説明

メモリカード用コネクタ

【課題】構造が簡単で、メモリカード200の排出操作を簡単かつ円滑にすることができるメモリカード用コネクタ1を提供すること。
【解決手段】メモリカード用コネクタ1がハウジング10とハウジング10上に前後方向へ移動可能に取り付けられてハウジング10との間にカード挿入スロット20を形成するスライドカバー30と、ハウジング10に固定された複数の接続用端子50と、ハウジング10に形成されたばね収容凹部18に収容され、ハウジング10とスライドカバー30に係合してスライドカバー30を後方へ付勢するコイルばね80とから成り、スライドカバー30にスライドカバー30を前方へ移動したときにカード挿入スロット20に挿入されたメモリカード200に係合してメモリカード200を前方へ排出するイジェクト爪39、39を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等の小型電子機器に用いられるICカードのようなメモリカードにデータを書き込んだり、メモリカードからデータを読み出すために使用されるメモリカード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のメモリカード用コネクタには、図5〜図8に示すように、メモリカード用コネクタ100が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−66586号公報
【0003】
すなわち、メモリカード用コネクタ100は、図8に示すようなハウジング110と、ハウジング110上に取り付けられ、ハウジング110との間にカード挿入スロット120を形成するカバー130と、ハウジング110に固定され、カード挿入スロット120に挿入されたメモリカード200の電極部と接触可能な接触部150を有する複数の端子150と、カバー130の上面に沿って移動可能に取り付けられたスライダ160とから成り、これらを組み立てて図5及び図7に示すように形成される。
【0004】
スライダ160には、カバー130の両側に形成されたガイド131、131に係合するガイド部161、161が形成され、スライダ160がメモリカード200の挿抜方向に沿って移動可能に案内される。また、ハウジング110には、スライダ160の前方への移動時にガイド部161、161に当接して前方への移動を制限する前方ストッパー段部111、111が形成されるとともに、後方への移動時にガイド部161、161に当接して後方への移動を制限する後方ストッパー段部112、112が形成され、スライダ160の前後方向の移動がこれらのストッパー段部111,111、112,112の間に制限される。
【0005】
そして、メモリカード用コネクタ100のカード挿入スロット120に挿入されたメモリカード200を抜き出す場合には、スライダ160の前端に設けられた取っ手162を持ってスライダ160を前方に引き出す。このスライダ160の引き出しによってスライダ160の後端に設けられたイジェクト爪163、163がメモリカード200をカード挿入スロット120から引き出す。ついでスライダ160を後方へ押し込む。このスライダ160の押し込みでメモリカード200のみが前方に引き出された状態で残され、このメモリカード200を掴んで引き出すことによってメモリカード200がメモリカード用コネクタ100のカード挿入スロット120から抜き出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5〜図8に示した従来のメモリカード用コネクタ100は、ハウジング110と、カバー130と、複数の端子150と、スライダ160とから成っているので、構造が複雑になるという問題点があった。
また、メモリカード用コネクタ100のカード挿入スロット120に挿入されたメモリカード200を抜き出す場合、スライダ160を引き出してメモリカード200をカード挿入スロット120から引き出す操作、メモリカード200を残してスライダ160のみを押し込む操作、残ったメモリカード200を抜き出す操作の3段階の操作が必要とするため、メモリカード200の排出操作が煩雑になるという問題点があった。
また、メモリカード200の排出時に、メモリカード200の下面と電極部が複数の端子150の接触部と摺動接触して抵抗となるだけでなく、メモリカード200の上面がカバー130の内面と摺動接触して抵抗となるので、メモリカード200の抜き取り抵抗が大きくなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、構造が簡単で、メモリカードの排出操作を簡単かつ円滑にすることができるメモリカード用コネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、ハウジングと、前記ハウジング上に前後方向へ移動可能に取り付けられ、前記ハウジングとの間に前方を挿入口とするカード挿入スロットを形成する金属