説明

モータ駆動回路

【課題】モータを駆動させる際に利用されるモータ駆動回路において、モータからの逆起電力による悪影響を防止できるようにする。
【解決手段】モータ駆動回路21aはスプールに加えられる外力によってモータ11に逆起電力が発生したときに、モータ11自身に逆起電力を逃がすよう構成されている。即ち、モータ11端子同士を短絡させる正転FET23bと、モータ11における一端子の電位が予め設定された第1基準電位を超えると、正転FET23bを作動させるツェナーダイオード51と、を備えている。このようなモータ駆動回路21aによれば、モータ11に逆起電力が発生し、モータ11における一端子の電位が第1基準電位を超えると、モータ11端子同士を短絡させることができる。この結果、モータ11に逆起電力が発生したとしてもこの逆起電力をモータ11に逃がすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを駆動させる際に利用されるモータ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のモータ駆動回路を搭載した装置として、車両が衝突する可能性が高まったときにシートベルトを巻き上げるシートベルト巻取装置が知られている。この装置には、シートベルトを巻き上げるモータが作動するときのみにモータの動力をシートベルトに伝えるクラッチ機構が備えられており、モータが作動しないときには軽い力でシートベルトを引き出すことができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/043590号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータ駆動回路においては、モータが外力によって駆動されると、モータに逆起電力が発生し、モータ駆動回路を構成する素子や、モータ駆動回路に接続された機器を損傷する虞がある。上記のクラッチ機構を有するシートベルト巻取装置では、クラッチ機構が噛み合ったままの状態になると、車両の乗員がシートベルトを引き出したときにモータに逆起電力が発生することになる。
【0005】
そこで、このような問題点を鑑み、シートベルト巻取装置にてモータを駆動させる際に利用されるモータ駆動回路において、モータからの逆起電力による悪影響を防止できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために成されたシートベルト巻取装置に利用されるモータ駆動回路において、退避手段は被駆動部材に加えられる外力によってモータに逆起電力が発生したときに、モータを駆動するための電源または当該モータ自身に前記逆起電力を逃がすよう構成されている(請求項1)。
【0007】
このようなモータ駆動回路によれば、モータに逆起電力が発生したとしてもこの逆起電力を電源またはモータに逃がすことができる。つまり、逆起電力を電源(例えば、車載バッテリ等)に逃がす場合には、一時的にモータを駆動させる回路(リレーやトランジスタ等のスイッチ)をON状態とし、電源を大容量のコンデンサとして利用する。このとき、モータ端子(モータに電力を供給するための端子)の電位は電源の電位と一致させられる。したがって、電源の電位以上の電位となる逆起電力が発生したとしても、モータ駆動回路を構成する素子や、モータ駆動回路に接続された他の機器の耐圧を越える電圧が加えられることを防止することができる。
【0008】
一方で、逆起電力をモータ自身に逃がす場合には、一時的にモータ端子同士を短絡させる。このようにすると、モータによって発生した逆起電力はモータに還流し、モータにブレーキを掛けるよう作用する。すると、逆起電力を発生しにくくすることができる。また、モータによって発生した逆起電力をモータ自身が消費するため、逆起電力が他の素子や機器に影響を与えにくくすることもできる。
【0009】
つまり、本発明によれば、モータからの逆起電力による悪影響を防止することができる。
ところで、逆起電力をモータ自身に逃がす場合の具体的な構成としては、退避手段は、モータ端子同士を短絡させる短絡手段と、モータにおける一端子の電位が予め設定された第1基準電位を超えると、短絡手段を作動させる短絡作動手段と、を備えていてもよい(請求項2)。
【0010】
このようなモータ駆動回路によれば、モータに逆起電力が発生し、モータにおける一端子の電位が第1基準電位を超えると、モータ端子同士を短絡させることができる。よって、上記に説明したように、モータによる逆起電力による悪影響を防止できる。
【0011】
さらに、モータ駆動回路においては、モータをある一方向に回転させる際にスイッチングされる一組のトランジスタから成る第1スイッチング手段と、モータを前記一方向とは反対方向に回転させる際にスイッチングされる第1スイッチング手段とは異なる一組のトランジスタから成る第2スイッチング手段と、を備え、短絡手段は、第1スイッチング手段および第2スイッチング手段を構成するトランジスタのうちの少なくとも1つとして構成されていてもよい(請求項3)。
【0012】
このようなモータ駆動回路によれば、スイッチング手段を構成するトランジスタを短絡手段として利用することができるので、部品点数を削減することができる。
また、モータ駆動回路においては、モータの作動中に、短絡作動手段が短絡手段を作動させることを禁止する短絡禁止手段、を備えていてもよい(請求項4)。
【0013】
このようなモータ駆動回路によれば、モータ作動中には短絡手段が作動しないようにすることができる。特に、請求項3の構成においては、モータ作動中に短絡手段が作動した結果、第1スイッチング手段と第2スイッチング手段とが同時にON状態になると、モータを作動させる電源とグランドとがショートする虞が生じるが、本発明を請求項3の構成に適用すれば、モータを作動させる電源とグランドとがショートしないようにすることができる。
