モータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせ
【課題】2以上のモータが強制的に同期させられる場合において、各モータへの供給電流のアンバランスを抑制可能なモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせを提供することである。
【解決手段】モータ制御システム1は、モータ内蔵ローラ2と、コントローラ(制御装置)6,7の組み合わせからなるものである。モータ内蔵ローラ2は、ローラ本体3とモータ4,5を有している。モータ4,5は、出力軸同士がローラ本体3で一体的に連結されており、モータ4,5は、強制的に同期運転するものである。モータ4,5の回転数に応じてコントローラ6,7から供給する電流パルスに下限が設定されている。
【解決手段】モータ制御システム1は、モータ内蔵ローラ2と、コントローラ(制御装置)6,7の組み合わせからなるものである。モータ内蔵ローラ2は、ローラ本体3とモータ4,5を有している。モータ4,5は、出力軸同士がローラ本体3で一体的に連結されており、モータ4,5は、強制的に同期運転するものである。モータ4,5の回転数に応じてコントローラ6,7から供給する電流パルスに下限が設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせに関し、さらに詳細には、2以上のモータを制御するものであって、2以上のモータの回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるモータの制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの能力を表す仕事率は、モータ容量やモータ出力とも言われ、一般的に、数値が大きくなるとモータ自体の体積も大きくなる傾向にある。そのため、全体の大きさに制限がある装置においては、小型のモータを複数接続することで、所望する機械出力を得る場合がある。その一例として、特許文献1には、2つのモータを内蔵した自動車用の電動腰掛シートが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の自動車用の電動腰掛シートでは、制限された空間内に小型のモータを2つ内蔵し、各モータの出力軸を連結シャフトで一体連結することで、各モータ間の回転を強制的に同期させ、高出力を確保している。そのため、複数人が座れるリアシートに用いた場合でも、出力不足となることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−33933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、2基以上のモータの回転部を機械的に連結して強制的に同期回転させ、且つモータが個々に一定回転で回転する様にモータに供給する電流を増減させると、どうしても各モータに供給される電流がアンバランスになる。そして時間の経過と共に、アンバランス量が増大してゆくこととなり、例えばあるモータの電流量が増大したまま長期間続くと、モータが損傷し、寿命の低下を招いてしまう。
【0006】
上記した現状に鑑み、本発明は、2以上のモータが強制的に同期させられる場合において、各モータへの供給電流のアンバランスを抑制可能なモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、2以上のモータを制御するモータ制御システムであって、前記2以上のモータは回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるものであり、前記2以上のモータは個々に制御装置を有し、前記制御装置はいずれもモータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ前記制御装置にはいずれもモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ制御システムである。
【0008】
本発明のモータ制御システムでは、各制御装置には、モータの回転数に応じて供給する電流に下限が設けられている。
ここで、2基以上のモータの回転部を機械的に連結し、強制的に同期回転させた場合にモータへの供給電流がアンバランスとなる理由は、次の通りである。例えば、2基のモータ(第1モータと第2モータ)の回転部を機械的に連結して強制的に同期回転させる場合を想定する。
【0009】
第1モータと第2モータは、いずれも設定の回転数となる様に個別に電流が増減される。しかしながら、2基のモータに同時に通電を開始した場合、モータの回転の立ち上がり曲線が全く一致することは稀であり、一方が早く、一方が遅れる。例えば第1モータが先に立ち上がり、やや遅れて第1モータが立ち上がる。
【0010】
また第1モータと第2モータは、機械的に連結されていて、常に同期的に回転するから、第1モータの回転立ち上がりが第2モータに比べて速い場合、第2モータが第1モータに引っ張られることとなる。即ち第1モータに掛かる負荷が大きく、第2モータに掛かる負荷が小さい。
【0011】
そうして第1モータと第2モータは、共に設定の回転数に至るが、第1モータに掛かる負荷が大きく、第1モータは強制的に減速される方向に力が掛かっていたので、制御装置はこれを是正するために、電流値を上げようとする。即ち第1モータは僅かに自己の設定回転数よりも低く回転されることとなり、これがフィードバックされて回転数を上昇すべく電流値を上げようとする。
【0012】
一方、第2モータは、掛かる負荷が小さく、第2モータは強制的に増速される方向に力が掛かっていたので、制御装置はこれを是正するために、電流値を下げようとする。即ち第2モータは僅かに自己の設定回転数よりも早く回転されることとなり、これがフィードバックされて回転数を降下すべく電流値を下げようとする。
【0013】
そのため第1モータに掛かる電流値が高く、第2モータに掛かる電流値は低くなる。
そうすると、第1モータはますます増速傾向となり、第1モータを引っ張るからますます負荷が増す。そのためこれを是正せんと、ますます電流値が増加してゆく。
逆に第2モータに掛かる電流値はますます低くなる。
そして遂には、第1モータに掛かる電流値が甚だしく大きくなり、第2モータに掛かる電流値は甚だしく小さくなる。
【0014】
以上は、モータの立ち上がりがアンバランスであった場合について説明したが、第1モータと第2モータが設定回転数で回転し、かつ両者の電流値が同一であった場合であっても、時間の経過と共に、両者に掛かる電流値がアンバランスになる場合がある。またこの場合であっても、アンバランス量は次第に増大する傾向となる。
この現象は、モータの位相の相違によって発生する。
【0015】
例えば、パルス幅変調制御(PWM制御)によってモータに供給する電流を増減する場合であれば、モータには間欠的に電流が供給されることとなる。
そしてモータは、電流が供給されている瞬間(パルスがONの時)だけトルクを発生させ、パルスがOFFの時は惰性で回転している。
また、パルスがONの時の回転子と固定子の位置によって、発生するトルクは違う。
つまり、モータは、一見、同一の回転速度で回転している様に見えるが、微視的に観察すれば、脈動していると言える。
【0016】
そのため、2基のモータを強制的に同期回転させると、あるタイミングでは、第1モータがトルクを発生させて、第2モータを引っ張り、あるタイミングでは、第2モータがトルクを発生させて、第1モータを引っ張る。
また、2台のモータに掛かる電流値が等しい場合は、そのままの状態が維持され、また仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
【0017】
しかしながら、例えば、第1モータがトルクを発生させて、第2モータを引っ張っているタイミングに外乱が重なり、第1モータに掛かる電流値と第2モータに掛かる電流値の間に瞬間的に大きな開きができてしまうと、先に説明したのと同様の理由から、電流値のアンバランス量が次第に増大してしまう。
発散してしまう。
そして遂には、例えば第1モータに掛かる電流値が甚だしく大きくなり、第2モータに掛かる電流値は甚だしく小さくなる。すなわち、両者の電流は、発散してしまう。
【0018】
この問題に対処するため、本発明では、各回転数に応じて供給する電流に下限を設けており、外乱その他の理由によって、モータに供給される電流値に一時的に差が生じても、その差は、過度に大きくはならない。そのため、仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
なお、本発明のモータ制御システムによれば、各制御装置で個々にモータを制御するだけで、各モータ間に生じる回転数の差が拡がることを抑制できる。そのため、例えば、各制御装置を統括する上位制御装置が不要であり、簡素な構成でシステムを構築できる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、ローラ本体を有し、前記2以上のモータはローラ本体内に内蔵されていてモータ内蔵ローラを構成し、2以上のモータによってローラ本体を回転させるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システムである。
【0020】
本発明のモータ制御システムでは、2以上のモータがローラ本体内に内蔵されたモータ内蔵ローラを有している。モータ内蔵ローラは主にコンベアに用いられる装置である。コンベアは、様々な荷物を搬送可能な搬送装置であり、複数のコンベアを組み合わせることで、例えば大規模な搬送ラインを容易に構築できる。前述の通り、本発明のモータ制御システムは、各制御装置を統括する上位制御装置が不要であるため、大規模な搬送ラインにおいても簡素な構成でシステムを構築可能である。つまり、本発明は、コンベアの制御に好適である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記2以上のモータは、筒、ベルト、ワイヤーのいずれかを介して回転部が機械的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システムである。
【0022】
2以上のモータの回転部同士を連結可能なものの代表として、筒、ベルト、ワイヤーが挙げられる。例えば、モータ同士をシャフトで接続したものやベルトで懸架したもの、或いは並列に配置した各ローラにモータを直結させ且つローラ同士をワイヤーで一体的に接続したもの等、様々な機械システムが考えられる。本発明は、それらの各機械システムにも好適である。
【0023】
請求項4に記載の発明は、回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられる2以上のモータを個別に制御するものであり、モータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とする制御装置である。
【0024】
