム画面M5のグラフ表示処理を示すフローチャートである。CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとに縫製作業時刻データD2から抽出した各抽出データに対して以下の処理を行う。
まず、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとの各抽出データについて先頭から縫製作業時刻のデータの読み込みを行う(ステップS51)。
そして、前後の縫製作業時刻から縫製所要時間を算出する(ステップS52)。
さらに、算出された各抽出データの縫製所要時間から外れ値を除外する処理を行う(ステップS53)。かかる処理は、原則として下記の説明の3σの範囲の平均値の算出が行われるが、各縫製所要時間を平均化してその平均値から大きく外れる値を除外しても良いし、各縫製所要時間の80〜90%を占める数値範囲内で平均化してその平均値から大きく外れる値を除外しても良いし、標準偏差を求めてそこから外れ値を求めて除外しても良いし、その他の周知の外れ値の算出手法を用いても良い。
次に、CPU105は、各選択オペレータIDごとに外れ値を除いた各縫製所要時間の平均値を算出する(ステップS54)。
【0043】
ここで、上記外れ値を除いて平均値を算出する処理について、CPU105が行う一例を詳述する。
まず、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で各オペレータIDごとに標準偏差Sを算出する。標準偏差Sは下式(1)〜(3)に基づいて算出される。即ち、選択期間における各オペレータの全縫製所要時間から平均値を算出する。ここで、符号xは対象となるオペレータの個々の縫製所要時間を示し、上線付きのxはその平均値を示す。また、符号nは対象となるオペレータの個々の縫製所要時間のサンプル数である。
そして、求められた平均値から下式(2)に基づいて平方偏差s2を算出し、その平方根から下式(3)に基づいて標準偏差sを算出する。
【0044】
【数1】
【0045】
次に、標準偏差sから3σの範囲の平均値を算出する。
即ち、+3σ=(xの平均値)+(s×3)と−3σ=(xの平均値)−(s×3)とを求め、±3σの範囲(−3σ以上であって+3σ以下の範囲)内の縫製所要時間のみを抽出し、抽出された縫製所要時間から再度平均値を算出する。当該平均処理により外れ値を除外することができる。以下、作業分析装置101では縫製所要時間の平均値とは、この外れ値を除いた平均値のことを示すものとする。
また、各ラインM53〜M55は上記外れ値を除いた平均値に基づいて表示される。
【0046】
なお、参考のための具体的な数値を用いて上記処理の一例を説明する。
対象となる一人のオペレータの選択期間内の縫製所要時間が以下の数値であるものとする(サンプル数は15)。
縫製所要時間(x):411,723,110,343,38,38,40,34,32,2518,324,404,1115,419,237
平均値は、
xの平均値=(411+723+110+343+38+38+40+34+32+2518+324+404+1115+419+237)/15
=281.73
平方偏差は、
s2=(251−281.73)2+(443+281.73)2+…/(15−1)
=148769.50
標準偏差は、
s=385.71
+3σは、
+3σ=(xの平均値)+(s×3)
=1438.85
−3σは、
−3σ=(xの平均値)−(s×3)
=−875.39
±3σの範囲内の縫製所要時間は411,723,110,343,38,38,40,34,32,2518,324,404,1115,419,237
従って、
±3σの範囲内の縫製所要時間の平均値=(411+723+110+343+38+38+40+34+32+324+404+1115+419+237)/14
=193.43
このように、単なる平均値は281.73となり、上述の外れ値を除く平均化処理により平均値は193.43となる。
【0047】
上述のように、平均値が算出されるとCPU105は、その平均値から所定比率を乗じて上限値(=平均値÷0.85)と下限値(=平均値×2−上限値)とを算出する。
そして、各選択オペレータIDごとの縫製所要時間の平均値をプロットして折れ線グラフ表示を行うと共に、そのグラフ表示領域内に総合的な平均値の平均値ラインM53と上限値の上限値ラインM54、下限値の下限値ラインM55を表示する(ステップS55)。
【0048】
以上のように、上記図14に示すステップS52に示す処理により、CPU105は「所要時間算出手段」として機能する。また、ステップS53及びS54に示す処理により、CPU105は「平均化処理手段」として機能する。さらに、CPU105は、平均値ラインM53、上限値ラインM54及び下限値ラインM55を折れ線グラフ表示内に表示させることにより「グラフ表示処理手段」としての一機能を果たしている。
また、ピッチダイヤグラム画面M5内には、グラフ表示位置の下側に、グラフ上で選択されたオペレータIDにおける、ピッチタイム以外のパラメータである「総生産数量」及び「ミシン稼働率」の数値を示す表M51の表示が行われている。かかる表M51の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