【0014】
さらに、モータ駆動回路において、第1基準電位は、モータを駆動させる電源の電位よりも高い電位に設定されていてもよい(請求項5)。
このようなモータ駆動回路によれば、モータの電源の電位によっては、短絡手段が作動しないようにすることができる。よって、短絡手段の誤作動を防止することができる。
【0015】
また、モータ駆動回路において、短絡作動手段は、短絡手段側をアノードとし、モータにおける一端子側をカソードとするツェナーダイオードを備えていてもよい(請求項6)。
【0016】
このようなモータ駆動回路によれば、短絡作動手段を、ツェナーダイオードを備えた構成としているので、コンピュータによる処理を利用することなく短絡手段を作動させる構成を実現することができる。よって、短絡手段を作動させる構成を簡素化することができる。
【0017】
また、モータ駆動回路において退避手段は、モータにおける一端子を電源に電気的に接続させる接続手段と、モータにおける一端子の電位が予め設定された第2基準電位を超えると、接続手段を作動させる接続作動手段と、を備えていてもよい(請求項7)。
【0018】
このようなモータ駆動回路によれば、上述したように、電源の電位以上の電位となる逆起電力が発生したとしても、モータ駆動回路を構成する素子や、モータ駆動回路に接続された他の機器の耐圧を越える電圧が加えられることを防止することができる。よって、モータからの逆起電力による悪影響を防止することができる。
【0019】
さらに、モータ駆動回路において、接続作動手段は、モータの一端子における電位が第2基準電位を超えると、予め設定された継続時間だけ接続手段の作動を継続させるよう構成されていてもよい(請求項8)。
【0020】
このようなモータ駆動回路によれば、設定された継続時間だけは接続手段の作動が継続されるので、接続手段の作動・非作動が頻繁に繰り返されることを防止することができる。よって、接続手段の寿命を向上させることができる。
【0021】
加えて、モータ駆動回路においては、接続作動手段は、接続手段の作動を継続させる構成として、単安定マルチバイブレータを備えていてもよい(請求項9)。この構成において、単安定マルチバイブレータは、第2基準電位を超える電位をトリガとして入力し、このトリガから設定された継続時間だけ接続手段を作動させる信号を出力する。
【0022】
このようなモータ駆動回路によれば、接続手段を作動させる構成をコンピュータによる処理を利用することなく実現することができる。
また、単安定マルチバイブレータの電源には、当該モータ駆動回路に備えられ、モータの逆起電力で充電されるコンデンサによる電力を利用するようにしてもよい。
【0023】
このようにすれば、モータを駆動しないときにおいて、単安定マルチバイブレータによってモータの電源から電力が消費されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】プリクラッシュセーフティシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のシートベルトECU20aの概略構成を示す回路図(a)、およびモータ11における反転FET22aのソース側に接続された端子の電位、正転FET23bのゲートの電位のそれぞれの変化を示すグラフ(b)である。
【図3】第2実施形態のシートベルトECU20bの回路図である。
【図4】第3実施形態のシートベルトECU20cの回路図である。
【図5】第4実施形態のシードベルトECU20dの回路図である。
【図6】第5実施形態のシードベルトECU20eの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
[プリクラッシュセーフティシステム]
ここで、図1は、本発明が適用されたモータ駆動回路を備えたプリクラッシュセーフティシステムの概略構成を示すブロック図である。なお、以下では、プリクラッシュセーフティシステムが搭載された自動車を自車両と称す。
【0026】
このプリクラッシュセーフティシステム1は、進行路上に存在する障害物と自車両との衝突の可能性(以下、衝突可能性とする)が高い場合には、自車両の制動力を増加したり、シートベルトの拘束力を強化したりするものである。
【0027】
これを実現するために、図1に示すように、プリクラッシュセーフティシステム1は、自車両の進行路上を監視する前方監視装置5と、自車両に備えられたブレーキ機構を制御するブレーキ制御装置7と、自車両に備えられたシートベルトそれぞれを巻き取るための少なくとも1つのシートベルト巻取装置10と、前方監視装置5からの出力に従って、衝突可能性が設定閾値以上である否かを判定する共に、その判定結果に従ってブレーキ制御装置7を制御するプリクラッシュ制御装置(いわゆる、電子制御装置(ECU))6と、プリクラッシュ制御装置6にて、衝突可能性が設定閾値以上であるものと判定されると、シートベルトの拘束力を強化するようにシートベルト巻取装置10それぞれを制御するシートベルト制御装置(以下、シートベルトECUとも称す)20(第1実施形態では20a)とを備えている。
【0028】
このうち、前方監視装置5は、レーダ波を送受信することで、先行車両等の物標を検出し、その物標と自車両との位置、および速度を含む物標情報を取得するミリ波レーダ装置等を中心に構成され、取得した物標情報をプリクラッシュ制御装置6に出力するようにされている。なお、前方監視装置5は、自車両の進行方向を撮影するように配置され、撮影画像に基づいて物標情報を取得する車載カメラや、レーザ光を送受信することで、先行車両等の物標を検出し、物標情報を取得するレーザレーダ装置を中心に構成されていてもよいし、これら(即ち、ミリ波レーダ装置、車載カメラ、およびレーザレーダ装置)を、組み合わせて構成されていてもよい。
