説明

メール中継装置

【課題】 匿名の問合せ手段において、問合せ掲示版や問合せ用メッセージ宛先を用いる場合に、常用のメッセージ宛先を使えない手間や誤って常用のメッセージ宛先で送信する手違いが発生する。また匿名メッセージ宛先と常用のメッセージ宛先を変換し転送する場合に、悪意者によるなりすましや改竄と区別がつかない問題を含んでいる。
【解決手段】 質問者(4)の問合せ内容の対象となる情報を表示するホームページやチラシ等の情報を表示する媒体(3)、情報表示媒体(3)から問合せフォーム等の質問開始を受付ける質問開始受付(5)、質問開始受付(5)が作成した匿名アドレス宛のメッセージを受取り、そのメッセージを検証した後、メッセージから質問者(4)に関する情報を削除し、メッセージの送信者および受信者を改変し、メッセージに改変を加えたことを保証しメッセージ転送するメッセージ改変転送(6)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発信元および受信元を非公開にしたままに電子メールを送受信するメール中継サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子メールアドレスの匿名化を実現する方法は、ウェブサイト上の問合せ掲示板といった専用手段を用いる方法、適時問合せ用の専用アドレスを作成する方法、適当に作成された匿名電子メールアドレスで質問者と回答者の電子メールアドレスを中継する方法で匿名化を実現していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これは、次のような欠点があった。
専用手段を用いて問合せとその返答を送受信する方法は、ログインや専用サイトへのアクセスという専用手段を利用する手間がある。適時問合せ用の専用アドレスを作成する方法は、質問者が複数のアドレスを適切に使い分ける必要があり、問合せ用でない電子メールアドレスから誤送することで、匿名化を必要とする電子メールアドレスを漏洩する危険がある。匿名電子メールアドレスで電子メールを中継する方法は、悪意者による“なりすまし”や改竄と区別が難しく、そのため匿名化した電子メールの送受信に見せかけフィッシングメールを紛れ込ませる等の悪意者による不正利用の危険がある。フィッシングメール対策に有効な身元保証と内容証明技術である電子署名やドメイン認証技術は改竄されていないことを証明する技術であり、アドレス変換によるメールの書換えには有効でない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
回答者(1)のメールアドレスや氏名あるいは団体名など回答者(1)を特定する情報を保存する手段(2)、ホームページやチラシ広告など回答者(1)を選択させる為に情報を表示する媒体(3)、質問者(4)が情報表示媒体から回答者(1)を選択し、質問者(4)が問合せフォームやメールなどでその回答者(1)へ質問を開始するための質問開始受付手段(5)、質問者(4)あるいは回答者(1)が質問受付手段が作成した匿名アドレス宛てに送信したメールを受け取り、そのメールを検証し、送受信先や個人情報を改変し、改変したことを保障するための身元保証手段を施しメールを転送するメール改変転送手段(6)からなる。
本発明は、以上の構成によりなるメール中継装置である。
【発明の効果】
【0005】
ウェブサイト上の問合せ掲示板を利用する等の専用手段を利用せずに常用の電子メール送受信で匿名化を実現でき専用手段を使う手間がなくなる。
回答者(7)の電子メールアドレスも匿名アドレスに変換される。質問者(11)が直接に回答者(7)の電子メールアドレスへ電子メールを送信できず、質問者(11)の匿名化されていない電子メールアドレスが発信者である電子メールを回答者(7)が受信することがない。そのため実名と匿名を使い分けることで発生する誤送による質問者(11)の電子メールアドレスの漏洩がない。
質問者(11)の意思により、電子メールアドレスの変換テーブル(16)は作成される。そのため質問者(11)が許可した相手だけが回答者(7)となることを保証できる。メール受信手段(18)がメール送信手段(17)以外から届いたアドレス変換の疑いがあるメールを拒否あるいは警告すれば、“なりしまし”や改竄、フィッシング被害から質問者(11)を守ることができる。
携帯端末等の複数の電子メールアドレスを操作することに不向きな端末から匿名アドレスを利用した電子メールの送受信が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
回答者(7)がメールアドレスや専用の質問受取手段などの情報と身元を保証する情報を回答者登録(8)へ登録する。登録された回答者(7)の情報は、回答者情報(9)に保存される。ホームページやチラシ・看板など任意の情報表示媒体(10)に、登録完了時に発行される回答者IDを含め回答者(7)の情報を掲載し、質問者(11)に回答者を選択させる。回答者(11)は、問合せフォームや問合せメールアドレスへ回答者IDあるいは回答者(7)を識別できる情報と質問を受け取るためのメールアドレスを指定し、質問開始受付(12)に質問の開始を依頼する。質問開始受付(12)は、質問者ID発行(13)に質問者IDの発行を請求し、取得した質問者IDと質問者メールアドレス等の個人情報を質問者情報(14)に保存する。質問開始受付(12)は、匿名アドレス作成に匿名アドレス作成を請求し、取得した匿名アドレスと質問者IDおよび回答者IDを変換テーブル(16)に保存する。質問開始受付(12)は、質問開始の準備が完了したメールをメッセージ送信(17)を通じて質問者(11)へ通知する。質問者(11)がメール受信(18)で取得した質問開始の準備完了通知メールの返信内容に質問を記述し、メール送信(19)から匿名アドレスへ返信することで、質問者(11)と回答者(7)間の問答が開始される。初回に質問者(11)へ質問開始の準備完了通知メールを送信することで質問者(11)の本人確認ができ、質問者(11)への“なりすまし”が防止できる。従来技術にも本人確認の為に空メールを返信させる仕組みが存在したが、空メールへ返信する必要性が質問者(11)に解り辛く、質問者(11)が返信しないことで質問者(11)の本人確認ができず、次の工程に進めない場合があった。質問開始の準備完了通知メールの返信に質問内容を記述させることで、本人確認が円滑に行われ次の工程に円滑に進行することができる。メール送信(19)から匿名アドレス宛てに送信されたメールをメッセージ受信(20)が受信する。受信したメッセージは、メッセージ検証(21)が行われ、質問は質問者(11)が送ったものであると検証し、メッセージから質問者(11)のメールアドレス等の質問者(11)の個人情報を削除し、送信元を匿名アドレスに書き換え、送信先を回答者(7)に書き換えるメッセージ改変(22)を行い、メッセージ送信(23)からメッセージを送信する。メッセージ送信(23)はメッセージ受信(24)に、メッセージ改変(22)が行われた事を保証するための検証手段を提供する 。質問が質問者(11)が書いたものである検証およびメッセージ改変(22)が行われたことを保証するために 、従来技術の発信サーバーのIP認証やSenderPolicyFrameworkあるいはDomainKeysなどのドメイン認証あるいは質問者(11)によるデジタル署名などを利用する。メッセージ受信(24)で受け取った質問に、回答者(7)が回答を書き、匿名アドレス宛てメッセージ送信(25)する。回答者(7)からの匿名アドレス宛てのメッセージ受信(20)が行われると、メッセージ検証(21)が行われ、回答は回答者(7)が書いたものであると検証し、メッセージから回答者(7)のメールアドレスを削除し、送信元を匿名アドレスに書き換え、送信先を質問者(11)に書き換えるメッセージ改変(22)を行い、メッセージ送信(17)からメッセージを送信する。回答が回答者(7)が書いたものであると検証するために、質問者(11)が質問する場合と同様に従来技術で検証する。また、メッセージ改変(22)が正しく行われたことを保証するために、メール送信(17)は、メッセージ送信(23)が、メッセージ改変を保証する場合と同様に、従来技術による検証手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の機能構成図である。
【図2】 本発明の内部構成図である。
【符号の説明】
【0008】
1 回答者
2 回答者登録
3 情報表示媒体
4 質問者
5 質問開始受付
6 メール改変転送
7 回答者
8 回答者登録
9 回答者情報
10 情報表示媒体
11 質問者
12 質問開始受付
13 質問者ID発行
14 質問者情報
15 匿名アドレス作成
16 変換テーブル
17 メール送信
18 質問者側メール受信
19 質問者側メール送信
20 メッセージ受信
21 メッセージ検証
22 メッセージ改変
23 メッセージ送信
24 メッセージ受信
25 メッセージ送信