【0049】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS52において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データごとに縫製作業時刻のデータから縫製所要時間が算出され、その他の処理については、オペレータIDの場合とほぼ同様である。
【0050】
また、ピッチダイヤグラム画面M5内には、マウス操作により、抽出データの範囲内で、オペレータIDに基づくピッチダイヤグラム表示を行う状態から工程IDに基づくピッチダイヤグラム表示を行う状態に切り替えを行う切り替えスイッチM52が表示されている。
切り替えスイッチM52により切り替えられたピッチダイヤグラム画面M6は、図15に示すように、各工程IDごとの縫製所要時間の平均値が折れ線グラフ表示で表示される。ここで折れ線グラフ表示が行われる工程IDは、選択オペレータIDに関連する工程IDのみである。
つまり、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間に属する抽出データを工程IDごとに区切り、各区切りごとの縫製所要時間を求め、各工程ごとに縫製所要時間を外れ値を除いて平均化し、各工程ごとに平均値をプロットして折れ線グラフの再表示を行う。また、総合的な平均値と上限値下限値をライン表示する点は図13と同様である。これにより、CPU105は、「第二の切り替え表示制御手段」としての一機能を果たすこととなる。
【0051】
(稼働比較グラフ)
表示カテゴリーを稼働状況モニタとしている場合で、共通スイッチ領域Aの切り替えスイッチM34をマウス操作すると稼働比較グラフ画面M7が表示される。図16は切り替えスイッチM34により切り替えられた稼働比較グラフ画面M7の表示例である。
かかる稼働比較グラフ画面M7は、選択されたオペレータIDと選択期間の範囲で、各オペレータIDごとに個々の縫製作業における稼働時間と非稼働時間とを求め、各オペレータIDごとの総稼働時間と総非稼働時間を求めてそれらの合計時間を棒グラフ表示したものである。また、各オペレータIDごとの棒グラフは、総稼働時間と休止時間との比率に応じて色分け表示がなされている。なお、「稼働時間」とはミシンモータが駆動した状態にある時間をいう。
【0052】
図17は稼働比較グラフ画面M7のグラフ表示処理を示すフローチャートである。CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとに回転数データD1から抽出した各抽出データに対して以下の処理を行う。
まず、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間ごとの各抽出データについて先頭からデータの読み込みを行う(ステップS61)。
そして、区切り情報を逐次検出し、抽出データにおける最初の区切り情報と最終の区切り情報とから選択オペレータごとの作業従事時間を求め、選択期間分の累計を求める(ステップS62)。なお、「作業従事時間」とはミシンに向かって作業を行っている時間であって、稼働時間と休止時間の合計をいう。
また、各抽出データの読み込みに際し、0[rpm]以外の回転数を示すデータ数をカウントし(ステップS63)、オペレータIDごとの総カウント数にミシンの回転数のサンプリング周期を乗算することで稼働時間の累計を算出する(ステップS64)。
そして、各選択オペレータIDごとの作業従事時間の累計により棒グラフの高さを算出すると共に、作業従事時間の累計と稼働時間の累計とから作業従事時間を1とした場合の稼働時間の比率を稼働時間の累計値÷作業従事時間の累計値から算出し、棒グラフで色分けされる稼働時間部分の高さを算出し、各オペレータIDごとに棒グラフ表示を行う(ステップS65)。なお、作業従事時間の棒グラフ中に含まれる稼働時間が色分けされることで残りの部分が休止時間となり、結果的に窮し時間の累計も棒グラフ中に表示される。
【0053】
なお、上記処理説明では、稼働比較グラフの稼働時間の算出を0[rpm]以外の回転数のサンプリング個数をサンプリング周期で乗算することを算出しているが、予め、ミシン側で稼働時間を算出し、縫製作業時刻データD2に記録しておいて、それらを累計しても、上記と同様の結果を得ることができる。
【0054】
以上のように、上記図17のステップS62〜S64に示す処理により、CPU105は「稼働時間累計手段」として機能する。また、ステップS53及びS54に示す処理により、CPU105は「平均化処理手段」として機能する。さらに、CPU105は、稼働時間と休止時間と色分けされた状態で作業従事時間の棒グラフを表示させることにより「グラフ表示処理手段」としての一機能を果たしている。
また、稼働比較グラフ画面M7内には、グラフ表示位置の下側に、グラフ上で選択されたオペレータIDにおける、稼働率以外のパラメータである「総生産数量」及び「平均ピッチタイム」の数値を示す表M71の表示が行われている。かかる表M71の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
