ラインヘッド及びこれを備えた画像形成装置
【課題】 EL素子からなる発光素子で出射された光を取り出す際に、効率的に取り出すことができ、クロストークを防止して、露光効率を向上させたラインヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 発光素子20を配列して形成した素子基板2とこの素子基板2上の発光素子20を封止する封止基板13とを備えたラインヘッド1において、発光素子20が発光する光を出射する側の基板の一部に凹部30、31、40が形成されている。凹部30、31、40は、少なくとも発光素子20部の直上部分の全域を含んで形成されている。
【解決手段】 発光素子20を配列して形成した素子基板2とこの素子基板2上の発光素子20を封止する封止基板13とを備えたラインヘッド1において、発光素子20が発光する光を出射する側の基板の一部に凹部30、31、40が形成されている。凹部30、31、40は、少なくとも発光素子20部の直上部分の全域を含んで形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッド及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、露光手段にレーザー光光源を用いたものが知られている。
また、このような画像形成装置において、露光手段として、レーザー光光源に代えて、例えば、エレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子)を発光素子として備えたラインヘッドを光源として用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなラインヘッドにおいて、例えばEL素子がボトムエミッションタイプのものでは、発光素子から出射された光は、発光素子が形成されているガラス層(素子基板)を透過して空気中に取り出される。しかし、ガラス層と空気との屈折率の違いによる全反射などによって、光の進行方向が変わり、ガラス層内に光が拡散して減衰してしまうことなどにより、ガラス層から外部に取り出すことができる光は少なくなってしまう。
【0003】
また、ラインヘッドにおいて、発光素子上に設けられた光が出射する側の基板にマイクロレンズ(レンズ)を設けることで発光した光を外部に効率的に取り出す技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
そこで、例えばEL素子からなるラインヘッドとラインヘッドにレンズを設ける技術とを組み合わせることで、ラインヘッドのガラス層上にレンズを設けて、拡散してしまっている光を効率的に取り出すことが考えられる。
【特許文献1】特開平11−198433号公報
【特許文献2】特開2000−77188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したように例えば、EL素子からなるラインヘッドにレンズ部を設けたとしても、製造プロセス上、前記ガラス層(素子基板)が十分厚く形成されることから、レンズ部の有る無しに係らず発光素子から出射された光はガラス層を通過する間に吸収されて減衰してしまい、ガラス層から外部に取り出される光の効率が低下してしまう。
したがって、発光素子が出射した光をガラス層の外に効率的に取り出すことは難しく、これによりラインヘッドの露光効率も悪くなる。
また、レンズ部を設けたことで、発光素子から出射された光が、隣の発光素子の直上に形成されているレンズ部に入射することで、クロストークが発生し露光精度が悪くなる。
なお、EL素子がトップエミッションタイプのものであっても、素子基板と同様に封止基板を十分厚くする必要上同様の問題があった。
【0005】
本発明は前記課題に鑑みなされたもので、発光素子から出射された光を取り出す際に、効率的に取り出すことができ、クロストークを防止して、露光効率を向上させたラインヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、発光素子を配列して形成した素子基板とこの素子基板上の前記発光素子を封止する封止基板とを備えたラインヘッドにおいて、前記発光素子が発光する光を出射する側の基板の一部に凹部が形成され、該凹部は、少なくとも前記発光素子部の直上部分の全域を含んで形成されていることを特徴としている。
【0007】
このラインヘッドによれば、光が出射される側の基板上に凹部が形成されていて、光の透過する領域の基板の厚みが薄くなっているので、発光素子から出射された光が基板内を透過する距離が短くなっている。したがって、光が基板内を透過する際に基板内で光が吸収される等の、光の減衰を軽減して、発光素子から出射された光を基板の外部に効率的に取り出すことができ、ラインヘッドの露光効率を向上できる。
