メロンの食べ頃判定方法および青果物の外周減少測定装置
【課題】追熟に伴って減少するメロンの外周を測定することによってその熟度を判定するメロンの食べ頃判定方法である。青果物の赤道部外周面にベルトを着装し、このベルトと青果物の外周面との隙間に楔状のゲージを嵌挿し、この楔状のゲージの侵入の程度によって青果物の外周の減少を測定する青果物の外周減少測定装置である。
【解決手段】メロンの外周における、ベルト設置時からの食べ頃時までの減少値を予め明確にしておけば、消費者は測定した減少値と食べ頃値とを比較することによって当該メロンの熟度を数値的に判定することができる。消費者の手元に届いた後のメロンの保管条件を反映した状態で、即ち、流通・消費段階の追熟条件に対応してメロンの熟度を数値的に正確に判定することができるため、個々のメロンの個体差や流通、消費段階の温度条件に左右されることなく、消費者自らが常に一定した食べ頃を的確に判定できる。
【解決手段】メロンの外周における、ベルト設置時からの食べ頃時までの減少値を予め明確にしておけば、消費者は測定した減少値と食べ頃値とを比較することによって当該メロンの熟度を数値的に判定することができる。消費者の手元に届いた後のメロンの保管条件を反映した状態で、即ち、流通・消費段階の追熟条件に対応してメロンの熟度を数値的に正確に判定することができるため、個々のメロンの個体差や流通、消費段階の温度条件に左右されることなく、消費者自らが常に一定した食べ頃を的確に判定できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はメロンの食べ頃判定方法および青果物の外周減少測定装置に関し、主として、消費者自らがメロンの食べ頃又は白菜等の青果物の鮮度を判定する際に使用するものである。
【背景技術】
【0002】
メロンの食べ頃を判定するにあたって、販売段階での現状では、季節や品種を踏まえ、これまでの経験に基づく食べ頃までの日数(夏期なら5日、冬期なら10日等)を持って食べ頃期日をメロンに記載している場合が多いものである。
【0003】
また、消費者が自ら食べ頃を判定する方法として、果皮が灰緑色からやや黄化した時、香りが発生し始めた時、花痕部を押して軟らかくなった時などを基準としている場合などが挙げられる。
【0004】
その他、青果物の熟度を判定する先行技術としては、近赤外分光や可視光等の「光」を利用して熟度を評価する技術、「音」および「共振周波数」を利用して熟度を評価する技術、他に「弾性率」、「超音波」、「画像解析」、「磁気共鳴」、「酵素膜」、「密度」を測定することによって熟度を評価する技術が存在する。
【0005】
【特許文献1】特開2002−122536号公報
【特許文献2】特開平09−274022号公報
【特許文献3】特開2000−097920号公報
【特許文献4】特開2001−056319号公報
【特許文献5】特開2004−101452号公報
【特許文献6】特開平09−327667号公報
【特許文献7】特開平07−198636号公報
【特許文献8】特開平06−055144号公報
【特許文献9】特開平08−178912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、販売経路において食べ頃期日を記載する方法にあっては、消費者は記載された期日を参考に追熟させ、消費するが、消費までの温度条件により熟度の進行が影響されるため、記載された食べ頃期日が実際の期日からずれやすい、
また、消費者自ら食べ頃を判定する方法にあっては、メロンの品種や時期に左右され必ずしも一致した的確な判定をしにくい、
更に、青果物の熟度を判定する先行技術にあっては、いずれも専用測定機器を要することから消費者がこの技術を利用して容易に判定することは困難であるという、様々な不都合を有していた。
【0007】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
この課題を達成するために、発明者は鋭意研究した結果、メロンの外周の微小な減少とその熟度の進行とが関係していることを見いだし(表1を参照のこと)、その変化(減少)から熟度を判定できることを明らかにしてこの発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るメロンの食べ頃判定方法においては、追熟に伴って減少するメロンの外周を測定することによってその熟度を判定するものである
【0009】
