説明

モバイル端末用センサー情報システム

【課題】ユーザーが所望の情報を自ら収集し、その情報を蓄積することが可能なモバイル端末用センサー情報システムを提供することを目的とする。
【解決手段】センサーゲートウェイ12は、センサー群10からなるセンサーネットワークから種々のセンサー情報を受信する。モバイル情報端末14は、所定のユーザーアドバイスアプリケーションを用いてセンサー情報をフィルタリングし、サービスに必要なセンサー情報をセンサーゲートウェイ12に要求する。センサーゲートウェイ12は、要求されたセンサー情報のみをモバイル情報端末14に送信する。モバイル情報端末14は得られたセンサー情報をアプリケーションサーバ16に送信する。アプリケーションサーバ16はこのセンサー情報に基づき、アドバイス情報を作成して、モバイル情報端末14に送信する。この結果、モバイル情報端末14は、所望のアドバイスサービスを効率的に受けることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーネットワークを用いたモバイル端末用センサー情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種のセンサーを用いて環境の変化等を検知し、ユーザーに対してその検知した変化の情報を提供することが行われてきた。この例としては、例えば、ガス漏れが発生したときに、ガス検知器がユーザーに対してガスが漏れていることを警告するという動作が挙げられる。
【0003】
特許文献1
また、従来から、センサーが検知した情報をネットワークを介してコンピュータに送信し、そのコンピュータによって情報を管理することが行われている。このような動作を行う装置として、例えば、下記特許文献1には、センサーと、センサーによって測定した情報を処理する測定結果処理部と、外部のサービス提供部との間で測定結果情報に対する所定情報を送受信する通信部とを備えた情報端末装置が開示されている。
【0004】
特許文献2
また、近年、携帯電話やRFID(Radio Frequency IDentification)タグの普及を背景に、これらとセンサーとを組み合わせたユビキタスサービスが盛んに研究されている。このようなユビキタスサービスを行うシステムの例として、下記特許文献2には、センサーネットワークとモバイル装置とからなる商取引の支援を行うシステムが開示されている。
【0005】
特許文献3
また、さらに、センサーが検知した情報から、ユーザーが希望する情報を選択してユーザーに提供することが可能なシステムが開発されている。このようなシステムの例として、下記特許文献3には、センサーが検知した自動販売機等の開閉、振動等の情報が、センサーからモジュール専用サーバに送られ、モジュール専用サーバが、所定の条件に基づいて情報を選択し、選択した情報を携帯端末に送信する通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−119449号公報
【特許文献2】特開2007−122728号公報
【特許文献3】特開2006−345144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上に例示した特許文献1や2に開示されているように、従来から、センサーと、センサーからの検知情報を処理する処理装置とを備えるシステムによって、ユーザーに対して検知情報を提供することが行われてきた。これら従来のシステムによれば、ユーザーは、リアルタイムに必要な検知情報を得ることができた。
【0008】
一方、センサーが検知する情報は、時間と共に変化していくものものも多い。特に、利用者が利用した各種の情報の履歴を後から参照したい場合もある。
【0009】
しかしながら、従来のシステムにおいては、履歴を管理する有効な手段は知られていなかった。
【0010】
また、取得した情報だけでなく、その情報に基づき、各種のサービス(例えばアドバイス等)を提供できることが望ましいが、そのような情報に基づきサービスを提供する有効な手法については未だ知られていない。
【0011】
本発明は、上記課題に基づきなされたものであり、センサーネットワークから得られた情報を提供するだけでなく、その情報に基づいた種々のサービスを提供可能なシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、センサーネットワークからセンサー情報を取得するセンサーゲートウェイと、前記センサーゲートウェイから前記センサー情報を受信するモバイル情報端末と、前記モバイル情報端末から提供された前記センサー情報を基にサービス情報を生成するアプリケーションサーバと、前記センサーゲートウェイと前記モバイル情報端末とを接続する第1の通信手段と、前記モバイル情報端末と前記アプリケーションサーバーとを接続する第2の通信手段と、からなるモバイル端末用センサー情報システムにおいて、前記モバイル情報端末は、前記センサーゲートウェイから前記センサー情報を取得し、その取得したセンサー情報を前記アプリケーションサーバーに送信するアプリケーション手段と、表示手段と、を備え、前記アプリケーション手段は、前記アプリケーションサーバーが生成した前記サービス情報を受信し、前記表示手段は、前記受信したサービス情報を表示することを特徴とするモバイル端末用センサー情報システムである。
【0013】
(2)また、本発明は、上記(1)に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、前記センサーネットワークは、前記センサー情報を連続的に生成するリアルタイム型センサーを含むことを特徴とするモバイル端末用センサー情報システムである。
【0014】
(3)また、本発明は、上記(1)に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、前記センサーネットワークは、前記センサー情報を断続的に生成する非リアルタイム型センサーを含むことを特徴とするモバイル端末用センサー情報システムである。
【0015】
(4)また、本発明は、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、前記第2の通信手段は、前記モバイル情報端末が備えるモバイル情報端末側トンネル通信手段と、前記アプリケーションサーバーが備えるアプリケーションサーバー側トンネル通信手段と、から構成され、前記アプリケーションサーバーと前記モバイル情報端末との間で前記センサー情報を送受信する場合に、トンネルモードによる通信が前記アプリケーションサーバーと前記モバイル情報端末との間で行われることを特徴とするモバイル端末用センサー情報システムである。
【0016】
