説明

モジュール式イメージング・システムに使用するためのアプリケーション・サーバ

【課題】ネットワーク上でノードとして通信する自律的検出器及びイメージャ・サブシステムを管理するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】一実施形態では、特定のイメージング・アプリケーションのためにイメージャ及び検出器の適切な組合せが使用されるように、自律的イメージャ及び検出器サブシステム(30、32)の使用を調整するアプリケーション・サーバ(62)が設けられる。別の実施形態では、検出器性能に関する因子を監視又は測定する1つ以上の自動ルーチンなどによって、検出器サブシステム(32)の性能を使用前に自動的に評価することができる。追加のシステム、方法及び装置も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、ディジタル・イメージング・システムに関するものであり、特に、モジュール式イメージング・システムの管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な設計の多種類の放射線イメージング・システムが知られていて、現在使用されている。これらのシステムの内の或るものは、関心のある対象物へ向けられるX線の発生に基づいている。X線は対象物を横切って、フィルム又はディジタル検出器に衝突する。例えば、医学的診断分野では、このようなシステムは、内部組織を視覚化して、患者の病気を診断するために用いることができる。他の分野では、部品、手荷物、小包及び他の対象物を、それらの内容を評価するために及び他の目的のためにイメージングすることができる。
【0003】
現在のイメージング・サブシステムは、典型的には、X線発生及び成形のための特有の構成要素(例えば、イメージャ構成要素)及びX線検出のための構成要素を含み、これらの構成要素は相互に機能するように構成されている。すなわち、検出器は、一般に、関連した適合性のあるイメージャ・サブシステムが存在しないと機能することができない。同様に、イメージャ・サブシステムは、典型的には、関連した適合性のある検出器がないと機能しない。結果として、たとえ検出器及び対応するイメージャ・サブシステムが構造的に取り付けられない場合でも、所与の検出器及び/又はイメージャ・サブシステムは一緒に使用するのが制限されることがある。
【0004】
また更に、イメージャ・サブシステム及び検出器の能力及び/又はプロパティに基づいてイメージング・システムについて特別なイメージング・アプリケーションを有効にすることができる。従って、イメージャ・サブシステム及び検出器の特別な組合せが、特定のアプリケーション、例えばイメージング・プロトコル、検査などに適していることがある。従って、このようなアプリケーションは、所与の検出器及びイメージャ・サブシステムについて固定されている、すなわち、変わらないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7599579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、所与の検出器及びイメージャ・サブシステムについてどのようなアプリケーションを遂行することができるかを知ることが必要であると、これにより、所与のイメージャ・サブシステムに対する検出器の使用法が制限されるようになることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、「特許請求の範囲」に記載された発明の範囲に相応する特定の様々な面について記載する。これらの面が本発明の取り得る形態についての概要を読者に提供しようとするに過ぎず、またこれらの面が発明の範囲を限定しようとするものではないことを理解されたい。実際には、本発明は、以下に述べることのできなかった様々な面を包含することができる。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態は、一般に、イメージング管理システムに関係することができる。イメージング管理システムは、ネットワークと、各々が該ネットワーク上でノード(node)として通信を行うことのできる複数の自律的イメージャ・サブシステムとを含むことができる。イメージング管理システムはまた、各々が前記ネットワーク上でノードとして通信を行うことのできる複数の自律的検出器サブシステを含むことができる。更に、イメージング管理システムはまた、前記ネットワーク上でノードとして通信を行うことのできるアプリケーション・サーバを含むことができる。アプリケーション・サーバは、遂行すべきアプリケーションに基づいて複数の自律的イメージャ・サブシステム及び複数の自律的検出器サブシステムからイメージャ及び検出器の組合せを生成するルーチンを記憶し実行する。
【0009】
別の実施形態では、イメージング管理システムを提供する。イメージング管理システムは、ネットワークと、各々が該ネットワーク上でノードとして通信を行うことのできる複数の自律的イメージャ・サブシステムとを含むことができる。イメージング管理システムはまた、各々が前記ネットワーク上でノードとして通信を行うことのできる複数の自律的検出器サブシステを含むことができる。更に、イメージング管理システムはまた、前記ネットワーク上でノードとして通信を行うことのできるアプリケーション・サーバを含むことができる。アプリケーション・サーバは、複数の自律的イメージャ・サブシステム及び複数の自律的検出器サブシステムからのイメージャ及び検出器の異なる組合せについての利用可能なアプリケーションを決定して表示するルーチンを記憶し実行する。
【0010】
更に別の実施形態では、検出器の性能を監視するための方法を提供する。この方法によれば、自律的無線検出器の動作状態を決定するために1つ又は複数のルーチンを実行する。自律的無線検出器と無線通信関係にある装置が、自律的無線検出器の動作状態について通知される。
【0011】
前に述べた特徴の様々な改良が本発明の様々な面に関連して存在することがある。これらの様々な面には更に別の特徴を取り入れることもできる。これらの改良及び追加の特徴は個々に又は任意の組合せで存在することができる。例えば、例示の実施形態の内の1つ又は複数の実施形態に関連して以下に説明する様々な特徴は、本発明の上述した面のいずれかに単独で又は任意の組合せで取り入れることができる。再び述べると、上述の本発明の概要は、特許請求の範囲を制限することなく本発明の或る特定の面及び背景を読者に理解し易くすることのみ意図したものである。
【0012】
本発明のこれらの及び他の特徴、面及び利点は、添付図面を参照した以下の詳しい説明を読むことによってより良く理解されよう。図面では、全図を通じて同様な部分を同様な参照符号で表している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明技術を利用することのできる一実施形態のディジタルX線イメージング・システムの概略図である。
【図2】図2は、一実施形態に従った図1のディジタルX線イメージング・システムの斜視図である。
【図3】図3は、一実施形態に従ったノードとして自律的検出器サブシステム及び自律的イメージャ・サブシステムを持つネットワーク環境のブロック図である。
【図4】図4は、一実施形態に従った検出器サブシステム、イメージャ・サブシステム及びアプリケーション・サーバの構成要素のブロック図である。
【図5】図5は、一実施形態に従った検出器及びイメージャ・サブシステムの対のための利用可能なアプリケーションを識別するに遂行することのできる行為を示す流れ図である。
【図6】図6は、一実施形態に従った適切な検出器及びイメージャ・サブシステムの対を識別する際に遂行することのできる行為を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の1つ以上の特定の実施形態を記述する。これらの実施形態の説明を簡潔にするために、実際の具現化手段の全ての特徴を本明細書で記述することはできない。ここで、任意の工業又は設計計画におけるように、任意のこのような実際の具現化手段の開発において、開発者の特定の目標を達成するために、具現化手段によって変わり得るシステム関連及び事業関連の制約の順守のような多数の具現化手段特有の決定を行わなければならないことを理解されたい。また更に、このような開発努力は、複雑で時間がかかることがあるが、それにも拘わらず、この開示内容を利用する通常の技術者にとって設計、製作及び製造についての日常的な仕事であることを理解されたい。
【0015】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するとき、数を明記しないで記載した要素及び「前記」と付した要素は、1つ以上の要素があることを意味するものとする。また用語「有する」、「含む」及び「持つ」は、排他的なものではなく、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものとする。また更に、ここで開示する技術の様々な面又は実施形態の特定の例について「模範的」と云う用語を用いることがあるが、それらの例が本質的に例示的なものであること、また開示する一面又は一実施形態に関して何らかの優先性又は必要条件を表すために用語「模範的」を用いるものではないことが理解されよう。更に、「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」のような位置に関する用語、及びこのような用語の変形が便宜のために使用されるが、記述する構成要素についてどのような特定の配向も必要とされない。
【0016】
次に図面について説明すると、図1は、離散的な画素画像データを取得して処理するためのイメージング・システム10を例示する概略図である。図示の実施形態では、イメージング・システム10は、本発明技術に従って、最初の画像データを取得し且つ該画像データを表示のために処理するように設計されたディジタルX線システムである。図1に示された実施形態では、イメージング・システム10は、コリメータ14に隣接して配置されたX線源12を含む。コリメータ14は、放射線流16を、患者18のような被検体又は対象物が配置される領域に通過させることができる。特定の実施形態では、X線を濾過するためにフィルタを設けることもできる。放射線20の一部分が被検体の中及び周りの通過して、全体を参照数字22で表したディジタルX線検出器に衝突する。当業者に理解されるように、検出器22は、その表面上に受けたX線光子を相対的に低いエネルギの光子に変換し、次いで電気信号に変換することができる。電気信号は、収集されて、被検体内の特徴部の画像を再構成するように処理される。
