説明

メタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネル

【課題】 色合いの変化が小さく、反射防止フィルターのない場合とほとんど同じメタル調柄を観察者が確認することのできるメタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネルを提供する。
【解決手段】 液晶ディスプレイ側から順に光学等方性板、スペーサーを介して対向する2層の透明導電膜、第2の1/4波長板、偏光板を少なくとも配置してなり、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置する円偏光方式の低反射タッチパネルにおいて、第2の1/4波長板より液晶ディスプレイ側の位置に金属光沢層を部分的に配置してメタル調柄を含む特定表示部を形成し、第2の1/4波長板と金属光沢層との間に100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルムをその光軸が第2の1/4波長板の光軸と直交するように配置した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、色合いの変化が小さく、反射防止フィルターのない場合とほとんど同じメタル調柄を観察者が確認することのできるメタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】PDA17(携帯型情報端末)等の液晶ディスプレイ上には通常タッチパネルが搭載されている。タッチパネル11の基本構造は、透明導電膜を形成した2枚の透明板12を透明導電膜5どうしがスペーサー6を介して対向するように配置させたものであり、液晶ディスプレイ9の可変表示部15などを透視しながら、スペーサー6によって絶縁されていた両透明導電膜をパネル表面の一部を専用ペンや指などで押圧することにより接触させて電気的に導通させ入力できるようにしたものである。
【0003】上記タッチパネル11の多くはタッチ入力部18が、液晶ディスプレイ9の可変表示部15の上以外に、アイコンシート13を用いた特定表示部16上にも存在する(図3,4参照)。アイコンシート13は、タッチ入力部18に常に表示する必要のある模様や頻繁に使用する機能などのスイッチ図柄を、厚さ0.1〜0.2mmのPETフィルムなどの基材シート14に印刷してパネル状にしたもので、主な目的は可変表示部15の面積節約やデザインの向上などを図ることである。この特定表示部16においてメタル調柄を表示させるときには、バインダー中に金属粒子を含有させたインキを用いて印刷した金属光沢層2をアイコンシート13の一構成層として形成する。また、タッチ入力部18表面にアイコンシート13による段差がある場合、専用ペンや指などによる入力に不都合が生じることから、通常、アイコンシート13はタッチパネル11の最下層として部分的に配置され、使用者はこれをタッチパネル11の透明導電膜5を形成した2枚の透明板12を通して見る。
【0004】また、従来、蛍光灯などのある部屋や屋外において入力作業を行うとき、透明導電膜5面で外部からの光の反射があるため、タッチパネル11の表示画面が非常に見にくいものであった。そこで、このような問題を解消するため、特開平10−48625号公報には、液晶ディスプレイ9側から順に第1の1/4波長板10、スペーサー6を介して対向する2層の透明導電膜5、第2の1/4波長板7、偏光板8を少なくとも配置したタッチパネルの実装構造が提案されている(図5参照)。第2の1/4波長板7と偏光板8とで円偏光タイプの反射防止フィルターを形成させ、外部から入射した光の透明導電膜5での反射を効率よくカットするのである。また、第2の1/4波長板7の一枚だけであると液晶ディスプレイ9側から表示用として入射する直線偏光2も円偏光に変えてしまうため、第2の1/4波長板7と光軸が直交する第1の1/4波長板10を2層の透明導電膜5と液晶ディスプレイ9との間に配置することによって位相を打ち消させている。つまり、第1の1/4波長板10で円偏光にされた後、第2の1/4波長板7で再び元の直線偏光に戻される。また、透明導電膜5は、光学等方性のガラス板や光学等方性の透明樹脂フィルム等の光学等方性板4の上に形成される場合や、第1の1/4波長板10および第2の1/4波長板7の少なくとも一方の上に直接形成される場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図5に示すように第1の1/4波長板10に透明導電膜5を直接には形成しない場合、すなわち、液晶ディスプレイ9側から順に光学等方性板4、スペーサー6を介して対向する2層の透明導電膜、第2の1/4波長板7、偏光板8を少なくとも配置してなる低反射タッチパネル1を、液晶ディスプレイ9上に第1の1/4波長板を介して設置する場合においては、従来のような金属光沢層2を有するアイコンシート13をそのまま用いてメタル調柄を表示させたとき(図6参照)に、以下のような問題が生じる。