さらに、この発明に係る青果物の外周減少測定装置においては、青果物の赤道部外周面にベルトを着装し、このベルトと青果物の外周面との隙間に楔状のゲージを嵌挿し、この楔状のゲージの侵入の程度によって前記青果物の外周の減少を測定するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るメロンの食べ頃判定方法においては上記のように構成されているため、メロンの外周における、ベルト設置時からの食べ頃時までの減少値(以下、「食べ頃値」と記す)を予め明確にしておけば、消費者は測定した減少値と食べ頃値とを比較することによって当該メロンの熟度を数値的に判定することができる。
【0011】
よって、この方法を使用すれば、消費者の手元に届いた後のメロンの保管条件を反映した状態で、即ち、流通・消費段階の追熟条件に対応してメロンの熟度を数値的に正確に判定することができるため、個々のメロンの個体差や流通、消費段階の温度条件に左右されることなく、消費者自らが常に一定した食べ頃を的確に判定できるものである。
【0012】
さらに、この発明に係る青果物の外周減少測定装置においては上記のように構成されているため、楔における斜面の効果によって青果物(メロン,白菜等)の外周の減少を増幅させた状態で容易に測定することができる。
【0013】
よって、この青果物の外周減少測定装置を使用すれば、簡単な装置によって、メロン,白菜等の消費者は上記判定方法を利用して、青果物であるメロン,白菜等の食べ頃や鮮度を容易に判定することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
収穫後のメロンの赤道部にポリスチレン製のベルトを巻き(この発明の「着装」に相当する。以下同じ)、果実の収縮により生じるベルトの隙間に三角形の楔ゲージを差し込み、この楔ゲージの侵入の程度によって前記メロンの外周の減少値を測定する。そして、予め定めた、この減少値を前記食べ頃値(ベルト設置時(収穫時)から食べ頃時までの追熟による減少値)と記す)比較することによって当該メロンの熟度を数値的に判定する。
【実施例1】
【0015】
以下、この発明の実施例を説明する。
図1はこの発明に係る青果物の外周減少測定装置の食べ頃判定装置の正面図、図2はこの判定装置に使用される測定ゲージ(楔ゲージ)の斜視図、図3は外周の変化に対する異なる角度の測定ゲージによる測定結果のグラフ、図4は異なる外周と外周減少量に対する測定結果のグラフ、図5は冬作メロンにおける収穫後の固有振動値および外周減少測定ゲージ値の推移のグラフ、図6は冬作メロンにおける収穫後の果実赤道部外周減少量の推移のグラフ、図7は夏作メロンにおける固有振動値と果肉硬度との関係のグラフ、図8は夏作メロンにおける外周減少測定ゲージ値と果肉硬度との関係のグラフ、図9は冬作メロンの食べ頃前後の果実における固有振動値と外周減少測定ゲージ値との関係のグラフ、図10は収穫日数および貯蔵温度の異なる冬作メロンにおける食べ頃の果実の外周減少測定ゲージ値のグラフである。
【0016】
これらの図に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【0017】
(1).温室メロン果実の追熟後の形状変化
温室メロンを6日間追熟させると、果重、体積、赤道部外周、固有振動値は減少す るが、密度の変化は少ない。また、果皮色ではL*値がやや増加し明るい色になり、a* 値はわずかに緑方向に、b*値は黄色方向に変化する(表1を参照のこと)。
この結果から、温室メロン果実は追熟により収縮することが明らかである。
【表1】
【0018】
(2). 果実赤道部外周減少測定装置(この発明の「青果物の外周減少測定装置」に相当 する)について。
追熟に伴う果実の収縮から、赤道部外周の減少量を増幅させ測定する装置を検討し た。
この装置は、収穫後のメロン(果実,青果物)Mの赤道部にポリスチレン製のベル ト(幅 7mm、厚さ 0.2mm)Bを巻き、果実の収縮により生じるベルトBとの隙間に状 のゲージGを差し込み測定するものである(図1を参照のこと)。このゲージGは、 図2に示すように、二等辺三角形状の目盛板10とこの目盛板10に立設された測定板20 とから構成されている。そして、この測定板20は先端が45°以下の楔状であり、前 記目盛板10の対称軸に沿って頂点を一致させた状態で配置されている。このため、果 実とベルトとの隙間の測定値が楔における斜面の効果によって増幅され、前記目盛板 10に表示されるものである。
【0019】
次に、ゲージの角度(θ)について検討した。ゲージの角度が、 5°、 8°、10° の3種類のものを作成し、ベルトとの隙間を測定した。その結果、図3に示すように 、それぞれのゲージの角度において容器外周とベルト外周の差と測定値との間に高い 相関関係が得られ、ゲージ値から外周の差を推定することが可能であることが判明し た。