製のスライドカバーと、前記ハウジングに固定され、前記カード挿入スロットに挿入されたメモリカードの電極部と接触可能な接触部を有する接続用端子と、前記ハウジングに形成されたばね収容凹部に収容され、前記ハウジングと前記スライドカバーに係合して前記スライドカバーを後方へ付勢するコイルばねとから成るメモリカード用コネクタであって、前記スライドカバーに、前記スライドカバーを前方へ移動したときに前記カード挿入スロットに挿入された前記メモリカードに係合して前記メモリカードを前方へ排出するイジェクト爪を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ハウジングに固定され、ハウジングの両側の外側面から略水平に外側へ突出する水平部と、前記水平部に連結して基板に接続される接続部とを有する固定用端子を備え、スライドカバーが、前記ハウジング上を覆うスライドカバー本体と、前記スライドカバー本体の両側に連設され、前記固定用端子の水平部と係合して前記スライドカバーを前後方向へ移動可能に案内するとともに、前記スライドカバーの後方へ移動を制限する第1ガイド片と、前記第1ガイド片に連設されて前記スライドカバーの前方への移動を制限するストッパー爪とを備え、イジェクト爪が前記スライドカバー本体の後端から下方へ垂設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、第1ガイド片が、スライドカバー本体の両側から下方へ垂設され、スライドカバーが後方へ移動したときに前記スライドカバーの後方への移動を制限するストッパー片部と、前記ストッパー片部の先端側から後方へ向けて連設され、前記スライドカバー本体との間に後方側を開口した案内用間隙を形成し、この案内用間隙に固定用端子を移動可能に係合させるアーム片部とで形成され、ストッパー爪が前記アーム片部の先端部から上方へ突設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の発明において、ハウジングは、略矩形板状に形成された底板と、前記底板の両側から上方へ立設された側板とを備え、前記側板の外側面には前後方向に沿った案内段部が形成され、ばね収容凹部が前記側板の少なくとも一方に上方を開口して前後方向に沿って形成され、スライドカバーは、前記スライドカバーの両側から下方へ垂設されて前記案内段部と前後方向へ移動可能に係合する第2ガイド片を備え、前記スライドカバーには、前記ばね収容凹部に収容されたコイルばねの後端に係合する係合突片が切り起こしで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、メモリカード用コネクタを、ハウジング、スライドカバー、複数の接続用端子、コイルばねで構成し、従来例のカバーとスライダの2部品をスライドカバーの1部品で兼用しているので、構造を簡単にすることができる。
さらに、カード挿入スロットに挿入されたメモリカードを抜き出す場合、スライドカバーを引き出してイジェクト爪でメモリカードをカード挿入スロットから引き出した後にスライドカバーの引き出しを解除すると、コイルばねの復帰力でスライドカバーが元の位置(所定の初期位置)に戻り、従来例のようなスライダのみを押し込む操作が不要となる。このため、メモリカードの排出操作が、スライドカバーを引き出してメモリカードをカード挿入スロットから引き出す操作と、スライドカバーの引き出し解除後に残ったメモリカードを抜き出す操作の2段階の操作で済み、メモリカードの排出操作を従来例より簡単にすることができる。
その上、メモリカードの排出時に、メモリカードがスライドカバーと連動して移動するため、メモリカードの上面がスライドカバーの内面と摺動接触することがなく、メモリカードの下面と電極部が複数の接続用端子の接触部と摺動接触して抵抗となるだけなので、メモリカードの排出操作を円滑にすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ハウジングに固定された固定用端子が水平部を備え、スライドカバーに形成された第1ガイド片が、固定用端子の水平部と係合してスライドカバーを前後方向へ移動可能に案内するとともに、スライドカバーの後方への移動を制限し、ストッパー爪がスライドカバーの前方への移動を制限しているので、メモリカードの排出操作時にスライドカバーに加えられる力を金属製の固定用端子で受け止めることができ、コネクタ強度を向上させることができるとともに、スライドカバーのハウジングからの抜けに対する強度を向上させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、第1ガイド片をストッパー片部とアーム片部で形成し、ストッパー爪をアーム片部の先端部から上方へ突設しているので、第1ガイド片及びストッパー爪の構成を簡単にすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の発明において、ハウジングの側板に案内段部とばね収容凹部を形成し、スライドカバーの両側に案内段部と係合する第2ガイド片を垂設するとともに、切り起こしによってスライドカバーに係合突片を形成し、この係合突片をばね収容凹部に収容されたコイルばねの後端に係合してスライドカバーを後方へ付勢しているので、ハウジングに対してスライドカバーを前後方向へ移動するための構成と、メモリカードの排出時にスライドカバーを元の位置に戻すための構成を簡単にすることができる。