【0029】
また、プリクラッシュ制御装置6は、少なくともCPU、ROM、RAM、およびこれらを接続するバスからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものである。そして、プリクラッシュ制御装置6では、前方監視装置5から取得した物標情報に従って、衝突可能性を算出し、その算出した衝突可能性を自車両内に報知すると共に、その算出された衝突可能性が、設定閾値の1つとして予め規定された第一設定閾値以上であるか否かを判定して、判定の結果、衝突可能性が第一設定閾値以上であれば、ブレーキ制御装置7を動作させて、自車両の制動力を増加させる処理を実行する。これに加えて、プリクラッシュ制御装置6では、衝突可能性が、設定閾値の1つとして予め規定された第二設定閾値以上であるか否かを判定し、その判定の結果、衝突可能性が第二設定閾値以上であれば、シートベルト制御装置20がシートベルトの拘束力の制御を開始するための起動指令をシートベルト制御装置20に出力するようにされている。
【0030】
[シートベルト巻取装置の構成]
次に、シートベルト巻取装置10について説明する。
シートベルト巻取装置10それぞれは、自車両に設けられた座席に着座した人物(例えば、運転者等、以下、乗員とも称す)を、座席に拘束するシートベルト機構の一部を構成する周知のものであり、シートベルトの帯(以下、ウェビングと称す)12を引き出しおよび巻き取り可能に構成されたものである。
【0031】
即ち、各シートベルト巻取装置10は、ウェビング12の一端が固定されたスプール13と、スプール13を駆動するための駆動力を発生するモータ11と、モータ11で発生した駆動力をスプール13に伝達するギア群(図示せず)およびクラッチ14と、スプール13を回動自在に保持すると共に、モータ11、ギア群およびクラッチ14を支持して、当該シートベルト巻取装置10を自車両に固定するための保持部材(図示せず)とを備えている。
【0032】
また、モータ11は、電気エネルギーを回転運動(即ち、運動ネルギー)に変換する周知の直流モータ(DCモータ)として構成されており、通電方向に応じた駆動力を発生する。
【0033】
さらに、クラッチ14は、モータ11で発生した駆動力が伝達される(一般的に言う、駆動側に固定された)第一部材(図示せず)と、第一部材と係合してスプール13に駆動力を伝達する(一般的に言う、従動側に固定された)第二部材(図示せず)とを備えている。ただし、クラッチ14は、予め規定された一方向(以下、順方向と称す)の駆動力が第一部材に伝達されると、第一部材が、第二部材とは非係合である初期位置から回動して第二部材と係合し、順方向とは異なる方向(以下、反転方向と称す)の駆動力が第一部材に伝達されると、第一部材と第二部材との係合が解除され、第一部材が初期位置へと戻るように構成されている。
【0034】
即ち、クラッチ14は、順方向の駆動力が第一部材に伝達されてから、第二部材と係合するまでに、所定の「遊び」を有するように構成されており、順方向の駆動力が第一部材に伝達されてから、第一部材が第二部材と係合して、スプール13が回動するまでに所定時間を要するものである。
【0035】
従って、シートベルト巻取装置10では、モータ11にて順方向の駆動力を発生すると、その駆動力が伝達された第一部材が、初期位置から回動を開始してから所定時間の経過後に、第一部材と第二部材とが係合する(即ち、クラッチ14が接続される)。すると、保持部材に回動自在に支持されているスプール13が、順方向に対応する方向に回転して、ウェビング12をスプール13自体に巻き取る。
【0036】
また、シートベルト巻取装置10では、モータ11にて反転方向の駆動力が発生すると、その駆動力が伝達された第一部材が、第二部材との係合を解除し、初期位置まで戻り、クラッチ14が有する「遊び」が最大となる。
【0037】
[シートベルト制御装置の構成]
次に、シートベルト制御装置について説明する。ここで、図2(a)は、第1実施形態のシートベルトECU20aの概略構成を示した回路図である。
【0038】
図2(a)に示すように、シートベルトECU20aは、このECU20aの外部に配置された前述のモータ11、バッテリ41、イグニッションスイッチ42にそれぞれ接続されている。そして、シートベルトECU20aは、コントローラ30aとモータ駆動回路21aと備えている。バッテリ41による電力は、イグニッションスイッチ42がON状態のときに、シートベルトECU20aに供給され、OFF状態のときには通電が遮断される。
【0039】
コントローラ30aは、図示しないCPU,ROM,RAM等を備えた周知のマイコンとして構成されており、モータ駆動回路21aに対してモータ11を制御するためのモータ制御信号を生成して出力する。なお、コントローラ30aのROMには、プリクラッシュ制御装置6等の自車両に搭載された他の電子制御装置(即ち、シートベルトECU20以外のECU)との間で情報を送受信する情報取得処理や、モータ11を流れる電流値が予め規定された目標値となるように、モータ制御信号のデューティ比(即ち、パルス幅)を制御するモータ制御処理をCPUが実行するための処理プログラムが格納されている。
【0040】
