説明

メゾ及びマクロ孔隙率を有する活性炭に基づく吸着剤

本願発明は、活性炭の独立した粒状で存在する高いメゾ及びマクロ孔隙率の活性炭に基づく高性能吸着剤において、該高性能吸着剤の総孔容積の少なくとも55%が、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成されること、該高性能吸着剤が、25オングストロームより大きい中心傾向孔径の寸法を有すること、且つ該高性能吸着剤が、少なくとも1250m/gのBET表面積を有する高性能吸着剤に関する。このような高性能吸着剤は、2段階の活性化を具備する方法によって得ることができ、さらに、上述した特性に加えて、優れた摩耗抵抗及び破裂抵抗を有し、多種多様な分野において使用することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸着技術に関する。特に、本願発明は、メゾ及びマクロ孔隙率を有する活性炭に基づく高性能吸着剤及びその製造方法、さらに吸着性フィルター材料のためのこの高性能吸着剤の使用、食品産業のための(例えば、食料製品の製造及び/若しくは漂白するための)この高性能吸着剤の使用、特に気体又は空気流から有毒物、有害物及び臭気物を吸着するためのこの高性能吸着剤の使用、気体、特に空気、液体、特に水の浄化又は清浄化のためのこの高性能吸着剤の使用、医学分野における応用又はより正確な調剤のための応用における高性能吸着剤の使用、及び、特に気体、液体等のための吸着貯蔵媒体としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は、通常の吸着特性を有するので、吸着剤として最も広く使用されている。環境に対する法的規制及び責任の増大は、活性体の要求を増大させている。
【0003】
活性炭は、一般的に、炭化(いぶし、焼成等)及びそれに続く炭化化合物の活性化によって得られ、その化合物が経済的に合理的な生産を導くことが望ましい。これは、炭化工程における揮発性物質の離脱及び活性化工程における焼成による重量損失が著しいからである。活性炭の製造に関しては、例えば、非特許文献1を参照。
【0004】
製造された活性炭の構造−微細に又は粗い多孔状の、堅い、もろい、等−は、開始材料に依存する。通常の開始材料は、ココナッツ殻、木炭及び木材(例えば廃材)泥炭、瀝青炭、ピッチだけでなく、例えば織られた活性炭織布の製造の一部を受け持つ特定の合成樹脂である。
【0005】
活性炭は、微粉末カーボン、裂炭カーボン、顆粒カーボン、成形カーボン、及び1970年代以来の球形のカーボン(「球状カーボン」)等のいろいろな形で使用される。球状活性炭は、ある種の適用に使用可能であり又は必須である粉末カーボン、裂炭カーボン、顆粒カーボン、成形カーボン等のような形状とは異なる多くの利点を有する。それは、易流動性であり、摩耗抵抗であり、又はより埃がでないようにすることであり、堅いことである。球状カーボンは、その特別な形状だけでなく、その高い摩耗抵抗により、特別な適用について大きな要求がある。
【0006】
球状カーボンは、今日では、多数段階の、多くの費用がかかる効率の悪い方法によって製造されている。最も知られた方法は、歴炭コールタールピッチ及び石油化学工業からの適当なアスファルト残留物から球状物を製造し、それらを溶かさないように酸化し、その後燻して活性化することからなる。例えば、球状カーボンは、複数段の工程において、瀝青から製造される。これら複数段の工程は、大変コスト的に高く、この球状カーボンの高いコストは、球状カーボンの特性を生かせる応用分野での適用を阻害するものであった。
【0007】
特許文献1は、活性炭球状物を製造する方法を開示する。そこで、ジイソシアナート製品蒸留残留物からなる混合物、球状加工助剤及び必要に応じてさらなる添加物が、易流動性球状物に加工され、それに続いてこの方法で得られた球状物が、炭化され且つそれに続いて活性化される。
【0008】
さらに、従来技術は、新しい又は使用された硫酸基を具備する鉄交換体を燻し及びその後活性化することによって、又は、硫酸の環境下で鉄交換体前駆体をいぶし、その後活性化することによって球状カーボンを製造すること、及び硫酸基及び硫酸がそれぞれに架橋機能を有することを開示する。そのような工程は、特許文献2,3,4及び5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 98/07655 A1
【特許文献2】DE 43 28 219 A1
【特許文献3】DE 43 04 026 A1
【特許文献4】DE 196 00 237 A1
【特許文献5】DE 196 25 069 A1
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】H.v.キエンレ及びE.ベダー、活性炭及びその産業的利用、エンケ出版、シュタットガルト、1980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、多くの応用性があり、そこで、それは、幾何学的配置又はより正確な決定的に重要な活性炭の外部形状だけでなく、その孔隙率、特に総孔隙量及び吸着能力であり、孔の分散、例えば総孔隙量に対する小、メゾ及びマクロ孔の分率である。
【0012】
食品産業、所定の吸着材料の製造(例えばNBC防護衣服等)、気体又は空気流からの有毒、有害及び臭気物の吸着、特に空気のような気体及び液体の浄化又は清浄化、医療産業又はより正確な調剤のための応用、気体や液体等の吸着保存における利用のために、特に活性炭の高いメゾ及びマクロ孔隙率、例えば最初に述べた応用に関する高い総孔隙量と結合する高いメゾ及びマクロ孔隙量分率を要求する多くの応用がある。
【0013】
事実、従来技術からこの目的のために知られている活性炭は、所定の量のメゾ及びマクロ孔隙率を有するが、すべての場合で不十分である。さらに、上昇する孔隙率は、機械的安定性又はより正確な摩耗抵抗において、望ましくない、場合によって受容不可能な減少を伴うことが知られている。また、メゾ及びマクロ孔隙率によって説明される総孔隙量の分率及び絶対孔隙量のいずれも、すべての応用に関して適当な性能及び/若しくは適当な浸漬能力(例えば金属又は金属塩で浸漬させること)を確保するのに十分ではない。
【0014】
それゆえに、本願発明の目的は、活性炭に基づいて、特に上述した応用分野に最適であり、且つ従来技術の上述した不具合を実質的に回避し、又は回復することのできる高性能吸着剤を提供することである。さらに、本願発明によって提供された吸着剤は、高いメゾ及びマクロ孔隙率、たとえば総孔隙量に対する高いメゾ及びマクロ孔隙率分率を有すると同時に、良好な機械的安定性、摩擦及び破壊に対する高い安定性を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
尚、本願発明に関して、「ミクロポア」は、20オングストローム以下の孔径を有する孔を示すものであり、「メゾポア」は、20オングストロームより大きく500オングストローム以下の範囲内の孔径を有する孔を示すものであり、「マクロポア」は、500オングストロームよい大きい孔径を有する孔を示すものである。
・ ミクロポア:孔径micropores≧20オングストローム
・ メゾポア: 20オングストローム<孔径mesopores≦500オングストローム
・ マクロポア: 孔径macropres>500オングストローム
【0016】
上述した課題を解決するために、本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、特に請求項1による球形状である活性炭の分離した粒状である活性炭に基づいた高性能吸着剤を提供する。さらに、本願発明の高性能吸着剤の利益的な具体例は、対応する従属請求項の主題である。
【0017】
本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、対応する方法請求項で定義されるように、本願発明による高性能吸着剤を製造する方法を提供する。
【0018】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、対応する使用請求項で定義されるように、本願発明による高性能吸着剤の使用を提供する。
【0019】