本発明の制御装置は、モータの回転数に応じて供給する電流に下限が設けられているため、先の説明と同様に、外乱その他の理由によって、モータに供給される電流値に一時的に差が生じても、その差は、過度に大きくはない。そのため仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
【0025】
請求項5に記載の発明は、前記2以上のモータに一対で配置されることを特徴とする請求項4に記載の制御装置である。
【0026】
本発明の制御装置は、2以上のモータに一対で配置されても構わない。
【0027】
請求項6に記載の発明は、モータ内蔵ローラとモータ内蔵ローラに内蔵されるモータを制御する制御装置との組み合わせであって、モータ内蔵ローラは単一のローラ本体の中に複数のモータが内蔵され、前記複数のモータによってローラ本体を回転させるものであり、前記制御装置は、複数のモータを個別に制御するものであって個々のモータが所定の回転数となる様に個々のモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ個々のモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせである。
【0028】
本発明の制御装置は、モータの回転数に応じて供給する電流に下限が設けられているため、先の説明と同様に、外乱その他の理由によって、モータに供給される電流値に一時的に差が生じても、その差は、過度に大きくはない。そのため仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
なお、モータ内蔵ローラは、主にコンベアに用いられる装置であり、本発明は、コンベアの制御に好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明のモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせによれば、2以上のモータが強制的に同期させられる場合において、各モータへの供給電流にアンバランスが生じても、収斂させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係るモータ制御システムを示すブロック図である。
【図2】モータ制御システムに使用されるコントローラとモータを示すブロック図である。
【図3】モータ制御システムに使用されるモータ内蔵ローラを示す断面図である。
【図4】コントローラに内蔵されるプログラムであり、モータ内蔵ローラを制御するためのフローチャートである。
【図5】モータ制御システムを備えたコンベアを示す平面図である。
【図6】図5のコンベアにおけるモータ制御システムの動作状態を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るモータ制御システムを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るモータ制御システムを示す平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るモータ制御システムを示す斜視図である。
【図10】図9のモータ制御システムに用いられる昇降ユニットを示す正面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るモータ制御システムを示すブロック図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係るモータ制御システムを備えた移載装置を示す平面図である。
【図13】移載装置が有するベルト駆動装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、本発明の実施形態に係るモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0032】
本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1は、図1に示すように、モータ内蔵ローラ2と、コントローラ(制御装置)6,7の組み合わせからなるものである。
モータ内蔵ローラ2は、ローラ本体3とモータ4,5を有している。
【0033】
詳述すると、図3に示すように、モータ内蔵ローラ2では、ローラ本体3内にモータ4,5が内蔵されている。モータ4,5は、後述する出力軸18(回転部)同士が向かい合って配置されている。
【0034】
ローラ本体3は長尺の円筒部材であり、モータ4,5を内蔵可能な程度の長さを有している。
【0035】
モータ4,5は、それぞれ、出力板10と、減速機11と、ブラシレスモータ12と、回転数検出手段13と、蓋部材14とを備えている。なお、モータ4,5は、略同一の構造であるため、構成部品については同一の符号を付している。
【0036】
出力板10は、減速機11の出力をローラ本体3に伝達するための接続部品である。
減速機11は、公知のギアであり、出力軸15を有している。
ブラシレスモータ12は、公知のDCブラシレスモータであり、ロータ18を内蔵している。また、ブラシレスモータ12は、出力軸12aと、ケーブル12b(給電線)と、コネクタ12cとを有している。
【0037】
回転数検出手段13は、モータの回転数を検出可能であり、ホールIC16で構成されている。なお、回転数検出手段13は、パルス出力が可能なロータリーエンコーダで構成しても構わない。
【0038】
蓋部材14は、軸受14aを内蔵しており、固定軸17を有している。蓋部材14は、固定軸17に対して相対的に回転可能である。
固定軸17は、中空構造であり、内部にブラシレスモータ12のケーブル12bが挿通されている。
【0039】
ここで、モータ4の組立構造について説明する。
ブラシレスモータ12の出力軸12aは、減速機11に接続されている。減速機11の出力軸15は、出力板10を介して、ローラ本体3に接続されている。換言すれば、減速機11の出力軸15は、ローラ本体3と一体化している。
蓋部材14は、ローラ本体3の一方の端部に嵌められている。
【0040】
このような組立構造とすることにより、ブラシレスモータ12の出力軸12aを回転させると、減速機11の出力軸15と一体化したローラ本体3が回転する。換言すれば、減速機11の出力軸15は、モータ4の出力軸18(回転部)をなすものである。モータ4の出力軸18を回転させると、ローラ本体3が回転する。この時、ローラ本体3は、固定軸17に対して相対的に回転する。
【0041】
一方、モータ5も、前述のモータ4の組立構造と略同一であり、モータ5を回転させるとローラ本体3が回転する。
なお、モータ5においては、蓋部材14は、ローラ本体3の他方の端部に嵌められている。
【0042】
つまり、モータ内蔵ローラ2では、モータ4,5は、出力軸18同士がローラ本体3を介して一体的に連結されている。その結果、モータ4,5は、強制的に同期運転するものである。
【0043】
コントローラ(制御装置)6は、図1,2に示すように、モータ4を制御可能なものである。コントローラ6は、モータを制御可能なドライバIC、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータやマイクロコントローラを有するものである。マイクロコントローラは、CPU(CPUコア)とメモリ(ROMやフラッシュメモリ等)、RAM、クロックジェネレータ等を有することが好ましい。
【0044】
コントローラ6は、図2に示すように、回転数認識部20と、モータ制御部21と、モータ制御部22とを有している。
なお、コントローラ7は、コントローラ6と同一の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0045】
回転数認識部20は、モータ4からの出力パルスを認識するものである。詳細には、回転数認識部20は、モータ4が有するホールIC16からの出力パルス数をカウントし、モータ4の回転方向を検知するものである。
【0046】
モータ制御部21は、回転数認識部20でカウントした出力パルス数から、モータ4の回転速度(以下、現速度と称する)を算出するものである。
【0047】
モータ制御部22は、モータ4の出力軸(回転部)18が所定の回転数となる様に、モータ4に供給する電流を増減させるものである。換言すれば、モータ4を設定した目標の速度(以下、設定速度と称する)で制御するものである。
また、モータ制御部22は、PWM(Pulse Width Modulation=パルス幅変調)制御が可能であり、モータ4に供給する電流のパルス波(以下、電流パルスと称する)を、下限値〜100%(デューティ比)の範囲で調整可能である。このPWMでは、表1に示すように、モータ4の回転数に応じて供給する電流パルスに下限が設定されている。
なお、表1においては、モータ4の回転数を、ローラ本体3の周速(m/min)で表記している。
【0048】
【表1】
【0049】
さらに、モータ制御部22は、図4に示すフローチャートに基づいて電流パルスを制御するものである。なお、フローチャートは、プログラムとしてモータ制御部22に内蔵されるものである。
【0050】
ここで、図4のフローチャートについて説明する。
ステップ1で、モータが設定速度となるように、モータを運転させる。
ステップ2で、モータの現速度を計算する。
ステップ3で、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を下回っていれば、ステップ4へ進み、それ以外はサブルーチンであるステップ8へ進む。
【0051】
ステップ4で、設定速度と現速度との差Xを求める。
ステップ5で、電流パルスに、ステップ4で求めた差Xと変換係数Tの積を足す。つまり、差Xと変換係数Tの積の分だけ、モータを加速させる。
なお、変換係数Tは、差Xを速度の単位から、電流パルスを示すデューティ比に変換するためのものであり、差Xに応じて設定されている(表2参照)。
【0052】
ステップ6では、電流パルスが下限値以上、100未満の範囲内にあるかを確認する。範囲内にあれば、ステップ7へ進み、範囲外にあればステップ13に進む。
ステップ7では、ステップ2へ戻る。つまり、ステップ2〜7にてループさせ、メインプログラムを実行させるものである。
【0053】
一方、サブルーチンであるステップ8では、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を上回っていれば、ステップ9へ進み、それ以外はステップ11へ進む。
ステップ9で、現速度と設定速度との差Yを求める。
ステップ10で、電流パルスから、ステップ9で求めた差Yと変換係数Tの積を引く。つまり、差Yと変換係数Tの積の分だけ減速させる。
なお、変換係数Tは、差Xと同様に、差Yに応じて設定されている(表2参照)。
そして、メインプログラムであるステップ6へ戻る。ステップ6以下は、前述の通りである。
【0054】
さらに、サブルーチンであるステップ8から分岐したステップ11では、モータの設定速度と現速度がイコールであることを確認し、ステップ12へ進む。
ステップ12では、電流パルスの値はそのままとし、メインプログラムであるステップ6へ戻る。