(5)また、本発明は、上記課題を解決するために、移動端末が、センサーセルとネットワーク上のアプリケーションサーバ間を接続するための通信トンネルをリアルタイム構築してセンサー情報を転送することにより、移動端末がその場所に存在するときにのみ通信可能になるリアルタイム認証システムである。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によれば、モバイル情報端末のユーザーは、所望のセンサー情報に基づいた所定のサービスを効率的に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】モバイル端末用センサー情報システムにおける情報の収集・提供イメージを示す概念図である。
【図2】センサーセルとモバイル情報端末の関係を示す説明図である。
【図3】センサーゲートウェイの構成ブロック図である。
【図4】モバイル情報端末の構成ブロック図である。
【図5】アプリケーションサーバーの構成ブロック図である。
【図6】モバイル端末用センサー情報システムの動作の順序を示すタイミングチャートである。
【図7】複数のサービスを提供する場合のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
複数の互いに通信可能なセンサーを所定の環境に配置したセンサーネットワークが知られている。センサーネットワークによれば、いわゆるユビキタス環境において、その環境における様々な情報を収集することが可能であるといわれている。
【0020】
本実施の形態においては、このセンサーネットワークが様々な情報を収集し、外部にその情報を提供するためのセンサーゲートウェイが設けられている例を説明する。
【0021】
センサーネットワークは、このセンサーゲートウェイを介して、モバイル情報端末に様々な情報を提供する。利用者は、モバイル情報端末を携帯し、利用することができるセンサーゲートウェイから様々な情報を受け取ることにより、種々の情報を利用することが可能となる。
【0022】
本実施の形態では、センサーゲートウェイからセンサー情報の中から利用者にとって必要な情報を抽出し、種々のアドバイスを含めて利用者に提供することが可能なシステムについて説明する。
【0023】
(1)本実施の形態に係るモバイル端末用センサー情報システムの概要
図1には、本件発明の好適な実施の形態のモバイル端末用センサー情報システムにおける情報の収集・提供の概念図が示されている。
【0024】
本実施の形態のユビキタスサービス利用環境におけるモバイル情報端末14は、周囲の音/映像のリアルタイム情報、環境/隣接物情報、さらに本人情報として顔情報や声情報、動き情報、身体情報など、のセンサー情報を本人が移動中に取得する。そして、モバイル情報端末14は、所定のサービスに必要なセンサー情報をフィルタリングしながら、(1個又は)複数個のサービス提供機関(アプリケーションサーバ16を備えている機関)へフィルタリングした情報を送信する。サービス提供機関は、アプリケーションを提供しているCSG(Community Service Gateway)(アプリケーションサーバ16と呼ぶ)においてモバイル情報端末14のユーザの適性に応じた情報分類/分析を行うことによって、そのユーザに対してリアルタイムに適切な情報を提供できる。
【0025】
このように、本実施の形態は、複数のモバイル情報端末14と、複数個のサービス提供機関とが存在する状況において、双方向の情報提供および情報収集が行えるサービス環境概念を実現しうる物である。
【0026】
この概念は、モバイル情報端末14からCSG(アプリケーションサーバ16)を見た場合は、いわゆるマルチアクセス環境という定義と同意義となる。一方、CSG(アプリケーションサーバ16)からモバイル情報端末14へのサービスの提供動作を考えると、これはマルチサービス環境という定義と同意義になる。
【0027】
このように、マルチサービス&マルチアクセス環境を整えることによって、センサーネットワークサービスを提供した点が、本実施の形態における最も特徴的な事項の一つである。以下、図1に基づき、各構成・動作について説明する。
【0028】
まず、図1中の(a)は、センサー情報の収集の概念を表し、また、図1中の(b)においては、モバイル情報端末に対するサービスの提供の概念が示されている。
【0029】
センサー情報の収集
図1(a)に示されるように、本実施の形態に係るモバイル端末用センサー情報システムは、センサー群10と、センサーゲートウェイ12と、モバイル情報端末14と、アプリケーションサーバー群16とから構成される。
【0030】
(1−1)センサー群(センサーネットワーク)
センサー群10は、1個以上のセンサーを含むものである。各センサー10は通信手段を備えており、いわゆるセンサーネットワークを構成することが好ましい。本実施の形態においては、センサー10は、リアルタイム型センサーと非リアルタイム型センサーとに分けられている。
【0031】
リアルタイム型センサー
リアルタイム型センサーは、得られる情報が本質的に連続して取得することが有意であるようなセンサーである。例えば、映像や音声等を検知するセンサーがであるが好ましい。リアルタイム型センサーの具体例としては、例えばCCDカメラやマイクなどが挙げられる。このリアルタイム型センサーが送信する情報を、以下では「リアルタイム情報」と呼ぶ。
【0032】
非リアルタイム型センサー
非リアルタイム型センサーは、得られる情報の変化速度が遅く、離散的に検知することで十分な情報であると見なすことができるような情報を得るセンサーである。従って、このセンサーは、その情報の検知時間間隔が100ms(ミリ秒)以上となる場合が多い。非リアルタイム型センサーの例としては、例えば、温度センサーや、湿度センサー、圧力計、距離計、密度計、その他の各種測定器、また光センサーなどの対象物存在情報を検出するセンサーなどが挙げられる。この非リアルタイム型センサーが送信する情報を、以下では「環境/隣接物情報」と呼ぶ。
【0033】
本実施の形態においては、上で述べたリアルタイム型センサー及び非リアルタイム型センサーがモバイル情報端末14のユーザーに関する情報を検出し、その情報をセンサーゲートウェイ12に送信することも好ましい。ユーザーに関する情報を検出するリアルタイム型センサーとしては、例えば、ユーザーの顔や全身の姿・動きを映し出すCCDカメラや、ユーザーの声を検出するマイクなどが挙げられる。また、ユーザーに関する情報を検出する非リアルタイム型センサーとしては、例えば、ユーザーの身体情報(例えば、ユーザーが患っている病気の病名)を記録したRFIDタグを読み取るリーダーなどが好ましい一例である。本実施の形態では、リアルタイム型センサー及び非リアルタイム型センサーがユーザーに関する情報を検出して送信する情報を、特に「本人情報」と呼ぶ。
【0034】
センサー情報
本実施の形態では、「リアルタイム情報」及び「環境/隣接物情報」、「本人情報」をまとめて「センサー情報」と呼ぶ。
【0035】