また、光の透過する領域の基板が薄くなっているので、発光素子が出射した光が隣の発光素子の光が透過する領域内に入射することを防止することでクロストークの発生を防止して、ラインヘッドの露光精度を向上できる。
【0008】
また、前記凹部の底面は粗面となっていることが好ましい。
このようにすれば、発光素子から出射された光は、凹部の底面で散乱されることにより、全反射角以上の角度で入射してきた光についても、その一部が基板の外部に取り出されるようになる。よって、発光素子から出射された光を基板の外部に効率的に取り出すことができる。よって、ラインヘッドの露光効率を高めることができる。
また、前記凹部を形成する加工を行った際には、前記凹部の底面は通常粗面になるので、加工の後処理を省略することができ、したがってラインヘッドの生産性を高めることができる。
【0009】
また、前記凹部の底部の角部が、内側に向けて凹状となるように湾曲して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、凹部を形成する際、あるいは凹部を形成した後に、底部の隅への応力集中を緩和して、クラックが発生することを防止することができる。
【0010】
また、前記凹部の側壁面が底面側に行くに連れて漸次内側に向かうようテーパー状に形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、凹部を形成する際、あるいは凹部を形成した後に、底部の隅への応力集中を緩和して、クラックが発生することを防止することができる。
【0011】
また、前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の対向する2辺間を溝状に貫通して形成されていることが好ましい。
このようにすれば、凹部を形成する際の加工性が容易となり、したがってラインヘッドの生産性を向上できる。
【0012】
また、前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の側面に開口することなく該基板上に閉じた形状で形成されていることが好ましい。
このようにすれば、基板の外周部に肉厚部分が残っているので、凹部を設けたことでの基板自体の強度の低下を抑えることができる。
【0013】
また、前記凹部は、前記発光素子の配列に対応して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、基板上に形成された凹部の領域をさらに小さくでき、凹部を設けたことによる基板の強度の低下を小さくできる。
【0014】
また、前記凹部は、前記発光素子の個々に対応して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、基板上に形成された凹部の領域は必要最小限となるので、凹部を設けたことによる強度の低下をさらに小さくできる。
また、発光素子上に例えば球状のレンズを配置するようにした場合に、凹部の中に球状のレンズを落とし込むことで、球状のレンズの位置合わせを容易に行うことができる。
【0015】
また、前記凹部の底部には、球面状のレンズが設けられていることが好ましい。
このようにすれば、発光素子から出射された光の集光度が高まり、また、光が全反射角以上で基板とレンズとの界面に入射してきても、前記球面状のレンズを介して取り出せるようになる。
つまり、全反射角以上で基板とレンズとの界面に入射した光を屈折させることで、基板に垂直方向に近い光に集光して取り出せるので、光の集光度が高まり、ラインヘッドの露光効率を向上できる。
【0016】
また、前記凹部の底部には、球状のレンズが設けられていることが好ましい。
このように、球面状のレンズに比べて曲率の小さい球状のレンズを設けることにより、より大きな屈折率を得ることができ、したがって、発光素子から出射された光の集光度をより高めることができる。
よって、例えば、発光素子から離れた場所に光の像を結像させる場合に、結像レンズ群を使わなくても所望の位置に発光素子の光を結像することができる。
【0017】
また、前記球状のレンズは、接着剤を介して、前記凹部の底部に固定されてなることが好ましい。
このようにすれば、球状のレンズを凹部の底部に確実に固定することができる。また、発光素子と球状のレンズ部との隙間を接着剤によって無くすことで、接着剤を介して、より光をレンズへ取り込みやすくすることができる。
【0018】
また、前記発光素子が複数列形成されており、これら複数列の発光素子に対応した前記球状のレンズが前記凹部内に配列されている場合に、前記接着剤は、前記球状のレンズの列毎に塗布されてなることが好ましい。
このようにすれば、凹部内に複数列の発光素子が形成されいる場合に、発光素子の直上に設けられているレンズは、このレンズの列毎に接着剤で固定されているので、隣合う列の接着剤の間には隙間が生じている。