以上が図4のフローチャートに基づいたモータの電流パルスの制御内容である。
【0055】
【表2】
【0056】
つぎに、本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1を、図5に示すように、コンベア30に組み込み、動作させた状態について、図6のタイムチャートを用いて説明する。
なお、図5について簡単に説明すると、コンベア30は、モータ内蔵ローラ2と、動力を持たないフリーローラ33とが隙間を開けて並べられ、フレーム31,32に回動可能に取り付けられたものである。モータ内蔵ローラ2の両端部の近傍には、コントローラ6,7が配置され、それぞれローラ本体3に内蔵されたモータ4,5に接続されている。
【0057】
図6(a)は、モータ内蔵ローラ2の動作状態を示し、縦軸は現速度(m/min)、横軸は時間(s)を示している。モータ内蔵ローラ2の現速度は、モータ4,5がローラ本体3で連結されて一体的に回転するため、モータ4,5のどちらの出力パルスから算出しても構わない。一方、図6(b),(c)は、それぞれモータ4,5の動作状態を示し、縦軸は電流パルス(%)、横軸は時間(s)を示している。
【0058】
また、図6(a)〜(c)では、モータ内蔵ローラ2の速度変化に応じ、区間A〜Kに区分している。
なお、区間A〜Bは、無負荷運転であり、区間C〜Kは、負荷運転である。
【0059】
図6の区間Aでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ4,5が電流パルス50(%)で加速されている。
【0060】
図6の区間Bでは、モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転している。そのため、モータ4,5に供給される電流パルスは50(%)で維持されている。
【0061】
図6の区間Cでは、コンベアで荷物を搬送したことによって負荷が印加され、モータ内蔵ローラ2が減速している。
【0062】
図6の区間Dでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ4が電流パルス90(%)で加速されたが、オーバーシュートにより現速度70(m/min)まで達している。
一方、モータ5に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0063】
図6の区間Eでは、モータ4に供給される電流パルスが60(%)まで低下されることで、モータ内蔵ローラ2は、ピークの現速度70(m/min)から減速している。
一方、モータ5に供給される電流パルスは、下限値設定のため、50(%)のままである。
【0064】
図6の区間Fでは、モータ4に供給される電流パルスが50(%)まで低下されることで、アンダーシュートが生じ、モータ内蔵ローラ2は50(m/min)を切り、40(m/min)まで減速している。
【0065】
図6の区間Gでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ5が電流パルス60(%)で加速されている。
一方、モータ4に供給される電流パルスは、下限値設定のため、50(%)のままである。
【0066】
図6の区間Hでは、モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転しているため、モータ5に供給される電流パルスは、60(%)で維持されている。
一方、モータ4に供給される電流パルスは、下限値設定のため、50(%)のままである。
【0067】
図6の区間Iでは、外乱により、モータ内蔵ローラ2は50(m/min)を切り、40(m/min)まで減速している。
【0068】
図6の区間Jでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ4が電流パルス60(%)で加速され、モータ5が電流パルス70(%)で加速されている。
【0069】
図6の区間Kでは、モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転しているため、モータ4に供給される電流パルスは60(%)で維持され、モータ5に供給される電流パルスは70(%)で維持されている。
【0070】
ここで、前述の図6のタイムチャートについて、図4のフローチャート(以下、フローチャートと称する)に基づいて区間A〜K毎に説明していく。
【0071】
図6の区間Aは、フローチャートのステップ1に基づいた動作であり、モータ4,5が設定速度50(m/min)になるよう運転している。
【0072】
図6の区間Bは、フローチャートのステップ2,3,8,11経由ステップ7に基づいた動作である。
ステップ2で、現速度を計算して50(m/min)であることを求めている。
ステップ3で、現速度50(m/min)と設定速度の50(m/min)とを比較し、現速度が設定速度を下回っていないので、ステップ8へ進んでいる。
ステップ8で、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を上回っていないので、ステップ11へ進んでいる。
【0073】
ステップ11で、モータの設定速度と現速度がイコールであることを確認し、ステップ12へ進み、電流パルスの値はそのままとして、ステップ6へ戻っている。
ステップ6で、電流パルス50(%)が、表1の下限値である50(%)以上、100(%)未満の範囲内にあることを確認し、範囲内にあるので、ステップ7へ進み、ステップ2へ戻り、ループしている。
【0074】
図6の区間C〜Dは、フローチャートのステップ2〜7に基づいた動作である。
ステップ2で、現速度25(m/min)を求めている。
ステップ3で、現速度25(m/min)と設定速度50(m/min)とを比較し、現速度が設定速度を下回っているので、ステップ4へ進んでいる。
【0075】
ステップ4で、設定速度50(m/min)と現速度25(m/min)との差Xを求めている。差Xは、25(m/min)である。
ステップ5で、電流パルス50(%)に、ステップ4で求めた差X25(m/min)と表2の変換係数T1.6の積である40(%)を足す。つまり、電流パルス90(%)でモータ4を加速させている。一方、モータ5に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0076】
つまり、モータ4,5へ供給される電流は、アンバランスであり、一方のモータ5はモータ4から回される状態にある。マイナス負荷が加わった状態にあるモータ5は、通常であれば電流パルスが低下され、0(%)に至ることも考えられるが、電流パルスの下限値が設定されているため、モータ5に供給される電流パルスは50(%)で維持される。
なお、ステップ6以下の説明は省略する。
【0077】
図6の区間E〜Fは、フローチャートのステップ2,3,8経由ステップ7を2回ループした動作である。
1回目のループにおいて、ステップ2で、現速度70(m/min)を求めている。
ステップ3で、現速度70(m/min)と設定速度50(m/min)とを比較し、現速度が設定速度を下回っていないので、ステップ8へ進んでいる。
【0078】
ステップ8で、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を上回っているので、ステップ9へ進んでいる。
ステップ9で、現速度70(m/min)と設定速度50(m/min)との差Yを求めている。差Yは、20(m/min)である。
【0079】
ステップ10で、電流パルス90(%)から、ステップ9で求めた差Y20(m/min)と表2の変換係数T1.5の積である30(%)を引く。つまり、電流パルスを60(%)とすることで、モータ4を減速させている。一方、モータ5に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0080】
そして、2回目のループで、ステップ2,3,8,9で、現速度60(m/min)を求め、設定速度50(m/min)との差Y10(m/min)を求めている。
ステップ10で、電流パルス60(%)から、ステップ9で求めた差Y10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を引き、電流パルスを50(%)としている。
なお、ステップ6以下の説明は省略する。
【0081】
図6の区間G〜Hは、フローチャートのステップ2〜7に基づいた動作である。
ステップ2,3,4で、現速度40(m/min)を求め、設定速度50(m/min)との差X10(m/min)を求めている。
ステップ5で、電流パルス50(%)に、ステップ4で求めた差X10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を足す。つまり、電流パルス60(%)でモータ5を加速させている。なお、ステップ6以下の説明は省略する。
一方、モータ4に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0082】
図6の区間I〜Kは、フローチャートのステップ2〜7に基づいた動作である。
ステップ2,3,4で、現速度40(m/min)を求め、設定速度50(m/min)との差X10(m/min)を求めている。
この差X10(m/min)は、ステップ5以下において、モータ4,5でそれぞれ反映されている。
【0083】
モータ4では、電流パルス50(%)に、差X10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を足す。つまり、電流パルス60(%)でモータ4を加速させている。
一方、モータ5では、電流パルス60(%)に、差X10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を足す。つまり、電流パルス70(%)でモータ5を加速させている。
モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転しており、設定速度と同一となっている。
【0084】
前述の通り、区間Cで負荷が印加されて以降、モータ4,5へ供給される電流にアンバランスが生じたが、その差は、過度に大きくはならなかった。さらに、区間Iで外乱によるモータ内蔵ローラ2の減速もあったが、最終的に、モータ4へ供給される電流パルスは60(%)、モータ5へ供給される電流パルスは70(%)となり、ほぼ同一の電流量となった。
【0085】
以上の説明の通り、本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1、コントローラ(制御装置)6,7、並びにモータ内蔵ローラ2とコントローラ(制御装置)6,7の組み合わせによれば、モータ4,5が強制的に同期させられる場合において、モータ4,5へ供給する電流パルスに下限値を設けたことにより、時間の経過と共に、モータ4,5へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができた。
【0086】