【0055】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS62において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して選択工程ごとに作業従事時間を求めて累計し、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データから稼働時間を累計し、その他の処理については、オペレータIDの場合とほぼ同様である。
【0056】
また、稼働比較グラフ画面M7内には、マウス操作により、抽出データの範囲内で、オペレータIDに基づく稼働比較表示を行う状態から工程IDに基づく稼働比較表示を行う状態に切り替えを行う切り替えスイッチM72が表示されている。
切り替えスイッチM72により切り替えられた稼働比較グラフ画面M8は、図18に示すように、各工程IDごとの稼働比較が棒グラフ表示で表示される。ここで棒グラフ表示が行われる工程IDは、選択オペレータIDに関連する工程IDのみである。
つまり、CPU105は、選択オペレータID及び選択期間に属する抽出データを工程IDごとに区切り、各区切りの範囲内で作業従事時間と稼働時間とを求め、さらに、各工程ごとに作業従事時間と稼働時間とを集計して求め、各工程ごとの稼働比較について棒グラフの再表示を行う。また、稼働時間を休止時間とを色分けする点は図16と同様である。これにより、CPU105は、「第二の切り替え表示制御手段」としての一機能を果たすこととなる。
【0057】
(ソーイングレコーダ)
一乃至二種類の抽出データを選択し、タブスイッチM15をマウス操作すると、表示カテゴリーがソーイングレコーダとなり、ソーイングレコーダ画面M9が表示される。図19はソーイングレコーダ画面M9の表示例である。
かかるソーイングレコーダ画面M9は、オペレータIDと期間が選択された回転数データD1に基づく二種類の抽出データについて、それぞれミシンの回転数の時間的変化を示すミシンの動作波形を折れ線グラフで表示したものである。
【0058】
上記ソーイングレコーダ画面M9の表示に際し、CPU105は、選択された二つの回転数データD1に基づく抽出データを一つずつ読み込んで(選択された抽出データが一つの場合には一つのみ読み込む)、その中に含まれる回転数のデータを並び順にプロットしそれらの間を直線でつないで一乃至二種類の抽出データについてミシンの動作波形グラフを形成する。
なお、二つのミシンの動作波形グラフが表示される場合には回転数の記録開始時点を一致するように表示が行われるが、片方のグラフのみをマウスで選択操作することで、時間軸方向にミシンの動作波形グラフを位置調節することが可能である。さらに、ミシンの動作波形グラフの表示エリアには全てのミシンの動作波形グラフが表示し切れない場合があるので、表示スクロールスイッチM91に対するマウス操作により二つのミシンの動作波形グラフを同時にスクロールさせることが可能となっている。
また、横軸設定を1区間ごとに切り替えることで1縫製分の動作波形がグラフ上に表示されるようにすることができる。ここで、2区間ごと以上も選択でき、選択された区間分の縫製作業分が動作波形として表示される。
【0059】
また、ソーイングレコーダ画面M9でミシンの動作波形グラフ表示がなされる二つの抽出データの選択方法については、メイン画面M1からオペレータIDと期間との組み合わせを二組選択することでも可能であるが、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5、稼働比較グラフ画面M7から選択することも可能である。
即ち、(1)生産数量グラフ画面M3における各棒グラフ表示の一乃至二つをマウス操作で選択、(2)ピッチダイヤグラム画面M5におけるプロット点の一乃至二つをマウス操作で選択、(3)稼働比較グラフ画面M7における各棒グラフ表示の一乃至二つをマウス操作で選択のいずれかを行った後にタブスイッチM15をマウス操作することで二つの抽出データの選択が行われ、CPU105は、かかる一乃至二の抽出データに基づいてミシンの動作波形グラフの表示処理を実行する。
これにより、CPU105は、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5又は稼働比較グラフ画面M7のいずれかのグラフ表示を行っている場合に、タブスイッチM15による切り替え指示入力を受けて、ミシンの回転数の変化を示すミシンの動作波形グラフの表示に切り替える「第三の切り替え表示制御手段」として機能する。
【0060】
また、ソーイングレコーダ画面M9内には、グラフ表示位置の下側に、各選択オペレータIDにおける、回転数以外のパラメータである「区間タイム」及び「ミシン稼働率」の数値を示す表M92の表示が行われている。かかる表M92の表示制御を行うことにより、CPU105は「補足表表示処理手段」として機能する。
【0061】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して選択工程ごとに回転数変化が求められてミシンの動作波形グラフの表示が行われる。