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問者(11)が回答者情報(9)に登録された回答者(7)を情報表示媒体(10)から選し、その回答者(7)に対する質問開始を質問開始受付(12)に自らの意思で要求し匿名アドレス作成(15)が作成した匿名アドレスへ質問者(11)あるいは回答者(7)が送信した問合せメッセージあるいは回答メッセージを、回答者(7)あるいは質問者(11)へ送信するメッセージ転送手段。
【請求項2】
請求項1において、発信者および発信された電子メールを電子署名あるいは送信IP認証あるいは送信ドメイン認証あるいはこれらの併用の検証手段を用いてメッセージ検証を行う手段(21)。
【請求項3】
請求項2において、転送されるメッセージから質問者情報を削除し、受信者となっている匿名アドレスを発信者に変更し、変換テーブル(16)および質問者情報(14)および回答者情報(9)から匿名アドレスに関連付けされた質問者(11)のメッセージ宛先および回答者(7)のメッセージ宛先を取得し、発信者が質問者(11)の場合は受信者を回答者(7)へ変更し、発信者が回答者(7)の場合は受信者を質問者(11)に変更する手段(22)。
【請求項4】
請求項3において、メッセージの内容変更が不正なく行われたことを保証するために電子署名あるいは送信IP認証あるいは送信ドメイン認証あるいはこれらの併用の保証情報を提供しメールを送信する手段(17)。
【請求項5】
請求項1において、回答者(7)へ質問を送信する前に、質問者(11)へ質問意思確認を行うメッセージ送信をおこなう転送手段。
【請求項6】
質問者(11)が回答者情報(9)に登録された回答者(7)を情報表示媒体(10)から選し、その回答者(7)に対する質問開始を質問開始受付(10)に自らの意思で要求し匿名アドレス作成(12)が作成した匿名アドレスへ質問者(11)あるいは回答者(7)が送信した問合せメッセージあるいは回答メッセージを、回答者(7)あるいは質問者(11)へ送信するメッセージ転送方法。
【請求項7】
請求項6において、発信者および発信された電子メールを電子署名あるいは送信IP認証あるいは送信ドメイン認証あるいはこれらの併用の検証手段を用いてメッセージ検証を行う方法(21)。
【請求項8】
請求項7において、転送されるメッセージから質問者情報を削除し、受信者となっている匿名アドレスを発信者に変更し、変換テーブル(16)および質問者情報(14)および回答者情報(9)から匿名アドレスに関連付けされた質問者(11)のメッセージ宛先および回答者(7)のメッセージ宛先を取得し、発信者が質問者(11)の場合は受信者を回答者(7)へ変更し、発信者が回答者(7)の場合は受信者を質問者(11)に変更する方法(22)。
【請求項9】
請求項8において、メッセージの内容変更が不正なく行われたことを保証するために電子署名あるいは送信IP認証あるいは送信ドメイン認証あるいはこれらの併用の保証情報を提供しメールを送信する方法(17)。
【請求項10】
請求項6において、回答者(7)へ質問を送信する前に、質問者(11)へ質問意思確認を行うメッセージ送信をおこなう転送方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−10249(P2011−10249A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170539(P2009−170539)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(509204725)株式会社ビルコード (1)
【Fターム(参考)】