説明

ラインヘッド、画像形成装置及びラインヘッドの組み立て方法

【課題】レンズと発光素子との位置決めを行うためのアライメントマークの位置が、発光素子から離れることにより、レンズの位置決めが不正確になる恐れがある。
【解決手段】光を発光する発光素子74が複数配設された発光素子基板87と、発光素子基板87に配設された複数の発光素子74から発光された光を結像させる結像光学系と、発光素子基板87の複数の発光素子74が配設された発光素子配設領域71Aに形成されたアライメントマークAMと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッド、画像形成装置及びラインヘッドの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結像光学系として複数のレンズをアレイ状に並べたレンズアレイが知られている。例えば、特許文献1では、このようなレンズアレイをラインヘッドに組み込んで使用することが提案されている。このラインヘッドでは、レンズアレイの各レンズに対応する発光素子が発光素子基板に配設されて、各発光素子からの光が各レンズによって結像される。そして、この結像光によって被露光面が露光される。また、レンズアレイのレンズの位置決めを正確に行なうために、レンズアレイ及び発光素子基板にアライメントマークを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、レンズアレイ及び発光素子基板に形成されたアライメントマークの位置が、それぞれの基板の周囲に設けられている。このため、アライメントマークの位置が発光素子から離れることになり、レンズアレイのレンズの位置決めが不正確になる恐れがある。これにより、レンズと発光素子との位置関係がずれてしまったような場合、結像倍率がずれたり収差が悪化したりして、所望の結像特性が得られない問題が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]光を発光する発光素子が複数配設された発光素子基板と、前記発光素子基板に配設された複数の前記発光素子から発光された光を結像させる結像光学系と、前記発光素子基板の複数の前記発光素子が配設された領域に形成されたアライメントマークと、を有することを特徴とするラインヘッド。
【0007】
この構成によれば、発光素子基板の複数の発光素子が配設された領域にアライメントマークが形成されている。このため、アライメントマークの位置が発光素子の近傍の位置となり、アライメントマークによる位置調整の誤差を小さくすることができる。この結果、結像光学系と発光素子基板との位置関係を正確に調整することができ、レンズと発光素子との位置関係のずれを抑えて所望の結像特性を得ることができる。
【0008】
[適用例2]複数の前記発光素子は、第1の方向に配設された発光素子行を形成する上記ラインヘッド。
【0009】
この構成によれば、複数の前記発光素子は、第1の方向に配設された発光素子行を形成する。
【0010】
[適用例3]前記結像光学系で結像される前記発光素子行は偶数行である上記ラインヘッド。
【0011】
この構成によれば、発光素子行が偶数行であることにより、発光素子基板の複数の発光素子が配設された領域の中央位置にアライメントマークを形成することができる。これにより、アライメントマークを用いて容易に位置調整を行うことができる。
【0012】
[適用例4]前記発光素子行は、複数の前記発光素子が前記第1の方向に偶数個配設されて形成される上記ラインヘッド。
【0013】
この構成によれば、複数の発光素子が第1の方向に偶数個配設されることにより、発光素子基板の複数の発光素子が配設された領域の中央位置にアライメントマークを形成することができる。これにより、アライメントマークを用いて容易に位置調整を行うことができる。
【0014】
[適用例5]前記結像光学系で結像される複数の前記発光素子は前記発光素子基板に前記アライメントマークを中心にして点対称に配設される上記ラインヘッド。
【0015】
この構成によれば、各発光素子がアライメントマークを中心に点対称に配置されていることにより、アライメントマークの位置を発光素子基板の複数の発光素子が配設された領域の中央位置とすることができる。
【0016】
[適用例6]光を発光する発光素子が複数配設された発光素子基板、前記発光素子基板に配設された複数の前記発光素子から発光された光を結像させる結像光学系、及び前記発光素子基板の複数の前記発光素子が配設された領域に形成されたアライメントマークを有するラインヘッドと、前記ラインヘッドにより潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0017】
この構成によれば、発光素子基板の複数の発光素子が配設された領域にアライメントマークが形成されている。このため、アライメントマークの位置が発光素子の近傍の位置となり、アライメントマークによる位置調整の誤差を小さくすることができる。この結果、結像光学系と発光素子基板との位置関係を正確に調整することができ、レンズと発光素子との位置関係のずれを抑えて所望の結像特性を得ることができる。そして、画像形成装置から形成される画像の画像品質が劣化することを抑制できる。
【0018】
[適用例7]光を発光する発光素子が複数配設された発光素子基板と、前記発光素子基板に配設された複数の前記発光素子から発光された光を結像させる結像光学系と、を、前記発光素子基板の前記複数の発光素子が配設された領域に形成されたアライメントマークに基づいて位置関係を調整することを特徴とするラインヘッドの組み立て方法。