また、ソーイングレコードデータ(この処理で用いられたデータ)は、ファイル出力スイッチにより所定のファイル形式(例えば、csvファイル等)に加工されてHD装置10やフラッシュメモリ36に書き出すことが可能となっている。
【0062】
(行動タイプ表示)
表示カテゴリーをソーイングレコーダとしている場合で、共通スイッチ領域Aの切り替えスイッチM93をマウス操作すると行動タイプ表示画面M10が表示される。図20は切り替えスイッチM93により切り替えられた行動タイプ表示画面M10の表示例である。
かかる行動タイプ表示画面M10は、ソーイングレコーダ画面M9でミシンの動作波形グラフを表示するために選択されている一乃至二の抽出データに基づく行動タイプ別グラフの表示を行う。
かかる行動タイプ別グラフは、縫製作業の所定期間において回転数ごとの駆動時間の累計の分布を折れ線グラフで表示したものである。
【0063】
上記行動タイプ表示画面M10の表示に際し、CPU105は、選択された回転数データD1に基づく二つの抽出データを一つずつ読み込んで(選択された抽出データが一つの場合には一つのみ読み込む)、その中に含まれる回転数のデータについて各回転数ごとにデータ数をカウントする。そして、各回転数ごとのデータのカウント数のそれぞれに対してミシンでの回転数のサンプリング周期を乗じて、回転数ごとの駆動時間の累計を算出する。そして、各回転数の駆動時間をプロットしそれらの間を直線でつないで一乃至二種類の抽出データについてミシンの行動タイプ折れ線グラフを形成する。
また、行動タイプ表示画面M10には、各行動タイプ折れ線グラフの表示エリアに隣接して各種の行動タイプ折れ線グラフのサンプルとタイプごとの改善のポイントを表示した行動タイプ表M101が表示され、いずれのサンプルに近似するかを表意から判断し、改善ポイントを参照することを可能としている。
【0064】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、ステップS62において、各選択工程IDと各選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して回転数を示すデータを読み込んで、回転数別にカウントし、回転数ごとの駆動時間の累計を算出する。その他の処理については、オペレータIDの場合とほぼ同様である。
【0065】
(ピッチタイムモニタ)
一種類の抽出データを選択し、タブスイッチM16をマウス操作すると、表示カテゴリーがピッチタイムモニタとなり、ピッチタイムモニタ画面M11が表示される。図21はピッチタイムモニタ画面M11の表示例である。
かかるピッチタイムモニタ画面M11は、オペレータIDと期間が選択された縫製作業時刻データD2に基づく抽出データについて、選択期間内での各時刻ごとの生産枚数を棒グラフで表示したものである。
【0066】
上記ピッチタイムモニタ画面M11の表示に際し、CPU105は、選択された一つの縫製作業時刻データD2に基づく抽出データを読み込んで、その中に含まれる縫製作業時刻のデータ一つ一つが、一定の時間幅の時刻帯のいずれに属するかを判定すると共に、各時刻帯に属するデータ数をカウントする。そして、各時刻帯ごとにデータ数を棒グラフ化し、表示させる。
なお、ピッチタイムモニタ画面M11のグラフ表示エリアには全ての棒グラフが表示し切れない場合があるので、表示スクロールスイッチM111に対するマウス操作により各棒グラフをその並び方向にスクロールさせることが可能となっている。
【0067】
また、ピッチタイムモニタ画面M11内には、複数の棒グラフを選択区間で選択する区間選択スイッチM112,M113と、単一の棒グラフを選択するグラフ選択スイッチM114とが表示されている。さらに、ピッチタイムモニタ画面M11内には、区間選択スイッチM112,M113で選択された複数の棒グラフに属する縫製作業時間データから選択区間内の生産数量と平均ピッチタイム(ピッチタイムの算出法は前述と同様)と、グラフ選択スイッチM114で選択された単一の棒グラフに属する縫製作業時間データからその時刻帯の生産数量と当該時刻帯の時刻とを表示する参考データ表M115の表示が行われる。
【0068】
また、ピッチタイムモニタ画面M11で棒グラフ表示がなされる単一の抽出データの選択方法については、メイン画面M1からオペレータIDと期間との組み合わせから選択することでも可能であるが、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5、稼働比較グラフ画面M7から選択することも可能である。
即ち、(1)生産数量グラフ画面M3における各棒グラフ表示の一つをマウス操作で選択、(2)ピッチダイヤグラム画面M5におけるプロット点の一つをマウス操作で選択、(3)稼働比較グラフ画面M7における各棒グラフ表示の一つをマウス操作で選択のいずれかを行った後にタブスイッチM16をマウス操作することで単一の抽出データの選択が行われ、CPU105は、かかる一つの抽出データに基づいてピッチタイムモニタ画面M11の各棒グラフの表示処理を実行する。