モータ駆動回路21aは、以下に説明する多数の素子を備えて構成されており、モータ11への通電の実施およびその通電の遮断、或いは、モータ11に逆起電力が発生したときに、その逆起電力をモータ11自身に還流させる機能を有している。
【0041】
なお、モータ制御信号とは、信号レベルがハイレベルであれば、モータ11への通電を実行して、信号レベルがローレベルであれば、モータ11への通電を遮断するものである。即ち、モータ制御信号は、デューティ比(即ち、ハイレベルである期間とローレベルである期間との比)を制御することで、モータ11で発生するトルク、換言すれば、モータ11を流れる電流値を調整するものである。
【0042】
モータ駆動回路21aは、4個のNチャネル型FET(電界効果トランジスタ)を有したいわゆるHブリッジ回路を備えており、4個のNチャネル型FETのうち、2つのFET22a,22bは、ゲートに抵抗26a,26bを介してコントローラ30aが接続されている。そして、ドレインにリレー28を介してバッテリ41が接続され、ソースにモータ11が接続されている。
【0043】
また、2つのFET23a,23bは、ゲートに抵抗26c,26dを介してコントローラ30aが接続されている。そして、ドレインにモータ11が接続され、ソースが図示しないシャント抵抗を介して接地されている。
【0044】
ここで、シャント抵抗は、モータ11を流れる電流値を検出するために配置されており、シャント抵抗にて検出した電流値は、増幅器にて増幅された後、A/D変換してコントローラ30aに入力される。コントローラ30aは、入力された電流値に応じて各FET22a,22b,23a,23bに出力するモータ制御信号のデューティ比を制御するフィードバック制御を実施するよう構成されている。
【0045】
このようなモータ駆動回路21aにおいては、コントローラ30aから各FET22,23に入力されるモータ制御信号がハイレベルであれば、そのモータ制御信号が入力されたFET22,23がONとなり、モータ制御信号がローレベルであれば、そのモータ制御信号が入力されたFET22,23がオフとなるものである。ただし、本実施形態におけるモータ駆動回路21aとモータ11とは、FET22a,23aがONされると、モータ11にて反転方向の駆動力が発生し、FET22b,23bがONされると、モータ11にて順方向の駆動力が発生するように配線されている。
【0046】
つまり、モータ駆動回路21aは、ドレイン,ソース間が通電可能となるFET22,23を切り替えることで、モータ11の駆動方向を切り替え可能なものである。
なお、以下では、FET22a,23aを反転FET22a,23aと称し、FET22b,23bを正転FET22b,23bと称す。
【0047】
また、モータ駆動回路21aにおいては、各FET22a,22b,23a,23bのソースをアノードとし、ドレインをカソードとするダイオード24a,24b,25a,25bが配置されおり、FET22a,22bのドレイン(電源)とFET23a,23bのソース(グランド)との間には、電源安定化およびノイズ除去のためにコンデンサ27が配置されている。また、バッテリ41とFET22a,22bとの経路には、リレー28が配置されている。このリレー28は、コントローラ30aによりON・OFFが切り換えられる。また、FET22a,22bのドレイン(電源)の電位はコントローラ30aにて検出可能にされている。つまり、コントローラ30aは、リレー28の作動状態を認識することができる。
【0048】
ここで、モータ駆動回路21aでは、クラッチ機構が噛み合った状態の場合において、スプール13に加えられる外力によってモータ11に逆起電力が発生したときに発生する電圧を検出するツェナーダイオード51を備えている。このツェナーダイオード51は、モータ11の2つの端子のうちの、乗員によってウェビング12が引き出されたときにモータ11が駆動された場合、高電位となる端子、つまり、本実施形態では、反転FET22aのソース側の端子(図2(a)中のa点)をカソードとし、正転FET23bのゲート(図2(a)中のb点)をアノードとして配置されている。
【0049】
この位置にツェナーダイオード51を配置するのは、ロードダンプ等による電源電圧変動の影響を受け難くするためである。なお、ツェナーダイオード51と正転FET23bのゲートとの間には、コントローラ30aからの駆動信号との干渉を避ける為の抵抗52が配置されている。
【0050】
[シートベルト制御装置の作動]
次に、シートベルトECU20aの作動について図2(a)および図2(b)を用いて説明する。図2(b)は、モータ11における反転FET22aのソース側に接続された端子の電位、正転FET23bのゲートの電位のそれぞれの変化を示すグラフである。
【0051】
まず、モータ11が駆動される際には、図2(a)に示すように、イグニッションスイッチ42の接点が閉じられ、コントローラ30aにバッテリ41からの電力が供給される。その後、コントローラ30aがリレー28の接点を閉じることによりモータ駆動回路21aにバッテリ41からの電力が供給可能な状態となる。
【0052】
そして、コントローラ30aは、外部から通信等によりモータ11を駆動させる指令を受けると、反転FET22a,23aまたは正転FET22b,23bのゲートに対してフィードバック制御によって設定したデューティ比のモータ制御信号を送り、モータ11を駆動させる。
【0053】
