説明

モータ駆動装置、及びこれを用いた電動パワーステアリング装置

【課題】 体格が小さく、放熱性を向上するモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】モータ駆動装置2は、平板状のヒートシンク60上に第1モジュール部10、樹脂ケース40、第2モジュール部20、カバー50が組み付けられる。第1モジュール部10は、パワー素子を含む比較的高さの低い電子部品が搭載されてモールドされる。第2モジュール部20は、コンデンサ等の比較的高さの高い電子部品が基板に実装され、第1モジュール部10のモールド主面191の法線N方向に配置される。第1モジュール部10は、比較的高さの高い電子部品を含まないため、パワー素子等の上部に非有効空間が形成されることを防止する。また、第1モジュール部10がモールドされることで、熱抵抗を低減することができる。これにより、モータ駆動装置2の体格を小さくすることができ、また、パワー素子の発熱に対する放熱性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動装置、及びこれを用いた電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの回転トルクにより車両等の操舵トルクをアシストする電動パワーステアリング装置において、モータを駆動するモータ駆動装置が知られている。例えば、特許文献1の図14に記載されたモータの制御回路ユニットは、2枚の基板が基板面の法線方向(図の上下方向)に並んで配置されている。下側の基板にはパワー素子とコンデンサとが実装され、上側の基板には制御用マイコンが実装されている。また、下側の基板は、パワー素子が実装される面と反対側の面がヒートシンクに接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−204654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の制御回路ユニットは、高さの異なるパワー素子とコンデンサとが同じ基板に搭載されているため、高さの低いパワー素子の上部に「有効に利用されない空間(以下、「非有効空間」という。)」が形成される。そのため、制御回路ユニットの体格が大きくなる。
また、パワー素子が実装される基板はヒートシンクに接して放熱されるものの、パワー素子自体には、放熱を促進するための構成が取られていない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、体格が小さく、放熱性を向上するモータ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のモータ駆動装置は、第1モジュール部、第2モジュー部およびヒートシンクを備える。
第1モジュール部は、モータの駆動に係る出力を発生するパワー素子、当該パワー素子のオンオフを制御するマイクロコンピュータ、並びに、パワー素子およびマイクロコンピュータを板状にモールドし一方の側にモールド主面が形成され他方の側にモールド底面が形成されるモールド部を有する。
第2モジュール部は、第1モジュール部のモールド主面側であってモールド主面の法線方向に設けられ、第1モジュール部のパワー素子およびマイクロコンピュータの高さよりも高い高さをもつ電子部品が基板上に設けられている。
ヒートシンクは、第1モジュール部のモールド底面に当接し、パワー素子が発生する熱を受容可能である。
【0007】
このモータ駆動装置では、パワー素子、マイクロコンピュータ、制御IC等の比較的高さの低い電子部品や小型部品と、コイル、コンデンサ、リレー等の大型部品とを区分し、パワー素子を含む比較的高さの低い電子部品や小型部品は第1モジュール部に搭載し、大型部品は第2モジュール部に搭載する。そして、第1モジュール部をモールドする。
一方、第2モジュール部はモールドされない。仮に、大型部品を搭載し体積の大きい第2モジュール部をモールドしようとすると、モールド樹脂の剥離やコストアップという問題が生じるためである。言い換えれば、モールドに適さない大型部品が第2モジュール部に搭載される。
【0008】
そして、第1モジュール部と第2モジュール部とはモールド主面の法線方向に互いに離間して配置される。第1モジュール部は、比較的高さの高い電子部品を含まないため、パワー素子等の上部に非有効空間が形成されることを防止する。よって、モータ駆動装置の体格を小さくすることができる。
【0009】
また、モータ駆動装置の小型化に伴ってパワー素子が発生する熱が蓄熱しやすくなるため、放熱性がより要求されることとなる。そこで、本発明のモータ駆動装置は、パワー素子を含む第1モジュール部がモールドされることにより熱抵抗を低減することができる。また、第1モジュール部のモールド底面に当接するヒートシンクが、パワー素子の発熱を受容する。これにより、パワー素子の発熱に対する放熱性が向上し、パワー素子の温度上昇による故障や誤動作が防止することができる。よって、モータ駆動装置を小型化しつつ大電流化に有利となる。
【0010】
請求項2に記載のモータ駆動装置は、第1モジュール部と第2モジュール部との間に、モータの入力端子と電気的に接続され駆動電圧をモータに供給可能な出力端子を有するモータコネクタ部を備える。