これにより、CPU105は、生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5又は稼働比較グラフ画面M7のいずれかのグラフ表示を行っている場合に、タブスイッチM16による切り替え指示入力を受けて、一つの抽出データについての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替える「第一の切り替え表示制御手段」として機能する。
【0069】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、選択工程IDと選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して各時刻ごとの生産数量が求められてピッチタイムモニタ画面M11における複数の棒グラフの表示が行われる。
【0070】
(ピッチタイム度数モード)
表示カテゴリーをピッチタイムモニタとしている場合で、グラフ表示の切り替えスイッチM116をマウス操作するとピッチタイム度数モード画面M12が表示される。図22はピッチタイム度数モード画面M12の表示例である。
かかるピッチタイム度数モード画面M12は、オペレータIDと期間が選択された縫製作業時刻データD2に基づく抽出データについて、縫製所要時間ごとの生産枚数を棒グラフで表示したものである。
【0071】
上記ピッチタイム度数モード画面M12の表示に際し、CPU105は、選択された一つの縫製作業時刻データD2に基づく抽出データを読み込んで、その中に含まれる前後の並んだ縫製作業時刻の時刻差からそれぞれの縫製所要時間を算出する。そして、一定の時間幅の縫製所要時間帯のいずれに属するかを判定すると共に、各時間帯に属するデータ数をカウントする。そして、各時間帯ごとにデータ数を棒グラフ化し、表示させる。
なお、ピッチタイム度数モード画面M12のグラフ表示エリアには全ての棒グラフが表示し切れない場合があるので、表示スクロールスイッチM121に対するマウス操作により各棒グラフをその並び方向にスクロールさせることが可能となっている。
【0072】
また、ピッチタイム度数モード画面M12内には、複数の棒グラフを選択区間で選択する区間選択スイッチM122,M123と、単一の棒グラフを選択するグラフ選択スイッチM124とが表示されている。さらに、ピッチタイム度数モード画面M12内には、区間選択スイッチM122,M123で選択された複数の棒グラフに属する縫製作業時間データから選択区間内の生産数量であるピッチタイム度数と平均ピッチタイム(ピッチタイムの算出法は前述と同様)と、グラフ選択スイッチM124で選択された単一の棒グラフに属する縫製作業時間データからその縫製所要時間帯の生産数量であるピッチタイム度数と当該縫製所要時間とを表示する参考データ表M125の表示が行われる。
【0073】
なお、メイン画面M1において工程IDについて選択が行われていた場合には、選択工程IDと選択期間とに基づいて抽出された抽出データに対して各縫製所要時間ごとの生産数量が求められてピッチタイム度数モード画面M12における複数の棒グラフの表示が行われる。
【0074】
また、ピッチタイムモニタ画面M11及びピッチタイム度数モード画面M12には、共通スイッチ領域Aに詳細データ一覧スイッチM117が表示されている。かかる詳細データ一覧スイッチM117がマウス操作されると、縫製データDについてそのデータの内容が表形式で一覧表示される。尚、データそのものは数値と記号の羅列の集まりに過ぎないのでそれぞれの数値と記号の羅列が何を意味するものであるかを表内で併記し、視覚的に内容が把握可能に加工されて表示される。また、この詳細データは、ファイル出力スイッチM118により、所定のファイル形式(例えば、CSVファイル等)に加工されてHD装置108やフラッシュメモリ36に書き出すことが可能となっている。
【0075】
(発明の実施形態の効果)
ミシンの作業分析システム100では、作業分析装置101において、複数の生産管理ミシン10から取得された複数の記録データDに対して、メイン画面M1からオペレータID又は工程IDの特定情報と期間の選択が行われると、該当する抽出データが抽出され、各抽出データは所定のグラフM1〜M12で表示手段であるモニタ103に表示される。
これにより、単体の生産管理ミシン10を複数のオペレータが使用する場合であっても、各オペレータIDごとに各種のグラフ表示を行うことが可能となる。このため、各オペレータの技量の見極めを容易に行うことが可能となる。
さらにオペレータIDに限らず、工程IDに基づいてデータの抽出が可能なため、工程単数乃至複数の生産管理ミシン10で複数の作業工程が行われたとしても、分析に必要な作業工程のデータのみをグラフ化することができ、各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めを容易に行うことが可能となる。
また、複数台のミシンにより複数のオペレータが複数の作業工程(作業分類)を分担して製品の完成までを担う場合であっても、オペレータごと或いは作業工程ごとの縫いの状態や達成の状態を把握することができ、全体の効率の低下の原因を容易に把握することが可能となり、人材の配置の適正化や各工程に投入する人員数の適正化を図ることができ、分担作業の効率を向上させることが可能となる。
