モバイルルーター
【課題】モバイルルーターを省電力化して、バッテリーの持ち時間の長時間化を図る。
【解決手段】一つのエアフレームに、複数のIPパケットを詰めることにより、送信するエアフレーム数を減らして、消費電力の低減を図る。複数のIPパケットを詰めるために、エアフレーム生成の際のパケット送信要求の待機時間を設定する機能を具備し、ダミーパケットの挿入を減らす。この待機時間は、パラメータで設定可能である。また、携帯端末機器の機種、携帯端末機器の接続台数、タイマー満了回数、スループットを用いてタイマーに適正な値を自動設定する。
【解決手段】一つのエアフレームに、複数のIPパケットを詰めることにより、送信するエアフレーム数を減らして、消費電力の低減を図る。複数のIPパケットを詰めるために、エアフレーム生成の際のパケット送信要求の待機時間を設定する機能を具備し、ダミーパケットの挿入を減らす。この待機時間は、パラメータで設定可能である。また、携帯端末機器の機種、携帯端末機器の接続台数、タイマー満了回数、スループットを用いてタイマーに適正な値を自動設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等の接続に移動体通信事業者通信を用い、LAN側として無線LAN通信を用いる携帯可能なモバイルルーターに係り、特にバッテリーの保持期間を延長可能なモバイルルーターに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANインターフェースを備え、また移動体通信事業者の回線と接続可能な、携帯端末機器が増加している。これらの機器において、複数の移動体通信事業者回線の契約をまとめ、支払い料金を下げることや、接続の容易性を求めて、無線LANインターフェースを備えるモバイルルーターを使用して、移動体通信事業者回線と接続するものが増えてきた。例えばそれは、スマートフォンやタブレット型端末のような携帯端末機器である。
【0003】
モバイルルーターは、無線LAN通信によって、携帯端末機器と接続し、移動体通信事業者回線に中継を行ない、インターネットへの接続を支援する。このモバイルルーターは、持ち運び可能な製品であり、携帯端末機器と同等のバッテリー保持時間の長時間化の要求が出ている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モバイルルーターは、携帯して使用するため、長時間利用、低消費電力化が重要な課題となっている。本発明が解決しようとする課題は、モバイルルーターを省電力化し、バッテリー保持時間の長時間化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題は、携帯端末機器と接続するLANインターフェースと、基地局と無線接続する移動体通信インターフェースと、LANインターフェースと移動体通信インターフェースとの変換を実行する変換処理部と、全体制御を実行する中央処理装置と、データを保持するメモリと、からなるモバイルルーターにおいて、中央処理装置は、エアフレームの空き状況を判断し、メモリに保持するタイマーに基づいて、エアフレームの送信を待機するモバイルルーターにより、達成できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モバイルルーターのパケット送信を減らすことにより、モバイルルーターのバッテリーの持ち時間を長時間化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インターネット接続システムのブロック図である。
【図2】無線LANのエアフレームを説明する図である。
【図3】FDD方式のLTEのエアフレームを説明する図である。
【図4】モバイルルーターのハードウェアブロック図である。
【図5A】機種判定表を説明する図である。
【図5B】タイマー設定表を説明する図である。
【図5C】台数補正表を説明する図である。
【図6A】タイムオーバー数による調整表を説明する図である。
【図6B】スループットによる調整表を説明する図である。
【図7】モバイルルーターの立ち上げから端末接続終了までのフローチャートである。
【図8】端末接続時のモバイルルーターのタイマー設定のフローチャートである。
【図9】機種別判定によるモバイルルーターのタイマー設定のフローチャートである。
【図10】台数の補正によるモバイルルーターのタイマー設定のフローチャートである。
【図11】端末接続中のパケット送信動作を説明するモバイルルーターのフローチャートである。
【図12】タイムオーバー数によるタイマー設定に関するモバイルルーターのフローチャートである。
【図13】スループットによるタイマー設定に関するモバイルルーターのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には、同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。また、移動体通信システムとして、LTE(Long Term Evolution)を説明するが、LTEに限定するものではない。
【0009】
図1を参照して、インターネット接続システム500を説明する。図1において、インターネット接続システム500は、携帯端末機器100と、モバイルルーター(MR)200と、移動体通信事業者携帯電話基地局102と、移動体通信事業者通信網103と、インターネット104とから構成されている。
【0010】
モバイルルーター200は、携帯端末機器100と無線LANで接続している。、モバイルルーター200は、移動体通信事業者携帯電話基地局102と移動体通信事業者の無線回線で接続する。モバイルルーター200は、携帯端末機器100を、移動体通信事業者通信網103を用いて、インターネット104へ中継している。
なお、携帯端末機器100とモバイルルーターを有線で接続するタイプのモバイルルーター200Aも存在する。
【0011】
移動体無線通信では、エアフレームと呼ばれる単位でデータを分割し、これにパケットを収容し、送信を行なう。エアフレームは、一定容量で構成され、パケットが全てのフレーム容量を満たさない場合は、ダミーパケットを入れることで容量を満たし、送信を行なう。エアフレームの中にダミーパケットが入った場合、ダミーパケットも送信するため、この分が送信電力の浪費となり、また輻輳の原因にもなってしまう。本実施例では、このダミーパケットの送信を少なくすることで送信電力を減らし、モバイルルーターの省電力化を図る。
【0012】
一方、無線LAN通信のエアフレームは、可変長である。送信データが少ないフレームを多数送信すると、エアフレームのヘッダ部分が、オーバーヘッドになって、送信電力を浪費する。
【0013】
図2および図3を参照して、エアフレームを説明する。図2において、IEEE802.11bで規定された無線LAN通信のエアフレーム20は、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブル21と、PLCPヘッダ22と、IEEE802.11ヘッダ23と、Data24と、FCS(Frame Check Sequence)25とから構成されている。
【0014】
PLCPプリアンブル21とPLCPヘッダ22は、物理層のヘッダである。IEEE802.11ヘッダ23は、レイヤ3のヘッダである。Data24は、レイヤ3以上の可変長のデータである。FCS25は、データの誤りを検出する。PLCPプリアンブル21とPLCPヘッダ22は、1Mbit/sで送信される。PLCPプリアンブル21とPLCPヘッダ22の送信時間は、PLCPプリアンブル21が18byteのとき、192μsである。IEEE802.11ヘッダ23とData24とFCS25は、10Mbit/sで送信される。IEEE802.11ヘッダ23とData24とFCS25の送信時間は、Data24が1500byteのとき、1.12msである。
