説明

モータ用転がり軸受およびモータ軸受用シール部材

【課題】グリース用の補助剤による効能を長時間維持させることができ、近年のモータ用途においても寿命の向上を図れるモータ用転がり軸受およびモータ軸受用シール部材を提供する。
【解決手段】内輪2と、外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5と、上記内輪2および外輪3の軸方向両端開口部に設けられたシール部材6とを備え、上記内輪2と上記外輪3と上記保持器4と上記シール部材6とで構成される軸受内空間に封入されたグリース7によって潤滑されるモータ用転がり軸受1において、軸受内空間を構成する部材の1つであるシール部材6の軸受内空間側表面にグリース用の補助剤と樹脂との混合物6aを固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース潤滑されるモータ用転がり軸受に関し、特に産業機械用、電装機器用のモータ用転がり軸受、および該転がり軸受に用いるモータ軸受用シール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ACモータ、DCモータなどの汎用モータでは、モータの小型化が進み、軸受がより高面圧下で運転される傾向にある。また、サーボモータなどの産業機械用電気モータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ブロワーモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータ等の電装機器用モータは、始動−急加速運転−高速運転−急減速運転−急停止の繰り返しが頻繁に行なわれるため、それにともないモータ用転がり軸受に生じるすべりが大きくなる。このように使用条件が過酷になることで、モータ用転がり軸受の転走面に白色組織変化を伴った特異的な剥離が早期に生じるため、モータ用転がり軸受には長期間、安定に運転可能な耐久性および信頼性が要求される。
【0003】
従来、各種回転支持部材を構成するために、シールを有し、グリース潤滑で用いられる玉軸受が広く使用されている。例えば、保持器として冠形保持器を備えるとともに、両側にシールを有するラジアル玉軸受において、玉の軸方向中心線が、内輪および外輪の軸方向中心線よりも、冠形保持器の爪部側にずれていることを特徴とするラジアル玉軸受(特許文献1参照)が知られている。
また、シールドを有し、グリース潤滑で用いられる玉軸受に関して、潤滑性を向上し、長寿命化を図る技術としては、例えば、耐熱性に優れたグリースを用いることが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2などに記載の転がり軸受では、軸受内部空間内に充填できるグリース量に限度があるため、上述の近年のモータ用途においては、更なる長寿命化を図ることが困難であった。
【特許文献1】特開2002−130305号公報
【特許文献2】特開2004−352858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、グリース用の補助剤による効能を長時間維持させることができ、近年のモータ用途においても寿命の向上を図れるモータ用転がり軸受およびモータ軸受用シール部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータ用転がり軸受は、モータの回転子を支持するモータ用転がり軸受であって、該モータ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材とを備え、上記内輪と上記外輪と上記保持器と上記シール部材とで構成される軸受内空間に封入されたグリースによって潤滑されてなり、上記軸受内空間を構成する部材の少なくとも1つの部材において、該部材の上記転動体との摺動面以外の軸受内空間側表面に、上記グリース用の補助剤が固定されてなることを特徴とする。また、上記グリース用の補助剤は、上記シール部材の軸受内空間側表面に固定されることを特徴とする。
【0007】
本発明におけるグリース用の補助剤は、その成分が直接にグリースに溶け出して寄与するもの(添加剤)や、ガス等を発生させ軸受内空間における酸素濃度を低下させることでグリースの酸化劣化を防ぐなどの間接的にグリースを補助するものなどを含む。
【0008】
上記グリース用の補助剤は、樹脂に含まれた状態で固定されることを特徴とする。また、上記樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0009】
上記グリース用の補助剤が樹脂に含まれた状態で固定される際に、該補助剤の割合が、該補助剤と樹脂との合計に対して、10 重量%以上であることを特徴とする。
【0010】
上記グリース用の補助剤は、発泡剤または酸化防止剤であることを特徴とする。また、上記酸化防止剤が、アミン系酸化防止剤であることを特徴とする。
【0011】
上記発泡剤は、有機系の発泡剤から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。また、上記有機系の発泡剤が、アゾジカルボンアミドであることを特徴とする。
【0012】