したがって、本願発明の第1の様相によれば、下記するパラメータによって特徴付けられる特に球状である活性炭の分離した粒状である活性炭に基づいた高性能吸着剤を提供される:
・ 前記高性能吸着剤の総孔隙量の少なくとも55%を有する20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成される孔隙量分率(例えば、メゾ及びマクロ孔隙量分率)(このパラメータは、総孔隙量に関して外側孔隙量の分率として交換可能に参照される)。
・ 25オングストロームより大きい中心傾向孔径の測定。
・ 少なくとも1250m/gのBET表面積。
【0020】
本願発明の高性能吸着剤、より正確には活性炭は、上述した特性、より正確にはパラメータ、特に高いメゾ及びマクロ孔隙量分率(例えば、20オングストロームより大きい孔径を有する孔による高い孔隙量分率)に加えて、特に大きな総間隙量と同時に大きなBET表面積について注目に値する。
【0021】
下記するものにおいて示されるように、本願発明の高性能吸着剤の機械的強度、特に摩耗抵抗及び破裂抵抗、より正確には圧縮強度は、(従来技術の比較可能な高い孔隙量活性炭に対して)、高い総間隙量にもかかわらず極端に高いので、本願発明の高性能吸着剤、より正確には活性炭は、大きな機械的負荷にさらされる場所での応用に関して最適である。
【0022】
上記及び下記されるパラメータ指標のすべてに関して、列挙された限定、特に上限及び下限が含まれ、例えば、値に関するすべての記載は、それぞれの場合に特別に述べられたものを除いて、それぞれの限定を含むものとして理解されるべきであることを述べておく。さらに、それぞれの場合、特に応用例に関して、必要に応じて本願発明の範囲を逸脱することなく述べられた限定から少し離れる場合もあることを述べておく。
【0023】
上記及び下記されるパラメータは、標準化され又は明確に指摘された測定方法を使用して、又は、その技術分野における通常の技術を有する者にとってそれ自体類似する測定方法を使用して決定される。
【0024】
孔隙率、特に上述されたメゾ及びマクロ孔隙量分率(例えば、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって特徴づけられる高性能吸着剤の総孔隙量分率)の特徴に関するパラメータデータは、それぞれ測定された活性炭の窒素等温線から導かれる。
【0025】
中心傾向孔径の測定は、それぞれの窒素等温線に基づいて同様に測定される。
【0026】
特定の表面積を測定するBET法は、原則的に、その技術分野における通常の知識を柚須売る者にとって公知であるので、これに関してさらに細かく説明しない。BET表面積データのすべては、ASTM D6556−04測定法に基づいている。本願発明は、0.05〜0.1の部分圧力範囲p/pにおいて、マルチポイントBET(MP−BET)法を使用する。
【0027】
BET表面積の測定に関する詳細、正確にはBET法に関して、上述したASTM D6556−04基準と、ロンプケミエレクシコン、第10版、ゲオルグ論文出版、シュタットガルト/ニューヨーク、表題:「BET法」と、そこに含まれる引用文献と、ヴィンナッカー−クヒラー(第3版)、第7巻、第99頁ff及びZまで、Anal、Chem.238,第187頁〜193頁(1968)を参照のこと。
【0028】
上述且つ以下に特定されるように、本願発明の高性能吸着剤の特別な特徴は、それらが、グールヴィッチ法によって測定されたような大変大きな総孔隙量を有し、メゾ及びマクロ孔隙量分率(いわゆる20オングストロームより大きい孔径を有する孔による孔隙量分率である)が、総孔隙量の少なくとも55%と大変高い吸着剤において、大変大きな吸着能力を提供することである。
【0029】
総孔隙量のグールヴィッチ測定法は、その技術分野における通常の知識を有する者にとってよく知られた測定法である。総孔隙量のグールヴィッチ測定法の関する詳細は、例えばL.グールヴィッチ(1915)、J.物理化学協会、ロシア、47,805,及びS.ローエル他、多孔性個体及び粉末の特性:表面積孔サイズ及び密度、クルヴェールアカデミー出版、商品科学シリーズ、第111頁以降を参照すること。
【0030】
本願発明の高性能吸着剤のグールヴィッチ総孔隙量は、少なくとも0.8cm/g、特に少なくとも1.0cm/g、好ましくは1.2cm/gであり、且つ2.0cm/gまで、特に2.5cm/g、好ましくは3.0cm/g、より好ましくは3.5cm/gまでの値を得ることができる。
【0031】
本願発明の高性能吸着剤のグールヴィッチ総孔隙量は、0.8〜3.5cm/gの範囲内であり、特に1.0〜3.5cm/gの範囲内であり、好ましくは1.2〜3.2cm/gの範囲内である。
【0032】
そのような高いメゾ及びマクロ孔隙率によって、本願発明の高性能吸着剤のメゾ及びマクロ孔隙量(言い換えると、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成された孔隙量)は、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成された本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法孔隙量(言い換えると、メゾ及びマクロ孔隙量)が、0.4〜3.3cm/gの範囲内、特に0.8〜3.2cm/gの範囲内、好ましくは1.0〜3.1cm/gの範囲内、より好ましくは1.2〜3.0cm/gの範囲内、最も好ましくは1.2〜2.8cm/gの範囲内であることにおいて相対的に高いものである。20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成された孔隙量は、「外側孔隙量」とほとんど同じ意味で用いられる。
【0033】
本願発明の高性能吸着剤の総孔隙量の少なくとも60%、特に少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも80%が、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって(言い換えると、メゾ及びマクロ孔隙量によって)形成される。
【0034】
本願発明の高性能吸着剤の総孔隙量の55%〜95%、特に60%〜95%、好ましくは65%〜90%、より好ましくは70%〜85%は、20オングストロームより大きい孔径を有する孔の孔隙量によって形成される。上述した割合は、いわゆる外部孔隙量の分率による本願発明の高性能吸着剤の合計孔隙量の上記割合と一致する(すなわち、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成される孔隙量)。
【0035】
測定に関するカーボンブラック法は、その技術分野における通常の技術を有するものにとって当然公知(P/P0率の記入及び突き合わせを含む対応する分析として)であるので、この件についての詳細な説明は不要であると思う。カーボンブラック法のさらなる説明について、孔表面積及び孔隙量については、アメリカ化学協会のゴム部門の会合に提出されたR.W. Magee、窒素吸着によるカーボンブラックの外部表面積の評価、1994年10月及びそれに引用された例:Quantachrome Instruments, AUTOSORB-1, AS1 WinVersion 1.50, Operation Manual, OM, 05061, Quantachrom Instruments 2004, Florida, USA, Page 71 ff が参照されるべきである。
【0036】
本願発明の高性能吸着剤のメゾ−及びマクロ孔隙率によれば、中心傾向孔径の測定値は、少なくとも30オングストローム、特に少なくとも35オングストローム、好ましくは少なくとも40オングストロームと、相対的に高いものである。
【0037】
一般的に、本願発明の高性能吸着剤の中央傾向孔径の測定値は、25オングストローム〜75オングストロームの範囲内であり、特に30オングストローム〜75オングストロームの範囲内であり、好ましくは35オングストローム〜70オングストロームの範囲内であり、より好ましくは40オングストローム〜65オングストロームの範囲内である。
【0038】
上述したように、BET表面積が相対的に大きいこと、それが少なくとも1250m/gであること、好ましくは少なくとも1400m/gであること、より好ましくは少なくとも1500m/gであること、最も好ましくは少なくとも1600m/gであることが、本願発明の高性能吸着剤のさらに特別な特徴である。