よって、発光素子の光は接着剤と空気との界面で屈折または、全反射するため、隣の列の接着剤内に入射することを防止して、接着剤を介して隣の列のレンズに光が入り込むことはないので、レンズの列方向のクロストークを防止することができる。
【0019】
また、前記接着剤は、前記球状のレンズ毎に塗布されてなることが好ましい。
このようにすれば、接着剤は個々のレンズに塗布されているので、各発光素子から出射された光が接着剤を介して、隣の行方向、列方向のレンズに入り込むことがなく、他のレンズへのクロストークを防止できる。
【0020】
また、前記凹部が前記素子基板に形成されている場合に、封止基板には、前記発光素子の直上部以外の場所に第2の凹部が形成され、前記第2の凹部には乾燥剤が設けられてなることが好ましい。
このようにすれば、前記第2の凹部には、乾燥剤が設けられているので、湿度で陰極等が劣化するのを防止することができる。
また、素子基板に形成された凹部の直上以外の封止基板上に第2の凹部が形成されるので、凹部が形成された基板の直上部分は封止基板の厚みがあるので、基板に第2の凹部を形成した際のラインヘッドの強度の低下を小さくすることができる。
【0021】
本発明の画像形成装置は、前記ラインヘッドを備えていることを特徴としている。
この画像形成装置によれば、発光素子から出射された光のクロストークを防止して、効率的に光を取り出すことができるラインヘッドを備えているので、このラインヘッド自体を備えた画像形成装置は、光源としての露光効率を向上でき、露光精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について詳しく説明する。
図1(a)は、本発明のラインヘッドの第一の実施形態を示す図である。
図1(b)は、図1(a)におけるA−A線矢視断面図である。
図1(a)、(b)に示すように、ラインヘッド1は、エレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子)からなる発光素子20を千鳥状に2列に配列して備えた素子基板10と前記素子基板10を封止する封止基板13とから構成されたものである。
【0023】
前記素子基板10は、TFT素子からなる駆動素子等(図示せず)が形成された矩形状のガラス基板2と、このガラス基板2の上に形成された透明電極(陽極)3と、陰極4とを備えている。
また、前記透明電極3と陰極4との間には機能層5が形成されており、これら透明電極3と陰極4と機能層5とから発光素子20が形成されている。
【0024】
前記透明電極3は、ガラス基板2上に形成される単一ドット領域毎にパターニングされて形成され、かつ、TFT素子からなる前記駆動素子や前記各種配線等と接続されたもので、本実施形態ではITO(インジウム錫酸化物:Indium Tin Oxide)によって形成されている。
【0025】
前記透明電極3の周囲を囲むようにしてガラス基板2上にSiO2からなる無機隔壁6が形成されていて、さらにこの無機隔壁6上に樹脂からなる有機隔壁7を形成されている。
前記有機隔壁7に用いられる材料としては、ポリイミド、アクリル樹脂などが挙げられる。また、これらの材料に予めフッ素元素を含有させた構造のものを用いてもよい。
これにより透明電極3上の凹部(図示せず)に正孔注入層8と発光層9からなる機能層5が積層されたものとなっている。前記発光層9の形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。
陰極4は、全ての画素領域を覆うようにして形成されたもので、例えば発光層9側から順にCa層とAl層とが積層され、形成されたものである。
【0026】
素子基板10の陰極4上には、ガラス等からなる封止基板13が接着樹脂12を介して接合されており、これらによって素子基板10は封止基板13によって封止されたものとなっている。
本実施形態のラインヘッド1は、前記発光素子20が発光した光を素子基板10側から出射する、いわゆるボトムエミッションと呼ばれるタイプのものである。
【0027】
前記ガラス基板2の外面には、本発明の凹部となる溝部30が形成されている。この溝部30は、ガラス基板2の対向する短辺間を溝状に貫通して形成されたものである。
ここで、溝部30は、前記発光素子20の直上部分に形成されたもので、配列されたすべての発光素子20をその形成位置内に収めるように配置されたものである。
よって、溝部30が形成された前記発光素子20の直上のガラス基板2の厚みは、溝部30が形成されていない箇所に比べ、薄いものとなっている。
したがって、この溝部30では、発光素子20で発光された光がガラス基板2の外部に出射するまでの、ガラス基板2内を移動する距離が短くなっている。