なお、本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1、コントローラ(制御装置)6,7、並びにモータ内蔵ローラ2とコントローラ(制御装置)6,7の組み合わせは、図12,13に示す移載装置(RAT)100で好適に用いられるものである。
【0087】
図12,13に示す移載装置100は、ローラコンベア101と、コンベアのローラの間に配置されるベルト駆動装置102とを有している。移載装置100は、ベルト駆動装置102を、ローラとローラの間から上方へ突出させることで、ローラコンベア101上にある荷物等の搬送方向を、ローラの方向と直交する方向へと転換可能なものである。
【0088】
ベルト駆動装置102は、コンベアを流れてくる搬送物の方向を急激に転換することが求められるため、大きな出力が必要であり、モータを2つ備えたモータ内蔵ローラ2が好適である。
また、ローラコンベア101上を流れる搬送物の位置にはバラツキがあり、ベルト駆動装置102で搬送物の方向を急激に転換する際に、モータ4,5へ供給される電流のアンバランスが生じ易く、さらに、搬送物から外乱を受け易い。そのため、モータ制御システム1、コントローラ(制御装置)6,7、並びにモータ内蔵ローラ2とコントローラ(制御装置)6,7の組み合わせは、移載装置100で好適に用いられる。
【0089】
上記のモータ制御システム1では、ローラ本体3にモータ4,5を内蔵した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示す本発明の第2実施形態に係るモータ制御システム40でも構わない。
【0090】
図7に示すように、モータ制御システム40は、モータ41,42と、シャフト4,5と、コントローラ6,7とを有している。なお、モータ制御システム1と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0091】
モータ41,42は、出力軸43,44同士が、シャフト4,5で一体的に連結されている。そのため、モータ41,42は、強制的に同期運転するものである。
【0092】
モータ制御システム40は、前述のモータ制御システム1のようにローラ本体3にモータ4,5を内蔵した構成とは若干異なるものであるが、出力軸43,44同士が機械的に連結されているという点で一致している。そのため、モータ制御システム40は、モータ制御システム1と同様に、モータ41,42をコントローラ6,7で制御可能であり、モータ41,42へ供給する電流パルスに下限値を設けることにより、モータ41,42へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができる。
【0093】
上記のモータ制御システム1では、1本のローラ本体3でモータ4,5を連結した例を示し、モータ制御システム40では、1本のシャフト4,5でモータ41,42を連結した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示す本発明の第3実施形態に係るモータ制御システム50でも構わない。
【0094】
図8に示すように、モータ制御システム50は、モータ4,5と、コントローラ6,7とを有している。これらは、モータ制御システム1と同一の構成であり、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
モータ制御システム50は、コンベア54に設けられている。コンベア54は、ローラ本体51,52と、動力を持たないフリーローラ53とが隙間を開けて並べられ、フレーム55,56に回動可能に取り付けられたものである。ローラ本体51,52には、それぞれモータ4,5が内蔵されている。モータ4,5には、それぞれコントローラ6,7が接続されている。
なお、モータ4,5は、それぞれローラ本体51,52を回転可能なように、出力軸18が出力板10を介してローラ本体51,52に接続されている。
【0096】
ローラ本体51,52と、フリーローラ53において、隣接するもの同士は、ベルト57が懸架されている。換言すれば、ローラ本体51,52と、フリーローラ53とは、ベルト57によって一体的に連結されている。そのため、ローラ本体51,52に内蔵されたモータ4,5も、一体的に連結されており、強制的に同期運転するものである。すなわち、コンベア54に設けられたモータ制御システム50においても、モータ4,5の出力軸18が機械的に連結されているため、モータ制御システム1,40と同様に、モータ4,5へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができる。
【0097】
上記のモータ制御システム50では、2本のローラ本体51,52と、1本のベルト57で、モータ4,5を連結した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示す本発明の第4実施形態に係るモータ制御システム60でも構わない。
【0098】
図9に示すように、モータ制御システム60は、モータ61,62と、コントローラ6,7とを有している。これらは、モータ制御システム1と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
モータ制御システム60は、昇降装置63に設けられている。昇降装置63は、一対の門柱フレーム64,65と、昇降台66とを有している。門柱フレーム64,65は、対向配置されるものであり、両者は昇降台66で連結されている。
なお、昇降台66は、門柱フレーム64,65に設けられたブラケット73に接続されている。
【0100】
門柱フレーム64,65は、図10に示すように、それぞれ柱部67,68と、モータ台69とを有している。柱部67,68は、所定の間隔を空けて配置されており、両者はモータ台69で連結されている。
【0101】
柱部67,68は、それぞれ内部に上部側プーリー列70と、下部側プーリー列71と、直線レール72が設けられている。そして各プーリー列にワイヤー(線状動力伝動部材)18が巻回されている。なお、直線レール72は、ガイド部材である。
【0102】
柱部67,68に内蔵されている上部側プーリー列70,70には、軸80が挿通されており、両者は軸80によって一体的に回転するように連結されている。
軸80は、スプロケット78を有している。スプロケット78には、チェーン79が掛けられている。
【0103】
モータ台69には、モータ61(62)が取り付けられている。モータ61(62)の出力軸76には、スプロケット77が装着されている。スプロケット77には、チェーン79が掛けられている。
モータ61(62)は、チェーン79を介して軸80と一体的に連結されている。
なお、モータ61(62)には、コントローラ6(7)が接続されている。
【0104】
上部側プーリー列70と下部側プーリー列71との間には、ブラケット73が配置されている。ブラケット73は、上下にプーリー74,75を有している。プーリー74,75には、ワイヤー81が掛けられている。
ブラケット73は、上部側プーリー列70の回転によって巻かれたワイヤー81に合わせて昇降するものである。
【0105】
前述の通り、ブラケット73には、昇降台66が取り付けられる。すなわち、昇降装置63において、モータ61,62は、それぞれチェーン79と軸80、上部側プーリー列70、ワイヤー81、ブラケット73、昇降台66を介して、一体的に連結されており、強制的に同期運転するものである。
簡単に説明すれば、昇降台66は、モータ61,62の回転力によってワイヤー81が上下動することで、昇降するものである。
すなわち、昇降装置63に設けられたモータ制御システム60においても、モータ制御システム50と同様に、モータ61,62へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができる。
【0106】
つぎに、本発明の第5実施形態に係るモータ制御システム90について説明する。
図11は、モータ制御システム90を示すブロック図である。モータ制御システム90は、モータ内蔵ローラ2と、コントローラ91を有するものである。コントローラ91は、モータ制御システム1におけるコントローラ6,7を一体化して1台にまとめたものであり、モータ内蔵ローラ2に内蔵されたモータ4,5を個々に制御できるものである。
すなわち、コントローラ6,7の代わりに、コントローラ91を用いても構わない。
【0107】
上記実施形態では、モータへの電流パルスの下限値(デューティ比)は、表1に示したように整数としたが、本発明はこれに限定されることはなく、任意に設定可能である。
また、電流パルスの下限値は、表1に示したように、設定速度の範囲毎に割り付けしたが、本発明はこれに限定されることはなく、設定速度の範囲についても任意に設定可能である。
【0108】
上記実施形態では、設定速度と現速度との差を求め、電流パルスに対して増減する際に、表2に示した変換係数Tを用いたが、本発明はこれに限定されることはなく、任意に設定可能である。或いは、変換係数Tを用いず、直接的に電流パルスを操作するコマンド等を用意しても構わない。
【符号の説明】
【0109】
1,40,50,60,90 モータ制御システム
2 モータ内蔵ローラ
3 ローラ本体(筒)
4,5,41,42,61,62 モータ
6,7 コントローラ(制御装置)
18,43,44,76 出力軸(回転部)
57 ベルト
81 ワイヤー
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせに関し、さらに詳細には、2以上のモータを制御するものであって、2以上のモータの回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるモータの制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの能力を表す仕事率は、モータ容量やモータ出力とも言われ、一般的に、数値が大きくなるとモータ自体の体積も大きくなる傾向にある。そのため、全体の大きさに制限がある装置においては、小型のモータを複数接続することで、所望する機械出力を得る場合がある。その一例として、特許文献1には、2つのモータを内蔵した自動車用の電動腰掛シートが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の自動車用の電動腰掛シートでは、制限された空間内に小型のモータを2つ内蔵し、各モータの出力軸を連結シャフトで一体連結することで、各モータ間の回転を強制的に同期させ、高出力を確保している。そのため、複数人が座れるリアシートに用いた場合でも、出力不足となることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−33933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、2基以上のモータの回転部を機械的に連結して強制的に同期回転させ、且つモータが個々に一定回転で回転する様にモータに供給する電流を増減させると、どうしても各モータに供給される電流がアンバランスになる。そして時間の経過と共に、アンバランス量が増大してゆくこととなり、例えばあるモータの電流量が増大したまま長期間続くと、モータが損傷し、寿命の低下を招いてしまう。