【0006】前記第2の1/4波長板7および偏光板8で形成される反射防止フィルターとアイコンシート13との間に第1の1/4波長板10が存在しないため、偏光板8を透過して直線偏光となった外光は、一度第2の1/4波長板7を透過し、アイコンシート13の金属光沢層2において反射した後に再び第2の1/4波長板7を透過して偏光板8に向かうことになる。この同じ光軸の光学位相差フィルムを2度通る場合は、単純に位相差は足し算(1/4λ+1/4λ=1/2λ)になるので、1/2波長板を透過するのと同じである。そして、この1/2波長板は透過する直線偏光の光軸を90度変える働きをする為、再び偏光板8を通過することは出来ず、金属光沢層2において反射した光のうち可視光領域(約400nm〜700nm)の中心波長550nm付近(緑)の成分が反射防止フィルターによってカットされる。金属光沢層2表面では可視光領域の波長が全体的に大きく反射され、観察者はそれらの全ての光の成分を感じ取ることによってメタル調柄を認識している。ところが、上記カットの結果、反射防止フィルターを透過した可視光領域両端の赤及び青の成分が相対的に観察者に突出して感じ取られため、メタル調柄が赤紫色がかって認識されやすい。
【0007】したがって、本発明の目的は、上記の問題点を解決することにあり、色合いの変化が小さく、反射防止フィルターのない場合とほとんど同じメタル調柄を観察者が確認することのできるメタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、液晶ディスプレイ側から順に光学等方性板、スペーサーを介して対向する2層の透明導電膜、第2の1/4波長板、偏光板を少なくとも配置してなり、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置する円偏光方式の低反射タッチパネルにおいて、第2の1/4波長板より液晶ディスプレイ側の位置に金属光沢層を部分的に配置してメタル調柄を含む特定表示部を形成し、第2の1/4波長板と金属光沢層との間に100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルムをその光軸が第2の1/4波長板の光軸と直交するように配置した。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。図1および図2は、本発明に係る印刷表示部を有する低反射タッチパネルを、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置した一実施例を示す断面図である。図中、1は低反射タッチパネル、2は金属光沢層、3は100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム、4は光学等方性板、5は透明導電膜、6はスペーサー、7は第2の1/4波長板、8は偏光板、9は液晶ディスプレイ、10は第1の1/4波長板、14は基材シート、15は可変表示部、16は特定表示部をそれぞれ示す。
【0010】固定側に配置した光学等方性板4は、その前面に透明導電膜5を直接形成するものである。上記光学等方性板4としては、一般的なソーダガラスなどの光学等方性のガラス板の外、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなどの光学等方性の樹脂フィルム又は光学等方性の樹脂板を用いる。
【0011】第1の1/4波長板10および低反射タッチパネル1の第2の1/4波長板7は、直線偏光を分解した互いに直交する2成分の偏光に時間的な位相のズレ(位相差)を与え、直線偏光を円偏光あるいは略円偏光に変える機能を持つ光学位相差フィルムであり、特にその位相差を可視光領域(約400nm〜700nm)の中心波長(約550nm)の1/4波長、つまり約138nmとするものである。なお、直交する2成分の偏光の振幅が等しければ円偏光となり、そうでなければ楕円偏光となる。
【0012】これらの1/4波長板としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ノルボルネン系樹脂等の透明板またはフィルムを一軸延伸し、その延伸方向(光軸方向)であるx方向の屈折率と、x方向に直交するy方向の屈折率と、厚さ方向すなわちx方向とy方向に直交するz方向の屈折率とを制御することによって1/4波長の位相差を与えたものが用いられる。
【0013】低反射タッチパネル1の第2の1/4波長板7は、その前面の偏光板8と組み合わせて、円偏光タイプの反射防止フィルターを形成するものであり、偏光板8の吸収軸は、第2の1/4波長板7の光軸と45°または135°になるように形成される。この反射防止フィルターにより、屋内の蛍光灯や屋外の光等の外部からの光は偏光板8を通り直線偏光となり、第2の1/4波長板7を透過することによって円偏光となるが、透明導電膜5面で反射しても、円偏光が再び第2の1/4波長板7を通過して偏光板8の透過軸と垂直な直線偏光になるため、反射光が抑えられる。なお、第2の1/4波長板7は、ペンや指による入力を容易にするために可撓性を備えているものが用いられる。
【0014】なお、第2の1/4波長板7の光軸は、本発明の低反射タッチパネル1と液晶ディスプレイ9との間に配置する第1の1/4波長板10の光軸に対して直交する方向に配置されるのが好ましい。このように配置することによって、液晶ディスプレイ9側から表示用として第1の1/4波長板10に入射した直線偏光は、第1の1/4波長板10を透過することによって円偏光となるが、第2の1/4波長板7を透過することにより再び直線偏光に戻り、そのまま偏光板8を通り表示を行なう。
