説明

ユーザ特定方法、ユーザ特定装置、電子機器および機器システム

【課題】簡単な操作によって容易かつ正確に、機器に対してユーザを特定させることができるようにする。
【解決手段】あらかじめ、機器内に各ユーザの手拍子パターンを各ユーザのユーザIDと対応づけて登録しておく。ユーザは、機器に対して自身を特定させるときには、登録時と同様に手拍子を打つ。機器のCPUは、その手拍子パターンを検出し、登録されている手拍子パターン中に、一致する手拍子パターンが存在するか否かを判断し、存在する場合には、それに対応づけられたユーザIDによって、ユーザを特定する。同じ方法によってリモートコントローラやパーソナルコンピュータでユーザを特定し、ユーザIDをコンテンツ記録再生装置などの機器に送信するようにシステムを構成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のユーザが同じ機器を利用する場合に、機器側で現に機器を利用するユーザを特定するための方法および装置、および、そのようなユーザ特定機能を備える電子機器および機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一つの機器を家族などの複数のユーザが利用し、しかもユーザごとに機器の設定や処理を切り替える電子機器が多くなりつつある。
【0003】
例えば、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダとして、ユーザがキーワードを入力することによって、そのキーワードに該当する番組を自動的に記録する機能を備えるとともに、複数のユーザが各自のキーワードを設定できるものが考えられている。
【0004】
このような機器に対してユーザを特定させるには、ユーザが機器のリモートコントローラや機器本体に表示されたメニュー画面などで、自身の名前やパスワードを入力する方法が用いられる。
【0005】
また、特許文献1(特開昭61−172239号公報)には、人の声による機器の操作を機器側で音声認識によって判別する場合の一方法が示されており、ユーザの声によって機器に対してユーザを特定させることも考えられる。
【0006】
なお、特許文献2(特開2003−228460号公報)には、携帯情報端末用のスタイラスを紛失した場合に容易に探し出すことができるように、ユーザが特定のリズムの手拍子を打つと、その音がスタイラス内のマイクロフォンで検出されてスタイラス内の圧電サウンダが鳴動するようにスタイラスを構成することが示されている。
【0007】
上に挙げた先行技術文献は、以下のとおりである。
【特許文献1】特開昭61−172239号公報
【特許文献2】特開2003−228460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように機器に対してユーザを特定させるために、ユーザが機器のリモートコントローラや機器本体に表示されたメニュー画面などで、自身の名前やパスワードを入力する方法は、ユーザにとって煩わしい。
【0009】
ユーザが自身の声で、自身の名前やパスワードを機器に入力する方法は、機器に向かって発声するため、抵抗感があるとともに、人の声は環境音に埋もれやすいため、正確な判別が難しい。
【0010】
一方、同じ機器を多数のユーザが利用する場合と異なり、同じ機器を家族などの限られた人数のユーザが利用する場合には、セキュリティチェックのような厳密な個人認証を行う必要はない。
【0011】
そこで、この発明は、簡単な操作によって容易かつ正確に、機器に対してユーザを特定させることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のユーザ特定方法は、
複数のユーザについての叩打音のパターンを、それぞれ叩打パターンとして、それぞれのユーザを特定するユーザ識別子と対応づけて記憶手段に登録する登録ステップと、
叩打音を収音し、入力音声信号として取得する音声取得ステップと、
その取得した入力音声信号を処理し、叩打パターンを検出する音声処理ステップと、
その検出した叩打パターンを前記記憶手段に登録されている叩打パターンと比較して、前記記憶手段に登録されている叩打パターン中に前記検出した叩打パターンと一致する叩打パターンが存在するか否かを判断し、存在する場合には、その一致する叩打パターンに対応づけられて前記記憶手段に登録されているユーザ識別子によってユーザを特定する制御ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記の構成のユーザ特定方法では、ユーザは、ユーザごとに異なるパターンで、手拍子を打ち、機器のそばに設けられた鐘を叩き、または機器のへりを叩く、などの簡単な操作によって簡便に、機器に対してユーザを特定させることができる。
【0014】
