説明

ミトコンドリア病および他の状態の治療、およびエネルギーバイオマーカーの調節のための酸化還元活性治療薬

フリードライヒ失調症(FRDA)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、またはキーンズセイアー症候群(KSS)などのミトコンドリア病を治療または抑制する方法、およびα−トコフェロールキノンなどの本発明の方法に有用な化合物が開示される。その他の障害を治療するために有用な方法および化合物もまた開示される。対象の代謝状態および治療の有効性を判定するために有用なエネルギーバイオマーカーもまた開示される。エネルギーバイオマーカーを調節、正常化、または強化する方法、および当該方法に有用な化合物もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2005年6月1日に出願された、米国仮特許出願第60/686,826号、2005年7月21日に出願された、米国仮特許出願第60/701,815号、および2006年2月22日に出願された、米国仮特許出願第60/776,028号に対する利益を主張する。これらの出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
技術分野
本出願は、対象におけるフリードライヒ失調症、レーバー遺伝性視神経障害、キーンズセイアー症候群、および乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症などのミトコンドリア障害の治療または抑制に、ならびにエネルギーバイオマーカーの調節に有用な組成物および方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
背景
ミトコンドリアは、真核細胞における細胞小器官であり、一般に細胞の「発電所」と呼ばれる。分子であるアデノシン三リン酸(ATP)は細胞中のエネルギー「通貨」すなわちエネルギー担体として機能し、真核細胞は、ミトコンドリアによって遂行された生化学過程からそのATPの大部分を得る。これらの生化学過程には、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)から還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH+H)を発生するクエン酸回路(トリカルボン酸回路またはクレブス回路)、およびNADH+HがNADに酸化し戻される酸化的リン酸化がある。(クエン酸回路は、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)をFADHにも還元する。FADHもまた酸化的リン酸化に関与している。)
NADH+Hの酸化により放出される電子は、呼吸鎖として知られている一連のタンパク質複合体(複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IV)を下向きに移動する。これらの複合体はミトコンドリア内膜に埋め込まれている。呼吸鎖の最後にある複合体IVは電子を酸素に伝達し、その酸素は水に還元される。これらの電子がこれらの複合体を行き来するときに放出されるエネルギーは、ミトコンドリア内膜を隔てたプロトン勾配を発生するために使用され、その勾配は内膜を隔てた電気化学的ポテンシャルを生み出す。別のタンパク質複合体である複合体V(この複合体は複合体I、II、III、およびIVと直接関連していない)は、電気化学的勾配により貯蔵されたエネルギーを使用してADPをATPに変換する。
【0004】
クエン酸サイクルおよび酸化的リン酸化には解糖が先行し、解糖では1分子のグルコースが2分子のピルビン酸に分解され、グルコース1分子あたり2分子のATPが純発生する。次に、ピルビン酸分子はミトコンドリアに入り、そこでそれらの分子は酸化的リン酸化を介してCOおよびHOに完全に酸化される(この全過程は好気的呼吸として知られている)。グルコースを2分子のピルビン酸に変換することにより発生した2分子のATPに加えて、2つのピルビン酸分子から二酸化炭素および水への完全な酸化は、少なくとも約28〜29分子のATPを生む。酸素が入手できないならば、ピルビン酸分子はミトコンドリアに入らず、それどころか嫌気的呼吸過程において乳酸に変換される。
【0005】
したがって、グルコース1分子あたりの全体的な純収量は少なくとも約30〜31個のATP分子である。ATPは、細胞におけるその他のほぼ全ての生化学的反応に直接または間接的に動力を供給するために使用される。したがって、好気的呼吸の間の酸化的リン酸化により与えられた余分の少なくとも(約)28または29分子のATPは、細胞が適切に機能するために重大である。酸素の欠如は、好気的呼吸を妨げ、その結果としてほぼ全ての好気的生物の最終的な死滅を招くものであるが、酵母などの少数の生物は好気的呼吸または嫌気的呼吸のいずれかを採用して生存することができる。
【0006】
生物における細胞が一次的に酸素を欠乏した場合には、酸素を再び入手できるようになるか、またはその細胞が死滅するまでは、嫌気的呼吸が利用される。解糖の間に発生したピルビン酸は嫌気的呼吸の際に乳酸に変換される。乳酸の蓄積は、筋肉細胞に酸素を供給できない激しい活動期間の際の筋肉疲労の原因であると考えられる。酸素が再び利用できるようになると、酸化的リン酸化に使用するために乳酸はピルビン酸に変換し戻される。
【0007】
呼吸鎖を構成するタンパク質の遺伝的欠損は、重症の病状を誘導する。そのような一疾患はフリードライヒ失調症(FRDAまたはFA)である。フリードライヒ失調症は、タンパク質であるフラタキシンのレベル減少によって起こる常染色体劣性神経変性および心臓変性障害である。フラタキシンはミトコンドリア呼吸鎖複合体における鉄−硫黄クラスターの集合に重要である。米国におけるFRDAの有病率の推定値は22000〜29000人に1人(ワールドワイドウェブのアドレス.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/001411.htm参照)から50000人に1人(ワールドワイドウェブのアドレス.umc−cares.org/health_info/ADAM/Articles/001411.asp)の範囲である。この疾患は、進行性の随意運動協調性の喪失(運動失調)および心臓合併症を引き起こす。症状は典型的には小児期に始まり、患者が年をとるにつれて疾患は進行性に悪化し、患者はついには運動不能が原因で車いすに束縛されるようになる。
【0008】
ミトコンドリアの機能不全に関連する別の疾患はレーバー遺伝性視神経障害(LHON)である。この疾患は、平均年齢27から34歳に起こる視力喪失を特徴とする(ワールドワイドウェブのアドレス.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/dispomim.cgi?id=535000)。視力喪失は両方の眼に同時に、または連続して(一方の眼が視力喪失を発生し、続いて平均2カ月後にもう一方の眼が視力喪失を発生するものである)発生することがある。心臓異常および神経合併症などの他の症状が起こることもある。
【0009】
ミトコンドリア欠損に起因して甚大な被害をもたらすなお別の症候群は、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)である。この疾患は乳児、小児、青少年に出現することがある。嘔吐およびけいれんを伴う脳卒中が最も重篤な症状の1つであり、虚血性脳卒中で起こる血流障害よりはむしろ脳のある領域におけるミトコンドリアの代謝障害が、細胞死および神経病変の原因であると推論されている。神経学的症状を含めたその他の重症の合併症が存在することが多く、血中乳酸濃度の上昇が起こる。
【0010】
別のミトコンドリア病はキーンズセイアー症候群(KSS)である。KSSは、(1)20歳未満の若齢者に典型的な発症、(2)慢性進行性外眼筋麻痺、および(3)網膜色素変性を含む三主徴を特徴とする。加えて、KSSには心臓伝導系障害、小脳性運動失調、および脳脊髄液(CSF)タンパク質濃度上昇(例えば>100mg/dL)が含まれることがある。KSSに伴うさらなる特徴には、筋症、ジストニア、内分泌異常(例えば、糖尿病、成長遅滞または低身長、および副甲状腺機能低下症)、両側感音難聴、認知症、白内障、および近位尿細管性アシドーシスが含まれることがある。このように、KSSは多数の器官系に影響するおそれがある。
【0011】
上記の4つの疾患は呼吸鎖複合体Iの欠損により起こると思われる。複合体Iから残りの呼吸鎖への電子伝達は化合物である補酵素Q(ユビキノンとしても知られている)により仲介される。酸化型補酵素Q(CoQoxまたはユビキノン)は複合体Iにより還元型補酵素Q(CoQredまたはユビキノール)に還元される。次に、還元された補酵素Qはその電子を(複合体IIを跳ばして)呼吸鎖複合体IIIに伝達し、そこで補酵素Qは再びCoQox(ユビキノン)に酸化される。次に、CoQoxは電子伝達のさらなる反復に関与することができる。
【0012】
これらの疾患を患う患者にはごくわずかの治療しか利用できない。近年、化合物であるイデベノンがフリードライヒ失調症の治療に提案された。イデベノンの臨床効果は比較的小さかったが、ミトコンドリア病の合併症は非常に重症のことがあるため、わずかに有用な治療でさえも、治療されていない疾患の経過よりもましである。別の化合物であるがMitoQミトコンドリア障害の治療に提案された(特許文献1参照)が、MitoQについての臨床結果はまだ報告されていない。KSSについて、補酵素Q10(CoQ10)およびビタミンサプリメントの投与は、個別の症例に一過性の有益効果だけを示した。
【0013】
したがって、フリードライヒ失調症、レーバー遺伝性視神経障害、MELAS、およびキーンズセイアー症候群などのミトコンドリア障害の有効な治療法への深刻でまだ対処されていない必要性がある。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0043553号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
エネルギーの生物学的生産を調整できることは、上記疾患を超えた適応を有する。様々な他の障害は、ATPレベルなどのエネルギーバイオマーカー(ときにエネルギー機能の指標とも呼ばれる)の不十分なレベルを生じることがある。これらの障害の治療は、患者の健康を改善するために1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するためにもまた必要とされる。他の適応では、ある種のエネルギーバイオマーカーを調節して、疾患を患っていない個体におけるそのバイオマーカーの正常値から離すことが望ましいことがある。例えば、個体が極端に激しい仕事を行っているならば、その個体のATPレベルを上昇させることが望ましいことがある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の開示
一実施形態では、本発明は、式I/III:
【0016】
【化26】

[式中、Rは、
【0017】
【化27】

からなる群から選択され、ここで、*はRが分子の残りに結合する点を示し、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、上記式I/IIIの1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、式I:
【0020】
【化28】

[式中、R、R、およびRは−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、式Ia:
【0022】
【化29】

[式中、R、R、およびRは−C〜Cアルキルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、ここで、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、R、R、およびRは、C〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、R、R、およびRはC〜Cn−アルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、R、R、およびRのいずれか1つはメチルであり、残りの基はC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。C〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、C〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、式Ia[式中、R、R、およびRのいずれか2つはメチルであり、残りの基は、C〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。C〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、C〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、式Ib:
【0031】
【化30】

[式中、R、R、およびRは、式I、式Ia、および式Iaの全ての実施形態について上に定義された通りである]の化合物を包含する。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、上記の式I、式Ia、もしくは式Ib、または式I、式Ia、もしくは式Ibの実施形態の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、式II:
【0034】
【化31】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R1111、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、α−トコフェロールキノンの治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、式IIa:
【0037】
【化32】

[式中、R11は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R11が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく、R12は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R12が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R13は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R13が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、式IIa[式中、R11、R12、およびR13は、H、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つは、Hでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、式IIa[式中、R11、R12、およびR13は−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、式IIa[式中、R11、R12、およびR13は−C〜Cn−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、式IIb:
【0042】
【化33】

[式中、R11、R12、およびR13は、式IIまたは式IIaについて上に記載した通りである]の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、式III:
【0044】
【化34】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa:
【0046】
【化35】

[式中、R、R、およびRは−C〜Cアルキルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、R、R、およびRはC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、R、R、およびRはC〜Cn−C1〜C4アルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0051】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、R、R、およびRのいずれか1つはメチルであり、残りの基はC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。このC〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、ここで、このC〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、式IIIa[式中、R、R、およびRのいずれか2つはメチルであり、残りの基はC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。このC〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、このC〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、式IIIb:
【0055】
【化36】

[式中、R、R、およびRは、式III、式IIIa、および式IIIaの全ての実施形態について上に定義された通りである]の化合物を包含する。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、上記の式III、式IIIa、もしくは式IIIb、または式III、式IIIa、もしくは式IIIbの実施形態の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、式IV:
【0058】
【化37】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、式IVa:
【0060】
【化38】

[式中、R11は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R11が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R12は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R12が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R13は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R13が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、式IVa[式中、R11、R12、およびR13は、H、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、式IVa[式中、R11、R12、およびR13は、−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0063】
別の実施形態では、本発明は、式IVa[式中、R11、R12、およびR13は、−C〜Cn−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、式IVb:
【0065】
【化39】

[式中、R11、R12、およびR13は、式IVまたは式IVaについて上に記載した通りである]の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、式V:
【0067】
【化40】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではなく;Rは、Hと、−ORまたは−N(Rで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択され、ここで、各RはHおよび−C〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態では、Rは、Hと、−ORで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択される。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、式Va:
【0069】
【化41】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではなく;Rは、Hと、−ORまたは−N(Rで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択され、各Rは、Hおよび−C〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態では、Rは、Hと、−ORで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択される。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0072】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRが全てメチルならば、Rは、−ORまたは−N(Rで置換されていてもよいCアルキルまたはCアルキルである]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。別の実施形態では、Rは、−ORで置換されていてもよいCアルキルまたはCアルキルから独立して選択される。
【0073】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、R、R、およびRはC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0074】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、R、R、およびRはC〜Cn−アルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0075】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、R、R、およびRのいずれか1つはメチルであり、残りの基はC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。このC〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、ここで、このC〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、式Va[式中、R、R、およびRのいずれか2つはメチルであり、残りの基は、C〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。このC〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、ここで、このC〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、式Vb:
【0079】
【化42】

[式中、R、R、R、およびRは、式V、式Va、および式Vaの全ての実施形態について上に定義された通りである]の化合物を包含する。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、上記の式V、式Va、もしくは式Vb、または式V、式Va、もしくは式Vbの任意の実施形態の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、式VI:
【0082】
【化43】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択され;Rは、Hと、−ORまたは−N(Rで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択され、各RはHおよび−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。別の実施形態では、Rは、Hと、−ORで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択される。別の実施形態では、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもないという条件が付けられる。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、式VIa:
【0084】
【化44】

[式中、R11は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、分子の残りにR11が結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R12は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R12が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R13は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R13が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、Hと、−ORまたは−N(Rで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択され、ここで、各Rは、Hおよび−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。別の実施形態では、Rは、Hと、−ORで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択される。別の実施形態では、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもないという条件が付けられる。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、式VIa[式中、R11、R12、およびR13は、H、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0086】
別の実施形態では、本発明は、式VIa[式中、R11、R12、およびR13は−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0087】
別の実施形態では、本発明は、式VIa[式中、R11、R12、およびR13は−C〜Cn−アルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、式VIb:
【0089】
【化45】

[式中、R11、R12、およびR13は、式VIまたは式VIaについて上に記載した通りである]の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R:
【0091】
【化46】

【0092】
【化47】

【0093】
【化48】

【0094】
【化49】

【0095】
【化50】

【0096】
【化51】

[式中、R、R、およびRは−C〜Cアルキルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R[式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R[式中、R、R、およびRは、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R[式中、R、R、およびRはC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R5 式IX−O、または式IX−R[式中、R、R、およびRはC〜Cn−アルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R[式中、Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、Rが分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。
【0102】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R[式中、R、R、およびRのいずれか1つはメチルであり、残りの基はC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。このC〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、このC〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、式VII−O、式VII−R、式VIII−O、式VIII−R、式IX−O、または式IX−R[式中、R、R、およびRのいずれか2つはメチルであり、残りの基はC〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物を包含する。このC〜Cアルキル基は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、このC〜Cアルキル基が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよい。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、式X−O、式X−R、式XI−O、式XI−R、式XII−O、または式XII−R:
【0105】
【化52】