【0017】
放射線源12は電力供給/制御回路24によって制御され、電力供給/制御回路24は検査シーケンスのために電力及び制御信号の両方を供給する。検出器22は検出器制御装置26に通信結合され、検出器制御装置26は、検出器22で発生された信号の取得を指令する。ここに例示する実施形態では、検出器22は、任意の適当な有線又は無線通信規格を用いて、検出器制御装置26と通信することができる。或る特定の実施形態では、検出器制御装置26の機能の幾分か又は全ては、検出器22をも収容する構造内に一体化することができる。すなわち、検出器制御装置26及び検出器22を単一の装置として設けることができる。検出器制御装置26は、幾つかの機能の中で特に、ダイナミックレンジの初期調節、ディジタル画像データのインターリーブなどのために、様々な信号処理及びフィルタリング機能を実行することができる。
【0018】
図示の実施形態では、電力供給/制御回路24及び検出器制御装置26はシステム制御装置28と通信し且つシステム制御装置28からの信号に応答することができる。一般に、システム制御装置28は、検査プロトコルを実行し且つ取得された画像データを処理するようにイメージング・システムの動作を指令する。これに関連して、システム制御装置28はまた、(典型的には、プログラム式汎用又は特定用途向けディジタル・コンピュータに基づいた)信号処理回路と、様々な機能を実施するようにコンピュータの処理装置によって実行されるパラメータ及びルーチンを記憶するため、並びに構成設定パラメータ及び画像データなどを記憶するための(光記憶装置、磁気記憶装置又は半導体記憶装置のような)関連製品を含む。
【0019】
一実施形態では、イメージング・システム10の種々の構成要素を自律的で分離可能なサブシステムとして設けることができる。例えば、線源12、コリメータ14及び/又は電力供給/制御回路24の幾つか又は全てを、イメージャ・サブシステム30として設けることができる。同様に、検出器22は自律的で分離可能な検出器サブシステム32として設けることができる。図示の実施形態では、自律的検出器サブシステム32は、検出器22と一体に設けることのできる検出器制御装置26を含む。他の実施形態では、検出器制御装置26は、検出器22とは別々に(例えば、下流側ワークステーション又はサーバ上に、或いは後で述べるようにシステム制御装置28の一部として)設けることができ、或いは、検出器制御装置26の幾つかの面が検出器22上に設けられ且つ他の面が下流に設けられるように分散させることができる。この態様では、自律的イメージャ・サブシステム30又は自律的検出器サブシステム32のいずれかは、ダイナミック・イメージング環境において同じ又は異なる能力を持つ異なる線源又は検出器サブシステムと交換することができる。
【0020】
図示の実施形態では、システム制御装置28はイメージャ・サブシステム30の一部であるとして示されている。しかしながら、他の実施形態では、システム制御装置28は、独立の構成要素又はサブシステムとすることができ、或いは検出器サブシステム32の一部とすることができる。他の実施形態では、システム制御装置28の機能、ハードウエア及び/又はソフトウエアを分散させて、システム制御装置28の相異なるハードウエア、ソフトウエア及びファームウエア部分が、イメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32及び/又は別個の異なる制御サブシステムの間で適切に分散配置されるようにすることができる。この態様では、イメージング・システム10の線源、検出及び/又は制御機能は、完全に又は部分的に自律的なサブシステムによって提供することができ、それらのサブシステムは、モジュール式構成要素として取り扱うことができる。すなわち、1つの検出器サブシステム32又はイメージャ・サブシステム30を別のものと交換して、異なるそれぞれの検出又はX線源機能を提供するようにすることができる。
【0021】
本書で用いるときの用語「自律的」とは、システム又はサブシステムが、イメージング・システム10の相補的なサブシステムと接続され又は関連付けされていないときでも通信能力を持っていることを表す。例えば、「自律的検出器サブシステム」とは、検出システムが、イメージャ・サブシステム10と接続され又は関連付けされていないときでも、サーバのようなネットワークとの通信能力を持っていることを表す。更に、一実施形態では、自律的検出器サブシステム32は、自律的イメージャ・サブシステム30と関連付けされているときでも、(例えば、自律的イメージャ・サブシステム30又は第2のネットワークとの)通信能力を備えることができる。
【0022】
別の言い方をすると、自律的システム構成要素は、そのシステム設計、システム具現化、アプリケーション展開及び/はサービスに関して独立に動作可能にすることができる。このような自律的構成要素は、2つ以上の他の相補的な又は対応する自律的構成要素と共に使用するように構成し且つそれらと共に使用可能にすることができる。そのため、一実施形態では、主要な構成要素(例えば、自律的イメージャ・サブシステム30及び自律的検出器サブシステム32)の各々は、ネットワーク環境内で自律的実在物として動作するネットワーク・ノードと見なすことができる。このような環境では、イメージング・システム10を形成する際に、(同じ又は異なる能力及び/又は大きさなどを持つ同一又は異なる製造販売者からのような)相異なる種類の自律的イメージャ及び/又は検出器サブシステムを様々な組合せで用いることができる。
【0023】
図1に示した実施形態では、システム制御装置28は、参照数字34で示されている表示装置又はプリンタのような少なくとも1つの出力装置に結合されている。出力装置は、標準的な又は特殊な目的のコンピュータ・モニタ及び関連の処理回路を含むことができる。更に、システム・パラメータを出力し、検査を要求し、画像を観察すること等のために、1つ以上のオペレータ・ワークステーション36又はサーバをシステム内に結合することができる。一般に、システム内に設けられる表示装置、プリンタ、ワークステーション及び同様な装置は、データ取得用構成要素の存在する場所に設けることができ、或いはこれらの構成要素から遠隔の所に、例えば、施設又は病院内の他の場所や全く異なる場所に設けて、1つ以上の構成可能なネットワーク(例えば、インターネット、仮想プライベート・ネットワークなど)を介して画像取得システムに結合することができる。
【0024】
更に別の例として、イメージング・システム10の斜視図を図2に示す。イメージング・システム10は、患者18及び検出器22に対してX線管のような放射線源12を位置決めするために、オーバーヘッド管支持アーム42の形態の位置決め用構成要素を含む。他の実施形態では、様々な角度位置で放射線源12を作動できるようにするために、放射線源12はC形アーム又は他の回転構造上に設けることができる。例えば、その一実施形態では、C形アーム又は他の回転構造は、限られた角度範囲(例えば、20°、45°、90°又は120°)にわたって、又は180°の回転にわたって、又は360°の回転にわたって放射線源の作動を可能にすることができる。このような実施形態は、(データ取得が限られた角度範囲にわたって離散的な画像を取得することを必要とするような)トモシンセシス用途に、又はC形アーム血管造影に有用であろう。そこで、図示の実施形態では、自律的イメージャ・サブシステム30は、線源12を含むことができ、また(アーム42又はC形アームのような)位置決めサブシステム、電力供給/制御回路、及び/又は(線源12の一部として、或いは線源12と通信するワークステーション36又はサーバの一部として設けることができるような)システム制御回路を含んでいていも含んでいなくてもよい。特定の実施形態では、線源12及び/又はイメージャ・サブシステム30は、有線接続(例えば、イーサーネット・ケーブル)を介して又は無線接続(例えば、無線トランシーバ)を介して(例えば、ワークステーション36から)命令を受け取ることができる。ここで、このような無線トランシーバが任意の適当な無線通信プロトコル、例えば、超広帯域(UWB)通信規格、ブルートゥース通信規格又は任意の802.11通信規格を利用することができることに留意されたい。
【0025】
図示のイメージング・システム10は、線源12から自律的に動作することのできる可搬型ディジタル検出器22を含む。図示の実施形態では、ディジタル検出器22は、本書で説明されるように、検出器サブシステム32の一部又は全てである。様々な実施形態では、検出器22は再充電可能な蓄電池(これは取外し可能であってもなくてもよい)から給電することができ、また無線接続を介して(例えば、適当な無線通信プロトコルを利用する無線トランシーバを介して)データを伝送することができる。この代わりに、他の実施形態では、検出器22は、ワイヤ又はケーブル、すなわちテザー(tether)を介して、電力を受け取り及び/又はデータを伝送することができる。テザーが検出器22に電力を供給し且つ検出器22からデータ伝送を行う実施形態では、ケーブルは電力及びデータのためのそれぞれの導体を含むことができる。
【0026】
ディジタル検出器22はまた、1つ以上の処理装置構成要素を含むことができ、並びに/或いは取得された画像データ及び/又は1つ以上の処理用構成要素によって実行すべきプログラム、ルーチン又はプロトコルを記憶することのできる記憶装置を含むことができる。例えば、様々な実施形態では、記憶装置は、光記憶装置、磁気記憶装置又は固体記憶装置を含むことができる。更に、少なくとも1つの実施形態では、記憶装置は、フラッシュ・メモリのような非揮発性記憶装置とすることができる。一実施形態では、検出器22内に配置された処理用構成要素は、検出器22内に記憶されたルーチンを実行することができ、それらのルーチンは検出器制御装置26の機能の幾分か又は全てを提供する。
【0027】