ここで、リレー28の接点が開いている時(イグニッションスイッチ42の状態は問わない。)において、スプール13に加えられる外力によってモータ11に逆起電力が発生すると、図2(b)に示すように、図2(a)に示すa点の電位が上昇する。そして、a点の電位と正転FET23bのゲートとの電位差がツェナーダイオード51の降伏電圧(いわゆるツェナー電圧)を超えると、ツェナーダイオード51を介してb点に電流が流れ、b点の電位がある電位よりも高くなると、正転FET23bのゲートがON状態となる。なお、正転FET23bのゲートがON状態となるときのa点の電位(第1基準電位)は、モータ11を駆動させるバッテリ41の電位(高電圧側の電位)よりも高い電位に設定されている。
【0054】
正転FET23bのゲートがON状態となると、a点から、正転FET23b、ダイオード25a、モータ11の順に電流が還流し、a点の電位が下がることになる。その後、a点の電位が下がると、正転FET23bはOFF状態となる。
【0055】
[第1実施形態による効果]
以上のように構成されたプリクラッシュセーフティシステム1において、モータ駆動回路21aはスプール13に加えられる外力によってモータ11に逆起電力が発生したときに、モータ11自身に逆起電力を逃がすよう構成されている。逆起電力をモータ11自身に逃がす場合の具体的な構成としては、モータ11端子同士を短絡させる正転FET23bと、モータ11における一端子の電位が予め設定された第1基準電位を超えると、正転FET23bを作動させるツェナーダイオード51と、を備えている。
【0056】
このようなプリクラッシュセーフティシステム1によれば、このようなモータ駆動回路21aによれば、モータ11に逆起電力が発生し、モータ11における一端子の電位が第1基準電位を超えると、モータ11端子同士を短絡させることができる。この結果、モータ11に逆起電力が発生したとしてもこの逆起電力をモータ11に逃がすことができる。つまり、モータ11によって発生した逆起電力はモータ11に還流し、モータ11にブレーキを掛けるよう作用する。すると、逆起電力を発生しにくくすることができる。また、モータ11によって発生した逆起電力をモータ11自身が消費するため、逆起電力が他の素子や機器に影響を与えにくくすることもできる。よって、プリクラッシュセーフティシステム1によれば、モータ11からの逆起電力による悪影響を防止することができる。
【0057】
さらに、プリクラッシュセーフティシステム1においてモータ駆動回路21aは、モータ11をある一方向に回転させる際にスイッチングされる一組のトランジスタから成る正転FET22a,23aと、モータ11を一方向とは反対方向に回転させる際にスイッチングされる正転FET22a,23aとは異なる一組のトランジスタから成る反転FET22b,23bと、を備え、このうちの正転FET23bを利用してモータ11端子同士を短絡させる構成を実現している。
【0058】
このようなプリクラッシュセーフティシステム1によれば、正転FET23bを利用してモータ11を短絡させる構成を実現することができるので、部品点数を削減することができる。
【0059】
また、モータ駆動回路21aによれば、正転FET23bのゲートがON状態となる電位は、モータ11を駆動させるバッテリ41の電位(高電圧側の電位)よりも高い電位に設定されているので、正転FET23bがバッテリ41によって誤作動することを防止することができる。
【0060】
また、モータ駆動回路21aにおいて、ツェナーダイオード51は、正転FET23b側をアノードとし、モータ11における一端子側をカソードとして配置されている。
このようなプリクラッシュセーフティシステム1によれば、モータ駆動回路21aを構成するツェナーダイオード51を備えた構成としているので、コンピュータによる処理を利用することなく正転FET23bを作動させる構成を実現することができる。よって、正転FET23bを作動させる構成を簡素化することができる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、別形態のプリクラッシュセーフティシステムについて説明する。本実施形態(第2実施形態)では、第1実施形態のプリクラッシュセーフティシステム1と異なる箇所のみを詳述し、第1実施形態のプリクラッシュセーフティシステム1と同様の箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
以下の実施形態においては、シートベルトECU20の構成のみが異なる。第2実施形態のシートベルトECU20bの回路図を図3に示す。第2実施形態のシートベルトECU20bでは、モータ駆動回路21bとコントローラ30bとを備えている。
【0063】
モータ駆動回路21bは、第1実施形態のモータ駆動回路21aの構成に加えて、モータ11の作動中に、ツェナーダイオード51が正転FET23bを作動させることを禁止する回路素子を備えている。具体的には、ツェナーダイオード51と正転FET23bのゲートとの間にPチャネル型FET53(以下、「禁止FET53」という。)を配置している。他に、禁止FET53を作動するためのNPN型トランジスタ61、PNP型トランジスタ57も配置している。
【0064】
より詳細には、禁止FET53のソースがツェナーダイオード51のアノードに接続され、ドレインが正転FET23bのゲートに接続されている。そして、禁止FET53のゲートがPNP型トランジスタ57のコレクタに接続され、この端子は抵抗58を介して接地されている。
【0065】
PNP型トランジスタ57は、エミッタが抵抗54を介してツェナーダイオード51のカソードに接続されており、ベースが抵抗56を介してNPN型トランジスタ61のコレクタに接続されている。NPN型トランジスタ61は、エミッタが接地されており、ベースが抵抗59を介してコントローラ30bに接続されている。
【0066】