【0106】
【化53】

【0107】
【化54】

【0108】
【化55】

【0109】
【化56】

【0110】
【化57】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1はHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0111】
別の実施形態では、本発明は、式X−O、式X−R、式XI−O、式XI−R、式XII−O、または式XII−R:
【0112】
【化58】

【0113】
【化59】

【0114】
【化60】

【0115】
【化61】

【0116】
【化62】

【0117】
【化63】

[式中、R11は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R11が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R12は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R12が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよく;R13は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、シクロプロピル−メチル、およびメチル−シクロプロパンから独立して選択され、R13が分子の残りに結合する点はアルキル断片のいずれの位置でもよいが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。一実施形態では、R11、R12、およびR13は全てメチルである。別の実施形態では、R11、R12、およびR13の少なくとも1つはメチルではない。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、式X−O、式X−R、式XI−O、式XI−R、式XII−O、または式XII−R[式中、R11、R12、およびR13は、メチル、エチル、n−プロピル、およびn−ブチルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0119】
別の実施形態では、本発明は、式X−O、式X−R、式XI−O、式XI−R、式XII−O、または式XII−R[式中、R11、R12、およびR13は、−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0120】
別の実施形態では、本発明は、式X−O、式X−R、式XI−O、式XI−R、式XII−O、または式XII−R[式中、R11、R12、およびR13は、−C〜Cn−アルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。
【0121】
別の実施形態では、本発明は、式VII−i、VIII−i、またはIX−iの1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を投与することにより、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法を包含する。化合物VII−iは、
【0122】
【化64】

であり、この化合物はα−トコトリエノールキノンである(代わりに2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−6,10,14−ヘキサデカトリエニル)−3,5,6−トリメチル−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオンまたは2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−6,10,14−ヘキサデカトリエニル)−3,5,6−トリメチル−p−ベンゾキノン(CAS登録番号14101−66−7)と呼ばれる)。化合物VIII−iは、
【0123】
【化65】

であり、この化合物は2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル)−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオンである(代わりに6−(3,7,11,15−テトラメチルセチル)−p−プソイドクモキノン(CAS登録番号75917−94−1)と呼ばれる)。化合物IX−iは、
【0124】
【化66】

であり、この化合物は2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−2,6,10,14−ヘキサデカテトラエニル)−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオンである(代わりにトリメチル(3,7,l 1,15−テトラメチル−2,6,10,14−ヘキサデカテトラエニル)−p−ベンゾキノン(CAS登録番号65647−38−3)と呼ばれる)。
【0125】
前述の実施形態のいずれかを含めたその他の実施形態では、ミトコンドリア障害は、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん (MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される。
【0126】
前述の実施形態のいずれかを含めた別の実施形態では、ミトコンドリア障害は、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、およびフリードライヒ失調症(FA)からなる群から選択される。
【0127】
前述の実施形態のいずれかを含めた別の実施形態では、ミトコンドリア障害はフリードライヒ失調症(FRDA)である。本発明の別の実施形態では、ミトコンドリア障害はレーバー遺伝性視神経障害(LHON)である。本発明の別の実施形態では、ミトコンドリア障害は乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)である。本発明の別の実施形態では、ミトコンドリア障害はキーンズセイアー症候群(KSS)である。本発明の別の実施形態では、ミトコンドリア障害はもじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)である。本発明の別の実施形態では、ミトコンドリア障害はパーキンソン病である。
【0128】
前述の実施形態のいずれかを含めた本発明の別の実施形態では、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかの中の乳酸(乳酸塩)濃度;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかの中のピルビン酸(ピルビン酸)濃度;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかにおける乳酸/ピルビン酸比;クレアチンリン酸レベル、NADH(NADH+H)またはNADPH(NADPH+H)レベル;NADまたはNADPレベル;ATPレベル;還元型補酵素Q(CoQred)レベル;酸化型補酵素Q(CoQox)レベル;総補酵素Q(CoQtot)レベル;酸化型チトクロームCレベル;還元型チトクロームCレベル;酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比;アセト酢酸レベル;β−ヒドロキシ酪酸レベル;アセト酢酸/β−ヒドロキシ酪酸比;8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル;活性酸素種のレベル;酸素消費量(VO2)、二酸化炭素産出量(VCO2)、呼吸商(VCO2/VO2)を非限定的に含む様々なエネルギーバイオマーカーのうち1つまたは複数を調節するために、および運動不耐性を調節するために(または逆に運動耐性を調節するために)、および無酸素性作業閾値を調節するために、本明細書に記載した化合物がミトコンドリア障害を患う対象に投与される。エネルギーバイオマーカーは、全血、血漿、脳脊髄液、脳室液、動脈血、静脈血、または他の任意の体液で測定することができ、身体ガスまたは測定に有用なその他の生体試料で測定することができる。一実施形態では、そのレベルは、健康対象における値から約2標準偏差以内の値に調節される。別の実施形態では、そのレベルは、健康対象における値から約1標準偏差以内の値に調節される。別の実施形態では、対象におけるレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約10%超えるか、または下回るだけ変化する。別の実施形態では、そのレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約20%超えるか、または下回るだけ変化する。別の実施形態では、そのレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約30%超えるか、または下回るだけ変化する。別の実施形態では、そのレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約40%超えるか、または下回るだけ変化する。別の実施形態では、そのレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約50%超えるか、または下回るだけ変化する。別の実施形態では、そのレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約75%超えるか、または下回るだけ変化する。別の実施形態では、そのレベルは、調節前の対象におけるレベルから少なくとも約100%超えるか、または少なくとも約90%下回るだけ変化する。
【0129】
前述の実施形態のいずれかを含めた別の実施形態では、ミトコンドリア障害を治療もしくは抑制するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法が行われる対象は、激しい身体活動または持続する身体活動を行っている対象、慢性的なエネルギーの問題を有する対象、慢性的な呼吸の問題を有する対象、妊婦、分娩中の妊婦、新生児、未熟児、極限環境に曝されている対象、暑熱環境に曝されている対象、寒冷環境に曝されている対象、平均よりも低い酸素含量の環境に曝されている対象、平均よりも高い二酸化炭素含量の環境に曝されている対象、平均よりも高い大気汚染レベルの環境に曝されている対象、航空旅行者、旅客機の客室乗務員、高高度にいる対象、平均よりも低い大気質の都市に住む対象、空気の質が劣化している閉鎖環境で作業している対象、肺疾患を有する対象、平均よりも低い肺活量を有する対象、結核患者、肺癌患者、気腫患者、嚢胞性線維症患者、手術から回復中の対象、疾病から回復中の対象、高齢の対象、エネルギー減退を経験している高齢の対象、慢性疲労を患う対象、慢性疲労症候群を患う対象、急性外傷を受けている対象、ショック状態の対象、急性酸素投与を必要とする対象、慢性酸素投与を必要とする対象、または急性、慢性、もしくは持続的なエネルギー需要を有する、エネルギーバイオマーカーの強化から利益を受けることのできるその他の対象からなる群から選択される。
【0130】
別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容できる賦形剤、担体、またはビヒクルと組み合わせた、式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの1つまたは複数の化合物を包含する。
【0131】
別の実施形態では、本発明は、治療への式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの1つまたは複数の化合物の使用を包含する。別の実施形態では、本発明は、ミトコンドリア病の治療への式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの1つまたは複数の化合物の使用を包含する。別の実施形態では、本発明は、ミトコンドリア病の治療に使用するための薬剤の製造への、式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの1つまたは複数の化合物の使用を包含する。
【0132】
上記の化合物および方法の全てについて、キノン形態は、所望によりその還元型(ヒドロキノン)形態でもまた使用することができる。同様に、ヒドロキノン形態は、所望によりその酸化型(キノン)形態でもまた使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0133】
発明を実施するための態様
本発明は、ミトコンドリア障害の治療または抑制に有用な化合物、およびエネルギーバイオマーカーの調節のために当該化合物を使用する方法を包含する。ミトコンドリア病の治療または抑制のための酸化還元活性治療薬および関連する本発明の態様を本明細書にさらに詳細に記載する。
【0134】
「対象」、「個体」、または「患者」により、個別の生物、好ましくは脊椎動物、さらに好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0135】
本明細書に論じた化合物および方法を用いて疾患を「治療」することは、その疾患またはその疾患の1つもしくは複数の症状のいずれかを低減または除去するために、あるいはその疾患またはその疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅らせるために、あるいはその疾患またはその疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を低減するために、本明細書に論じた1つまたは複数の化合物を追加の治療剤と共にまたはその治療剤なしに投与することと定義される。本明細書に論じた化合物および方法を用いた疾患の「抑制」は、その疾患の臨床症状を抑制するために、またはその疾患の有害な症状の出現を抑制するために、本明細書に論じた1つまたは複数の化合物を追加的な治療剤と共にまたはその治療剤なしに投与することと定義される。治療および抑制の区別は、疾患の有害症状が対象に出現した後で治療が起こるが、疾患の有害症状が対象に出現する前に抑制が起こることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、または全体的であってもよい。多くのミトコンドリア障害は遺伝性であることから、その疾患のリスクがある患者を同定するために遺伝的スクリーニングを使用することができる。次に、任意の有害症状の出現を抑制するために、その疾患の臨床症状を発現するリスクがある無症候性患者に本発明の化合物および方法を投与することができる。本明細書に論じた化合物の「治療的使用」は、上に定義された疾患を治療または抑制するために、本明細書に論じた1つまたは複数の化合物を使用することと定義される。化合物の「有効量」は、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを調節、正常化、または強化するために十分な化合物の量である(ここで、調節、正常化、および増加は下に定義する)。化合物の「治療有効量」は、対象に投与した場合に、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状のいずれかを低減または除去するために、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅らせるために、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を低減するために、あるいは疾患の臨床症状を抑制するために、あるいは疾患の有害症状の出現を抑制するために十分な化合物の量である。治療有効量は、1回または複数回の投与で与えることができる。化合物の「有効量」は、治療有効量と、対象における1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを調節、正常化、または強化するために有効な量との両方を包含する。
【0136】
エネルギーバイオマーカーの「調節」またはエネルギーバイオマーカーを「調節する」ことは、エネルギーバイオマーカーのレベルを所望の値に変化させること、またはエネルギーバイオマーカーのレベルを所望の方向に変化させること(例えば増加または減少)を意味する。調節には、下に定義された正常化および強化が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0137】
エネルギーバイオマーカーの「正常化」またはエネルギーバイオマーカーを「正常化する」ことは、エネルギーバイオマーカーのレベルを病的値から正常値に変化させることと定義され、ここで、エネルギーバイオマーカーの正常値は、1)健常人もしくは健常対象におけるエネルギーバイオマーカーのレベル、または2)その人もしくは対象における1つもしくは複数の望ましくない症状を軽減するエネルギーバイオマーカーのレベルのことがある。すなわち、疾患状態において低下しているエネルギーバイオマーカーを正常化することは、正常(健常)値または望ましくない症状を軽減する値にそのエネルギーバイオマーカーのレベルを増加させることを意味し、疾患状態において上昇しているエネルギーバイオマーカーを正常化することは、正常(健常)値または望ましくない症状を軽減する値にエネルギーバイオマーカーのレベルを減少させることを意味する。
【0138】
エネルギーバイオマーカーの「強化」またはエネルギーバイオマーカーを「強化する」ことは、有益効果または所望の効果を達成するために、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを変化させて、正常値または強化前の値のいずれかから意図的に離すことを意味する。例えば、重大なエネルギー需要が対象に課される状況では、その対象におけるATPレベルを、その対象におけるATPの正常レベルを超えて増加させることが望ましいことがある。エネルギーバイオマーカーを正常化することがその対象について最適な転帰を達成しないおそれがある点で、強化は、ミトコンドリア病などの疾患または病態を患う対象における有益な効果の強化のこともまたあるが、そのような場合には、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの強化が有益なことがあり、例えば正常よりも高いレベルのATPまたは正常よりも低いレベルの乳酸(乳酸塩)は当該対象に有益なことがある。
【0139】
エネルギーバイオマーカーである補酵素Qを調節、正常化、または強化することにより、関心対象の種において主要な補酵素Q変異体を調節、正常化、または強化することを意味する。例えば、ヒトにおいて主要な補酵素Q変異体は補酵素Q10である。種または対象が、有意な量存在する(すなわち調節、正常化、または強化された場合に、その種または対照に有益効果を有しうる量で存在する)1つを超える補酵素Q変異体を有するならば、補酵素Qを調節、正常化、または強化することは、その種または対象に存在する補酵素Qの任意または全ての変異体を調節、正常化、または強化することを表すことがある。
【0140】
本明細書に記載した化合物は中性(非塩性)化合物として生じてもよいし、使用してもよいが、この説明は、本明細書に記載した化合物の全ての塩と、その化合物の当該塩を使用する方法とを包含することが意図される。一実施形態では、その化合物の塩は、薬学的に許容できる塩を含む。薬学的に許容できる塩は、ヒトおよび/または動物に薬物または医薬品として投与することのできる塩、ならびに投与したときに遊離化合物(中性化合物または非塩性化合物)の生体活性の少なくとも一部を保持する塩である。塩基性化合物の所望の塩は、その化合物を酸で処理することにより、当業者に公知の方法により調製することができる。無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸があるが、それに限定されるわけではない。有機酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸があるが、それに限定されるわけではない。アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などの、塩基性化合物とアミノ酸との塩もまた調製することができる。酸性化合物の所望の塩は、その化合物を塩基で処理することにより、当業者に公知の方法により調製することができる。酸化合物の無機塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩などのアルカリ金属塩およびアルカリ土類塩;アンモニウム塩;ならびにアルミニウム塩があるが、それに限定されるわけではない。酸化合物の有機塩の例には、プロカイン塩、ジベンジルアミン塩、N−エチルピペリジン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、およびトリエチルアミン塩があるが、それに限定されるわけではない。酸性化合物とリシン塩などのアミノ酸との塩もまた調製することができる。
【0141】
本発明は、ジアステレオマーおよび鏡像異性体を含む、化合物の全ての立体異性体もまた含む。本発明は、ラセミ混合物を非限定的に含む、任意の比の立体異性体の混合物もまた含む。立体化学が構造に明確に示されない限り、その構造は、描写された化合物の全ての可能な立体異性体を包含することが意図される。立体化学が分子の1つまたは複数の部分について明確に示され、分子の別の1つまたは複数の部分については示されていないならば、その構造は立体化学が明確に示されていない1つまたは複数の部分についての全ての可能な立体異性体を包含することが意図される。
【0142】
この化合物は、プロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグは、それ自体比較的不活性であるが、使用される対象に導入された場合に、酵素変換などの化学的課程またはin vivo生物学的過程により、活性化合物に変換する化合物誘導体である。適切なプロドラッグ製剤には、本発明の化合物のペプチド複合体および本発明の化合物のエステルがあるが、それに限定されるわけではない。適切なプロドラッグのさらなる論考は、H. Bundgaard、Design of Prodrug、ニューヨーク:Elsevier、1985年;R. Silverman、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Boston:Elsevier、2004年;R.L. Juliano(編)、Biological Approaches to the Controlled Delivery of Drugs (Annals of the New York Academy of Sciences、第507巻)、ニューヨーク:New York Academy of Sciences、1987年;およびE.B. Roche(編)、Design of Biopharmaceutical Properties Through Prodrugs and Analogs (フロリダ州オーランドでの1976年11月の国際会議のAPhA Academy of Pharmaceutical SciencesのMedicinal Chemistry Section主催シンポジウム)、ワシントン:The Academy、1977年に提供されている。
【0143】
本発明の様々な化合物、特に化合物V、Va、Vb、VI、VIa、およびVIb、ならびにそれらの様々な実施形態は、それ自体治療剤として、または体内で他の治療有効物質もしくは有効物質に変換するものであるプロドラッグとしてのいずれかで投与することができる。
【0144】
化合物の代謝物もまた本発明に包含される。しかし、α−トコフェロールキノンの代謝物などの、対象において自然に存在する物質の代謝物は、請求された本発明の化合物から除外される。
【0145】
「C〜Cアルキル」は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、n−プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、ブチル(Bu)、n−ブチル(nBu)、イソブチル(iBu)、sec−ブチル(sBu)、t−ブチル(tBu)、シクロプロピル(cyclPr)、シクロブチル(cyclBu)、シクロプロピル−メチル(cyclPr−Me)、およびメチル−シクロプロパン(Me−cyclPr)を包含することが意図され、ここでC〜Cアルキル基は、C〜Cアルキル基上の任意の結合の手を経由して結合することができる。
【0146】
「ハロゲン」または「ハロ」置換基は、フルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)、およびヨード(−I)を意味する。
【0147】
「C〜Cハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲン置換基を有する任意のC〜Cアルキル置換基を包含すると意図され、そのハロゲンはC〜Cアルキル基上の任意の結合の手を経由して結合することができる。C〜Cハロアルキルの一サブセットは、−CF、−CCl、−CBr、および−CIである。C〜Cハロアルキルの別のサブセットは、正確に1つのハロゲン置換基を有するサブセットである。C〜Cハロアルキルの別のサブセットはC〜Cペルハロアルキルのサブセット、すなわち利用できる全ての結合の手がハロゲンに置き換えられたC〜Cアルキルである。C〜Cハロアルキルの別のサブセットはC〜Cペルフルオロアルキルのサブセット、すなわち利用できる全ての結合の手がフッ素に置き換えられたアルキルである。C〜Cハロアルキルの別のサブセットはC〜Cペルクロロアルキルのサブセット、すなわち利用できる全ての結合の手が塩素に置き換えられたC〜Cアルキルである。
【0148】
本発明の方法のいずれかに使用することのできる関心対象の一化合物は、α−トコフェロールキノンである。α−トコフェロールキノン(D−α−トコフェロールキノン、α−トコフェリルキノン、2−[(3R,7R,11R)−3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル]−3,5,6−トリメチル−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン(CAS登録番号7559−04−8))の構造は、
【0149】
【化67】