【0015】
図3を参照して、FDD(Frequency Division Duplex)方式のLTEのエアフレーム(無線フレーム)を説明する。図3において、無線フレーム30の送信時間は、10msである。無線フレーム30は、10サブフレーム31で構成される。サブフレーム31の送信時間は、1msである。サブフレーム31は、2スロット32で構成される。スロット32の送信時間は、0.5msである。スロット32は、7 OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル33で構成される。OFDM33の送信時間は、71μsである。OFDMシンボル33は、データ331とCP(Cyclic Prefix)332から構成されている。CP332は、データ331の一部のコピーである。
【0016】
パケットでエアフレームを構成する際に、従来は送信要求のあるパケットを随時エアフレームで構成し送信を行なっていたため、間欠的に送信要求のあるパケットが来た場合、各エアフレームにダミーパケットが入ってしまう。そこで本実施例では、エアフレームを構成する際に、待機時間を設定する。これにより、間欠的に来たパケットは、エアフレームに詰めて送信することができる。このため、ダミーパケットを入れる数が少なくなり、この結果エアフレームの作成数を減らすことが可能となる。エアフレーム数が減ると、そのぶん送信時間が短くなるため、送信電力の削減が可能となる。ただし、たまったパケットの数がエアフレームの収納量の最大数を超えた場合は、送信を行なう。本動作は、モバイルルーター内で行なうものであるため、携帯端末機器や移動体通信基地局の動作を変更する必要が無いことも利点である。
【0017】
無線のパケット詰め込みを実施する際に、タイマーを使用する。タイマーは、通常、50msに設定する。タイマーは、移動体通信事業者側通信、無線LAN通信毎に設定が可能である。以下、携帯端末機器から移動体通信事業者へパケットを送る場合を想定し実施形態を記述しているが、移動体通信事業者から携帯端末機器へパケットを送る場合も同様である。
【0018】
図4を参照して、モバイルルーターの構成を説明する。図4において、モバイルルーター200は、CPU210と、RAM220と、補助記憶装置230と、スループット測定部240と、内部時計250と、移動体通信事業者側無線−IF部260と、無線LAN通信−IF部270と、変換処理部280とから構成されている。
【0019】
CPU210は、通信制御部211と、エアフレーム状況判断部212と、MACアドレス判別部213と、スループット判断部214と、タイムオーバカウント部215とから構成される。RAM220は、パケット待機領域221と、接続台数カウント領域222と、タイマー設定領域223と、タイムオーバーカウント領域224とから構成される。補助記憶装置230は、各種設定表231と、プログラム232とから構成される。
【0020】
CPU210は、各種演算を行なう。RAM220は、このCPUのワークエリアとなる。補助記憶装置230は、各種データやプログラムが格納する。補助記憶装置230は、フラッシュROM等である。スループット測定部240は、スループットを測定する。内部時計250は、タイマーとして機能する。移動体通信事業者側無線−IF部260は、移動体通信事業者の基地局等の間で、無線通信を行なう。無線LAN通信−IF部270は、携帯端末機器の間で、無線LAN通信を行なう。変換処理部280は、移動体通信事業者側無線−IF部260と無線LAN通信−IF部270の間で変換を行なう。
【0021】
通信制御211は、機能的に、他の装置との制御を行なう。エアフレーム状況判断部212は、エアフレームの空き状況を判断する。MACアドレス判別部213は、接続された携帯端末機器のMACアドレスを判別する。スループット判断部214は、スループット測定部240で測定された結果を判断する。タイムオーバー判定部215は、タイマーを稼働しタイムオーバーを判定する。なお、以上の各機能部211〜215は、いずれも、CPU110がフラッシュROM130に格納されている各種プログラム133を実行することで機能する。
【0022】
パケット待機領域221は、メモリ領域として、エアフレームに入れるためのパケットを待機しておく。接続台数カウント領域222は、接続中の携帯端末機器台数をカウントする。タイマー設定領域223は、タイマーの設定時間を保持する。タイムオーバーカウント領域224は、タイマーのタイムオーバーが発生した回数を保持する。
【0023】
各種設定表231は、図5を参照して後述する機器種類判定表300、タイマー設定表310、台数補正表320、図6を参照して後述するタイムオーバー数による調整表400、スループットによる調整表410、を保持する。プログラム232は、CPU210の各機能部211〜215を実現するための各種プログラムを保持する。
【0024】
スループット測定部240は、端末の送受信するパケット量を測定し、内部時計250を用いてスループットを算出する。内部時計250は、タイマーをカウントするために用いる。また、通信制御の同期用にGPS時計を持っていたり、情報処理用に内部時計に準ずるものを備えていたりする場合、内部時計250は、これらと共用しても良い。
【0025】
移動体通信事業者側無線−IF部260は、移動体通信事業者側無線に関するインターフェース機能を持つ。無線LAN通信−IF部270は、無線LAN通信に関する機能を持つ。ただし、一般のモバイルルーターは有線LAN通信のインターフェースを持たないものが一般的であるが、本実施例においては無線に限らず、有線LAN通信のインターフェースを持つものにも有用であるため、有線LAN通信のインターフェースでも良い。変換処理部280は、移動体通信事業者側無線−IF部260と線LAN通信−IF部270の間で相互に変換処理を行なう。
【0026】
図5および図6を参照して、各種設定表231に収納する設定表について説明する。図5Aにおいて、機器種類判定表300には、MACアドレス301として、接続する携帯端末機器のMACアドレスを保持する領域を有する。MACアドレス301は、使用者があらかじめ、接続する携帯端末機器のMACアドレスをMACアドレス301の領域に対し登録を行なっておく。また、機器種類判定表300には、機器種類302として、MACアドレス301に対応して機器種類を設定する領域を有する。機器種類302は、使用者があらかじめ、機器種類302の領域に対し登録を行なっておく。パソコン、IP電話、スマートフォンは、機器種類の一例であり、必要に応じ複数の機器種類を選択可能である。機器種類判定表300は、接続した携帯端末機器の種類を判定するために利用する。
【0027】
使用者は、使用する前の準備として、パソコンやスマートフォンのWebブラウザ等を使用し、モバイルルーターと通信を介して設定を行なう。ユーザーは、モバイルルーター200の使用前にあらかじめ機器種類判定表300を設定しておく必要がある。MACアドレス301の設定は、使用者が直接MACアドレスを打ち込むか、もしくはモバイルルーター200が認識した携帯端末機器のMACアドレスから、選択・コピーすることで登録を行なう。また、それぞれの登録したMACアドレス301について、機器種類302の機器種類を設定する。設定は、プリセットされた項目から、携帯端末機器の種類に見合ったものを選択する方法が望ましい。
【0028】