【0006】
上記した現状に鑑み、本発明は、2以上のモータが強制的に同期させられる場合において、各モータへの供給電流のアンバランスを抑制可能なモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、2以上のモータを制御するモータ制御システムであって、前記2以上のモータは回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるものであり、前記2以上のモータは個々に制御装置を有し、前記制御装置はいずれもモータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ前記制御装置にはいずれもモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ制御システムである。
【0008】
本発明のモータ制御システムでは、各制御装置には、モータの回転数に応じて供給する電流に下限が設けられている。
ここで、2基以上のモータの回転部を機械的に連結し、強制的に同期回転させた場合にモータへの供給電流がアンバランスとなる理由は、次の通りである。例えば、2基のモータ(第1モータと第2モータ)の回転部を機械的に連結して強制的に同期回転させる場合を想定する。
【0009】
第1モータと第2モータは、いずれも設定の回転数となる様に個別に電流が増減される。しかしながら、2基のモータに同時に通電を開始した場合、モータの回転の立ち上がり曲線が全く一致することは稀であり、一方が早く、一方が遅れる。例えば第1モータが先に立ち上がり、やや遅れて第1モータが立ち上がる。
【0010】
また第1モータと第2モータは、機械的に連結されていて、常に同期的に回転するから、第1モータの回転立ち上がりが第2モータに比べて速い場合、第2モータが第1モータに引っ張られることとなる。即ち第1モータに掛かる負荷が大きく、第2モータに掛かる負荷が小さい。
【0011】
そうして第1モータと第2モータは、共に設定の回転数に至るが、第1モータに掛かる負荷が大きく、第1モータは強制的に減速される方向に力が掛かっていたので、制御装置はこれを是正するために、電流値を上げようとする。即ち第1モータは僅かに自己の設定回転数よりも低く回転されることとなり、これがフィードバックされて回転数を上昇すべく電流値を上げようとする。
【0012】
一方、第2モータは、掛かる負荷が小さく、第2モータは強制的に増速される方向に力が掛かっていたので、制御装置はこれを是正するために、電流値を下げようとする。即ち第2モータは僅かに自己の設定回転数よりも早く回転されることとなり、これがフィードバックされて回転数を降下すべく電流値を下げようとする。
【0013】
そのため第1モータに掛かる電流値が高く、第2モータに掛かる電流値は低くなる。
そうすると、第1モータはますます増速傾向となり、第1モータを引っ張るからますます負荷が増す。そのためこれを是正せんと、ますます電流値が増加してゆく。
逆に第2モータに掛かる電流値はますます低くなる。
そして遂には、第1モータに掛かる電流値が甚だしく大きくなり、第2モータに掛かる電流値は甚だしく小さくなる。
【0014】
以上は、モータの立ち上がりがアンバランスであった場合について説明したが、第1モータと第2モータが設定回転数で回転し、かつ両者の電流値が同一であった場合であっても、時間の経過と共に、両者に掛かる電流値がアンバランスになる場合がある。またこの場合であっても、アンバランス量は次第に増大する傾向となる。
この現象は、モータの位相の相違によって発生する。
【0015】
例えば、パルス幅変調制御(PWM制御)によってモータに供給する電流を増減する場合であれば、モータには間欠的に電流が供給されることとなる。
そしてモータは、電流が供給されている瞬間(パルスがONの時)だけトルクを発生させ、パルスがOFFの時は惰性で回転している。
また、パルスがONの時の回転子と固定子の位置によって、発生するトルクは違う。
つまり、モータは、一見、同一の回転速度で回転している様に見えるが、微視的に観察すれば、脈動していると言える。
【0016】
そのため、2基のモータを強制的に同期回転させると、あるタイミングでは、第1モータがトルクを発生させて、第2モータを引っ張り、あるタイミングでは、第2モータがトルクを発生させて、第1モータを引っ張る。
また、2台のモータに掛かる電流値が等しい場合は、そのままの状態が維持され、また仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
【0017】
しかしながら、例えば、第1モータがトルクを発生させて、第2モータを引っ張っているタイミングに外乱が重なり、第1モータに掛かる電流値と第2モータに掛かる電流値の間に瞬間的に大きな開きができてしまうと、先に説明したのと同様の理由から、電流値のアンバランス量が次第に増大してしまう。
発散してしまう。
そして遂には、例えば第1モータに掛かる電流値が甚だしく大きくなり、第2モータに掛かる電流値は甚だしく小さくなる。すなわち、両者の電流は、発散してしまう。
【0018】
この問題に対処するため、本発明では、各回転数に応じて供給する電流に下限を設けており、外乱その他の理由によって、モータに供給される電流値に一時的に差が生じても、その差は、過度に大きくはならない。そのため、仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
なお、本発明のモータ制御システムによれば、各制御装置で個々にモータを制御するだけで、各モータ間に生じる回転数の差が拡がることを抑制できる。そのため、例えば、各制御装置を統括する上位制御装置が不要であり、簡素な構成でシステムを構築できる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、ローラ本体を有し、前記2以上のモータはローラ本体内に内蔵されていてモータ内蔵ローラを構成し、2以上のモータによってローラ本体を回転させるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システムである。
【0020】
本発明のモータ制御システムでは、2以上のモータがローラ本体内に内蔵されたモータ内蔵ローラを有している。モータ内蔵ローラは主にコンベアに用いられる装置である。コンベアは、様々な荷物を搬送可能な搬送装置であり、複数のコンベアを組み合わせることで、例えば大規模な搬送ラインを容易に構築できる。前述の通り、本発明のモータ制御システムは、各制御装置を統括する上位制御装置が不要であるため、大規模な搬送ラインにおいても簡素な構成でシステムを構築可能である。つまり、本発明は、コンベアの制御に好適である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記2以上のモータは、筒、ベルト、ワイヤーのいずれかを介して回転部が機械的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システムである。
【0022】
2以上のモータの回転部同士を連結可能なものの代表として、筒、ベルト、ワイヤーが挙げられる。例えば、モータ同士をシャフトで接続したものやベルトで懸架したもの、或いは並列に配置した各ローラにモータを直結させ且つローラ同士をワイヤーで一体的に接続したもの等、様々な機械システムが考えられる。本発明は、それらの各機械システムにも好適である。
【0023】
請求項4に記載の発明は、回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられる2以上のモータを個別に制御するものであり、モータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とする制御装置である。
【0024】
本発明の制御装置は、モータの回転数に応じて供給する電流に下限が設けられているため、先の説明と同様に、外乱その他の理由によって、モータに供給される電流値に一時的に差が生じても、その差は、過度に大きくはない。そのため仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
【0025】
請求項5に記載の発明は、前記2以上のモータに一対で配置されることを特徴とする請求項4に記載の制御装置である。
【0026】
本発明の制御装置は、2以上のモータに一対で配置されても構わない。
【0027】
請求項6に記載の発明は、モータ内蔵ローラとモータ内蔵ローラに内蔵されるモータを制御する制御装置との組み合わせであって、モータ内蔵ローラは単一のローラ本体の中に複数のモータが内蔵され、前記複数のモータによってローラ本体を回転させるものであり、前記制御装置は、複数のモータを個別に制御するものであって個々のモータが所定の回転数となる様に個々のモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ個々のモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせである。
【0028】
本発明の制御装置は、モータの回転数に応じて供給する電流に下限が設けられているため、先の説明と同様に、外乱その他の理由によって、モータに供給される電流値に一時的に差が生じても、その差は、過度に大きくはない。そのため仮に2台のモータに掛かる電流値が一時的にアンバランスになっても、時間の経過と共に両者の差は収斂してゆく。
なお、モータ内蔵ローラは、主にコンベアに用いられる装置であり、本発明は、コンベアの制御に好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明のモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせによれば、2以上のモータが強制的に同期させられる場合において、各モータへの供給電流にアンバランスが生じても、収斂させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係るモータ制御システムを示すブロック図である。
【図2】モータ制御システムに使用されるコントローラとモータを示すブロック図である。
【図3】モータ制御システムに使用されるモータ内蔵ローラを示す断面図である。
【図4】コントローラに内蔵されるプログラムであり、モータ内蔵ローラを制御するためのフローチャートである。
【図5】モータ制御システムを備えたコンベアを示す平面図である。
【図6】図5のコンベアにおけるモータ制御システムの動作状態を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るモータ制御システムを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るモータ制御システムを示す平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るモータ制御システムを示す斜視図である。