である。α−トコフェロールキノンの別名はα−トコフェリルキノンである。この化合物は、R11、R12、およびR13が全てメチルの式IIbの化合物に対応する。FRDAのヒト細胞培養モデルにおいて、α−トコフェロールキノンは、FRDA患者のためのえり抜きの最新治療剤であるイデベノンの10分の1のEC50を有する(すなわち10万倍強力である)。実施例2参照。これと同じ細胞培養モデルにおいて、α−トコフェロールキノンは、一般的な形態のビタミンEであるα−D−トコフェロールすなわち(2R)−3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−[(4R,8R)−4,8,12−トリメチルトリデシル]−2H−1−ベンゾピラン−6−オールの10分の1のEC50を有する(すなわち1万倍強力である)。
【0150】
別の群の関心対象の化合物は、式IIm:
【0151】
【化68】

[式IImの図に示すように位置3、7、および11に2つの異なる配位が可能なことから、式中に立体化学の表示がないことは、この構造が8つの可能な立体異性体の全てを表すと意図されることを示すものである。式IImは、R11、R12、およびR13が全てメチルである式IIに対応する。この構造の図に包含される8つの立体異性体には、[(3R,7R,11R)−3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル]−3,5,6−トリメチル−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン);3R、7R,11S−化合物;3R,7S,11R−化合物;3S,7R,11R−化合物;3R,7S,11S−化合物;3S,7R,11S−化合物;3S,7S,11R−化合物;および3S,7S,11S−化合物がある。
式Iおよび式IIの化合物の合成
式Iおよび式IIの化合物は、様々な方法により容易に合成することができる。α−トコフェロールキノンの合成は、いくつかの参考文献、例えばUS3406188(GB1059155)およびUS4310465に詳細に述べられている。ベンゾキノン型化合物の合成は、US5229385およびUS4393075に開示されている。
【0152】
以下の方法のいくつかでは、酸化剤が使用される。合成法に使用することのできる適切な酸化剤には、硝酸アンモニウムセリウム(CAN)、FeCl、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、または大気酸素(すなわち空気酸化)があるが、それに限定されるわけではない。
【0153】
式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、およびIVbの化合物を製造するためにいくつかの方法を使用することができる。当該方法の1つは、以下の通りオキシスルホニウム転位を利用する:
【0154】
【化69】

Weichetら、Coll. Czech. Chem. Comm.31巻:4598頁(1966年)に記載されているように、出発物質である4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニルアセテート51を調製する。化合物52を調製し、Inoueら、J. Org. Chem. Soc.52巻:5495頁(1987年)にあるように化合物51および塩化スルフリルと反応させ、化合物53を得る。ラネーニッケルでイソプロピル−硫黄部分を除去し、続いて水素化アルミニウムリチウムでアセチル基を除去し、R11、R12、およびR13がメチルである式IVbに対応するヒドロキノン化合物54を得る。このヒドロキノン化合物54を塩化鉄(III)で酸化することにより(Shiraishiら、J. Med. Chem.32巻:2214〜2221頁(1989年))、R11、R12、およびR13がメチルである式IIbに対応するキノン化合物55を得る。
【0155】
51の代わりに形態:
【0156】
【化70】

の出発物質を使用することにより、I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、およびIVbの全範囲の化合物を合成することができる。(式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、およびIVbの化合物について、合成は、ラネーニッケルおよび水素化アルミニウムリチウム処理後に、FeCl酸化前に完了する。)ジヒドロキノン出発物質は、多様な工程、例えば、米国特許第3909376号、第5132468号、および第6303801号、ならびに独国特許第DE3818696号に記載された工程により調製することができ、次に、Weichetら、Coll. Czech. Chem. Comm.31巻:4598頁(1966年)にあるように上記合成のためのアセチル化ジヒドロキノン前駆体を調製することができる。
【0157】
式I、Ia、Ib、II、IIa、およびIIbの化合物を合成するための代替法は、Hubscherら、Helvetica Chimica Acta73巻:1068〜1083頁(1990年)に記載されているようなエポキシドの開環を利用する。
【0158】
【化71】

2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチルベンジルリチウム61をエポキシド化合物62と反応させ、1,4−ジメトキシベンゼン誘導体63を得る。それに続く硝酸アンモニウムセリウム(CAN)を用いた酸化により、R11、R12、およびR13がメチルである式IIbに対応する化合物64を得る。
【0159】
式I、Ia、Ib、II、IIa、およびIIbの化合物を合成する追加的な方法は、Greenら、J. Chem. Soc.(C)1422頁(1966年)およびZhengら、J. Org. Chem.64巻:156頁(1999年)を改変した手順に、以下のようなクライゼン転位を利用する。
【0160】
【化72】

アリル基を71に導入して72を得て、次に、73への転位を起こす条件にそれを供する(例えば、Zhengら、J. Org. Chem.64巻:156頁(1999年)のスキーム3に記載された方法で)。次に、(例えばパラジウム炭を用いた)73の水素化により、プロピル置換ヒドロキノン(例えば式III、IIIa、IIIb、IV、IVa、およびIVbの化合物)を得て(図示せず)、それに続きFeClを用いた酸化によりプロピル置換キノン74(例えば式I、Ia、Ib、II、IIa、およびIIbの化合物)を得る。
【0161】
式I、Ia、Ib、II、IIa、およびIIbの化合物、ならびに式V、Va、Vb、VI、VIa、およびVIbの化合物を合成する別の方法は、以下の通りアルデヒド縮合(Adelwohrerら、Tetrahedron61巻:9070頁(2005年))を利用する。
【0162】
【化73】

γ−トコフェロール化合物81から開始して、縮合ジオキサン−クロマン化合物82を形成させる。パラジウム炭を用いた水素化により、クロマン化合物83(例えば、式V、Va、Vb、VI、VIa、およびVIbの化合物)を得るが、その次の硝酸アンモニウムセリウム(CAN)酸化により、キノン化合物(例えば、式I、Ia、Ib、II、IIa、およびIIbの化合物)を得る。
【0163】
式:
の化合物を合成する方法は、
【0164】
【化74】

[式中、デュロキノン91を3,6−ジメトキシ−1,2,4,5−テトラメチル−1,4−シクロヘキサジエン92に変換するための化学反応は、Thomasら、Journal of Organic Chemistry51巻(22):4160頁(1986年)に記載され、3,6−ジメトキシ−1,2,4,5−テトラメチル−1,4−シクロヘキサジエン92を3,6−ジメトキシ−1−メチレンリチウム−2,4,5−トリメチル−1,4−シクロヘキサジエン中間体93に変換するための化学反応は、Hubscherら、Helvetica Chimica Acta73巻(4):1068頁(1990年)に記載され、3,6−ジメトキシ−1−アルキル−2,4,5−トリメチル−1,4−シクロヘキサジエン94を2−アルキル3,5,6−トリメチル−1,4−ベンゾキノン95に変換するための化学反応は、Shiraishiら、Journal of Medicinal Chemistry32巻(9):2214頁(1989年)に記載されている。この合成を容易に変更して、式IIm:
【0165】
【化75】

の化合物を、以下の中間体:
【0166】
【化76】

[式中、PGは、メチルメトキシメチル(MOM)基またはメトキシエトキシメチル(MEM)基などの保護基を示す]を使用することにより生産することができる。この反応および本明細書に記載したその他の反応についてのその他の適切な保護基は、Theodora W. GreeneおよびPeter G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、ホーボーケン、ニュージャージー州: Wiley−Interscience、1999年によるテキストに詳細に述べられている。
【0167】
式95の化合物を製造する別の方法は以下の通りである:
【0168】
【化77】

[ここで、1,4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルベンゼン100を2,3,5−トリメチル−1,4−ベンゾキノン101に変換する化学反応は、Pelterら、J. Chem. Soc、Perkin Trans.1巻、(16)、1891頁(1993年)に記載され、ベンゾキノン化合物102を2−アルキル3,5,6−トリメチル−1,4−ベンゾキノン95に変換する化学反応は、Fieserら、Journal of the American Chemical Society64巻(9):2060頁(1942年)に記載され、塩化アルカノイル103をジアルカノイルペルオキシド104に変換する化学反応は、Silbertら、Journal of the American Chemical Society81巻(10):2364頁(1959年)に記載されている。塩化アルカノイル106
【0169】
【化78】

は、この経路を介して式IImの化合物を調製するために使用することができる。式Iおよび式IIの化合物は、適切な1,4−ジヒドロキシ−2,3,5−置換−1,4−ベンゾキノンから開始し、中間体106を使用することにより、この経路を介して調製することができる。
【0170】
キノン環にハロゲン置換基を有する本発明の化合物を製造するために適した方法を以下に示す。(さらなる情報についてはFujishimaら、Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem.329巻:27〜34頁(1996年)を参照されたい)。
【0171】
【化79】

亜ジチオン酸ナトリウムで2,6−ジメチルキノン111をヒドロキノン112に還元し、それを次に3,7,11,15−テトラメチル−3−ヒドロキシ−1−ヘキサデセン113およびZnClと反応させて、6−クロマノール114を形成させる。保護された中間体115への変換に続いて、Brおよびトリフルオロ酢酸銀で臭素化し、臭化物116を形成させる。最終的に、硝酸アンモニウムセリウム(CAN)で116を脱保護し、酸化して117を得る。
【0172】
以下のスキームに概略される手順を使用して、キノン環にヨウ素を導入することができる(さらなる情報についてはKumadaki, I.ら Synthetic Communications19巻:173〜177頁(1989年)を参照されたい)。
【0173】
【化80】

保護されたクロマノール120をIおよびトリフルオロ酢酸銀で処理し、ヨウ素化誘導体121を得、続いて硝酸アンモニウムセリウムで脱保護/酸化して122を得る。
【0174】
式I、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII、式VIII、式IX、式X、式XI、または式XIIのニトリル含有化合物(式の全ての変形を含む)を合成するために適した方法を以下のスキームに示す。このスキームは、α−トコフェロールから開始し、シアノ−置換キノンに終わる合成を図示しているが、2−メチル基および3−メチル基の代わりに適切な基と適切な尾部基とを使用することにより、本発明のその他の化合物に容易に一般化することができる。
【0175】
【化81】

α−トコフェロール131から、アセテート保護6−ヒドロキシ基を有する5−ブロモメチル誘導体132への変換に続いて、無水N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)を用いてアルデヒド中間体133への酸化を行う合成は、Mazziniら、Tetrahedron813〜817頁(2005年)に記載されている。次に、ヒドロキシルアミンを使用してオキシム134を形成させ、続いて無水酢酸を用いてオキシムの脱水反応を行い(例えばOrganic Syntheses、コレクション3巻、690頁(1955年);コレクション20巻、74頁(1940年)を参照されたい)、135を得る。アセテート保護基の除去および硝酸アンモニウムセリウム(CAN)を用いた酸化により、136を得る。
【0176】
式I、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII、式VIII、式IX、式X、式XI、または式XIIのニトリル含有化合物(その式の全ての変形を含む)を合成するために適した別の方法を以下のスキームに示す。このスキームは、キノン環上にハロゲン置換基を有する本発明の化合物を製造するための上に示した合成の1つからの中間体114から開始する。
【0177】
【化82】

トリフルオロ酢酸中で化合物114をトリメチルシリルシアニドおよびトリフルオロメタンスルホン酸で処理してホルミル基を導入する結果、化合物142が生じる。フェノール基を保護し、ヒドロキシルアミンを使用してアルデヒド化合物142をオキシム化合物143に変換する。ニトリル144を得るためのオキシムの脱水反応に続いて、脱保護および酸化を行って、145を形成させることができる。あるいは、144を脱保護して6−クロマノール型化合物を得ることができる。(さらなる情報についてはFujishimaら、Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem.329巻:27〜34頁(1996年)を参照されたい)。
【0178】
位置異性体157
【0179】
【化83】