リアルタイム型センサー及び非リアルタイム型センサーが取得したセンサー情報は、所定のいわゆるセンサーネットワークを介してセンサーゲートウェイ12に送信される。センサー群10とセンサーゲートウェイ12とを接続する通信手段は、従来から用いられる種々の通信手段、ネットワーク通信手段が用いられる。
【0036】
(1−2)フィルタリング動作
次に、センサーゲートウェイ12は、上記リアルタイム型センサー10及び非リアルタイム型センサー10からなるセンサーネットワークから種々の上記センサー情報を受信する。センサーゲートウェイ12は、この受信したセンサー情報を、そのセンサーゲートウェイ12との通信が可能な範囲(これをセンサーセルと呼ぶ)に位置するモバイル情報端末14に送信する。
【0037】
所定のセンサーゲートウェイ12のセンサーセル内に位置するモバイル情報端末14は、そのセンサーゲートウェイ12から受信したセンサー情報から、所定のユーザーアドバイスアプリケーションを用いて選別し(フィルタリングし)、選ばれたセンサー情報のみをセンサーゲートウェイ12に要求する。
【0038】
この結果、センサーゲートウェイ12は、要求された(すなわち、フィルタリングされた)センサー情報のみをモバイル情報端末14に送信する。
【0039】
従って、モバイル情報端末14を携帯する利用者は、移動をしながら、所定のアプリケーションに必要なセンサー情報のみを取得し、そのセンサー情報をアプリケーションサーバ16に送信することによって、その所定のアプリケーションサービスを受けることができる。
【0040】
(1−3)サービスの提供
さて、本実施の形態において、サービスの提供とは、アプリケーションサーバー群16がモバイル情報端末14に対してアドバイス情報等を提供することをいう。この概念図が図1(b9に示されている。
【0041】
モバイル情報端末14は、ユーザーが提供を受けようとするアドバイス情報に対応したユーザーアドバイスアプリケーションを、そのモバイル情報端末14内で動作させることによって、上述したフィルタリングを行っている。
【0042】
すなわち、フィルタリングは、各サービス毎の「ユーザーアドバイスアプリケーション」が実行する。このようにしてフィルタリングしたセンサー情報のみがアプリケーションサーバ16に送られるのである。そして、アプリケーションサーバー群16から所望のアドバイス情報のみを得ることができるのである。
【0043】
なお、ユーザーが受けたいサービスが複数ある場合は、複数のサービス毎の「ユーザーアドバイスアプリケーション」が起動し、それぞれ必要なセンサー情報をフィルタリングする。
【0044】
さて、モバイル情報端末14からセンサー情報を取得したアプリケーションサーバー16は、その取得したセンサー情報を、モバイル情報端末14のユーザーの適性に応じて分類及び分析し、モバイル情報端末14のユーザーの適性に応じたアドバイス情報を生成する。この動作は、各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16dが備えるサービスアプリケーションが、各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16d内のユーザー情報データベースに保存された情報を参照して実行する。そして、各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16dは、生成したアドバイス情報を、モバイル情報端末14に送信する。なお、アプリケーションサーバーは、CSG(Community Service Gateway)と呼ばれることもある。
【0045】
なお、利用するアプリケーションサーバ16は、ユーザーによって選択され、1個でも良いし、複数個でも良い。ユーザーが選択したサービスのアプリケーションサーバ16に対応する「ユーザーアドバイスアプリケーション」が起動し、それぞれ必要なセンサー情報を対応するアプリケーションサーバ16に送信する。
【0046】
(1−4)通信環境
本実施の形態においては、複数のモバイル情報端末と、複数のサービスを提供するために各サービス毎に設けられたアプリケーションサーバー群16と、を備えたモバイル端末用センサー情報システムの説明を行っている。
【0047】
本モバイル端末用センサー情報システムにおいては、複数のモバイル情報端末と複数のアプリケーションサーバーとの間で、双方向の情報提供及び情報収集が行われる特徴を有している。このようなサービス環境の概念は、モバイル情報端末からアプリケーションサーバーを見た場合には、マルチアクセス環境となる。一方、アプリケーションサーバー群から各モバイル情報端末へのサービスの提供という側面から見た場合には、これはマルチサービス環境となる。
【0048】
このようなマルチアクセス環境とマルチサービス環境と、の2つの環境を整えることにより、良好なサービスの提供を実現したものが本実施の形態におけるモバイル端末用センサー情報システムの特徴の一つである。
【0049】
(1−5)センサーセル
1つのセンサーゲートウェイ12がカバーする領域をセンサーセルと呼ぶ(図2参照)。このセンサーセル内で、センサーゲートウェイ12とモバイル情報端末14との間で情報通信を行うことができる。センサーゲートウェイは、センサーセルの領域内に、センサーセル通知メッセージを定期的に送信する。このセンサーセル通知メッセージとは、各モバイル情報端末に対して、そのモバイル情報端末がそのセンサーセル内に位置することを示す信号である。1つのセンサーセル内では、そのセンサーセルに収容された様々なタイプのセンサーが利用可能である。図2には、4つのセンサーセル18a、18b、18c、18dを分散配置したモバイル端末用センサー情報システム20が示されている。なお、モバイル端末用センサー情報システムは、センサー情報モバイルアドバイスシステム、又は単にモバイルシステムと呼ばれることもある。
【0050】
センサー情報モバイルアドバイスシステムが利用するセンサーセルの概要
図2に示すように、センサーゲートウェイ12(Sensor GW)は、様々なタイプのセンサー10(Sensor)を収容可能なセンサーセル(Sensor Cell)を形成する。所定のセンサーセル(Sensor Cell)に移動してきたモバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ12(Sensor GW)から定期的に発信されるセンサーセル(Sensor Cell)通知メッセージを受信すると、センサーゲートウェイ12(Sensor GW)に接続し、そのセンサーセル(Sensor Cell)内に収容しているセンサー10(Sensor)の一覧情報を取得する。
【0051】
モバイル情報端末14を所有しているユーザは、受けたいアドバイスサービスのアプリケーションサーバ16にアクセスし、そのサービスに必要なセンサー情報(Sensor情報)の種類を取得する。ここで、そのアプリケーションサーバ16から、上述したユーザアドバイスアプリケーションを起動させて、必要なセンサー情報の種類を選択すること(フィルタリングすること)も好適である。