図5Bにおいて、タイマー設定表310には、機器種類311として、機器種類302と同じく、機器種類を設定する領域を有する。ただし、指定無しの項目を必ず用意しておく。また、タイマー設定表310には、タイマー312として、機器種類311に対応してタイマーを割り当てる領域を有する。タイマー312は、基本的にプリセットされた項目を使用する。タイマー設定表310は、機器種類を用いてタイマーの時間を設定するために使用する。
【0029】
図5Cにおいて、台数補正表320には、台数321として、モバイルルーター200への携帯端末機器の接続台数を判定するための数を保持する領域を有する。また、台数補正表320には、タイマー補正値322として、台数321に対応してタイマーを補正するための値を保持する領域を有する。タイマー補正値322として、百分率を用いているが、これに限らず+5msのように、具体的な秒数等を記載することも可能である。
【0030】
図6Aにおいて、タイムオーバー数による調整表400は、タイムオーバー数401として、エアフレームがパケットでいっぱいになる前に、タイマーがタイムオーバーとなる頻度を分別するための値を保持する領域を有する。ただし、タイムオーバー数401は、簡単のため多、中、少としているが、実際の運用ではタイムオーバーの回数や、タイムオーバー数/未タイムオーバー数といった値を用いる。また、タイムオーバー数による調整表400は、タイマー変更値402として、タイムオーバー数401に対応してタイマーを補正するための値を保持する領域を有する。ただし、タイマー変更値402として、百分率を用いているが、これに限らず+5msのように、具体的な秒数等を記載することも可能である。
【0031】
図6Bにおいて、スループットによる調整表410は、スループット411として、スループット測定部で測定した値を判断するための値を保持する領域を有する。ただし、スループット411として、高、中、低としているが、実際の運用では具体的な測定値を用いる。また、スループットによる調整表410は、タイマー変更値412として、スループット411に対応してタイマーを補正するための値を保持する領域を有する。タイマー変更値412として、百分率を用いているが、これに限らず+5msのように、具体的な秒数等を記載することも可能である。
【0032】
図7を参照して、モバイルルーターの動作について説明する。図7において、モバイルルーター200は、電源を投入されると、無線LAN通信を通じて携帯端末機器の接続待ち状態となる(S503:NO)。ここで携帯端末機器がモバイルルーターに接続すると(S503:YES)、モバイルルーター200は、携帯端末機器接続時のタイマー設定を実行し、接続台数を更新(+1)する(S504)。モバイルルーター200は、運用中のとき(S506:YES)、動的にタイマーの設定を行ない、タイマーの値が最適になるように、状況に合わせて変化させる。運用が終了したら(S506:NO)、接続台数を更新(−1)して(S507)、携帯端末機器の接続を終了する。なお、端末の接続待ちのステップ503は、他の携帯端末機器の運用中にも実行している。したがって、モバイルルーター200は、複数の携帯端末機器を接続しうる。
【0033】
図8を参照して、携帯端末機器接続時のタイマー設定シーケンスを説明する。図8において、携帯端末機器と接続すると、モバイルルーター200は、接続台数カウント領域223をインクリメントする(S601)。ここで、接続台数カウント領域の値は、電源投入後に0として初期設定を行なうものとする。モバイルルーター200は、携帯端末機器の機種別判定を行ない、タイマーの設定値を決定する(S602)。モバイルルーター200は、台数によるタイマー設定値の補正を実施する(S603)。モバイルルーター200は、台数補正されたタイマー設定値を、タイマー設定領域223に設定して(S604)、運用を開始する。
【0034】
ここで、機種別判定によるタイマー設定について、説明する。機種別判定では、相手機器の種類に応じてタイマー時間の変更を行なう。具体的には、携帯電話のようにアクセスの頻度が少なく、パケット要求の少ない機器の場合、次のパケット要求が来る前に詰め込みタイマーの設定時間をオーバーする場合が多くなることが考えられる。このため、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が少ない。よって、携帯電話に対しては、タイマーの設定時間を短く設定する。
【0035】
一方、パソコン、カーナビは、アクセスの頻度が高く、パケット要求が多い機器である。この場合、詰め込みタイマーの設定時間をオーバーする前に次のパケット要求が来る場合が多くなることが考えられる。このため、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が大きい。よって、パソコン、カーナビは、利用に支障をきたさない程度に詰め込みタイマーの設定時間を長くする。
【0036】
図9を参照して、機種別判定の詳細を説明する。図9において、モバイルルーター200は、MACアドレス判別部213を用いて、携帯端末機器の送信データのヘッダからMACアドレスを取得する(S702)。モバイルルーター200は、このMACアドレスを機器種類判定表300のMACアドレス301と比較する(S703)。一致したMACアドレスがあった場合、モバイルルーター200は、これに対応した機器種類302を参照し、機器種類を取り込む(S705)。ステップ703で一致したMACアドレスが無かった場合、モバイルルーター200は、機器種類を指定無しとして設定を行なう(S704)。次に、モバイルルーター200は、取り込んだ機器種類を、タイマー設定表310の機器種類311と比較する(S706)。モバイルルーター200は、一致する項目を探し、これに対応したタイマー312の値をタイマー設定領域223に取り込んで(S707)、終了する。なお、ステップ706で一致する項目がないとき、モバイルルーター200は、指定無しの50msを取り込む。
【0037】
次に、台数の補正によるタイマー設定シーケンスについて、説明する。接続している携帯端末機器の台数が少ない場合は、アクセス頻度が少なくなる。このため、次のパケット要求が来る前にタイマーの設定時間をオーバーする場合が多くなることが考えられる。したがって、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が少ない。よって、この場合は詰め込みタイマーの設定時間を短く設定する。
【0038】
一方、接続している携帯端末機器の台数が多い場合は、アクセス頻度が高くなる。このため、詰め込みタイマーの設定時間をオーバーする前に次のパケット要求が来る場合が多くなることが考えられる。すなわち、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が大きい。よって、この場合は、利用に支障をきたさない程度に詰め込みタイマーの設定時間を長くする。
【0039】
図10を参照して、台数補正を説明する。図10において、モバイルルーター200は、接続台数カウント領域222の値を台数補正表320の台数321に照会し、該当する項目を選択する(S903)。モバイルルーター200は、対応するタイマー補正値322を参照し、値を取得する。モバイルルーター200は、接続台数カウント領域の値が1か2以上か判定する(S904)。1だった場合、モバイルルーター200は、取得したタイマー補正値をそのまま採用決定とする(S907)。ステップ904で2以上だった場合、モバイルルーター200は、タイマー設定領域223の値と、機種別判定によるタイマー設定シーケンスで得た値を比較する(S905)。つまり、すでに設定されているタイマーの値と、新たに接続された機種に合った値とを比較する。そしてより小さい、つまりタイマー時間が短くなる方の値を採用する(S906)。この理由は、リアルタイム性が必要な、タイマーが短い必要がある携帯端末機器と、リアル性が不要な、タイマーが長い携帯端末機器の両方が接続してある場合に、タイマーが長い方を採用してしまうと、リアルタイム性が必要な携帯端末機器に悪影響が出てしまうからである。そして、モバイルルーター200は、採用したタイマーの値を台数補正する(S908)。モバイルルーター200は、補正されたタイマーの値を取り込んで(S909)、終了する。