これにより、ワイヤハーネスを用いることなく、端子同士を直接接触させてモータ駆動装置からモータへ電圧供給することができる。したがって、ハーネスの部品コストを低減することができ、また、ハーネスによる電力ロスを低減することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、第2モジュール部の基板上に設けられる電子部品は、パワー素子に供給される電源電圧のノイズを除去するためのコンデンサを含む。
このモータ駆動装置に使用される電子部品の中で、コンデンサは、現実的に比較的高さの高い電子部品である。そこで、コンデンサを第1モジュール部ではなく第2モジュール部の基板に実装することで、第1モジュールの高さを比較的低くすることができる。したがって、第1モジュール部のパワー素子等の上部に「非有効空間」が形成されることを防止し、モータ駆動装置の体格を小さくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によると、ヒートシンクは、前記第1モジュール部と反対側の面がモータに当接するようにモータに取付可能な取付部を有する。
例えば、ヒートシンクに取付穴が形成される。また、モータの外郭を構成するモータハウジングにモータの軸と略平行な平坦部が設けられ、この平坦部にねじ穴が形成される。そして、取付穴を通してねじが締め付けられることで、モータ駆動装置がモータに取り付けられる。
このようにモータ駆動装置とモータとを「合体」させることで、モータを含めた全体の体格を小さくすることができる。また、モータ駆動装置をモータと別体で取り付ける場合に必要となるブラケットを廃止することができる。
さらに、ヒートシンクに放出された熱がより容量の大きいモータハウジングに伝達されるため、放熱性を一層向上することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電動パワーステアリング装置に係る発明である。この電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ駆動装置と、当該モータ駆動装置によって駆動され、運転者のハンドル操作を補助するアシストトルクを発生するモータと、モータの駆動回転力をステアリングシャフトに伝達する動力伝達手段とを備える。
本発明のモータ駆動装置は、体格が小さく放熱性を向上することができるため、例えば、省スペース性や高い信頼性が要求される車両の電動パワーステアリング装置に適用されると特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。
【図3】図2の制御ブロック図のモータ電源回路P1およびモータ駆動回路P2部の詳細図である。
【図4】本発明の一実施形態によるモータ駆動装置をモータに取り付けた状態の(a)平面図、(b)正面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるモータ駆動装置の分解斜視図である。
【図6】図5のVI方向の矢視図である。
【図7】図5のVII方向の矢視図である。
【図8】本発明の一実施形態によるモータ駆動装置の第1モジュールの(a)モールド内部の平面図、(b)(a)のb−b断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるモータ駆動装置の第2モジュールの(a)正面図、(b)底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるモータ駆動装置を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1に示すように、「モータ駆動装置」としての電子制御装置(以下「ECU」という。)2は、例えば車両のステアリング操作をアシストするための電動パワーステアリング装置に適用される。
【0016】
図1は、電動パワーステアリング装置1を備えたステアリングシステム90の全体構成を示す。ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ72が設置されている。ステアリングシャフト92の先端にはピニオンギア96が設けられており、ピニオンギア96はラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が回転可能に連結されている。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の直線運動変位に応じた角度について一対の車輪98が操舵される。
【0017】
電動パワーステアリング装置1は、操舵アシストトルクを発生するECU2およびモータ8と、モータ8の正逆回転を減速してステアリングシャフト92に伝達する減速ギア89とを備える。電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91の操舵を補助するための操舵アシストトルクを発生し、ステアリングシャフト92に伝達する。
【0018】
次に、ECU2について、図2〜図9を参照して説明する。
まず、ECU2の電気回路の構成について、図2、図3を参照して説明する。図2に示すように、ECU2は、主にモータ電源回路P1、モータ駆動回路P2および制御回路から構成される。
【0019】
図3に示すように、モータ電源回路P1は、電源リレー203、コイル205、電解コンデンサ201、202、207およびツェナーダイオード206を含む。