また、図2には、イメージング・システム10の自律的イメージャ・サブシステム30及び自律的検出器サブシステム32の一方又は両方と通信することができるワークステーション36及び表示装置34も示されている。一実施形態では、ワークステーション36は、ユーザーがワークステーション36と相互作用することによって線源12及び検出器22の動作を制御することができるように、システム制御装置28の機能を含む又は提供することができる。他の実施形態では、システム制御装置28の様々な機能は、システム制御装置28の幾分かの機能がワークステーション36で遂行され、且つ他の機能がイメージャ・サブシステム30及び/又は検出器サブシステム32の1つ以上によって遂行されるように、分散させることができる。一実施形態では、ワークステーション36は、病院情報システム(HIS)、放射線医学情報システム(RIS)及び/又は画像保管通信システム(PACS)のようなネットワーク上の命令及びコンテンツのサーバとして機能するように構成することができる。このような実施形態では、ワークステーション36はサーバと見なすことができ、或いはワークステーション36が1つ以上のサーバ装置又はアプリケーションの機能を提供することができるように、1つ以上の仮想サーバ(すなわち、サーバ・ルーチン又はアプリケーション)をワークステーション36で実行することができる。例えば、ワークステーション36は、ワークステーション36の処理用構成要素によって実行されたときに本書で説明するアプリケーション・サーバを構成するようなサーバ・ルーチンを記憶するメモリ(例えば、光記憶装置、磁気記憶装置又は半導体記憶装置)を含むことができる。
【0028】
一実施形態では、イメージング・システム10は、画像取得を容易にするために患者テーブル44及び壁スタンド48の一方又は両方と共に使用することができる。具体的に述べると、テーブル44及び壁スタンド48は、1つ以上のディジタル検出器22を受け入れるように構成することができる。例えば、ディジタル検出器22はテーブル44の上面上に配置することができ、また患者18(より詳しく述べると、患者18の関心のある解剖学的構造)を検出器22と放射線源12との間でテーブル44上に位置決めすることができる。幾つかの他の例では、検出器22をテーブル44の上面及び患者18の下方のスロット46の中に位置決めすることができ、或いは、放射線源12及び検出器22を、テーブル横断方向イメージングのために患者18の周りに水平に位置決めすることができる。更にまた、壁スタンド48がディジタル検出器22を受け入れるのに適している受入れ構造50を含むことができ、且つディジタル検出器22により画像データを取得することができるように患者18を壁スタンド48に隣接して位置決めすることができる。
【0029】
一実施形態では、イメージング・システム10は、図2に大まかに図示し且つ図2について前に述べたような、固定のX線イメージング室内に配置された不動のシステムとすることができる。しかしながら、本書で開示する技術がまた、他の実施形態において、可動のX線ユニット及びシステムを含む他のイメージング・システムに用いることができることが理解されよう。例えば、他の実施形態では、可動のX線ユニットは、専用の(すなわち、固定の)X線イメージング室へ患者を輸送することを必要とせずに患者のイメージングを可能にするために、患者回復室、緊急治療室、手術室などに移動させることができる。
【0030】
上記の使用法を念頭において、一実施形態では、自律的イメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32及び/又はワークステーション36の1つ以上を、前に述べたHIS、RIS及び/又はPACSのようなネットワーク上にノードとして設けることができる。例えば、ワークステーション36、イメージャ・サブシステム30及び/又は検出器サブシステム32の1つ以上は、それぞれの無線又は有線ネットワーク接続を介して互いと(又はネットワーク上の他のノードと)動作又は通信することができる。この態様では、検出器サブシステム32は、有線又は無線ネットワーク接続を介してイメージャ・サブシステム30又はワークステーション36のいずれかへ取得した画像データを伝送することができる。同様に、ワークステーション36は、有線又は無線ネットワーク接続を介してイメージャ・サブシステム30又は検出器サブシステム32の一方又は両方と通信し及び/又はそれらの一方又は両方を制御することができる。同様に、イメージャ・サブシステム30は、有線又は無線ネットワーク接続を介してワークステーション36又は検出器サブシステム32と通信することができる。このようなネットワーク接続した実施形態では、自律的構成要素(例えば、イメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32及びワークステーション36)は独立に動作することができ、従ってそれらの間で又は互いから独立したネットワーク上の他の装置と通信することができる。例えば、検出器22はネットワーク接続を介して図示のワークステーション36と通信することができ、また、所与のイメージング・システム10内の検出器22に関連したワークステーション36の代わりに又はワークステーション36に加えて、ネットワーク上の別のワークステーション又はサーバと通信することもできる。
【0031】
1つのこのような実施形態では、ワークステーション36はアプリケーション・サーバとして(アプリケーション・サーバのハードウエア又は仮想具現化手段のいずれかとして)機能することができる。このような実施形態では、検出器22と、ワークステーション36との間、又はネットワーク上の別のそれぞれのサーバとの間の通信により、イメージングのためにイメージング・サブシステム10で検出器22を使用している間に、妨げられることなくデータ記憶、検出器登録及び場所識別を行うことができる。同様に、イメージャ・サブシステム30と、ワークステーション36との間、又はネットワーク上の別のそれぞれのサーバとの間の直接の通信により、特別なアプリケーションのための適当な検出器22を決定し、また較正ファイル、ソフトウエア及びファームウエアのアップグレードをイメージャ・サブシステム30へ転送することが可能になる。
【0032】
次に図3について説明すると、一実施形態の分散型ネットワーク・システム60が示されている。一実施形態では、2つ以上のイメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32をネットワーク60上に設けて、アプリケーション・サーバ62と通信関係にすることができる。各々のイメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32は互いから独立に動作できるようにすることができ、従って、本書で述べるように、対にされるイメージャ及び検出器サブシステムの様々な組合せを形成することができる。一実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、病院情報システム(HIS)又は放射線医学情報システム(RIS)のような分散型ネットワーク68を介してサーバ70、72及び74と通信関係にすることができる。更にまた、1つ以上の検出器サブシステム32及び1つ以上のイメージャ・サブシステム30と通信することによって、アプリケーション・サーバ62は、分散型ネットワーク68全体にわたって、較正手順及び方法を含む標準化された画像取得プロトコルを維持することができる。一実施形態では、分散型ネットワーク68はインターネットへの接続を含み、これにより、例えば、イメージング・システム10の自律的構成要素への遠隔アクセスを可能にし、遠隔診断及びサービス・アップグレードの目的でデータを転送することを可能にする。
【0033】
一実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、どのアプリケーションが利用可能であり且つ自律的検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の任意の所与の組合せについて有効であるのかを決定することができる。以下により詳しく説明するように、アプリケーション・サーバ62は、HIS又はRISシステムと相互作用して、手順の予定設定を支援することができる。このような実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、利用可能な検出器サブシステム32、イメージャ・サブシステム30、検査室又は他の設備、人員、及び/又はアプリケーションを、(HIS又はRISシステムを介してアプリケーション・サーバへ提示することのできるような)1つ以上の要求された手順と整合させるために使用することができる。この態様では、アプリケーション・サーバ62は、適切なプロパティを備えた検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30が所与のアプリケーションのために利用可能であり且つ使用されることを保証することができる。例えば、一実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、接続されたHIS又はRISに予定された手順のリストを問い合わせることができ、次いで予定された手順のリストに基づいて利用可能な又は既知のイメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32及び/又は他の情報(室、人員及び資格など)を整合させることができる。整合させたサブシステム、室、人員などは、次いでネットワークを介して供給して、この情報が、ネットワークを介して、検査を遂行する技術者に利用できるようにすることができる。この態様では、それぞれの技術者は、手順を遂行する際にどのサブシステムを使用すべきであるかを知ることができ、また、実施形態によっては、手順を遂行すべき場所及び時期を知ることができる。例えば、アプリケーション・サーバ62は、イメージャ/検出器サブシステムの対を生成することができ、次いでこれらの対を検出器ドッキング・ステーション又はワークステーションで表示又は供給して、予定された検査のための適切な検出器サブシステム32を技術者が検索できるようにすることができる。同様に、アプリケーション・サーバ62は、選択されたイメージャ・サブシステム30及び選択された検出器サブシステム32に基づいて、選択されたイメージャ/検出器サブシステムの対を使用して遂行することのできるアプリケーションのリストを供給することができる。
