説明

メソ多孔性炭素上に担持されたタングステンカーバイド触媒、その調製及び適用

担持されたタングステンカーバイド触媒は、タングステンカーバイドをその有効成分として、そしてメソ多孔性炭素をその担体として含み、タングステンカーバイドがメソ多孔性炭素の表面及びチャンネルに高分散しており、そしてタングステン元素の含量が、メソ多孔性炭素に対し30質量%〜42質量%の範囲である。この触媒は、含浸法により調製し得る。この触媒は、その高い反応性、選択性及び安定性の効力により、温度245℃、及び水素圧6MPaを含む熱水条件下で、セルロースのエチレングリコールへの直接触媒変換に使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、セルロースをエチレングリコールに直接触媒変換するための触媒に関し、より詳しくは、メソ多孔性炭素担持タングステンカーバイド触媒並びにその調製及び適用に関する。
【0002】
2.背景
エネルギーは、現代社会の存続及び発展の土台である。クリーンエネルギーの開発及び利用は、国家経済の持続可能な発展に影響し、国家安全保障戦略を基本的に保証する。
【0003】
バイオマスは、将来有望な再生可能な資源を代表するものである。その利用及び開発は、エネルギーの多様性を保ち、化石油への依存を減らし、そしてエネルギー安全保障を維持する上で重要な役割を果たす。セルロースは、最も豊富な第二世代のバイオマス資源である。これは、例えば農業廃棄物及び林業廃棄物から、容易に入手することができ、かつ安価である。セルロースは、一方で、非食用であり、人間の食糧安全保障を脅かすものではない。したがって、セルロースを如何にして付加価値のある製品に変換するかが、多くの国々の学者の間で熱い研究テーマとなっている。
【0004】
セルロース変換の方法は、鉱酸中での又は酵素分解を介する加水分解に焦点を合わせている。これらの方法は、低効率かつ高汚染であり、そのため深刻な課題に直面している。それに比べて、近年開発されたセルロースの触媒変換は、極めて効率の高い、環境に優しい方法である。セルロースの触媒変換とは、一定の条件の下で、触媒の存在下、セルロースをポリヒドロキシ化合物に分解することである。日本の福岡教授は、Pt/Al2O3を触媒として使用して、収率30%のヘキシトールを得た。北京大学のH.C. Liu教授は、Ru/AC触媒を使用して、ヘキシトールの収率をさらに40%に改善した(CN101058531)。あもい(Xiamen)大学のY. Wang教授は、セルロースの触媒水素化変換において、セルロースをリン酸中で前処理し、水を使って沈殿剤を再生させ、そして次に多層カーボンナノチューブ(MWCNT)上に担持されたRu触媒を用いることによって、ヘキシトールの50%を上回る収率を達成した(CN101121643)。しかし、上述のケースでは、貴金属が用いられたため、これらの方法は、高コストかつ、低経済効率である。
【0005】
発明者らは、先ごろ、熱水条件下でのセルロースのエチレングリコールへの触媒変換用に、AC上に担持されたニッケル促進タングステンカーバイド触媒を開発した。反応物は、良好な選択性を有して高効率であり、エチレングリコール61%という高い収率をもたらした。しかし、触媒にニッケルを添加したことが、タングステンカーバイドの凝集を加速した。さらに、ACの微細構造は、触媒上のタングステンカーバイドの分散を減少させ、反応体及び生成物の拡散を制限した。
【0006】
メソ多孔性炭素は、比較的高い表面積、大きい細孔容積を有し、耐酸性及び耐アルカリ性が高く、そして熱水安定性が高い。したがって、燃料電池、センサー、吸着分離、触媒反応等に広く使用されている。
【0007】
触媒の活性及び選択性は、活性点に対する有効成分の分散及び反応体の拡散に関連することが知られている。メソ多孔性炭素に担持された触媒は、活性金属の分散を促進し、孔の近接性(accessibility)を増大させ、分子拡散をもたらし、そして結果的に触媒の活性及び選択性を増大させる。メソ多孔性炭素担持タングステンカーバイドをセルロースのエチレングリコールへの触媒変換に適用することに関する報告は、今日までない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、メソ多孔性炭素担持触媒を調製するための方法及びそれらの適用を提供することである。本触媒は、熱水条件下、高い収率及び高い選択性で、触媒作用によりセルロースをエチレングリコールに変換し得る。