電源リレー203は、バッテリ7とコイル205との間に接続され、モータ電源回路P1への電力を供給または遮断する。ツェナーダイオード206および電解コンデンサ207は、コイル205の電源側とグランドとの間に接続される。電解コンデンサ201、202は、コイル205の出力側とグランドとの間に接続される。この構成により、バッテリ7を共有する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、ECU2から他の装置へ伝わるノイズを低減する。また、電解コンデンサ201、202に蓄えた電荷によりモータ駆動回路P2への電力供給を補助する。
【0020】
モータ駆動回路P2は、4個のパワー素子103a〜103dおよび電流検出素子104を含む。
パワー素子103a〜103dは、例えばMOS電解効果トランジスタである。パワー素子103a〜103dは、プレドライバ126から出力されるゲート電圧によりソース−ドレイン間がオン(導通)またはオフ(遮断)される。パワー素子103a、103bは、ドレインが電源ラインに接続され、ソースがそれぞれパワー素子103c、103dのドレインに接続されている。パワー素子103c、103dのソースは、電流検出抵抗104を介して接地されている。
【0021】
パワー素子103aとパワー素子103cとの接続点はモータ8の入力端子851に接続され、パワー素子103bとパワー素子103dとの接続点は、モータリレー204を介してモータ8の入力端子852に接続されている。電流検出抵抗104を流れる電流を検出することにより、モータ8に通電される電流が検出される。
【0022】
図2に戻り、制御回路は、主に、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という。)101および制御IC102によって構成される。
マイコン101は、電流制御111、フェールセーフ112を含み、以下の信号が入出力される。入力信号については、トルクセンサ72(図1参照)、車速73、エンジン回転74等から入力回路71、及び制御IC102のセンサ入力123、入力バッファ124を経由して入力される。出力信号については、制御IC102の出力信号125、出力回路76を経由してアイドルアップ77へ出力される。
また、マイコン101には、固有周波数を発振するクロックとしての発振子105、温度センサとしてのサーミスタ抵抗108、及びコンデンサ106が接続される。
【0023】
制御IC102は、電源121、メインCPU監視122、センサ入力123、入力バッファ124、出力信号125、プレドライバ126および電流モニタ127を含む。
電源121は、バッテリ7および電解コンデンサ208に接続され、制御IC102自身およびマイコン101へ制御用電源を供給する。メインCPU監視122は、マイコン101を監視する。プレドライバ126は、マイコン101の電流制御111の制御に基づき、モータ駆動回路P2のパワー素子103a〜103d(図3参照)のゲート電圧を変化させることにより、パワー素子103a〜103dのオンオフを切り替える。電流モニタ127は、電流検出抵抗104(図3参照)を流れる電流を検出し、メインCPU監視122へフィードバックする。
また、制御IC102には、コンデンサ107が接続される。
【0024】
次に、ECU2の構造について、図4〜図8を参照して説明する。
図4に示すように、ECU2は、モータ8の軸方向に略平行に取り付けられる。モータ8は、ブラシ付モータであり、図示しない固定子、回転子等を収容するモータケース81、駆動電力が供給されるモータハウジング82、出力軸であるジョイント84等を備えている。モータハウジング82は、図4(a)の視方向すなわち図4(b)の上方に平坦部83を有しており、平坦部83の中央寄りには2つの入力端子851、852が設けられている。
【0025】
ECU2の外観は、図4(b)に破線で示すように、モータ8側からヒートシンク60、樹脂ケース40、カバー50の3部分からなる略直方体である。ECU2は、平板状のヒートシンク60の下面である取付面612がモータハウジング82の平坦部83に当接するように、モータ8に取り付けられる。
【0026】
図5、図6、図7に示すように、ECU2は、ヒートシンク60上に第1モジュール部10、樹脂ケース40、第2モジュール部20、カバー50が組み付けられる。
ヒートシンク60は、例えばアルミニウム等の良熱伝導材料で形成され、主面611が略長方形の平板状である。主面611の長手方向の一方の端部には、モータハウジング82の平坦部83へ取り付けるための2箇所の取付穴62が形成されている。取付穴62は、特許請求の範囲に記載の「取付部」に相当する。
【0027】
樹脂ケース40は、略長方形の枠状であり、枠部41の内側に第1モジュール部10および第2モジュール部20を収容する。樹脂ケース40は、図6の視方向である「正面」側に制御コネクタ部44が設けられ、図7の視方向である「側面」側にモータコネクタ部45が設けられている。
【0028】
第1モジュール部10の外観は、板状のモールド部18、リードフレーム32、331、332およびリード端子34からなる。
モールド部18は、第2モジュール部20に対向する側にモールド主面191を有し、ヒートシンク60側にモールド底面192を有している。本実施形態では、モールド主面191、モールド底面192は、略長方形状である。
【0029】
リード端子34は、モールド部18の「正面」側からカバー50側へ屈曲して延び、樹脂ケース40の制御コネクタ部44の内側に接続される。また、リードフレーム32、331、332は、モールド部18の「側面」側からカバー50側へ屈曲して延び、樹脂ケース40のモータコネクタ部45の内側に接続される。