【0034】
次に図4について説明すると、一実施形態のイメージング・システム10を、個別の構成要素、例えば、検出器サブシステム32と、イメージャ・サブシステム30と、関連したアプリケーション・サーバ62の構成要素とに関して、より詳細に表すようにブロック図で示している。イメージング・システム10の目的は、通常のイメージングの作業に加えて、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32に関連したデータ及び情報(これらはアプリケーション・サーバ62上に常駐させることができる)のような共用資源に対してアクセスできるようにすることである。
【0035】
一実施形態では、アプリケーション・サーバ62、又は仮想アプリケーション・サーバ・パッケージを具現化する適当なコンピューティング・プラットフォームは、システム、データ、アプリケーション及び電子通信ファイルを記憶することのできる(半導体又は磁気ディスク駆動装置、光ディスク、或いは他の磁気、半導体又は光媒体のような)1つ以上の記憶装置90を含むことができる。(本書で述べるようにアプリケーション・サーバを具現化するためのルーチンのような)記憶装置90に記憶されているアプリケーション、データ及び/又はルーチンは、処理装置94によって処理する前にメモリ92へ転送することができる。アプリケーション・サーバ62はまた、オペレータがアプリケーション・サーバ62上で実行するオペレーティング・システム、仮想サーバ及び/又はアプリケーションと相互作用するのに適している(CRT又はLCD表示スクリーン96のような)出力装置を含むか又は該出力装置と通信することができる。
【0036】
自律的イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32は、ネットワーク配線100のような一次ネットワーク構成要素を介して、或いは導電性ワイヤ又は光ファイバ・ネットワーク・ケーブルや赤外線又は電波無線接続のような適当なネットワーク通信を介して、互いと通信するように構成することができる。同様に、自律的イメージャ・サブシステム30及び自律的検出器サブシステム32は、それぞれのネットワーク配線102,104を介してアプリケーション・サーバ62と通信するように構成することができる。例えば、一実施形態では、アプリケーション・サーバ62、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32の各々はネットワーク・インターフェース回路(NIC)110,112,114(本書では「インターフェース」とも呼ぶ)を含み、これらは、それぞれの構成要素と、他のイメージング・システム10の構成要素をノードとするネットワークとの間での通信を可能にする。
【0037】
それぞれのNIC110,112,114は、例えば、イーサーネット、シリアル及びユニバーサル・シリアル・バス(USB)126の接続のような有線通信を支える回路、並びに802.11規格又はブルートゥース規格によるような無線通信を支える回路を含むことができる。更に、NIC110,112,114は、検出器サブシステム32とイメージャ・サブシステム30との間の通信を直接に並びにアプリケーション・サーバ62により支えることができる。同様に、NIC110,112,114は、インターネットのようなグローバル通信ネットワークを介してイメージング・システム10の構成要素相互間の通信を支えることができる。NIC110,112,114のいずれか又は全てはそれぞれの装置に関連したマザーボードの一部とすることができ、或いは融通性を最大にするためにプラグイン・カードにより提供することができる。イメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32及び/又はアプリケーション・サーバ62は、米国、カリフォルニア州、ミルピタス所在のサンディスク社(SanDisk Corporation) から市販されているコンパクトフラッシュ(CompactFlash;登録商標)、同期型ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(SDRAM)、又は他の適当なメモリ構成要素のような、1つ以上のメモリ構成要素92,120,122を含むことができ、また、例えば、長期記憶保管のためにハードディスク駆動装置のような記憶装置90,124を含むことができる。
【0038】
一実施形態では、検出器サブシステム32のNIC回路110は、配線100,102の少なくとも1つを介して検出器サブシステム32からイメージャ・サブシステム30又はアプリケーション・サーバ62へデータを転送するのを可能にすることができる。一実施形態では、NIC回路110は、イメージャ・サブシステム30との直接の物理的信号接続に応答する。別の実施形態では、NIC回路110は、アプリケーション・サーバ62を介してのイメージャ・サブシステム30への信号接続に応答する。一実施形態では、イメージャ・サブシステム30は、2つ以上の検出器サブシステム32からデータを受け取ることができ、またこれらのデータに基づいて、利用可能な検出器サブシステム32の少なくとも1つに対するイメージャ・サブシステム30の適合性を確認する信号を生成することができる。転送することのできるデータの例としては、限定するものではないが、機能記述プロパティ、画像データ、テキストデータ、波形データ、ビデオ・データ、音響データ及び制御信号が挙げられる。
【0039】
ネットワーク配線100,102,104により、個々の検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30上のソフトウエアが、アプリケーション・サーバ62上の共用資源にアクセスし、アプリケーション・サーバ62を介して互いと通信し、及び/又はアプリケーション・サーバ62により制御されることが可能になる。例えば、アプリケーション・サーバ62上のソフトウエアは、システム10又はネットワーク環境内の共用資源にアクセスするために線源及び検出器サブシステム上のソフトウエアと協調するように用いることができる。このソフトウエアは、検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30がユーザーにとって直接接続されていると思われるように、実施することができる。
【0040】
一実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、マルチユーザー・オペレーティング・システムを提供するソフトウエアを実行することができる。この場合、そのオペレーティング・システムは、シングルユーザー・オペレーティング・システムと区別するとき、「ネットワーク・オペレーティング・システム」とすることができることが理解されよう。このような実施形態では、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32上のソフトウエアとアプリケーション・サーバ62上のソフトウエアとは、互いに協調して、サーバ及び/又はサブシステム上の共用資源にアクセスできるようにすることができる。これは、標準化された「プロトコル」を使用するようにソフトウエアを設計して、異なる製造販売者が相互運用可能な又は交換可能なイメージャ・サブシステム30及び/又は検出器サブシステム32を供給できるようにすることによって、達成することができる。
【0041】
一実施形態では、アプリケーション・サーバ62が、本書で述べるようなアプリケーション・サーバ・ソフトウエアのようなソフトウエアを実行する汎用コンピュータとして設けることができることが理解されよう。他の実施形態では、アプリケーション・サーバ・ソフトウエアは仮想コンピュータ上で実行することができ、その仮想コンピュータは、病院情報システム(HIS)、放射線医学情報システム(RIS)、画像保管通信システム(PACS)などのような、分散型ネットワーク・システム(図3)内で接合することのできる医療設備内の汎用又は専用コンピュータの一部であってよい。
【0042】
NIC110を利用して、検出器サブシステム32は、例えば機能記述プロパティ及び画像データのような関連した情報及びデータを、イメージャ・サブシステム30及びアプリケーション・サーバ62の一方又は両方へ転送する。ここで、一体化される当該検出器のために特別に構成された特定のイメージャ・サブシステムと、イメージング・システム内で物理的に一体化された当該検出器が、機能記述プロパティを転送する能力を有しないことが理解されよう。このような場合、一体化された(すなわち、非自律的な)検出器を異なるイメージャ・サブシステムに使用するには、イメージング・システムの拡張可能な構成を必要とする。検出器22の機能的特性を記述する機能記述プロパティを記憶するために構成されたメモリ122及び/又は記憶装置124を持つ検出器サブシステム32は、イメージャ・サブシステム30及びアプリケーション・サーバ62のような他の構成要素へ機能記述プロパティを転送することができる。アプリケーション・サーバ62は、検出器サブシステム32の機能記述プロパティを受け取って、二重エネルギ・イメージング能力、トモシンセシス・イメージング能力、単一エネルギ・イメージング能力、マトリクス寸法、欠陥のある画素の数及び場所、読出し速度、較正データ、蓄電池電荷、検出器22の重量及び大きさ、画像記憶能力、及びイメージングのための使用し易さ等のような機能記述プロパティに基づいて、検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の組合せの適合性を表す信号を発生する。
【0043】
一実施形態では、検出器サブシステム32は、検出器サブシステム32によって生成されて転送された画像データを処理して医学的画像を再構成するための適切なハードウエア、ファームウエア及び/又はソフトウエアを含むディジタルX線イメージング・サブシステムのようなイメージャ・サブシステム30へ直接に(受け取った減弱放射線を表す信号のような)画像データを転送する。代替形態として、検出器サブシステム32はアプリケーション・サーバ62へ転送することができ、そこで画像データを医学的画像に構成することができ、又はその後に、画像に構成するために画像データをイメージャ・サブシステム30へ転送することができ、或いはその後に、記憶又は処理のために画像データをネットワーク上の別のノード(例えば、サーバ又はワークステーション)へ転送することができる。
