説明

メディア再生装置

【課題】表示方向を縦長や横長に切り替えても、表示方向と再生される音声の配列が一致してユーザに違和感を与えることのないメディア再生装置を提供する。
【解決手段】表示部20を縦長に見た場合に表示部20の左右にスピーカ71および72が配置されるようにするとともに、表示部20を横長に見た場合に表示部20の左右にスピーカ73および71が配置されるようにし、センサ部80により表示部20の状態を検出して、この検出結果に基づいて、制御部100は、ユーザに対して左右となるスピーカから拡声出力を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば映像を表示可能なメディア再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistance)などの電子機器は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを備え、静止画像や動画像を表示する機能を備えている。また最近では、地上デジタル放送の受信機能を備えるようになり、表示を縦長か横長か切り替える機能を備えるようになった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その一方で、2つのスピーカを備え、ステレオ再生を可能としているが、上述したように縦長と横長を切り替える場合、表示方向によってはスピーカの配列が一致せず、再生される音声と映像が一致せず、ユーザに違和感を与えるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−039131公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のメディア再生装置では、表示方向を縦長や横長に切り替える場合に、表示方向によってはスピーカの配列が一致せず、再生される音声と映像が一致せず、ユーザに違和感を与えるという問題があった。
【0005】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、表示方向を縦長や横長に切り替えても、表示方向と再生される音声の配列が一致してユーザに違和感を与えることのないメディア再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、情報を表示する表示手段と、この表示手段の周囲に配設された複数のスピーカと、表示手段の上下の向きを検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に応じて、複数のスピーカのうち、音声の拡声出力に用いるスピーカを選択する選択手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、この発明では、表示手段の周囲に複数のスピーカを配設し、表示手段の上下の向きに応じて、音声の拡声出力に用いるスピーカを選択するようにしている。 したがって、この発明によれば、表示方向を縦長や横長に切り替えても、表示方向と再生される音声の配列が一致してユーザに違和感を与えることのないメディア再生装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わるメディア再生装置の構成を示すものである。このメディア再生装置は、通信部10と、表示部20と、入力部30と、復号部40と、セレクタ50と、増幅器(AMP)61〜63と、スピーカ71〜73と、センサ部80と、記憶部90と、制御部100とを備える。この例では、図2に示すような筐体を有する折りたたみ型の携帯電話機を例に挙げて説明する。
【0009】
通信部10は、例えば移動通信網NWに収容される基地局装置BSと無線通信するものであって、基地局装置BSおよび移動通信網NWを通じて通信し、音声データをはじめとする種々のデータを送受信する。
【0010】
表示部20は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスを用いたものであり、図2に示すように長方形の表示領域を有し、後述する制御部100の制御にしたがって静止画像や動画像を表示してユーザに映示する。
【0011】
入力部30は、複数のキースイッチなどを用いたユーザインタフェースであって、ユーザからの指示を受ける。
復号部40は、制御部100から与えられる音声データを復号し、アナログの2チャンネルの音声信号として、右音声信号と左音声信号に変換する。
【0012】
セレクタ50は、制御部100によって切替制御されるスイッチで、復号部40で得た右音声信号および左音声信号をそれぞれ選択的に増幅器61〜63のいずれかに出力する。