【0039】
通常、本願発明の高性能吸着剤のBET表面積は、1250〜2800m/gの範囲内、特には1400〜2500m/gの範囲内、好ましくは1500〜2300m/gの範囲内、より好ましくは1600〜2100m/gの範囲内である。
【0040】
本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法外部孔表面積(いわゆる20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成される孔表面積である)は、高いメゾ−及びマクロ孔分率により比較的大きく、且つ一般的に200〜1000m/gの範囲内、特に250〜950m/gの範囲内、好ましくは350〜900m/gの範囲内、より好ましくは400〜850m/gの範囲内である。
【0041】
通常、本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法外部孔表面積(いわゆる、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成された孔表面積)は、本願発明の高性能吸着剤の総孔表面積の30%まで、特に40%まで、好ましくは50%までを形成する。
【0042】
特に、本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法外部孔表面積(いわゆる、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成された孔表面積)は、本願発明の高性能吸着剤の総孔表面積の10%〜50%、特に15%〜45%、好ましくは20%〜40%を形成する。
【0043】
さらに、本願発明の高性能吸着剤は、極端に高いブタン吸着性を有すると同時に、極端に高いヨウ素価を有し、その事実が、吸着するべき広い範囲の材料に関して非常の優れた吸着特性を有することを示している。
【0044】
本願発明の高性能吸着剤のASTM D5742-95/00ブタン吸着性は、通常、少なくとも30%であり、特に少なくとも35%であり、好ましくは40%である。本願発明の高性能吸着剤は、30%〜80%の範囲内、特に35%〜75%の範囲内、好ましくは40%〜70%の範囲内のASTM D5742-95/00ブタン吸着性を有する。
【0045】
本願発明の高性能吸着剤のASTM D4607-94/99ヨウ素価は、少なくとも1250mg/gであり、特に少なくとも1300mg/gであり、好ましくは少なくとも1350mg/gである。本願発明の高性能吸着剤は、1250〜2100mg/gの範囲内、特に1300〜2000mg/gの範囲内、好ましくは1350〜1900mg/gの範囲内のASTM D4607-94/99ヨウ素価を有する。ヨウ素価は、著しく大きなミクロ細孔によって提供される適切な表面積の測定値として採用することができるので、本願発明の高性能吸着剤のヨウ素価の上述した値は、本願発明の高性能吸着剤が、同時に高いミクロ間隙率を有することを示すものである。
【0046】
それらの高いメゾ−及びマクロ間隙率によれば、本願発明の高性能吸着剤は、メゾ−及びマクロ細孔によって卓越して提供される適切な表面積の測定値として採用可能な同時に高いメチレンブルー及び糖蜜吸着数を有する。吸着剤の定義された量によって吸着されるメチレンブルーの量を示すメチレンブルー数又はメチレンブルー吸着性(いわゆる乾燥又は粉末状の吸着剤の定義された量によって脱色されたメチレンブルー標準溶液のミリリットル数である)は、より大きなミクロ細孔及びより小さいメゾ細孔に関連し、メチレンブルーと大きさにおいて同等である分子に関して、本願発明の高性能吸着剤の吸着能力の指標を与える。これと比較して、前記糖蜜数は、メゾ細孔及びマクロ細孔の測定値と見なすことができるものであり、標準糖蜜溶液を脱色するために要求される吸着剤の量を指摘するので、糖蜜数は、糖蜜(一般的に砂糖大根糖蜜)と大きさにおいて同等である分子に関して、本願発明の高性能吸着剤の吸着能力の指標を与える。そのため、メチレンブルー及び糖蜜数は、本願発明の高性能吸着剤のメゾ−及びマクロ間隙率の測定値と見なすことができる。
【0047】
下記するCEFIC(コンシール ユーロピエン デス フェデレーション デス インダストリエ キミッケス、ルイス通り250,Bte 71,B- 1050ブリュッセル、1986年11月、化学工業連盟のヨーロッパ会議、活性炭のためのテスト法、第2.4項「メチレンブルー値}、27/28頁)の方法によって測定された本願発明の高性能吸着剤のメチレンブルー値は、少なくとも15mlであり、特に少なくとも17mlであり、好ましくは少なくとも19mlであり、且つ15〜60mlの範囲内であり、特に17〜50mlの範囲内であり、好ましくは19〜45mlの範囲内である。
【0048】
上述したCEFIC法によるメチレンブルー値は、0.1gの乾燥及び粉末状の活性炭によって脱色されるメチレンブルーの標準溶液のml数として定義される。この方法を実行するには、摺り合わせ栓、フィルタ及び下記のように調合されたメチレンブルー標準溶液とを有するガラス容器が必要である。その調合は、1200mgの純粋メチレンブルー染料(DABVI[German Pharmacopeia, 第6編]又は同等の製品に対してメチレンブルー約1.5gに対応)が、1000mlのメスフラスコの水に溶解され、その溶液は数時間又は一昼夜放置される。その強さをチェックするために、5.0mlの溶液が、メスフラスコ内で1.01に0.25%(容積分率)の酢酸で希釈され、その後、吸収度が、620nm及び1cm通路長で測定され、0.840±0.010となるように調整される。もし吸収度が高い場合は、計算された量の水で希釈し、もし低い場合は、溶液を廃棄し、新しくする。サンプル調合によって、粒状活性炭形状の高性能吸着剤は、粉砕され(<0.1mm)且つ150℃で一定量まで乾燥される。正確に0.1gの粒状活性炭が、25ml(5ml)のメチレンブルー標準水溶液と磨りガラスフラスコ内で結合される(先行試験が実行され、5mlの添加剤を有する25mlのメチレンブルー標準溶液の初期添加剤を使用するべきか、1mlの添加剤を有する5mlのメチレンブルー標準溶液の初期添加剤を使用するべきかが判断される)。フラスコは、脱色が生じるまで振られる。そして、さらに5ml(1ml)のメチレンブルー標準溶液が添加され、脱色点までフラスコが振られる。メチレンブルー標準溶液は、5mlの量(1mlの量)で繰り返して添加され、脱色が5分以内で生じるまで繰り返される。サンプルによって脱色されるテスト溶液の全体量が記録される。テストは、得られた結果が確定するまで繰り返される。ちょうど脱色されたml単位のメチレンブルー標準溶液の量が、高性能吸着剤のメチレンブルー値となる。これについて、メチレンブルー染料は、熱感応性であるので、乾燥させる必要がなく、むしろ水含有量が純粋に計算によって補正されるべきであることに注意しなければならない。
【0049】
無次元糖蜜数は、原則的に、Norit法(Norit N. V., Amersfoort, Netherlands, Norit Standard Method NSTM 2.19 「糖蜜数(ヨーロッパ)」)を実行するかPACS法(PACS=Professional Analytical and Consulting Services Inc., Coraopolis Pennsylvania, USA)を実行するかのいずれかによって測定される。本願発明に関して、糖蜜数の値は、PACS法を実行することによって測定される。これによって、本願発明の高性能吸着剤のPACS法による糖蜜数は、少なくとも300であり、特に少なくとも350であり、好ましくは少なくとも400であり、且つ300〜1400の範囲内であり、特に350〜1300の範囲内であり、好ましくは400〜1250の範囲内であり、最も好ましくは700〜1200の範囲内である。
【0050】
Norit法を実行するかPACS法を実行するかのいずれかによって、糖蜜数は、標準糖蜜溶液を脱色するために必要な活性炭に基づく粉末状高性能吸着剤の量を測定することによって決定される。測定は、光度測定的に達成され、標準糖蜜溶液は、245及び/若しくは350の糖蜜数を有する標準化された活性炭に対して標準化される。これに関するさらなる詳細は、2つの上述された規定の方法を参照することによってなされる。