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の1つの実施態様に従い、三次元(3D)の相互に連結した不定形メソ多孔性炭素MC、MC−Rに担持されたタングステンカーバイド(WCx/MC(x=0.5〜1)及びWCx/MC−R(x=0.5〜1)と表わされる)を含む触媒と、規則性メソ多孔性炭素CMK−3、CMK−8に担持されたタングステンカーバイド(WCx/CMK−3(x=0.5〜1)及びWCx/CMK−8(x=0.5〜1)と表わされる)を含む触媒とが提供される。触媒の担体は、それぞれ、三次元(3D)の相互に連結した不定形メソ多孔性炭素MC、MC−Rと、規則性メソ多孔性炭素CMK−3、CMK−8とである。触媒の有効成分は、WCx(x=0.5〜1)である。ニッケルが加えられる場合、触媒の有効成分はNi−WCx(x=0.5〜1)であり、ここで金属成分Wは、触媒の1〜80wt%、好ましくは30〜42wt%であり;Niの金属成分は、触媒の0.1〜30wt%であり、好ましくは2〜5wt%である。
【0010】
上記記載の炭素担体MC、CMK−3及びCMK−8は、ナノ注入方法で合成される。特に、ハードテンプレート 1.0gには、濃HSO 0.1〜0.3g及びHO 5〜8mlを含有する溶液中のスクロース0.1〜10gを含浸させた。得られた混合物を40〜350℃で0.5時間以上加熱し、そして好ましくは95〜110℃及び160〜170℃でそれぞれ6〜8時間加熱した。最終的な固体を、不活性雰囲気中、例えば、N中、400〜1000℃で0.5時間以上炭化させ、好ましくは800〜900℃で3〜6時間炭化させた。最後に、ハードテンプレートをHF又はNaOH溶液中で除去した。チャンネル構造を破壊することなくテンプレートを除去するために、酸又はアルカリの濃度を適切に選択する。脱イオン水中で洗浄した後、材料をオーブンに入れて60〜120℃で乾燥させ、三次元(3D)の相互に連結した不定形MCと規則性CMK−3、CMK−8とを得た。
【0011】
上記の触媒担体MC−Rは、ナノ注入方法で合成される。直径5〜100nmの市販のシリカゾルを、ハードテンプレートとして使用した。炭素源は、レゾルシノール(R)及びホルムアルデヒド(F)のゾル(R/Fモル比0.1〜2)である。RとFとシリカゾルとの混合物(ここで、Si/Rモル比が0.1〜20)を10分間以上撹拌した。混合物を、次に40〜160℃で0.5時間以上加熱した。最終的な固体を、還元性雰囲気中400〜1000℃で0.5時間以上炭化させた。最後にハードテンプレートをHF又はNaOH溶液を使用して除去した。チャンネル構造を破壊することなくテンプレートを除去するために、酸又はアルカリの濃度を適切に選択する。脱イオン水中で洗浄した後、材料を、60〜120℃で乾燥させて、MC−Rと呼ばれるメソ多孔性炭素を得た。
【0012】
触媒は、有効成分の塩溶液を担体に含浸させることにより調製する。特に、触媒中の有効成分の可溶性の塩を、それらの比に合わせて計量し、脱イオン水に溶解して溶媒を得る。メソ多孔性炭素担体に、この溶媒を含浸させる。有効成分を含浸させた前駆体を、40〜160℃で乾燥させ、H流中で1時間以上浸炭させる。Niを含まない触媒を、850〜1000℃で浸炭させ、さらにNiを含む触媒を650〜800℃で浸炭させる。
【0013】
上記の触媒は、セルロースの触媒による水素化分解に使用することができる。反応は、撹拌器を備えた密閉高圧反応器中で行う。セルロース対水の重量比は、1:200〜1:1である。セルロース対触媒の重量比は、1:1〜100:1である。反応器中の室温での初期の水素圧は、1〜12MPaである。反応温度は、制御下で、120〜300℃に上昇し、反応時間は、10分間以上である。
【0014】
本発明の触媒は、高表面積、大細孔容積のメソ多孔性炭素を担体として使用するが、これが有効成分の分散並びに反応体及び生成物分子の拡散を高め、ひいては触媒の活性及び選択性を高める。触媒は、水素中、熱水条件下、高収率及び高い選択性で、セルロースをエチレングリコールに変換することができる。本発明の触媒の原材料は、容易に入手できる。調製は簡単である。大変有望な触媒である。
【0015】