なお、PNP型トランジスタ57およびNPN型トランジスタ61のベース・エミッタ間には、抵抗55,60がそれぞれ配置されている。また、これらの各抵抗は、各FETやバイポーラトランジスタに流れる電流や電圧を調整するためのものである。
【0067】
コントローラ30bは、第1実施形態のコントローラ30aの作動に加えて、モータ11の作動時に、ツェナーダイオード51が正転FET23bを作動することを禁止する作動を行う。即ち、コントローラ30bは、モータ11の作動時にNPN型トランジスタ61のベースに対してハイレベルの信号を送出し、モータ11の非作動時にNPN型トランジスタ61のベースに対してローレベルの信号を送出する。
【0068】
コントローラ30bが、NPN型トランジスタ61のベースに対してハイレベルの信号を送出すると、NPN型トランジスタ61はON状態となり、これに伴いPNP型トランジスタ57のベースはローレベルとなり、PNP型トランジスタ57もON状態となる。そして、この場合、禁止FET53のゲートはハイレベルとなり、禁止FET53はOFF状態となる。この結果、ツェナーダイオード51の作動によって正転FET23bが作動されることはなくなる。
【0069】
一方、コントローラ30bが、NPN型トランジスタ61のベースに対してローレベルの信号を送出すると、禁止FET53はON状態となり、ツェナーダイオード51の作動によって正転FET23bが作動可能な状態となる。
【0070】
このようなモータ駆動回路21bによれば、コントローラ30aからの信号によるモータ11作動中には、モータ11の端子電圧上昇により正転FET23bが作動しないようにすることができる。つまり、モータ11作動中に正転FET23bが作動されたとしても、正転FET22a,23aと反転FET22b,23bとが同時にON状態にならないようにすることができるので、モータ11を作動させる電源とグランドとがショートすることがないようにすることができる。
【0071】
[第3実施形態]
第3実施形態のシートベルトECU20cの回路図を図4に示す。
第3実施形態のプリクラッシュセーフティシステムでは、図4に示すように、バッテリ41とイグニッションスイッチ42との間、およびバッテリ41とリレー28との間にフューズ71,72を配置している。なお、このフューズ71,72は、第1実施形態、第2実施形態において同様に配置されていてもよい。
【0072】
また、第3実施形態のモータ駆動回路21cにおいては、ツェナーダイオード51のアノードがコントローラ30cに入力されており、さらにこのアノードは抵抗52を介して接地されている。つまり、ツェナーダイオード51によって正転FET23bが作動される構成にはされていない。その代わりに、モータ11に逆起電力が発生したときに、リレー28をON状態にするための構成を備えている。
【0073】
具体的には、コントローラ30cは、ツェナーダイオード51のアノードの電位が所定の電位(第2基準電位)を超えたことをトリガとして、一定時間(例えば1〜2秒間)ハイレベルを出力し、コントローラ30c内に設けられた2つのNPN型トランジスタ34,35をON状態とするワンショットマルチバイブレータ33c(単安定マルチバイブレータ)を備えている。これらのNPN型トランジスタ34,35は、エミッタが接地されており、ON状態とされるとコレクタ側からローレベルが出力されることになる。なお、ワンショットマルチバイブレータ33cのトリガは、モータ端子電圧を直接コントローラ30aに入力し、コントローラ30a内の電圧比較器等で発生させても良い(第4実施形態、第5実施形態においても同様)
一方でモータ駆動回路21cにおいては、イグニッションスイッチ42とリレー28との間に、バッテリ41側をアノードとし、リレー28側をカソードとする逆流防止用ダイオード64を備えている。また、FET22a,22bのドレイン側をエミッタに接続し、逆流防止用ダイオード64のカソード側をコレクタに接続したPNP型トランジスタ66を備えている。
【0074】
なお、PNP型トランジスタ66のコレクタは、逆流防止用ダイオード65を介してリレー28のコイル側に接続されている。また、リレー28のコイルにおける両端子間には、リレー28のコイル電流放電用のダイオード69が配置されている。また、FET22a,22bのドレイン側とPNP型トランジスタ66のベースとの間、このベースとNPN型トランジスタ34との間には、それぞれ抵抗68,67が配置されている。さらに、リレー28のコイルは、NPN型トランジスタ35のコレクタに接続されている。
【0075】
なお、NPN型トランジスタ35は、ワンショットマルチバイブレータによる作動時に限らず、モータ作動時にはコントローラ30cによってON状態とされる。
このようなモータ駆動回路21cにおいては、イグニッションスイッチ42がOFF状態のとき(つまり、リレー28もOFF状態のとき)にモータ11に逆起電力が発生すると、リレー28を一時的にON状態にすることができる。詳細には、モータ11に逆起電力が発生すると、この逆起電力によってダイオード24aを介してコンデンサ27が充電され、これとともにツェナーダイオード51のアノード側の電位が上昇する。そして、このアノード側の電位が、ある電位(第2基準電位)を超えるとコントローラ30cのワンショットマルチバイブレータ33cにトリガとして入力がされる。すると、ワンショットマルチバイブレータ33c固有の時間だけ所定の出力がなされ、NPN型トランジスタ34,35がON状態となる。
【0076】
なお、このとき、ワンショットマルチバイブレータ33cの電源は、コンデンサ27となる。そして、NPN型トランジスタ34,35がON状態のとき、PNP型トランジスタ66のベースがローレベルとなり、PNPトランジスタ66がON状態となる。