しかも、人の声と異なり、このような叩打音は環境音に埋もれることが少なく、機器側では、容易かつ正確に叩打パターンを判別し、ユーザを特定することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、簡単な操作によって容易かつ正確に、機器に対してユーザを特定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[1.第1の実施形態(ユーザ特定装置が組み込まれた機器の例):図1〜図9]
(1−1.ユーザ特定装置および機器の全体の構成:図1)
図1は、この発明のユーザ特定装置の一例、およびユーザ特定装置を備える電子機器の一例としてのコンテンツ記録再生装置を示す。
【0017】
この例のコンテンツ記録再生装置10は、CPU11を備え、そのバス12に、各種のプログラムやデータが書き込まれたROM13、およびプログラムやデータが展開されるRAM14が接続される。
【0018】
また、バス12には、入出力ポート16を介して、ハードディスク15が接続され、入出力ポート18を介して、CD(Compact Disc)やDVDなどの記録メディア17が接続され、RF送受信回路などのRFインタフェース21を介して、送受信アンテナ22が接続されるとともに、インターネット1に接続するための外部インタフェース23が接続される。
【0019】
ハードディスク15および記録メディア17は、映像や音楽などのコンテンツが記録再生されるものであり、RFインタフェース21および送受信アンテナ22は、無線によって、外部からコンテンツを受信し、または外部にコンテンツを送信するものであり、外部インタフェース23は、インターネット1を介して、外部からコンテンツを受信し、または外部にコンテンツを送信するものである。
【0020】
また、バス12には、各種キーからなる操作部31が、インタフェース32を介して接続され、液晶表示部などの表示部34が、インタフェース33を介して接続されるとともに、入出力ポート35、D/Aコンバータ36および音声増幅回路37を介してスピーカ38が接続される。
【0021】
表示部34の表示画面には、コンテンツとしての映像や画像が表示されるとともに、後述のユーザごとの設定画面などが表示される。スピーカ38からは、コンテンツとしての音楽や音声が出力されるとともに、音声アナウンスなどが出力される。
【0022】
さらに、バス12には、マイクロフォン41が、音声増幅回路42、A/Dコンバータ43、および入出力ポート44を介して接続されるとともに、不揮発性メモリ45が接続される。
【0023】
ユーザが打った手拍子の音は、マイクロフォン41によって収音され、A/Dコンバータ43によりアナログ音声信号からデジタル音声データに変換されて、バス12に取り込まれる。また、後述のように、不揮発性メモリ45には、あらかじめ各ユーザの手拍子パターンが登録される。
【0024】
そして、マイクロフォン41、音声増幅回路42、A/Dコンバータ43および入出力ポート44からなる手拍子音入力部(手拍子音取得部)と、CPU11、ROM13およびRAM14からなる演算処理部(演算制御部)と、不揮発性メモリ45とによって、ユーザ特定装置40が構成される。ただし、不揮発性メモリ45の代わりに、例えば、ハードディスク15の一部の領域を手拍子パターンが登録される領域とすることもできる。
【0025】
この例のコンテンツ記録再生装置10は、複数のユーザによって利用され、各ユーザの好みの番組などを記録し、再生することができるものである。
【0026】
(1−2.手拍子パターンの登録:図2〜図6)
各ユーザは、あらかじめ、各自のパターンで手拍子を打って、各自の手拍子パターンを不揮発性メモリ45に登録する。
【0027】
図2および図3に、それぞれユーザID(識別子)がU1,U2,U3,U4の4人のユーザについての、登録される手拍子の波形パターンの例を示す。
【0028】
各ユーザは、登録にあたって、規定のN回以上の複数回に渡って手拍子を打つものとし、しかも、ユーザごとに、そのパターンを変えるようにする。図2および図3の右側に、それぞれの手拍子パターンに近似されるリズム譜を示す。
【0029】
CPU11、ROM13およびRAM14からなる演算処理部は、この手拍子音の入力音声信号を処理し、音圧が急峻に立ち上がって、音圧レベルが所定の閾値を超えた点を、手拍子として検出し、さらに、その検出結果から手拍子パターンを検出する。
【0030】
具体的に、図4(A)に示すように、入力開始時点t(0)から所定時間D(input)の期間内において、時点t(i)で(i=1,2,3…n)、手拍子が閾値を超える音圧レベルの音として検出されたとき、まず、図4(B)の式(1)で表される、時間的に隣接する音(手拍子)の間の時間間隔d(i)を検出する。
【0031】