【0051】
それらの高い孔隙率、特にメゾ及びマクロ孔隙率にもかかわらず、本願発明の高性能吸着剤は、圧縮又は破裂強度(重量負荷に対する抵抗)及び極端に高い摩耗抵抗を有する。
【0052】
これによって、活性炭の粒当たり、特に活性炭の球状体当たりの前記圧縮又は破裂強度(重量負荷に対する抵抗)は、少なくとも5N、特に少なくとも10N、好ましくは少なくとも15Nである。通常、活性炭の粒当たり、特に活性炭の球状体当たりの圧縮又は破裂強度(重量負荷に対する抵抗)は、5〜50Nの範囲内、特には10〜45Nの範囲内、好ましくは15〜40Nの範囲内である。
【0053】
上述したように、本願発明の高性能吸着剤の摩耗抵抗は、CEFIC((コンシール ユーロピエン デス フェデレーション デス インダストリエ キミッケス、ルイス通り250,Bte 71,B- 1050ブリュッセル、1986年11月、化学工業連盟のヨーロッパ会議、活性炭のためのテスト法、第2.4項「メチレンブルー値}、27/28頁)の方法によって測定された摩耗抵抗が、常に100%又は事実上100%であるように、極端に高いものである。同様に、ASTM D3802によって測定される場合、100%又は実質的に100%の本願発明の高性能吸着剤の摩耗抵抗が、常に得られるものである。
【0054】
このため、出願人は、このCEFIC法の延長線上にある改良させたテスト法を発展させ、より意味のある値を得ることができるようになった。その改良された測定方法は、実際の使用状態に近い条件下で剥離又は摩耗に対するサンプル、詳しくは高性能吸着剤の抵抗のシミュレーションを提供する。この目的のために、前記サンプルは、タングステンカーバイドボールが充填された水平揺動粉砕カップ内に所定時間、標準化された状態で晒される。この目的のために採用された条件は、200gのサンプルが、循環空気乾燥キャビネット(型名:Heraeous UT 6060 Kendro GmbH, Hanau製)において、120℃±2℃で1時間乾燥され、その後、室温まで乾燥剤で覆われた乾燥機内でクールダウンされる。50gの乾燥されたサンプルが、分析ふるいを備えたふるい機(例えば、型名:AS200、Retsch GmbH, Hanau製)によって、分析ふるいによって10分間、1.2mmの揺れ量で、移動しふるいにかけられる(例えば、メッシュサイズ:0.315mm、直径:200mm、高さ50mmの分析ふるい)。標準よりも小さい粒は排除される。5mlの通常粒は、DIN ISO 384(容量:10ml、高さ:90mm)に対する10mlの目盛り付シリンダに充填され、その重量は、化学天秤(型名:BP121S、Sartorius AG製、計量範囲:120g、精度:E2、判読率:0.1mg)を使用して、磨りガラス蓋を有する計量グラス(容積:15ml、直径:35mm、高さ:30mm)によって0.1mg単位で正確に測定される。計量されたサンプルは、ねじ込みクロージャーを有する25ml粉砕カップ(容積:25ml、直径:30mm、長さ65mm、材質:ステンレス鋼)内に、20mmの直径を有するタングステンカーバイド粉砕ボールと共に配置され、それから、摩耗テストが、揺動ミル(型名:MM301、Retsch GmbH, Haan製、揺動カップ付揺動ミル)によって実行される。尚、揺動カップは、水平方向に1分間、揺動ミルの10Hzの周波数で揺れ、粉砕ボールがサンプルに衝突して摩耗を生じさせる。その後、サンプルは、ふるい機によって、上述した分析ふるいによって5分間1.2mmの揺れ量でふるいにかけられ、標準より小さい粒が排除され、通常の粒は、関連したサンプル(例えば、0.315mmより大きい通常の粒)の粒分布によって、蓋を有する計量グラス内に0.1mg毎に正確に計り直される。摩耗硬度は、下記する数式によって、%表示で容積分率として計算される。摩耗硬度[%]=(100×計り直し重量[g]/原重量[g]。
【0055】
上述したCEFIC標準を改良することによって本出願人によって改良されたこの測定方法によれば、本願発明の高性能吸着剤の摩耗抵抗は、少なくとも75%であり、特に少なくとも80%であり、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%であり、最も好ましくは少なくとも95%である。
【0056】
上述したように、それらが、ある程度のミクロ孔隙率を有し、且つそれによる所定のミクロ孔表面積(例えば、20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成される表面積)を有することが、本願発明の高性能吸着剤のさらに特別な特色である。20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成される本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法によるミクロ孔表面積は、少なくとも1000m/gであり、特に少なくとも1100m/gであり、好ましくは少なくとも1200m/gであり、且つ、1000〜1800m/gの範囲内であり、特に1100〜1600m/gの範囲内であり、好ましくは1200〜1500m/gの範囲内である。
【0057】
20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成される本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法のミクロ孔表面積は、本願発明の高性能吸着剤の総孔表面積の少なくとも30%であり、特に少なくとも40%であり、好ましくは少なくとも50%である。特に、20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成される本願発明の高性能吸着剤のカーボンブラック法のミクロ孔表面積は、本願発明の高性能吸着剤の総孔表面積の50%〜90%の範囲内であり、特に55%〜85%の範囲内であり、好ましくは60%〜80%の範囲内である。
【0058】
異なる分圧p/pでの本願発明の高性能吸着剤の重量及び容積に基づく容量Vads(N)は、非常の大きい。
【0059】
0.25の分圧p/pで測定された本願発明の高性能吸着剤の重量に基づいて吸着された窒素(N)量Vads(wt)は、少なくとも300cm/gであり、特に少なくとも350cm/gであり、好ましくは少なくとも375cm/gであり、且つ、特に300〜800cm/gの範囲内であり、好ましくは350〜700cm/gであり、より好ましくは375〜650cm/gの範囲内である。
【0060】
0.25の分圧p/pで測定された本願発明の高性能吸着剤の容積に基づいて吸着された窒素(N)量Vads(vol)は、少なくとも75cm/cmであり、特に少なくとも100cm/cmであり、且つ、特に75〜300cm/cmの範囲内であり、好ましくは80〜275cm/cmの範囲内であり、より好ましくは90〜250cm/cmの範囲内である。
【0061】
0.995の分圧p/pで測定された本願発明の高性能吸着剤の重量に基づいて吸着された窒素(N)量Vads(wt)は、少なくとも400cm/gであり、特に少なくとも450cm/gであり、且つ、特に400〜2300cm/gの範囲内であり、好ましくは450〜2200cm/gであり、より好ましくは750〜2100cm/gの範囲内である。
【0062】
0.995の分圧p/pで測定された本願発明の高性能吸着剤の容積に基づいて吸着された窒素(N)量Vads(vol)は、少なくとも200cm/cmであり、特に少なくとも250cm/cmであり、且つ、特に200〜500cm/cmの範囲内であり、好ましくは250〜400cm/cmの範囲内であり、より好ましくは275〜380cm/cmの範囲内である。
【0063】
本願発明の高性能吸着剤は、ASTM D2862−97/04で測定された中央傾向粒子径のその測定値が、0.01〜2.0mmの範囲内、特に0.01〜1.0mmの範囲内、好ましくは0.05〜0.9mmの範囲内、より好ましくは0.1〜0.8mmの範囲内、最も好ましくは0.15〜0.7mmの範囲内である粒状、特に球形状活性炭に基づいている。
【0064】