【0077】
すると、コンデンサ27に充電された電荷がPNP型トランジスタ66を介してリレー28のコイルに移動し、リレー28をON状態とする。このようにリレー28がON状態にされると、モータ11によって発生した逆起電力は、ダイオード24、リレー28を介してバッテリ41に逃げることができるようになる。
【0078】
また、リレー28がON状態となると、その後、バッテリ41からの電力によってワンショットマルチバイブレータ33cおよびリレー28のコイルに電力が供給されるようになり、所定の時間が経過し、NPN型トランジスタ34,35がOFF状態にされると、リレー28もOFF状態となる。
【0079】
このようなシートベルトECU20cでは、逆起電力を電源に逃がすことができる。即ち、一時的にモータ11を駆動させる回路(リレーやトランジスタ等のスイッチ)をON状態とし、バッテリ41を大容量のコンデンサとして利用する。このとき、モータ11端子(モータ11に電力を供給するための端子)の電位をバッテリ41の電位と一致させることができる。したがって、バッテリ41の電位以上の電位となる逆起電力が発生したとしても、モータ駆動回路21cを構成する素子や、モータ駆動回路21cに接続された他の機器の耐圧を越える電圧が加えられることを防止することができる。
【0080】
また、シートベルトECU20cでは、ワンショットマルチバイブレータ33cにて設定された継続時間だけはリレー28の作動が継続されるので、リレー28の作動・非作動が頻繁に繰り返されることを防止することができる。よって、リレー28の寿命を向上させることができる。
【0081】
また、シートベルトECU20cでは、ワンショットマルチバイブレータ33cの電源に、当該モータ駆動回路21cに備えられ、モータ11の逆起電力で充電されるコンデンサ27による電力を利用している。
【0082】
このようにすれば、モータ11を駆動しないときにおいて、ワンショットマルチバイブレータ33cによってモータ11の電源から電力が消費されることを防止することができる。
【0083】
[第4実施形態]
第4実施形態のシードベルトECU20dの回路図を図5に示す。
第4実施形態のシートベルトECU20dにおいては、第3実施形態のシートベルトECU20cと比較して、構成を簡素化している。即ち、図5に示すように、第3実施形態のシートベルトECU20cにて配置されていた、各ダイオード64,65,69や、トランジスタ34,66、抵抗67,68の配置を省略している。そして、リレー28のコイルへは、イグニッションスイッチ42を介することなく、バッテリ41の電力を供給するようにしている。
【0084】
このようにすれば、より簡素な構成でモータ11による逆起電力を電源に逃がす構成を実現することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態のシードベルトECU20eの回路図を図6に示す。
【0085】
第5実施形態のシードベルトECU20eにおいては、第1実施形態や第2実施形態に示したように、モータ11の端子間を短絡させる構成であるが、この際、ワンショットマルチバイブレータ33eを利用して正転FET23bをON状態にする。また、この際、バッテリ41電位(コンデンサ27の電位)を利用して正転FET23bをON状態にする。
【0086】
具体的には、図6に示すように、ワンショットマルチバイブレータ33eの出力は、NPN型トランジスタ37のベースに入力される。このNPN型トランジスタ37は、コレクタがFET22a,22bのドレインに接続され、エミッタが正転FET23bのゲートに接続されている。
【0087】
なお、コントローラ30eにおいては、ワンショットマルチバイブレータ33eとは別に、モータ11を作動させる通常時駆動回路39(プリドライバ回路)を備えており(第1実施形態〜第4実施形態においても同様)、本実施形態では、この通常時駆動回路39が作動する際には、通常時駆動回路39からワンショットマルチバイブレータ33eが作動しないように作動禁止信号が出力される。この作動禁止信号は、ワンショットマルチバイブレータ33eの作動自体を禁止してもよいし、ワンショットマルチバイブレータ33eからNPNトランジスタ37がON状態にならないようにハイレベルの出力を禁止するものであってもよい。
【0088】
このようなシードベルトECU20eでは、モータ11の非作動時において、モータ11に逆起電力が発生すると、ワンショットマルチバイブレータ33eが作動し、ワンショットマルチバイブレータ33eからハイレベルの出力がされる。この間、NPN型トランジスタ37がON状態とされ、正転FET23bが継続してON状態とされる。
【0089】
このようなモータ駆動回路21eによれば、ワンショットマルチバイブレータ33eを駆動させる電源となる電位を利用してFET23bを作動することができるので、FET23bを確実にON状態にすることができ、FET23bが過渡状態となることによるFET23bよる電力消費を抑制することができる。
【0090】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0091】
例えば、上記実施形態においては、プリクラッシュセーフティシステムに本発明のモータ駆動回路を採用したが、本発明は、外力によって逆起電力が発生する一般的なモータ駆動回路にも採用することができる。
【0092】
[発明と具体的構成要素との対応関係]