【0020】
また、ゲージの角度は、角度が大きいほど測定時に止まりやすいこと、角度が小さ いとゲージが大きくなることから、10°が最適であると判断された。
【0021】
次に、このゲージが使用できるメロンの大きさについて検討した。
メロン果実の大きさは一定でないため、10°のゲージを使用して42〜47cm外周の− 1 〜−4 mmのモデル試験を行った。その結果、図4に示すように、外周値が大きくな るほどゲージ値は大きくなる傾向が認められたが、また本実験式とメロンの外周値お よびゲージ測定値から実際の外周の減少量を推定することが可能であることが判明し た。
(3) 果実赤道部外周減少測定装置の実用性評価
【0022】
a.追熟に伴う赤道部外周値の変化
温室メロンを20°C で追熟させた場合の固有振動値と外周減少測定ゲージの推移は 、図5に示すように、固有振動値が追熟日数とともに低下したのに対し、外周減少測 定ゲージ値は逆に増加する。また追熟に伴う外周の減少量は、図6に示すように、追 熟後 4日目付近から大きくなる。
【0023】
固有振動値と果肉硬度(熟度)との間には、図7に示すように、高い正の相関関係 があり、また、外周減少測定ゲージ値と果肉硬度(熟度)との間には、図8に示すよ うに高い負の相関関係が認められる。このことから、外周の減少測定ゲージ値から果 肉硬度(熟度)を推定することが可能であることが判明した。
【0024】
表2に示すように、20°C で貯蔵した温室メロンの食べ頃の熟度(果肉硬度で0.35 kg付近、固有振動値で220Hz 付近)における外周減少量は、平均1.7 mm(1.0 〜2.1 mmの範囲)で、この時のゲージ値は、平均3.1 cm(2.6 〜3.7 cmの範囲)である。
【表2】
【0025】
b.異なる貯蔵温度、収穫時の熟度の場合における食べ頃の外周減少測定ゲージ値
貯蔵温度を変えた場合の食べ頃の熟度における外周減少測定ゲージの値は、表3に 示すように、15°C 貯蔵で平均3.6 cm(3.4 〜3.7 cmの範囲)、20°C 貯蔵で平均3. 2cm(2.9 〜3.7 cmの範囲)であり、低温で食べ頃までの日数が長く果実の水分減耗 率が大きいと測定ゲージの値はやや大きくなる。
【表3】
【0026】
また、収穫時の熟度が異なる場合の食べ頃の熟度における外周減少測定ゲージの値 は、表4に示すように、50日収穫で平均3.2 cm(2.5 〜3.8 cmの範囲)、52日収穫で 平均3.1 cm(2.6 〜3.4 cmの範囲)、54日収穫で平均2.9 cm(2.3 〜2.7 cmの範囲) であり、収穫時の熟度がやや進み、食べ頃までの日数が短く、水分減耗率が小さいと 測定ゲージの値はやや小さくなる。
【表4】
【0027】
c.食べ頃判定用ゲージの設定
20°C で追熟させた場合、図9に示すように、食べ頃前後の果実の固有振動値と外 周減少測定ゲージ値との関係から、ゲージ値が2.5 cm以上になった時を食べ頃値と判 定できる。また、「適熟」のゲージ値は、3 〜3.3 cm付近であり、2.5 〜3 cmの間を 「やや硬めの食べ頃」、3.3 〜 3.8cmの間を「やや軟らかめの食べ頃」として設定き る。
【0028】
また、図10に示すように、収穫時の熟度や追熟温度が異なる場合でもゲージ値が 2 .5cm以上になった時を食べ頃と判定できる。
【0029】
(4) 実施例青果物の外周減少を知る他の実施例
図11は外周減少を知る第2実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、メロン果実赤道部に可塑性を有する結束用ベルトを巻き、追熟に伴い赤道 部外周が減少し、結束用ベルトが緩んだ時ベルトを巻き上げ、巻き上げた回数で外周 の減少量を知る方法である。
【0030】
図12は外周減少を知る第3実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、メロン果実赤道部に絞り込みが可能な結束用ベルトを巻き、追熟に伴い赤 道部外周が減少し、結束用ベルトが緩んだ時ベルトを絞り込み、絞り込んだ長さで外 周の減少量を知る方法である。
【0031】
図13は外周減少を知る第4実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、外周減少測定ゲージの代わりに普遍的な角度を有する既製品(鉛筆を削っ た時の角度、三角定規の角度)を利用し、外周の減少量を知る方法である。
【0032】