ASTM D2866−94/04で測定された本願発明の高性能吸着剤の灰含有量は、約1%であり、特に約0.8%であり、特に約0.6%であり、より好ましくは約0.5%である。
【0065】
本願発明の高性能吸着剤のASTM D2867−04−04で測定された水分含有量は、約1%であり、特に約0.5%であり、好ましくは約0.2%である。
【0066】
本願発目の高性能吸着剤は、ASTM B527−93/00で測定された150〜750g/リットルの範囲内、特に175〜650g/リットル、好ましくは200〜600g/リットルの嵩密度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】活性炭Iについての相対圧力に対する窒素吸着量を示した窒素等温線である。
【図2】活性炭IIについての相対圧力に対する窒素吸着量を示した窒素等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、下記するパラメータによって特徴づけられる活性炭の独立した粒の形状、特に球形状の活性炭に基づく高性能吸着剤を提供する。
・ 高性能吸着剤の総孔隙量の少なくとも55%からなる20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成される孔隙量分率、
・ 25オングストロームより大きい中心傾向孔径の測定値、
・ 少なくとも1250m/gのBET表面積、
・ 少なくとも15mlのメチレンブルー値、
・ 少なくとも300の糖蜜数。
【0069】
本願発明の第2の様相によって、本願発明は、さらに本願発明による高性能吸着剤を製造するための本願発明の方法を提供する。本願発明のこの様相によれば、本願発明は、活性炭に基づく上述した活性炭を製造する方法を提供し、その方法は、最初に炭化されその後に活性化される炭素質の初期材料を具備するものであり、前記活性化が2つの段階で実行され、炭化された開始材料が、最初に水蒸気を具備する雰囲気で活性化される第1の活性化段階が実施され、その後二酸化炭素を具備する雰囲気で活性化される第2の活性化段階が実施される。
【0070】
本願発明の高性能吸着剤は、好ましくは粒状、より好ましくは球形状のスルホン酸スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、特にスルホン酸ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン等の炭素質の開始材料を使用して製造される。本願発明の高性能吸着剤を製造するための開始材料として使用されるスルホン酸スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのジビニルベンゼン含有量は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーに基づいて1〜20重量%の範囲内、特に1〜15重量%の範囲内、好ましくは2〜10重量%であることが望ましい。前記開始コポリマーは、原則的に、ゲルタイプ又は前記マクロ孔質タイプから選択される。スルホン酸開始材料が使用される場合、スルホン化は、そのままの状態(特に炭化の前及び/若しくはその間)で、その技術分野における通常の技術を有するものにとって公知である方法を使用して、好ましくは硫酸及び/若しく発煙硫酸及び/若しくはSOによって実行される。これは、その技術分野における通常の技術を有するものにとって同様のものである(最初に記載された従来技術参照)。特に有効であることが証明された開始材料は、ゲル形状又はマクロ孔質タイプの対応するイオン交換樹脂、又はすでにスルホン化されたイオン交換樹脂の対応するスルホン化前駆物質である。
【0071】
前記炭化(焼結又は燻しと同義語として知られている)は、炭素質開始ポリマーを炭素に変換する。言い換えると、炭素質開始材料は炭化される。硫酸基を具備するスチレン及びジビニルベンゼンに基づく上述した有機ポリマー粒状物、特にポリマー球状物の炭化は、炭化の間、フリーラジカル及びこれによる架橋として、熱分解残留物(=炭素)がない状態なしに、硫酸基を分離する。一般的に、炭化は、不活性雰囲気(例えば窒素)、又はほとんど少しの酸化物雰囲気下で実行される。特に比較的高温(例えば500℃〜600℃の範囲内)で実行されるならば、炭化の不活性雰囲気が、少量の酸素と、特に空気(例えば1〜5%)の形で混合されることは同様に有益であるので、炭化されたポリマー駆体の酸化が効果的であり、それに続く活性化が容易になるものである。一般的に、活性化は、100℃〜950℃の温度で、特に150℃〜900℃の温度で、好ましくは300℃〜850℃の温度で実行される。炭化の合計時間は、30分から10時間、特に1時間から6時間である。
【0072】
炭化に続いて、炭化された中間製品は、結果として最終的に粒形状、特に球形状の活性炭に基づく本願発明の高性能吸着剤となるように活性化される。活性化の基本原理は、適切な条件下で、選択的に且つ特別に、炭化の間に生じる炭素の一部を減少させることである。これは、細孔、裂け目、割れ目、ひびの数を増加させ、単位重量当たりの表面積を顕著に増加させる。このように活性化は、炭素の特別な焼成である。炭素が活性化の途中で減少するので、この作業は、最適な条件下で、孔隙率、内部表面積、孔容積において上昇する物質の損失と関連して行われる。そのため、活性化は、選択された又は管理された酸化状態の下で実行される。
【0073】
本願発明の高性能吸着剤が如何に製造されるかについてと同時に、上述した開始材料の選択についての特別な特徴は、活性化工程の2つの段階における活性化工程の特別な処理にあり、そこでは、炭化された開始材料が、最初に水蒸気を具備する雰囲気で活性される第1の活性化段階で処理され、その後二酸化炭素を具備する雰囲気による第2の活性化段階で処理されるものである。出願人によって実行された研究の結果として、それは、驚くべきことに、所望の製品を得るための上述した条件におけるこれらの活性化段階の独立した作業のみである。活性化段階の順番を逆にすること、又は結合して実行された水蒸気/二酸化炭素雰囲気での活性化段階は、逆に、所望の特性を有さない、特に高いメゾ/マクロ細孔含有量及び相対的に高い絶対ミクロ細孔容量及び高い機械的安定性と結合した高い総孔隙率を有さない厳密にあまり良くない性能の製品を生じることになる。出願人の研究によって、加工が本願発明によって実行させる時に、水蒸気による活性化が、ミクロ細孔部分の形成を卓越して生じさせると同時に、二酸化炭素による活性化が、メゾ及びマクロ細孔の形成に貢献し、前記メゾ及びマクロ細孔容量の形成が、ミクロ細孔容量の犠牲で生じるものではないことがわかった。そのため、新規性を有するものは、総合的に、これが、高い安定性及び摩耗抵抗と結合した非常に大きい総孔容量と、同時に高いミクロ細孔部分と結合したメゾ及びマクロ細孔部分を生じることである(例えば、本願発明の製品の大きな範囲に対するメゾ及びマクロ細孔に形成が、従来技術における慣例のように、ミクロ細孔部分の減少を生じさせないことである)。反対に、高いミクロ細孔部分が達成させると同時に、メゾ/マクロ細孔容量部分が同時に高くなるものである。
【0074】
第1の活性化段階は、700℃〜1300℃、特には800℃〜1200℃、好ましくは850℃〜950℃の温度で、且つ/又は、5時間〜24時間、特には5時間〜15時間、好ましくは6時間〜12時間の間、実行されることが望ましい。第1の活性化段階の期間は、予め決定されたヨウ素価を達成するための機能として制御される。例えば、第1の活性化段階は、少なくとも1000mg/g、特には少なくとも1250mg/gのヨウ素価を達成するために実行される。第1の活性化段階の雰囲気は、水蒸気、特に水蒸気/不活性ガスの混合気、好ましくは水蒸気/窒素の混合気を具備するか、それらからなるものである。上述した理由について、水蒸気以外の活性化ガスの存在、特に炭素酸化物(例えば二酸化炭素)、酸素及び/若しくはアンモニアの存在は、第1の活性化段階に関しては排除されなければならない。処理量、より厳密には水蒸気の使用量が、水(大気圧下における25℃の液体の水)として換算された25〜350リットル/h、特に50〜300リットル/hである時、良好な結果をえることができる。活性化される開始材料(炭化によって予め製造された炭素化物)の量によって、水蒸気の使用量又は容積ベース処理量は、水(例えば大気圧下における25℃の液体の水)として換算され且つ水蒸気で活性化される開始材料に基づいて、0.01〜50リットル/(h・Kg)、特に0.02〜25リットル/(h・Kg)、好ましくは0.02〜5リットル/(h・Kg)であることが望ましい。