【0040】
具体的な数値を挙げて図10のステップ905、ステップ906、ステップ908を説明する。既に設定されているタイマー設定値を30ms、新たに接続された機種に対応する設定値を10ms、台数メモリ(接続台数カウント領域)222の値を2とする。ステップ906の選択結果は、10msである。また、台数補正表320の台数2台の補正値は+10%であり、最終的な補正されたタイマー値は11msとなる。
【0041】
図11を用いて、携帯端末機器接続中のパケット送信動作を説明する。タイマーの設定後、モバイルルーター200は、携帯端末機器からのパケット送信要求を待つ(S1102)。パケット送信要求が届いた時点でモバイルルーター200は、タイマーを作動させる。その後、モバイルルーター200は、パケットをエアフレームに詰める(S1103)。ここで、エアフレームがいっぱいになったかどうか、モバイルルーター200は、判定を行なう(S1104)。いっぱいになった場合、モバイルルーター200は、いっぱいになったエアフレームを送信する(S1105)。次にモバイルルーター200は、タイマーをリセットし(S1106)、次のフローに進む。ステップ1104でエアフレームがでいっぱいにならなかった場合およびステップ1106のあと、モバイルルーター200は、待ち時間がタイムオーバか判定する(S1107)。YESのとき、モバイルルーター200は、無線送信して(S1108)、ステップ1102に戻る。ステップ1107でNOのとき、モバイルルーター200は、ステップ1103に戻る。
【0042】
モバイルルーター200は、10秒毎に1秒間だけタイマー満了の回数をカウントする。タイマー満了の回数が多いと判断された場合、次のパケット要求が来る前に詰め込みタイマーを満了する場合が多くなることが考えられる。この場合、モバイルルーター200は、利用に支障をきたさない程度に、詰め込みタイマーの設定時間を長く設定する。逆にタイマー満了の回数が少ないと判断した場合は、次のパケット要求が来る前に詰め込みタイマーを満了する場合が少なくなることが考えられる。すなわち、余分な待ち時間が増えてしまい、ユーザーの利便性が低下する。よって、この場合、モバイルルーター200は、詰め込みタイマーの設定時間を短くする。
【0043】
図12を参照して、端末接続中のタイムオーバーに関するタイマー設定の処理を説明する。図12において、携帯端末機器の接続後、タイマー設定頻度を調整するため、モバイルルーター200は、10s待機する(S1201)。その後、モバイルルーター200は、1sの間タイマー満了のカウントを継続する(S1203)。カウントの終了後、モバイルルーター200は、どのくらいの頻度でタイマー満了が発生したかを判定する(S1205)。モバイルルーター200は、結果をタイマー満了数による調整表400のタイマー満了数401を参照し、対応するタイマー変更値を取得する(S1206)。モバイルルーター200は、このタイマー変更値と、タイマー設定領域223から読み出した値と掛け合わせ、改めてタイマー設定領域223に書き込み(S1207)、ステップ1201に遷移する。
【0044】
以下、携帯端末機器接続中のスループットに関するタイマー設定変更を説明する。モバイルルーター200は、移動体通信事業者側無線通信のスループットに応じて、詰め込みタイマーの設定時間を決定する。スループットが低い場合、通信路で輻輳が起きている場合が多い。この場合、モバイルルーター200は、詰め込みタイマーの設定時間を長く設定する。このことで、省電力化だけではなく、ダミーデータを減らし、総通信量を減らすことで、輻輳への影響を低減する効果が得られる。スループットが高い場合は、輻輳への影響が小さいと考えられる。この場合、モバイルルーター200は、比較的自由に詰め込みタイマーの設定時間を設定する。
【0045】
図13を参照して、携帯端末機器接続中のスループットに関するタイマー設定変更を説明する。携帯端末機器の接続後、タイマー設定頻度を調整するため、モバイルルーター200は、10s待機する(S1301)。モバイルルーター200は、スループット測定部より、スループット値を読み取る(S1302)。モバイルルーター200は、スループットによる調整表410のスループット411を参照し、対応するタイマー変更値を取得する(S1303)。このタイマー変更値について、モバイルルーター200は、タイマー設定領域223から読み出した値と掛け合わせ、改めてタイマー設定領域223に書き込んで(S1304)、ステップ1301に遷移する。
【0046】
上述した実施例によれば、モバイルルーターのパケット送信を減らすことにより、モバイルルーターのバッテリーの持ち時間を長時間化できる。
【符号の説明】
【0047】
100…携帯端末機器、102…基地局、200…モバイルルーター、210…CPU、220…RAM、230…補助記憶装置、240…スループット測定部、250…内部時計、260…移動体通信事業者側無線−IF部、270…無線LAN通信−IF部、280…変換処理部、300…機器種類判定表、301…MACアドレス、302…機器種類、310…タイマー設定表、311…機器種類、312…タイマー、320…台数補正表、321…台数、322…タイマー補正値、400…タイムオーバー数による調整表、401…タイムオーバー数、402…タイマー変更値、410…スループットによる調整表、411…スループット、412…タイマー変更値、500…インターネット接続システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等の接続に移動体通信事業者通信を用い、LAN側として無線LAN通信を用いる携帯可能なモバイルルーターに係り、特にバッテリーの保持期間を延長可能なモバイルルーターに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANインターフェースを備え、また移動体通信事業者の回線と接続可能な、携帯端末機器が増加している。これらの機器において、複数の移動体通信事業者回線の契約をまとめ、支払い料金を下げることや、接続の容易性を求めて、無線LANインターフェースを備えるモバイルルーターを使用して、移動体通信事業者回線と接続するものが増えてきた。例えばそれは、スマートフォンやタブレット型端末のような携帯端末機器である。
【0003】
モバイルルーターは、無線LAN通信によって、携帯端末機器と接続し、移動体通信事業者回線に中継を行ない、インターネットへの接続を支援する。このモバイルルーターは、持ち運び可能な製品であり、携帯端末機器と同等のバッテリー保持時間の長時間化の要求が出ている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モバイルルーターは、携帯して使用するため、長時間利用、低消費電力化が重要な課題となっている。本発明が解決しようとする課題は、モバイルルーターを省電力化し、バッテリー保持時間の長時間化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題は、携帯端末機器と接続するLANインターフェースと、基地局と無線接続する移動体通信インターフェースと、LANインターフェースと移動体通信インターフェースとの変換を実行する変換処理部と、全体制御を実行する中央処理装置と、データを保持するメモリと、からなるモバイルルーターにおいて、中央処理装置は、エアフレームの空き状況を判断し、メモリに保持するタイマーに基づいて、エアフレームの送信を待機するモバイルルーターにより、達成できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モバイルルーターのパケット送信を減らすことにより、モバイルルーターのバッテリーの持ち時間を長時間化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インターネット接続システムのブロック図である。