【0052】
モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ12(Sensor GW)にサービスに必要なセンサー情報を通知後、Sensor GWから受信したセンサー情報をアドバイスサービスに送信することができる。ユーザは、Sensor GWから様々なセンサー情報を収集しながら移動することで、上図のように複数のアドバイスサービスをリアルタイムに受けることができる。
【0053】
さて、図2中において、モバイル情報端末14が、位置0から位置Aに移動し、センサーセル18a内に入ったとき、モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ22aからセンサーセル通知メッセージを受信する。センサーセル通知メッセージを受信したモバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ22aに対してセンサー一覧情報を要求する。センサー一覧情報とは、センサーゲートウェイ22aが管理するセンサーの種類を示す情報である。モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ22aからセンサー一覧情報を取得することによって、モバイル情報端末14が位置するセンサーセル18a内で利用可能なセンサーの種類を知ることができる。
【0054】
モバイル情報端末14は、1つのセンサーセル18から別のセンサーセル18内に移動する度に、その移動先のセンサーセル18に収容された各種のセンサー情報を収集することができる。つまり、図2中において、モバイル情報端末14がセンサーセル18a内にあるとき(位置Aにいるとき)には、センサーゲートウェイ22aからセンサー情報を取得することができ、また、モバイル情報端末14がセンサーセル18b内にあるとき(位置Bにいるとき)、センサーゲートウェイ22bから所望のセンサー情報を取得することができる。この結果、モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ22a及び22bのそれぞれが管理するセンサー群のセンサー情報を取得することとなる。
【0055】
モバイル情報端末14が受けられるサービスは、当然のことながら、その位置で得られるセンサー情報の種類による。図2の例では、例えば、位置Aでは、アドバイスサービス1を受けることができるが、他のサービスを受けることができない。また、位置Bでは、全てのアドバイスサービス1、2、3を受けることができるが、位置Cでは、アドバイスサービス3のみ受けることができる。
【0056】
(2)本実施の形態に係るモバイル端末用センサー情報システムの構成
以下、図3、図4、図5に基づいて、本実施の形態に係るモバイル端末用センサー情報システムの構成について説明する。
【0057】
(2−1)センサーゲートウェイ
図3には、センサーゲートウェイ12の構成ブロック図が示されている。
【0058】
センサーゲートウェイ12の概要
センサーゲートウェイ12(Sensor GW)は、複数のセンサー10をまとめて管理可能であり、各種センサー10に対応したセンサー制御アプリケーション36、42が動作している。
【0059】
センサーゲートウェイ12は、モバイル情報端末14から、モバイル情報端末14が必要とするセンサー情報を、センサーゲートウェイ(Sensor GW)セッションで取得する。取得した後、センサーゲートウェイ12の制御セッションアプリケーション26がセンサー制御アプリケーション36、42に対して送信条件設定を行う。
【0060】
リアルタイム系のセンサー情報の取得に関しては、以下のような動作が行われる。
【0061】
つまり、センサーゲートウェイ(Sensor GW)12は、その内部で、IP/ブリッジレベルでのパケットスイッチ転送を実行する。これはパケット転送部38が実行する。これによって、モバイル情報端末14宛にリアルタイムにセンサー情報を送信する。
【0062】
モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ12に対して、センサーゲートウェイ(Sensor GW)制御セッション接続を行い、自己(モバイル情報端末14)のアドレス情報や利用するポート番号などを、センサーゲートウェイ(Sensor GW)12に通知する。
【0063】
非リアルタイム系センサー情報の取得に関しては、以下のような動作が行われる。
【0064】
つまり、センサーゲートウェイ(Sensor GW)12は、センサー10からの情報を内部バッファに一定時間蓄積している。これは、バッファ蓄積転送部44が実行する。モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ(Sensor GW)制御セッション接続を行い、モバイル情報端末14が取得したいセンサー情報、及び、モバイル情報端末14のアドレス情報、利用するポート番号などをセンサーゲートウェイ(Sensor GW)12に通知する。センサーゲートウェイ(Sensor GW)12は、は一定時間間隔でモバイル情報端末宛に非リアルタイム系のセンサー情報(データ)を送信する。
【0065】
さらに、センサーゲートウェイ12は、リアルタイム系センサーデータ(センサー情報)と、非リアルタイム系センサーデータ(センサー情報)と、についてQoS処理を行い、リアルタイムデータが欠落しないようにデータをモバイル情報端末14に送信する。このQoS処理は、QoS対応送信モジュールが実行する。
【0066】
センサーゲートウェイ12の構成の詳細
この図3に示されるように、センサーゲートウェイ12は、センサー管理アプリケーション24と、制御セッションアプリケーション26と、センサー制御部28とから構成される。
【0067】
センサー制御アプリケーション
センサー管理アプリケーション24は、センサーセルの管理者が、センサーゲートウェイ12を管理するために使用するアプリケーションである。
【0068】
制御セッションアプリケーション
制御セッションアプリケーション26は、モバイル情報端末14から必要なセンサー情報の種類をセンサーゲートウェイ制御セッションで取得する動作を行うアプリケーションプログラムである。また、同時にこの制御セッションアプリケーション26は、センサー制御部28に対して送信条件設定を行うアプリケーションプログラムでもある。
【0069】
センサー制御部
センサー制御部28は、リアルタイム型センサー制御部30と、非リアルタイム型センサー制御部32と、QoS対応送信モジュール34とから構成される。リアルタイム型センサー制御部30及び非リアルタイム型センサー制御部32は、それぞれ、複数のセンサーをまとめて管理することが可能であり、各種センサー10に対応したセンサー制御アプリケーション36、42がそれぞれ動作している。