は、以下のスキームに概略するようにDeanら、Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1:Organic and Bio−Organic Chemistry、(5巻)1437〜42頁(1981年)に記載されている化合物9の合成に類似した方法で、位置異性体154
【0180】
【化84】

を合成することにより調製することができる。
【0181】
【化85】

【0182】
【化86】

式IIIおよび式IVの化合物の合成
式IIIおよび式IVの化合物は、「頭部基」が1,4−ベンゾキノンの代わりにベンゼン−1,4−ジオール部分である以外は、式Iおよび式IIの化合物と同様である。すなわち、式IIIおよびIVの頭部基は、式IおよびIIの頭部基の還元形態である。したがって、式IIIおよびIVの化合物は、式IおよびIIの化合物の単純な還元により容易に調製することができる。この還元は、当技術分野で周知のように、化学的(例えばNaを用いて)または電気化学的に行うことができる。
式Vおよび式VIの化合物の合成
式Vおよび式VIの化合物は、Omura、J. Org. Chem.54巻:1987頁(1989年)に論じられたように以下の手順により合成することができる。
【0183】
【化87】

形態ROHのアルコールを使用することにより、図示したメトキシ基導入と同様の方法で他のアルコキシ基を導入することができる。代替的な合成は、Goodhueら、Biochemistry4巻:854頁(1965年)に記載されている。
【0184】
対応するヒドロキシ化合物(一般式Vおよび一般式VIの化合物についてR=H)は、アセトニトリル/水混合物中でのテトラクロロ−o−キノンを用いたα−トコフェロールの酸化を伴うDurckheimerら、J. Am. Chem. Soc.86巻:4388頁(1964年)に記載された手順により合成することができる:
【0185】
【化88】

式Vおよび式VIの化合物は、以下のようにROH(ROHは例えばメタノールのことがある)の存在下でベンゼン中でp−トルエンスルホン酸を用いて式Iまたは式IIの化合物を処理することによってもまた合成することができる(Cohenら、J. Org. Chem. 46巻:2445頁(1981年)の変形)。
【0186】
【化89】

式VII−i、式VIII−i、および式IX−iの化合物
式VII−iの化合物に関する情報は、以下の刊行物に見い出すことができる:US2004/0116715;Storozhokら、Biomeditsinskaya Khimiya(2003年)、49巻(1)、96〜104頁;Bertalanら、Olaj, Szappan, Kozmetika(2000年)、49巻(Kulonszam)、40〜45頁;Dompertら、Fette, Seifen, Anstrichmittel(1976年)78巻(3)、108〜11頁;Berndorfer−Krasznerら、Elelmezesi Ipar(1971年)、25巻(11)、339〜45頁;およびWhittleら、Biochemical Journal(1967年)103巻(3)、21C〜22C頁。
【0187】
式VIII−iの化合物に関する情報は、以下の刊行物に見い出すことができる:JP 58−193689;Mahmoodら、Phytochemistry(Elsevier)(1984年)、23巻(8)、1725〜7頁;Hughesら、Journal of Biological Chemistry(1980年)、255巻(24)、11802〜6頁;Deuelら、Journal of Biological Chemistry(1941年)、139巻、479〜80頁;およびTishlerら、Journal of Biological Chemistry(1941年)、139巻、241〜5頁。この化合物の立体異性体の混合物に至る合成経路については下の実施例1(実施例1A)を参照されたい。
【0188】
式VIX−iの化合物に関する情報は、以下の刊行物に見い出すことができる:JP2003−137716およびJP52−111576。この化合物の立体異性体の混合物に至る合成経路については下の実施例1(実施例1B)を参照されたい。
キノン、ジヒドロキノン形態の相互変換性
本明細書に開示されたキノンおよびジヒドロキノン型の化合物は、適切な試薬で容易に相互変換される。例えば、亜ジチオン酸ナトリウムなどの還元剤で、キノン形態の化合物をジヒドロキノン形態に還元することができる。硝酸アンモニウムセリウムまたは塩化第二鉄などの酸化剤で、ヒドロキノン形態をキノン形態に酸化することができる。当技術分野で周知のように、キノンおよびヒドロキノン形態もまた電気化学的に容易に変換することができる。例えば、Streitweiser & Heathcock、Introduction to Organic Chemistry、ニューヨーク;Macmillan、1976年の33.4節を参照されたい。
【0189】
本発明の化合物がキノンまたはヒドロキノン形態として描かれる場合には、特異的な型が意図される。しかし、キノン形態が描かれ、句「その還元対応物」または「還元型」などが続く場合には、構造およびその後の句は、キノンおよびヒドロキノンの両方を包含することが意図される。同様に、ヒドロキノン形態が描かれ、続いて句「その酸化対応物」または「その酸化型」などが続く場合には、構造およびその後の句は、ヒドロキノンおよびキノンの両方を包含することが意図される。
本発明の化合物および方法を用いて治療または抑制しやすい疾患
多様な疾患が、ミトコンドリア障害およびエネルギー処理障害により起きるか、または増悪すると考えられ、本発明の化合物および方法を使用し、それらの疾患を治療または抑制することができる。当該疾患には、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON、レーバー病、レーバー視神経萎縮(LOA)、またはレーバー視神経症(LON)とも呼ばれる)、リー病またはリー症候群、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症(心筋症および脳筋症を含む)、および尿細管性アシドーシスなどの遺伝性ミトコンドリア病;パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルーゲーリッグ病とも知られている)、運動ニューロン疾患などの神経変性疾患;てんかんなどのその他の神経系疾患;アシドーシスなどの遺伝性疾患;パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルーゲーリッグ病とも知られている)、運動ニューロン疾患などの神経変性疾患;てんかんなどのその他の神経系疾患;ハンチントン病などの遺伝性疾患(神経系疾患でもある);統合失調症および双極性障害などの気分障害;およびある種の加齢関連疾患、特に黄斑変性、糖尿病、ならびに癌などの、CoQ10が治療に提案されている疾患があるが、それに限定されるわけではない。
ミトコンドリア機能不全および治療の有効性の臨床判定
ミトコンドリア障害を有する患者の代謝状態を判定するために、いくつかの容易に測定できる臨床マーカーが使用される。マーカーのレベルが病的値から健常値に移動するときに、これらのマーカーは与えられた治療法の有効性の指標としても使用することができる。これらの臨床マーカーには、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかの中の乳酸(乳酸塩)濃度;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかの中のピルビン酸(ピルビン酸塩)濃度;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかにおける乳酸/ピルビン酸比;クレアチンリン酸レベル、NADH(NADH+H)またはNADPH(NADPH+H)レベル;NADまたはNADPレベル;ATPレベル;無酸素性作業閾値;還元型補酵素Q(CoQred)レベル;酸化型補酵素Q(CoQox)レベル;総補酵素Q(CoQtot)レベル;酸化型チトクロームCレベル;還元型チトクロームCレベル;酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比;アセト酢酸レベル;β−ヒドロキシ酪酸レベル;アセト酢酸/β−ヒドロキシ酪酸比;8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル;活性酸素種のレベル;ならびに酸素消費量(VO2)のレベル、二酸化炭素産出量(VCO2)のレベル、および呼吸商(VCO2/VO2)などのこれまでに論じたエネルギーバイオマーカーの1つまたは複数があるが、それに限定されるわけではない。これらの臨床マーカーのうちいくつかは、運動生理学の研究室で日常的に測定され、対象の代謝状態を便利に判定する。本発明の一実施形態では、フリードライヒ失調症、レーバー遺伝性視神経障害、MELAS、またはKSSなどのミトコンドリア病を患う患者における1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルは、健常対象における平均レベルから2標準偏差内に改善する。本発明の別の実施形態では、フリードライヒ失調症、レーバー遺伝性視神経障害、MELAS、またはKSSなどのミトコンドリア病を患う患者における1つまたは複数のこれらのエネルギーバイオマーカーのレベルは、健常対象における平均レベルから1標準偏差内に改善する。運動不耐性もまた、与えられた治療の有効性の指標として使用することができ、ここで、運動耐性の改善(すなわち運動不耐性の減少)は、与えられた治療法の有効性を示す。
【0190】
いくつかの代謝バイオマーカーは、すでにCoQ10の有効性を評価するために使用されており、これらの代謝バイオマーカーは、本発明の方法に使用するためのエネルギーバイオマーカーとしてモニターすることができる。グルコースの嫌気的代謝産物であるピルビン酸は、嫌気的状況で、または機能的ミトコンドリア呼吸鎖に依存する酸化的代謝により乳酸に還元されることにより除去される。呼吸鎖の機能不全は、循環からの乳酸およびピルビン酸の不完全な除去に至るおそれがあり、ミトコンドリア細胞症では乳酸/ピルビン酸比の上昇が観察される(Scriver CR、The metabolic and molecular bases of inherited disease、第7版、ニューヨーク:McGraw−Hill、Health Professions Division、1995年;およびMunnichら、J. Inherit. Metab. Dis. 15巻(4):448〜55頁(1992年)参照)。したがって、血中ラクテート/ピルベート比(Chariotら、Arch. Pathol. Lab. Med.118巻(7):695〜7頁(1994年))は、ミトコンドリア細胞症(再度Scriver CR、The metabolic and molecular bases of inherited disease、第7版、ニューヨーク:McGraw−Hill、Health Professions Division、1995年;およびMunnichら、J. Inherit. Metab. Dis.15巻(4):448〜55頁(1992年)参照)および中毒性ミトコンドリア筋症(Chariotら、Arthritis Rheum.37巻(4):583〜6頁(1994年))の検出のための非侵襲検査として広く使用されている。肝臓ミトコンドリアの酸化還元状態の変化は、動脈血中ケトン体比(アセト酢酸/3−ヒドロキシ酪酸:AKBR)を測定することにより研究することができる(Uedaら、J. Cardiol.29巻(2):95〜102頁(1997年))。8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)の尿中排泄は、多くの場合、臨床状況および職業状況におけるROS誘導性DNA損傷の修復度を判定するためのバイオマーカーとして使用されてきた(Erholaら、FEBS Lett.409巻(2):287〜91頁(1997年);Hondaら、Leuk. Res.24巻(6):461〜8頁(2000年); Pilgerら、Free Radic. Res.35巻(3):273〜80頁(2001年);Kimら、Environ Health Perspect112巻(6):666〜71頁(2004年))。
【0191】
磁気共鳴分光法(MRS)は、プロトンMRS(1H−MRS)を使用して脳脊髄液(CSF)および皮質白質の乳酸の上昇を実証することにより、ミトコンドリア細胞症の診断に有用であった(Kaufmannら、Neurology62巻(8):1297〜302頁(2004年))。リンMRS(31P−MRS)は、低レベルの皮質クレアチンリン酸(PCr)(Matthewsら、Ann. Neurol.29巻(4):435〜8頁(1991年))、および骨格筋の運動後のPCrの回復動態の遅延を実証するために使用されてきた(Matthewsら、Ann. Neurol.29巻(4):435〜8頁(1991年);Barbiroliら、J. Neurol.242巻(7):472〜7頁(1995年);Fabriziら、J. Neurol. Sci.137巻(1):20〜7頁(1996年))。直接生化学的測定により、低い骨格筋PCrはミトコンドリア細胞症を有する患者にもまた確認された。
【0192】
運動試験は、ミトコンドリア筋症における評価およびスクリーニング手段として特に役に立つ。ミトコンドリア筋症の顕著な特徴の1つは、全身の最大酸素消費量(VO2max)の減少である(Taivassaloら、Brain126巻(第2部):413〜23頁(2003年))。VO2maxが心拍出量(Qc)および末梢酸素摂取(動静脈総酸素含量)の較差により決定されるとすると、一部のミトコンドリア細胞症は、送達を変化させるおそれのある心機能に影響するが、大部分のミトコンドリア筋症は末梢酸素摂取(A−VO2較差)の特徴的な欠損および酸素送達の強化(過剰拍動性循環(hyperkinetic circulation))を示す(Taivassaloら、Brain126巻(第2部):413〜23頁(2003年))。これは、AVバランスの直接測定を用いて(Taivassaloら、Ann.Neurol.51巻(1):38〜44頁(2002年))、および近赤外分光法により非侵襲的に(Lynchら、Muscle Nerve25巻(5):664〜73頁(2002年);van Beekveltら、Ann. Neurol.46巻(4):667〜70頁(1999年))、静脈血の運動誘導性脱酸素反応の欠如により実証することができる。
【0193】
これらのエネルギーバイオマーカーのいくつかを、以下のようにさらに詳細に論じる。ある種のエネルギーバイオマーカーを本明細書に論じ、列挙するが、本発明は、これらの列挙したエネルギーバイオマーカーのみの調節、正常化、またや強化に限定されないことを強調すべきである。
【0194】
乳酸(乳酸塩)レベル:ミトコンドリア機能不全は、典型的には異常レベルの乳酸を生じる。それは、ピルビン酸レベルが増加して、解糖能を維持するためにピルビン酸が乳酸に変換されるからである。ミトコンドリア機能不全は、異常レベルのNADH+H、NADPH+H+、NAD、またはNADPもまた生じるおそれがある。それは、減少したニコチンアミドアデニンジヌクレオチドが呼吸鎖により効率的に処理されないからである。乳酸濃度は、全血、血漿、または脳脊髄液などの適切な体液の試料を採取することにより測定することができる。磁気共鳴を使用して、脳などの、所望の身体の実質的に任意の体積中の乳酸濃度を測定することができる。
【0195】
MELAS患者における磁気共鳴を使用した脳乳酸アシドーシスの測定は、Kaufmannら、Neurology62(8):1297(2004)に記載されている。MELASを生じる2つの突然変異A3243GおよびA8344Gについて、脳の側脳室中の乳酸濃度の値が提示されている。全血、血漿、および脳脊髄液の乳酸濃度は、YSI2300 STAT Plusグルコースおよび乳酸分析装置(YSI Life Sciences、オハイオ州)などの市販されている装置により測定することができる。
【0196】
NAD、NADP、NADH、およびNADPHレベル:NAD、NADP、NADH (NADH+H)またはNADPH(NADPH+H)の測定は、多様な蛍光技法、酵素技法、または電気化学的技法、例えばUS2005/0067303に記載されている電気化学的アッセイにより測定することができる。
【0197】
酸素消費量(vOまたはVO2)、二酸化炭素排出量(vCOまたはVCO2)、および呼吸商(VCO2/VO2):vOは、通常は安静時(安静時vO)または最大運動強度で(vOmax)のいずれかで測定される。最適には、両方の値が測定されるものである。しかし、重度障害患者についてはvOmaxの測定は非実際的なことがある。両方の型のvOの測定は、多様な供給元、例えばKorr Medical Technologies,Inc.(ソルトレークシティ、ユタ州)からの標準的な装置を使用して容易に実現される。VCO2もまた容易に測定することができ、同条件でのVCO2とVO2との比(VCO/VO2、安静時または最大運動強度でのいずれか)は呼吸商(RQ)を与える。
【0198】
酸化型チトクロームC、還元型チトクロームC、および酸化型チトクロームCと還元型チトクロームCとの比:酸化型チトクロームCレベル(CytCox)、還元型チトクロームCレベル(CytCred)、および酸化型チトクロームC/還元型チトクロームCの比(CytCox)/(CytCred)などのチトクロームCのパラメーターは、in vivo近赤外分光法により測定することができる。例えば、Rolfe、P.「In vivo near−infrared spectroscopy」Annu. Rev. Biomed. Eng.2巻:715〜54頁(2000年)およびStrangmanら、「Non−invasive neuroimaging using near−infrared light」Biol. Psychiatry52巻:679〜93頁(2002年)を参照されたい。
【0199】
運動耐性/運動不耐性:運動不耐性は、「呼吸困難または疲労の症状が原因の大きな骨格筋の動的運動を伴う活動を行う能力の減少」と定義される(Pinaら、Circulation107:1210(2003))。運動不耐性は、筋組織の破壊およびそれに続く尿への筋ミオグロビンの排泄が原因のミオグロビン尿症を併発することが多い。消耗するまでにトレッドミル上でウォーキングまたはランニングに費やした時間、消耗するまでにエクササイズバイク(静置自転車)の上で費やした時間などの、運動不耐性の様々な尺度を使用することができる。本発明の化合物または方法を用いた治療は、運動耐性の約10%以上の改善(例えば消耗するまでの時間の約10%以上の、例えば10分から11分への増加)、運動耐性の約20%以上の改善、運動耐性の約30%以上の改善、運動耐性の約40%以上の改善、運動耐性の約50%以上の改善、運動耐性の約75%以上の改善、または運動耐性の約100%以上の改善を招くことができる。厳密に言うと、運動耐性はエネルギーバイオマーカーではないが、本発明のために、エネルギーバイオマーカーの調節、正常化、または強化には、運動耐性の調節、正常化、または強化が含まれる。
【0200】
同様に、ピルビン酸(ピルビン酸塩)レベル、乳酸/ピルビン酸比、ATPレベル、無酸素性作業閾値、還元型補酵素Q(CoQred)レベル、酸化型補酵素Q(CoQox)レベル、総補酵素Q(CoQtot)レベル、酸化型チトクロームCレベル、還元型チトクロームCレベル、酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比、アセト酢酸レベル、β−ヒドロキシ酪酸レベル、アセト酢酸/β−ヒドロキシ酪酸比、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル、および活性酸素種のレベルの正常値および異常値のための検査は当技術分野において公知であり、その検査を使用して、本発明の化合物および方法の有効性を評価することができる。(本発明のために、エネルギーバイオマーカーの調節、正常化、または強化には、無酸素性作業閾値の調節、正常化、または強化が含まれる。)
次の表1は、様々な機能不全が生化学バイオマーカーおよびエネルギーバイオマーカーに及ぼしうる作用を示している。この表は、典型的には与えられた機能不全に伴う物理作用(疾患の症状または機能不全の他の作用など)もまた示す。他の箇所に列挙したエネルギーバイオマーカーに加えて、この表に挙げたエネルギーバイオマーカーのうち任意のものもまた、本発明の化合物および方法により調節、強化、または正常化できることに留意すべきである。RQ=呼吸商、BMR=基礎代謝率、HR(CO)=心拍数(心拍出量)、T=体温(好ましくは核心温度として測定されたもの)、AT=無酸素性作業閾値、pH=血液pH(静脈および/または動脈)。
【0201】
【表1】

