説明

ユニバーサル・プロセス伝送器コネクタ

【解決手段】フィールド機器用の電気コネクタ装置は、第1端部及び第2端部を有するハウジング、電気フィードスルー部品組立体、ハウジングの外部から目視可能な可視表示部を備える。前記ハウジングの前記第1端部は、前記フィールド機器に機械的に接続可能に構成される。前記電気フィードスルー部品組立体は、前記ハウジング内の少なくとも一部を通過して延設され、前記ハウジングの前記第2端部において着脱可能に電気的接続を行うように構成された複数の導電体、及び、前記ハウジングの前記第1端部と前記第2端部との間に配置された防炎バリアを備える。前記可視表示部は、前記電気フィードスルー部品組立体の給電状態を表示する複数の照光モードを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業プロセス設備で使用されるフィールド機器用の電気接続コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
産業プロセス設備では、産業プロセスにおける計測、駆動の他、制御や監視にフィールド機器(例えば産業プロセス伝送器)が使用される。フィールド機器には、例えばプロセス・センサ(温度、圧力、流量などの検出用)、プロセス・アクチュエータ、プロセス制御モジュール、プロセス警報モジュール、プロセス診断モジュールなどが含まれる。一般的な産業プロセス設備では、比較的多くのフィールド機器が特定の用途に対する必要性に応じて様々な場所に配置され、各フィールド機器はフィールド機器の動作を制御する分散制御システム(DCS)と通信可能である。
【0003】
フィールド機器は一般にハウジングを備え、ハウジングは、火災及び爆発の危険性を想定して機器の適切な保護を行う必要のある産業プロセス設備において、時として過酷となる環境から脆弱な内部電気回路を保護するべく特別に設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業プロセス設備ではフィールド機器の設置及び保守が必要となる。多くの既存のフィールド機器は、より新しい機器にあるようなディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)を備えておらず、また、多くの既存のフィールド機器は、過渡保護回路を構成するインテグラル形端子ブロックも備えていない。ディスプレイなどの可視表示部が無いため、設備の保守要員には、各フィールド機器への給電がなされているのを確認するなど、各フィールド機器が適切に設置され、作動しているかを確認する作業に大きな負担がかかる。
【0005】
多数のフィールド機器を産業プロセス設備の一角にまとめて設置した場合でも、可視表示部の補助なく手作業でこれらの機器を検査するのは依然として作業員に大きな負担がかかるおそれがある。給電中のフィールド機器の筐体を作業者が開放することは安全基準によって制限されることがあり、フィールド機器の給電状態に関する表示は作業員が筐体を開放できる時期を知る一助となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
フィールド機器用の電気コネクタ装置は、第1端部及び第2端部を有するハウジング、電気フィードスルー部品組立体、前記ハウジングの外部から目視可能な可視表示部を備える。前記ハウジングの前記第1端部は、前記フィールド機器に機械的に接続可能に構成される。前記電気フィードスルー部品組立体は、前記ハウジング内の少なくとも一部を通過して延設され、前記ハウジングの前記第2端部において着脱可能に電気的接続を行うべく構成された複数の導電体、及び、前記ハウジングの前記第1端部と前記第2端部との間に配置された防炎バリアを備える。前記可視表示部は、前記電気フィードスルー部品組立体の給電状態を表示する複数の照光モードを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るユニバーサル・プロセス伝送器コネクタの斜視図である。
【図2】フィールド機器に接続されたユニバーサル・プロセス伝送器コネクタの側面図である。
【図3】図1の線3−3に沿うユニバーサル・プロセス伝送器コネクタの断面図である。
【図4】ユニバーサル・プロセス伝送器コネクタの電気フィードスルー回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、概して産業プロセス設備で使用されるフィールド機器に電気フィードスルーを経由して給電するユニバーサル・プロセス伝送器(UPT)コネクタを提供する。UPTコネクタは1つで複数のメリットを享受できると共に、比較的小型にパッケージ化されている。UPTコネクタはフィールド機器に電力が供給されているか否かを表示可能な可視表示部を備える。可視表示部はUPTコネクタの周りに間隔を存して配され、給電されたときに照光する発光ダイオード(LED)を有する。