【図2】無線LANのエアフレームを説明する図である。
【図3】FDD方式のLTEのエアフレームを説明する図である。
【図4】モバイルルーターのハードウェアブロック図である。
【図5A】機種判定表を説明する図である。
【図5B】タイマー設定表を説明する図である。
【図5C】台数補正表を説明する図である。
【図6A】タイムオーバー数による調整表を説明する図である。
【図6B】スループットによる調整表を説明する図である。
【図7】モバイルルーターの立ち上げから端末接続終了までのフローチャートである。
【図8】端末接続時のモバイルルーターのタイマー設定のフローチャートである。
【図9】機種別判定によるモバイルルーターのタイマー設定のフローチャートである。
【図10】台数の補正によるモバイルルーターのタイマー設定のフローチャートである。
【図11】端末接続中のパケット送信動作を説明するモバイルルーターのフローチャートである。
【図12】タイムオーバー数によるタイマー設定に関するモバイルルーターのフローチャートである。
【図13】スループットによるタイマー設定に関するモバイルルーターのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には、同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。また、移動体通信システムとして、LTE(Long Term Evolution)を説明するが、LTEに限定するものではない。
【0009】
図1を参照して、インターネット接続システム500を説明する。図1において、インターネット接続システム500は、携帯端末機器100と、モバイルルーター(MR)200と、移動体通信事業者携帯電話基地局102と、移動体通信事業者通信網103と、インターネット104とから構成されている。
【0010】
モバイルルーター200は、携帯端末機器100と無線LANで接続している。、モバイルルーター200は、移動体通信事業者携帯電話基地局102と移動体通信事業者の無線回線で接続する。モバイルルーター200は、携帯端末機器100を、移動体通信事業者通信網103を用いて、インターネット104へ中継している。
なお、携帯端末機器100とモバイルルーターを有線で接続するタイプのモバイルルーター200Aも存在する。
【0011】
移動体無線通信では、エアフレームと呼ばれる単位でデータを分割し、これにパケットを収容し、送信を行なう。エアフレームは、一定容量で構成され、パケットが全てのフレーム容量を満たさない場合は、ダミーパケットを入れることで容量を満たし、送信を行なう。エアフレームの中にダミーパケットが入った場合、ダミーパケットも送信するため、この分が送信電力の浪費となり、また輻輳の原因にもなってしまう。本実施例では、このダミーパケットの送信を少なくすることで送信電力を減らし、モバイルルーターの省電力化を図る。
【0012】
一方、無線LAN通信のエアフレームは、可変長である。送信データが少ないフレームを多数送信すると、エアフレームのヘッダ部分が、オーバーヘッドになって、送信電力を浪費する。
【0013】
図2および図3を参照して、エアフレームを説明する。図2において、IEEE802.11bで規定された無線LAN通信のエアフレーム20は、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブル21と、PLCPヘッダ22と、IEEE802.11ヘッダ23と、Data24と、FCS(Frame Check Sequence)25とから構成されている。
【0014】
PLCPプリアンブル21とPLCPヘッダ22は、物理層のヘッダである。IEEE802.11ヘッダ23は、レイヤ3のヘッダである。Data24は、レイヤ3以上の可変長のデータである。FCS25は、データの誤りを検出する。PLCPプリアンブル21とPLCPヘッダ22は、1Mbit/sで送信される。PLCPプリアンブル21とPLCPヘッダ22の送信時間は、PLCPプリアンブル21が18byteのとき、192μsである。IEEE802.11ヘッダ23とData24とFCS25は、10Mbit/sで送信される。IEEE802.11ヘッダ23とData24とFCS25の送信時間は、Data24が1500byteのとき、1.12msである。
【0015】
図3を参照して、FDD(Frequency Division Duplex)方式のLTEのエアフレーム(無線フレーム)を説明する。図3において、無線フレーム30の送信時間は、10msである。無線フレーム30は、10サブフレーム31で構成される。サブフレーム31の送信時間は、1msである。サブフレーム31は、2スロット32で構成される。スロット32の送信時間は、0.5msである。スロット32は、7 OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル33で構成される。OFDM33の送信時間は、71μsである。OFDMシンボル33は、データ331とCP(Cyclic Prefix)332から構成されている。CP332は、データ331の一部のコピーである。
【0016】
パケットでエアフレームを構成する際に、従来は送信要求のあるパケットを随時エアフレームで構成し送信を行なっていたため、間欠的に送信要求のあるパケットが来た場合、各エアフレームにダミーパケットが入ってしまう。そこで本実施例では、エアフレームを構成する際に、待機時間を設定する。これにより、間欠的に来たパケットは、エアフレームに詰めて送信することができる。このため、ダミーパケットを入れる数が少なくなり、この結果エアフレームの作成数を減らすことが可能となる。エアフレーム数が減ると、そのぶん送信時間が短くなるため、送信電力の削減が可能となる。ただし、たまったパケットの数がエアフレームの収納量の最大数を超えた場合は、送信を行なう。本動作は、モバイルルーター内で行なうものであるため、携帯端末機器や移動体通信基地局の動作を変更する必要が無いことも利点である。
【0017】
無線のパケット詰め込みを実施する際に、タイマーを使用する。タイマーは、通常、50msに設定する。タイマーは、移動体通信事業者側通信、無線LAN通信毎に設定が可能である。以下、携帯端末機器から移動体通信事業者へパケットを送る場合を想定し実施形態を記述しているが、移動体通信事業者から携帯端末機器へパケットを送る場合も同様である。
【0018】
図4を参照して、モバイルルーターの構成を説明する。図4において、モバイルルーター200は、CPU210と、RAM220と、補助記憶装置230と、スループット測定部240と、内部時計250と、移動体通信事業者側無線−IF部260と、無線LAN通信−IF部270と、変換処理部280とから構成されている。
【0019】
