説明

モータ制御装置

【課題】 モータ制御装置の組立てを簡単にすることにより、低価格を実現できるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】 フィンを備えたヒートシンクと、ヒートシンクに密着する樹脂で形成されたサポートと、ヒートシンクに密着する複数の外部電極端子を備えたパワー半導体モジュールと、複数の外部電極端子が接続される基板と、サポートに形成したヒートシンクの位置決め用のボスとを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に高圧電源で動作するインバータ装置やサーボアンプなどのモータ制御装置に関するものであり、特にモータ制御装置の自動組立化と部品削減効果を上げるためのサポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のモータ制御装置、例えばインバータ装置は、高熱を発する、インバータ部IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )素子等を備えたパワー半導体モジュールを用いているため、前記パワー半導体モジュールをヒートシンクに密着させ冷却効果を上げている(例えば、特許文献1)。更に冷却効果を上げるためにファンを用い強制空冷にて冷却効果を上げている。
また、樹脂製のサポートを、ヒートシンクと基板との間に構成させ、ヒートシンク側からの熱を基板側に伝えないように構成している。
従来のモータ制御装置、例えばインバータ装置においては、図5及び図6に示す構成がとられてきた。
図5及び図6において、ヒートシンク11の上面11aに、サポート12を載置するとともに、前記サポート12のモジュール通し穴12aに、パワー半導体モジュール13を、外部電極端子13aを上にして入れ込み、前記基板15は、端子通し穴15aに前記パワー半導体モジュール13の外部電極端子13aを通して前記サポートの上に載置し、前記パワー半導体モジュール13は、前記ヒートシンク11の上面11aに形成されたパワー半導体モジュール取付面11bに載置する。
この状態で、ネジ14を、パワー半導体モジュール13のネジ通し穴13bに通して前記パワー半導体モジュール取付面11bに設けたネジ穴11cに螺合締め付けすることによって、前記パワー半導体モジュール13をパワー半導体モジュール取付面11bに密着させて実装する。
また、ネジ18を、基板15のネジ通し穴15bと前記サポート12のネジ通し穴12bに通して、前記ヒートシンクの上面11aに設けたネジ穴11dに螺合締め付けすることによって、前記基板15とサポート12を前記ヒートシンク11に締め付け固定する。このとき、前記ネジ14の頭部は、基板15に形成したネジ通し穴15b入り込む。
なお、前記ヒートシンク11の地側には、冷却用のファン16及びケーブル16a、コネクタ16b、ケーブル16cを取付けたファンケース17が取付けられている。
この構成における、前記サポート12は、複雑な形状を形成するためとヒートシンク11からの熱を断熱するため樹脂にて成型されている。
【特許文献1】特開2004−349548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のモータ制御装置の構成には次のような問題があった。
パワー半導体モジュール13の外部電極端子13aの数が多いため、外部電極端子13aの位置決めが難しく、ヒートシンク11にサポート12とパワー半導体モジュール13を取付け、その上に基板15を載せるのが困難であった。そのため、特殊な治具を使い、基板15にパワー半導体モジュール13とサポート12、ヒートシンク11を取付けていた。特殊な治具を使用するため、治具へのセッティングに時間が必要であり、作業時間の短縮に限界があった。また治具へのセッティングは、手作業でしか行えないため、ロボットによる組立ては不可能であった。また、組立に治具が必要なため、機種毎に治具が必要であり、治具の管理が必要であった。
治具が必要であるため、治具の購入費が必要であり、また作業費及び管理費が必要なためコストアップとなる。そのため、モータ制御装置のコストダウンを実現するのには限界があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、装置の組立てを容易にできるとともに、部品費を削減し、コストダウンすることができるモータ制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、フィンを備えたヒートシンクと、前記ヒートシンクに密着する樹脂で形成されたサポートと、前記ヒートシンクに密着する複数の外部電極端子を備えたパワー半導体モジュールと、前記複数の外部電極端子が接続される基板と、前記サポートに形成したヒートシンク位置決め用ボスとを備え、前記サポートに、前記パワー半導体モジュールを仮止めする仮止めバネを形成したことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、前記サポートに、基板位置決め用のサポートボスを形成したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、前記サポートに、前記パワー半導体モジュールの複数の外部電極端子を通す端子通し穴を形成したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、前記サポートボスの裏側に凹部を形成したことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、前記サポートに、前記基板を固定させる爪を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、次のような効果がある。