本発明のモータ軸受用シール部材は、上述のグリース用の補助剤が固定されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明において上記構成のモータ用転がり軸受によれば、グリース用の補助剤として酸化防止剤等のグリース用添加剤となるものをシール部材の軸受内空間側表面などに固定する場合、該添加剤が軸受に封入されているグリースと接触することにより、グリース中に添加剤成分が溶け出す。このため、添加剤成分としての効能を継続的にグリースに付与することができ、添加剤による効能を長時間維持することができる。
【0014】
上記グリース用の補助剤を、該補助剤が樹脂に含まれた混合物の状態とすることで、該混合物を接着、塗布すること等により、各表面に容易に固定できる。
【0015】
上記グリース用の補助剤として発泡剤を用いた場合、この発泡剤が、高温で不活性ガスを放出して軸受内空間における酸素濃度を低下させることができる。このため、グリースの酸化劣化を抑制でき、長時間の軸受使用が可能となる。
【0016】
本発明のモータ軸受用シール部材は、上記グリース用の補助剤が固定されてなるので、モータ用転がり軸受に封入されるグリースの酸化劣化などを防止でき、該シール部材を使用するモータ用転がり軸受の長寿命化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。モータの回転子を支持するモータ用転がり軸受の一例を図1に示す。図1はグリースが封入されている深溝玉軸受の断面図である。
深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5が設けられている。また、外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。この深溝玉軸受1は、内輪2と外輪3と保持器5とシール部材6とで構成される軸受内空間に封入されたグリース7によって潤滑される。
この実施形態では、上記軸受内空間を構成する部材の1つとして、シール部材6の軸受内空間側表面に、グリース用の補助剤と、樹脂との混合物6aを固定させている。
【0018】
本発明のモータ用転がり軸受を用いたモータの一例を図2に示す。図2はモータの構造の断面図である。モータは、ジャケット9の内周壁に配置されたモータ用マグネットからなる固定子10と、回転軸11に固着された巻線12を巻回した回転子13と、回転軸11に固定された整流子14と、ジャケット9に支持されたエンドフレーム17に配置されたブラシホルダ15と、このブラシホルダ15内に収容されたブラシ16とを備えている。上記回転軸11は、深溝玉軸受1と、該軸受1のための支持構造とにより、ジャケット9に回転自在に支持されている。該軸受1が本発明のモータ用転がり軸受である。
【0019】
グリース用の補助剤として酸化防止剤等のグリース用添加剤となるものを用いる場合、軸受内空間に封入されたグリース7は、深溝玉軸受1の回転に伴う遠心力等の外力を受けて軸受内空間を移動する際、シール部材6の軸受内空間側表面に固定された混合物6aと接触して、該グリース用添加剤を受け取り、玉4と外輪3の外輪軌道3aおよび内輪2の内輪軌道2aとの間や、玉4と保持器5との間における潤滑に供される。
【0020】
グリース用添加剤を取り込んだグリース7は、軸受内を循環し、各摺動面でグリース中の添加剤が消費されても上記の繰り返しで、グリース7中に添加剤が溶け出し所定の濃度が保たれるので、該添加剤による効能を長時間維持することができる。
また、グリース成分との相溶性から高濃度で配合できないグリース用添加剤であっても、上記構成により酸化防止成分がグリースとの相溶性を維持しつつ徐々にグリースに供給されるため、グリースに対して結果的に高濃度で配合することができ、該添加剤による効能を長時間維持することができる。
【0021】
グリース用の補助剤として発泡剤を用いる場合、シール部材6の軸受内空間側表面に固定された混合物6aから、不活性ガスが発生して軸受内空間における酸素濃度が低下するため、封入されたグリース7の酸化劣化が抑制される。
【0022】
本発明の他の実施形態として、グリース用の補助剤を固定する他の箇所としては、保持器5の表面(玉との摺動面以外)、内輪2の外径面(軌道面以外)、外輪3の内径面(軌道面以外)が挙げられる。これらは、1箇所または複数箇所に分けて固定してもよい。
なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良なども可能である。シール部材6としては、鋼板製のシールド以外に、例えば、鋼板で補強されたシールがあり、シールの材質をニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴムを素材としてもよい。
【0023】
本発明のモータ用転がり軸受に封入するグリースは、通常転がり軸受に用いられるグリースであれば特に制限なく用いることができる。
グリースを構成する基油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ-α-オレフィン(以下、PAOと記す)油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、りん酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等、一般に潤滑グリースの基油として使用されている油であれば特に限定することなく使用できる。これらの基油は、単独または 2 種類以上組み合せて用いてもよい。
【0024】
また、増ちょう剤としては、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独または 2 種類以上組み合せて用いてもよい。
【0025】