【0015】また、偏光板8としては、一般に、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素、染料などの二色性色素を含浸せて延伸し、その両面にセルロース系またはアクリル系の保護膜を被覆したもの等が用いられる。また、偏光板8上には、低反射処理、防汚処理、梨地処理などを施すことができる。あるいは、これらの処理を施したフィルムを偏光板8上に粘着剤等を介して貼りあわせてもよい。また、前記処理はいくつかを組合せて用いてもよい。ここで、低反射処理としては、フッ素樹脂やシリコン樹脂等を用いた低反射材料を塗布したり、金属の多層膜を真空蒸着法やスパッタリング法等にて形成することが挙げられる。防汚処理としては、フッ素樹脂等を用いた防汚材料を塗布することが挙げられる。また、梨地処理としては、サンドブラスト加工、エンボス加工、マットコーティング加工、エッチング加工等が挙げられる。
【0016】2層の透明導電膜5は、スペーサー6を介して対向してタッチパネルの電極となるものである。透明導電膜5の材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、ITO等の金属酸化物や金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、パラジウム等の金属の薄膜が用いられる。透明導電膜5の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法等が用いられる。本発明においては、図1に示すように第2の1/4波長板7に透明導電膜5を直接形成してもよいし、第2の1/4波長板7と透明導電膜5との間に前記光学等方性板4と同様の光学等方性の樹脂フィルム、光学等方性の樹脂板等の光学等方性の透明板を介在させていてもよい。また、透明導電膜5の表面の少なくとも一方にニュートンリングの発生を防止する目的で梨地処理を施してもよい。梨地処理により、光を散乱させ、透明電極間の光干渉を抑えることができる。また、低反射処理を施してもよい。
【0017】スペーサー6は、いずれかの透明導電膜5の表面に形成されている。スペーサー6としては、透明な光硬化型樹脂をフォトプロセスで微細なドット状に形成して得ることができる。また、印刷法により微細なドットを多数形成してスペーサー6とすることもできる。また、低反射タッチパネル1の透明導電膜5を直接形成した部材間は、両面粘着テープや透明粘着剤によって表示領域外のみ接着される。
【0018】本発明の特徴は、第2の1/4波長板7より液晶ディスプレイ9側の位置に金属光沢層2を部分的に配置してメタル調柄を含む特定表示部16を形成し、第2の1/4波長板7と金属光沢層2との間に100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3をその光軸が第2の1/4波長板7の光軸と直交するように配置したことにある。図1に示す実施例においては、金属光沢層2は100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3の裏面に直接形成し、低反射タッチパネル1の最下層として配置している。
【0019】100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3は、直線偏光を分解した互いに直交する2成分の偏光に時間的な位相のズレ(位相差)を与える光学位相差フィルムであり、特にその位相差を100〜175nm、つまり1/4波長(約138nm)の±40nmの範囲とするものである。このような構成にすることにより、偏光板8を透過して直線偏光となった外光は、一度第2の1/4波長板7および100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3を透過し、金属光沢層2において反射した後に再び100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3および第2の1/4波長板7を透過して偏光板8に向かうことになる。この第2の1/4波長板7および100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3のように光軸の直交する光学位相差フィルムを2度通る場合は、単純に位相差は引き算(1/4λ−1/4λ±40nm=0±40nm)になるので、金属光沢層2に到達する直線偏光の軸は、最初に偏光板8を透過したときの直線偏光の軸とほぼ同じである。そして、金属光沢層2において反射した後も、やはり光軸の直交する光学位相差フィルムを2度通るので、直線偏光の軸は変わらず、再び偏光板8を通過することが出来る。この結果、金属光沢層2において反射した光のうち550nm付近(緑)の成分 が反射防止フィルターによってほとんどカットされることがないので、可視光領域の色の成分が全体的に反射防止フィルターを透過し、色合いの変化が小さくて済む。すなわち、反射防止フィルターのない場合とほとんど同じメタル調柄を観察者は確認することができる。
【0020】上記したように、第2の1/4波長板7と金属光沢層2との間に配置する上記光学位相差フィルムは、100〜175nmの位相遅れを与える範囲であればメタル調柄の色合いの変化を小さく抑えることができ、十分に許容範囲であるが、最も好ましくは1/4波長板である。なお、175nmを超えると黄味がかり、100nmに満たないと青味がかかってしまう。
【0021】上記100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3としては、1/4波長板と同様に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ノルボルネン系樹脂等の透明板またはフィルムを一軸延伸し、その延伸方向(光軸方向)であるx方向の屈折率と、x方向に直交するy方向の屈折率と、厚さ方向すなわちx方向とy方向に直交するz方向の屈折率とを制御することによって100〜175nmの位相差を与えたものが用いられる。