【実施例】
【0016】
図1〜図3は本発明によるメモリカード用コネクタの一実施例を示すもので、これらの図において、1は、プリント配線基板(以下単に基板という)上に実装されるメモリカード用コネクタである。
メモリカード用コネクタ1は、絶縁ハウジング(以下単にハウジングという。)10と、ハウジング10上に前後方向へ移動可能に取り付けられてハウジング10との間にカード挿入スロット20を形成するスライドカバー30と、ハウジング10に固定されて接触部をカード挿入スロット20内に臨ませた6個の接続用端子50と、ハウジング10に固定された2個の第1固定用端子60及び第2固定用端子70と、ハウジング10とスライドカバー30に係合してスライドカバー30を後方に付勢するコイルばね80とからなっている。
【0017】
ハウジング10は、絶縁性合成樹脂で成形され、図3に示すように、平面視で略矩形板状に形成されるとともに後端側にい切欠き11が形成された底板12と、底板12の両側から上方へ立設された側板13、13と、底板12の後側であって切欠き11の両側から上方へ立設されるとともに側板13、13に連設された背板15、15とで形成されている。
側板13、13の外側面の中間部には、スライドカバー30がハウジング10に取り付けられたときにスライドカバー30を前後方向に案内する案内段部16、16が形成され、この案内段部16、16の前後方向の端部には、ストッパー段面17,17、17,17が形成されている。
側板13、13の一方は他方より幅広に形成され、この幅広側の側板13には、上方を開口してコイルばね80を収容するためのばね収容凹部18が形成されている。
【0018】
6個の接続用端子50、2個の第1固定用端子60及び第2固定用端子70は、導電性金属板の打ち抜き、折り曲げ等で一体に連結して形成され、ハウジング10の成形時にインサート成形によってハウジング10に組み込まれる。
各端子50〜50、60、60、70、70間の連結部は、インサート成形後にハウジング10の所定箇所(図示省略)を打ち抜くことで切断される。
【0019】
6個の接続用端子50は、図6に示した従来例と同様にハウジング10に固定されている。
第1固定用端子60、60は、ハウジング10に固定されるとともに、ハウジング10の側板13、13の前方側の外側面上部から外側へ略水平に突出する水平部61、61と、水平部61、61に連結部62、62を介して連結されて基板への半田接続部となる接続部63、63とを備えている。
第2固定用端子70、70は、ハウジング10に固定されるとともに、ハウジング10の側板13、13の後方側の外側面下部から外側へ突出して先端側が基板に半田接続される接続部71、71を備えている。
【0020】
スライドカバー30は、導電性金属板の打ち抜き、折り曲げ等で形成され、図3に示すように、平面視で略矩形板状に形成されるとともに後端側に切欠き31が形成されたスライドカバー本体32と、スライドカバー本体32の前端から上方へ立設された取っ手33と、スライドカバー本体32の両側に連設された第1、第2ガイド片45,45、38,38と、第1ガイド片45、45に連設されたストッパー爪37、37と、スライドカバー本体32の後端に連設されてスライドカバー30の前方への移動を制限するイジェクト爪39、39とを備えている。
【0021】
スライドカバー30の切欠き31は、スライドカバー30がハウジング10に取り付けられたときにハウジング10の切欠き11と略重なり合う位置に形成されている。
イジェクト爪39、39は、スライドカバー本体32の後端から下方へ垂設され、スライドカバー30がハウジング10に取り付けられたときにハウジング10の切欠き11内に突出して、カード挿入スロット20に挿入されたメモリカード200の先端部に当接する位置に形成されている。
スライドカバー30のスライドカバー本体32には、ばね収容凹部18に収容されたコイルばね80の後端に係合させるためばね係合突片41が、切り起こしによって形成されている。
【0022】
第1ガイド片45、45は、ストッパー片部34、34とアーム片部36、36で形成され、第1固定用端子60、60の水平部61、61と係合してスライドカバー30を前後方向へ移動可能に案内するとともに、スライドカバー30の後方への移動を制限する。