増幅器61〜63は、セレクタ50を通じて入力されるアナログ音声信号を増幅し、それぞれ対応するスピーカ71〜73に出力する。
【0013】
スピーカ71〜73は、それぞれ対応する増幅器61〜63から与えられる音声信号を拡声出力する。なお、スピーカ71〜73は、図2に示すように、それぞれ表示部20の周囲に設けられる。すなわち、表示部20を縦長に見た場合に、表示部20の左上角の近傍にスピーカ71を、右上角の近傍にスピーカ72を、そして左下角の近傍にスピーカ73をそれぞれ配置する。
【0014】
センサ部80は、表示部20の近傍に設けられ、加速度センサなどを用いて表示部20の上下方向を検出することで、ユーザが表示部20を縦長にして見ているか、あるいは横長にして見ているかを検出する。この例では、当該メディア再生装置が図2に示すような2つ折りの筐体を有することより、表示部20側の筐体にセンサ部80は設けられる。
記憶部90は、制御部100の制御プログラムや制御データを記憶する他に、静止画や、音声データを含む動画像データ、音声データ(楽曲データ)を記憶する。
【0015】
制御部100は、記憶部90が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって、当該メディア再生装置の各部を統括して制御するものであって、音声通信やデータ通信を実現するものである。また制御部100は、記憶部90が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって動作し、電子メールを送受信する機能や、Webブラウジングを行う機能、およびダウンロードしたストリーミングデータや記憶部90が記憶する上記動画像データに基づいて音声を伴う動画像を表示部20に表示するしたり音声を拡声出力するメディア再生機能などを備える。さらに制御部100は、センサ部80の検出結果に応じて、セレクタ50を切替制御して、拡声出力に用いるスピーカを切り替える制御機能を備える。
【0016】
なお、図1には図示しないが、当該メディア再生装置は、地上デジタル放送(ワンセグ放送)を受信する放送受信部を備えてもよい。この場合、放送受信部によって得られた映像データおよび音声データは、それぞれアナログ映像信号とアナログ音声信号(左右の2チャンネル)に復号され、上記アナログ映像信号は表示部20に出力され、上記アナログ音声信号は、セレクタ50に出力される。そして、上記アナログ音声信号は、復号部40で復号された右音声信号および左音声信号と同様にして、制御部100の制御に基づいて、セレクタ50により選択的に出力される。
【0017】
次に、上記構成のメディア再生装置の動作について説明する。以下の説明では特に、音声通話や電子メールの送受信、Webブラウジングなどの機能の動作についての説明は省略し、音声データを含む動画像データの再生処理について説明する。図3は、この処理を説明するフローチャートであって、入力部30を通じてユーザから上記動画像データの再生要求が為されると実行され、ユーザから停止要求があるまでくり返し実行される。
【0018】
まずステップ3aにおいて制御部100は、上記動画像データを復号する処理を開始し、ステップ3bに移行する。具体的には、映像データについては、制御部100が復号してアナログ映像信号を得る。また動画像データに含まれる音声データについては、復号部40に出力し、復号部40により上記音声データは、アナログ音声信号(左右の2チャンネル)に復号される。
【0019】
ステップ3bにおいて制御部100は、図4(a)に示すように、表示部20を縦長に使用した場合に、適切な向きで映像が表示されるように表示部20を駆動制御し、上記アナログ映像信号に基づく映像を表示部20に表示させる。また制御部100は、復号部40から出力されるアナログ音声信号のうち、右音声信号を増幅器62に出力して、スピーカ72により拡声出力させるとともに、左音声信号を増幅器61に出力して、スピーカ71により拡声出力させるように、セレクタ50を切替制御し、ステップ3cに移行する。これにより、スピーカ71から左音声が拡声出力されるとともに、スピーカ72から右音声が拡声出力される。また増幅器63はOFFにする。
【0020】
ステップ3cにおいて制御部100は、センサ部80の検出結果を取得し、ステップ3dに移行する。
ステップ3dにおいて制御部100は、ステップ3cで取得したセンサ部80の検出結果に基づいて、図5に示すように、表示部20が横長の状態にあるか否かを判定する。ここで、横長の状態にある場合には、ステップ3eに移行し、一方、横長の状態にない場合には、ステップ3bに移行する。
【0021】