規定のN回以上の手拍子を検出し、最後の手拍子を検出した時点からの無音時間が所定時間D(end)以上となったとき、手拍子の検出を終了する。N回以上の手拍子を検出するのは、短すぎる手拍子では手拍子パターンが検出しにくくなるからである。
【0032】
入力開始時点t(0)から所定時間D(start)の期間内に音が入力されなかった場合や、入力開始時点t(0)から所定時間D(input)の期間内に音が入力されなかった場合には、入力エラーとして、ユーザに再度、手拍子を促し、またはメニュー画面の表示などの既定の状態に戻る。また、手拍子が長すぎて、入力開始時点t(0)から所定時間D(input)を経過しても手拍子が存在する場合にも、入力エラーとして処理する。
【0033】
入力エラーがなければ、さらに、図4(B)の式(2)で表される、手拍子が観測された総時間長d(sum)、すなわち時点t(1)から時点t(n)までの時間長を算出するとともに、図4(B)の式(3)で示すように、時間間隔d(i)を総時間長d(sum)で除して、正規化された時間間隔d’(i)を算出する。ただし、正規化された時間間隔d’(i)におけるiは、i=2〜nである。
【0034】
そして、手拍子の回数n、正規化された時間間隔d’(i)および総時間長d(sum)を、当該ユーザの手拍子パターンとして、当該ユーザを特定するユーザIDと対応づけて、不揮発性メモリ45に登録する。
【0035】
図5に、各ユーザの手拍子の波形パターンが図2および図3に示したようなものである場合の、各ユーザの登録される手拍子パターン、すなわち手拍子回数n、正規化された時間間隔d’(i)および総時間長d(sum)を示す。
【0036】
図6に、コンテンツ記録再生装置10のCPU11が行う以上のような手拍子パターン登録処理の一例を示す。この例の手拍子パターン登録処理50では、まずステップ51で、ユーザが、登録されるユーザとして自身を選択する。すなわち、自己の手拍子パターンを登録しようとするユーザは、操作部31での操作によって、自身の名前などを入力する。CPU11は、その入力された名前などに対応させてユーザIDを設定する。
【0037】
次に、CPU11は、ステップ52で、表示部34に「手拍子を打ってください」などと表示し、またはスピーカ38から「手拍子を打ってください」というような音声アナウンスを出力することによって、ユーザに手拍子を要求する。これに応答して、ユーザは手拍子を打つ。
【0038】
次に、CPU11は、ステップ53で、上記のような手拍子の検出後、上記の所定時間D(end)に渡る無音期間が検出されたか否かを判断する。実際上は、上述したように入力開始時点t(0)から所定時間D(start)の期間内に音が入力されなかった場合などには入力エラーとして処理されるが、図6では、入力エラーがなく、所期のとおりに手拍子が打たれた場合を示す。
【0039】
手拍子の検出後、所定時間D(end)に渡る無音期間が検出されたら、CPU11は、ステップ53からステップ54に進んで、上記のように入力音声信号を処理して手拍子パターンを検出し、さらにステップ55に進んで、ユーザに登録を確認する。
【0040】
この登録確認は、表示部34に「今の手拍子でよいですか」などと表示し、またはスピーカ38から「今の手拍子でよいですか」というような音声アナウンスを出力して行うことができるが、検出された手拍子の拍をMIDIなどのドラム音にして、スピーカ38によりユーザに提示することによって行うようにしてもよい。これに対してユーザは、操作部31での操作によって、OK(YES)か否かを返答する。
【0041】
次に、CPU11は、ステップ56で、ユーザによって登録が確認されたか否かを判断し、確認されなかった場合には、ステップ52に戻って、上述したようにユーザに手拍子を要求する。
【0042】
一方、ユーザによって登録が確認された場合には、ステップ56からステップ57に進んで、ステップ54で検出された手拍子パターンを、図5に示したように、ユーザの名前、およびこれに対して設定したユーザIDと対応づけて、不揮発性メモリ45に登録する。
【0043】
(1−3.ユーザ特定方法:図7〜図9)
上記の登録後、ユーザがコンテンツ記録再生装置10にユーザを特定させる場合、例えば、コンテンツ記録再生装置10でハードディスク15または記録メディア17に記録されている自身の好みの番組を検索し、再生しようとする場合などには、ユーザは登録時と同様に手拍子を打つ。
【0044】
CPU11、ROM13およびRAM14からなる演算処理部は、登録時と同様に、その手拍子音の入力音声信号を処理し、音圧が急峻に立ち上がって、音圧レベルが所定の閾値を超えた点を、手拍子として検出し、さらに、その検出結果から手拍子パターンを検出する。
【0045】
具体的に、図4(A)に示したように、入力開始時点t(0)から所定時間D(input)の期間内において、時点t(i)で、手拍子が閾値を超える音圧レベルの音として検出されたとき、まず、図7の式(11)で表される、時間的に隣接する音(手拍子)の間の時間間隔e(i)を検出する。