【図10】図9のモータ制御システムに用いられる昇降ユニットを示す正面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るモータ制御システムを示すブロック図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係るモータ制御システムを備えた移載装置を示す平面図である。
【図13】移載装置が有するベルト駆動装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、本発明の実施形態に係るモータ制御システム、制御装置、並びにモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0032】
本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1は、図1に示すように、モータ内蔵ローラ2と、コントローラ(制御装置)6,7の組み合わせからなるものである。
モータ内蔵ローラ2は、ローラ本体3とモータ4,5を有している。
【0033】
詳述すると、図3に示すように、モータ内蔵ローラ2では、ローラ本体3内にモータ4,5が内蔵されている。モータ4,5は、後述する出力軸18(回転部)同士が向かい合って配置されている。
【0034】
ローラ本体3は長尺の円筒部材であり、モータ4,5を内蔵可能な程度の長さを有している。
【0035】
モータ4,5は、それぞれ、出力板10と、減速機11と、ブラシレスモータ12と、回転数検出手段13と、蓋部材14とを備えている。なお、モータ4,5は、略同一の構造であるため、構成部品については同一の符号を付している。
【0036】
出力板10は、減速機11の出力をローラ本体3に伝達するための接続部品である。
減速機11は、公知のギアであり、出力軸15を有している。
ブラシレスモータ12は、公知のDCブラシレスモータであり、ロータ18を内蔵している。また、ブラシレスモータ12は、出力軸12aと、ケーブル12b(給電線)と、コネクタ12cとを有している。
【0037】
回転数検出手段13は、モータの回転数を検出可能であり、ホールIC16で構成されている。なお、回転数検出手段13は、パルス出力が可能なロータリーエンコーダで構成しても構わない。
【0038】
蓋部材14は、軸受14aを内蔵しており、固定軸17を有している。蓋部材14は、固定軸17に対して相対的に回転可能である。
固定軸17は、中空構造であり、内部にブラシレスモータ12のケーブル12bが挿通されている。
【0039】
ここで、モータ4の組立構造について説明する。
ブラシレスモータ12の出力軸12aは、減速機11に接続されている。減速機11の出力軸15は、出力板10を介して、ローラ本体3に接続されている。換言すれば、減速機11の出力軸15は、ローラ本体3と一体化している。
蓋部材14は、ローラ本体3の一方の端部に嵌められている。
【0040】
このような組立構造とすることにより、ブラシレスモータ12の出力軸12aを回転させると、減速機11の出力軸15と一体化したローラ本体3が回転する。換言すれば、減速機11の出力軸15は、モータ4の出力軸18(回転部)をなすものである。モータ4の出力軸18を回転させると、ローラ本体3が回転する。この時、ローラ本体3は、固定軸17に対して相対的に回転する。
【0041】
一方、モータ5も、前述のモータ4の組立構造と略同一であり、モータ5を回転させるとローラ本体3が回転する。
なお、モータ5においては、蓋部材14は、ローラ本体3の他方の端部に嵌められている。
【0042】
つまり、モータ内蔵ローラ2では、モータ4,5は、出力軸18同士がローラ本体3を介して一体的に連結されている。その結果、モータ4,5は、強制的に同期運転するものである。
【0043】
コントローラ(制御装置)6は、図1,2に示すように、モータ4を制御可能なものである。コントローラ6は、モータを制御可能なドライバIC、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータやマイクロコントローラを有するものである。マイクロコントローラは、CPU(CPUコア)とメモリ(ROMやフラッシュメモリ等)、RAM、クロックジェネレータ等を有することが好ましい。
【0044】
コントローラ6は、図2に示すように、回転数認識部20と、モータ制御部21と、モータ制御部22とを有している。
なお、コントローラ7は、コントローラ6と同一の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0045】
回転数認識部20は、モータ4からの出力パルスを認識するものである。詳細には、回転数認識部20は、モータ4が有するホールIC16からの出力パルス数をカウントし、モータ4の回転方向を検知するものである。
【0046】
モータ制御部21は、回転数認識部20でカウントした出力パルス数から、モータ4の回転速度(以下、現速度と称する)を算出するものである。
【0047】
モータ制御部22は、モータ4の出力軸(回転部)18が所定の回転数となる様に、モータ4に供給する電流を増減させるものである。換言すれば、モータ4を設定した目標の速度(以下、設定速度と称する)で制御するものである。
また、モータ制御部22は、PWM(Pulse Width Modulation=パルス幅変調)制御が可能であり、モータ4に供給する電流のパルス波(以下、電流パルスと称する)を、下限値〜100%(デューティ比)の範囲で調整可能である。このPWMでは、表1に示すように、モータ4の回転数に応じて供給する電流パルスに下限が設定されている。
なお、表1においては、モータ4の回転数を、ローラ本体3の周速(m/min)で表記している。
【0048】
【表1】
【0049】
さらに、モータ制御部22は、図4に示すフローチャートに基づいて電流パルスを制御するものである。なお、フローチャートは、プログラムとしてモータ制御部22に内蔵されるものである。
【0050】
ここで、図4のフローチャートについて説明する。
ステップ1で、モータが設定速度となるように、モータを運転させる。
ステップ2で、モータの現速度を計算する。
ステップ3で、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を下回っていれば、ステップ4へ進み、それ以外はサブルーチンであるステップ8へ進む。
【0051】
ステップ4で、設定速度と現速度との差Xを求める。
ステップ5で、電流パルスに、ステップ4で求めた差Xと変換係数Tの積を足す。つまり、差Xと変換係数Tの積の分だけ、モータを加速させる。
なお、変換係数Tは、差Xを速度の単位から、電流パルスを示すデューティ比に変換するためのものであり、差Xに応じて設定されている(表2参照)。
【0052】
ステップ6では、電流パルスが下限値以上、100未満の範囲内にあるかを確認する。範囲内にあれば、ステップ7へ進み、範囲外にあればステップ13に進む。
ステップ7では、ステップ2へ戻る。つまり、ステップ2〜7にてループさせ、メインプログラムを実行させるものである。
【0053】
一方、サブルーチンであるステップ8では、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を上回っていれば、ステップ9へ進み、それ以外はステップ11へ進む。
ステップ9で、現速度と設定速度との差Yを求める。
ステップ10で、電流パルスから、ステップ9で求めた差Yと変換係数Tの積を引く。つまり、差Yと変換係数Tの積の分だけ減速させる。
なお、変換係数Tは、差Xと同様に、差Yに応じて設定されている(表2参照)。
そして、メインプログラムであるステップ6へ戻る。ステップ6以下は、前述の通りである。
【0054】
さらに、サブルーチンであるステップ8から分岐したステップ11では、モータの設定速度と現速度がイコールであることを確認し、ステップ12へ進む。
ステップ12では、電流パルスの値はそのままとし、メインプログラムであるステップ6へ戻る。
以上が図4のフローチャートに基づいたモータの電流パルスの制御内容である。
【0055】
【表2】
【0056】
つぎに、本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1を、図5に示すように、コンベア30に組み込み、動作させた状態について、図6のタイムチャートを用いて説明する。
なお、図5について簡単に説明すると、コンベア30は、モータ内蔵ローラ2と、動力を持たないフリーローラ33とが隙間を開けて並べられ、フレーム31,32に回動可能に取り付けられたものである。モータ内蔵ローラ2の両端部の近傍には、コントローラ6,7が配置され、それぞれローラ本体3に内蔵されたモータ4,5に接続されている。
【0057】
図6(a)は、モータ内蔵ローラ2の動作状態を示し、縦軸は現速度(m/min)、横軸は時間(s)を示している。モータ内蔵ローラ2の現速度は、モータ4,5がローラ本体3で連結されて一体的に回転するため、モータ4,5のどちらの出力パルスから算出しても構わない。一方、図6(b),(c)は、それぞれモータ4,5の動作状態を示し、縦軸は電流パルス(%)、横軸は時間(s)を示している。
【0058】
また、図6(a)〜(c)では、モータ内蔵ローラ2の速度変化に応じ、区間A〜Kに区分している。
なお、区間A〜Bは、無負荷運転であり、区間C〜Kは、負荷運転である。
【0059】
図6の区間Aでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ4,5が電流パルス50(%)で加速されている。
【0060】
図6の区間Bでは、モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転している。そのため、モータ4,5に供給される電流パルスは50(%)で維持されている。
【0061】
図6の区間Cでは、コンベアで荷物を搬送したことによって負荷が印加され、モータ内蔵ローラ2が減速している。
【0062】
図6の区間Dでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ4が電流パルス90(%)で加速されたが、オーバーシュートにより現速度70(m/min)まで達している。
一方、モータ5に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0063】
図6の区間Eでは、モータ4に供給される電流パルスが60(%)まで低下されることで、モータ内蔵ローラ2は、ピークの現速度70(m/min)から減速している。
一方、モータ5に供給される電流パルスは、下限値設定のため、50(%)のままである。
【0064】
図6の区間Fでは、モータ4に供給される電流パルスが50(%)まで低下されることで、アンダーシュートが生じ、モータ内蔵ローラ2は50(m/min)を切り、40(m/min)まで減速している。
【0065】