【0044】
一実施形態では、検出器サブシステム32は、蓄電池残存電荷、温度及び通信リンク帯域幅のような検出器サブシステム32の動作状態を試験し且つ決定するための診断回路を含むことができる。検出器サブシステム32は、定期的に又は(検査手順中のような)必要が生じたときに、ネットワーク配線102を介してアプリケーション・サーバ62へ、或いはネットワーク配線100を介してイメージャ・サブシステム30へ、検出器サブシステム32の動作状態を通知する。この態様では、検出器サブシステム32が適切に機能する準備ができていない又は機能できないとき、検査の際のX線照射事象を防止することができる。同様に、この態様では、アプリケーション・サーバ62は、検出器/イメージャ・サブシステムの対を割り当てるとき、保守スケジュール又は要求を生成するとき等に、検出器サブシステム32の機能状態を追跡することができる。
【0045】
例えば、検出器サブシステム32の状態及び/又は損傷の評価を、検出器サブシステム32への電源をオンにしたとき及び/又は検出器サブシステム32が検査に使用されている間に行うことができる。1つのこのような実施形態では、1つ以上のスクラブ(scrub) 画像(例えば、取得されたが記憶されていない暗い又は照明されていない画像)において識別された不良の画素の場所及び/又は数を、以前に取得されたスクラブ画像において識別された場所及び/又は数と比較することができる。このような比較は、検出器サブシステム32と関連した不良画素マップを更新するために用いることができ、及び/又は幾分かの又は全てのアプリケーションでの検出器サブシステム32の使用を妨げるような検出器サブシステム32の不良画素又はデータ線ノイズが限界又は閾値を越えているか否か決定するために用いることができる。また、不良画素の数の増加は、検出器内での様々な電気的問題を表すことができる。更に、検出器の故障は、検査シーケンスを進める前にVcom、Von及び/又はVoffのような様々な電圧を監視することによって、検査中又は検査前に検出することができる。このような不良画素又は電圧情報はまた、本書で説明するように、アプリケーション・サーバへ供給することができ、そのアプリケーション・サーバは、検出器サブシステム32に関連した不良画素又は電圧情報に基づいて、適切なイメージャ/検出器サブシステムの対などについての勧告を行うことができる。
【0046】
別の実施形態では、検出器サブシステム32の表面に接触する患者の体温を監視することができる。1つのこのような実施形態では、患者体温は検出器が患者に接触する場所で監視し、検出器サブシステム32及び/又はホスト・コンピュータで表示することができる。一実施形態では、温度が閾値に達した場合、検出器サブシステム32は警告を表示し又は音で知らせることができ、及び/又はオペレータに適当な警告を行うようにアプリケーション・サーバに通知することができる。別の実施形態では、温度が所与の閾値に達した場合、検出器サブシステム32は自動的に電源を切ることができ、及び/又はイメージャ・サブシステム30による更なる放射線放出を防止するか又は適切な他のシステム動作を行うようにアプリケーション・サーバ62又はイメージャ・サブシステム30に通知することができる。また別の実施形態では、これらのやり方を組み合わせることができる。すなわち、温度が第1の閾値を超えたときに警告を発生することができると共に、温度が第2の閾値を越えたときにイメージング動作を継続できないようにすることができる。このような温度情報は、上述のような適切な動作のために検査中にアプリケーション・サーバ62へ供給することができ、及び/又は温度情報は経時的に記憶し又は分析して、検出器サブシステム32が患者と接触する場合のアプリケーションのような或る特定のアプリケーションのためのイメージャ/検出器サブシステムの対を生成する際に、検出器サブシステム32を用いた高い温度についての傾向を考慮できるようにすることができる。
【0047】
同様に、無線接続の強さ及び/又は蓄電池残存電荷のような因子を、このような機能を持つ検出器サブシステム32のために監視することができる。例えば、蓄電池電荷、無線信号強度及び/又は通信スループットを、検出器サブシステム32がそのドッキング・ステーション又は他の貯蔵場所から取り外されたときから元に戻されるまで監視することができる。可聴及び/又は可視表示器により、これらの測度の内のどれか1つが許容レベルよりも下がったときに合図を送り、従って、オペレータにその状況を知らせて、オペレータに適切な行動を取らせることができる。本書で述べるように、表示をアプリケーション・サーバ62にも供給することができ、アプリケーション・サーバ62は、このような電荷及び/又は信号強度情報に基づいて、適切なイメージャ/検出器サブシステムの対などについての勧告を行うことができる。
【0048】
更に、他の検出器状態の課題を監視して、それを用いて、現在の又は将来の検査における検出器サブシステムの使用法を評価することができる。例えば、一実施形態では、検出器は画像取得の際は単に最大電力にあり、その他の場合は相対的に低い電力設定値に留まる。このような実施形態では、画像品質についての電力の過渡状態の影響を除くために、検出器が検査シーケンス中に記憶可能な画像を取得する前に、検出器サブシステム32によって1つ以上のスクラブを遂行することができる。このようなスクラブ・シーケンスは、スクラビング中に得られた暗い画像によって、パネルの破損、モジュール固着、ワイヤ切断などのような課題に関して検出器サブシステム32の状態を評価するために利用することができる。スクラブ・シーケンスの結果が検出器サブシステム32に問題があることを示している場合、患者に対する放射線の不必要な照射を防止するために検査中にユーザーに(視覚的に及び/又は音響的に)通知することができる。更に、アプリケーション・サーバ62にその結果を通知することができ、これはイメージャ/検出器サブシステムの対を生成する際に考慮することができる。
【0049】
このような情報は、検出器サブシステム32に対してイメージャ・サブシステム30の機能を決定し、またイメージャ・サブシステム30が検出器サブシステム32を利用し続けることができるか否か、或いは検出器サブシステム32が修繕又は交換を必要としているか否かを決定するために用いることができる。(例えば、技術者の要求、或いは検出器サブシステム32の故障又は停電に起因して)イメージング・サブシステム10から検出器サブシステム32を切り離したとき、新しい検出器サブシステム32をイメージング・サブシステム10と関連させることができる。
【0050】
上記の説明を念頭におくと、異なる自律的イメージャ及び検出器サブシステムを用いて様々なイメージング・システムの組合せを形成できることが理解されよう。しかしながら、前に述べたように、線源及び検出器が一緒に使用するために構成され、場合によっては、物理的に一体化されている伝統的なイメージング・システムでは、イメージング・システムが用いるのに適しているアプリケーションの種類(例えば、X線透視法、トモシンセシス、血管造影法、二重エネルギ・イメージング、小児科用イメージングなど)は一般に知られていて、変わらない。実際に、イメージング・システムは特定のイメージング・アプリケーションを遂行するように設計されたものであってよく、それに対応して検出器及び線源構成要素が選択される。
【0051】
しかしながら、現在の実施形態では、少なくとも異なるイメージャ及び検出器サブシステムを組み合わせることが可能であり得る。異なる自律的イメージャ及び検出器サブシステムから組み立てられたイメージング・システムが異なるアプリケーションに適していることがある限り、所与のイメージャ及び検出器サブシステムが所望のイメージング・アプリケーションに適しているか否かを実施者により判定することが望ましいことがある。同様に、検出器又はイメージャ・サブシステムが許容限界内で動作しているか否か及び/又はルーチンの保守又はアップグレードを受け取ったか否かを実施者により判定することが望ましいことがある。これらの因子を念頭において、一実施形態では、実施者が所与のアプリケーションのためのイメージャ及び検出器サブシステムの特定の組合せの適切性を決定し又は所与のアプリケーションのための線源及び検出器サブシステムの特定の組合せを勧告することさえもできるようにするアプリケーション・サーバ62が提供される。
【0052】
例えば、ここで図5を参照すると、ユーザーが使用のために検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30を選択した方法140が示されている。1つのこのような実施形態では、ユーザーは検査のために可搬型検出器22を選択することができ、またイメージャ・サブシステム30を収容している検査室の中へ該検出器22を持ち込むことができる。検査室の中へ持ち込んだ後、ユーザーは検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の両方を作動又は登録することができ、その結果、検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30と有線又は無線通信関係にあるアプリケーション・サーバは、これらのシステムが組み合わされ(ブロック144)且つイメージング・システム10として一緒に用いられようとしていることを認識する。一実施形態では、これは、イメージャ・サブシステム30が据え付けられていると知られている室内にある検出器22をターンオンすることによって達成することができ、すなわち、室内の検出器22の作動は、検出器22及びイメージャ・サブシステム30が一緒に使用されようとしていることを表すのに充分である。別の実施形態では、ユーザーは、本書で述べるように、アプリケーション・サーバ62によって供給されたそれぞれのインターフェース・スクリーンから所望の検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30を選択して、イメージング・システム10として使用するための選択された検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の組合せを指示することができる。
【0053】