【0046】
登録時と同様に、規定のN回以上の手拍子を検出し、最後の手拍子を検出した時点からの無音時間が所定時間D(end)以上となったとき、手拍子の検出を終了する。
【0047】
登録時と同様に、入力開始時点t(0)から所定時間D(start)の期間内に音が入力されなかった場合や、入力開始時点t(0)から所定時間D(input)の期間内に音が入力されなかった場合には、入力エラーとして、ユーザに再度、手拍子を促し、またはメニュー画面の表示などの既定の状態に戻る。また、手拍子が長すぎて、入力開始時点t(0)から所定時間D(input)を経過しても手拍子が存在する場合にも、入力エラーとして処理する。
【0048】
入力エラーがなければ、さらに、図7の式(12)で表される、手拍子が観測された総時間長e(sum)、すなわち時点t(1)から時点t(n)までの時間長を算出するとともに、図7の式(13)で示すように、時間間隔e(i)を総時間長e(sum)で除して、正規化された時間間隔e’(i)を算出する。ただし、正規化された時間間隔e’(i)におけるiは、i=2〜nである。
【0049】
そして、ユーザ特定時には、以下の処理を以下の順序で行って、ユーザを特定する。まず、図5に示すような、不揮発性メモリ45に登録された手拍子パターンのテーブルから、ユーザ特定時に検出された手拍子回数と一致する手拍子回数のユーザを、特定されるユーザの候補として検索する。図5の場合、ユーザ特定時に検出された手拍子回数が5回であるときには、ユーザIDがU2の「たけし」、およびユーザIDがU3の「マミ」が、特定されるユーザの候補となる。
【0050】
次に、その候補として検索された各ユーザにつき、それぞれ図7の式(14)で表される誤差Costを計算し、誤差Costが最小のユーザを、その時のユーザとして特定し、そのユーザIDを検出する。式(14)中のw1,w2は、あらかじめ定められた重み係数である。
【0051】
そして、このように特定されたユーザのユーザIDによって、特定されたユーザに応じてコンテンツ記録再生装置10の設定や処理が切り替えられる。
【0052】
図8に、コンテンツ記録再生装置10のCPU11が行う以上のようなユーザ特定処理の一例を示す。この例のユーザ特定処理60では、例えば、表示部34に図9(A)に示すようなユーザに手拍子を促す画面が表示された状態で処理を開始して、まずステップ61で、音声入力が検出されたか否かを判断し、音声入力が検出された場合には、ステップ62に進んで、上述したように入力音声信号を処理して手拍子パターンを検出し、さらにステップ63に進んで、その検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターンが不揮発性メモリ45に登録されているか否かを判断する。
【0053】
この場合の「検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターン」とは、上述したように、不揮発性メモリ45に登録されている手拍子パターン中の、手拍子回数がステップ62で検出された手拍子回数と一致し、かつ図7の式(14)で表される誤差Costが最小の手拍子パターンである。
【0054】
そして、この意味の「検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターン」が不揮発性メモリ45に登録されていない場合には、すなわち不揮発性メモリ45に登録されている手拍子パターン中に、手拍子回数がステップ62で検出された手拍子回数と一致する手拍子パターンが存在しない場合には、ステップ63からステップ64に進んで、エラー処理を行った上で、ステップ61に戻る。
【0055】
ステップ64でのエラー処理は、具体的には、ユーザに再度、手拍子を促すことである。
【0056】
上記の意味の「検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターン」が不揮発性メモリ45に登録されている場合には、ステップ63からステップ65に進んで、その一致する手拍子パターンのユーザIDに対応したユーザ設定を呼び出す。
【0057】
具体的に、上記の例では、表示部34に図9(A)に示すような画面が表示された状態で、「たけし」が手拍子を打ち、ユーザが「たけし」であると特定された場合には、表示部34には、図9(B)に示すような「たけし」向けの画面が表示される。また、表示部34に図9(A)に示すような画面が表示された状態で、「マミ」が手拍子を打ち、ユーザが「マミ」であると特定された場合には、表示部34には、図9(C)に示すような「マミ」向けの画面が表示される。
【0058】
[2.第2の実施形態(リモートコントローラ利用の例):図10〜図15]