本発明の方法による、ミトコンドリア病に悩む対象の治療は、対象における症状の減少または軽減の誘導を招いて、例えばその障害のさらなる進行を止めることができる。
【0202】
ミトコンドリア病の部分または完全抑制は、その対象がさもなければ経験するであろう1つまたは複数の症状の重症度の減少を招くことができる。例えば、MELASの部分抑制は、生じる脳卒中様またはけいれんの発症数の減少を招くことができるであろう。
【0203】
本明細書に記載したエネルギーバイオマーカーの任意の1つまたは任意の組み合わせは、治療または抑制療法の有効性を判断するための、好都合に測定できるベンチマークとなる。さらに、その他のエネルギーバイオマーカーは当業者に公知であり、治療または抑制療法の有効性を評価するためにそのバイオマーカーをモニターすることができる。
エネルギーバイオマーカーの調節のための化合物の使用
ミトコンドリア病の治療または抑制の状態を判定するためにエネルギーバイオマーカーをモニターすることに加えて、本発明の化合物を対象または患者に使用して、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを調節することができる。エネルギーバイオマーカーの調節は、対象におけるエネルギーバイオマーカーを正常化するために行うことができるし、対象におけるエネルギーバイオマーカーを強化するために行うこともできる。
【0204】
1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの正常化は、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルが正常レベル(すなわち健常対象におけるレベル)と病的な差を示している対象において、1つもしくは複数の当該エネルギーバイオマーカーのレベルを正常レベルもしくは正常に近いレベルに回復すること、または1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを変化させて、対象における病的症状を軽減することのいずれかと定義される。エネルギーバイオマーカーの性質に応じて、当該レベルは、正常値を超えるか、または下回るかのいずれかの測定値を示すことがある。例えば、病的乳酸レベルは、典型的には正常(すなわち健常)人における乳酸レベルよりも高く、そのレベルの減少が望ましいことがある。病的ATPレベルは、典型的には正常(すなわち健常)人におけるATPレベルよりも低く、そのATPレベルの増加が望ましいことがある。したがって、エネルギーバイオマーカーの正常化は、対象における正常値から少なくとも約2標準偏差内に、さらに好ましくは対象における正常値から少なくとも約1標準偏差内に、正常値から少なくとも約2分の1標準偏差内に、または正常値から少なくとも約4分の1標準偏差内にエネルギーバイオマーカーのレベルを回復させることを含むことがある。
【0205】
あるエネルギーバイオマーカーのレベルを増加させて、1つまたは複数の当該エネルギーバイオマーカーを正常化することが望ましい場合には、本発明に記載の1つまたは複数の化合物の投与により、そのエネルギーバイオマーカーのレベルを対象における正常値から少なくとも約2標準偏差内に増加させることができ、さらに好ましくは対象における正常値から少なくとも約1標準偏差内に、正常値から少なくとも約2分の1標準偏差内に、または正常値から少なくとも約4分の1標準偏差内に増加させることができる。あるいは、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約10%だけ超えて、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約20%だけ超えて、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約30%だけ超えて、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約40%だけ超えて、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約50%だけ超えて、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約75%だけ超えて、または投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルを少なくとも約100%だけ超えて増加させることができる。
【0206】
1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを減少させて、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化することが望ましい場合には、本発明に記載の1つまたは複数の化合物の投与により、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを対象における正常値から少なくとも約2標準偏差内のレベルに減少させることができ、さらに好ましくは対象における正常値から少なくとも約1標準偏差内に、正常値から少なくとも約2分の1標準偏差内に、または正常値から少なくとも約4分の1標準偏差内に減少させることができる。あるいは、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約10%だけ下に、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約20%だけ下に、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約30%だけ下に、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約40%だけ下に、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約50%だけ下に、投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約75%だけ下に、または投与前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約90%だけ下に減少させることができる。
【0207】
1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルの強化は、対象に有益効果または所望の効果を与えるレベルに、対象における1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの実在のレベルを変化させることと定義される。例えば、登山などの激しい作業または持続する活発な身体活動を行っている者は、ATPレベルの増加または乳酸レベルの減少から利益を受けることができるであろう。上記のように、エネルギーバイオマーカーの正常化は、ミトコンドリア病を有する対象について最適な状態を達成できないおそれがあり、当該対象もまた、エネルギーバイオマーカーの強化から利益を受けることができる。1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベル強化から利益を受けることができるであろう対象の例には、激しい身体活動もしくは持続する身体活動を行っている対象、慢性的なエネルギーの問題を有する対象、または慢性的な呼吸の問題を有する対象が含まれるが、それに限定されるわけではない。当該対象には、妊婦、特に分娩中の妊婦;新生児、特に未熟児;極限環境、例えば暑熱環境(日常的に1日約4時間以上華氏約85〜86度またはセ氏約30度を超える温度)、寒冷環境(日常的に1日約4時間以上華氏約32度またはセ氏約0度未満の温度)、もしくは平均よりも低い酸素含量の環境、平均よりも高い二酸化炭素含量の環境、もしくは平均よりも高い大気汚染レベルの環境などに曝されている対象(航空旅行者、旅客機の客室乗務員、高高度にいる対象、平均よりも低い大気質の都市に住む対象、空気の質が劣化している閉鎖環境で作業している対象);肺疾患もしくは平均よりも低い肺活量を有する対象、例えば結核患者、肺癌患者、気腫患者、および嚢胞性線維症の患者;手術もしくは疾病から回復中の対象;エネルギー減退を経験している高齢の対象を含む高齢の対象;慢性疲労症候群を含む慢性疲労を患う対象;急性外傷を受けている対象;ショック状態の対象;急性酸素投与を必要とする対象;慢性酸素投与を必要とする対象;または急性、慢性、もしくは持続的なエネルギー需要を有する、エネルギーバイオマーカーの高まりから利益を受けることのできるその他の対象があるが、それに限定されるわけではない。
【0208】
したがって、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルの増加が対象に有益である場合には、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの強化は、それぞれの1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを、正常値よりも少なくとも約4分の1標準偏差超えて、正常値よりも少なくとも約2分の1標準偏差超えて、正常値よりも少なくとも約1標準偏差超えて、または正常値よりも少なくとも約2標準偏差超えて増加させることを含むことがある。あるいは、1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約10%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約20%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約30%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約40%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約50%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約75%だけ、または強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約100%だけ増加させることができる。
【0209】
1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを減少させて、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化することが望ましい場合には、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを、対象の正常値よりも少なくとも約4分の1標準偏差の量だけ減少させることができ、対象の正常値よりも少なくとも約2分の1標準偏差だけ、対象の正常値よりも少なくとも約1標準偏差だけ、または対象の正常値よりも少なくとも約2標準偏差だけ減少させることができる。あるいは、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーのレベルを、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約10%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約20%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約30%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約40%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約50%だけ、強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約75%だけ、または強化前のそれぞれの1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーのその対象のレベルよりも少なくとも約90%だけ減少させることができる。
研究応用、実験系、およびアッセイへの化合物の使用
本発明の化合物は、研究応用に使用することもまたできる。例えば、α−トコフェロールキノンをin vitro、in vivo、またはex vivo実験に使用して、実験系における1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを調節することができる。当該実験系は、細胞試料、組織試料、細胞成分もしくは細胞成分の混合物、部分器官、器官全体、または生物のことがある。式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの任意の1つまたは複数の化合物を実験系または研究応用に使用することができる。当該研究応用には、アッセイ試薬としての使用、生化学経路の解明、または本発明の1つもしくは複数の化合物の存在/不在下で他の薬剤が実験系の代謝状態に及ぼす効果の評価がありうるが、それに限定されるわけではない。
【0210】
さらに、本発明の化合物は、生化学検査またはアッセイに使用することができる。当該検査には、本発明の1つまたは複数の化合物の投与に対する対象の潜在的応答(または対象の特異的サブセットの応答)を評価するために、または本発明のどの化合物が特異的な対象もしくは対象のサブセットに最適な効果を生じるかを判定するために、対象由来の組織または細胞試料と共に前記1つまたは複数の化合物をインキュベートすることを含むことがある。当該検査またはアッセイの1つは、1)1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの調節をアッセイすることができる、対象由来の細胞試料または組織試料を得ること、2)その細胞試料または組織試料に本発明の1つまたは複数の化合物を投与すること、および3)その1つまたは複数の化合物の投与後に、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの調節の量を、その1つまたは複数の化合物の投与前のエネルギーバイオマーカーの状態に比べて決定することを伴うであろう。別の当該検査またはアッセイは、1)1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの調節をアッセイすることができる、対象由来の細胞試料または組織試料を得ること、2)その細胞試料または組織試料に本発明の少なくとも2つの化合物を投与すること、3)その少なくとも2つの化合物の投与後に、その1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーの調節の量を、その少なくともの化合物の投与前のエネルギーバイオマーカーの状態に比べて決定すること、および4)ステップ3)で決定された調節の量に基づき、治療、抑制、または調節に使用するための化合物を選択することを伴うであろう。
薬学的製剤
本明細書に記載した化合物は、薬学的に許容できる賦形剤、薬学的に許容できる担体、および薬学的に許容できるビヒクルなどの添加剤と共に製剤することにより医薬組成物として製剤することができる。薬学的に許容できる適切な賦形剤、担体、およびビヒクルには、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低融点ロウ、イオン交換樹脂など、およびその任意の2つ以上の組み合わせなどの加工剤および薬物送達調節剤および促進剤がある。その他の適切な薬学的に許容できる賦形剤は、参照により本明細書に組み込まれている「Remington’s Pharmaceutical Sciences」Mack Pub. Co.、ニュージャージー(1991年)および「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」Lippincott Williams & Wilkins、フィラデルフィア、第20版(2003年)および第21版(2005年)に記載されている。
【0211】
医薬組成物は単位量製剤を含むことがあり、単位量は、治療効果もしくは抑制効果を有するために十分な用量、またはエネルギーバイオマーカーを調節、正常化、もしくは強化するために有効な量である。単位量は、治療効果もしくは抑制効果を有するために1回量として、またはエネルギーバイオマーカーを調節、正常化、もしくは強化するために有効な量として十分であってもよい。あるいは、単位量は、障害の治療もしくは抑制過程で、またはエネルギーバイオマーカーを調節、正常化、または強化するために定期的に投与される用量であってもよい。
【0212】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、例えば液剤、懸濁剤、または乳剤を含む、意図された投与法に適した任意の形態であってもよい。液体担体は、典型的には液剤、懸濁剤、および乳剤の調製に使用される。本発明の実施に使用するために考慮されている液体担体には、例えば、水、食塩水、薬学的に許容できる有機溶媒、薬学的に許容できる油または脂肪など、およびその2つ以上の混合物がある。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、栄養素、緩衝剤、保存料、懸濁化剤、粘稠化剤、粘度調整剤、安定化剤などのその他の適切な薬学的に許容できる添加剤を含有してもよい。適切な有機溶媒には、例えばエタノールなどの1価アルコールおよびグリコールなどの多価アルコールがある。適切な油には、例えば、大豆油、ヤシ油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油などがある。非経口投与のために、担体は、エチルオレエート、イソプロピルミリステートなどの油性エステルのこともある。本発明の組成物は、微粒子、マイクロカプセル、リポソーム封入物など、およびその任意の2つ以上の組み合わせの形態のこともまたある。
【0213】
例えば、「Treatise on Controlled Drug Delivery」、A. Kydonieus編、Marcel Dekker, Inc.、ニューヨーク、1992年の中のLee、「Diffusion−Controlled Matrix Systems」、155〜198頁ならびにRonおよびLanger、「Erodible Systems」、199〜224頁に記載されているように、拡散制御マトリックスシステムまたは侵食システム(erodible system)などの徐放送達システムまたは制御放出送達システムを使用することができる。例えばそのマトリックスは、例えば加水分解または例えばプロテアーゼによる酵素的開裂によりin situおよびin vivoで自然分解することができる生分解性材料であってもよい。例えばその送達システムは、例えばヒドロゲルの形態の天然または合成のポリマーまたはコポリマーであってもよい。開裂できる結合を有するポリマーの例には、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、多糖、ポリホスホエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(イミドカーボネード)、およびポリホスファゼンがある。
【0214】
本発明の化合物は、所望により従来の無毒性の薬学的に許容できる担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する単位投薬量製剤に入れて、経腸で、経口で、非経口で、舌下に、吸入により(例えばミストまたはスプレーとして)、直腸に、または局所に投与してもよい。例えば、適切な投与方式には、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオントフォレーシス、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内(例えば鼻粘膜を介して)、硬膜下、直腸内、消化管など、および特異的器官または患部の器官または組織への直接投与がある。中枢神経系への送達のためには、脊髄および硬膜外投与、または脳室への投与を使用することができる。局所投与は、経皮パッチまたはイオントフォレーシス装置などの経皮投与の使用もまた含んでもよい。本明細書に使用する用語である非経口には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射または注入技法がある。これらの化合物は、所望の投与経路に適した、薬学的に許容できる担体、アジュバント、およびビヒクルと混合される。経口投与は好ましい投与経路であり、経口投与に適した製剤は好ましい製剤である。使用するために本明細書に記載した化合物は、固体形態、液体形態、エーロゾル形態、または錠剤、丸剤、粉末混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム剤、液剤、坐剤、浣腸剤、洗腸剤、乳剤、分散液、食品プレミックスの形態で、およびその他の適切な形態で投与することもまたできる。この化合物は、リポソーム製剤に入れて投与することができる。この化合物は、プロドラッグとして投与することもまたでき、ここで、そのプロドラッグは、治療された対象において治療上有効な形態に変換される。さらなる投与方法は、当技術分野において公知である。
【0215】
注射用製剤、例えば滅菌注射用水性または油性懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤と懸濁化剤とを使用して、公知の技術により製剤することができる。滅菌注射用製剤は、無毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁剤、例えばプロピレングリコール中の溶液であってもよい。採用することのできる許容できるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は溶媒または懸濁化媒質として好都合に採用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の固定油を採用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製に用途がある。
【0216】
薬物の直腸投与のための坐剤は、室温で個体であるが直腸温度で液体であるため、直腸で融解して薬物を放出するものであるカカオ脂およびポリエチレングリコールなどの適切な無刺激性の賦形剤とその薬物を混合することにより調製することができる。
【0217】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が含まれることがある。当該固体剤形では、活性化合物を、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合してもよい。当該剤形は、不活性希釈剤以外の追加的な物質、例えばステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた含んでもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、これらの剤形は緩衝剤もまた含んでもよい。錠剤および丸剤は追加的に腸溶性コーティングを用いて調製することができる。
【0218】
経口投与用の液体剤形は、水などの当技術分野で通常使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含んでもよい。当該組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、シクロデキストリンなどのアジュバント、ならびに甘味料、着香料、および香料などもまた含んでもよい。
【0219】
本発明の化合物は、リポソームの形態で投与することもまたできる。当技術分野で公知のように、リポソームは一般的にリン脂質またはその他の脂質物質から得られる。リポソームは水性媒質中に分散した1枚膜または多重膜水和液晶により形成される。リポソームを形成することのできる任意の無毒性の生理学的に許容できる代謝できる脂質を使用することができる。リポソーム形態の本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、安定化剤、保存料、賦形剤などを含有することがある。好ましい脂質は、天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成させる方法は当技術分野で公知である。例えば、Prescott編、Methods in Cell Biology、第XIV巻、Academic Press、ニューヨーク、N.W.、33頁〜参照(1976年)を参照されたい。
【0220】
本発明は、ミトコンドリア病を治療または抑制するために有用な材料が入った製品およびキットもまた提供する。この製品は、ラベルを有する容器を備える。適切な容器には、例えば瓶、バイアル、および試験管がある。この容器は、ガラスやプラスチックなどの多様な材料から形成されてもよい。この容器には、ミトコンドリア病を治療または抑制するために有効な活性薬剤を有する組成物が入っている。その組成物中の活性薬剤は、式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの1つまたは複数の化合物である。容器のラベルは、その組成物がミトコンドリア病を治療または抑制するために使用されることを示し、上記のようなin vivo使用またはin vitro使用のいずれかのための説明もまた示すことがある。
【0221】
本発明は、式I、Ia、Ib、II、IIa、IIb、III、IIIa、IIIb、IV、IVa、IVb、V、Va、Vb、VI、VIa、VIb、VII−O、VII−R、VIII−O、VIII−R、IX−O、IX−R、X−O、X−R、XI−O、XI−R、XII−O、および/またはXII−Rの任意の1つまたは複数の化合物を含むキットもまた提供する。いくつかの実施形態では、本発明のキットは上記の容器を備える。他の実施形態では、本発明のキットは、上記の容器と、緩衝剤を含む第2容器とを備える。そのキットは、さらに他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書に記載された任意の方法を行うための説明を掲載した添付文書を含む、商業的立場およびユーザーの立場から望ましいその他の材料を含んでもよい。
【0222】
他の態様では、キットは、例えばミトコンドリア障害を有する個体を治療すること、または個体におけるミトコンドリア障害を抑制することを含む、本明細書に記載された任意の方法のために使用することができる。
【0223】
単回剤形を生産するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、その活性成分が投与される宿主および特定の投与方式に依存して変動するものである。しかし、任意の特定の患者についての特異的用量レベルは、採用される特異的化合物の活性、年齢、体重、身体領域、ボディーマスインデックス(BMI)、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物併用、ならびに治療を受けている特定の疾患の種類、進行度、および重症度を含む多様な要因に依存するものである。選択された薬学的単位薬用量は、通常は製作および投与されて、血液、組織、器官、または身体のその他の標的領域に確定した薬物最終濃度をもたらす。与えられた状況についての治療有効量または有効量は、日常的な実験により容易に決定することができ、通常の臨床家の技術および判断の範囲内に属する。
【0224】
使用することのできる薬用量の例は、約0.1μg/kgから約300mg/kgの薬用量範囲内、または約1.0μg/kgから約40mg/kg体重、または約1.0μg/kgから約20mg/kg体重、または約1.0μg/kgから約10mg/kg体重、または約10.0μg/kgから約10mg/kg体重、または約100μg/kgから約10mg/kg体重、または約1.0mg/kgから約10mg/kg体重、または約10mg/kgから約100mg/kg体重、または約50mg/kgから約150mg/kg体重、または約100mg/kgから約200mg/kg体重、または約150mg/kgから約250mg/kg体重、または約200mg/kgから約300mg/kg体重、または約250mg/kgから約300mg/kg体重の有効量である。使用することのできるその他の薬用量は、約0.01mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、約1mg/kg体重、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、約30mg/kg体重、約40mg/kg体重、約50mg/kg体重、約75mg/kg体重、約100mg/kg体重、約125mg/kg体重、約150mg/kg体重、約175mg/kg体重、約200mg/kg体重、約225mg/kg体重、約250mg/kg体重、約275mg/kg体重、または約300mg/kg体重である。本発明の化合物は、1日1回投与してもよいし、合計1日薬用量を1日2、3、または4回の分割薬用量で投与してもよい。
【0225】
α−トコフェロールキノンは、血清(Pollokら、J. Chromatogr. A.1056巻:257頁(2004年))およびミトコンドリアの膜(Gregorら、Biochem Pharmacol.71巻:1589頁(2006年))に通常みられる天然物質である。したがって、ミトコンドリア病を治療もしくは抑制するために、またはエネルギーバイオマーカーを調節するためにα−トコフェロールキノンを投与する場合には、α−トコフェロールキノンの投与前のα−トコフェロールキノンの濃度よりも、α−トコフェロールキノンの血清濃度、細胞内濃度、またはミトコンドリア膜濃度を少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%だけ上げるために十分な量で、α−トコフェロールキノンを投与することができる。還元型α−トコフェロールキノンもまた天然に存在する。したがって、ミトコンドリア病を治療もしくは抑制するために、またはエネルギーバイオマーカーを調節するためにα−トコフェロールキノンを投与する場合には、α−トコフェロールキノンの投与前の還元型α−トコフェロールキノンの濃度よりも、その還元対応物である還元型α−トコフェロールキノンの血清濃度、細胞内濃度、またはミトコンドリア膜濃度を少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%だけ上げるために十分な量でα−トコフェロールキノンを投与することができる。あるいは、ミトコンドリア病を治療もしくは抑制するために、またはエネルギーバイオマーカーを調節するためにα−トコフェロールキノンの代わりに還元型α−トコフェロールキノンを投与することができ、還元型α−トコフェロールキノンの投与前の還元型α−トコフェロールキノンの濃度よりも、還元型α−トコフェロールキノンの血清濃度、細胞内濃度、またはミトコンドリア膜濃度を少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%だけ上げるために十分な量で還元型α−トコフェロールキノンを投与することができる。
【0226】
本発明の化合物は、唯一の活性薬剤として投与することができるが、これらの化合物は、障害の治療または抑制に使用される1つまたは複数のその他の薬剤と併用することもまたできる。ミトコンドリア病の治療または抑制に本発明の化合物と組み合わせて有用な代表的な薬剤には、補酵素Q、ビタミンE、イデベノン、MitoQ、ビタミン、および抗酸化化合物があるが、それに限定されるわけではない。
【0227】
追加的な活性薬剤が本発明の化合物と併用される場合には、その追加的な活性薬剤は、一般に参照により本明細書に組み込まれているPhysicians’ Desk Reference (PDR)第53版(1999年)に示される治療量または当業者に公知であろう治療上有用な量で採用してもよい。
【0228】
本発明の化合物およびその他の治療活性薬剤は、推奨された最大臨床薬用量または低用量で投与することができる。本発明の組成物中の活性化合物の薬用量レベルは、投与経路、疾患の重症度、および患者の応答に依存した所望の治療応答を得るために変動させてもよい。他の治療剤と組み合わせて投与する場合には、その治療剤は、同時もしくは異なる時間に与えられる別々の組成物として製剤することができるし、その治療剤は単一の組成物として与えることもできる。
【0229】
本発明は、以下の非限定的な実施例によりさらに理解されよう。
【実施例】
【0230】
(実施例1)
化合物の合成
実施例1A
化合物VIII−iである(R/S,R,R)−2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−[1,4]ベンゾキノンの立体異性体混合物の合成
【0231】
【化90】