【0009】
また、UPTコネクタは、接続されたフィールド機器の脆弱な電気回路をサージ電圧などの一時的事象から保護する過渡保護回路を備える。更に、UPTコネクタは、防炎及び防爆バリア(又はシール)を備え、炎及び加圧ガスがフィールド機器からUPTコネクタを通過して出て行くことを防止し、又はその逆も同様に防止する。UPTコネクタは、eurofast(登録商標)コネクタ、又はminifast(登録商標)コネクタのような迅速な接続機能を備えるように構成しても良く、実質的に円筒形のコネクタ・ハウジングに収容しても良い。
【0010】
図1は、UPTコネクタ10の斜視図であり、UPTコネクタ10はハウジング12を備え、ハウジング12は両端に第1端部14及び第2端部16を備える。本実施形態では、ハウジング12は実質的に円筒形状をなし、第1端部14,第2端部16にそれぞれ雄ねじ18,20を有する。第1端部14と第2端部16との間にはハウジング12の表面に工具(例えば汎用レンチ)によってUPTコネクタ10を把持して回転可能とする複数の平面22が設けられている。本実施形態では、6つの平面22が六角ナットのように形成される。ハウジング12は金属材料から形成することができる。
【0011】
ハウジング12の中間部24は、第1端部14と第2端部16との間に位置する。より具体的には本実施形態において、中間部24は複数の平面22とハウジング12の第2端部16との間に位置する。第1端部14及び第2端部16は両方とも実質的に同じ直径(例えば約1.27cm、即ち0.5インチ)を有し、中間部24は第1端部14及び第2端部16よりも若干大きい直径を有していても良い。
【0012】
可視表示部26は、ハウジング12の中間部24に沿って配置され、ハウジング12の外部から目視できる。本実施形態では、可視表示部26は、UPTコネクタ10に関連したパラメータ状態を表示するべく照光可能な3つのLED78を備え、例えばUPTコネクタ10を経由して電力を供給中である旨を照光して表示する。LED78はどんな色でも良いが、好ましい、正常、オン状態などといったUPTコネクタ10の作動状態を可視表示部26の照光によって表すような用途には緑色が好適である。代替実施形態として可視表示部26は必要に応じて増減することが可能である。可視表示部26はハウジング12の外周面に配置することが可能であり、例えば互いに約120°ずつの間隔で3つの可視表示部26を配置しても良い。可視表示部26の作動は後述する。
【0013】
図2は、代表的なフィールド機器30に接続されたUPTコネクタ10の側面図であり、フィールド機器30はプロセス・センサ(温度、圧力、流量などの検出用)、プロセス・アクチュエータ、プロセス制御モジュール、プロセス警報モジュール、プロセス診断モジュール、プロセス信号無線中継伝送器などである。フィールド機器30は接続機構34が形成されたハウジング32を備える。本実施形態では、接続機構34はハウジング32に形成された円筒部であり、雌ねじが形成されている。UPTコネクタ10のハウジング12の第1端部14はフィールド機器30の接続機構34に螺合されるが、ハウジング12の第1端部14は図2では見えなくなっている。UPTコネクタ10のハウジング12の第2端部16は同様の方法で別の構造物に接続可能である。
【0014】
フィールド機器30を作動させるための電気回路がハウジング32の内部に配置され、保護される。ハウジング32は、金属材料から形成されることが多く、産業プロセス設備の様々な場所において火災、爆発などから機器を適宜保護するべく構成される。後述するように、UPTコネクタ10は、フィールド機器30と、フィールド機器30の内部回路に給電するのに適切な電源装置(図示しない)との間の接続を行う。
【0015】
図3は、図1の線3−3に沿うUPTコネクタ10の断面図である。図3の本実施形態に示すように、3つのワイヤ36,38,40が第1端部14と第2端部16との間でハウジング12内を通過して延設される。従来構成では、2つのワイヤ36,38が給電を行い、3つ目のワイヤ40が接地に用いられる。UPTコネクタ10は、着脱容易な市販の迅速な接続機構と互換性を持たせることができる。例えば、UPTコネクタ10は、ターク・インターリンクBT社のeurofast(登録商標)コネクタ、若しくはminifast(登録商標)コネクタとの互換性、又はローズマウント社の1/2インチNPT又はM20との互換性を備えるようにしても良い。迅速な接続機構を使用することにより、工具が不要となるだけでなく、着脱を迅速に行えて好適である。
【0016】