【0075】
第2の活性化段階の一般的な手続は、第2の活性化段階が、700℃から1300℃の範囲内で、特に800℃から1200℃の範囲内の温度で、好ましくは850℃から950℃の範囲内の温度で、且つ/又は1から10時間、特に3から8時間の間で実行されるものである。第2の活性化段階の雰囲気は、二酸化炭素、特に純二酸化炭素、又は二酸化炭素/不活性ガスの混合物、特に二酸化炭素/窒素の混合物を具備するものであり、又はそれらからなるものであるが、特に純二酸化炭素であることが望ましい。上述した理由により、二酸化炭素以外の活性化ガスの存在、特に水蒸気の存在は、第2の活性化段階に関して前もって処理されなければならない。二酸化炭素の処理量又は使用量が、10〜250m/h、特に20〜200m/h(純二酸化炭素に基づいて)であるときに良好な結果を得ることができるものである。活性化される開始材料の量によって、二酸化炭素の使用量又は容積ベース処理量は、所定の圧力及び所定尾の温度で、二酸化炭素で活性される開始材料に基づいて、活性化状態に基づく純粋ガス状二酸化炭素として換算された0.001〜100m/(h・Kg)、特に0.01〜50m/(h・Kg)であることが望ましい。
【0076】
その工程は、第1及び第2の活性化段階が、(例えば同一装置内での活性化雰囲気を変更することによって)お互いに併合するように実行されるものである。
【0077】
第1に、本願発明によって実行される活性化が、ミクロ、メゾ及びマクロ細孔部分に関する孔隙率の正確な制御を提供すること、第2に、極端に高い摩耗抵抗及び機械的圧縮強さが結果として生じると同時に高いメゾ及びマクロ孔隙率及び良好なミクロ孔隙率を生じることが、本願の顕著な特徴である。この方法が選択的に高いメゾ及びマクロ孔隙率と同時に十分なミクロ孔隙率を生じることは予見できるものではない。
【0078】
孔隙率は、予め特定された活性化条件を変化させることによって所定の値に調整又は制御されることができる。これによって、本願発明に係る高性能吸着剤は、いわゆる特定の仕様に従って受注生産することが可能となるものである。高いメゾ及びマクロ孔隙率及び良好なミクロ孔隙率を有するとともに高い安定性及び摩耗抵抗を有する活性炭に基づく高性能吸着剤は、従来技術から知られるものではない。他の好ましい様相は、相対的に大きい量又は部分におけるすべての種類の孔の存在により、所望の分子サイズの分子に対する優れた吸着作用である。同様に、好ましい様相は、本願発明の製品は、触媒、詳しくは金属又は金属塩での優れた含浸性である。
【0079】
図1及び図2のグラフは、異なる活性化条件下で製造された本願発明の2つの異なる高性能吸着剤についてN吸着等温線を示す。本願発明の2つの高性能吸着剤の物理的−化学的特性は、下記する表1に要約される。比較のために、クレハから製品として出荷されている活性炭が、該当する物理的−化学的特性でそこに示される。
【0080】
表1に示されるデータは、本願発明の高性能吸着剤が従来の活性炭に比べて優れていることを示している。それは、高いBET表面積の高いメゾ/マクロ孔容量部分を有する高い総孔隙率と良好な絶対ミクロ孔隙率との結合であり、高い機械的耐久性及び優れた吸着特性が、この結合において−同様に他の物理的−化学的パラメータにおいて−、本願発明の高性能吸着剤に見いだされるものである。このように、本願発明は、粒状、特に球状の活性炭に基づく、商業的に有益な製品である高性能吸着剤を製造することを可能にするものである。
【0081】
表1に示される本願発明の高性能吸着剤「活性炭I」と「活性炭II」は、それぞれ下記のように製造される。約4%のジビニルベンゼン含有量を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレンコポリマーに基づく商品として販売されている乾燥イオン交換前駆体を、硫酸/発煙硫酸混合物を使用して100℃〜150℃の温度で通常の方法においてスルホン化する。これは、窒素下で4時間、850℃までの温度で通常の方法で炭化され、その後活性化される。本願発明の活性炭Iは、約100m/hの水蒸気処理量で、約900℃で、約8.5時間、第1の活性化段階(水蒸気活性化)を実行し、35m/hの二酸化炭素処理量で、約900℃で、約8.0時間、第2の活性化段階(二酸化炭素活性化)を実行することによって製造された。これに対して、本願発明の活性炭IIは、約125m/hの水蒸気処理量で、約925℃で、約10.5時間、第1の活性化段階(水蒸気活性化)を実行し、40m/hの二酸化炭素処理量で、約925℃で、約8.0時間、第2の活性化段階(二酸化炭素活性化)を実行することによって製造された。室温まで冷却された後、表1に示された本願発明の製品が得られる。
【0082】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、さらに、本願発明に係る高性能吸着剤の使用を提供する。
【0083】
本願発明の高性能吸着剤は、例えば気体から、より詳しくは空気流から有害物、有毒物及び臭気を吸着するために使用される。さらに、本願発明の高性能吸着剤は、気体の浄化、特に空気の浄化、さらに水(例えば、飲料水処理)のような液体の浄化に使用される。さらにまた、本願発明の高性能吸着剤は、含浸(例えば触媒、さらに詳しくは金属又は金属塩による)に使用される。
【0084】
本願発明の高性能吸着剤は、例えば食品産業、特に食料品を調整し、且つ/又は脱色するために使用可能である。
【0085】
さらに、本願発明の高性能吸着剤は、吸着フィルタ材料に、詳しくは、吸着フィルタ材料の製造に使用されることができる。またそのような吸着フィルタ材料は、民間用、軍事用(例えばNBC防護)の防護衣料品、特に防護服、防護手袋、防護下着、防護靴下等の製造に使用される。
【0086】
さらに本願発明の高性能吸着剤は、医療又は薬学の分野に、特に薬剤、薬剤組成物として使用使用される。
【0087】
本願発明の高性能吸着剤は、気体及び液体の吸着貯蔵媒体として使用することもできる。
【0088】
高いメゾ及びマクロ孔隙率と所定のミクロ孔隙率を結合したそれらの高い孔隙率及び優れた吸着特性を有する良好な機械的安定性によって、本願発明の高性能吸着剤は、従来の吸着剤に比べてきわめて優れているものである。
【0089】
本願発明のさらなる具体例、改良例及び変形例は、本願発明の範囲を逸脱することなく本明細書を読むことによってその技術分野における通常の知識を有するものにとって、容易に認識し具体化できるものである。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立した粒状、特に球状の活性炭に基づく高性能吸着剤において、
該高性能吸着剤の総孔容積の少なくとも55%が、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成されること、
該高性能吸着剤が、25オングストロームより大きい中心傾向孔径の寸法を有すること、且つ
該高性能吸着剤が、少なくとも1250m/gのBET表面積を有することを特徴とする高性能吸着剤。
【請求項2】
該高性能吸着剤のグルビッチ総孔容積が、少なくとも0.8cm/gであり、特に少なくとも1.0cm/gであり、好ましくは少なくとも1.2cm/gであること、且つ/又は
該高性能吸着剤のグルビッチ総孔容積の値が、2.0cm/gまで、特に2.5cm/gまで、好ましくは3.0cm/gまで、より好ましくは3.5cm/gまでであることを特徴とする請求項1記載の高性能吸着剤。
【請求項3】
前記高性能吸着剤のグルビッチ総孔容積が、0.8〜3.5cm/gの範囲内、特に1.0〜3.5cm/gの範囲内、好ましくは1.2〜3.2cm/gの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2記載の高性能吸着剤。
【請求項4】
20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成される高性能吸着剤のカーボンブラック法孔容積は、1.4〜3.3cm/gの範囲内、特に0.8〜3.2cm/gの範囲内、好ましくは1.0〜3.1cm/gの範囲内、より好ましくは1.2〜3.0cm/gの範囲内、もっとも好ましくは1.2〜2.8cm/gの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項5】