また、本発明のモータ用転がり軸受に封入するグリースには必要に応じて公知の添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。また、軸受部材に固定する下記の補助剤をグリースにも予め配合しておくことができる。
【0026】
軸受内空間を構成する部材に固定するグリース用の補助剤は、発泡剤または酸化防止剤であることが好ましい。
【0027】
上記発泡剤としては、発泡時に不活性ガスを発生するものであればよく、好ましくは、発泡開始温度が軸受の使用温度より高いものが良い。なお、不活性ガスとしては、例えば、窒素、二酸化炭素などが好ましい。このような不活性ガスを発生する発泡剤としては、誤って軸受の転がり面に混入しても、キズ等の損傷を与えにくいことから有機系の発泡剤から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。有機系の発泡剤としては、例えばトリアジン系化合物、ヒドラジン系化合物、テトラゾール系化合物、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物などが挙げられる。これらの有機系の発泡剤の中で発生するガス量が多ことからアゾジカルボンアミドを用いることが好ましい。これらの発泡剤は、それぞれ単独で、または 2 種類以上を混合して用いることができる。
【0028】
上記酸化防止剤としては、フェノール系や芳香族アミン系の化合物、アルキルジチオりん酸塩が挙げられる。例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、p,p'-ジオクチルジフェニルアミンなどのアミン系酸化防止剤等が挙げられる。アルキルジチオりん酸塩には、アルキルジチオりん酸亜鉛等が挙げられる。これらの中でグリースの基油への溶解性が良いことから、アミン系酸化防止剤を用いることが好ましい。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、または 2 種類以上を混合して用いることができる。
【0029】
本発明のモータ用転がり軸受において、軸受内空間を構成する部材にグリース用の補助剤を固定させる方法を、シール部材の場合を例にとって説明する。シール部材の軸受内空間側表面にグリース用の補助剤を固定させる方法としては、特に制限なく、
(1)シール部材の軸受内空間側表面に接着剤として樹脂層を貼り付け、その表面に補助剤層を貼り付ける方法、
(2)(1)の樹脂層と補助剤層とを積層して貼り付ける方法、
(3)補助剤と、樹脂とを混合して得た混合物を接着剤によりシール部材の軸受内空間側表面に貼り付ける方法、
(4)補助剤と、接着剤である樹脂とを混合して得た混合物をシール部材の軸受内空間側表面に貼り付ける方法、
(5)補助剤を樹脂溶媒に溶解してなる樹脂塗料組成物をシール部材の軸受内空間側表面に塗布する方法等を用いることができる。
【0030】
グリース用の補助剤として酸化防止剤等のグリース用添加剤となるものを用いる場合、これらの方法の中で、混合物中の補助剤の分布を均一にすることで、軸受空間内を移動するグリースにグリース用添加剤を安定して供給することができる(3)〜(5)の方法が好ましい。さらに、添加剤を容易にシール部材に固定でき、グリースの循環等によっても脱離することのない(5)による方法を用いることが特に好ましい。
【0031】
また、グリース用の補助剤として発泡剤を用いる場合も、混合物中の発泡剤の分布を均一にすることができる(3)〜(5)の方法が好ましい。さらに、発泡剤を容易にシール部材に固定できる(4)による方法を用いることが特に好ましい。
【0032】
上記グリース用の補助剤が樹脂に含まれた状態で固定される際に、補助剤の割合が、補助剤と樹脂との合計に対して、10 重量%以上であることが好ましい。10 重量%未満であると耐久性向上効果が乏しく好ましくない。
【0033】
グリース用の補助剤との混合物を得るために用いる樹脂としては、鋼鉄製シールドやゴム製シールなどのシール部材に対する接着性と、グリース用の補助剤に対する接着性とを兼ね備える樹脂であれば特に制限なく使用することができる。例えばポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中でモータ用転がり軸受の実用使用温度範囲内で硬さが安定していることからエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【実施例】
【0034】
実施例1〜実施例4
表1に示すグリース用の補助剤と、2液型エポキシ樹脂(ニチバン社製:アラルダイト AR-S30)とを混合し、樹脂塗料組成物を得た。この樹脂塗料組成物をシール部材の軸受内空間側表面に塗布し、40℃、24 時間乾燥させ、グリース用の補助剤が固定されたシール部材を得た。このシール部材を転がり軸受(軸受寸法:内径 20 mm、外径 47 mm、幅 14 mm )の両側に装着して軸受試験片を得た。この試験片を下記に示す高温高速耐久試験に供し、軸受寿命時間を測定した。結果を表1に併記する。
【0035】
<高温高速耐久性試験>
得られた試験片に表1に示すグリースを 0.7 g 封入し、軸受外輪外径部温度 150℃、ラジアル荷重 67 N 、アキシアル荷重 67 N の下で 10000 rpm の回転数で回転させ、焼き付きに至るまでの時間を軸受寿命時間として測定した。
【0036】
比較例1および比較例3