CPU210は、通信制御部211と、エアフレーム状況判断部212と、MACアドレス判別部213と、スループット判断部214と、タイムオーバカウント部215とから構成される。RAM220は、パケット待機領域221と、接続台数カウント領域222と、タイマー設定領域223と、タイムオーバーカウント領域224とから構成される。補助記憶装置230は、各種設定表231と、プログラム232とから構成される。
【0020】
CPU210は、各種演算を行なう。RAM220は、このCPUのワークエリアとなる。補助記憶装置230は、各種データやプログラムが格納する。補助記憶装置230は、フラッシュROM等である。スループット測定部240は、スループットを測定する。内部時計250は、タイマーとして機能する。移動体通信事業者側無線−IF部260は、移動体通信事業者の基地局等の間で、無線通信を行なう。無線LAN通信−IF部270は、携帯端末機器の間で、無線LAN通信を行なう。変換処理部280は、移動体通信事業者側無線−IF部260と無線LAN通信−IF部270の間で変換を行なう。
【0021】
通信制御211は、機能的に、他の装置との制御を行なう。エアフレーム状況判断部212は、エアフレームの空き状況を判断する。MACアドレス判別部213は、接続された携帯端末機器のMACアドレスを判別する。スループット判断部214は、スループット測定部240で測定された結果を判断する。タイムオーバー判定部215は、タイマーを稼働しタイムオーバーを判定する。なお、以上の各機能部211〜215は、いずれも、CPU110がフラッシュROM130に格納されている各種プログラム133を実行することで機能する。
【0022】
パケット待機領域221は、メモリ領域として、エアフレームに入れるためのパケットを待機しておく。接続台数カウント領域222は、接続中の携帯端末機器台数をカウントする。タイマー設定領域223は、タイマーの設定時間を保持する。タイムオーバーカウント領域224は、タイマーのタイムオーバーが発生した回数を保持する。
【0023】
各種設定表231は、図5を参照して後述する機器種類判定表300、タイマー設定表310、台数補正表320、図6を参照して後述するタイムオーバー数による調整表400、スループットによる調整表410、を保持する。プログラム232は、CPU210の各機能部211〜215を実現するための各種プログラムを保持する。
【0024】
スループット測定部240は、端末の送受信するパケット量を測定し、内部時計250を用いてスループットを算出する。内部時計250は、タイマーをカウントするために用いる。また、通信制御の同期用にGPS時計を持っていたり、情報処理用に内部時計に準ずるものを備えていたりする場合、内部時計250は、これらと共用しても良い。
【0025】
移動体通信事業者側無線−IF部260は、移動体通信事業者側無線に関するインターフェース機能を持つ。無線LAN通信−IF部270は、無線LAN通信に関する機能を持つ。ただし、一般のモバイルルーターは有線LAN通信のインターフェースを持たないものが一般的であるが、本実施例においては無線に限らず、有線LAN通信のインターフェースを持つものにも有用であるため、有線LAN通信のインターフェースでも良い。変換処理部280は、移動体通信事業者側無線−IF部260と線LAN通信−IF部270の間で相互に変換処理を行なう。
【0026】
図5および図6を参照して、各種設定表231に収納する設定表について説明する。図5Aにおいて、機器種類判定表300には、MACアドレス301として、接続する携帯端末機器のMACアドレスを保持する領域を有する。MACアドレス301は、使用者があらかじめ、接続する携帯端末機器のMACアドレスをMACアドレス301の領域に対し登録を行なっておく。また、機器種類判定表300には、機器種類302として、MACアドレス301に対応して機器種類を設定する領域を有する。機器種類302は、使用者があらかじめ、機器種類302の領域に対し登録を行なっておく。パソコン、IP電話、スマートフォンは、機器種類の一例であり、必要に応じ複数の機器種類を選択可能である。機器種類判定表300は、接続した携帯端末機器の種類を判定するために利用する。
【0027】
使用者は、使用する前の準備として、パソコンやスマートフォンのWebブラウザ等を使用し、モバイルルーターと通信を介して設定を行なう。ユーザーは、モバイルルーター200の使用前にあらかじめ機器種類判定表300を設定しておく必要がある。MACアドレス301の設定は、使用者が直接MACアドレスを打ち込むか、もしくはモバイルルーター200が認識した携帯端末機器のMACアドレスから、選択・コピーすることで登録を行なう。また、それぞれの登録したMACアドレス301について、機器種類302の機器種類を設定する。設定は、プリセットされた項目から、携帯端末機器の種類に見合ったものを選択する方法が望ましい。
【0028】
図5Bにおいて、タイマー設定表310には、機器種類311として、機器種類302と同じく、機器種類を設定する領域を有する。ただし、指定無しの項目を必ず用意しておく。また、タイマー設定表310には、タイマー312として、機器種類311に対応してタイマーを割り当てる領域を有する。タイマー312は、基本的にプリセットされた項目を使用する。タイマー設定表310は、機器種類を用いてタイマーの時間を設定するために使用する。
【0029】
図5Cにおいて、台数補正表320には、台数321として、モバイルルーター200への携帯端末機器の接続台数を判定するための数を保持する領域を有する。また、台数補正表320には、タイマー補正値322として、台数321に対応してタイマーを補正するための値を保持する領域を有する。タイマー補正値322として、百分率を用いているが、これに限らず+5msのように、具体的な秒数等を記載することも可能である。
【0030】
図6Aにおいて、タイムオーバー数による調整表400は、タイムオーバー数401として、エアフレームがパケットでいっぱいになる前に、タイマーがタイムオーバーとなる頻度を分別するための値を保持する領域を有する。ただし、タイムオーバー数401は、簡単のため多、中、少としているが、実際の運用ではタイムオーバーの回数や、タイムオーバー数/未タイムオーバー数といった値を用いる。また、タイムオーバー数による調整表400は、タイマー変更値402として、タイムオーバー数401に対応してタイマーを補正するための値を保持する領域を有する。ただし、タイマー変更値402として、百分率を用いているが、これに限らず+5msのように、具体的な秒数等を記載することも可能である。
【0031】
図6Bにおいて、スループットによる調整表410は、スループット411として、スループット測定部で測定した値を判断するための値を保持する領域を有する。ただし、スループット411として、高、中、低としているが、実際の運用では具体的な測定値を用いる。また、スループットによる調整表410は、タイマー変更値412として、スループット411に対応してタイマーを補正するための値を保持する領域を有する。タイマー変更値412として、百分率を用いているが、これに限らず+5msのように、具体的な秒数等を記載することも可能である。
【0032】
図7を参照して、モバイルルーターの動作について説明する。図7において、モバイルルーター200は、電源を投入されると、無線LAN通信を通じて携帯端末機器の接続待ち状態となる(S503:NO)。ここで携帯端末機器がモバイルルーターに接続すると(S503:YES)、モバイルルーター200は、携帯端末機器接続時のタイマー設定を実行し、接続台数を更新(+1)する(S504)。モバイルルーター200は、運用中のとき(S506:YES)、動的にタイマーの設定を行ない、タイマーの値が最適になるように、状況に合わせて変化させる。運用が終了したら(S506:NO)、接続台数を更新(−1)して(S507)、携帯端末機器の接続を終了する。なお、端末の接続待ちのステップ503は、他の携帯端末機器の運用中にも実行している。したがって、モバイルルーター200は、複数の携帯端末機器を接続しうる。