図14は外周減少を知る第5実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、一定の長さのベルトを用い外周の一部のみにベルトの両端をシールで固定 し(本願発明の「着装」に相当する)、外周減少測定ゲージにより外周の減少量を知 る方法である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
生産者が出荷調整段階でベルトを着装し、小売り・消費段階でゲージにより判定する。収穫直後の外周の減少が少ないことから、収穫2 〜3 日後にベルトを着装(小売り段階)して判定(ゲージ値は新たに設定)することも可能である。コスト面としては、測定用ゲージおよびベルトを紙製のものでも利用できるため、低減も可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明に係るメロンの食べ頃判定装置の正面図である。
【図2】この判定装置に使用される測定ゲージ(楔ゲージ)の斜視図である。
【図3】外周の変化に対する異なる角度の測定ゲージによる測定結果のグラフである。
【図4】異なる外周と外周減少量に対する測定結果のグラフである。
【図5】冬作メロンにおける収穫後の固有振動値および外周減少測定ゲージ値の推移のグラフである。
【図6】冬作メロンにおける収穫後の果実赤道部外周減少量の推移のグラフである。
【図7】夏作メロンにおける固有振動値と果肉硬度との関係のグラフである。
【図8】夏作メロンにおける外周減少測定ゲージ値と果肉硬度との関係のグラフである。
【図9】冬作メロンの食べ頃前後の果実における固有振動値と外周減少測定ゲージ値との関係のグラフである。
【図10】収穫日数および貯蔵温度の異なる冬作メロンにおける食べ頃の果実の外周減少測定ゲージ値のグラフである。
【図11】青果物の外周減少を知る方法の第2実施例を示した説明図である。
【図12】青果物の外周減少を知る方法の第3実施例を示した説明図である。
【図13】青果物の外周減少を知る方法の第4実施例を示した説明図である。
【図14】青果物の外周減少を知る方法の第5実施例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0035】
B … ポリスチレンベルト(ベルト)
G … 楔状のゲージ
M … メロン果実(青果物)
10 … 目盛板
20 … 測定板
【技術分野】
【0001】
この発明はメロンの食べ頃判定方法および青果物の外周減少測定装置に関し、主として、消費者自らがメロンの食べ頃又は白菜等の青果物の鮮度を判定する際に使用するものである。
【背景技術】
【0002】
メロンの食べ頃を判定するにあたって、販売段階での現状では、季節や品種を踏まえ、これまでの経験に基づく食べ頃までの日数(夏期なら5日、冬期なら10日等)を持って食べ頃期日をメロンに記載している場合が多いものである。
【0003】
また、消費者が自ら食べ頃を判定する方法として、果皮が灰緑色からやや黄化した時、香りが発生し始めた時、花痕部を押して軟らかくなった時などを基準としている場合などが挙げられる。
【0004】
その他、青果物の熟度を判定する先行技術としては、近赤外分光や可視光等の「光」を利用して熟度を評価する技術、「音」および「共振周波数」を利用して熟度を評価する技術、他に「弾性率」、「超音波」、「画像解析」、「磁気共鳴」、「酵素膜」、「密度」を測定することによって熟度を評価する技術が存在する。
【0005】
【特許文献1】特開2002−122536号公報
【特許文献2】特開平09−274022号公報
【特許文献3】特開2000−097920号公報
【特許文献4】特開2001−056319号公報
【特許文献5】特開2004−101452号公報
【特許文献6】特開平09−327667号公報
【特許文献7】特開平07−198636号公報
【特許文献8】特開平06−055144号公報
【特許文献9】特開平08−178912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、販売経路において食べ頃期日を記載する方法にあっては、消費者は記載された期日を参考に追熟させ、消費するが、消費までの温度条件により熟度の進行が影響されるため、記載された食べ頃期日が実際の期日からずれやすい、
また、消費者自ら食べ頃を判定する方法にあっては、メロンの品種や時期に左右され必ずしも一致した的確な判定をしにくい、
更に、青果物の熟度を判定する先行技術にあっては、いずれも専用測定機器を要することから消費者がこの技術を利用して容易に判定することは困難であるという、様々な不都合を有していた。