近年報告されているタングステンカーバイド触媒と比較して、メソ多孔性炭素担持タングステンカーバイド触媒は、より優れた活性、選択性及び安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例3、4及び比較例1における触媒のX線粉末回折分析の結果を示す。
【図2】図2は、実施例3、4及び比較例1における触媒のCO化学吸着分析の結果を示す。
【図3】図3は、実施例2における異なる触媒のX線粉末回折分析の結果を示す。
【0017】
発明の詳細な説明
実施例1−ハードテンプレート法を用いたMC及びCMK−3担体の調製
市販のシリカ又はSBA−15 1.0gに、HO 5ml中にスクロース1.25g及び濃HSO 0.14gを含有する溶液を含浸させた。得られた混合物を周囲温度で8〜12時間(この実施例では12時間)置き、最初に100℃で6時間、そして次に170℃で6時間乾燥させた。得られた粉状の物質に、HO 5ml中にスクロース0.8g及び濃硫酸0.09gを含有する溶液を再度含浸させ、続いて上記と同じ加熱工程に付した。加熱工程後に得られたサンプルを、N中900℃で6時間炭化させ、そして次に室温に冷ました。こうして得たサンプルを、5wt% HF又は2M NaOH溶液に60〜80℃で2〜24時間(この実施例では24時間)置いてシリカテンプレートを除去した。濾過し、洗浄し、そして80〜120℃(この実施例では、120℃)で乾燥させた後、MC又はCMK−3を得た。調製したままの状態の炭素担体の多孔構造のパラメーターを、比較例1の活性炭素ACと比較し、結果を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
表1に示すように、3つすべての炭素担体の表面積はほぼ同等である。しかし、MC及びCMK−3の表面積は、メソ細孔に起因し、他方ACの表面積は、ミクロ細孔に起因する。加えて、メソ多孔性炭素は、比較的容積の大きいメソ細孔及び比較的狭い気孔分布を有する。MCの平均孔径は、4.9nmであり、CMK−3の平均孔径は、3.7nmである。
【0020】
実施例2−ハードテンプレート法を用いたメソ多孔性炭素MC−Rの調製
レゾルシノール(R)5.5g及びホルムアルデヒド(F)8.5gの混合溶液を調製した。40wt%シリカゾル(Ludox HS-40y)30gを、調製したままの状態のRFゾルと混合した。得られた混合物を最初に50℃で24時間処理し、そして次に90℃で72時間で処理し、そして次にN中で900℃で3時間炭化させた。最後にシリカをHFを使用して洗い落とした。80℃で一晩乾燥させた後、MC−Rmを得た(mは、Si対Rのモル比を表す)。異なるSi/Rを有するMC−R担体の多孔構造パラメーターを表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
実施例3−含浸法を用いたWCx/MC(x=0.5〜1)触媒の調製
メソ多孔性炭素MC 1.0gに、HO 3〜4ml中にメタタングステン酸アンモニウム(AMT)0.588gを含有する水溶液を含浸させ、続いてオーブンで120℃で乾燥させた。サンプルを次に、調節加熱(8.8℃/分で室温〜550℃、次に1℃/分で900℃に上げ、その温度で1時間保持)下で、120ml/分のH流で還元させた。触媒中のWの理論上の充填重量は、30wt%であった。
【0023】
実施例4−含浸法を用いたWCx/CMK−3(x=0.5〜1)触媒の調製
炭素担体が、実施例1で調製したCMK−3であること以外、調製方法は、実施例3に記載されたものと同じである。触媒中のWの理論上の充填重量は、30wt%である。
【0024】
実施例5−含浸法を用いたWCx/MC−60wt%及びWCx/CMK−8−10wt%(x=0.5〜1)触媒の調製
触媒中のWの理論上の充填重量がそれぞれ60wt%及び10wt%であること以外、調製方法は、実施例3に記載されたものと同じである。
【0025】
実施例6−含浸法を用いたWCx/MC−Rm触媒の調製
炭素担体が実施例2で調製したMC−Rであること以外、調製方法は実施例3に記載されたものと同じである。触媒中のWの理論上の充填重量は、30wt%である。
【0026】
比較例1−含浸法を用いたWCx/AC(x=0.5〜1)の調製
炭素担体がMCと同様の表面積を有する一般的な活性炭素ACであること以外、調製方法は、実施例3に記載されたものと同じである。触媒中のWの理論上の充填重量は、30wt%であった。
【0027】