【0033】
図8を参照して、携帯端末機器接続時のタイマー設定シーケンスを説明する。図8において、携帯端末機器と接続すると、モバイルルーター200は、接続台数カウント領域223をインクリメントする(S601)。ここで、接続台数カウント領域の値は、電源投入後に0として初期設定を行なうものとする。モバイルルーター200は、携帯端末機器の機種別判定を行ない、タイマーの設定値を決定する(S602)。モバイルルーター200は、台数によるタイマー設定値の補正を実施する(S603)。モバイルルーター200は、台数補正されたタイマー設定値を、タイマー設定領域223に設定して(S604)、運用を開始する。
【0034】
ここで、機種別判定によるタイマー設定について、説明する。機種別判定では、相手機器の種類に応じてタイマー時間の変更を行なう。具体的には、携帯電話のようにアクセスの頻度が少なく、パケット要求の少ない機器の場合、次のパケット要求が来る前に詰め込みタイマーの設定時間をオーバーする場合が多くなることが考えられる。このため、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が少ない。よって、携帯電話に対しては、タイマーの設定時間を短く設定する。
【0035】
一方、パソコン、カーナビは、アクセスの頻度が高く、パケット要求が多い機器である。この場合、詰め込みタイマーの設定時間をオーバーする前に次のパケット要求が来る場合が多くなることが考えられる。このため、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が大きい。よって、パソコン、カーナビは、利用に支障をきたさない程度に詰め込みタイマーの設定時間を長くする。
【0036】
図9を参照して、機種別判定の詳細を説明する。図9において、モバイルルーター200は、MACアドレス判別部213を用いて、携帯端末機器の送信データのヘッダからMACアドレスを取得する(S702)。モバイルルーター200は、このMACアドレスを機器種類判定表300のMACアドレス301と比較する(S703)。一致したMACアドレスがあった場合、モバイルルーター200は、これに対応した機器種類302を参照し、機器種類を取り込む(S705)。ステップ703で一致したMACアドレスが無かった場合、モバイルルーター200は、機器種類を指定無しとして設定を行なう(S704)。次に、モバイルルーター200は、取り込んだ機器種類を、タイマー設定表310の機器種類311と比較する(S706)。モバイルルーター200は、一致する項目を探し、これに対応したタイマー312の値をタイマー設定領域223に取り込んで(S707)、終了する。なお、ステップ706で一致する項目がないとき、モバイルルーター200は、指定無しの50msを取り込む。
【0037】
次に、台数の補正によるタイマー設定シーケンスについて、説明する。接続している携帯端末機器の台数が少ない場合は、アクセス頻度が少なくなる。このため、次のパケット要求が来る前にタイマーの設定時間をオーバーする場合が多くなることが考えられる。したがって、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が少ない。よって、この場合は詰め込みタイマーの設定時間を短く設定する。
【0038】
一方、接続している携帯端末機器の台数が多い場合は、アクセス頻度が高くなる。このため、詰め込みタイマーの設定時間をオーバーする前に次のパケット要求が来る場合が多くなることが考えられる。すなわち、詰め込みタイマーの設定時間を設けた場合の効果が大きい。よって、この場合は、利用に支障をきたさない程度に詰め込みタイマーの設定時間を長くする。
【0039】
図10を参照して、台数補正を説明する。図10において、モバイルルーター200は、接続台数カウント領域222の値を台数補正表320の台数321に照会し、該当する項目を選択する(S903)。モバイルルーター200は、対応するタイマー補正値322を参照し、値を取得する。モバイルルーター200は、接続台数カウント領域の値が1か2以上か判定する(S904)。1だった場合、モバイルルーター200は、取得したタイマー補正値をそのまま採用決定とする(S907)。ステップ904で2以上だった場合、モバイルルーター200は、タイマー設定領域223の値と、機種別判定によるタイマー設定シーケンスで得た値を比較する(S905)。つまり、すでに設定されているタイマーの値と、新たに接続された機種に合った値とを比較する。そしてより小さい、つまりタイマー時間が短くなる方の値を採用する(S906)。この理由は、リアルタイム性が必要な、タイマーが短い必要がある携帯端末機器と、リアル性が不要な、タイマーが長い携帯端末機器の両方が接続してある場合に、タイマーが長い方を採用してしまうと、リアルタイム性が必要な携帯端末機器に悪影響が出てしまうからである。そして、モバイルルーター200は、採用したタイマーの値を台数補正する(S908)。モバイルルーター200は、補正されたタイマーの値を取り込んで(S909)、終了する。
【0040】
具体的な数値を挙げて図10のステップ905、ステップ906、ステップ908を説明する。既に設定されているタイマー設定値を30ms、新たに接続された機種に対応する設定値を10ms、台数メモリ(接続台数カウント領域)222の値を2とする。ステップ906の選択結果は、10msである。また、台数補正表320の台数2台の補正値は+10%であり、最終的な補正されたタイマー値は11msとなる。
【0041】
図11を用いて、携帯端末機器接続中のパケット送信動作を説明する。タイマーの設定後、モバイルルーター200は、携帯端末機器からのパケット送信要求を待つ(S1102)。パケット送信要求が届いた時点でモバイルルーター200は、タイマーを作動させる。その後、モバイルルーター200は、パケットをエアフレームに詰める(S1103)。ここで、エアフレームがいっぱいになったかどうか、モバイルルーター200は、判定を行なう(S1104)。いっぱいになった場合、モバイルルーター200は、いっぱいになったエアフレームを送信する(S1105)。次にモバイルルーター200は、タイマーをリセットし(S1106)、次のフローに進む。ステップ1104でエアフレームがでいっぱいにならなかった場合およびステップ1106のあと、モバイルルーター200は、待ち時間がタイムオーバか判定する(S1107)。YESのとき、モバイルルーター200は、無線送信して(S1108)、ステップ1102に戻る。ステップ1107でNOのとき、モバイルルーター200は、ステップ1103に戻る。
【0042】
モバイルルーター200は、10秒毎に1秒間だけタイマー満了の回数をカウントする。タイマー満了の回数が多いと判断された場合、次のパケット要求が来る前に詰め込みタイマーを満了する場合が多くなることが考えられる。この場合、モバイルルーター200は、利用に支障をきたさない程度に、詰め込みタイマーの設定時間を長く設定する。逆にタイマー満了の回数が少ないと判断した場合は、次のパケット要求が来る前に詰め込みタイマーを満了する場合が少なくなることが考えられる。すなわち、余分な待ち時間が増えてしまい、ユーザーの利便性が低下する。よって、この場合、モバイルルーター200は、詰め込みタイマーの設定時間を短くする。
【0043】