【0019】
この構成によれば、発光素子基板の複数の発光素子が配設された領域にアライメントマークが形成されている。このため、アライメントマークの位置が発光素子の近傍の位置となり、アライメントマークによる位置調整の誤差を小さくすることができる。この結果、結像光学系と発光素子基板との位置関係を正確に調整することができ、レンズと発光素子との位置関係のずれを抑えて所望の結像特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図。
【図2】ラインヘッドの斜視図。
【図3】ラインヘッドを主走査方向から見た断面図。
【図4】発光素子基板に配設された複数の発光素子群と、レンズアレイに形成された複数のレンズの配置を示す図。
【図5】発光素子群に配置された複数の発光素子の構成例を示す拡大図。
【図6】複数の発光素子によって構成される発光素子行の例を示す拡大図。
【図7】複数の発光素子によって構成される発光素子行の異なる例を示す拡大図。
【図8】結像光学系に発光素子基板を配置する前の状態における断面図。
【図9】結像光学系に発光素子基板を配置した状態における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照し、本実施形態におけるラインヘッド及び画像形成装置について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。画像形成装置1は、帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・定着工程を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体Pに記録する電子写真方式のプリンターである。本実施形態では、画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式を採用するカラープリンターである。このような画像形成装置1は、図1に示すように、帯電工程・露光工程・現像工程のための画像形成ユニット10と、転写工程のための転写ユニット20と、定着工程のための定着ユニット30と、紙などの記録媒体Pを搬送するための搬送機構40と、この搬送機構40に記録媒体Pを供給する給紙ユニット50とを有している。
【0023】
画像形成ユニット10は、イエローのトナー像を形成する画像形成ステーション10Yと、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ステーション10Mと、シアンのトナー像を形成する画像形成ステーション10Cと、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーション10Kとの4つの画像形成ステーションを備えている。
【0024】
各画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ、静電的な潜像を担持する潜像担持体としての感光ドラム(感光体)11を有し、その周囲(外周側)には、帯電ユニット12、ラインヘッド13、現像部としての現像装置14、クリーニングユニット15が配設されている。各画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Kを構成するこれらの装置は、同じ構成であるため、以下、1つの装置について説明する。
【0025】
感光ドラム11は、全体形状が円筒状をなすものである。感光ドラム11の外周面(円筒面)には、感光層(不図示)が形成され、ラインヘッド13からの光(出射光)を受光する受光面(被照射面)(不図示)を構成している。また、この感光ドラム11は、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。
【0026】
帯電ユニット12は、コロナ帯電などにより感光ドラム11の受光面を一様に帯電させるものである。ラインヘッド13は、パーソナルコンピューター(不図示)などのホストコンピューターから画像情報を受け、これに応じて、感光ドラム11の受光面に向けて光を放射する。一方、感光ドラム11の受光面は、一様に帯電された状態となっており、光の放射パターンに対応した潜像が形成される。
【0027】
現像装置14は、トナーを貯留する貯留部(不図示)を有しており、当該貯留部から、静電的な潜像を担持する感光ドラム11の受光面にトナーを供給し、付与する。これにより、感光ドラム11上の潜像がトナー像として可視化(現像)される。クリーニングユニット15は、感光ドラム11の受光面に当接するゴム製のクリーニングブレード151を有し、後述する一次転写後の感光ドラム11上に残存するトナーをクリーニングブレード151により掻き落として除去するようになっている。
【0028】
転写ユニット20は、各画像形成ステーション10Y,10M,10C,10Kの感光ドラム11上に形成された各色のトナー像を一括して記録媒体Pに転写するようになっている。
【0029】
各画像形成ステーション10Y,10C,10M,10Kでは、それぞれの感光ドラム11が1回転する間に、帯電ユニット12による感光ドラム11の受光面の帯電と、ラインヘッド13による受光面の露光と、現像装置14による受光面へのトナーの供給と、一次転写ローラー22との圧着による中間転写ベルト21への一次転写と、クリーニングユニット15による受光面のクリーニングとが順次行なわれる。