【0022】金属光沢層2は、特定表示部16においてメタル調柄を表現するためのものであり、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などをバインダーとし金属粒子を含有するインキを用いたオフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法、あるいは真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。これらの場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。なお、印刷法による金属光沢層2中にさらに適切な色の顔料または染料を着色剤として含有させて、着色された金属光沢を有するメタル調柄としてもよい。また、低反射タッチパネル1の構成中の金属光沢層2の前面となる位置に、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有とする透明着色層を配置して、着色された金属光沢を有するメタル調柄としてもよい。
【0023】なお、図1においては、金属光沢層2を低反射タッチパネル1の最下層として配置しているが、第2の1/4波長板7および100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3より液晶ディスプレイ9側の位置にあればどこでもよい。たとえば、一般のアイコンシートのように基材シート14の前面に金属光沢層2に形成し、これを100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3の裏面に配置することができる(図2参照)。また、100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3は、第2の1/4波長板7と金属光沢層2との間の位置にあればどこでもよく、金属光沢層2が裏面に直接形成されている必要はない。
【0024】さらに、特定表示部16において金属光沢を有さない色柄(黒色や白色も含む)を表現するために、低反射タッチパネル1の構成中のどこかに、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などをバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する色柄層を設けてもよい。この色柄層の場合、第2の1/4波長板7と100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム3との間に配置しても特定表示部16に表示される金属光沢を有さない色柄の色合いにメタル調柄のような変化は生じにくい。何故なら、色柄層表面では可視光領域中で色柄層の色に応じた特定の波長の光のみが反射され、観察者は反射された光(色の成分)を感じ取ることによって色柄を認識している。そのため、550nm付近の成分が反射防止フィルターによってカットされても、色柄層表面で反射した光の成分が観察者に突出して感じ取られることには変わりがないため、メタル調柄が色合いが変化して認識されにくい。色柄層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。多色刷りや階調表現を行うには、特にオフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。
【0025】
【実施例】まず、あらかじめ1/4波長(138nm)になるように延伸成膜されたロール状のポリアリレートフィルムにスパッタリング法によりITO膜を膜厚0.02μmになるように形成した。そのロールフィルムをシート状にカットした後、光軸が水平方向になるようにITO膜上にスクリーン印刷にてエッチングレジストをパターン状に形成し、塩酸にて不要部のITO膜を除去することにより、矩形状の透明電極を形成した。エッチング後にレジストをアルカリ溶液で除去し、透明電極の両サイドに銀インキを用いてスクリーン印刷することにより平行な一対のバスバー電極を形成する。同時にそのバスバー電極からの引き回し回路も形成し、上側電極シートとした。
【0026】一方、ソーダガラス板の片面に真空蒸着にてITO膜を膜厚0.02μmになるように形成し、ITO膜上にエポキシアクリレート系の光硬化型樹脂を用いフォトプロセスで微細なドット状スペーサーを形成した。更に、ITO膜上に銀インキを用いてスクリーン印刷することにより平行な一対のバスバー電極を形成し、下側電極基板とした。
【0027】次に、上側電極シートの透明電極の形成された面に、パネル可視エリアに相当する部分および前記引き回し回路上の導電性接着剤を塗布する部分を打ち抜いた厚さ60μmの両面テープを貼り合わせ、引き回し回路上の両面テープの抜けた部分にシリコン樹脂に銀フィラーを分散させた導電性接着剤をディスペンサーにて塗布した。
【0028】次いで、上記上側電極シートと前記下側電極基板とを、透明電極の形成された面を対向させ、上側電極シートのバスバー電極と下側電極基板のバスバー電極が方形配置になるように貼り合わせた。更に、上側電極シートの光軸(水平方向)に対して、吸収軸が45°傾くように作製された偏光板を全面的に貼り合わせて反射防止フィルターを形成した。