【0070】
リアルタイム型センサー制御部
リアルタイム型センサー制御部30は、センサー制御アプリケーション36とパケット転送部38とを備える。リアルタイム型センサー制御部30が制御セッションアプリケーション26から送信条件設定の信号を受信すると、リアルタイム型センサー制御部30は、リアルタイム型センサー40との間で制御セッションを実行する。リアルタイム型センサー制御部30は、リアルタイム型センサー40からセンサー情報(リアルタイム情報、センサーデータとも呼ぶ)を受信すると、ヘッダーの書き換え及びIP/ブリッジレベルでのパケットスイッチ転送を実行し、センサー情報(リアルタイム情報とも呼ぶ)をモバイル情報端末14に送信する。
【0071】
上述したように、モバイル情報端末14は、制御セッションアプリケーション26との間でセンサーゲートウェイ制御セッションを行い、モバイル情報端末14のアドレス情報や利用するポート番号などを通知する。制御セッションアプリケーション36は、これらのアドレス情報等を、リアルタイム型センサー制御部30や非リアルタイム型センサー制御部32に通知する。
【0072】
非リアルタイム型センサー制御部
非リアルタイム型センサー制御部32は、リアルタイム型センサー制御部30とは異なり、パケット転送部38ではなく、バッファ蓄積転送部44を備えている。非リアルタイム型センサー制御部32は、このバッファ蓄積転送部44に非リアルタイム型センサー46が取得したセンサー情報を一定時間蓄積し、一定の時間間隔で蓄積したセンサー情報をモバイル情報端末14に送信する。
【0073】
QoS対応送信モジュール
QoS対応送信モジュール34は、センサーの種別(リアルタイム型センサー、非リアルタイム型センサー)に応じたQoS処理をそれぞれ行い、そのセンサー情報をモバイル情報端末14に送信する。この結果、リアルタイム情報の欠落を防止した通信を実行することができる。
【0074】
なお、制御セッションアプリケーション26及びQoS対応モジュール34は、特許請求の範囲に記載の通信手段の好適な一例に相当する。
【0075】
この通信手段は、例えばいわゆる無線LANの通信手段を採用することも好適であるが、その他、Zigbee等の種々の無線手段を採用することが可能である。また、将来的には今は存在していない無線方式も考えられる。
【0076】
(2−2)モバイル情報端末の構成
図4には、モバイル情報端末14の構成ブロック図が示されている。
【0077】
モバイル情報端末14の概要
モバイル情報端末14は、CSGサービス制御セッションによって、センサーゲートウェイ(Sensor GW)12から取得したセンサー情報リストをアプリケーションサーバ16に通知する。その後、モバイル情報端末14は、アプリケーションサーバ16から、そのサービスに必要なセンサー情報を取得する。
【0078】
なお、アプリケーションサーバ16は、CSG(Community Service Gateway)とも呼ぶ。
【0079】
その後、モバイル情報端末14は、サービスに必要なセンサー情報をセンサーゲートウェイ(Sensor GW)12に対してセンサーゲートウェイ(Sensor GW)制御セッションで通知する。
【0080】
通知を受けたセンサーゲートウェイ(Sensor GW)12は、センサー10からの情報を収集し、センサー種別ごとの「通信タイプ」に応じた転送方法を用いて、モバイル情報端末14宛てにデータを送信する。ここで、通信タイプには2種類有り、カメラ動画や音声などのリアルタイム系と、状態データなどの非リアルタイム系と、の2種類である。
【0081】
センサーゲートウェイ(Sensor GW)12は、センサー情報をこれら2つの系に分類する。この分類に基づき、センサーゲートウェイ(Sensor GW)12は、モバイル情報端末に対してセンサー情報を送信する。
【0082】
センサーゲートウェイ(Sensor GW)12からセンサー情報を受信したモバイル情報端末14は、そのセンサー情報を必要とするアプリケーションサーバ16に対してセンサー情報を転送する。この意味において、モバイル情報端末14は、サービス通信用ゲートウェイの機能を有していると言えよう(図4参照)。
【0083】
モバイル情報端末14の、このサービス通信用ゲートウェイ機能のパケット転送モードは、トンネルモードを採用している。モバイル端末とアプリケーションサーバ16(CSGとも呼ぶ)の間では、その間のネットワークに応じたトンネル通信手段でパケット転送が行われている。
【0084】
一方、本実施の形態においては、アプリケーションサーバ16(CSG)から、モバイル情報端末へのアドバイス通信が行われる。
【0085】
このアドバイス通信を行う場合、まず、CSGサービス制御セッションによって、アプリケーションサーバ16が指定したモバイル情報端末14内で、そのアプリケーションサーバ16に対応するユーザアドバイスアプリケーション50が起動する。そして、ユーザアドバイスアプリケーション50と、アプリケーションサーバ16(CSG)との間で、サービス情報通信と同じように、トンネル通信によって通信が実行される。
【0086】
ここで、サービス情報通信とは、図4に示すように、サービス通信用ゲートウェイ52と、アプリケーションサーバ16との間の通信である。
【0087】
ゲートウェイとしての役割
本実施の形態において特徴的な点の一つはは、モバイル情報端末14が、センサーネットワーク側の通信手段と、アプリケーションサーバ側の通信手段と、の2種の通信手段を有している点である。この結果、モバイル情報端末14は、センサーネットワークとアプリケーションサーバーとを結ぶいわばゲートウェイの役割を果たす。
【0088】
この結果、インターネットの上などに位置するアプリケーションサーバ16は、モバイル情報端末14を介してセンサーネットワーク上のセンサー情報を取得することが可能であり、このセンサー情報に基づいて、アドバイスなどの所定サービスの提供を行うことが可能である。
【0089】
なお、本実施の形態におけるアドバイス情報は、請求の範囲のサービス情報の好適な一例に相当する。
【0090】
モバイル情報端末14の構成の詳細
図4に示されるように、モバイル情報端末14は、サービスセッション制御用モジュール48と、1つ以上のユーザーアドバイスアプリケーション群50と、サービス通信用ゲートウェイ52とを備える。図4中には、モバイル情報端末14が、ユーザーアドバイスアプリケーションをN個備える例が示されている。ここで、Nは1以上の整数である。
【0091】
図4に示すように、まず、サービスセッション制御用モジュール48は、センサーゲートウェイ12とモバイル情報端末14との間のセンサーゲートウェイ制御セッションを司る。また、このサービスセッション制御用モジュール48は、アプリケーションサーバ16と、モバイル情報端末14との間のアプリケーションサーバサービス制御セッションを司る。すなわち、サービスセッション制御用モジュール48は、サービスを受けるために必要なセンサー情報をアプリケーションサーバに問い合わせる動作を行う。この動作については後の(3)において詳述する。