図5には、ユーザーが選択された検出器サブシステム32の電源をオンにする実施形態が示されており、検出器サブシステム32は、検出器起動処理の一部として電源オン自己試験(POST)を実行する(ブロック146)。POSTの一部として、検出器は、不良画素についての点検などのような様々な診断処理を遂行することができ、及び/又は検出器サブシステム32の機能記述、例えば、寸法、画素数及び密度、読出し速度などを生成することができる。POSTの結果は、検出器サブシステム32とネットワーク通信関係にあるアプリケーション・サーバ62(図3及び図4)へ供給することができる(ブロック148)。アプリケーション・サーバ62は、イメージャ・サブシステム自身からイメージャ・サブシステム30の機能記述を引き出すことができ(ブロック150)、或いはアプリケーション・サーバ62内にある又はアプリケーション・サーバ62によってアクセス可能であるデータ記憶装置からこのような情報を検索することができる。
【0054】
選択されたイメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32の機能プロパティに基づいて、アプリケーション・サーバ62は、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32の当該組合せを用いてどの種類の放射線アプリケーション(例えば、X線透視法、トモシンセシス、二重エネルギ・イメージング、小児科用イメージングなど)を遂行することができるか決定することができる。次いで、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32の当該組合せに適したアプリケーションのリストをユーザーへ提供する(例えば、表示する)ことができ(ブロック152)、次いでユーザーは、イメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32の当該組合せが適切であるか否か決定することができる。
【0055】
一実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、アプリケーション・サーバ62によってアクセス可能であるライセンス・サーバ156に問合せを行うことができる(ブロック154)。このような実施形態では、ライセンス・サーバ156は、施設又はユーザーが所与のアプリケーションを(同時に又は所与の期間内に)遂行しなければならないかもしれないライセンスの数を追跡することができ、或いはどの装置(1つ又は複数)を用いると所与のアプリケーションを遂行することができるかを追跡することができる。例えば、施設は、3つ以下のX線透視検査を同時に遂行するように、又は所与の一日(又は他の期間)内に20以下のX線透視検査を遂行するように、又は特定の検出器、イメージャ、又は検出器/イメージャの組合せによりX線透視検査を単に遂行するように限定することができる。一実施形態では、ライセンス・サーバ156はライセンス付与されたアプリケーションを遂行する回数を記録することができ、またライセンス付与されたアプリケーションの実際の遂行に基づいてライセンシーに金銭的請求を行うことができる。このような実施形態では、異なる価格尺度を用いることができ、例えば、最初の100事例については料金率xで金銭的請求を行うのに対して、次の100事例には料金率yで金銭的請求を行うようにすることができる。これらの例では、アプリケーション・サーバ62はライセンス・サーバ156に問合せを行って、問合せ時に遂行すべきどんなアプリケーションを選択された検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30にライセンス付与できるのか決定することができる。ライセンス・サーバ問合せの結果は検出器及びイメージャ・サブシステムの機能情報と組み合わせて(ブロック158)、選択された検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30を用いてその時に遂行することのできる利用可能なアプリケーションを決定し且つ表示することができる。このような実施形態では、ライセンス付与されたアプリケーションは、指定されたシステムに限定されるのではなく、全ての能力のある検出器及び/又はイメージャ・サブシステムで遂行することができ、その場合、ライセンス・サーバ156は、確実に施設又はユーザーがライセンス契約を順守するように作用する。理解されるように、ライセンス・サーバ156はまた試験的ライセンス契約を管理するように用いることができ、該ライセンス契約では、ライセンシーはライセンス付与されたアプリケーションを限られた時間の間だけ又は限られた使用回数だけ遂行する権利が与えられる。
【0056】
図5には、どの検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30が選択されたのかに基づいて可能性のあるアプリケーションのリストを生成する一実施形態の例を示している。この例では、ユーザーはリストを検討して、選択された検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30を使用して遂行すべき利用可能なアプリケーションを選択することができ、或いは選択された検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30が所望のアプリケーションを遂行するのに適しているか決定することができる。検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の組合せが所望のアプリケーションに適している場合、ユーザーは次に進むことができる。選択された検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30が所望のアプリケーションを遂行するのに適していない場合、ユーザーはそのアプリケーションのために異なる検出器サブシステム32又はイメージャ・サブシステム30を選択することができる。
【0057】
一例として、ユーザーは自律的検出器サブシステム32を選択することができ、且つ所与のアプリケーションに対する該選択された検出器サブシステム32の適切性を決定することを希望することができる。この例では、選択された検出器の特有の能力により、そのアプリケーションに対する検出器サブシステム32の適切性を決定することができる。具体的に述べると、検出器サブシステムが特定のイメージャ・システムと物理的に結合されていて、特定のアプリケーションのために使用される場合、検出器設計及び品質制御は、検出器について一様な最小限の品質を保証するように方向付けることができる。すなわち、検出器の全ての領域が、単一の種類のアプリケーション及び/又は仕事を単一のイメージャ・サブシステムにより遂行するのに充分であることを必要とすることがある。異なるアプリケーションのために異なるイメージャ・サブシステムと組み合わせることのできる自律的検出器サブシステムでは、このことは当てはまらないことがある。例えば、小児科用イメージングのようなアプリケーションは、低線量イメージングに適した低ノイズ・プロパティを持つ検出器を必要とすることがある。逆に、多数の不良画素又は不良画素クラスタを持つ検出器は、或る特定のアプリケーションに適していないことがあるが、他のアプリケーションには適していることがある。一例として、その周縁近くに不良画素クラスタを持つ検出器は、(有用な画像が画像周縁まで延在することがある)胸部イメージングに使用できないことがあるが、関心のある領域が典型的に検出器の中央にある四肢イメージングには適していることがある。従って、特定の実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、どの検出器が所与のアプリケーションに最も適しているのか及び/又はどの検出器がそのアプリケーションに適していないのかを決定することができ、またこの決定に基づいて結果をユーザーへ戻すことができる。この実施形態では、アプリケーション・サーバ62は、利用可能であり且つ本質的にアプリケーションを遂行する能力を持つ検出器サブシステム32に基づいて、そのアプリケーションを遂行するのに適していない検出器又は単にそのアプリケーションを遂行するのに充分であるが最適ではない検出器とは異なり、そのアプリケーションに最も適している検出器を決定することができる。
【0058】
次に図6について説明すると、別の方法160に従って、ユーザーは所望のアプリケーション172(例えば、トモシンセシス、X線透視法、二重エネルギ、小児科用イメージングなど)に基づいてアプリケーション・サーバ62に問合せを行うことができる(ブロック170)。実施形態によっては、ユーザーは検出器サブシステム32又はイメージャ・サブシステム30を指定することができない。他の実施形態では、ユーザーはまた検出器サブシステム32又はイメージャ・サブシステム30の一方及び両方を指定することができる。
【0059】
所望のアプリケーション172及び/又は指定されたイメージャ又は検出器サブシステムに基づいて、アプリケーション・サーバ62は、1つ以上のデータベース、ルックアップ・テーブル、又は他のデータ記憶装置にアクセスして、所望のアプリケーション172を遂行するのに適している検出器サブシステム32及び/又はイメージャ・サブシステム30のどんな組合せ176が利用可能であるかを決定することができる。これらの組合せは、適当な組合せのリストを表示する(ブロック178)こと等によってユーザーに提供することができ、次いで、ユーザーは、アプリケーション172を遂行することのできる利用可能な検出器サブシステム32及び/又はイメージャ・サブシステム30を選択することができる。
【0060】
例えば、一実施形態では、アプリケーション・サーバ62はイメージャ・サブシステム30のリスト182及び/又は検出器サブシステム32のリスト184に問合せを行うことができ、それらの使用はアプリケーション・サーバ62によって管理される。これらのリスト182、184は、それぞれのイメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32について、アプリケーション172を遂行するのに適していないイメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32を除外することができるような情報(例えば、機能的又は物理的プロパティ)を含むことができる。