請求項1に記載の発明によると、サポートにヒートシンクの位置決め用のヒートシンク位置決めボスを形成するため、ヒートシンクにサポートの誘い込みを行うことができ、組立てが容易に行なえるようになる。組立てが容易に行なえるようになることにより、ロボットでの自動組立てを簡単に行なうことができ、作業性を向上させることができる。
請求項2記載の発明によると、サポートに、基板の位置決め用のサポートボスを形成するため、基板の誘い込みを行うことができ、組立てが容易に行なえるようになる。組立てが容易に行なえるようになることにより、ロボットでの自動組立てを簡単に行なうことができ、作業性を向上させることができる。
請求項1から請求項3に記載の発明によると、サポートに、パワー半導体モジュールの複数の外部電極端子を通す端子通し穴と、パワー半導体モジュールを仮止めすることができる仮止めバネを形成するため、端子がサポートに対して常に同じ位置に来ることができるようになる。端子がサポートに対して常に同じ位置に来ることができるようになることにより、ヒートシンク及びサポート、パワー半導体モジュールの取付け誤差が無くなり、組立てが容易に行なえるようになる。組立てが容易に行なえるようになることにより、ロボットでの自動組立てを簡単に行なうことができ、作業性を向上させることができる。
また、特殊な治具を必要としないため、治具の購入費及び作業費、管理費が不要となる。さらに、治具の購入費及び作業費、管理費が不要になることにより、モータ制御装置をコストダウンすることができる。
請求項4記載の発明によると、サポートのサポートボスの裏側にサポートボス凹部を形成するため、サポート同士を段積みすることができるようになり、常に同じ位置に多量のサポートを置くことができるようになる。常に同じ位置に多量のサポートを置くことができることにより、配膳供給装置が小型化でき、またロボットによる部品の位置検索が容易に行えるようになる。ロボットによる部品の位置検索が容易に行えることにより、ロボットでの自動組立てを簡単に行なうことができ、作業性を向上することができる。
請求項5記載の発明よると、サポートに基板を固定させる爪を形成するため、基板の固定ネジが不要となる。基板の固定ネジが不要になることにより、部品及びネジ締め作業時間が削減され、部品費及び作業費が不要となる。部品費及び作業費が不要となることにより、モータ制御装置をコストダウンすることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【実施例】
【0007】
図1は、本発明の実施例におけるモータ制御装置を示す斜視図である。図2は、図1におけるモータ制御装置の分解斜視図である。図3は、図2におけるサポートの図で、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は背面図である。図4は、複数のパワー半導体モジュールを取付ける場合のサポートを示した図であり、(a)はサポートの正面図、(b)はサポートの右側面図、(c)は平面図である。
図1から図4において、1は冷却用のヒートシンク、2は樹脂製のサポート、3はインバータ部IGBT素子等を含むパワー半導体モジュールであり、複数本の外部電極端子3aを持つ構造になっている。3bはネジ通し穴、4は前記パワー半導体モジュール3をヒートシンク1に取り付けるためのネジ、5は前記パワー半導体モジュール3の外部電極端子3aが接続される基板である。5aは前記パワー半導体モジュール3の外部電極端子3aを通すための端子通し穴、5bは前記基板5に設けたサポートボス通し穴、5cはネジ4の頭部を入れ込むためのネジ通し穴である。6はケーブル6a及びコネクタ6bを備えたファンである。7はファン6をヒートシンク1に固定するファンケースである。
【0008】
前記ヒートシンク1は、例えば直方体をしており、上面1aは平面状に形成され、サポート2を取付けるためのサポートボス位置決め穴1bとサポート取付けボス1cが複数個形成されている。またパワー半導体モジュール3をヒートシンク1の上面1aに形成されたパワー半導体モジュール取付面1dに取付けるためのネジ穴1eが複数個形成されている。
【0009】
前記サポート2は、上面のほぼ中央部にモジュール通し穴2aを設け、また、前記モジュール通し穴2aを挟んでサポートボス2bを例えば2箇所設けている。さらに、側面には、例えば4箇所に、ヒートシンク1を取り付けるためのヒートシンク取付穴2cを設けている。さらに、上面の外周部の複数箇所に、基板5を固定するための基板固定爪2dを設けている。また、裏面には、ヒートシンク1を取り付けるときの位置決めのためのヒートシンク位置決めボス2eと、コネクタ6bを固定するためのコネクタ固定部2fと、前記サポート2同士を段積みするために、サポートボス2bの裏面に凹部を形成して設けたサポートボス凹部2gを設けている。
また、図2に示すサポート2は、1個のパワー半導体モジュール3を実装する場合の構成を示しているが、複数個、例えば2個のパワー半導体モジュールを実装する場合のサポート2は図4に示すような構成となる。このサポート2には、パワー半導体モジュール3を仮止めするための複数の仮止めバネ2hと、パワー半導体モジュール3の外部電極端子3aを通すための端子通し穴2iを設けている。
【0010】
前記パワー半導体モジュール3は、前記ヒートシンク1の上面に形成されたパワー半導体モジュール取付面1aの上に配置され、ネジ4をパワー半導体モジュール3のネジ通し穴3bに通して、前記パワー半導体モジュール取付面1aに形成されたネジ穴1eに螺合締め付けさせることにより仮固定する。