図1の例は、コンテンツ記録再生装置10にユーザ特定装置40の全体が組み込まれ、コンテンツ記録再生装置10がユーザ特定機能の全部を備える場合であるが、ユーザ特定装置ないしユーザ特定機能の全部または一部を、コンテンツ記録再生装置(コンテンツ記録再生装置本体)を制御するリモートコントローラに設けることもできる。
【0059】
(2−1.各種の例:図10〜図12)
図10に、その場合の一例を示す。この例では、コンテンツ記録再生システムが、コンテンツ記録再生装置19とリモートコントローラ70とによって構成され、リモートコントローラ70が、マイクロフォン41を備え、ユーザ特定装置40を構成して、手拍子パターン登録処理およびユーザ特定処理を行い、リモートコントローラ70からコンテンツ記録再生装置19に、特定されたユーザを示すユーザIDが送信される。
【0060】
リモートコントローラ70とコンテンツ記録再生装置19との間の通信としては、赤外線、ワイヤレスLAN(Local Area Network)、またはワイヤドLANなどが用いられる。
【0061】
図11に、他の例を示す。この例では、コンテンツ記録再生システムが、コンテンツ記録再生装置19とリモートコントローラ70とによって構成され、リモートコントローラ70が、マイクロフォン41を備えるが、リモートコントローラ70からコンテンツ記録再生装置19に、マイクロフォン41によって収音された、ユーザが打った手拍子の音の、アナログまたはデジタルの音声信号が送信され、コンテンツ記録再生装置19で手拍子パターン登録処理およびユーザ特定処理が実行される。
【0062】
リモートコントローラ70とコンテンツ記録再生装置19との間の通信としては、図10の例と同様に、赤外線、ワイヤレスLANまたはワイヤドLANなどが用いられる。
【0063】
図12に、さらに他の例を示す。この例では、図10の例と同様に、リモートコントローラ70がユーザ特定装置40を構成して、手拍子パターン登録処理およびユーザ特定処理を行うが、特定されたユーザを示すユーザIDが、LAN101、アクセスポイント100およびLAN102を介して、コンテンツ記録再生装置19に送信される。LAN101および102は、ワイヤレスLANまたはワイヤドLANである。
【0064】
(2−2.図10の例の具体例:図13〜図15)
図13および図14に、図10の例で、リモートコントローラ70とコンテンツ記録再生装置19との間の通信に赤外線を用いる場合の、リモートコントローラ70およびコンテンツ記録再生装置19の一例を示す。
【0065】
図13のリモートコントローラ70は、CPU71を備え、そのバス72に、各種のプログラムやデータが書き込まれたROM73、およびプログラムやデータが展開されるRAM74が接続される。
【0066】
さらに、バス72には、マイクロフォン41が、音声増幅回路42、A/Dコンバータ43、および入出力ポート44を介して接続されるとともに、不揮発性メモリ45が接続される。
【0067】
これらマイクロフォン41、音声増幅回路42、A/Dコンバータ43、入出力ポート44および不揮発性メモリ45は、CPU71、ROM73およびRAM74とともに、ユーザ特定装置40を構成する。
【0068】
また、バス72には、各種キーからなる操作部81が、インタフェース82を介して接続され、液晶表示部などの表示部84が、インタフェース83を介して接続されるとともに、入出力ポート85、D/Aコンバータ86および音声増幅回路87を介してスピーカ88が接続される。
【0069】
表示部84の表示画面には、操作用画面やユーザごとの設定画面などが表示される。スピーカ88からは音声アナウンスなどが出力される。
【0070】
さらに、バス72には、入出力ポート91および送信回路92を介して赤外線発光素子93が接続される。
【0071】
赤外線発光素子93からは、後述のように特定されたユーザを示すユーザID、および各種のリモートコントロール信号が、赤外線信号として送信される。
【0072】
図14のコンテンツ記録再生装置19は、図1のコンテンツ記録再生装置10と異なり、ユーザ特定装置40を構成するマイクロフォン41などが接続されず、かつバス12に入出力ポート26および受信回路27を介して赤外線受光素子28が接続される点を除いて、図1のコンテンツ記録再生装置10と同じである。
【0073】
図13のリモートコントローラ70の赤外線発光素子93から送信された赤外線信号は、図14のコンテンツ記録再生装置19の赤外線受光素子28で受信され、リモートコントロール信号としてバス12に取り込まれる。
【0074】
図13のリモートコントローラ70での手拍子パターン登録処理は、図1のコンテンツ記録再生装置10での手拍子パターン登録処理と同じである。すなわち、あらかじめ、各ユーザが各自のパターンで手拍子を打つことによって、各自の手拍子パターンが、各自の名前およびユーザIDと対応づけられて、リモートコントローラ70内の不揮発性メモリ45に登録される。