【0030】
転写ユニット20は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト21を有し、この中間転写ベルト21は、複数(図1に示す構成では4つ)の一次転写ローラー22と駆動ローラー23と従動ローラー24とで張架されており、駆動ローラー23の回転により、図1に示す矢印方向に、感光ドラム11の周速度とほぼ同じ周速度で回転駆動される。
【0031】
各一次転写ローラー22は、それぞれ対応する感光ドラム11に中間転写ベルト21を介して対向配設されており、感光ドラム11上の単色のトナー像を中間転写ベルト21に転写(一次転写)するようになっている。この一次転写ローラー22は、一次転写時に、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。
【0032】
中間転写ベルト21上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうちの少なくとも1色のトナー像が担持される。例えば、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト21上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が中間転写像として形成される。
【0033】
転写ユニット20は、中間転写ベルト21を介して駆動ローラー23に対向配設される二次転写ローラー25と、中間転写ベルト21を介して従動ローラー24に対向配設されるクリーニングユニット26とを有している。
【0034】
二次転写ローラー25は、中間転写ベルト21上に形成された単色あるいはフルカラーなどのトナー像(中間転写像)を、給紙ユニット50から供給される紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写(二次転写)するようになっている。二次転写ローラー25は、二次転写時に、中間転写ベルト21に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。このような二次転写時には、駆動ローラー23は、二次転写ローラー25のバックアップローラーとしても機能する。
【0035】
クリーニングユニット26は、中間転写ベルト21の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード261を有し、二次転写後の中間転写ベルト21上に残存するトナーをクリーニングブレード261により掻き落として除去するようになっている。
【0036】
定着ユニット30は、定着ローラー301と、定着ローラー301に圧接される加圧ローラー302とを有しており、定着ローラー301と加圧ローラー302との間を記録媒体Pが通過するよう構成されている。また、定着ローラー301は、その内側に当該定着ローラーの外周面を加熱するヒーターが内蔵されており、通過する記録媒体Pを加熱及び加圧することができる。このような構成の定着ユニット30より、トナー像の二次転写を受けた記録媒体Pを加熱及び加圧して、トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着する。
【0037】
搬送機構40は、前述した二次転写ローラー25と中間転写ベルト21との間の二次転写部へ給紙タイミングを計りつつ記録媒体Pを搬送するレジストローラー対41と、定着ユニット30での定着処理済みの記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラー対42,43,44とを有している。
【0038】
このような搬送機構40は、記録媒体Pの一方の面のみに画像形成を行う場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを搬送ローラー対42により挟持搬送して、画像形成装置1の外部へ排出する。また、記録媒体Pの両面に画像形成する場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦搬送ローラー対42により挟持した後に、搬送ローラー対42を反転駆動するとともに、搬送ローラー対43,44を駆動して、当該記録媒体Pを表裏反転してレジストローラー対41へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0039】
給紙ユニット50は、未使用の記録媒体Pを収容する給紙カセット51と、給紙カセット51から記録媒体Pを1枚ずつレジストローラー対41へ向け給送するピックアップローラー52とを備えている。
【0040】
次に、ラインヘッド13について説明する。
図2は、ラインヘッド13の斜視図である。図3は、図2のラインヘッド13を主走査方向D1から見たA−A線における断面図である。図3に示すように、ラインヘッド13は、感光ドラム11の受光面111に対向して配置されている。また、ラインヘッド13は、主走査方向D1が、感光ドラム11の回転軸と平行となるように配置されている。
【0041】
レンズアレイ80とレンズアレイ83は、レンズアレイ80,83を支持するための支持部材としてのスペーサー81,82を挟んで長手方向を主走査方向D1にして備えられる。さらに、レンズアレイ83と発光素子基板87は、レンズアレイ83を支持するための支持部材としてのスペーサー84,85を挟んで長手方向を主走査方向D1にして備えられる。