【0061】
例えば、アプリケーション172がX線透視アプリケーションである場合、X線透視を遂行するのに適したイメージャ・サブシステム30及び検出器サブシステム32のみが選出される。この例では、検出器サブシステム32のリスト184は、各々の列挙された検出器サブシステム32について、検出器サブシステム32が実時間イメージャ又はX線透視イメージングを可能にするような高フレーム速度の読出し及び/又は低ノイズの能力を持っているか否かを表している検索可能なフィールド又は他のプロパティ情報を含むことができる。このような高速画像読出しを行えない検出器サブシステム32は、アプリケーション172がX線透視アプリケーションのようにこのような高速の読み出を要求した場合、アプリケーション・サーバ62によって選択されない。リスト184内に維持することのできる検出器サブシステム・プロパティの別の例は、検出器サブシステム32がトモシンセシス(すなわち、限られた角度範囲にわたって複数の画像を取得すること)に対処するために画像読出し及び記憶の能力を持っているか否かである。他の検出器サブシステム・プロパティとしては、限定するものではないが、検出器の画素密度、検出器の寸法又は大きさ、検出器が検出することのできる波長、二重エネルギ・イメージングに対する検出器の適切性、不良画素マップ、保守、較正、及び更新履歴などを挙げることができる。イメージャ・サブシステム・プロパティ・リスト182内に維持することのできるイメージャ・サブシステム30のプロパティの例としては、限定するものではないが、画像ポスティングを可能にするための線源(例えば、X線管)のアンギュレーション、トモシンセシス取得を可能にするための線源の平行移動及びアンギュレーション、二重エネルギ・イメージングに対する線源の適切性(例えば、線源のkVp切換え時間の適切性)、X線透視に対する線源の適切性、保守、較正、及び更新履歴などを挙げることができる。リスト182、184に記憶されているプロパティは、新しい検出器サブシステム32又はイメージャ・サブシステム30がネットワークに追加される度毎に、又はサブシステムがプロパティの変更後に起動し及び/又はネットワークと通信する度毎に、或いは任意の他の適当な構成において、更新することができる。
【0062】
理解されるように、ユーザーがイメージャ・サブシステム30又は検出器サブシステム32をアプリケーション172と共に指定することができる限り、イメージャ・サブシステム・プロパティ・リスト182又は検出器サブシステム・プロパティ・リスト184の内の唯1つのみをアプリケーション・サーバによって探索することができる。例えば、ユーザーがアプリケーション172を遂行する際に用いるべきイメージャ・サブシステム30を指定した場合、アプリケーション・サーバ62は単に利用可能な検出器サブシステム32のリスト184を探索して、指定されたイメージャ・サブシステム30に関連してどのサブシステムがアプリケーション172を遂行するのに適しているかを決定することができる。
【0063】
利用可能な検出器サブシステム32、イメージャ・サブシステム30、並びに/又は利用可能な検出器及びイメージャ・サブシステム32、30の組合せの内のいずれもが指定されたアプリケーション172を遂行するのに適していない場合、アプリケーション・サーバ62は、アプリケーション・サーバ62に知られているイメージャ・サブシステム30又は検出器サブシステム32によってアプリケーション172を遂行できないことを、ユーザーに通知することができる。例えば、ユーザーが単にアプリケーション172を指定し、且つアプリケーション・サーバ62により、イメージャ及び検出器サブシステムのどの組合せも該アプリケーション172を遂行するのに適していないと決定された場合、アプリケーション・サーバ62は、該アプリケーション・サーバにとって利用可能なイメージャ及び検出器サブシステムのいずれの組合せを用いてもアプリケーション172を遂行できないことを、ユーザーに通知することができる。ユーザーがアプリケーション172と共にイメージャ又は検出器サブシステムを指定したが、アプリケーション・サーバ62がプリケーション172を遂行するために該指定されたサブシステムシステムと対応する検出器又はイメージャ・サブシステムを整合させることができない場合、アプリケーション・サーバは、指定されたイメージャ又は検出器及び所望のアプリケーションに基づいて、アプリケーション172を遂行するのに適した、それと対をなす他方の検出器又はイメージャ・サブシステムが利用可能でないことを、ユーザーに通知することができる。このような例では、ユーザーはそのとき、アプリケーション・サーバ62を特定のイメージャ又は検出器サブシステムに拘束しないように選ぶことができ、或いはその後の検索で異なるイメージャ又は検出器サブシステムを指定することができる。
【0064】
一実施形態では、アプリケーション・サーバ62はまた、指定されたアプリケーション172を遂行するためにどんなサブシステムが利用可能であるかを決定する際にユーザーによってライセンス付与されたアプリケーションを追跡するライセンス・サーバ156に問合せを行うことができる。例えば、或る特定のアプリケーション172について、そのサイトは、ライセンス契約によって、或る特定の数のライセンス付与されたアプリケーションを所与の時間枠(時、日、週、月、年など)内に遂行することのみに制限することができ、或いは或る特定の数のライセンス付与されたアプリケーションのみを一度に、すなわち同時に遂行するように拘束することができる。この代わりに、本書で述べたように、ライセンス・サーバ156はまた、ライセンシーがアプリケーション172の遂行後に使用一回当りで支払いを行うように、ライセンス付与されたアプリケーションが遂行された回数を追跡することができる。ライセンスを条件としているが、(購入又は更新されていないことに起因して、又は試行期間の終了に起因して、或いはライセンス契約の範囲外であることに起因して、例えば、過剰な数のライセンス付与されたアプリケーションが既に遂行されているか又は遂行されようとしていることに起因して)ライセンスが得られないアプリケーション172を遂行することがユーザーにより要求されている場合、アプリケーション・サーバ62は、ライセンスの対価に起因してアプリケーション172を遂行できないことを、ユーザーに通知することができる。しかしながら、アプリケーションがライセンス契約の範囲内にある場合、このような通知は何ら行われず、その代わりに、ユーザーには所望のアプリケーション172を遂行するのに適した検出器サブシステム32及びイメージャ・サブシステム30の組合せを提供することができる。
【0065】
別の実施形態では、アプリケーション・サーバ62はまた、予定設定カレンダ186又は他の資源管理データ記憶装置に問合せを行うことができる。このような実施形態では、予定設定カレンダ186は、個々のイメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32、検査室、コンピュータ又は処理資源、放射線科医師又は技師などの利用可能性についての情報を含むことができる。更に、一実施形態では、予定設定カレンダ186は、予定された較正、保守及び/又はアップグレードの遂行に基づいて検出器又はイメージャ・サブシステムの利用可能性又は適切性を動的に決定することができるような、較正、アップグレード及び/又は他の保守情報を含むことができる。従って、アプリケーション172が所与の日又は時間に計画され得る限り、予定設定カレンダ186は、指定された時間に利用可能であるイメージャ・サブシステム30又は検出器サブシステム32のみのリストを作成するために用いることのできる情報を、アプリケーション・サーバ62へ供給することができる。同様に、指定されたアプリケーション172を、或る特定の資格を持っている又は実習している放射線科医師又は技師によって遂行すべきである限り、又は特定のイメージャ及び/又は検出器サブシステムを或る特定の人員によってのみ用いることができる限り、適当なイメージャ及び検出器サブシステムの組合せ176を導く際に用いるためにアプリケーション・サーバ62へ資格のある人員の予定(スケジュール)を供給することができる。同様に、適当なイメージャ・サブシステム30、検出器サブシステム32及び/又は資格のある人員が予定の時間に利用できない場合、アプリケーション・サーバ62はこの情報をユーザーに供給することができる。
【0066】
上記のことを念頭におくと、様々な機能が、異なる具現化手段内のアプリケーション・サーバ62によって提供され得ることが理解されよう。例えば、アプリケーション・サーバ62を用いて、本書で述べたように自律的イメージング・システム構成要素(すなわち、サブシステム)を記録し、追跡し、監視するために、設備又は施設(例えば、病院、診療所、大学など)に対して資源管理基盤を提供することができる。また、アプリケーション・サーバ62は、ユーザーが、自律的イメージング・サブシステムによって遂行することのできるアプリケーションに基づいて様々な問合せを行うことができ、又は所望のアプリケーションを遂行するために用いることのできる利用可能なイメージング・サブシステムを識別することができるようにすることができる。更に、アプリケーション・サーバ62は、所望の放射線アプリケーションと、自律的検出器サブシステム又は自律的イメージャ・サブシステムに関連した資格、較正、能力、及び能力変更についての現在及び過去の状態とに基づいて、記録、追跡、監視及び/又は問合せを行えるようにすることができる。同様に、アプリケーション・サーバ62は、所望の放射線アプリケーションと、利用可能なライセンス、部屋又は人員の利用可能性、人員の資格などとに基づいて、記録、追跡、監視及び/又は問合せを行えるようにすることができる。同様に、前に述べたように、選択されたアプリケーション及び/又はイメージング・システム構成要素に基づいたアド・ホックな問合せに加えて、アプリケーション・サーバ62はまた、イメージャ及び/又は検出器サブシステムの状態、利用可能性、保守又は較正の必要性、性能の変更などについての定期的な報告を生成するために用いることができる。
【0067】