【0092】
また、サービス通信用ゲートウェイ52は、センサーゲートウェイ12から受信したセンサー情報を、それを用いてサービスを行うアプリケーションサーバー16に転送する。このとき、サービス通信用ゲートウェイ52のパケット転送モードは、トンネルモードを適用する。このように、モバイル情報端末14と各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16dとの間では、そのネットワーク環境に応じたトンネル通信手段によって、パケット転送が行われる。
【0093】
各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16dからモバイル情報端末14に対して通信(アドバイス通信)を行う場合には、モバイル情報端末14が備えるユーザーアドバイスアプリケーション群50のうちのいずれかのユーザーアドバイスアプリケーションが起動する。起動したユーザーアドバイスアプリケーション50は、各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16dとの間で、設定された上述したトンネル通信を利用した通信を行う。このようにして、モバイル情報端末14とアプリケーションサーバ16との間では、同じ設定のトンネル通信を利用して通信を行う。
【0094】
この起動すべきユーザーアドバイスアプリケーション50は、アプリケーションサーバーサービス制御セッションによって、各アプリケーションサーバー16a、16b、16c、16dが特定する。なお、ユーザーアドバイスアプリケーション50は、同時に2つ以上動作していても良い。つまり、同時に2種のアドバイスサービスの提供が行われていても良い。
【0095】
なお、サービスセッション制御用モジュール48は、特許請求の範囲に記載の通信手段を構成する好適な手段の一例である。また、サービス通信用ゲートウェイ52は、特許請求の範囲に記載の通信手段を構成する好適な手段の一例に相当する。
【0096】
(2−3)アプリケーションサーバーの構成
図5には、アプリケーションサーバー16の構成ブロック図が示されている。この図5に示されるように、アプリケーションサーバー16は、端末接続認証部54と、制御セッションアプリケーション56と、サービスアプリケーション部58と、公共性情報フィルタ60とを備える。
【0097】
アプリケーションサーバー16の概要
アプリケーションサーバ16(CSGとも呼ぶ)は、モバイル情報端末14とCSGサービス制御セッションを確立した後、モバイル情報端末14との間で通信トンネルを生成する。
【0098】
この通信トンネルを通じて端末接続認証を行い、相手方であるモバイル情報端末14を識別して、そのユーザを特定する。そして、そのユーザに対応するユーザ情報データベース2に取得したセンサー情報を書き込む。図5のユーザ管理部はユーザの嗜好性やユーザの状態監視を常時行っており、必要であれば(同じく図5中の)サービスアプリケーションに情報通知する。かかる通知に基づき、図5のサービスアプリケーションは、モバイル情報端末14のユーザに対してアドバイス情報を送付する。
【0099】
また、図5に示すように、公共性情報フィルタ60を備えており、特定ユーザを識別可能な情報でなければ、公共性情報フィルタを通過させて、公共サービス用サーバ66でセンサー情報を蓄積することができる。また、個人を特定できる情報の場合は、公共性情報フィルタ60を通過することができず、公共サービスに用いられることはない。
【0100】
履歴に基づいたサービス
本実施の形態において特徴的なことの一つは、ユーザー情報データベース62がセンサー情報の履歴をユーザー毎に蓄積している点である。この結果。センサー情報の履歴に基づいたサービスの提供を行うことが可能である。
【0101】
アプリケーションサーバ16の構成の詳細
図5に示すように、アプリケーションサーバ16は、制御セッションアプリケーション56を備えている。この制御セッションアプリケーション56は、モバイル情報端末14との間にアプリケーションサービス制御セッションを確立し、そのセッションを利用して、モバイル情報端末14との間に通信トンネルを生成する。この通信トンネルを利用して、端末接続認証部54は、モバイル情報端末14の認証動作を行う。この認証動作によって、モバイル情報端末14の特定・認証、これはすなわちそのモバイル情報端末14のユーザの特定・ユーザの認証をおこなうことができる。
【0102】
サービスアプリケーション部58は、モバイル情報端末14から転送されたセンサー情報を、ユーザー認証に基づき、対応するユーザー情報データベース62に書き込む。また、必要であれば、サービスアプリケーション部64は、アドバイス情報を生成し、その生成したアドバイス情報をモバイル情報端末14に送信する。
【0103】
サービスアプリケーション部58は、サービスアプリケーション64aと、ユーザー管理部64bと、を備えている。サーボスアプリケーション64aは、センサー情報を取得し、取得したセンサー情報をユーザー管理部64bに転送する。サービスアプリケーション部64aは、センサー情報に基づき上記アドバイス情報を生成し、モバイル情報端末14に送信する。
【0104】
ユーザー管理部64bは、転送されてきたセンサー情報をユーザー情報データベース62に格納する。この格納は、上述したユーザー認証によって認証されたユーザに対応するユーザー情報データベース62に対して行われる。また、ユーザー管理部64bは、格納したセンサー情報の履歴をサービスアプリケーション64aに供給し、サービスアプリケーション64aは、この履歴に基づき所定のアドバイス情報を生成する場合もある。
【0105】
アドバイス情報は、1つのセンサー情報に基づいて生成しても良いし、複数個のセンサー情報に基づいて生成しても良い。なお、このアドバイス情報を生成する動作については、後の(3)において詳述する。
【0106】
以上述べた端末接続認証部54及びサービスアプリケーション部58は、特許請求の範囲に記載のアプリケーションサーバー側トンネル通信手段の好適な一例に相当する。
【0107】
この通信手段は、例えばいわゆる無線LANの通信手段を採用することも好適であるが、その他、Zigbee等の種々の無線手段を採用することが可能である。また、将来的には今は存在していない無線方式も考えられる。
【0108】
公共性の高い情報の取り扱い
センサー情報の中には、そのセンサー情報を利用するユーザーが特定されない情報や、公共性の高い情報も存在する。公共性の高い情報の例としては、例えば、特定の地域の気温情報などが挙げられる。図5中に示されている公共性情報フィルタ60は、アプリケーションサーバー16が受信したセンサー情報から、これらユーザーが特定されない情報や公共性の高い情報をフィルタリングするアプリケーションである。ここで、フィルタリングとは、ユーザーが特定されない情報や公共性の高い情報を選び出すという動作を意味する。