バリア42は、ハウジング12の両端の第1端部14と第2端部16との間となるUPTコネクタ10の内部に設けられる。バリア42は、UPTコネクタ10の内部に防炎及び防爆シールを形成し、これにより、例えば炎及び加圧状態のガスなどがUPTコネクタ10を通過してフィールド機器30から出て行くことが防止され、又はその逆も同様に防止される。ろう付け又はガラス金属間接合などの工業技術を使用し、適切な防炎及び防爆の評価基準を満たすようにバリア42を形成することができる。
3つのワイヤ36,38,40は、ハウジング12の内部に埋め込まれた回路基板48に電気的に接続される。回路基板48は、可視表示部26(図3では1つだけ見える)に電気的に接続される。
【0017】
図4は、UPTコネクタ10の電気フィードスルー回路の概略図である。UPTコネクタ10の電気回路は、ラインサージなどの一時的事象から保護するための過渡保護回路50を有する回路基板48、UPTコネクタ10への給電を可視的に表示する可視表示部回路52、DC電源装置への電気接続用の正極端子54及び負極端子56、フィールド機器への電気接続用の正極端子58及び負極端子60を備える。
【0018】
過渡保護回路50は、従来方式で作動するものであり、接地された避雷管、回路内においてダイオードへの電流を制限する一対の抵抗器64、整流を行う低容量ダイオード66、第1過渡アブソーバ68(例えば相互に対向するツェナー・ダイオードからなり、コネチカット州のシェルトンのビシェイ・アメリカ社から入手可能なTransorb(登録商標)など)、及び接地された第2過渡アブソーバ70を備える。過渡保護回路50の構成及び動作は、既知の過渡保護回路と同様である。UPTコネクタ10の内部に過渡保護回路50を備えることにより、別個の過渡保護を外部に設けずに済み、そのためのスペースと設置時間を節減することができる。
【0019】
可視表示部回路52は、並列接続された冗長ダイオード72、DC−DC変換器74、パルス回路76、複数のLED78を備える。各ダイオード72は、各LED78に給電するための電圧降下を可視的表示回路52のループ内に発生させる。各ダイオード72は、たとえダイオード72の1つが断線してもLED78に給電し続けるように重複して設けられる。DC−DC変換器74は、既知の構成を有するものであっても良く、一実施形態では、DC0.7Vの入力でDC1.8Vの出力が可能である。パルス回路76はデューティ・サイクルで間歇的にLED78に電流を供給することにより、肉眼にはLED78が連続的に照光しているように見えるにもかかわらず電力を節減可能とする。パルス回路76は公知の構成であっても良い。
【0020】
本実施形態では、3つのLED78が並列接続で設けられ、UPTコネクタ回路を経由して給電が行われる限り3つすべてのLED78が同時に照光する。LED78はフィールド機器に給電する電源から電力を得るため、UPTコネクタ10を経由して供給するフィールド機器への電力が不足したとき、LED78は照光を停止する。これにより、電気フィードスルー回路の給電状態がオン、オフで可視的に表示される。
【0021】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細構造について変更が可能であることは理解できよう。例えば、UPTコネクタの具体的な寸法はほとんど如何なる型式の部品、ケーブル等に適合するように変更することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド機器に使用する電気コネクタ装置であって、
第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部が前記フィールド機器に機械的に接続されるべく構成されるハウジングと、
前記ハウジング内の少なくとも一部を通過して延設される電気フィードスルー部品組立体と
を備え、
前記電気フィードスルー部品組立体は、
前記ハウジングの前記第2端部において着脱可能に電気的接続を行う複数の導電体と、
前記ハウジングの前記第1端部と前記第2端部との間に配置された防炎バリアと、
前記ハウジングの外部から目視可能な可視表示部と
を備え、
前記可視表示部は、前記電気フィードスルー部品組立体の給電状態を示す複数の照光モードを有することを特徴とする電気コネクタ装置。
【請求項2】
前記電気フィードスルー部品組立体は、前記複数の導電体に接続されて作動する過渡保護回路を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項3】
前記過渡保護回路は、前記可視表示部に電気的に接続される複数の冗長ダイオードを備えることを特徴とする請求項2に記載の電気コネクタ装置。
【請求項4】
前記防炎バリアは更に防爆性を有することを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項5】
前記ハウジングは実質的に円筒形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、工具を係合させて前記ハウジングを回転させるため複数の平面を有することを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ装置。