本発明でいう退避手段には、上記実施形態のツェナーダイオード51,正転FET23b、リレー28、ワンショットマルチバイブレータ33c〜33e、トランジスタ34〜37等が該当する。また、短絡手段には正転FET23bが該当し、短絡作動手段にはツェナーダイオード51が該当する。さらに、第1スイッチング手段には反転FET22a,23aが該当し、第2スイッチング手段には正転FET22b,23bが該当する。
【0093】
また、短絡禁止手段には、モータ駆動回路を構成する素子53〜61が該当する。さらに、接続手段には、リレー28が該当し、接続作動手段にはツェナーダイオード51,ワンショットマルチバイブレータ33c等が該当する。
【符号の説明】
【0094】
1…プリクラッシュセーフティシステム、5…前方監視装置、6…プリクラッシュ制御装置、7…ブレーキ制御装置、10…シートベルト巻取装置、11…モータ、12…ウェビング、13…スプール、14…クラッチ、20,20a〜20e…シートベルトECU、21a〜21e…モータ駆動回路、22a,23a…反転FET、22b,23b…正転FET、24a,24b…ダイオード、25a,25b…ダイオード、27…コンデンサ、28…リレー、30a〜30e…コントローラ、33c〜33e…ワンショットマルチバイブレータ、34…NPN型トランジスタ、35…NPN型トランジスタ、37…NPN型トランジスタ、39…通常時駆動回路、41…バッテリ、42…イグニッションスイッチ、51…ツェナーダイオード、53…禁止FET、57…PNP型トランジスタ、58…抵抗、59…抵抗、61…NPN型トランジスタ、64…逆流防止用ダイオード、65…逆流防止用ダイオード、66…PNPトランジスタ、66…PNP型トランジスタ、67…抵抗、68…抵抗、69…ダイオード、71,72…フューズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトの帯を巻回した状態で保持し、回動自在に支持された被駆動部材と、前記被駆動部材を駆動するための駆動力を発生するモータと、を備えたシートベルト巻取装置にて前記モータを駆動するためのモータ駆動回路であって、
前記被駆動部材に加えられる外力によって前記モータに逆起電力が発生したときに、前記モータを駆動するための電源または当該モータ自身に前記逆起電力を逃がす退避手段を備えたこと
を特徴とするモータ駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ駆動回路において、
前記退避手段は、
モータ端子同士を短絡させる短絡手段と、
前記モータにおける一端子の電位が予め設定された第1基準電位を超えると、前記短絡手段を作動させる短絡作動手段と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動回路。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ駆動回路において、
前記モータをある一方向に回転させる際にスイッチングされる一組のトランジスタから成る第1スイッチング手段と、
前記モータを前記一方向とは反対方向に回転させる際にスイッチングされる前記第1スイッチング手段とは異なる一組のトランジスタから成る第2スイッチング手段と、
を備え、
前記短絡手段は、前記第1スイッチング手段および前記第2スイッチング手段を構成するトランジスタのうちの少なくとも1つとして構成されていること
を特徴とするモータ駆動回路。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のモータ駆動回路において、
前記モータの作動中に、前記短絡作動手段が前記短絡手段を作動させることを禁止する短絡禁止手段、
を備えたことを特徴とするモータ駆動回路。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れかに1項に記載のモータ駆動回路において、
前記第1基準電位は、モータを駆動させる電源の電位よりも高い電位に設定されていること
を特徴とするモータ駆動回路。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか1項に記載のモータ駆動回路において、
前記短絡作動手段は、前記短絡手段側をアノードとし、前記モータにおける一端子側をカソードとするツェナーダイオードを備えていること
を特徴とするモータ駆動回路。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに1項に記載のモータ駆動回路において、
前記退避手段は、
前記モータにおける一端子を電源に電気的に接続させる接続手段と、
前記モータにおける一端子の電位が予め設定された第2基準電位を超えると、前記接続手段を作動させる接続作動手段と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動回路。
【請求項8】
請求項7に記載のモータ駆動回路において、
前記接続作動手段は、前記モータの一端子における電位が前記第2基準電位を超えると、予め設定された継続時間だけ前記接続手段の作動を継続させること
を特徴とするモータ駆動回路。
【請求項9】
請求項8に記載のモータ駆動回路において、
前記接続作動手段は、前記接続手段の作動を継続させる構成として、単安定マルチバイブレータを備えていること
を特徴とするモータ駆動回路。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−111035(P2011−111035A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269008(P2009−269008)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】