グリース用の補助剤を使用せず2液型エポキシ樹脂(ニチバン社製:アラルダイト AR-S30)のみをシール部材の軸受内空間側表面に塗布し、40℃、24 時間乾燥させ、エポキシ樹脂が固定されたシール部材を得た。このシール部材を転がり軸受(軸受寸法:内径 20 mm、外径 47 mm、幅 14 mm )の両側に装着して軸受試験片を得た。この試験片を上記高温高速耐久試験に供し、軸受寿命時間を測定した。結果を表1に併記する。
【0037】
比較例2および比較例4
グリース用の補助剤も、エポキシ樹脂も使用しないシール部材を転がり軸受(軸受寸法:内径 20 mm、外径 47 mm、幅 14 mm )の両側に装着して軸受試験片を得た。この試験片を上記高温高速耐久試験に供し、軸受寿命時間を測定した。結果を表1に併記する。
【0038】
【表1】

【0039】
グリース用の補助剤と樹脂との混合物をシール部材の軸受内空間側表面に固定した実施例1〜実施例4は、グリースの酸化劣化を防止して、軸受寿命の向上を図ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のモータ用転がり軸受は、構成部材表面に固定された酸化防止剤などの補助剤がグリース中に溶け出して添加剤成分としての効能をグリースに長時間付与することができ、また、該補助剤から発生するガス等により軸受内空間における酸素濃度を低下させることができ、モータ用転がり軸受の長寿命化を図ることができる。このため、本発明のモータ用転がり軸受は、ACモータ、DCモータなどの汎用モータ、サーボモータなどの産業機械用電気モータ、自動車のスタータモータ、電動パワーステアリングモータ、ステアリング調整用チルトモータ、ブロワーモータ、ワイパーモータ、パワーウィンドウモータ等の電装機器用モータなどに用いられる軸受として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のモータ用転がり軸受の一実施形態を示す転がり軸受の断面図である。
【図2】モータの構造の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 深溝玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 玉(転動体)
5 保持器
6 シール部材
6a グリース用の補助剤と樹脂との混合物
7 グリース
8a、8b 開口部
9 ジャケット
10 固定子
11 回転軸
12 巻線
13 回転子
14 整流子
15 ブラシホルダ
16 ブラシ
17 エンドフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転子を支持するモータ用転がり軸受であって、該モータ用転がり軸受は、内輪と、外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材とを備え、前記内輪と前記外輪と前記保持器と前記シール部材とで構成される軸受内空間に封入されたグリースによって潤滑されてなり、
前記軸受内空間を構成する部材の少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との摺動面以外の軸受内空間側表面に、前記グリース用の補助剤が固定されてなることを特徴とするモータ用転がり軸受。
【請求項2】
前記グリース用の補助剤は、樹脂に含まれた状態で固定されることを特徴とする請求項1記載のモータ用転がり軸受。
【請求項3】
前記樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2記載のモータ用転がり軸受。
【請求項4】
前記グリース用の補助剤が樹脂に含まれた状態で固定される際に、グリース用の補助剤の割合が、グリース用の補助剤と樹脂との合計に対して、10 重量%以上であることを特徴とする請求項2または請求項3記載のモータ用転がり軸受。
【請求項5】
前記グリース用の補助剤は、発泡剤または酸化防止剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載のモータ用転がり軸受。
【請求項6】
前記発泡剤は、有機系の発泡剤から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項5記載のモータ用転がり軸受。
【請求項7】
前記有機系の発泡剤は、アゾジカルボンアミドであることを特徴とする請求項6記載のモータ用転がり軸受。
【請求項8】
前記酸化防止剤は、アミン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項5記載のモータ用転がり軸受。
【請求項9】
前記グリース用の補助剤は、前記シール部材の軸受内空間側表面に固定されることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項記載のモータ用転がり軸受。
【請求項10】
グリース用の補助剤が固定されてなるモータ軸受用シール部材であって、該シール部材は、請求項9記載のモータ用転がり軸受に用いられることを特徴とするモータ軸受用シール部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−232570(P2009−232570A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74354(P2008−74354)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】