該高性能吸着剤の総孔容積の少なくとも60%、特に少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、もっとも好ましくは少なくとも80%が、20オングストロームより大きい孔径を有する孔の孔容積によって形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項6】
該高性能吸着剤の総孔容積の55%〜95%、特に60%〜95%、好ましくは65%〜90%、より好ましくは70%〜85%が、20オングストロームより大きい孔径を有する孔の孔容積によって形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項7】
該高性能吸着剤の中心傾向孔径の寸法は、少なくとも30オングストローム、特に少なくとも35オングストローム、好ましくは40オングストロームであること、且つ/又は、該高性能吸着剤の中心傾向孔径の寸法は、25〜75オングストロームの範囲内、特に30〜75オングストロームの範囲内、好ましくは35〜70オングストローム、より好ましくは40〜65オングストロームの範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項8】
該高性能吸着剤のBET表面積は、1250〜2800m/gの範囲内、特に1400〜2500m/gの範囲内、好ましくは1500〜2300m/gの範囲内、より好ましくは1600〜2100m/gの範囲内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項9】
20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成されたカーボンブラック法孔表面積は、200〜1000m/gの範囲内、特に250〜950m/gの範囲内、好ましくは350〜900m/gの範囲内、より好ましくは400〜850m/gの範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項10】
20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成されたカーボンブラック法孔表面積は、前記高性能吸着剤の総孔表面積の30%まで、特に40%まで、好ましくは50%までであること、且つ/又は、20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成されたカーボンブラック法孔表面積は、前記高性能吸着剤の総孔表面積の10〜50%、特に15〜45%、好ましくは20〜40%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項11】
該高性能吸着剤は、少なくとも30%、特に少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%のブタン吸着性を有すること、且つ/又は、該高性能吸着剤は、30〜80%の範囲内、特に35〜75%の範囲内、好ましくは40〜70%のブタン吸着性を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項12】
該高性能吸着剤は、少なくとも1250mg/g、特に少なくとも1300mg/g、より好ましくは少なくとも1350mg/gのヨウ素価を有すること、且つ/又は、該高性能吸着剤は、1250〜2100mg/g、特に1300〜2000mg/gの範囲内、好ましくは1350〜1900mg/gの範囲内のヨウ素価を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項13】
該高性能吸着剤は、少なくとも15ml、特に少なくとも15ml、好ましくは少なくとも19mlのメチレンブルー値を有すること、且つ/又は、該高性能吸着剤は、15〜60mlの範囲内、特に17〜50mlの範囲内、好ましくは19〜45mlの範囲内のメチレンブルー値を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項14】
該高性能吸着剤は、少なくとも300の糖蜜数を有すること、且つ/又は、該高性能吸着剤は、300〜1400の範囲内、特には350〜1300の範囲内、好ましくは400〜1250の範囲内、最も好ましくは700〜1200の範囲内であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項15】
少なくとも5N、少なくとも10N、少なくとも15Nの活性炭の粒単位、活性炭の球粒単位の圧縮又は破裂強度によって、且つ/又は、5N〜50Nの範囲内、特に10N〜45Nの範囲内、好ましくは15N〜40Nの範囲内の活性炭球粒単位の破裂強度によって特徴づけられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項16】
少なくとも75%、特に少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の摩耗抵抗によって特徴づけられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項17】
20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成された高性能吸着剤のカーボンブラック法ミクロ細孔表面積は、少なくとも1000m/g、特に少なくとも1100m/g、好ましくは1200m/gであること、且つ/又は、20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成された高性能吸着剤のカーボンブラック法ミクロ細孔表面積は、1000〜1800m/gの範囲内、特に1100〜1600m/gの範囲内、好ましくは1200〜1500m/gの範囲内であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項18】
20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成された高性能吸着剤のカーボンブラック法ミクロ細孔表面積は、該高性能吸着剤の総孔表面積の少なくとも30%、特に少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%を具備すること、且つ/又は、20オングストローム以下の孔径を有する孔によって形成された高性能吸着剤のカーボンブラック法ミクロ細孔表面積は、該高性能吸着剤の総孔表面積の50%〜90%、特に55%〜85%、好ましくは60〜80%を具備することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項19】
部分圧p/p0.25で測定された高性能吸着剤の重量ベースの窒素吸着量(Vads(wt))は、少なくとも300cm/g、特に少なくとも350cm/g、好ましくは375cm/gであり、特に300〜800cm/gの範囲内、好ましくは350〜700cm/gの範囲内、より好ましくは375〜600cm/gの範囲内であること、且つ/又は、部分圧p/p0.25で測定された高性能吸着剤の容積ベースの窒素吸着量(Vads(vol)は、少なくとも75cm/cm、特に少なくとも100cm/cmであり、特に75〜300cm/cmの範囲内、好ましくは80〜275cm/cmの範囲内、より好ましくは90〜250cm/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項20】
部分圧p/p0.995で測定された高性能吸着剤の重量ベースの窒素吸着量(Vads(wt))は、少なくとも400cm/g、特に少なくとも450cm/g、好ましくは375cm/gであり、特に400〜2300cm/gの範囲内、好ましくは450〜2200cm/gの範囲内、より好ましくは750〜2100cm/gの範囲内であること、且つ/又は、部分圧p/p0.995で測定された高性能吸着剤の容積ベースの窒素吸着量(Vads(vol)は、少なくとも200cm/cm、特に少なくとも250cm/cmであり、特に200〜500cm/cmの範囲内、好ましくは250〜400cm/cmの範囲内、より好ましくは275〜380cm/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項21】