図6の区間Gでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ5が電流パルス60(%)で加速されている。
一方、モータ4に供給される電流パルスは、下限値設定のため、50(%)のままである。
【0066】
図6の区間Hでは、モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転しているため、モータ5に供給される電流パルスは、60(%)で維持されている。
一方、モータ4に供給される電流パルスは、下限値設定のため、50(%)のままである。
【0067】
図6の区間Iでは、外乱により、モータ内蔵ローラ2は50(m/min)を切り、40(m/min)まで減速している。
【0068】
図6の区間Jでは、モータ内蔵ローラ2が設定速度50(m/min)になるよう、モータ4が電流パルス60(%)で加速され、モータ5が電流パルス70(%)で加速されている。
【0069】
図6の区間Kでは、モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転しているため、モータ4に供給される電流パルスは60(%)で維持され、モータ5に供給される電流パルスは70(%)で維持されている。
【0070】
ここで、前述の図6のタイムチャートについて、図4のフローチャート(以下、フローチャートと称する)に基づいて区間A〜K毎に説明していく。
【0071】
図6の区間Aは、フローチャートのステップ1に基づいた動作であり、モータ4,5が設定速度50(m/min)になるよう運転している。
【0072】
図6の区間Bは、フローチャートのステップ2,3,8,11経由ステップ7に基づいた動作である。
ステップ2で、現速度を計算して50(m/min)であることを求めている。
ステップ3で、現速度50(m/min)と設定速度の50(m/min)とを比較し、現速度が設定速度を下回っていないので、ステップ8へ進んでいる。
ステップ8で、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を上回っていないので、ステップ11へ進んでいる。
【0073】
ステップ11で、モータの設定速度と現速度がイコールであることを確認し、ステップ12へ進み、電流パルスの値はそのままとして、ステップ6へ戻っている。
ステップ6で、電流パルス50(%)が、表1の下限値である50(%)以上、100(%)未満の範囲内にあることを確認し、範囲内にあるので、ステップ7へ進み、ステップ2へ戻り、ループしている。
【0074】
図6の区間C〜Dは、フローチャートのステップ2〜7に基づいた動作である。
ステップ2で、現速度25(m/min)を求めている。
ステップ3で、現速度25(m/min)と設定速度50(m/min)とを比較し、現速度が設定速度を下回っているので、ステップ4へ進んでいる。
【0075】
ステップ4で、設定速度50(m/min)と現速度25(m/min)との差Xを求めている。差Xは、25(m/min)である。
ステップ5で、電流パルス50(%)に、ステップ4で求めた差X25(m/min)と表2の変換係数T1.6の積である40(%)を足す。つまり、電流パルス90(%)でモータ4を加速させている。一方、モータ5に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0076】
つまり、モータ4,5へ供給される電流は、アンバランスであり、一方のモータ5はモータ4から回される状態にある。マイナス負荷が加わった状態にあるモータ5は、通常であれば電流パルスが低下され、0(%)に至ることも考えられるが、電流パルスの下限値が設定されているため、モータ5に供給される電流パルスは50(%)で維持される。
なお、ステップ6以下の説明は省略する。
【0077】
図6の区間E〜Fは、フローチャートのステップ2,3,8経由ステップ7を2回ループした動作である。
1回目のループにおいて、ステップ2で、現速度70(m/min)を求めている。
ステップ3で、現速度70(m/min)と設定速度50(m/min)とを比較し、現速度が設定速度を下回っていないので、ステップ8へ進んでいる。
【0078】
ステップ8で、モータの設定速度と現速度とを比較し、現速度が設定速度を上回っているので、ステップ9へ進んでいる。
ステップ9で、現速度70(m/min)と設定速度50(m/min)との差Yを求めている。差Yは、20(m/min)である。
【0079】
ステップ10で、電流パルス90(%)から、ステップ9で求めた差Y20(m/min)と表2の変換係数T1.5の積である30(%)を引く。つまり、電流パルスを60(%)とすることで、モータ4を減速させている。一方、モータ5に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0080】
そして、2回目のループで、ステップ2,3,8,9で、現速度60(m/min)を求め、設定速度50(m/min)との差Y10(m/min)を求めている。
ステップ10で、電流パルス60(%)から、ステップ9で求めた差Y10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を引き、電流パルスを50(%)としている。
なお、ステップ6以下の説明は省略する。
【0081】
図6の区間G〜Hは、フローチャートのステップ2〜7に基づいた動作である。
ステップ2,3,4で、現速度40(m/min)を求め、設定速度50(m/min)との差X10(m/min)を求めている。
ステップ5で、電流パルス50(%)に、ステップ4で求めた差X10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を足す。つまり、電流パルス60(%)でモータ5を加速させている。なお、ステップ6以下の説明は省略する。
一方、モータ4に供給される電流パルスは50(%)のままである。
【0082】
図6の区間I〜Kは、フローチャートのステップ2〜7に基づいた動作である。
ステップ2,3,4で、現速度40(m/min)を求め、設定速度50(m/min)との差X10(m/min)を求めている。
この差X10(m/min)は、ステップ5以下において、モータ4,5でそれぞれ反映されている。
【0083】
モータ4では、電流パルス50(%)に、差X10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を足す。つまり、電流パルス60(%)でモータ4を加速させている。
一方、モータ5では、電流パルス60(%)に、差X10(m/min)と表2の変換係数T1.0の積である10(%)を足す。つまり、電流パルス70(%)でモータ5を加速させている。
モータ内蔵ローラ2は、現速度50(m/min)で回転しており、設定速度と同一となっている。
【0084】
前述の通り、区間Cで負荷が印加されて以降、モータ4,5へ供給される電流にアンバランスが生じたが、その差は、過度に大きくはならなかった。さらに、区間Iで外乱によるモータ内蔵ローラ2の減速もあったが、最終的に、モータ4へ供給される電流パルスは60(%)、モータ5へ供給される電流パルスは70(%)となり、ほぼ同一の電流量となった。
【0085】
以上の説明の通り、本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1、コントローラ(制御装置)6,7、並びにモータ内蔵ローラ2とコントローラ(制御装置)6,7の組み合わせによれば、モータ4,5が強制的に同期させられる場合において、モータ4,5へ供給する電流パルスに下限値を設けたことにより、時間の経過と共に、モータ4,5へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができた。
【0086】
なお、本発明の第1実施形態に係るモータ制御システム1、コントローラ(制御装置)6,7、並びにモータ内蔵ローラ2とコントローラ(制御装置)6,7の組み合わせは、図12,13に示す移載装置(RAT)100で好適に用いられるものである。
【0087】
図12,13に示す移載装置100は、ローラコンベア101と、コンベアのローラの間に配置されるベルト駆動装置102とを有している。移載装置100は、ベルト駆動装置102を、ローラとローラの間から上方へ突出させることで、ローラコンベア101上にある荷物等の搬送方向を、ローラの方向と直交する方向へと転換可能なものである。
【0088】
ベルト駆動装置102は、コンベアを流れてくる搬送物の方向を急激に転換することが求められるため、大きな出力が必要であり、モータを2つ備えたモータ内蔵ローラ2が好適である。
また、ローラコンベア101上を流れる搬送物の位置にはバラツキがあり、ベルト駆動装置102で搬送物の方向を急激に転換する際に、モータ4,5へ供給される電流のアンバランスが生じ易く、さらに、搬送物から外乱を受け易い。そのため、モータ制御システム1、コントローラ(制御装置)6,7、並びにモータ内蔵ローラ2とコントローラ(制御装置)6,7の組み合わせは、移載装置100で好適に用いられる。
【0089】
上記のモータ制御システム1では、ローラ本体3にモータ4,5を内蔵した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示す本発明の第2実施形態に係るモータ制御システム40でも構わない。
【0090】
図7に示すように、モータ制御システム40は、モータ41,42と、シャフト4,5と、コントローラ6,7とを有している。なお、モータ制御システム1と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0091】
モータ41,42は、出力軸43,44同士が、シャフト4,5で一体的に連結されている。そのため、モータ41,42は、強制的に同期運転するものである。
【0092】
モータ制御システム40は、前述のモータ制御システム1のようにローラ本体3にモータ4,5を内蔵した構成とは若干異なるものであるが、出力軸43,44同士が機械的に連結されているという点で一致している。そのため、モータ制御システム40は、モータ制御システム1と同様に、モータ41,42をコントローラ6,7で制御可能であり、モータ41,42へ供給する電流パルスに下限値を設けることにより、モータ41,42へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができる。
【0093】
上記のモータ制御システム1では、1本のローラ本体3でモータ4,5を連結した例を示し、モータ制御システム40では、1本のシャフト4,5でモータ41,42を連結した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示す本発明の第3実施形態に係るモータ制御システム50でも構わない。
【0094】
図8に示すように、モータ制御システム50は、モータ4,5と、コントローラ6,7とを有している。これらは、モータ制御システム1と同一の構成であり、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