ストッパー片部34、34は、スライドカバー本体32の両側の前方から下方へ垂設され、スライドカバー30がハウジング10に取り付けられたときに第1固定用端子60、60の水平部61、61に当接してスライドカバー30の後方への移動を制限し、アーム片部36、36は、ストッパー片部34、34の先端部から後方へ向かって片持ち板片状に連設され、スライドカバー本体32との間に後方側を開口した案内用間隙35、35を形成し、この案内用間隙35、35に第1固定用端子60、60の水平部61、61を前後方向へ移動可能に係合させている。
ストッパー爪37、37は、アーム片部36、36の先端側から上方へ立設され、第1固定用端子60、60の水平部61、61に当接することによって、スライドカバー30の前方への移動を制限している。
【0023】
第2ガイド片38、38は、スライドカバー本体32の両側の後方から下方へ垂設され、ハウジング10の案内段部16、16と係合してスライドカバー30を前後方向へ移動可能に案内するとともに、案内段部16、16のストッパー段面17,17、17,17に当接してスライドカバー30の前後方向への移動を制限している。
【0024】
つぎに、メモリカード用コネクタ1の組立について説明する。
(1)合成樹脂成形によってハウジング10が形成され、このハウジング10の成形時に一連に形成された端子群50〜50、60、60、70、70がインサート成形でハウジング10に組み込み固定され、ついで、所定箇所(図示省略)の打ち抜きで、各端子間の連結部が切断され、図3の下側に示すような端子群50〜50、60、60、70、70が組み込まれたハウジング10が形成される。
【0025】
(2)導電性金属板の打ち抜き、折り曲げ等で形成された図3の上側に示すスライドカバー30を、図3の下側に示すハウジング10上に取り付け、スライドカバー30とハウジング10の間にカード挿入スロット20を形成する図1及び図2に示すようなメモリカード用コネクタ1が形成される。
このスライドカバー30のハウジング10上への取り付けは、まず、スライドカバー30のストッパー爪37、37がハウジング10の第1固定用端子60、60より前方側の上部に位置するとともに、スライドカバー30の第2ガイド片38、38がハウジング10の案内段部16、16の上部に位置するように位置合わせをして、矢印aに示すようにスライドカバー30をハウジング10上に被せて第2ガイド片38、38を案内段部16、16に係合し、ついで、矢印bに示すようにスライドカバー30を後方へ移動してスライドカバー30の案内用間隙35、35にハウジング10の第1固定用端子60、60の水平部61、61、61を係合する。
このスライドカバー30のハウジング10上への取り付け時において、同時に、コイルばね80は、その後方端がスライドカバー30のばね係合突片41に係合されつつハウジング10のばね収容凹部18に圧縮状態で収容される。
【0026】
(3)前記(1)(2)により、スライドカバー30は、ハウジング10上に前後方向へ移動可能に取り付けられるとともに、コイルばね80によって後方へ付勢され、図1及び図2に示すようなメモリカード200の未挿入状態となる。このメモリカード200が未挿入の初期時には、第1ガイド片45、45のストッパー片部34、34が第1固定用端子60、60の水平部61、61に当接するとともに、第2ガイド片38、38がストッパー段面17、17と当接して、スライドカバー30の後方への移動が所定位置(初期状態位置)に制限されている。
【0027】
つぎに、前記実施例の作用について、図4を併用して説明する。
メモリカード用コネクタ1は、その接続用端子50〜50の接続部、第1固定用端子60、60の接続部63、63及び第2固定用端子70、70の接続部71を基板(図示省略)上の接続用ランドに半田接続することによって、基板上に実装される。
以下、カード嵌合時、カードイジェクト時、カード取り出し時に分けて説明する。
【0028】
(1)カード嵌合時
メモリカード200をメモリカード用コネクタ1のカード挿入スロット20に挿入して嵌合したときは、図4(a)に示すような状態となる。
すなわち、メモリカード200をメモリカード用コネクタ1のカード挿入スロット20に挿入し、その先端部がハウジング10の背板15、15の内側面に当接するまで挿入することによって図4(a)に示すような状態となる。
このとき、メモリカード200の先端部はスライドカバー30のイジェクト爪39、39にも当接している。
また、メモリカード200の電極部は接続用端子50〜50の接触部に弾性接触し、基板上の電気回路と電気的に接続される。
【0029】
(2)カードイジェクト時
メモリカード200をカード挿入スロット20から排出するためにスライドカバー30の取っ手33をもってスライドカバー30を前方へ引き出すと、図4(b)に示すような状態となる。
すなわち、スライドカバー30を前方へ引き出すと、スライドカバー30のイジェクト爪39、39によってメモリカード200が前方へ引き出され、スライドカバー30のストッパー爪37、37が第1固定用端子60、60の水平部61、61に当接して前方への移動が制限され、スライドカバー30のばね係合突片41に係合するコイルばね80が圧縮され、図4(b)に示すような状態となる。