ステップ1:RBF50mLに(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−3,5,6−トリメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1A−1)(2.0g、4.40mmol)およびピリジン(10mL)をチャージし、この反応物を0℃に冷却した。 ニートのPOCl(520L、5.60mml)を添加した。この反応物をRTまで加温させて、16時間撹拌した。この反応物をTLC(3:1/ヘプタン:ETOAc)によりモニターした。この反応物を飽和NHCl(10mL)およびMTBE(10mL)で希釈し、次にMTBE(3×10mL)で抽出した。合わせたMTBE層にシリカのプラグを通過させ、次に0.1HCl(3×10mL)で洗浄した。次に、MTBE層をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、黄色油(1.95g、100%)を得た。アルケン位置異性体および幾何異性体の混合物である粗物質をそれ以上精製せずに次のステップに移した。
【0232】
ステップ2:アルケン位置異性体および幾何異性体の粗混合物(13.3g、31.0mmol、ステップ1に記載した通りに調製)をEtOAc(100mL)に溶かし、50psi HでPtO(250mg)を使用して水素化した。6時間後に約30%の不飽和物質が残留した(H NMR)。追加のPtO(250mg)を添加し、水素化を16時間継続した。セライトを通過させて反応混合物を濾過し、次にそのセライトをEtOAc(50mL)ですすいだ。濾液をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、ろう状白色固体(12.7g、95%)として(R/S,R,R)−2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−ベンゼン−1,4−ジオール(Ex−1A−2)を得た。
【0233】
【数1】

ステップ3:(R/S,R,R)−2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−ベンゼン−1,4−ジオール(Ex−1A−2)(10.2g、0.24g)のDCM溶液(100mL)をSiO(500mg)の存在下で空気に曝して4日間撹拌させた。次に、この反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油(10.0g、98%)を得た。粗生成物の一部(5.0g)をBiotage自動クロマトグラフィー装置(DCM:ヘプタン勾配で溶出)を使用して精製し、純粋な(R/S,R,R)−2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1A−3、化合物VIII−iの立体異性体混合物)(1.98g、40%)を得た。
【0234】
【数2】

(実施例1B)
化合物IX−iである2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデカ−2,6,10、14−テトラエニル)−[1,4]ベンゾキノンの合成
【0235】
【化91】

ステップ1:2L容の3−Nフラスコに2,3,5−トリメチル−ベンゼン−1,4−ジオール(Ex−1B−1)(50g、0.33mol)およびMEK(750mL)をチャージし、琥珀色の溶液を得た。炭酸カリウム(210g、1.64mol)をこの溶液にチャージした。RTで30分後に、MeI(81.2mL、1.31mol)をこの褐色懸濁液に加えた。この反応混合物を65℃に72時間加熱した。RTに冷却後、ロータリーエバポレーター処理により反応混合物を濃縮乾固し、白色ペーストを得た。このペーストをEtOAc(3×300mL)で洗浄した。このEtOAc抽出物を合わせ、ロータリーエバポレーター処理により濃縮した。得られた黄褐色油をクロマトグラフィー処理(80:20/ヘプタン:EtOAc)し、1,4−ジメトキシ−2,3,5−トリメチル−ベンゼン(Ex−1B−2)(47.2g、80%)を得た。
【0236】
【数3】

ステップ2:フラスコに1,4−ジメトキシ−2,3,5−トリメチル−ベンゼン(Ex−1B−2)(47.2g、0.26mol)、氷酢酸(250mL)、およびパラホルムアルデヒド(39.3g、1.31mol)をチャージし、黄色懸濁液を得た。次に、無水HClガスをゆっくりとこの反応混合物に1.5時間通気して透明な琥珀色溶液を生成させた。次に、この反応混合物を水(300mL)で希釈し、MTBE(3×300mL)で抽出した。合わせたMTBE層をNaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮した。カラムクロマトグラフィー(95:5/ヘプタン:EtOAc)による粗生成物の精製により、1−クロロメチル−2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチル−ベンゼン(Ex−1B−3)(81%)48.7gを得た。
【0237】
【数4】

ステップ3:フラスコに1−クロロメチル−2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチル−ベンゼン(Ex−1B−3)(6.37g、27.9mmol)およびACN(10mL)をチャージし、次に0℃に冷却した。CAN(31.3g、57.1mmol)の水溶液(10mL)をこのフラスコに加えた。1時間後に、この反応混合物をMTBE(3×50mL)で抽出した。次に、合わせたMTBE層を水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮した。粗生成物をMeOHで摩砕することにより、鮮橙黄色固体として2−クロロメチル−3,5,6−トリメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1B−4)(81%)4.49gを得た。
【0238】
【数5】