【0011】
前記基板5は、前記サポート2の上に配置し、サポートボス2bと基板固定爪2dで固定させる。前記パワー半導体モジュール3も締付固定させる。この状態で前記パワー半導体モジュール3の端子を基板5に半田付けする。
【0012】
前記ファン6は、前記ヒートシンク1に配置し、ファンケース7で前記ヒートシンク1に固定させる。なお、ケーブル6a及びコネクタ6b、ケーブル6cを前記サポート2のファンコネクタ固定部2fに固定させる。
【0013】
本発明のモータ制御装置は、サポート2にヒートシンクの位置決めボス2e及びサポートボス2b、ヒートシンク取付け穴2c、パワー半導体モジュール端子通し穴2i、パワー半導体モジュール仮止めバネ2hを形成しているので、部品の取付け誤差がなくなり、組立てが容易に行なえるようになる。組立てが容易に行なえるようになることにより、ロボットでの自動組立てが簡単に行なうことができ、作業性が向上する。
さらに、サポートボス凹部2gにより、サポート同士を段積みすることができるようになり、常に同じ位置に多量のサポートを置くことができるようになる。常に同じ位置に多量のサポートを置くことができることにより、配膳供給装置が小型化でき、またロボットによる部品の位置検索が容易に行えるようになる。ロボットによる部品の位置検索が容易に行えることにより、ロボットでの自動組立てが簡単に行なうことができ、作業性の向上を行なうことができる。また、特殊な治具を必要としないため、治具の購入費及び作業費、管理費が不要となる。治具の購入費及び作業費、管理費が不要になることにより、モータ制御装置のコストダウンができる。
また、基板固定爪2dが形成されているので、基板の固定ネジが不要となる。基板の固定ネジが不要になることにより、部品及びネジ締め作業時間が削減され、部品費及び作業費が不要となる。部品費及び作業費が不要となることにより、モータ制御装置のコストダウンができる。
また、ファンコネクタ固定部2fを形成しているので、ケーブル配線の引き回しが簡素化され、交換が容易に行なえるようになる。これにより、顧客での取替えが簡単に行なえ、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例におけるモータ制御装置を示す斜視図である。
【図2】図1におけるモータ制御装置の分解斜視図である。
【図3】図2におけるサポートの図で、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は背面図である。
【図4】実施例を示すサポートの(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。
【図5】従来技術におけるモータ制御装置を示す斜視図である。
【図6】図5におけるモータ制御装置の分解斜視図である。図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ヒートシンク
1a 上面
1b サポートボス位置決め穴
1c サポート取付けボス
1d パワー半導体モジュール取付面
1e ネジ穴
2 サポート
2a モジュール通し穴
2b サポートボス
2c ヒートシンク取付け穴
2d 基板固定爪
2e ヒートシンク位置決めボス
2f コネクタ固定部
2g サポートボス凹部
2h 仮止めバネ
2i 端子通し穴
3 パワー半導体モジュール
3a 外部電極端子
3b ネジ通し穴
4 パワー半導体モジュール固定用のネジ
5 基板
5a 端子通し穴
5b サポートボス通し穴
5c ネジ通し穴
6 ファン
6a ケーブル
6b コネクタ
6c ケーブル
7 ファンケース
8 基板固定用のネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンを備えたヒートシンクと、
前記ヒートシンクに密着する樹脂で形成されたサポートと、
前記ヒートシンクに密着する複数の外部電極端子を備えたパワー半導体モジュールと、
前記複数の外部電極端子が接続される基板と、


前記サポートに形成したヒートシンク位置決め用ボスと、
を備え、
前記サポートに、前記パワー半導体モジュールを仮止めする仮止めバネを形成したことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記サポートに、基板位置決め用のサポートボスを形成したことを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記サポートに、前記パワー半導体モジュールの複数の外部電極端子を通す端子通し穴を形成したことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記サポートボスの裏側に凹部を形成したことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記サポートに、前記基板を固定させる爪を形成したことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−166175(P2011−166175A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113551(P2011−113551)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【分割の表示】特願2006−318184(P2006−318184)の分割
【原出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】