理解されるように、アプリケーション・サーバ62は、本書で述べたように、、イメージャ及び検出器サブシステムの所与の組合せが遂行できないアプリケーション172を、ユーザーが遂行するのを防止することができる。この方法では、アプリケーション・サーバ62は、不適切な検出器又はイメージャが用いられていることに起因して有用なデータを生じないような照射事象を防止することによって、患者に対する偶発的な又は不必要な照射を防止することができる。例えば、ユーザーがトモシンセシス・アプリケーションを遂行することを望んだ場合、アプリケーション・サーバ62は、ユーザーが適切なイメージャ・サブシステム30と不適切な検出器サブシステム32(例えば、トモシンセシスのための読出し速度が適切でない、又はトモシンセシス・イメージング動作のために規定された数の画像を記憶し且つ伝送するためのメモリが不充分であるような検出器サブシステム23)とを組み合わせることを防止することができる。このような例では、アプリケーション・サーバ62は、検出器/イメージャ・サブシステムの組合せを容認可能な組合せとしてリストに載せることはできず、可聴又は可視表示器を用いて該組合せの不適切性をユーザーに警告することができ、及び/又は不適切なイメージャ/検出器サブシステムの組合せによる照射が作動されるのを防止すること(例えば、イメージャが不適切な検出器と組み合わされた時に放射線を放出するのを防止すること)ができる。一実施形態では、アプリケーション・サーバ62はまた、イメージャ/検出器サブシステムの不適正な組合せに起因して又は他の因子に起因してアプリケーションの実施が防止された事例を記録し、追跡し、及び/又は報告することができる。
【0068】
理解されるように、アプリケーション・サーバ62及び/又はライセンス・サーバ156は、本書で述べたように、様々なやり方で具現化することができる。例えば、一実施形態では、アプリケーション・サーバ62又はライセンス・サーバは、ネットワーク基盤を介して検出器サブシステム32及び/又はイメージャ・サブシステム30と通信するようにネットワーク接続された専用のハードウエアを利用する別個の異なるサーバとして具現化することができる。同様に、アプリケーション・サーバ62又はライセンス・サーバ156は、HIS又はRISの既存の装置(例えば、サーバ、ワークステーション、ドッキング・ステーション、検出器サブシステム、イメージャ・サブシステム)上で動作するソフトウエア・アプリケーションとして具現化される仮想サーバとして設けることができる。この代わりに、アプリケーション・サーバ62又はライセンス・サーバは、分散した態様で具現化することができ、その場合、アプリケーション・サーバ62又はライセンス・サーバ156の様々な面が、ネットワーク上の異なる装置(例えば、サーバ、ワークステーション、ドッキング・ステーション、検出器サブシステム、イメージャ・サブシステム)上で同時に実行される。
【0069】
本発明の一実施形態は、コンピュータ具現化プロセス及びそれらのプロセスを実施する装置の形で具体化することができる。本発明の様々な実施形態はまた、(フレキシブル・ディスク、CD−ROM、ハードディスク・ドライブ、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)ドライブ、又は任意の他のコンピュータ読取り可能な記憶媒体のような)有形媒体で具体化される命令を含むコンピュータ・プログラム・コードを持つコンピュータ・プログラム製品の形で具体化することができ、この場合、コンピュータ・プログラム・コードがコンピュータに装入されてコンピュータによって実行されるとき、そのコンピュータは本発明を実施する装置となる。本発明の様々な実施形態はまた、例えば、記憶媒体に記憶されるか、コンピュータに装入され及び/又はコンピュータによって実行されるか、或いは何らかの伝送媒体を介して(例えば、電気配線又はケーブルを介して、又は光ファイバを介して、或いは電磁放射を介して)伝送されるかどうかに拘わらず、コンピュータ・プログラム・コードの形で具体化することができ、この場合、コンピュータ・プログラム・コードがコンピュータに装入されてコンピュータによって実行されるとき、そのコンピュータは本発明を実施する装置となる。コンピュータ・プログラム・コード・セグメントは、汎用マイクロプロセッサで具現化されるとき、特定の論理回路を生成するようにマイクロプロセッサを構成する。実行可能な命令の技術的効果は、互いに独立であって且つネットワーク上のアプリケーション・サーバと結合した互換性のモジュール式検出器サブシステム及びモジュール式イメージャ・サブシステムの使用を可能にすることである。
【0070】
本発明の技術的効果は、検出器及び/又はイメージャが自律的に動作する状況では検査シーケンス中又は検査シーケンスの前に検出器又はイメージャのエラーを検出し通知することを含む。更に、本発明の技術的効果は、自律的検出器及びイメージャ・サブシステムの異なる組合せを用いて遂行することのできるアプリケーションのリストを生成すること、又はその逆に、指定されたアプリケーションを遂行するために利用できるイメージャ及び検出器サブシステムの組合せのリストを生成することを含む。本発明の別の技術的効果は、アプリケーション・サーバと結合したネットワーク環境内で自律的検出器及びイメージャ・サブシステムを使用することを含み、この場合、イメージャ・サブシステム、検出器サブシステム及び/又はアプリケーション・サーバがネットワーク上でノードとして通信する。
【0071】
本発明の特定の特徴のみを例示し説明したが、当業者には種々の修正および変更をなし得よう。従って、「特許請求の範囲」の記載が、本発明の真の精神内にあるこの様な全ての修正および変更を包含するものとして記載してあることを理解されたい。
【符号の説明】
【0072】
10 イメージング・システム
12 X線源
14 コリメータ
16 放射線流
18 患者
20 放射線部分
22 検出器
30 イメージャ・サブシステム
32 検出器サブシステム
42 支持アーム
44 患者テーブル
46 スロット
48 壁スタンド
50 受入れ構造
60 分散型ネットワーク・システム
68 分散型ネットワーク
100 ネットワーク配線
102 ネットワーク配線
104 ネットワーク配線
110 ネットワーク・インターフェース回路(NIC)
112 ネットワーク・インターフェース回路(NIC)
114 ネットワーク・インターフェース回路(NIC)
140 方法
158 組合せブロック
160 方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク(60)と、
各々が前記ネットワーク(60)上でそれぞれのノードとして通信を行うことのできる複数の自律的イメージャ・サブシステム(30)と、
各々が前記ネットワーク(60)上でそれぞれのノードとして通信を行うことのできる複数の自律的検出器サブシステ(32)と、
前記ネットワーク(60)上でノードとして通信を行うことのできるアプリケーション・サーバ(62)であって、遂行すべきアプリケーション(172)に基づいて前記複数の自律的イメージャ・サブシステム(30)及び前記複数の自律的検出器サブシステム(32)からイメージャ及び検出器の組合せを生成するルーチンを記憶し実行するアプリケーション・サーバ(62)と、
を有するイメージング管理システム。
【請求項2】
イメージャ及び検出器の組合せを生成する前記ルーチンは、イメージャ及び検出器の組合せを生成する際にライセンス・サーバ(156)と通信する、請求項1記載のイメージング管理システム。
【請求項3】
イメージャ及び検出器の組合せを生成する前記ルーチンは、イメージャ及び検出器の組合せを生成する際に予定設定カレンダ(186)と通信する、請求項1記載のイメージング管理システム。
【請求項4】
イメージャ及び検出器の組合せを生成する前記ルーチンは、各検出器サブシステム(32)の動作パラメータ、機能的状態、保守履歴又は較正状態の内の1つ以上を決定するために前記複数の自律的検出器サブシステム(32)と通信する、請求項1記載のイメージング管理システム。
【請求項5】
イメージャ及び検出器の組合せを生成する前記ルーチンは、各イメージャ・サブシステム(30)の動作パラメータ、機能的状態又は保守履歴の内の1つ以上を決定するために前記複数の自律的イメージャ・サブシステム(30)と通信する、請求項1記載のイメージング管理システム。
【請求項6】
ネットワーク(60)と、
各々が前記ネットワーク(60)上でノードとして通信を行うことのできる複数の自律的イメージャ・サブシステム(30)と、
各々が前記ネットワーク(60)上でノードとして通信を行うことのできる複数の自律的検出器サブシステ(32)と、
前記ネットワーク(60)上でノードとして通信を行うことのできるアプリケーション・サーバ(62)であって、前記複数の自律的イメージャ・サブシステム(30)及び前記複数の自律的検出器サブシステム(32)からのイメージャ及び検出器の異なる組合せのための利用可能なアプリケーション(172)を決定して指示するルーチンを記憶し実行するアプリケーション・サーバ(62)と、
を有するイメージング管理システム。
【請求項7】
前記アプリケーション・サーバ(62)は、イメージャ及び検出器の異なる組合せのための利用可能なアプリケーション(172)のリストを生成するルーチンを記憶し実行する、請求項6記載のイメージング管理システム。
【請求項8】
イメージャ及び検出器の異なる組合せのための利用可能なアプリケーション(172)を決定して指示する前記ルーチンは、オペレータによって指定されたイメージャ及び/又は検出器のための利用可能なアプリケーションを決定する、請求項6記載のイメージング管理システム。
【請求項9】
利用可能なアプリケーション(172)を決定して指示する前記ルーチンは、利用可能なアプリケーションを決定するする際にライセンス・サーバ(156)と通信する、請求項6記載のイメージング管理システム。
【請求項10】
利用可能なアプリケーション(172)を決定して指示する前記ルーチンは、利用可能なアプリケーション(172)を決定するする際に予定設定カレンダ(186)と通信する、請求項6記載のイメージング管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−19905(P2011−19905A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156344(P2010−156344)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】