【請求項7】
前記ハウジングの前記第1端部にはねじが形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項8】
前記可視表示部は、前記複数の照光モードを実行するために複数色で照光する発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項9】
前記可視表示部はパルス回路に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項10】
フィールド機器用の電気コネクタ装置であって、
第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部が前記フィールド機器に螺合して固定されるように構成されるハウジングと、
前記ハウジング内の少なくとも一部を通過して延設される電気フィードスルー部品組立体と
を備え、
前記電気フィードスルー部品組立体は、
前記ハウジングの前記第2端部において着脱可能に電気的接続を行う複数の導電体と、
前記ハウジング内に設けられた防炎バリアと、
前記複数の導電体に接続されて作動する過渡保護回路と、
前記ハウジングの外部から目視可能な可視表示部と
を備え、
前記可視表示部は、前記電気フィードスルー部品組立体の給電状態を示す複数の照光モードを有することを特徴とする電気コネクタ装置。
【請求項11】
前記防炎バリアは更に防爆性を有することを特徴とする請求項10に記載の電気コネクタ装置。
【請求項12】
前記ハウジングは実質的に円筒形状をなすことを特徴とする請求項10に記載の電気コネクタ装置。
【請求項13】
前記可視表示部は発光ダイオードからなることを特徴とする請求項10に記載の電気コネクタ装置。
【請求項14】
前記可視表示部はパルス回路に接続されることを特徴とする請求項10に記載の電気コネクタ装置。
【請求項15】
前記過渡保護回路は、前記可視表示部に電気的に接続される複数の冗長ダイオードを備えることを特徴とする請求項10に記載の電気コネクタ装置。
【請求項16】
ねじ付開口部を有するフィールド機器ハウジングと、
前記フィールド機器ハウジングの内部に設けられたフィールド機器回路と、
第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部が前記フィールド機器の前記ねじ付開口部に接続されるコネクタ・ハウジングと、
前記コネクタ・ハウジングの少なくとも一部を通過して延設される電気フィードスルー部品組立体と
を備え、
前記電気フィードスルー部品組立体は、
前記フィールド機器回路に電気的に接続され、前記コネクタ・ハウジングの前記第2端部において着脱可能に電気的に接続を行うように構成された複数の導電体と、
前記コネクタ・ハウジング内に設けられた防炎バリアと、
前記複数の導電体が接続されて作動する過渡保護回路と、
前記コネクタ・ハウジングの外部から目視可能な可視表示部と
を備え、
前記可視表示部は、前記電気フィードスルー部品組立体を経由して前記フィールド機器回路に供給される電力に応じて照光されることを特徴とする産業プロセス制御装置。
【請求項17】
前記防炎バリアは更に防爆性を有することを特徴とする請求項16に記載の産業プロセス制御装置。
【請求項18】
前記ハウジングは実質的に円筒形状をなすことを特徴とする請求項16に記載の産業プロセス制御装置。
【請求項19】
前記可視表示部はパルス回路に接続されることを特徴とする請求項16に記載の産業プロセス制御装置。
【請求項20】
前記電気フィードスルー部品組立体及び前記コネクタ・ハウジングの前記第2端部はeurofast(登録商標)コネクタと互換性のある接続で構成されることを特徴とする請求項16に記載の産業プロセス制御装置。
【請求項21】
前記電気フィードスルー部品組立体及び前記コネクタ・ハウジングの前記第2端部はminifast(登録商標)コネクタと互換性のある接続で構成されることを特徴とする請求項16に記載の産業プロセス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509554(P2012−509554A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536320(P2011−536320)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/006063
【国際公開番号】WO2010/059187
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(597115727)ローズマウント インコーポレイテッド (240)
【Fターム(参考)】