このとき、スライドカバー30に形成された第1ガイド片45、45が第1固定用端子60、60の水平部61、61と係合してスライドカバー30を前後方向へ移動可能に案内しているので、メモリカード200の抜去時にメモリカード200でスライドカバー30がコネクタ上下方向にあおられた場合に、コネクタ半田付け部に加わる剥離方向の負荷を緩和して半田付け部を剥離し難くすることができる。
その上、メモリカード200のイジェクト操作時にスライドカバー30に加えられる力を金属製の第1固定用端子60、60の水平部61、61で受け止めることができ、コネクタ強度を向上させることができるとともに、スライドカバー30のハウジング10からの抜けに対する強度を向上させることができる。
さらに、メモリカード200は、スライドカバー30と一緒に移動し、メモリカード200の上面がスライドカバー30の内面と摺動接触しないので、メモリカード200のイジェクト操作を円滑にすることができる。
【0030】
(3)カード取り出し時
メモリカード200を取り出すためにスライドカバー30の取っ手33から手を離すと、図4(c)に示すような状態となる。
すなわち、スライドカバー30の取っ手33から手を離すと、コイルばね80の復元力によってスライドカバー30のみが後方へ移動して初期位置に復帰し、メモリカード200が引き出し容易な図4(c)に示すような状態となる。
【0031】
前記作用(1)(2)(3)で説明したように、メモリカード200の排出操作が、スライドカバー30を引き出してメモリカード200をカード挿入スロット20から引き出す操作と、スライドカバー30の引き出し解除後に残ったメモリカード200を抜き出す操作の2段階の操作で済むので、メモリカード200の排出操作を簡単にすることができる。
【0032】
前記実施例では、ストッパー片部34、34とストッパー爪37、37を第1固定用端子60、60の水平部61、61と当接させることによって、スライドカバー30の前後方向への移動を制限する第1の構成と、第2ガイド片38、38をストッパー段面17,17、17,17と当接させることによってスライドカバー30の前後方向への移動を制限する第2の構成とを備えて、コネクタ強度を向上させるとともに、スライドカバー30のハウジング10からの抜けに対する強度を向上させるようにした場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、ストッパー片部34、34とストッパー爪37、37を第1固定用端子60、60の水平部61、61と当接させることによって、スライドカバー30の前後方向への移動を制限する第1の構成と、第2ガイド片38、38をストッパー段面17,17、17,17と当接させることによってスライドカバー30の前後方向への移動を制限する第2の構成とのいずれか一方の構成を備えて他方の構成を省略した場合についても利用することができる。
【0033】
前記実施例では、コネクタの構成を簡単にするために、ハウジング10が底板12と側板13、13を備え、側板13、13に案内段部16、16を形成するとともに一方の側板13にばね収容凹部18を形成し、スライドカバー30がスライドカバー本体32と取っ手33と第2ガイド片38、38とを備え、案内段部16、16に第2ガイド片38、38を係合してスライドカバー30を前後方向へ移動可能とし、ばね収容凹部18に収容されたコイルばね80の後端にスライドカバー30のばね係合突片41を係合してスライドカバー30を後方へ付勢するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、ハウジングと、ハウジングに取り付けられてハウジングとの間にカード挿入スロットを形成するスライドカバーと、ハウジングに固定された複数の端子と、ハウジングに形成されたばね収容凹部に収容され、ハウジングとスライドカバーに係合してスライドカバーを後方へ付勢するコイルばねとから成り、スライドカバーにスライドカバーを前方へ移動したときにメモリカードに係合してメモリカードを前方へ排出するイジェクト爪を形成したメモリカード用コネクタに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるメモリカード用コネクタの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のメモリカード用コネクタ1を図1とは異なる視点から見た斜視図ある。
【図3】メモリカード用コネクタ1の分解斜視図である。
【図4】メモリカード用コネクタ1に対するメモリカード200の嵌合、イジェクト、取り出しの各操作を説明するもので、(a)はカード嵌合時、(b)はカードイジェクト時、(c)はカード取り出し時の説明図である。
【図5】従来例を示す平面図である。