【0076】
また、ピッチダイヤグラム画面M5により、選択されたオペレータIDや工程IDにおける縫製所要時間の平均値を速やかに表示させることができるので、各オペレータの技量や各作業工程(作業分類)ごとの作業効率の見極めをより容易に行うことが可能となる。
その場合、縫製所要時間について外れ値を除いて平均化する処理が行われるので、縫製作業における不慮の要因(例えば、糸切れや糸絡み、糸交換等)によるタイムロスの影響を効果的に排除することができ、オペレータごとの技量や作業工程ごとの作業の円滑性などをより正確に把握することが可能となる。
【0077】
また、生産数量グラフ画面M3、M4では、選択された各オペレータIDや工程IDについて個別に生産数量を求め、棒グラフで表示することができ、さらには、オペレータID(工程ID)が選択された場合には各棒グラフについて生産数量における工程ID(オペレータID)の内訳を色分けで表示するので、例えば、オペレータごとの技量の把握と作業工程ごとの作業の円滑性などが同時に把握でき且つそれらの関連も把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0078】
また、生産数量グラフ画面M3、M4、ピッチダイヤグラム画面M5、M6及び稼働比較グラフ画面M7、M8についてはグラフ表示を行っている状態からピッチタイムモニタM11やピッチタイム度数モード画面M12に切り替えることができるので、オペレータIDや工程IDについて特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えによりそれらのIDについての縫製作業時間経過ごとの生産数量や生産数量のピッチタイム度数分布を速やかに確認することができ、より精細な分析が可能となる。
【0079】
また、稼働比較グラフ画面M7、M8により、選択されたオペレータIDや工程IDについて稼働時間と休止時間の比率が棒グラフ表示されるので、オペレータや作業工程ごとに稼働率がわかり、作業効率の高低の原因の把握などに利用することができる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0080】
また、オペレータIDを選択した生産数量グラフ画面M3、ピッチダイヤグラム画面M5及び稼働比較グラフ画面M7を、工程IDを選択した生産数量グラフ画面M4、ピッチダイヤグラム画面M6及び稼働比較グラフ画面M8に切り替えること(その逆も可)ができるので、オペレータと作業分類との関連がわかり、効率における相互の影響なども把握することが可能となる。よって、より精細な分析が可能となる。
【0081】
また、生産数量グラフ画面M3、M4、ピッチダイヤグラム画面M5、M6、稼働比較グラフ画面M7、M8及びソーイングレコーダ画面M9は、グラフ表示に際して、抽出データに含まれながらグラフ表示に反映されない項目が生じる場合があるが、それらの項目についてグラフをよける配置で表形式で表示が行われるので、同時に多くの情報を認識でき、より精細な分析が可能となる。
【0082】
また、生産数量グラフ画面M3、M4、ピッチダイヤグラム画面M5、M6及び稼働比較グラフ画面M7、M8についてはグラフ表示を行っている状態からソーイングレコーダ画面M9や行動タイプ別グラフ画面M10に切り替えることができるので、オペレータIDや工程IDについて特定の情報をグラフで確認中でも、上記切り替えにより、それらのIDについての回転数の変化や行動タイプを速やかに確認することができ、より精細な分析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ミシンの作業分析システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】生産管理ミシン10を含む作業分析システム100の概略構成を示すブロック図である。
【図3】記録データを構成する回転数データと縫製作業時刻データの記録構造を示す説明図である。
【図4】ズボンの縫製の開始から完成までの各工程を示す工程図である。
【図5】生産管理ミシンのCPUにより実行される記録データの記録処理プログラムに基づいて行われる処理を示すフローチャートである。
【図6】メイン画面の表示例である。
【図7】メイン画面においてCPUが行う表示処理を示すフローチャートである。
【図8】メイン画面においてCPUが行う選択処理を示すフローチャートである。
【図9】工程一覧表画面の表示例である。
【図10】生産数量グラフ画面の表示例である。
【図11】生産数量グラフ画面のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【図12】生産数量グラフ画面の識別情報切り替え後の表示例である。
【図13】ピッチダイヤグラム画面の表示例である。
【図14】ピッチダイヤグラム画面のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【図15】ピッチダイヤグラム画面の識別情報切り替え後の表示例である。
【図16】稼働比較グラフ画面の表示例である。
【図17】稼働比較グラフ画面のグラフ表示処理を示すフローチャートである。