【0030】
第2モジュール部20は、樹脂ケース40の枠部41の内側に形成される支持部42に支持される。第2モジュール部20の取付穴23および樹脂ケース40の支持部42の穴43を貫通してねじ53がヒートシンク60のねじ穴63に締め付けられることにより、第2モジュール部20および樹脂ケース40がヒートシンク60に共締めされる。
【0031】
第2モジュール部20は、第1モジュール部10のモールド主面191の法線方向(図5のN方向)に配置される。また、第2モジュール部20が支持部42に支持されることで、第2モジュール部20は、第1モジュール部10と所定の距離だけ離間して配置される。さらに本実施形態では、第2モジュール部20は、第1モジュール部10と略平行に配置される。
【0032】
カバー50は、例えば板金をプレス加工して形成され、ヒートシンク60と共に、ねじ52でモータハウジング82に取り付けられる。カバー50は、樹脂ケース40の枠部41上方の開口を塞ぐ。
【0033】
次に図8に示すように、第1モジュール部10は、主に、第1基板100に搭載された各種電子部品と、4個のパワー素子103a〜103dを含むパワー素子部13とが樹脂でモールドされている。
第1基板100には、マイコン101、制御IC102、電気検出抵抗104、発振子105、コンデンサ106、107、サーミスタ抵抗108等が搭載されている。外部からの入力信号または外部への出力信号は、制御コネクタ部44に接続された図示しない配線、及びリード端子34を経由して制御IC102等に入出力される。また、第1基板100の底面は、モールド底面192に露出しており、ヒートシンク60の主面611に当接する。
【0034】
パワー素子部13を構成する4個のパワー素子103a〜103dは、ドレイン電極が電極板133ab、133c、133dにはんだ付けされている(図中の符号132がはんだを示す)。電極板133ab等は、絶縁シート134を介して放熱板135に接合されている。放熱板135は、例えば銅板であり、モールド底面192に露出してヒートシンク60の主面611に広い面積で当接する。これにより、パワー素子103a〜103dが発生した熱は、放熱板135を経由してヒートシンク60に放出される。
【0035】
パワー素子103a〜103dは、第1基板100とボンディングワイヤ131で接続されている。電源電圧側のパワー素子103a、103b(図3参照)は、パワー素子部13の中央側に配置され、グランド側のパワー素子103c、103dは、パワー素子部13の両端に配置される。
【0036】
パワー素子103a、103bのドレイン電極がはんだ付けされる電極板133abは、リードフレーム32と一体に形成される。リードフレーム32は、図示しない配線を経由して電源電圧端子に接続される。
一方、パワー素子103c、103dのドレイン電極がはんだ付けされる電極板133c、133dは、それぞれリードフレーム331、332と一体に形成される。リードフレーム331、332は、モータコネクタ部45の出力端子451、452(図4(a)参照)に接続される。
ECU2をモータ8に取り付けたとき、出力端子451、452は、モータ8の入力端子851、852に接触する。これにより、パワー素子103c、103dのドレインからモータ8へ駆動電圧が供給される。
【0037】
続いて図9に示すように、第2モジュール部20は、比較的高さの高い大型電子部品が第2基板200に実装されている。実装される電子部品のうち、電解コンデンサ201、202、207、208、電源リレー203、コイル205およびツェナーダイオード206は、バッテリ7からの電源入力側の部品である。また、モータリレー204は、モータ8への出力側の部品である。なお、第2基板200は、例えばガラスエポキシ基板で形成される。
【0038】
(作動)
次に、ECU2の作動を説明する。
第1モジュール部10に搭載されたマイコン101は、トルクセンサ72、車速73、エンジン回転74等からの入力信号、及び電流モニタ127からの電流検出信号に基づき、制御IC102のプレドライバ126を介してパルス信号(PWM信号)を生成し、パワー素子103a〜103dのオンオフを制御する。
【0039】
一方、第2モジュール部20に実装された電源リレー203、コイル205等の電子部品を含むモータ電源回路P1から、パワー素子103a〜103dを含むモータ駆動回路P2に電源電圧が供給される。そして、パワー素子103a〜103dがオンオフ動作することにより、リードフレーム331、332から出力端子451、452を経由して、モータ8の入力端子851、852に電力が供給され、モータ8が回転する。
モータ8の出力は、減速ギア89を経由してステアリングシャフト92に伝達され、運転者の操舵をアシストする。
【0040】
一実施形態のECU2は、以下(1)〜(3)の効果を奏する。
(1)パワー素子103a〜103dを含む比較的高さの低い電子部品が搭載された第1モジュール部10と、電解コンデンサ201、202等の比較的高さの高い大型部品が搭載された第2モジュール部20とが、モールド主面191の法線N方向に互いに離間して配置される。第1モジュール部10は、比較的高さの高い電子部品を含まないため、パワー素子103a〜103d等の上部に非有効空間が形成されることを防止する。よって、ECU2の体格を小さくすることができる。
【0041】