ステップ4:100mL容の3−NフラスコにPCl(2.8mL、31.6mmol)および乾燥DMF(32mL)をチャージし、次にRTで1時間撹拌した。別の50mL容フラスコにファルネソール(Ex−1B−5)(10.0g、45.2mmol)およびDMF(10mL)をチャージした。次に、PCl/DMF溶液をファルネソール溶液に移し、得られた暗橙色溶液を1時間撹拌した。固体NaHCO(2.5g、63.2mmol)の添加により反応をクエンチした。高真空度ロータリーエバポレーター処理により溶媒を除去し、油性橙色残渣を得た。この残渣にMTBE(40mL)および(40mL)を加えた。水相をMTBE(3×20mL)で洗浄した。MTBE層を合わせ、食塩水(2×20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、最終的にロータリーエバポレーター処理により濃縮して、黄色油(9.89g、92%)として1−クロロ−3,7,11−トリメチル−ドデカ−2,6,10−トリエン(Ex−1B−6)を得た。
【0239】
【数6】

ステップ5:250mL容の3−Nフラスコを不活性化し、それにTMS−プロピン(6.90mL、46.2mmol)およびTHF(90mL)をチャージした。この反応物を−40℃に冷却して、その後にBuLi(18.5mL、46.2mmol)を加えた。45分後に、反応物をさらに冷却し(−70℃)、予備冷却(−70℃)した1−クロロ−3,7,11−トリメチル−ドデカ−2,6,10−トリエン(Ex−1B−6)(8.9g、37.0mmol)のTHF(50mL)溶液を10分間かけて加えた。1時間後に、この反応物をRTまで加温し、飽和NHCl(20mL)およびMTBE(25mL)の添加によりクエンチした。水層を分離し、MTBE(25mL)で洗浄した。次に、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して黄色液体(10.3g)を得た。粗油をさらにカラムクロマトグラフィー(99:1/ヘプタン:MTBE)により精製し、トリメチル−(6,10,14−トリメチル−ペンタデカ−5,9,13−トリエン−1−イニル)−シラン(Ex−1B−7)をもたらした。
【0240】
【数7】

ステップ6:250mL容の3−Nフラスコにトリメチル−(6,10,14−トリメチル−ペンタデカ−5,9,13−トリエン−1−イニル)−シラン(Ex−1B−7)(19.38g、64.1mmol)およびNaOEt(21%w/w溶液42mL、112mmol)をチャージした。この反応混合物を60℃で4時間撹拌した。RTで冷却後、反応混合物をMTBE(100mL)および水(100mL)で希釈し、次に濾過し、相の界面に存在する固体を除去した。水層をMTBE(3×100mL)で抽出した。合わせたMTBE層を食塩水(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮して、暗橙色油(96%)として6,10,14−トリメチル−ペンタデカ−5,9,13−トリエン−1−イン(Ex−1B−8)12.43gを得た。
【0241】
【数8】

ステップ7:温度計、撹拌バー、およびコックを取り付けた真空アダプターを備える250mL容の3−Nフラスコを脱気し、火炎乾燥し、シングルマニフォールド形式のシュレンクラインを通してN(3×)を流した。次に、そのフラスコにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(CpZrCl)(2.16g、7.4mmol)および乾燥DCE(40mL)をチャージした。この反応混合物を−20℃に冷却した。AlMe(36.8mL、73.6mmol)を5分間かけて滴加し、黄色スラリーを発生させた。−20℃で15分後に、水(220μL、12.3mmol)を5分間かけて滴加し、黄緑色溶液を得た。−20℃で30分間撹拌後に、6,10,14−トリメチル−ペンタデカ−5,9,13−トリエン−1−イン(Ex−1B−8)(6.0g、24.6mmol)の乾燥DCE(20mL)溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物の色は濃褐色の次に琥珀色になった。この反応物をRTで2時間加温させた。DClでクエンチした一定分量のH NMR分析から、95%の重水素取り込みであることが明らかになった。溶媒をRTで減圧下で除去した。得られた残渣は、ヘプタン(2×40mL)を用いて焼結ガラスフリットを通過させて、撹拌バーおよびコックを取り付けた真空アダプターを備える250mL容の不活性化3−Nフラスコに入れて洗浄した。この反応物を一晩撹拌させた。
【0242】
溶媒は、減圧下で除去し、脱気した乾燥THF(40mL)の添加により交換した。H NMR分光分析によると、クエンチした一定分量の反応混合物では>92%の重水素の取り込みが明らかになった。2−クロロメチル−3,5,6−トリメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1B−4)(3.0g、15.0mmol)の乾燥脱気THF(20mL)溶液をフラスコに加え、次にそのフラスコを0℃に冷却した。不活性化した別の50mL容フラスコに、(PPhNiCl(750mg、1.3mmol)および乾燥脱気THF(20mL)をチャージした。BuLi(1.4mL、2.6mmol)をこの褐色のNi(II)懸濁液に加え血赤色溶液を発生させた。この溶液を5分間撹拌し、次にビニララン(vinylalane)/キノン(Ex−1B−9/Ex−1B−4)溶液を加えた。この琥珀色溶液の色は青灰色になった。クエンチした一定分量のH NMR分析によると、5分後に反応は完了した。
【0243】
温度が15℃を超えないように1M HClを非常にゆっくりと加えることにより、この反応をクエンチした(この手順は極めて発熱性であるため、大きな注意を払わなければならない)。この反応混合物をMTBE(20mL)で希釈した。得られた懸濁液を濾過した。濾液の水層をMTBE(3×25mL)で洗浄した。合わせたMTBE層をMgSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、琥珀色油(12g)を得た。カラムクロマトグラフィー(ヘプタンから1:2/ヘプタン:DCM)による粗油の精製により、純粋な2,3,5−トリメチル−6−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデカ−2,6,10,14−テトラエニル)−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1B−11、または化合物IX−i)(5.25g、83%、HPLCによると>96% a/a)を得た。
【0244】
【数9】

(実施例1C)
(R,R,R)−2−ブチル−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−[1、4]ベンゾキノン
【0245】
【化92】

ステップ1:RBF25mLにブチルアルデヒド(155mg、2.16mmol)、AcOH(2mL)、およびHSO(1滴)をチャージした。次に、シリンジポンプを介してそのフラスコに(+)−γ−トコフェロール(Ex−1C−1)(300mg、0.72mmol)のAcOH溶液(3mL)を2時間かけて滴加した。次に、この反応物を16時間撹拌し、TLC(9:1/ヘプタン:EtOAc)によりモニターした。次に、この反応物を水(15mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮して帯褐色油(425mg、>100%)として7,9,10−トリメチル−2,4−ジプロピル−7−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1,3,8−トリオキサ−フェナントレン(Ex−1C−2)を得た。これをそれ以上精製せずに使用した。
【0246】
ステップ2:7,9,10−トリメチル−2,4−ジプロピル−7−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1,3,8−トリオキサ−フェナントレン(Ex−1C−2)(上記粗物質形態180mg)のAcOH溶液(10mL)および濃HSO(10滴)を5%Pd/C(50%w/w水分を20mg)を用いてRTで16時間水素化した(H、50psi、RT)。次に、セライトを通過させてこの反応混合物を濾過した。このセライトをDCM(2×2mL)ですすいだ。DCM層をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、淡褐色油を得た。この油をDCM(15mL)に溶解させ、シリカのプラグを通過させた。ロータリーエバポレーター処理によりこのDCMを濃縮し、濁った黄色油(165mg、>100%)として(R,R,R)−5−ブチル−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1C−3)を得た。これをそれ以上精製せずに直接使用した。
【0247】
ステップ3:50mL容RBFフラスコに(R,R,R)−5−ブチル−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1C−3)(120mg、0.25mmol)およびACN(25mL)をチャージし、次に0℃に冷却した。CAN(268mg、0.49mmol)の水溶液(1mL)をこの反応物に1分間かけて滴加し、鮮橙色溶液を生じさせた。10分後に、反応は完了したとみなした(TLC−9:1/ヘプタン:EtOAc)。この反応物をDCM(10mL)および水(10mL)で希釈した。水層をDCM(10mL)で洗浄した。DCM層を食塩水(5mL)で洗い、シリカのプラグを通過させ、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油(105mg、85%)として(R,R,R)−2−ブチル−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1C−4)を得た。
【0248】
【数10】

実施例1D
(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−3−プロピル−[1、4]ベンゾキノン
【0249】
【化93】

ステップ1:(+)−γ−トコフェロール(Ex−1D−1)(300mg、0.72mmol)、KCO(199mg、1.44mmol)、臭化アリル(182μL、1.44mmol)、およびアセトン(8mL)をRBF50mLにチャージした。この反応物を20時間加熱還流し、その後でTLC(1:5/EtOAc:ヘプタン)により反応は完了したとみなした。この反応物を水(10mL)で希釈した。水層を分離し、DCM(3×10mL)で洗浄した。合わせたDCM層をNaSOで乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、淡黄色油を得た。この油にシリカのプラグ(1:1:/DCM:ヘプタン)を通過させて流した。溶出液の濃縮後に、(R,R,R)−6−アリルオキシ−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン(Ex−1D−2)を透明な無色油(334mg、>100%)として得た。これをそれ以上精製せずに使用した。
【0250】
ステップ2:(R,R,R)−6−アリルオキシ−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン(Ex−1D−2)(0.33g、0.72mmol)を200℃に1時間加熱し、その後に反応は完了したとみなした(TLC)。次に、反応物をRTに冷却し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1/DCM:ヘプタン)により精製し、転位生成物である(R,R,R)−5−アリル−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1D−3)(112mg、34%)を得た。これをそれ以上精製せずに使用した。
【0251】
ステップ3:50mL容RBFフラスコに(R,R,R)−5−アリル−2,7,8−トリメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1D−3)(120mg、0.26mmol)およびACN(20mL)をチャージし、次に0℃に冷却した。CAN(285mg、0.52mmol)の水溶液(1mL)をこの反応物に1分間かけて滴加し、鮮橙色溶液を生じさせた。15分後に反応は完了したとみなした(TLC−9:1/ヘプタン:EtOAc)。この反応物をMTBE(10mL)および水(10mL)で希釈した。水層をMTBE(3×10mL)で洗浄した。合わせたMTBE層を食塩水(5mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮して橙色油を得た。この油をDCM(10mL)に溶解させ、シリカのプラグを通過させた。DCM溶出液をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油(100mg、80%)として(R,R,R)−2−アリル−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1D−4)を得た。
【0252】
【数11】

ステップ4:EtOAc溶液(5mL)中でPtO(5mg)を使用して(R,R,R)−2−アリル−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1D−4)(50mg、0.1mmol)を50psiで2時間水素化した。この懸濁液にセライトを通過させ、そのセライトをDCM(2×2mL)ですすいだ。ロータリーエバポレーター処理によりこの淡黄色溶液を濃縮し、淡黄色油(Ex−1D−5)を得た。この油をDCM(5mL)に溶解させ、シリカ(約20mg)と共に5日間撹拌した。コットンプラグを通過させてこの鮮黄色懸濁液を濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮して、鮮黄色油(38mg、76%)として(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−3−プロピル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1D−6)を得た。
【0253】
【数12】

(実施例1E)
(R,R,R)−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5−メチル−2−プロピル−[1,4]ベンゾキノン
【0254】
【化94】

ステップ1:(+)−δ−トコフェロール(Ex−1E−1)(1.04g、2.58mmol)、KCO(715mg、5.17mmol)、臭化アリル(450μL、5.17mmol)、およびアセトン(10mL)をRBF50mLにチャージした。この反応物を16時間加熱還流し、その後にTLC(1:5/EtOAc:ヘプタン)により反応は完了したとみなした。この反応物を水(10mL)およびDCM(10mL)で希釈した。水層を分離し、DCM(3×10mL)で洗浄した。合わせたDCM層をMgSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、淡黄色液体(1.09g)を得た。この液体をシリカのプラグに流した(1:1:/DCM:ヘプタン)。溶出液の濃縮後に、透明な無色油(0.97g、85%)として(R,R,R)−6−アリルオキシ−2,8−ジメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン(Ex−1E−2)を得た。
【0255】
ステップ2:(R,R,R)−6−アリルオキシ−2,8−ジメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン(Ex−1E−2)(0.97g、2.19mmol)を200℃に3時間加熱し、その後に反応は完了したとみなした(H NMR−異性体の4:1混合物)。次に、この反応物をRTに冷却し、褐色油(0.97g、100%)として(R,R,R)−5−アリル−2,8−ジメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1E−3)を得た。これをそれ以上精製せずに次のステップに続けた。
【0256】
ステップ3:50mL容のRBFフラスコに(R,R,R)−5−アリル−2,8−ジメチル−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1E−3)(280mg、0.63mmol)およびACN(14mL)をチャージし、次に0℃に冷却した。CAN(710mg、1.30mml)の水溶液(2mL)をこの反応物に1分間かけて滴加し、鮮橙色溶液を生じさせた。15分後に、反応は完了したとみなした(TLC−5:1/ヘプタン:EtOAc)。この反応物をMTBE(3×15mL)で抽出した。合わせたMTBE層をNaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油(270mg、96%)として(R,R,R)−2−アリル−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5−メチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1E−4)を得た。
【0257】
【数13】

ステップ4:EtOAc溶液(7mL)中でPtO(6mg)を使用して(R,R,R)−2−アリル−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5−メチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1E−4)(115mg、0.25mmol)を 50psiで3時間水素化した。シリカを通過させてこの懸濁液を濾過し、そのシリカをEtOAc(40mL)ですすいだ。この溶液をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、透明無色油(110mg、96%)として(R,R,R)−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5−メチル−2−プロピル−ベンゼン−1,4−ジオール(Ex−1E−5)を得た。これをそれ以上精製せずに次のステップに続けた。
【0258】
ステップ5:50mL容RBFフラスコに(R,R,R)−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5−メチル−2−プロピル−ベンゼン−1,4−ジオール(Ex−1E−5)(110mg、0.24mmol)、ACN(15mL)、およびDCM(2mL)をチャージし、次に0℃に冷却した。CAN(269mg、0.49mmol)の水溶液(1mL)をこの反応物に1分間かけて滴加し、鮮橙色溶液を生じさせた。この反応物を15分間撹拌し、次に水(5mL)で希釈した。水層をDCM(3×30mL)で洗浄した。合わせたDCM層をNaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油を得た。この油をカラムクロマトグラフィー(勾配−ヘプタンから20:1/ヘプタン:EtOAc)により精製して橙色油(50mg、44%)として(R,R,R)−3−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5−メチル−2−プロピル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1E−6)を得た。
【0259】
【数14】

(実施例1F)
(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−3−イソブチル−5,6−ジメチル−[1,4]ベンゾキノン
【0260】
【化95】