モータ制御システム50は、コンベア54に設けられている。コンベア54は、ローラ本体51,52と、動力を持たないフリーローラ53とが隙間を開けて並べられ、フレーム55,56に回動可能に取り付けられたものである。ローラ本体51,52には、それぞれモータ4,5が内蔵されている。モータ4,5には、それぞれコントローラ6,7が接続されている。
なお、モータ4,5は、それぞれローラ本体51,52を回転可能なように、出力軸18が出力板10を介してローラ本体51,52に接続されている。
【0096】
ローラ本体51,52と、フリーローラ53において、隣接するもの同士は、ベルト57が懸架されている。換言すれば、ローラ本体51,52と、フリーローラ53とは、ベルト57によって一体的に連結されている。そのため、ローラ本体51,52に内蔵されたモータ4,5も、一体的に連結されており、強制的に同期運転するものである。すなわち、コンベア54に設けられたモータ制御システム50においても、モータ4,5の出力軸18が機械的に連結されているため、モータ制御システム1,40と同様に、モータ4,5へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができる。
【0097】
上記のモータ制御システム50では、2本のローラ本体51,52と、1本のベルト57で、モータ4,5を連結した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示す本発明の第4実施形態に係るモータ制御システム60でも構わない。
【0098】
図9に示すように、モータ制御システム60は、モータ61,62と、コントローラ6,7とを有している。これらは、モータ制御システム1と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
モータ制御システム60は、昇降装置63に設けられている。昇降装置63は、一対の門柱フレーム64,65と、昇降台66とを有している。門柱フレーム64,65は、対向配置されるものであり、両者は昇降台66で連結されている。
なお、昇降台66は、門柱フレーム64,65に設けられたブラケット73に接続されている。
【0100】
門柱フレーム64,65は、図10に示すように、それぞれ柱部67,68と、モータ台69とを有している。柱部67,68は、所定の間隔を空けて配置されており、両者はモータ台69で連結されている。
【0101】
柱部67,68は、それぞれ内部に上部側プーリー列70と、下部側プーリー列71と、直線レール72が設けられている。そして各プーリー列にワイヤー(線状動力伝動部材)18が巻回されている。なお、直線レール72は、ガイド部材である。
【0102】
柱部67,68に内蔵されている上部側プーリー列70,70には、軸80が挿通されており、両者は軸80によって一体的に回転するように連結されている。
軸80は、スプロケット78を有している。スプロケット78には、チェーン79が掛けられている。
【0103】
モータ台69には、モータ61(62)が取り付けられている。モータ61(62)の出力軸76には、スプロケット77が装着されている。スプロケット77には、チェーン79が掛けられている。
モータ61(62)は、チェーン79を介して軸80と一体的に連結されている。
なお、モータ61(62)には、コントローラ6(7)が接続されている。
【0104】
上部側プーリー列70と下部側プーリー列71との間には、ブラケット73が配置されている。ブラケット73は、上下にプーリー74,75を有している。プーリー74,75には、ワイヤー81が掛けられている。
ブラケット73は、上部側プーリー列70の回転によって巻かれたワイヤー81に合わせて昇降するものである。
【0105】
前述の通り、ブラケット73には、昇降台66が取り付けられる。すなわち、昇降装置63において、モータ61,62は、それぞれチェーン79と軸80、上部側プーリー列70、ワイヤー81、ブラケット73、昇降台66を介して、一体的に連結されており、強制的に同期運転するものである。
簡単に説明すれば、昇降台66は、モータ61,62の回転力によってワイヤー81が上下動することで、昇降するものである。
すなわち、昇降装置63に設けられたモータ制御システム60においても、モータ制御システム50と同様に、モータ61,62へ供給される電流のアンバランスの差を収斂させることができる。
【0106】
つぎに、本発明の第5実施形態に係るモータ制御システム90について説明する。
図11は、モータ制御システム90を示すブロック図である。モータ制御システム90は、モータ内蔵ローラ2と、コントローラ91を有するものである。コントローラ91は、モータ制御システム1におけるコントローラ6,7を一体化して1台にまとめたものであり、モータ内蔵ローラ2に内蔵されたモータ4,5を個々に制御できるものである。
すなわち、コントローラ6,7の代わりに、コントローラ91を用いても構わない。
【0107】
上記実施形態では、モータへの電流パルスの下限値(デューティ比)は、表1に示したように整数としたが、本発明はこれに限定されることはなく、任意に設定可能である。
また、電流パルスの下限値は、表1に示したように、設定速度の範囲毎に割り付けしたが、本発明はこれに限定されることはなく、設定速度の範囲についても任意に設定可能である。
【0108】
上記実施形態では、設定速度と現速度との差を求め、電流パルスに対して増減する際に、表2に示した変換係数Tを用いたが、本発明はこれに限定されることはなく、任意に設定可能である。或いは、変換係数Tを用いず、直接的に電流パルスを操作するコマンド等を用意しても構わない。
【符号の説明】
【0109】
1,40,50,60,90 モータ制御システム
2 モータ内蔵ローラ
3 ローラ本体(筒)
4,5,41,42,61,62 モータ
6,7 コントローラ(制御装置)
18,43,44,76 出力軸(回転部)
57 ベルト
81 ワイヤー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のモータを制御するモータ制御システムであって、前記2以上のモータは回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるものであり、前記2以上のモータは個々に制御装置を有し、前記制御装置はいずれもモータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ前記制御装置にはいずれもモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ制御システム。
【請求項2】
ローラ本体を有し、前記2以上のモータはローラ本体内に内蔵されていてモータ内蔵ローラを構成し、2以上のモータによってローラ本体を回転させるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項3】
前記2以上のモータは、筒、ベルト、ワイヤーのいずれかを介して回転部が機械的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項4】
回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられる2以上のモータを個別に制御するものであり、
モータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
前記2以上のモータに一対で配置されることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
モータ内蔵ローラとモータ内蔵ローラに内蔵されるモータを制御する制御装置との組み合わせであって、モータ内蔵ローラは単一のローラ本体の中に複数のモータが内蔵され、前記複数のモータによってローラ本体を回転させるものであり、
前記制御装置は、複数のモータを個別に制御するものであって個々のモータが所定の回転数となる様に個々のモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ個々のモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせ。
【請求項1】
2以上のモータを制御するモータ制御システムであって、前記2以上のモータは回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられるものであり、前記2以上のモータは個々に制御装置を有し、前記制御装置はいずれもモータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ前記制御装置にはいずれもモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ制御システム。
【請求項2】
ローラ本体を有し、前記2以上のモータはローラ本体内に内蔵されていてモータ内蔵ローラを構成し、2以上のモータによってローラ本体を回転させるものであることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項3】
前記2以上のモータは、筒、ベルト、ワイヤーのいずれかを介して回転部が機械的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項4】
回転部が機械的に連結されていて強制的に同期回転させられる2以上のモータを個別に制御するものであり、
モータの回転部が所定の回転数となる様にモータに供給する電流を増減させるものであり、且つモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
前記2以上のモータに一対で配置されることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
モータ内蔵ローラとモータ内蔵ローラに内蔵されるモータを制御する制御装置との組み合わせであって、モータ内蔵ローラは単一のローラ本体の中に複数のモータが内蔵され、前記複数のモータによってローラ本体を回転させるものであり、
前記制御装置は、複数のモータを個別に制御するものであって個々のモータが所定の回転数となる様に個々のモータに供給する電流を増減させるものであり、且つ個々のモータの回転数に応じて供給する電流に下限があり、各モータに供給される電流は回転数に応じた下限以下にはならないことを特徴とするモータ内蔵ローラと制御装置の組み合わせ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−27254(P2013−27254A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162522(P2011−162522)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
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