【0042】
遮光部材86は、長手方向を主走査方向D1にして発光素子基板87とレンズアレイ83との間に備えられる。発光素子基板87は、ガラスや樹脂などの透明性を有する基板から形成され、収容部材88を介してベース89に備えられる。
【0043】
レンズアレイ80,83の発光素子基板87側には、凸曲面からなる複数のレンズ64が形成されている。レンズ64の構成材料としては、光学特性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料及び/またはガラス材料が好適に用いられる。
【0044】
発光素子基板87のベース89側には、例えば有機EL(Organic Electroluminescence)、発光ダイオードなどの発光素子群71が備えられる。発光素子群71は、収容部材88に形成された凹部881の空間領域内に収容される。
【0045】
凹部881には、発光素子群71を構成する発光素子(不図示)と電気的に接続された導線類(不図示)、または、各発光素子を駆動させるための回路(不図示)が収納されている。
【0046】
発光素子群71から光軸方向D3に照射された光Lは、発光素子基板87、遮光部材86に形成された貫通孔861、レンズアレイ83に形成されたレンズ64、スペーサー81とスペーサー82との間に形成された空間領域、レンズアレイ80に形成されたレンズ64を通過し感光ドラム11の受光面111に照射される。
【0047】
図4は、光軸方向D3から見た図で、発光素子基板87に配設された複数の発光素子群71と、レンズアレイ80,83に形成された複数のレンズ64の配置を示す図である。同図に示すように、レンズ64は、主走査方向D1に複数列配置されるとともに、主走査方向D1に直交する副走査方向D2に複数行配置されている。
【0048】
複数のレンズ64は、互いに離間して、3行n列(nは2以上の整数)の行列状に配置されている。レンズアレイ80に形成されている一つのレンズ64と、レンズアレイ83に形成されている一つのレンズ64とは、図3に示すように、光軸が一致するように対向して配置されている。また、図4に示すように、複数の発光素子群71は、各レンズ64の配置位置に対応して、互いに離間し、3行n列(nは2以上の整数)の行列状に配置されている。
【0049】
図5は、発光素子群71に配置された複数の発光素子74の構成例を示す拡大図である。同図に示すように、発光素子群71は、発光素子基板87において互いに離間した複数の発光素子74で構成されている。また、同図の斜線の領域は、複数の発光素子74が配設された発光素子配設領域71Aを示している。この発光素子配設領域71Aには、十字形状のアライメントマークAMが形成されている。このアライメントマークAMは、発光素子配設領域71Aの中心の位置であって、かつ各発光素子74とオーバーラップしない位置に形成されている。このため、アライメントマークAMは、各発光素子74が当該アライメントマークAMを中心に点対称の配置となるような位置に形成される。
【0050】
図6は、複数の発光素子74によって構成される発光素子行の例を示す拡大図である。同図に示すように、各発光素子74は、主走査方向D1となる第1の方向に配列されて発光素子行l1〜l4を構成している。また、各発光素子行の発光素子74は、隣接する発光素子行間で第1の方向に互いにずらして配置されている。これにより、第1の方向に隣接する発光素子74間を、次の行の1つの発光素子74で補完している。
図6では、発光素子行l1〜l4が4行の偶数行であって、発光素子行l2とl3の行間にアライメントマークAMが形成されている。また、例えば、発光素子74aと発光素子74d、発光素子74bと発光素子74cがアライメントマークAMを中心に点対称の配置となっている。
【0051】
図7は、複数の発光素子74によって構成される発光素子行の異なる例を示す拡大図である。同図では、発光素子行l1〜l3が3行の奇数行であるが、各行の発光素子74が第1の方向にm1〜m12の偶数個配設されていることから、m6番目とm7番目の発光素子74間にアライメントマークAMが形成されている。
図6及び図7の例に示すように、アライメントマークAMを、発光素子配設領域71Aの中心の位置であって、かつ各発光素子74とオーバーラップしない位置に形成するために、発光素子行が偶数行であるか、または発光素子行に発光素子74が偶数個配設されていなくてはならない。
【0052】
なお、本実施形態では、2枚のレンズアレイ80,83が用いられている。しかし、レンズアレイの枚数はこれに限られず、1枚であっても良いし、3枚以上であっても良い。
また、本実施形態では、アライメントマークAMの形状を十字形状としたが、十字形状に限られず、例えば+形状やX字形状であっても他の形状であっても良い。
【0053】
次に、ラインヘッド13の組み立て方法における発光素子基板87とレンズアレイ80,83との位置を調整する方法について説明する。
図8は、発光素子基板87を配置する前の状態における、スペーサー81,82,84,85によって支持されたレンズアレイ80,83を主走査方向D1から見た断面図である。同図に示すように、レンズアレイ80にはスペーサー81,82が接合されて、当該スペーサー81,82にはレンズアレイ83が接合されている。さらに、当該レンズアレイ83にはスペーサー84,85が接合されている。これらの接合において、レンズアレイ80,83に形成されて互いに対向する位置にあるレンズ64のそれぞれは、光軸Eが一致するように位置調整されている。ここで、レンズアレイ80,83及びスペーサー81,82,84,85の全体で結像光学系8を構成している。