【0075】
図6に示した手拍子パターン登録処理50中の、ステップ52での手拍子要求、およびステップ55での登録確認は、リモートコントローラ70の表示部84での表示、またはスピーカ88からの音声アナウンスまたはドラム音の出力によって実行される。
【0076】
ただし、この手拍子要求および登録確認のための表示または音声出力は、リモートコントローラ70からの指示によってコンテンツ記録再生装置19の表示部34またはスピーカ38で行われるように、システムを構成することもできる。
【0077】
登録後のユーザ特定処理も、特定されたユーザを示すユーザIDがリモートコントローラ70からコンテンツ記録再生装置19に送信される点を除いて、図1のコンテンツ記録再生装置10でのユーザ特定処理と同じである。
【0078】
具体的に、図15に、リモートコントローラ70のCPU71が行うユーザ特定処理の一例を示す。この例のユーザ特定処理110では、例えば、表示部84にユーザに手拍子を促す画面が表示された状態で処理を開始して、まずステップ111で、音声入力が検出されたか否かを判断し、音声入力が検出された場合には、ステップ112に進んで、上述したように入力音声信号を処理して手拍子パターンを検出し、さらにステップ113に進んで、その検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターンが不揮発性メモリ45に登録されているか否かを判断する。
【0079】
この場合の「検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターン」も、上述した意味のものである。そして、この意味の「検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターン」が不揮発性メモリ45に登録されていない場合には、すなわち不揮発性メモリ45に登録されている手拍子パターン中に、手拍子回数がステップ112で検出された手拍子回数と一致する手拍子パターンが存在しない場合には、ステップ113からステップ114に進んで、エラー処理を行った上で、ステップ111に戻る。
【0080】
上記の意味の「検出された手拍子パターンと一致する手拍子パターン」が不揮発性メモリ45に登録されている場合には、ステップ113からステップ115に進んで、その一致する手拍子パターンのユーザIDを読み出し、送信回路92および赤外線発光素子93によってコンテンツ記録再生装置19に送信する。
【0081】
コンテンツ記録再生装置19では、そのユーザIDを赤外線受光素子28および受信回路27によって受信し、そのユーザIDに対応したユーザ設定を呼び出す。
【0082】
ユーザに対する手拍子の促しも、リモートコントローラ70からの指示によってコンテンツ記録再生装置19の表示部34またはスピーカ38で行われるように、システムを構成することもできる。
【0083】
[3.第3の実施形態(PCアプリケーションによるユーザ特定):図16]
リモートコントローラとしてのハードウェア構成およびソフトウェア構成による代わりに、例えば、パーソナルコンピュータのアプリケーション(アプリケーションプログラム)として、手拍子パターン登録処理およびユーザ特定処理を実行するように、システムを構成することもできる。
【0084】
図16に、この場合のシステムの一例を示す。この例のシステムでは、パーソナルコンピュータ120とコンテンツ記録再生装置19がLAN155で接続される。LAN155は、ワイヤレスLANまたはワイヤドLANである。
【0085】
パーソナルコンピュータ120は、手拍子パターン登録処理およびユーザ特定処理を行うアプリケーションが搭載される点を除いて、一般的なパーソナルコンピュータと同じである。
【0086】
具体的に、パーソナルコンピュータ120は、CPU121を備え、そのバス122に、メモリ部123が接続され、入出力ポート126を介してハードディスク125が接続され、入出力ポート128を介して記録メディア127が接続される。
【0087】
また、バス122には、キーボードやポインティングデバイスなどからなる操作部131が、インタフェース132を介して接続され、液晶表示部などの表示部134が、インタフェース133を介して接続され、入出力ポート135、D/Aコンバータ136および音声増幅回路137を介してスピーカ138が接続されるとともに、マイクロフォン141が、音声増幅回路142、A/Dコンバータ143、および入出力ポート144を介して接続される。
【0088】
マイクロフォン141、音声増幅回路142、A/Dコンバータ143および入出力ポート144は、ユーザ特定装置を構成するものとして特別に設けられるものではなく、汎用的に音声入力用として設けられるものであるが、手拍子パターン登録用およびユーザ特定用に利用される。