【0109】
公共性情報フィルタ60がフィルタリングしたセンサー情報は、公共サービス用サーバー66に転送される。公共サービス用サーバー66はこの公共性の高い情報を蓄積し、一般に広く外部に提供する。
【0110】
このような構成によれば、公共性の高いセンサー情報を公益のために利用することができる。例えば、特定の地域の気温等をリアルタイムに 一般公衆に提供することが可能となる。
【0111】
(3)モバイル端末用センサー情報システムの動作
図6には、モバイル端末用センサー情報システムの動作の流れを示すタイミングチャートが示されている。以下、図6に基づいて、モバイル端末用センサー情報システムの動作について具体例を挙げて説明する。
【0112】
具体例としては、モバイル情報端末のユーザーが、糖尿病の治療のため食事療法を受けている場合において、そのユーザーが、レストランでメニューを選ぶことを想定して説明する。
【0113】
まず、図6中のステップS6−1において、モバイル情報端末14が、レストランに設置されたセンサーゲートウェイ12から、センサーセル通知メッセージを受信する。
【0114】
次に、図6中のステップS6−2において、モバイル情報端末14が、センサーゲートウェイ12に対して、センサー一覧情報を問い合わせる。
【0115】
このセンサー一覧情報は、センサー情報リストとも呼ばれるが、
・センサーID
・センサー種別
・データ形式
・その他センサー情報
を含むリストである。
【0116】
次に、図6中のステップS6−3において、モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ12から、センサー一覧情報を取得する。さらに詳しく述べれば、本ステップS6−3において、モバイル情報端末14は、図4中のアプリケーションサーバーサービス制御セッションにより、センサーゲートウェイ12からセンサー一覧情報を取得する。本例では、センサー一覧情報が、例えば、火気センサーと、ドア開閉センサーと、メニューの原材料を検出するセンサー(以下、食材センサーと呼ぶ)と、の3つのセンサーを利用できる旨の情報であるとする。
【0117】
次に、図6中のステップS6−4において、モバイル情報端末14が、ユーザーにとって必要なセンサー情報が、{火気センサー、ドア開閉センサー、食材センサー}の3つのセンサーのうち、どのセンサーのセンサー情報であるかをアプリケーションサーバー16に問い合わせる。
【0118】
次に、図6中のステップS6−5において、アプリケーションサーバー16は、{火気センサー、ドア開閉センサー、食材センサー}の3つのセンサーのうち、食材センサーのセンサー情報が必要であることをモバイル情報端末に通知する。この動作によって、モバイル情報端末14は、サービスを受けるために必要なセンサー情報の種類を知る。
【0119】
次に、図6中のステップS6−6において、モバイル情報端末14は、センサーゲートウェイ12に対して、食材センサーのセンサー情報を取得要求する。この取得要求は、図4中に示されているアプリケーションサーバーサービス制御セッションで行う。
【0120】
次に、図6中のステップS6−7において、センサーゲートウェイ12は、モバイル情報端末14に対して、食材センサーのセンサー情報を送信する。このとき、モバイル情報端末14は、ゲートウェイ機能のパケット転送を行う。この結果、食材センサーのセンサー情報がアプリケーションサーバーに送信される。このパケット転送は、サービス通信用ゲートウェイ52が実行する。
【0121】
この動作の結果、サービスアプリケーションサーバー16は、食材センサーからのセンサー情報を取得することができる。なお、本例では、食材センサーのセンサー情報が、例えば「対象となるメニューの糖分は、0gである」旨の情報であったとする。
【0122】
次に、図6中のステップS6−8において、アプリケーションサーバー16は、モバイル情報端末14から転送された食材センサーからのセンサー情報をユーザー情報データベース62に書き込む。
【0123】
ユーザー情報データベース62を管理するユーザー管理部64bは、ユーザー情報データベース62に書き込まれた情報を基に、ユーザーの嗜好性やユーザーの状態監視を常時行う。
【0124】
一方、サービスアプリケーション64aは、提供されてきたセンサー情報から所定のアドバイス情報を作成して、トンネル通信を利用してモバイル情報端末14に送信する。アドバイス情報はさまざまなアドバイスである。
【0125】
例えば、食材の糖分が多すぎれば、「糖分が多すぎます。」というアドバイスとなり、食材の糖分が少なければ、「糖分はおおくありません。」というアドバイスになるかもしれない。どのようなアドバイスになるかは、そのアプリケーションサーバ16に依存する。ユーザは自分が望むアドバイスを提供するアプリケーションサーバ16を選択し、それに対応したユーザアドバイスアプリケーション50(図4参照、)を、自己のモバイル情報端末14に予めインストールしておく。これによって、ユーザは所望のサービス(アドバイス)を受けることが可能となる。
【0126】
また、ユーザー管理部64bは、必要に応じて、サービスアプリケーション64aに対して、アドバイス情報を生成する必要がある旨通知する場合もある。これは、過去の履歴に応じてアドバイスを行う必要がある場合に実行される。例えば、「この1週間の糖分の摂取が過大です」等、これまでの履歴に基づいたアドバイスが可能となる。これは、センサー情報をユーザ毎に記録・管理していることによって可能となったものである。
【0127】
次に、図6中のステップS6−9において、サービスアプリケーション64aは、上述したようにアドバイス情報を生成し、その生成したアドバイス情報をモバイル情報端末14に送信する。本例では、例えば、そのメニューを食べても糖尿病の治療に悪影響がないので、食べても良い旨のアドバイス情報を送信したとする。
【0128】
次に、図6中のステップS6−10において、モバイル情報端末14の表示手段が、サービスアプリケーションサーバー16から受信したアドバイス情報をユーザーに対して提示する。この結果、ユーザは、糖尿病を悪化させることなく、食事を楽しむことが可能となる。
【0129】
以上述べたステップS6−1からステップS6−10までの動作が、本実施の形態に係るモバイル端末用センサー情報システムの基本的な動作である。
【0130】
この結果、ユーザーは、例えば、体に過度な負担を掛けることを気にすることなく、食事を摂ることができる。
【0131】