【0029】また、あらかじめ1/4波長(138nm)になるように延伸成膜されたロール状のポリカーボネートフィルムを短冊状にショートカットし、片面にポリエステル系樹脂中にアルミペーストおよび緑色顔料を含有させたインキを用いスクリーン印刷にて緑色に着色された金属光沢を呈する金属光沢層を全面的に形成した。さらに、金属光沢層上にポリエステル系樹脂中に黒色顔料を含有させたインキを用いスクリーン印刷にて文字や記号、図形などアイコン柄を形成した。
【0030】上記短冊状シートの金属光沢層を形成した面とは反対面に粘着剤をスクリーン印刷にて形成し、前記下側電極基板の裏面に一端辺に沿うように貼り合わせ低反射タッチパネルを得た。
【0031】以上のようにして得た低反射タッチパネルについて、表面から観察したところ、反射防止フィルターのない場合とほとんど同じ色合いのメタル調柄を確認することができた。
【0032】
【発明の効果】本発明のメタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネルは、以上のとおりの構成を有するので、次のような優れた効果を有する。
【0033】すなわち、液晶ディスプレイ側から順に光学等方性板、スペーサーを介して対向する2層の透明導電膜、第2の1/4波長板、偏光板を少なくとも配置してなり、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置する円偏光方式の低反射タッチパネルにおいて、第2の1/4波長板より液晶ディスプレイ側の位置に金属光沢層を部分的に配置してメタル調柄を含む特定表示部を形成し、第2の1/4波長板と金属光沢層との間に100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルムをその光軸が第2の1/4波長板の光軸と直交するように配置したので、金属光沢層において反射した光のうち550nm付近(緑)の成分が反射防止フィルターによってもほとんどカットされることがなく、可視光領域の色の成分が全体的に反射防止フィルターを透過し、色合いの変化が小さくて済む。すなわち、反射防止フィルターのない場合とほとんど同じ色合いのメタル調柄を観察者は確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷表示部を有する低反射タッチパネルを、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置した一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る印刷表示部を有する低反射タッチパネルを、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置した一実施例を示す断面図である。
【図3】PDAのタッチ入力部を示す図である。
【図4】従来の特定表示部を有するタッチパネルを液晶ディスプレイ上に設置した一実施例を示す断面図である。
【図5】従来の低反射タッチパネルを液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置した一実施例を示す断面図である。
【図6】従来の低反射タッチパネルの最下層としてアイコンシートを加え、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置した一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 低反射タッチパネル
2 金属光沢層
3 100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルム
4 光学等方性板
5 透明導電膜
6 スペーサー
7 第2の1/4波長板
8 偏光板
9 液晶ディスプレイ
10 第1の1/4波長板
11 タッチパネル
12 透明板
13 アイコンシート
14 基材シート
15 可変表示部
16 特定表示部
17 PDA
18 タッチ入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 液晶ディスプレイ側から順に光学等方性板、スペーサーを介して対向する2層の透明導電膜、第2の1/4波長板、偏光板を少なくとも配置してなり、液晶ディスプレイ上に第1の1/4波長板を介して設置する円偏光方式の低反射タッチパネルにおいて、第2の1/4波長板より液晶ディスプレイ側の位置に金属光沢層を部分的に配置してメタル調柄を含む特定表示部を形成し、第2の1/4波長板と金属光沢層との間に100〜175nmの位相遅れを与える光学位相差フィルムをその光軸が第2の1/4波長板の光軸と直交するように配置したことを特徴とするメタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネル。
【請求項2】 第2の1/4波長板と金属光沢層との間に配置する光学位相差フィルムが1/4波長板である請求項1記載のメタル調柄を含む特定表示部を有する低反射タッチパネル。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−195186(P2001−195186A)
【公開日】平成13年7月19日(2001.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−3593(P2000−3593)
【出願日】平成12年1月12日(2000.1.12)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】