ステップ3eにおいて制御部100は、図4(b)に示すように、表示部20を横長に使用した場合に、適切な向きで映像が表示されるように表示部20を駆動制御し、上記アナログ映像信号に基づく映像を表示部20に表示させる。また制御部100は、復号部40から出力されるアナログ音声信号のうち、右音声信号を増幅器61に出力して、スピーカ71により拡声出力させるとともに、左音声信号を増幅器63に出力して、スピーカ73により拡声出力させるように、セレクタ50を切替制御し、ステップ3cに移行する。これにより、スピーカ73から左音声が拡声出力されるとともに、スピーカ71から右音声が拡声出力される。また増幅器62はOFFにする。
【0022】
以上のように、上記構成のメディア再生装置では、表示部20を縦長に見た場合に表示部20の左右にスピーカ71および72が配置されるようにするとともに、表示部20を横長に見た場合に表示部20の左右にスピーカ73および71が配置されるようにし、センサ部80により表示部20の状態を検出して、この検出結果に基づいて、スピーカに対する再生チャンネルの割り当てを切り替えて、ユーザに対して左右となるスピーカから拡声出力を行うようにしている。
【0023】
したがって、上記構成のメディア再生装置によれば、ユーザが表示部20を縦長で見ても横長で見ても、左右から音声が拡声出力されることになるので、表示方向と再生される音声の配列が一致してユーザに違和感を与えることがなく、ユーザは快適な視聴を行うことができる。
【0024】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0025】
その一例として例えば、上記実施の形態では、折りたたみ型の携帯電話機を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。携帯電話機に限らずパーソナルコンピュータやPDAに適用することもできる。また折りたたみ型である必要はなく、1つの面上に表示部20とスピーカ71〜73だけでなく、入力部30が配置されていてもよい。
【0026】
また上記実施の形態では、表示部20の周囲に、3つのスピーカ71〜73を配置し、そのうちスピーカ71を2つの向きで兼用するようにしたが、これに代わって例えば、4つのスピーカを表示部20の四隅近傍にそれぞれ配置するようにしてもよい。この場合、制御部100は、4つのスピーカをすべて常に拡声出力に用い、表示部20の向きに応じて、セレクタ50を制御して割り当てる再生チャンネルを切り替えるようにして、所定の位置に音像の上下左右が正しく定位するようにする。このような制御によっても、4つのスピーカに正しく再生チャンネルが割り当てられるので、ユーザは快適な視聴を行うことができる。
【0027】
さらに、図5に示すように、折りたたみ型で、2つの面にそれぞれ表示部20,21を備えるメディア再生装置に適用することもできる。図5に示す例では、4つのスピーカ71〜74を備え、各面に2つずつスピーカを設けている。すなわち、表示部20の2つの角の近傍にスピーカ71と72を設けるとともに、表示部21の2つの角の近傍にスピーカ73と74を設けている。センサ部80は、スピーカ71,72側の筐体に設け、さらにセンサ部80と同等のセンサ部81をスピーカ73,74側の筐体に設ける。
【0028】
この場合、制御部100は、センサ部80およびセンサ部81の検出結果に基づいて、上(もしくは下)の位置となる2つのスピーカを検出し、このスピーカを拡声出力に用いるように、セレクタ50を制御する。このような制御によれば、図5(a)〜(d)に示すように、上(もしくは下)2つのスピーカに正しく再生チャンネルが割り当てられるので、ユーザは快適な視聴を行うことができる。
【0029】
あるいはこの場合、制御部100は、4つのスピーカをすべて常に拡声出力に用い、センサ部80およびセンサ部81の検出結果に基づいて表示部20の向きを判定し、セレクタ50を制御して割り当てる再生チャンネルを切り替えるようにして、所定の位置に音像の上下左右が正しく定位するようにする。このような制御によっても、4つのスピーカに正しく再生チャンネルが割り当てられるので、ユーザは快適な視聴を行うことができる。
【0030】
なお、2つの表示部20,21を有するメディア再生装置では、図5(a)〜(d)に示すように、制御部100がセンサ部80およびセンサ部81の検出結果に基づいて表示部20の向きを判定し、この向きに合わせて、表示内容「A」、「B」の表示向きを制御することはいうまでもない。このような表示制御によれば、左右が対称なデザインの筐体において、ユーザは機器の上下(あるいは左右)を意識することが無く運用でき、利便性が高い。
【0031】