【図6】図5のメモリカード用コネクタ100においてカバー130及びスライダ160を取り付ける前の状態を示すもので、複数の端子150が組み込まれたハウジング110の平面図である。
【図7】メモリカード用コネクタ100を前後方向に沿って切断した拡大断面図である。
【図8】メモリカード用コネクタ100の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1…メモリカード用コネクタ
10…ハウジング
12…底板
13…側板
18…ばね収容凹部
20…カード挿入スロット
30…スライドカバー
32…スライドカバー本体
33…取っ手
34…ストッパー片部
35…案内用間隙
36…アーム片部
37…ストッパー爪
38…第2ガイド片
39…イジェクト爪
41…ばね係合突片
45…第1ガイド片
50…接続用端子
60…第1固定用端子
61…端子60の水平部
63…端子60の接続部
70…第2固定用端子
80…コイルばね
200…メモリカード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)と、ハウジング(10)上に前後方向へ移動可能に取り付けられ、ハウジング(10)との間に前方を挿入口とするカード挿入スロット(20)を形成する金属製のスライドカバー(30)と、ハウジング(10)に固定され、カード挿入スロット(20)に挿入されたメモリカード(200)の電極部と接触可能な接触部を有する接続用端子(50〜50)と、ハウジング(10)に形成されたばね収容凹部(18)に収容され、ハウジング(10)とスライドカバー(30)に係合してスライドカバー(30)を後方へ付勢するコイルばね(80)とから成り、スライドカバー(30)に、スライドカバー(30)を前方へ移動したときにカード挿入スロット(20)に挿入されたメモリカード(200)に係合してメモリカード(200)を前方へ排出するイジェクト爪(39)を形成したことを特徴とするメモリカード用コネクタ。
【請求項2】
ハウジング(10)に固定され、ハウジング(10)の両側の外側面から略水平に外側へ突出する水平部(61)(61)と、水平部(61)(61)に連結して基板に接続される接続部(63)(63)とを有する固定用端子(60)(60)を備え、スライドカバー(30)は、ハウジング(10)上を覆うスライドカバー本体(32)と、スライドカバー本体(32)の両側に連設され、固定用端子(60)(60)の水平部(61)(61)と係合してスライドカバー(30)を前後方向へ移動可能に案内するとともに、スライドカバー(30)の後方への移動を制限する第1ガイド片(45)(45)と、第1ガイド片(45)(45)に連設されてスライドカバー(30)の前方への移動を制限するストッパー爪(37)(37)とを備え、イジェクト爪(39)がスライドカバー本体(32)の後端から下方へ垂設されていることを特徴とする請求項1記載のメモリカード用コネクタ。
【請求項3】
第1ガイド片(45)(45)は、スライドカバー本体(32)の両側から下方へ垂設され、スライドカバー(30)が後方へ移動したときに水平部(61)(61)に当接してスライドカバー(30)の後方への移動を制限するストッパー片部(34)(34)と、ストッパー片部(34)(34)の先端側から後方へ向けて連設され、スライドカバー本体(32)との間に後方側を開口した案内用間隙(35)(35)を形成し、この案内用間隙(35)(35)に固定用端子(60)(60)を移動可能に係合させるアーム片部(36)(36)とで形成され、ストッパー爪(37)(37)がアーム片部(36)(36)の先端部から上方へ突設されていることを特徴とする請求項2記載のメモリカード用コネクタ。
【請求項4】
ハウジング(10)は、略矩形板状に形成された底板(12)と、底板(12)の両側から上方へ立設された側板(13)(13)とを備え、側板(13)(13)の外側面には前後方向に沿った案内段部(16)(16)が形成され、ばね収容凹部(18)は、側板(13)(13)の少なくとも一方に上方を開口して前後方向に沿って形成され、スライドカバー(30)は、スライドカバー(30)の両側から下方の垂設されて案内段部(16)(16)と前後方向へ移動可能に係合する第2ガイド片(38)(38)を備え、スライドカバー(30)には、ばね収容凹部(18)に収容されたコイルばね(80)の後端に係合するばね係合突片(41)が切り起こしで形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のメモリカード用コネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−21191(P2009−21191A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184921(P2007−184921)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】