(2)パワー素子103a〜103dを含む第1モジュール部10がモールドされることで、熱抵抗を低減することができる。また、パワー素子103a〜103dの発熱は、放熱板135を経由してヒートシンク60に放出される。さらに、ヒートシンク60は、取付面612がモータハウジング82の平坦部83に当接して取り付けられるため、ヒートシンク60からモータ8へ放熱される。
これにより、パワー素子103a〜103dの発熱に対する放熱性が向上し、パワー素子103a〜103dの温度上昇による故障や誤動作を防止することができる。よって、ECU2を小型化しつつ大電流化に有利となる。
【0042】
(3)ECU2をモータ8に取り付けたとき、出力端子451、452がモータ8の入力端子851、852に接触し、出力電圧がモータ8へ供給される。これにより、ワイヤハーネスを用いることなく、端子同士を直接接触させてECU2からモータ8へ電圧供給することができる。したがって、ハーネスの部品コストを低減することができ、また、ハーネスによる電力ロスを低減することができる。
【0043】
(4)ECU2は、モータ8の軸と略平行に取り付けられる。このようにECU2とモータ8とを「合体」させることで、モータ8を含めた全体の体格を小さくすることができる。また、ECU2をモータ8と別体で取り付ける場合に必要となるブラケットを廃止することができる。
【0044】
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態では、第2モジュール部20が第1モジュール部10と略平行に配置されるが、第2モジュール部20と第1モジュール部10とは非平行であってもよい。
(イ)上記実施形態では、第1モジュール部10のモールド部18のモールド主面191およびモールド底面192は略長方形状であるが、これに限らない。
(ウ)上記実施形態では、ヒートシンク60は、ねじ52によりモータ8に取り付けられる。その他、ヒートシンク60は、係合、接着、かしめ等の方法でモータに取り付けられてもよい。
【0045】
(エ)本発明のモータ駆動装置は、上記実施形態のようなブラシ付モータに限らず、ブラシレスモータに用いることもできる。ブラシレスモータに用いる場合、モータの回転角検出信号をモータ駆動装置に伝送するための信号線をコネクタ端子により接続してもよく、あるいは、ハーネスにより接続してもよい。
(オ)上記実施形態では、車両の電動パワーステアリング装置に適用されるECUについて説明したが、本発明のモータ駆動装置は、他の用途のモータに適用されてもよい。
【0046】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・・電動パワーステアリング装置、
2 ・・・ECU(モータ駆動装置)、
10 ・・・第1モジュール部、
101 ・・・マイクロコンピュータ(マイコン)、
103a〜103d・・・パワー素子、
18 ・・・モールド部、
191 ・・・モールド主面、
192 ・・・モールド底面、
20 ・・・第2モジュール部、
45 ・・・モータコネクタ部、
451、452・・・出力端子、
60 ・・・ヒートシンク、
62 ・・・取付穴(取付部)、
8 ・・・モータ、
851、852・・・入力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動に係る出力を発生するパワー素子、当該パワー素子のオンオフを制御するマイクロコンピュータ、並びに、前記パワー素子および前記マイクロコンピュータを板状にモールドし一方の側にモールド主面が形成され他方の側にモールド底面が形成されるモールド部を有する第1モジュール部と、
前記第1モジュール部の前記モールド主面側であって前記モールド主面の法線方向に設けられ、前記第1モジュール部の前記パワー素子および前記マイクロコンピュータの高さよりも高い高さをもつ電子部品が基板上に設けられた第2モジュール部と、
前記第1モジュール部の前記モールド底面に当接し、前記パワー素子が発生する熱を受容可能なヒートシンクと、
を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記第1モジュール部と前記第2モジュール部との間に、モータの入力端子と電気的に接続され駆動電圧をモータに供給可能な出力端子を有するモータコネクタ部を備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記第2モジュール部の基板上に設けられる電子部品は、前記パワー素子に供給される電源電圧のノイズを除去するためのコンデンサを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記ヒートシンクは、前記第1モジュール部と反対側の面がモータに当接するようにモータに取付可能な取付部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ駆動装置と、
当該モータ駆動装置によって駆動され、運転者のハンドル操作を補助するアシストトルクを発生するモータと、
前記モータの駆動回転力をステアリングシャフトに伝達する動力伝達手段と、
を備えた電動パワーステアリング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−200088(P2012−200088A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62972(P2011−62972)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】