【0089】
さらに、バス122には、インターネット1に接続するための外部インタフェース151、およびLAN通信部153が接続され、LAN通信部153が、LAN155を介してコンテンツ記録再生装置19に接続される。ただし、外部インタフェース151とLAN通信部153は、一つのインタフェースで兼用させることもできる。
【0090】
コンテンツ記録再生装置19は、この例では、図14の入出力ポート26、受信回路27および赤外線受光素子28に代えて、LAN通信部が接続される。
【0091】
パーソナルコンピュータ120では、手拍子パターン登録処理およびユーザ特定処理を行うアプリケーションは、ハードディスク125に格納され、手拍子パターン登録時およびユーザ特定時、メモリ部123上に展開される。
【0092】
そのアプリケーションによるパーソナルコンピュータ120での手拍子パターン登録処理は、図1のコンテンツ記録再生装置10での手拍子パターン登録処理、および図13のリモートコントローラ70での手拍子パターン登録処理と同じで、図6に手拍子パターン登録処理50として示したものである。
【0093】
各ユーザの手拍子パターンを各自の名前およびユーザIDと対応づけた図5に示すようなテーブルは、登録処理時、メモリ部123上に生成され、その後、ハードディスク125に保存される。
【0094】
アプリケーションによるパーソナルコンピュータ120でのユーザ特定処理は、図13のリモートコントローラ70でのユーザ特定処理と同じで、図15にユーザ特定処理110として示したものである。
【0095】
そして、この例のシステムでは、その一致する手拍子パターンのユーザIDが、LAN通信部153によってパーソナルコンピュータ120からコンテンツ記録再生装置19に送信され、コンテンツ記録再生装置19で、そのユーザIDに対応したユーザ設定が呼び出される。
【0096】
[4.他の実施形態:図17]
上述した例は、ユーザが手拍子を打つ場合であるが、ユーザが単音の拍手をするようにしてもよい。図17(A)(B)に、単音の拍手の波形パターンの例を示す。
【0097】
このような単音の拍手の場合には、高速フーリエ変換やウエーブレット変換を行うことによって、登録された拍手パターンとユーザ特定時に検出された拍手パターンとの間でパターンマッチングを行う。
【0098】
単音の拍手の場合には、音の大きさやパターンが各回ごとにばらつき、手拍子の場合と比較すると認識精度は落ちるが、より短い時間でユーザを特定することができる。
【0099】
また、手拍子や拍手の代わりに、機器のそばに設けられた鐘や機器のへりを叩くようにしてもよい。
【0100】
上述した例は、ユーザを特定する電子機器、またはリモートコントローラやパーソナルコンピュータにより特定されたユーザを示すユーザIDが送信される電子機器が、コンテンツ記録再生装置の場合であるが、ユーザを特定する電子機器、またはリモートコントローラやパーソナルコンピュータにより特定されたユーザを示すユーザIDが送信される電子機器は、コンテンツ記録再生装置以外に、空調装置、ロボット、照明装置、テレビジョン受信機、パーソナルコンピュータなどでもよい。
【0101】
例えば、空調装置の場合、特定されたユーザに応じて、空調状態が、あらかじめ設定された状態に自動的に切り替えられるように構成することができ、ロボットの場合、特定されたユーザに応じて、ロボットの動きが、あらかじめ設定された動きに自動的に変えられるように構成することができ、照明装置の場合、特定されたユーザに応じて、照明状態が、あらかじめ設定された状態に自動的に切り替えられるように構成することができ、テレビジョン受信機の場合、特定されたユーザに応じて、受信チャンネルや音量状態が、あらかじめ設定されたチャンネルや状態に自動的に切り替えられるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明のユーザ特定装置および電子機器の一例を示す図である。
【図2】登録される手拍子の波形パターンの一例を示す図である。
【図3】登録される手拍子の波形パターンの一例を示す図である。
【図4】手拍子パターンの説明に供する図である。
【図5】各ユーザの手拍子パターンの一例を示す図である。
【図6】手拍子パターン登録処理の一例を示す図である。
【図7】ユーザ特定時の手拍子パターン検出の説明に供する図である。
【図8】ユーザ特定処理の一例を示す図である。
【図9】ユーザの特定によって設定が切り替えられる場合の説明に供する図である。
【図10】リモートコントローラを用いたシステムの第1の例を示す図である。
【図11】リモートコントローラを用いたシステムの第2の例を示す図である。
【図12】リモートコントローラを用いたシステムの第3の例を示す図である。
【図13】図10の例のリモートコントローラの一例を示す図である。