また上記実施の形態では、センサ部80(およびセンサ部81)の検出結果に応じて、鳴動させるスピーカ(あるいはスピーカへの再生チャンネル割り当て)を切り替えるようにしたが、これに代わって例えば、入力部30を通じたユーザからの要求に応じて制御部100が上記の切り替えを行うようにしてもよい。
【0032】
また上記実施の形態では、1つの復号部40の復号により複数のチャンネルの音声信号を得る場合を例に挙げて説明したが、チャンネル毎(スピーカ毎)に復号部を備える構成であっても適用することができる。この場合には、セレクタ50が不要となり、制御部100が選択的に所望の復号部に音声データを出力することで切り替えを行うことができる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明に係わるメディア再生装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示したメディア再生装置の外観を示す。
【図3】図1に示したメディア再生装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】図3に示した処理によって駆動するスピーカを示す図。
【図5】図1に示したメディア再生装置の変形例のを外観を示す。
【符号の説明】
【0034】
10…通信部、20,21…表示部、30…入力部、40…復号部、50…セレクタ、61,62,63…増幅器、71,72,73,74…スピーカ、80,81…センサ部、90…記憶部、100…制御部、BS…基地局装置、NW…移動通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示手段と、
この表示手段の周囲に配設された複数のスピーカと、
前記表示手段の上下の向きを検出する検出手段と、
この検出手段の検出結果に応じて、前記複数のスピーカのうち、音声の拡声出力に用いるスピーカを選択する選択手段とを具備することを特徴とするメディア再生装置。
【請求項2】
情報を表示する表示手段と、
この表示手段の周囲に配設された複数のスピーカと、
ユーザからの要求を検出する検出手段と、
この検出手段が検出したユーザの要求に応じて、前記複数のスピーカのうち、音声の拡声出力に用いるスピーカを選択する選択手段とを具備することを特徴とするメディア再生装置。
【請求項3】
前記表示手段は、方形の表示領域を有し、
前記複数のスピーカは、3つスピーカであって、それぞれ前記表示手段の異なる角の近傍に設けられ、
前記選択手段は、前記検出手段の検出結果に応じて、前記3つのスピーカのうち、ステレオ音声の拡声出力に用いる2つのスピーカを選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメディア再生装置。
【請求項4】
情報を表示する表示手段と、
この表示手段の周囲に配設された複数のスピーカと、
前記表示手段の上下の向きを検出する検出手段と、
この検出手段の検出結果に応じて、前記複数のスピーカにそれぞれ音声信号のチャンネルを割り当てる割当手段と、
この割当手段が割り当てたチャンネルの音声信号を前記複数のスピーカにそれぞれ出力する出力手段とを具備することを特徴とするメディア再生装置。
【請求項5】
情報を表示する表示手段と、
この表示手段の周囲に配設された複数のスピーカと、
ユーザからの要求を検出する検出手段と、
この検出手段が検出したユーザの要求に応じて、前記複数のスピーカにそれぞれ音声信号のチャンネルを割り当てる割当手段と、
この割当手段が割り当てたチャンネルの音声信号を前記複数のスピーカにそれぞれ出力する出力手段とを具備することを特徴とするメディア再生装置。
【請求項6】
前記表示手段は、方形の表示領域を有し、
前記複数のスピーカは、3つスピーカであって、それぞれ前記表示手段の異なる角の近傍に設けられ、
前記割当手段は、前記検出手段の検出結果に応じて、前記3つのスピーカのうち2つのスピーカに、ステレオ音声信号の左右チャンネルを割り当てることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のメディア再生装置。
【請求項7】
さらに、前記検出手段の検出結果に応じて、前記表示手段に表示する情報の向きを切り替える表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のメディア再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−232424(P2009−232424A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78725(P2008−78725)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】