【0028】
前記溝部30は、例えば、研削、サンドブラスト、ドライエッチング、ウエットエッチング等の方法により形成されたものである。
前記溝部30を形成した後に、生産工程の簡略化等の理由から前記溝部30の底面に研磨加工等の後処理工程を行わない場合には、前記溝部30の底面は、粗面Sとなっている。よって、前記溝部30の底面は、微視的には凸凹を有した形状となっている。
前記溝部30は、素子基板10に封止基板13を封止して、ラインヘッド1を形成した後に、ガラス基板2上に形成されるようになっている。よって、前記封止基板13によって、ラインヘッド1の厚みのある状態で、溝部30を形成するため、前記封止基板13が補強の役割を果たしガラス基板2が割れることを防止するようになっているのである。
【0029】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20の発光する光をガラス基板2に出射する場合について説明する。
ラインヘッド1は、前述したようにボトムエミッションタイプであるため、前記発光素子20の光はガラス基板2側に出射する。
すると、前記溝部30の底面は粗面Sとなっているので、前記発光素子20で発光された光は、前記粗面Sの凸凹部に対して様々な角度で入射するようになる。よって、発光素子20から出射された光は、溝部30の底部に対し全反射角以上で入射しても、前記粗面Sの凸凹に到ることで、微視的には一部の光の入射角度が全反射角以下になり、ガラス基板2の外部に出射するようになる。
【0030】
このとき、発光素子20から出射された光は、光が透過する透過領域におけるガラス基板2が薄くなっており、空気との境界までにガラス基板2内を透過する距離が短いため、光がガラス基板2内で吸収されることで減衰する割合が減少するようになる。
また、図1(b)中矢印にて示したように、ガラス基板2が薄いため、光は隣の発光素子20の光の透過領域におけるガラス基板2内に入り込む前に、ガラス基板2の粗面Sと空気との界面に到達する。
そして、光は粗面Sで屈折されてガラス基板2の外部に取り出されるか、あるいは粗面Sによって全反射されて、光が外部に取り出されることはないので隣に形成されている発光素子20の透過領域に光は入り込まないようになっている。
【0031】
本実施形態のラインヘッド1によれば、発光素子20の光が透過する領域のガラス基板2が溝部30によって薄くなっているので、光がガラス基板2内を通過する間に吸収されて減衰する割合を少なくすることができ、光をガラス基板2の外部に効率的に取り出すことができ、ラインヘッド1の露光効率を向上できる。
また、図1(b)中矢印にて説明したように発光素子20の光は、隣の発光領域に入り込むことがないためクロストークの発生を防止でき、ラインヘッドの露光精度を向上できる。
また、前記溝部30の底面が粗面Sとなっていることで、全反射角以上の光を外部に取り出すことができる。
よって、発光素子20の光をガラス基板2の外部に効率的に取り出すことができ、ラインヘッド1の露光効率を向上できる。
【0032】
また、前記溝部30は、ガラス基板2の短辺間を貫通するように形成されていて、溝部30を加工する際に、短辺間を一度に貫通して切削加工ができるので、加工性が容易となり、ラインヘッド1の生産性を向上できる。
なお、本実施形態では、溝部30の底面と側壁面とが直角となっているが、図2に示すように、前記溝部30の底部の角部が、溝部30の内側に向けて凹状となるように湾曲部15を形成して、溝部30の底部の隅にかかる外力を緩和するようにしてもよい。
このようにすれば、前記溝部30の隅への応力集中を緩和して、隅にクラックが発生することを防止できる。
また、図3に示すように、前記溝部30の側壁面を底部に向かうにつれて次第に内側に向かうように斜めのテーパー部16を形成して、溝部30の隅にかかる外力を緩和するようになっていてもよい。
このようにすれば、前記溝部30の隅への応力集中を緩和して、隅にクラックが発生することを防止できる。
【0033】
次に、本発明のラインヘッド1の第二の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1は、ガラス基板2上に形成された後述する凹部の形状の他は、前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図4(a)は、第二の実施形態を示すラインヘッド1の平面図である。図4(a)に示すように、ガラス基板2には凹部40が形成されている。前記凹部40は、発光素子20の配列の直上に形成されていて、ガラス基板2の側面に開口しないようにガラス基板2上に閉じた状態に形成されたものとなっている。