本実施の形態において特徴的な事項の1つは、アプリケーションサーバーのサービスアプリケーション部58が、ユーザー情報データベース62を備える点である。上記ステップS6−9において、サービスアプリケーションは、ユーザー情報データベース62に保存された履歴を参照してアドバイス情報を生成することも好ましい。履歴を参照することによって、例えば、病状が悪化傾向にある場合と、改善傾向にある場合とを区別して、より適切なアドバイス情報を生成することが可能になる。
【0132】
複数のサービス提供
上述した図6においては、単一のサービスの提供についてのみ説明したが、複数のサービスが同時に提供されることも好適である。この場合の図6におけるステップS6−4からS6−10までの処理の例が図7に示されている。この図7のタイミングチャートに示されているように、n個(nは2以上の整数)のアプリケーションサーバ16に対してセンサー情報を送信し、n種類のアドバイスサービスを受けることが可能である。各アドバイスの処理は独立して実行される。
【0133】
サービスの種類
本実施の形態では、提供されるサービスとして所定のアドバイスを例にして説明したが、どのような種類のサービスでもかまわない。バーゲン情報の提供、特価品の案内、時間セールの案内、気象情報・天気予報、交通情報の提供、等種々のサービスの提供を行うことが可能である。
【0134】
特に、本実施の形態においては、センサー情報の履歴を保存しているので、過去の履歴に基づいたサービスを提供することができ、よりユーザに利便性の高いサービスを提供することが可能である。
【0135】
その他の関連発明
尚、関連する発明としては、請求の範囲の第1項〜第3項のいずれか1項に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、前記第1の通信手段は、前記センサーゲートウェイが備えるセンサーゲートウェイ側無線LAN通信手段と、前記モバイル情報端末が備えるモバイル情報端末側無線LAN通信手段と、から構成され、前記センサーゲートウェイは、前記センサーゲートウェイ側無線LAN通信手段を用いて前記センサーゲートウェイを中心とした一定の範囲にセンサーセルを形成し、前記モバイル情報端末が、前記センサーセル内に入った場合に、前記センサーゲートウェイ側無線LAN通信手段を用いて、前記センサーゲートウェイと前記モバイル情報端末との間で無線LANによる通信を行うことを特徴とするモバイル端末用センサー情報システムとすることも好適である。
【符号の説明】
【0136】
10 センサー群
10a、10b、10c、10d センサー
12 センサーゲートウェイ
14 モバイル情報端末
16 アプリケーションサーバー群
16a、16b、16c、16d アプリケーションサーバー
18a、18b、18c、18d センサーセル
20 モバイル端末用センサー情報システム
22a、22b、22c、22d センサーゲートウェイ
24 センサー管理アプリケーション
26 制御セッションアプリケーション
28 センサー制御部
30 リアルタイム型センサー制御部
32 非リアルタイム型センサー制御部
34 QoS対応送信モジュール
36 センサー制御アプリケーション
38 パケット転送部
40 リアルタイム型センサー
42 センサー制御アプリケーション
44 バッファ蓄積転送部
46 非リアルタイム型センサー
48 サービスセッション制御用モジュール
50 ユーザーアドバイスアプリケーション群
52 サービス通信用ゲートウェイ
54 端末接続認証部
56 制御セッションアプリケーション
58 サービスアプリケーション部
60 公共性情報フィルタ
62 ユーザー情報データベース
64a サービスアプリケーション
64b ユーザー管理部
66 公共サービス用サーバー
0、A、B、C 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーネットワークからセンサー情報を取得するセンサーゲートウェイと、
前記センサーゲートウェイから前記センサー情報を受信するモバイル情報端末と、
前記モバイル情報端末から提供された前記センサー情報を基にサービス情報を生成するアプリケーションサーバと、
前記センサーゲートウェイと前記モバイル情報端末とを接続する第1の通信手段と、
前記モバイル情報端末と前記アプリケーションサーバーとを接続する第2の通信手段と、
からなるモバイル端末用センサー情報システムにおいて、
前記モバイル情報端末は、
前記センサーゲートウェイから前記センサー情報を取得し、その取得したセンサー情報を前記アプリケーションサーバーに送信するアプリケーション手段と、
表示手段と、
を備え、
前記アプリケーション手段は、前記アプリケーションサーバーが生成した前記サービス情報を受信し、
前記表示手段は、前記受信したサービス情報を表示することを特徴とするモバイル端末用センサー情報システム。
【請求項2】
請求項1に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、
前記センサーネットワークは、前記センサー情報を連続的に生成するリアルタイム型センサーを含むことを特徴とするモバイル端末用センサー情報システム。
【請求項3】
請求項1に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、
前記センサーネットワークは、前記センサー情報を断続的に生成する非リアルタイム型センサーを含むことを特徴とするモバイル端末用センサー情報システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のモバイル端末用センサー情報システムにおいて、
前記第2の通信手段は、
前記モバイル情報端末が備えるモバイル情報端末側トンネル通信手段と、
前記アプリケーションサーバーが備えるアプリケーションサーバー側トンネル通信手段と、
から構成され、
前記アプリケーションサーバーと前記モバイル情報端末との間で前記センサー情報を送受信する場合に、トンネルモードによる通信が前記アプリケーションサーバーと前記モバイル情報端末との間で行われることを特徴とするモバイル端末用センサー情報システム。
【請求項5】
移動端末が、センサーセルとネットワーク上のアプリケーションサーバ間を接続するための通信トンネルをリアルタイム構築してセンサー情報を転送することにより、移動端末がその場所に存在するときにのみ通信可能になるリアルタイム認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165112(P2010−165112A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5834(P2009−5834)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【出願人】(504141425)ナシュア・ソリューションズ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】