【0261】
【化96】

ステップ1:(+)−γ−トコフェロール(Ex−1F−1)(300mg、0.72mmol)、KCO(199mg、1.44mmol)、3−クロロ−2−メチルプロペン(450μL、5.17mmol)、NaI(約10mg)、およびアセトン(8mL)をRBF50mLにチャージした。この反応物を20時間加熱還流し、その後にTLC(1:9/EtOAc:ヘプタン)により反応は完了したとみなした。この反応物を水(15mL)およびDCM(10mL)で希釈した。水層を分離し、DCM(3×10mL)で洗浄した。合わせたDCM層をNaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮して淡黄色液体(Ex−1F−2)(324mg、95%)として(R,R,R)−2,7,8−トリメチル−6−(2−メチル−アリルオキシ)−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマンを得た。単離された生成物をそれ以上全く精製せずに使用した。
【0262】
ステップ2:(R,R,R)−2,7,8−トリメチル−6−(2−メチル−アリルオキシ)−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン(Ex−1F−2)(325mg、0.691mmol)を200℃に4.5時間加熱し、その後に反応は完了したとみなした(TLC−10:1/ヘプタン:EtOAc)。次に、この反応物をRTに冷却して(R,R,R)−2,7,8−トリメチル−5−(2−メチル−アリル)−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1F−3)(302mg、93%)を得て、それをそれ以上精製せずに次のステップに採用した。
【0263】
ステップ3:50mL容のRBFフラスコに粗(R,R,R)−2,7,8−トリメチル−5−(2−メチル−アリル)−2−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−クロマン−6−オール(Ex−1F−3)(150mg、0.32mmol)およびACN(20mL)をチャージし、次に0℃に冷却した。CAN(362mg、0.66mmol)の水溶液(1mL)を反応物に1分間かけて滴加し、鮮橙色溶液を生じさせた。15分後に反応は完了したとみなした(TLC−9:1/ヘプタン:EtOAc)。この反応物をDCM(10mL)および水(5mL)で希釈した。水層をDCM(10mL)で洗浄した。DCM層を食塩水(5mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油を得た。この油をDCM(10mL)に溶かし、それにシリカのプラグを通過させた。DCM溶出液をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、橙色油(100mg、61%)として(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−3−(2−メチル−アリル)−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1F−4)を得た。
【0264】
【数15】

ステップ4:EtOAc溶液(5mL)中でPtO(5mg)を使用して(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−5,6−ジメチル−3−(2−メチル−アリル)−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1F−4)(50mg、0.10mmol)を50psiで3時間水素化した。セライトを通過させてこの懸濁液を濾過し、そのセライトをEtOAc(5mL)ですすいだ。この溶液をロータリーエバポレーター処理により濃縮し、透明な無色油を得た(Ex−1F−5)(40mg)。この油をCDCl(1mL)に溶かし、シリカ(約20mg)と共に5日間撹拌した。コットンプラグを通過させてこの鮮黄色懸濁液を濾過し、ロータリーエバポレーター処理により濃縮し、鮮黄色油(38mg、76%)として(R,R,R)−2−(3−ヒドロキシ−3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデシル)−3−イソブチル−5,6−ジメチル−[1,4]ベンゾキノン(Ex−1F−6)を得た。
【0265】
【数16】

(実施例2)
有効な酸化還元化合物のための初回スクリーニング
酸化還元障害の改善に有効な化合物を同定するために初回スクリーニングを行った。Jauslinら、Hum. Mol. Genet.11巻(24):3055頁(2002年)、Jauslinら、FASEB J.17巻:1972〜4頁(2003年)、および国際特許出願WO2004/003565に記載されているように、被験試料、4つの参照化合物(イデベノン、デシルユビキノン、トロロックス、および酢酸α−トコフェロール)、および溶媒対照が、L−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン(BSO)の添加によりストレスを与えられたFRDA線維芽細胞を救出する能力について試験した。フリードライヒ失調症患者由来のヒト皮膚線維芽細胞は、グルタチオン(GSH)シンテターゼの特異的阻害剤であるL−ブチオニン−(S,R)−スルホキシイミン(BSO)を用いたGSHのde novo合成阻害に過敏であることが示されている(Jauslinら、Hum. Mol. Genet.11巻(24):3055頁(2002年))。この特異的なBSO介在性細胞死は、抗酸化物経路に関与する、α−トコフェロール、短鎖キノン、セレン、またはグルタチオンペルオキシダーゼの小分子模倣体などの抗酸化物または分子の投与により阻止することができる。しかし、抗酸化物はその効力が様々であり、すなわち抗酸化物がBSOによりストレスを与えられたFRDA線維芽細胞を救出できる濃度は様々である。このアッセイでは被験化合物のEC50濃度を決定し、公知の参照抗酸化物と比較した。
【0266】
MEM(アミノ酸およびビタミン強化培地、カタログ番号1−31F24−I)と、アール平衡塩を含有し、フェノールレッド含有しない199培地(M199、カタログ番号1−21F22−I)とをBioconceptから購入した。ウシ胎児血清はPAA Laboratoriesから得た。塩基性線維芽細胞成長因子および上皮成長因子をPeproTechから購入した。ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン混合物、L−ブチオニン(S,R)−スルホキシイミン、酢酸(+)−α−トコフェロール、デシルユビキノン、およびウシ膵臓由来インスリンはSigmaから購入した。トロロックス(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)はFlukaから得た。イデベノンはChemo Ibericaから得た。カルセインAMはMolecular Probesから購入した。細胞培養用培地は、M199 EBSを125ml、ウシ胎児血清を50ml、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン、10μg/mlインスリン、10ng/ml EGF、および10ng/ml bFGFを混合することにより作製し、MEM EBSを加えて体積を500mlに調整した。BSO、444mgを培地200mlに溶かし、続いて濾過滅菌することにより10mM BSO溶液を調製した。実験過程の間に、この溶液を+4℃で保存した。細胞はCoriell Cell Repositories(Camden、ニュージャージー州;容器番号GM04078)から入手し、10cm組織培養プレート中で成長させた。3日毎に細胞を1:3の比に分けた。
【0267】
被験試料を1.5mlガラスバイアルに供給した。これらの化合物をDMSO、エタノール、またはPBSで希釈して5mM保存液を生じさせた。溶解し次第、バイアルを−20℃で保存した。参照抗酸化物(イデベノン、デシルユビキノン、酢酸α−トコフェロール、およびトロロックス)をDMSOに溶解させた。
【0268】
以下のプロトコールに従って被験試料をスクリーニングした:液体窒素中に保存された約50万個の細胞を有する1mlバイアルからFRDA線維芽細胞の培養を開始した。9枚のプレートが得られるまで1:3の比で3日毎に分割することにより、細胞を10cm細胞培養用皿に入れて増殖させた。集密になり次第、線維芽細胞を収集した。54枚のマイクロタイタープレート(96ウェル−MTP)のために合計1430万個の細胞(継代8回目)を培地480mlに再懸濁した。これは培地100μlが細胞3000個/ウェルを有することに対応する。残りの細胞を増殖させるために10cm細胞培養プレート(細胞50万個/プレート)に蒔いた。湿度95%およびCO5%の雰囲気中でこのプレートを37℃で一晩インキュベートし、培養プレートに細胞を付着させた。
【0269】
MTP培地(243μl)をマイクロタイタープレートのウェルに加えた。被験化合物を解凍し、培地243μlが入ったウェルに5mM保存液7.5μlを溶かし、150μM原液を生じさせた。この原液からの系列希釈を作製した。1回の希釈ステップの間の時間はできるだけ短く保った(一般に1秒未満)。
【0270】
プレートを細胞培養インキュベータ中で一晩保存した。翌日、10mM BSO溶液10μlをウェルに加え、最終BSO濃度1mMにした。48時間後に位相差顕微鏡でプレート3枚を検査し、0%対照(ウェルE1〜H1)の細胞が明らかに死滅していることを立証した。全てのプレートからの培地を捨て、紙タオルの上でプレートを逆さにして軽くたたくことにより残りの液体を除去した。
【0271】
次に、1.2μMカルセインAMを含有するPBS100μlを各ウェルに加えた。プレートを室温で50〜70分間インキュベートした。その後、PBSを捨て、プレートをペーパータオルの上で軽くたたき、Gemini蛍光読み取り装置で蛍光(励起/発光波長はそれぞれ485nmおよび525nm)を読み取った。データーをMicrosoft Excel(EXCELは表計算ソフトについてのMicrosoft Corporationの登録商標である)にインポートし、各化合物についてのEC50濃度を計算するために使用した。
【0272】
化合物を3回試験した。すなわち、実験を3回行い、細胞の継代数は繰り返しの度に1だけ増加した。
【0273】
溶媒(DMSO、エタノール、PBS)は、試験した最高濃度(1%)でも非BSO処理細胞の生存率に有害作用も有さず、BSO処理した線維芽細胞に有益な影響も有さなかった。どの化合物も自己蛍光を示さなかった。BSOで処理していない線維芽細胞の生存率を100%と定め、BSO−および化合物−処理細胞の生存率をこの値に対して計算した。
【0274】
以下の表は、α−トコフェロールキノンおよび4つの対照化合物についてのEC50をまとめたものである。
【0275】
【表2】

(実施例3)
本発明の化合物のスクリーニング
本発明の化合物がFRDA患者由来のヒト皮膚線維芽細胞を酸化ストレスから救出する能力について、実施例2に記載したスクリーニングを使用して試験する。このデーターは、疾患治療薬としてのこれらの化合物の潜在性を推定するために使用する。
【0276】
(実施例4)
本発明の化合物の投与
α−トコフェロールキノンなどの本発明の化合物は、薬学的に許容できる担体中の化合物300mgを含有するカプセルに入れて提示される。カプセルは1日1回、好ましくは朝食または昼食時に経口服用される。ごく幼い小児の場合は、カプセルを割って、中身を食物と混合する。
【0277】
確認するための引用による、本明細書に参照された全ての刊行物、特許、特許出願、および公開された特許出願の開示は、これによってその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0278】
理解を明確にするために、例示および実施例により前述の発明をある程度詳細に説明したが、ある種の小さな変化および変更が実施されるであろうことは当業者に明らかである。したがって、この説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法であって、式:
【化1】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物、ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の化合物が、式:
【化2】

の化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が
【化3】

である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
11、R12、およびR13のいずれもHではなく、R11、R12、およびR13の少なくとも1つがメチルではない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式:
【化4】

[式中、Rは、
【化5】

からなる群から選択され、ここで、*はRが分子の残りに結合している点を示し、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物。
【請求項6】
ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法であって、請求項5に記載の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項7】
式:
【化6】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物。
【請求項8】
ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法であって、請求項7に記載の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項9】
式:
【化7】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物。
【請求項10】
ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法であって、請求項9に記載の化合物の治療有効量または有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項11】
ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法であって、式IV:
【化8】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他の2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項12】
式:
【化9】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではなく、Rは、Hと、−ORで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択され、Rは、Hおよび−C〜Cアルキルから独立して選択される]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物。
【請求項13】
請求項12に記載の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を対象に投与することにより、ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法。
【請求項14】
式VI:
【化10】

[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択され、Rは、Hと、−ORで置換されていてもよい−C〜Cアルキルとから独立して選択され、Rは、Hおよび−C〜Cアルキルから独立して選択される]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を対象に投与することにより、ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法。
【請求項15】
式:
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

[式中、R、R、およびRは、−C〜Cアルキルから独立して選択されるが、但し、R、R、およびRの少なくとも1つはメチルではない]の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の群から選択される化合物。
【請求項16】
請求項15に記載の1つまたは複数の化合物の治療有効量または有効量を対象に投与することにより、ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法。
【請求項17】
ミトコンドリア障害を治療するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを調節するか、1つもしくは複数のエネルギーバイオマーカーを正常化するか、または1つまたは複数のエネルギーバイオマーカーを強化する方法であって、式X−O、式X−R、式XI−O、式XI−R、式XII−O、または式XII−R:
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】


[式中、R11、R12、およびR13は、H、−C〜Cアルキル、−C〜Cハロアルキル、−CN、−F、−Cl、−Br、および−Iから独立して選択されるが、但し、R11、R12、またはR13のいずれかがHならば、その他2つの置換基の少なくとも1つはHでもメチルでもない]の1つまたは複数の化合物ならびにその全ての塩、立体異性体、立体異性体の混合物、プロドラッグ、代謝物、溶媒和物、および水和物の治療有効量または有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
前記化合物が、
【化23】

【化24】

および
【化25】

からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病;もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、およびフリードライヒ失調症(FA)からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エネルギーバイオマーカーが、全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかの中の乳酸(乳酸塩)濃度;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかの中のピルビン酸(ピルビン酸濃度)濃度;全血、血漿、脳脊髄液、または脳室液のいずれかにおける乳酸/ピルビン酸比;クレアチンリン酸レベル、NADH(NADH+H)レベル;NADPH(NADPH+H)レベル;NADレベル;NADPレベル;ATPレベル;還元型補酵素Q(CoQred)レベル;酸化型補酵素Q(CoQox)レベル;総補酵素Q(CoQtot)レベル;酸化型チトクロームCレベル;還元型チトクロームCレベル;酸化型チトクロームC/還元型チトクロームC比;アセト酢酸レベル、β−ヒドロキシ酪酸レベル、アセト酢酸/β−ヒドロキシ酪酸比、8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)レベル;活性酸素種レベル;酸素消費量(VO2)のレベル;二酸化炭素産出量(VCO2)のレベル;呼吸商(VCO2/VO2);運動耐性;および無酸素性作業閾値からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む、請求項5に記載の化合物。
【請求項23】
前記対象が、ミトコンドリア病を有する対象、激しい身体活動もしくは持続する身体活動を行っている対象、慢性的なエネルギーの問題を有する対象、慢性的な呼吸の問題を有する対象、妊婦、分娩中の妊婦;新生児、未熟児、極限環境に曝されている対象、暑熱環境に曝されている対象、寒冷環境に曝されている対象、平均よりも低い酸素含量の環境に曝されている対象、平均よりも高い二酸化炭素含量の環境に曝されている対象、平均よりも高い大気汚染レベルの環境に曝されている対象、肺疾患を有する対象、平均よりも低い肺活量を有する対象、結核患者、肺癌患者、気腫患者、嚢胞性線維症患者、手術から回復中の患者、疾病から回復中の対象;急性外傷を受けている対象、ショック状態の対象、急性酸素投与を必要とする対象、慢性酸素投与を必要とする対象、高齢の対象、エネルギー減退を経験している高齢の対象、および慢性疲労を患う対象からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症 ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項26】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項29】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記ミトコンドリア障害が、遺伝性ミトコンドリア病、もじゃもじゃ赤色線維ミオパシーを伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、乳酸アシドーシスと脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(MELAS)、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、リー病、キーンズセイアー症候群(KSS)、フリードライヒ失調症(FA)、その他の筋症、心筋症、脳筋症、尿細管性アシドーシス、神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、その他の神経系疾患、てんかん、遺伝性疾患、ハンチントン病、気分障害、統合失調症、双極性障害、加齢関連疾患、黄斑変性、糖尿病、および癌からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2008−542389(P2008−542389A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514860(P2008−514860)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021295
【国際公開番号】WO2006/130775
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507393285)エジソン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】