【0007】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
この課題を達成するために、発明者は鋭意研究した結果、メロンの外周の微小な減少とその熟度の進行とが関係していることを見いだし(表1を参照のこと)、その変化(減少)から熟度を判定できることを明らかにしてこの発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るメロンの食べ頃判定方法においては、追熟に伴って減少するメロンの外周を測定することによってその熟度を判定するものである
【0009】
さらに、この発明に係る青果物の外周減少測定装置においては、青果物の赤道部外周面にベルトを着装し、このベルトと青果物の外周面との隙間に楔状のゲージを嵌挿し、この楔状のゲージの侵入の程度によって前記青果物の外周の減少を測定するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るメロンの食べ頃判定方法においては上記のように構成されているため、メロンの外周における、ベルト設置時からの食べ頃時までの減少値(以下、「食べ頃値」と記す)を予め明確にしておけば、消費者は測定した減少値と食べ頃値とを比較することによって当該メロンの熟度を数値的に判定することができる。
【0011】
よって、この方法を使用すれば、消費者の手元に届いた後のメロンの保管条件を反映した状態で、即ち、流通・消費段階の追熟条件に対応してメロンの熟度を数値的に正確に判定することができるため、個々のメロンの個体差や流通、消費段階の温度条件に左右されることなく、消費者自らが常に一定した食べ頃を的確に判定できるものである。
【0012】
さらに、この発明に係る青果物の外周減少測定装置においては上記のように構成されているため、楔における斜面の効果によって青果物(メロン,白菜等)の外周の減少を増幅させた状態で容易に測定することができる。
【0013】
よって、この青果物の外周減少測定装置を使用すれば、簡単な装置によって、メロン,白菜等の消費者は上記判定方法を利用して、青果物であるメロン,白菜等の食べ頃や鮮度を容易に判定することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
収穫後のメロンの赤道部にポリスチレン製のベルトを巻き(この発明の「着装」に相当する。以下同じ)、果実の収縮により生じるベルトの隙間に三角形の楔ゲージを差し込み、この楔ゲージの侵入の程度によって前記メロンの外周の減少値を測定する。そして、予め定めた、この減少値を前記食べ頃値(ベルト設置時(収穫時)から食べ頃時までの追熟による減少値)と記す)比較することによって当該メロンの熟度を数値的に判定する。
【実施例1】
【0015】
以下、この発明の実施例を説明する。
図1はこの発明に係る青果物の外周減少測定装置の食べ頃判定装置の正面図、図2はこの判定装置に使用される測定ゲージ(楔ゲージ)の斜視図、図3は外周の変化に対する異なる角度の測定ゲージによる測定結果のグラフ、図4は異なる外周と外周減少量に対する測定結果のグラフ、図5は冬作メロンにおける収穫後の固有振動値および外周減少測定ゲージ値の推移のグラフ、図6は冬作メロンにおける収穫後の果実赤道部外周減少量の推移のグラフ、図7は夏作メロンにおける固有振動値と果肉硬度との関係のグラフ、図8は夏作メロンにおける外周減少測定ゲージ値と果肉硬度との関係のグラフ、図9は冬作メロンの食べ頃前後の果実における固有振動値と外周減少測定ゲージ値との関係のグラフ、図10は収穫日数および貯蔵温度の異なる冬作メロンにおける食べ頃の果実の外周減少測定ゲージ値のグラフである。
【0016】
これらの図に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【0017】
(1).温室メロン果実の追熟後の形状変化
温室メロンを6日間追熟させると、果重、体積、赤道部外周、固有振動値は減少す るが、密度の変化は少ない。また、果皮色ではL*値がやや増加し明るい色になり、a* 値はわずかに緑方向に、b*値は黄色方向に変化する(表1を参照のこと)。
この結果から、温室メロン果実は追熟により収縮することが明らかである。
【表1】
【0018】
(2). 果実赤道部外周減少測定装置(この発明の「青果物の外周減少測定装置」に相当 する)について。
追熟に伴う果実の収縮から、赤道部外周の減少量を増幅させ測定する装置を検討し た。