図1のXRD回折パターンに示されるように、MC担体上のタングステンカーバイド−WCx/MC−の最大のピークは、他の2つの炭素担体上に担持されたタングステンカーバイドのそれらよりも明らかに広く、MC担体上のタングステンカーバイドの平均粒径がより小さいことを示している。図2に示されるように、WCx/MC、WCx/CMK−3及びWCx/AC触媒上のCO化学吸着は、それぞれ、39.72、20.90及び8.22μmol/gであり、これは、タングステンカーバイド粒子が三次元(3D)の相互に連結したメソ多孔性炭素(MC)担体上でよりよく分散していることを示唆している。
【0028】
比較例2−共含浸法を用いたNi−WCx/MC、Ni−WCx/CMK−3及びNi−WCx/AC触媒の調製
炭素担体1.0gに、HO 3〜4ml中にメタタングステン酸アンモニウム(AMT)0.588g及び硝酸ニッケル0.157gを含有する水溶液を含浸させ、続いてオーブン内で120℃で乾燥させた。次に、調節加熱(8.8℃/分で室温〜450℃、次に1℃/分で750℃に上げ、その温度で1時間保持)下で、60ml/分のH流中で、触媒前駆体を浸炭させた。触媒中のW及びNiの理論上の充填重量は、それぞれ、30wt%及び2wt%であった。
【0029】
図3に示されるように、ニッケル促進触媒上のタングステンカーバイドのXRD回折ピークは、Niを添加していないものよりもシャープであり、Niの添加がタングステンカーバイド粒子の凝集を促進したことを示している。
【0030】
実施例7−セルロースの触媒による分解実験
セルロース1.0g、上記のとおりに調製した触媒0.3g及び水100mlを、300ml反応器に入れた。反応器を水素で満たし、6回通気させて空気を除去した。その後、反応器内の水素圧を6MPaに上昇させた。混合物を、1000rpmで撹拌した。その間、反応器内の温度を、245℃に上昇させた。30分間反応させた後、反応器中の混合物を室温に冷まし、濾過して、上清を得た。上清を、カルシウムイオン−交換カラムを備えた高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、屈折率検出器を用いて検出した。反応前後の乾燥固体の重量の変化によりセルロース変換を測定した。液体生成物の収率を、次式により計算した:収率(%)=(生成物の重量)/(セルロースの重量)×100%.
【0031】
【表3】

【0032】
表3に示すように、本発明における様々なメソ多孔性炭素担持タングステンカーバイド触媒を使用して、促進剤としてのニッケルがない場合ですら、高い活性及び選択性で、セルロースはエチレングリコールに分解された。エチレングリコールの収率は、70%を超えた。メソ多孔性炭素担持触媒の高い活性は、タングステンカーバイドの分散並びに反応体及び生成物分子の輸送を向上させ、かくして有意により望ましい選択性へと導く、MC担体のメソ多孔性構造にありうる。ニッケルの添加は、エチレングリコールの収率を高める。一方で、メソ多孔性炭素担持触媒に関しては、ニッケルの添加は、タングステンカーバイド粒子の凝集を招く。その結果、エチレングリコールの収率の増大が明らかではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メソ多孔性炭素が、高い表面積及び細孔容積を有する担体であり;
タングステンカーバイド触媒が、炭素担体の表面上又はチャンネル中に分散されており;
Wの金属成分が、触媒の1〜80wt%、特に30〜42wt%を占める;
メソ多孔性炭素担持タングステンカーバイド触媒。
【請求項2】
Ni促進剤の金属成分が、触媒の0.1〜30wt%、そして特に2〜5wt%を占める、請求項1記載の触媒。
【請求項3】
担体が、不定形メソ多孔性炭素MC、MC−R及び規則性メソ多孔性炭素CMK−3、CMK−8である、請求項1記載の触媒。
【請求項4】
担体が、ナノ注入方法で合成され、ハードテンプレートが、市販のシリカゾル、すなわち、直径5〜100nmを有するシリカゾル、規則性SBA−15及びKIT−6であり;炭素前駆体がスクロース、フェノール樹脂、メソフェースピッチ、フルフリルアルコール又はそれらの混合物であり;ハードテンプレート1gに炭素前駆体0.1〜10gを含浸させ、40〜350℃で0.5時間を上回る時間加熱し、そして不活性雰囲気中400〜1000℃で0.5時間を上回る時間炭化させ、チャンネル構造を破壊することなくテンプレートを除去するために、酸又はアルカリの濃度を適切に選択し、ハードテンプレートをHF又はNaOH溶液により除去し;濾過し、洗浄し、そして60〜120℃で乾燥させた後、異なる構造を有するメソ多孔性炭素を得る、請求項1記載の触媒。