【図14】図10の例のコンテンツ記録再生装置の一例を示す図である。
【図15】図13の例のリモートコントローラが行うユーザ特定処理の一例を示す図である。
【図16】パーソナルコンピュータのアプリケーションによりユーザを特定する場合のシステムの一例を示す図である。
【図17】単音の拍手の波形パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
主要部については図中に全て記述したので、ここでは省略する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザについての叩打音のパターンを、それぞれ叩打パターンとして、それぞれのユーザを特定するユーザ識別子と対応づけて記憶手段に登録する登録ステップと、
叩打音を収音し、入力音声信号として取得する音声取得ステップと、
その取得した入力音声信号を処理し、叩打パターンを検出する音声処理ステップと、
その検出した叩打パターンを前記記憶手段に登録されている叩打パターンと比較して、前記記憶手段に登録されている叩打パターン中に前記検出した叩打パターンと一致する叩打パターンが存在するか否かを判断し、存在する場合には、その一致する叩打パターンに対応づけられて前記記憶手段に登録されているユーザ識別子によってユーザを特定する制御ステップと、
を備えることを特徴とするユーザ特定方法。
【請求項2】
請求項1のユーザ特定方法において、
前記叩打音が手拍子音であることを特徴とするユーザ特定方法。
【請求項3】
請求項1のユーザ特定方法において、
前記叩打音は、所定時間内に一定音圧レベル以上の音が複数存在するものであることを特徴とするユーザ特定方法。
【請求項4】
請求項3のユーザ特定方法において、
前記叩打パターンは、前記叩打音における音の数、および時間的に隣接する音の間の時間間隔で表されたものであることを特徴とするユーザ特定方法。
【請求項5】
複数のユーザについての叩打音のパターンが、それぞれ叩打パターンとして、それぞれのユーザを特定するユーザ識別子と対応づけられて登録される記憶手段と、
叩打音を収音し、入力音声信号として取得する音声取得手段と、
その取得された入力音声信号を処理し、叩打パターンを検出する音声処理手段と、
その検出された叩打パターンを前記記憶手段に登録されている叩打パターンと比較して、前記記憶手段に登録されている叩打パターン中に前記検出された叩打パターンと一致する叩打パターンが存在するか否かを判断し、存在する場合には、その一致する叩打パターンに対応づけられて前記記憶手段に登録されているユーザ識別子によってユーザを特定する制御手段と、
を備えることを特徴とするユーザ特定装置。
【請求項6】
請求項5のユーザ特定装置において、
前記叩打音が手拍子音であることを特徴とするユーザ特定装置。
【請求項7】
請求項5のユーザ特定装置において、
前記叩打音は、所定時間内に一定音圧レベル以上の音が複数存在するものであることを特徴とするユーザ特定装置。
【請求項8】
請求項7のユーザ特定装置において、
前記叩打パターンは、前記叩打音における音の数、および時間的に隣接する音の間の時間間隔で表されたものであることを特徴とするユーザ特定装置。
【請求項9】
請求項5のユーザ特定装置を備え、その前記制御手段によって特定されたユーザに応じて、当該機器の設定または処理が切り替えられる電子機器。
【請求項10】
請求項5のユーザ特定装置を構成するリモートコントローラと、
このリモートコントローラから送信された、特定されたユーザを示すユーザ識別子を受信する電子機器と、
を備えることを特徴とする機器システム。
【請求項11】
ユーザの叩打音からユーザを特定するためにコンピュータを、
複数のユーザについての叩打音のパターンを、それぞれ叩打パターンとして、それぞれのユーザを特定するユーザ識別子と対応づけて記憶手段に登録する手段、
叩打音を収音し、入力音声信号として取得する手段、
その取得した入力音声信号を処理し、叩打パターンを検出する手段、および、
その検出した叩打パターンを前記記憶手段に登録されている叩打パターンと比較して、前記記憶手段に登録されている叩打パターン中に前記検出した叩打パターンと一致する叩打パターンが存在するか否かを判断し、存在する場合には、その一致する叩打パターンに対応づけられて前記記憶手段に登録されているユーザ識別子によってユーザを特定する手段、
として機能させるためのユーザ特定用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−107452(P2006−107452A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220312(P2005−220312)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】