この装置は、収穫後のメロン(果実,青果物)Mの赤道部にポリスチレン製のベル ト(幅 7mm、厚さ 0.2mm)Bを巻き、果実の収縮により生じるベルトBとの隙間に状 のゲージGを差し込み測定するものである(図1を参照のこと)。このゲージGは、 図2に示すように、二等辺三角形状の目盛板10とこの目盛板10に立設された測定板20 とから構成されている。そして、この測定板20は先端が45°以下の楔状であり、前 記目盛板10の対称軸に沿って頂点を一致させた状態で配置されている。このため、果 実とベルトとの隙間の測定値が楔における斜面の効果によって増幅され、前記目盛板 10に表示されるものである。
【0019】
次に、ゲージの角度(θ)について検討した。ゲージの角度が、 5°、 8°、10° の3種類のものを作成し、ベルトとの隙間を測定した。その結果、図3に示すように 、それぞれのゲージの角度において容器外周とベルト外周の差と測定値との間に高い 相関関係が得られ、ゲージ値から外周の差を推定することが可能であることが判明し た。
【0020】
また、ゲージの角度は、角度が大きいほど測定時に止まりやすいこと、角度が小さ いとゲージが大きくなることから、10°が最適であると判断された。
【0021】
次に、このゲージが使用できるメロンの大きさについて検討した。
メロン果実の大きさは一定でないため、10°のゲージを使用して42〜47cm外周の− 1 〜−4 mmのモデル試験を行った。その結果、図4に示すように、外周値が大きくな るほどゲージ値は大きくなる傾向が認められたが、また本実験式とメロンの外周値お よびゲージ測定値から実際の外周の減少量を推定することが可能であることが判明し た。
(3) 果実赤道部外周減少測定装置の実用性評価
【0022】
a.追熟に伴う赤道部外周値の変化
温室メロンを20°C で追熟させた場合の固有振動値と外周減少測定ゲージの推移は 、図5に示すように、固有振動値が追熟日数とともに低下したのに対し、外周減少測 定ゲージ値は逆に増加する。また追熟に伴う外周の減少量は、図6に示すように、追 熟後 4日目付近から大きくなる。
【0023】
固有振動値と果肉硬度(熟度)との間には、図7に示すように、高い正の相関関係 があり、また、外周減少測定ゲージ値と果肉硬度(熟度)との間には、図8に示すよ うに高い負の相関関係が認められる。このことから、外周の減少測定ゲージ値から果 肉硬度(熟度)を推定することが可能であることが判明した。
【0024】
表2に示すように、20°C で貯蔵した温室メロンの食べ頃の熟度(果肉硬度で0.35 kg付近、固有振動値で220Hz 付近)における外周減少量は、平均1.7 mm(1.0 〜2.1 mmの範囲)で、この時のゲージ値は、平均3.1 cm(2.6 〜3.7 cmの範囲)である。
【表2】
【0025】
b.異なる貯蔵温度、収穫時の熟度の場合における食べ頃の外周減少測定ゲージ値
貯蔵温度を変えた場合の食べ頃の熟度における外周減少測定ゲージの値は、表3に 示すように、15°C 貯蔵で平均3.6 cm(3.4 〜3.7 cmの範囲)、20°C 貯蔵で平均3. 2cm(2.9 〜3.7 cmの範囲)であり、低温で食べ頃までの日数が長く果実の水分減耗 率が大きいと測定ゲージの値はやや大きくなる。
【表3】
【0026】
また、収穫時の熟度が異なる場合の食べ頃の熟度における外周減少測定ゲージの値 は、表4に示すように、50日収穫で平均3.2 cm(2.5 〜3.8 cmの範囲)、52日収穫で 平均3.1 cm(2.6 〜3.4 cmの範囲)、54日収穫で平均2.9 cm(2.3 〜2.7 cmの範囲) であり、収穫時の熟度がやや進み、食べ頃までの日数が短く、水分減耗率が小さいと 測定ゲージの値はやや小さくなる。
【表4】
【0027】
c.食べ頃判定用ゲージの設定
20°C で追熟させた場合、図9に示すように、食べ頃前後の果実の固有振動値と外 周減少測定ゲージ値との関係から、ゲージ値が2.5 cm以上になった時を食べ頃値と判 定できる。また、「適熟」のゲージ値は、3 〜3.3 cm付近であり、2.5 〜3 cmの間を 「やや硬めの食べ頃」、3.3 〜 3.8cmの間を「やや軟らかめの食べ頃」として設定き る。
【0028】
また、図10に示すように、収穫時の熟度や追熟温度が異なる場合でもゲージ値が 2 .5cm以上になった時を食べ頃と判定できる。
【0029】
(4) 実施例青果物の外周減少を知る他の実施例
図11は外周減少を知る第2実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、メロン果実赤道部に可塑性を有する結束用ベルトを巻き、追熟に伴い赤道 部外周が減少し、結束用ベルトが緩んだ時ベルトを巻き上げ、巻き上げた回数で外周 の減少量を知る方法である。