【図18】稼働比較グラフ画面の識別情報切り替え後の表示例である。
【図19】ソーイングレコーダ画面の表示例である。
【図20】行動タイプ表示画面の表示例である。
【図21】ピッチタイムモニタ画面の表示例である。
【図22】ピッチタイム度数モード画面の表示例である。
【符号の説明】
【0084】
10 生産管理ミシン
36 フラッシュメモリ(データ取得手段)
37 読み取り書き込み装置(データ取得手段)
101 作業分析装置
103 モニタ(表示手段)
105 CPU(抽出処理手段、グラフ表示処理手段)
109 読み取り書き込み装置(データ取得手段)
D 記録データ
M1 メイン画面(選択手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のミシンから取得した記録データを集計して表示手段を制御してグラフ表示を行わせるミシンの作業分析装置であって、
ミシンの回転数の変化及び個々の縫製作業単位の縫製作業時刻が時系列的に記録されると共に複数のオペレータ特定情報及び複数の作業分類特定情報からなる識別情報が設定された時点に応じて時系列的に挿入された前記記録データを取得するデータ取得手段と、
前記識別情報の中からいずれか複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報を選択すると共にデータ記録期間中のいずれかの期間を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報と選択期間とから前記各記録データの該当部分を抽出する抽出処理手段と、
前記抽出データを所定のグラフで前記表示手段に表示させるグラフ表示処理手段とを備えることを特徴とするミシンの作業分析装置。
【請求項2】
前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から個々の縫製作業単位について縫製所要時間を求める所要時間算出手段と、
前記選択された各識別情報ごとに前記縫製所要時間を外れ値を除いて平均値を算出する平均化処理手段と、
前記グラフ表示処理手段は、前記各識別情報の縫製所要時間の平均値を並べてグラフ表示すると共に、前記選択された全識別情報についての前記縫製所要時間の平均値を示す平均値ラインと前記全識別情報の平均値に対して所定の比率で増減させた上限値及び下限値ラインを前記グラフに重ねて表示することを特徴とする請求項1記載のミシンの作業分析装置。
【請求項3】
前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から前記選択された複数の識別情報について個別に縫製作業単位の生産数量を求めると共に、前記各識別情報の生産数量における選択されなかった識別情報についての内訳となる個々の該当数量を求める縫製作業単位計数手段を備え、
前記グラフ表示処理手段は、前記抽出データの複数の識別情報についての生産数量を棒グラフで表示する場合に、各オペレータ特定情報と各作業分類特定情報の内の選択されなかった方の個々の情報について個別に求められた該当数量が識別可能となるように前記棒グラフの表示態様を区分けすることを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの作業分析装置。
【請求項4】
前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データの複数の識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替える第一の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする請求項3記載のミシンの作業分析装置。
【請求項5】
前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれるミシンの回転数の変化から選択された各識別情報ごとに稼働時間と休止時間とを累計する稼働時間累計手段を備え、
前記グラフ表示処理手段は、前記累計された稼働時間と休止時間の比率が識別可能となるように表示態様を区分けした棒グラフで表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項6】
前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、他方の前記識別情報をパラメータとするグラフ表示に切り替える第二の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項7】
前記抽出データに含まれながら前記表示処理手段によるグラフ表示に反映されない項目について前記グラフをさけて表形式で前記表示手段に表示させる補足表表示処理手段とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項8】
前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データに含まれるミシンの回転数の変化を示す波形グラフの表示に切り替える第三の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項1】