【請求項5】
MC、CMK−3及びCMK−8が、ハードテンプレートとしての市販のシリカゾル、規則性SBA−15及びKIT−6と一緒に合成される方法であって;ハードテンプレート1.0gにスクロース1.0〜2.1g、濃HSO0.1〜0.3g、そしてHO 5〜8mlを含浸させ、そして得られた混合物を95〜110℃で6時間、そして160〜170℃で6時間乾燥させ;最終固体をN中で800〜900℃で3〜6時間炭化させ;ハードテンプレートシリカを、60〜80℃で2〜24時間、5wt% HF又は2M NaOH溶液により除去し;濾過し、洗浄し、そして80〜120℃で乾燥させた後、MC、CMK−3及びCMK−8を得る、請求項4記載の触媒。
【請求項6】
ハードテンプレートが、平均直径5〜100nmを有する市販のシリカであり;炭素前駆体が、レゾルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)との混合溶液(R/F比が0.1〜2の間である)であり;レゾルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)とシリカゾルとの混合物(Si/R比が0.1〜20の間である)を10分間を上回る時間混合し;得られた混合物を、40〜160℃で0.5時間を上回る時間処理し、そして次に固体を、不活性雰囲気中400〜1000℃で0.5時間を上回る時間炭化させ;チャンネル構造を破壊することなくテンプレートを除去するために酸又はアルカリの濃度を適切に選択して、ハードテンプレートシリカをHF又はNaOH溶液により除去し;濾過し、洗浄し、そして60〜120℃で乾燥させた後、MC−Rを得る、請求項4記載の触媒。
【請求項7】
触媒を、タングステン及びニッケル又はタングステン塩溶液をメソ多孔性炭素担体上に含浸させ、40〜140℃で乾燥させ、そしてH流中で0.5時間を上回る時間浸炭させることにより調製し;Niを添加していない触媒を、850〜1000℃で浸炭させ、そしてNiを添加した触媒を650〜800℃で浸炭させる、請求項1記載の触媒の製造方法。
【請求項8】
タングステン及びニッケル又はタングステン塩溶液をMC、CMK−3、CMK−8、MC−R炭素担体上に含浸させ、110〜120℃で乾燥させ、そしてH流中で1時間を上回る時間浸炭させ;Niを含まない触媒を、850〜900℃で浸炭させ、そしてNiを含む触媒を700〜750℃で浸炭させる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
触媒を、セルロースのエチレングリコールへの直接触媒変換に適用し;反応を撹拌器を備えた密閉高圧反応器で実施し、セルロース対水の重量比が1:200〜1:1の間であり;セルロース対触媒の重量比が、1:1〜100:1の間であり;そこでの初期の水素圧が、室温で1〜12MPaの間であり;反応温度が120〜300℃であり、そして反応時間が10分間を上回る時間である、請求項1記載の触媒の使用。
【請求項10】
触媒を、セルロースのエチレングリコールへの直接触媒変換に適用し;反応を撹拌器を備えた密閉高圧反応器で実施し、セルロース対水の重量比が1:100の間であり;セルロース対触媒の重量比が10:3の間であり;そこでの初期の水素圧が、室温で3〜7MPaの間であり;反応温度が180〜250℃であり、そして反応時間が30〜180分間である、請求項9記載の触媒の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−508148(P2013−508148A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535607(P2012−535607)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/CN2010/077981
【国際公開番号】WO2011/050691
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(503190796)中国科学院大▲連▼化学物理研究所 (6)
【Fターム(参考)】