【0030】
図12は外周減少を知る第3実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、メロン果実赤道部に絞り込みが可能な結束用ベルトを巻き、追熟に伴い赤 道部外周が減少し、結束用ベルトが緩んだ時ベルトを絞り込み、絞り込んだ長さで外 周の減少量を知る方法である。
【0031】
図13は外周減少を知る第4実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、外周減少測定ゲージの代わりに普遍的な角度を有する既製品(鉛筆を削っ た時の角度、三角定規の角度)を利用し、外周の減少量を知る方法である。
【0032】
図14は外周減少を知る第5実施例を示した図である。この実施例の方法は、図に示 すように、一定の長さのベルトを用い外周の一部のみにベルトの両端をシールで固定 し(本願発明の「着装」に相当する)、外周減少測定ゲージにより外周の減少量を知 る方法である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
生産者が出荷調整段階でベルトを着装し、小売り・消費段階でゲージにより判定する。収穫直後の外周の減少が少ないことから、収穫2 〜3 日後にベルトを着装(小売り段階)して判定(ゲージ値は新たに設定)することも可能である。コスト面としては、測定用ゲージおよびベルトを紙製のものでも利用できるため、低減も可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明に係るメロンの食べ頃判定装置の正面図である。
【図2】この判定装置に使用される測定ゲージ(楔ゲージ)の斜視図である。
【図3】外周の変化に対する異なる角度の測定ゲージによる測定結果のグラフである。
【図4】異なる外周と外周減少量に対する測定結果のグラフである。
【図5】冬作メロンにおける収穫後の固有振動値および外周減少測定ゲージ値の推移のグラフである。
【図6】冬作メロンにおける収穫後の果実赤道部外周減少量の推移のグラフである。
【図7】夏作メロンにおける固有振動値と果肉硬度との関係のグラフである。
【図8】夏作メロンにおける外周減少測定ゲージ値と果肉硬度との関係のグラフである。
【図9】冬作メロンの食べ頃前後の果実における固有振動値と外周減少測定ゲージ値との関係のグラフである。
【図10】収穫日数および貯蔵温度の異なる冬作メロンにおける食べ頃の果実の外周減少測定ゲージ値のグラフである。
【図11】青果物の外周減少を知る方法の第2実施例を示した説明図である。
【図12】青果物の外周減少を知る方法の第3実施例を示した説明図である。
【図13】青果物の外周減少を知る方法の第4実施例を示した説明図である。
【図14】青果物の外周減少を知る方法の第5実施例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0035】
B … ポリスチレンベルト(ベルト)
G … 楔状のゲージ
M … メロン果実(青果物)
10 … 目盛板
20 … 測定板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
追熟に伴って減少するメロンの外周を測定することによってその熟度を判定することを特徴とするメロンの食べ頃判定方法。
【請求項2】
青果物の赤道部外周面にベルトを着装し、このベルトと青果物の外周面との隙間に楔状のゲージを嵌挿し、この楔ゲージの侵入の程度によって前記青果物の外周の減少を測定することを特徴とする青果物の外周減少測定装置。
【請求項1】
追熟に伴って減少するメロンの外周を測定することによってその熟度を判定することを特徴とするメロンの食べ頃判定方法。
【請求項2】
青果物の赤道部外周面にベルトを着装し、このベルトと青果物の外周面との隙間に楔状のゲージを嵌挿し、この楔ゲージの侵入の程度によって前記青果物の外周の減少を測定することを特徴とする青果物の外周減少測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−138771(P2006−138771A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329576(P2004−329576)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【Fターム(参考)】
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