高性能吸着剤を構成する活性炭粒、特に活性炭球粒は、0.01〜2.0mmの範囲内、特に0.01〜1.0mmの範囲内、好ましくは0.05〜0.9mmの範囲内、より好ましくは0.1〜0.8mmの範囲内、最も好ましくは0.15〜0.7mmの範囲内の中心傾向粒子径を有することを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項22】
多くて1%、特に多くて0.85%、好ましくは多くて0.6%、より好ましくは多くて0.5%の灰含有量を有すること、且つ/又は、多くて1%、特に多くて0.5%、好ましくは多くて0.2%の水分含有量を有することを特徴とする請求項1〜21のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項23】
嵩密度が、150〜750g/リットル、特に175〜650g/リットル、好ましくは200〜600g/リットルであることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項24】
独立した粒状活性炭、好ましくは球状活性炭に基づく高性能吸着剤であって、
・該高性能吸着剤の総孔容積の少なくとも55%である20オングストロームより大きい孔径を有する孔によって形成される孔容積割合、
・25オングストロームより大きい中心傾向直径の寸法、
・少なくとも1250cm/gのBET表面積、
・少なくとも15ミリリットルのメチレンブルー値、及び
・少なくとも300の糖蜜値
のパラメータによって特徴づけられる請求項1〜23のいずれか1つに記載の高性能吸着剤。
【請求項25】
該高性能吸着剤が、請求項26〜34のいずれか1つに記載の方法によって製造されることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤。
【請求項26】
最初に炭化されその後活性される炭素質の開始材料を具備する請求項1〜25のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤を製造する方法において、
前記活性化は、前記開始材料が、水蒸気を具備する雰囲気で活性化される第1の活性化段階及びそれに続く二酸化炭素を具備する雰囲気で活性化される第2の活性化段階である2つの段階において実行されることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記第1の活性化段階は、700〜1300℃、特に800〜1200℃、好ましくは850〜950℃の温度で、及び/もしくは、5〜24時間の間、好ましくは6〜15時間の間、より好ましくは6〜12時間の間で実行されること特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第2の活性化段階は、700〜1300℃、特に800〜1200℃、好ましくは850〜950℃の温度で、及び/もしくは、1〜10時間の間、特に3〜8時間の間で実行されることを特徴とする請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
第1の活性化段階の雰囲気は、水蒸気、特に水蒸気/不活性ガスの混合気、好ましくは水蒸気/窒素の混合気からなり、純水蒸気に基づいて水蒸気の処理量が、25〜350m/h、特に50〜300m/hであり、及び/もしくは、水蒸気の質量ベースの処理量が、水蒸気で活性化される開始材料に基づいて水として換算した場合、0.01〜50リットル/(h・Kg)、特に0.02〜25リットル/(h・Kg)、好ましくは0.02〜5リットル/(h・Kg)であることを特徴とする請求項26〜28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
第2の活性化段階の雰囲気は、二酸化炭素、特に二酸化炭素/不活性ガスの混合気、好ましくは二酸化炭素/窒素の混合気からなり、純二酸化炭素に基づいて二酸化炭素の処理量が、10〜250m/h、特に20〜200m/hであり、及び/もしくは、二酸化炭素の質量ベースの処理量が、二酸化炭素で活性化される開始材料に基づいて活性化条件下の純気体人酸化炭素として換算した場合、0.001〜100m/(h・Kg)、特に0.01〜50m/(h・Kg)、好ましくは0.05〜10m/(h・Kg)であることを特徴とする請求項26〜29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
第1及び第2の活性化段階は、お互いに結合されることを特徴とする請求項26〜30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
第1の活性化段階は、予め設定されたヨウ素価に到達するまで、特に少なくと100mg/gのヨウ素価に到達するまで、好ましくは少なくとも1250mg/gのヨウ素価に到達するまで実行されること特徴とする請求項26〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
前記炭化は、100〜950℃の範囲内、特に150〜900℃の範囲内、好ましくは300〜850℃の範囲内の温度で、及び/もしくは、0.5〜6時間の間、及び/もしくは、不活性下又はほとんど酸化しない雰囲気下で実行されることを特徴とする請求項26〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
炭素質の開始材料が、粒状、好ましくは球状のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、特にスルホン化ジビニルベンゼン架橋ポリスチレンであり、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのジビニルベンゼン含有量が、スチレン−ジビニルベンゼン小ポリマーに基づいて1〜20重量%の範囲内、特に1〜15重量%の範囲内、好ましくは2〜10重量%の範囲内であることを特徴とする請求項26〜33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
食品産業、特に食品の調合及び/もしくは脱色に、請求項1〜25のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤を使用することを特徴とする高性能吸着剤の使用。
【請求項36】
気体又は空気流から有害物、有毒物及び臭気を吸着すること、又は、気体、特に空気、もしくは、液体、特に水を浄化することに、請求項1〜25のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤を使用することを特徴とする高性能吸着剤の使用。
【請求項37】
吸着フィルター材料、特に防護衣料品の製造に、請求項1〜25のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤を使用することを特徴とする高性能吸着剤の使用。
【請求項38】
気体又は液体の吸着貯蔵媒体として使用することを特徴とする請求項1〜25のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤の使用。
【請求項39】
医学又は薬学に分野に、特に薬品又は薬品成分として使用することを特徴とする請求項1〜25のいずれか1つに記載の活性炭に基づく高性能吸着剤の使用。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−520806(P2010−520806A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553024(P2009−553024)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000606
【国際公開番号】WO2008/110233
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】