【0054】
図9は、結像光学系8に発光素子基板87を配置した状態における断面図である。同図に示す観察光学系90は、例えば工具顕微鏡やCCDカメラであって、発光素子基板87に配設された発光素子群71から照射された光が、レンズアレイ80,83に形成された各レンズ64を通過して照射される側に配置されている。
この観察光学系90により、レンズアレイ80,83に形成された対向する位置にある各レンズ64を観察して当該各レンズ64の中心となる光軸Eを測定する。次に、観察光学系90配置状態をそのまま維持して、発光素子基板87に配設された発光素子群71を観察してアライメントマークAM(図5〜図7参照)を測定する。そして、各レンズ64の光軸EとアライメントマークAMの位置とが合うようにして、結像光学系8と発光素子基板87との位置関係を調整する。
【0055】
本実施形態のラインヘッド13の組み立て方法では、発光素子基板87の領域に形成されたアライメントマークAMに基づいて、結像光学系8と発光素子基板87との位置関係を調整する。このアライメントマークAMは、発光素子配設領域71Aの中心の位置であって、かつ各発光素子74とオーバーラップしない位置に形成されている。これにより、レンズアレイ80,83に形成された各レンズ64の光軸Eと発光素子群71との位置関係がずれないように位置調整することができる。この結果、結像光学系8と発光素子基板87との位置関係を容易に且つ高精度に調整することができ、所望の結像特性を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
10…画像形成ユニット、10C,10K,10M,10Y…画像形成ステーション、11…感光ドラム、12…帯電ユニット、13…ラインヘッド、14…現像装置、15,26…クリーニングユニット、20…転写ユニット、21…中間転写ベルト、22…一次転写ローラー、23…駆動ローラー、24…従動ローラー、25…二次転写ローラー、30…定着ユニット、40…搬送機構、41…レジストローラー対、42〜44…搬送ローラー対、50…給紙ユニット、51…給紙カセット、52…ピックアップローラー、64…レンズ、71…発光素子群、71A…発光素子配設領域、74,74a,74b,74c,74d…発光素子、80,83…レンズアレイ、81,82,84,85…スペーサー、86…遮光部材、87…発光素子基板、88…収容部材、89…ベース、90…観察光学系、111…受光面、151,261…クリーニングブレード、301…定着ローラー、302…加圧ローラー、861…貫通孔、881…凹部、D1…主走査方向、D2…副走査方向、D3…光軸方向、l1〜l4…発光素子行、m1〜m12…発光素子個数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する発光素子が複数配設された発光素子基板と、
前記発光素子基板に配設された複数の前記発光素子から発光された光を結像させる結像光学系と、
前記発光素子基板の複数の前記発光素子が配設された領域に形成されたアライメントマークと、を有することを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
複数の前記発光素子は、第1の方向に配設された発光素子行を形成する請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記結像光学系で結像される前記発光素子行は偶数行である請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
前記発光素子行は、複数の前記発光素子が前記第1の方向に偶数個配設されて形成される請求項2又は3に記載のラインヘッド。
【請求項5】
前記結像光学系で結像される複数の前記発光素子は前記発光素子基板に前記アライメントマークを中心にして点対称に配設される請求項1から4のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項6】
光を発光する発光素子が複数配設された発光素子基板、前記発光素子基板に配設された複数の前記発光素子から発光された光を結像させる結像光学系、及び前記発光素子基板の複数の前記発光素子が配設された領域に形成されたアライメントマークを有するラインヘッドと、
前記ラインヘッドにより潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
光を発光する発光素子が複数配設された発光素子基板と、前記発光素子基板に配設された複数の前記発光素子から発光された光を結像させる結像光学系と、を、前記発光素子基板の前記複数の発光素子が配設された領域に形成されたアライメントマークに基づいて位置関係を調整することを特徴とするラインヘッドの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−67961(P2011−67961A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218621(P2009−218621)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】