複数のミシンから取得した記録データを集計して表示手段を制御してグラフ表示を行わせるミシンの作業分析装置であって、
ミシンの回転数の変化及び個々の縫製作業単位の縫製作業時刻が時系列的に記録されると共に複数のオペレータ特定情報及び複数の作業分類特定情報からなる識別情報が設定された時点に応じて時系列的に挿入された前記記録データを取得するデータ取得手段と、
前記識別情報の中からいずれか複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報を選択すると共にデータ記録期間中のいずれかの期間を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された複数のオペレータ特定情報又は複数の作業分類特定情報と選択期間とから前記各記録データの該当部分を抽出する抽出処理手段と、
前記抽出データを所定のグラフで前記表示手段に表示させるグラフ表示処理手段とを備えることを特徴とするミシンの作業分析装置。
【請求項2】
前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から個々の縫製作業単位について縫製所要時間を求める所要時間算出手段と、
前記選択された各識別情報ごとに前記縫製所要時間を外れ値を除いて平均値を算出する平均化処理手段と、
前記グラフ表示処理手段は、前記各識別情報の縫製所要時間の平均値を並べてグラフ表示すると共に、前記選択された全識別情報についての前記縫製所要時間の平均値を示す平均値ラインと前記全識別情報の平均値に対して所定の比率で増減させた上限値及び下限値ラインを前記グラフに重ねて表示することを特徴とする請求項1記載のミシンの作業分析装置。
【請求項3】
前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれる個々の縫製作業単位の縫製作業時刻から前記選択された複数の識別情報について個別に縫製作業単位の生産数量を求めると共に、前記各識別情報の生産数量における選択されなかった識別情報についての内訳となる個々の該当数量を求める縫製作業単位計数手段を備え、
前記グラフ表示処理手段は、前記抽出データの複数の識別情報についての生産数量を棒グラフで表示する場合に、各オペレータ特定情報と各作業分類特定情報の内の選択されなかった方の個々の情報について個別に求められた該当数量が識別可能となるように前記棒グラフの表示態様を区分けすることを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの作業分析装置。
【請求項4】
前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データの複数の識別情報についての縫製作業時間経過ごとの生産数量を示す棒グラフの表示に切り替える第一の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする請求項3記載のミシンの作業分析装置。
【請求項5】
前記選択手段で選択された選択条件に該当する抽出データに含まれるミシンの回転数の変化から選択された各識別情報ごとに稼働時間と休止時間とを累計する稼働時間累計手段を備え、
前記グラフ表示処理手段は、前記累計された稼働時間と休止時間の比率が識別可能となるように表示態様を区分けした棒グラフで表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項6】
前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、他方の前記識別情報をパラメータとするグラフ表示に切り替える第二の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項7】
前記抽出データに含まれながら前記表示処理手段によるグラフ表示に反映されない項目について前記グラフをさけて表形式で前記表示手段に表示させる補足表表示処理手段とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【請求項8】
前記グラフ表示処理手段によりいずれか一方の前記識別情報をパラメータとしてグラフ表示を行っている場合に、切り替え指示入力を受けて、前記抽出データに含まれるミシンの回転数の変化を示す波形グラフの表示に切り替える第三の切り替え表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のミシンの作業分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−160084(P2009−160084A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340224(P2007−340224)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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