図12を参照して、端末接続中のタイムオーバーに関するタイマー設定の処理を説明する。図12において、携帯端末機器の接続後、タイマー設定頻度を調整するため、モバイルルーター200は、10s待機する(S1201)。その後、モバイルルーター200は、1sの間タイマー満了のカウントを継続する(S1203)。カウントの終了後、モバイルルーター200は、どのくらいの頻度でタイマー満了が発生したかを判定する(S1205)。モバイルルーター200は、結果をタイマー満了数による調整表400のタイマー満了数401を参照し、対応するタイマー変更値を取得する(S1206)。モバイルルーター200は、このタイマー変更値と、タイマー設定領域223から読み出した値と掛け合わせ、改めてタイマー設定領域223に書き込み(S1207)、ステップ1201に遷移する。
【0044】
以下、携帯端末機器接続中のスループットに関するタイマー設定変更を説明する。モバイルルーター200は、移動体通信事業者側無線通信のスループットに応じて、詰め込みタイマーの設定時間を決定する。スループットが低い場合、通信路で輻輳が起きている場合が多い。この場合、モバイルルーター200は、詰め込みタイマーの設定時間を長く設定する。このことで、省電力化だけではなく、ダミーデータを減らし、総通信量を減らすことで、輻輳への影響を低減する効果が得られる。スループットが高い場合は、輻輳への影響が小さいと考えられる。この場合、モバイルルーター200は、比較的自由に詰め込みタイマーの設定時間を設定する。
【0045】
図13を参照して、携帯端末機器接続中のスループットに関するタイマー設定変更を説明する。携帯端末機器の接続後、タイマー設定頻度を調整するため、モバイルルーター200は、10s待機する(S1301)。モバイルルーター200は、スループット測定部より、スループット値を読み取る(S1302)。モバイルルーター200は、スループットによる調整表410のスループット411を参照し、対応するタイマー変更値を取得する(S1303)。このタイマー変更値について、モバイルルーター200は、タイマー設定領域223から読み出した値と掛け合わせ、改めてタイマー設定領域223に書き込んで(S1304)、ステップ1301に遷移する。
【0046】
上述した実施例によれば、モバイルルーターのパケット送信を減らすことにより、モバイルルーターのバッテリーの持ち時間を長時間化できる。
【符号の説明】
【0047】
100…携帯端末機器、102…基地局、200…モバイルルーター、210…CPU、220…RAM、230…補助記憶装置、240…スループット測定部、250…内部時計、260…移動体通信事業者側無線−IF部、270…無線LAN通信−IF部、280…変換処理部、300…機器種類判定表、301…MACアドレス、302…機器種類、310…タイマー設定表、311…機器種類、312…タイマー、320…台数補正表、321…台数、322…タイマー補正値、400…タイムオーバー数による調整表、401…タイムオーバー数、402…タイマー変更値、410…スループットによる調整表、411…スループット、412…タイマー変更値、500…インターネット接続システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末機器と接続するLANインターフェースと、基地局と無線接続する移動体通信インターフェースと、前記LANインターフェースと前記移動体通信インターフェースとの変換を実行する変換処理部と、全体制御を実行する中央処理装置と、データを保持するメモリと、からなるモバイルルーターにおいて、
前記中央処理装置は、エアフレームの空き状況を判断し、前記メモリに保持するタイマーに基づいて、前記エアフレームの送信を待機することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項2】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、前記携帯端末機器から受信したデータのヘッダからMACアドレスに基づいて、前記携帯端末機器の機種を判別し、該機種に基づいて前記タイマーの設定時間を設定することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項3】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、接続された携帯端末機器の台数を判別し、該台数に基づいて前記タイマーの設定時間を補正することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項4】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、携帯端末機器と接続中に前記タイマーが満了する回数をカウントし、該回数に基づいて前記タイマーの設定時間を補正することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項5】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、携帯端末機器と接続中にスループットを判別し、該スループットに基づいて前記タイマーの設定時間を補正することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項1】
携帯端末機器と接続するLANインターフェースと、基地局と無線接続する移動体通信インターフェースと、前記LANインターフェースと前記移動体通信インターフェースとの変換を実行する変換処理部と、全体制御を実行する中央処理装置と、データを保持するメモリと、からなるモバイルルーターにおいて、
前記中央処理装置は、エアフレームの空き状況を判断し、前記メモリに保持するタイマーに基づいて、前記エアフレームの送信を待機することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項2】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、前記携帯端末機器から受信したデータのヘッダからMACアドレスに基づいて、前記携帯端末機器の機種を判別し、該機種に基づいて前記タイマーの設定時間を設定することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項3】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、接続された携帯端末機器の台数を判別し、該台数に基づいて前記タイマーの設定時間を補正することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項4】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、携帯端末機器と接続中に前記タイマーが満了する回数をカウントし、該回数に基づいて前記タイマーの設定時間を補正することを特徴とするモバイルルーター。
【請求項5】
請求項1に記載のモバイルルーターであって、
前記中央処理装置は、携帯端末機器と接続中にスループットを判別し、該スループットに基づいて前記タイマーの設定時間を補正することを特徴とするモバイルルーター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−175669(P2012−175669A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38783(P2011−38783)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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