【0034】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果と同様に、発光領域上のガラス基板2が薄く形成されているので、発光素子から出射された光を効率的に利用でき、ラインヘッド1の露光効率を向上し、さらにクロストークの発生を防止することで、ラインヘッド1の露光精度を向上できる。
また、前記凹部40がガラス基板2上に閉じられた状態で形成されることで、前記第一の実施例おける短辺間を貫通した溝部30に比べて、ガラス基板2の外周部にガラス基板2の肉厚部分が残ることで、ガラス基板2の外周部が厚くなることで、ガラス基板2に凹部40を形成したことによる、ラインヘッド1自体の強度の低下をより抑えることができる。
また、図4(b)に示すように、前記凹部40を千鳥状に2列配列した発光素子20の列毎に形成することで、ガラス基板2の薄い部分をさらに少なくすることができ、これによりラインヘッド1の強度の低下を抑えることができる。
なお、凹部40の底面を図2に示した湾曲部15にしたり、凹部40の側壁面を図3に示した斜めのテーパー部16にすることで凹部40における底面の隅にクラックの発生を防止できる。
【0035】
次に、本発明のラインヘッド1の第三の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1は、ガラス基板2上に形成された後述する溝部の形状の他は、前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図5(a)は、第三の実施形態のラインヘッド1であり、図5(b)は、図5(a)のA−A線矢視による側断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、溝部(凹部)31は、千鳥状に2列配列された発光素子20の1列毎に対応するようにガラス基板2上に形成されている。また、前記溝部31は、ガラス基板2の対向する短辺間を溝状に貫通して形成されている。
前記溝部31は、発光素子20の配列の直上に形成されていて、第一の実施形態の溝部30と比べると、発光素子20の配列の間に仕切部33が残るので、ガラス基板2を薄く加工した領域は小さくなっている。
【0036】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、ガラス基板2上に形成された溝部31の領域を小さくでき、ガラス基板2の強度を保持でき、溝部31を形成したことによる、ラインヘッド1全体の強度の低下を抑えることができる。
なお、溝部31の底面部に図2に示した湾曲部15を形成したり、図3に示した溝部31の側壁面に斜めのテーパー部16を形成することで、溝部31の底部の隅に応力集中してクラックが発生することを防止できる。
【0037】
次に、本発明のラインヘッド1の第四の実施形態について説明する。
図6(a)は、第四の実施形態を示すラインヘッド1の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、ガラス基板2上に形成された後述する溝部の形状の他は、前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図6(a)、(b)に示すように、個々の発光素子20に対応して凹部40が形成されている。また、これら各凹部40は、それぞれ各発光素子20の直上に形成配置されたものとなっている。
【0038】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、前記凹部40の形成領域が必要最小限となり、さらにガラス基板2の強度を保持でき、凹部40を形成したことでの、ラインヘッド1自体の強度の低下を抑えることができる。
なお、凹部40の底面部を湾曲状にしたり、凹部40の側壁面を斜めのテーパー状にすることで凹部40における底面の隅にクラックの発生を防止できる。
【0039】
次に、本発明のラインヘッド1の第五の実施形態について説明する。
図7(a)は、第五の実施形態を示すラインヘッド1における平面図である。
図7(b)は、図7(a)におけるA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、後述するレンズが形成されている以外は前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図7(b)中矢印は、発光素子20から発光された光の出射方向を示すものである。
本実施形態のラインヘッド1においては、図7(a)、(b)に示すように、ガラス基板2上に球面状のレンズ50が形成されていて、前記発光素子20の直上に配置されている。前記レンズ50は、ガラス基板2と同じ屈折率となっていて、発光素子20から出射された光を凸レンズのように集光するようになっている。
前記レンズ50の形成方法としては、例えば、レンズ50の型を用意して、UV照射により硬化する樹脂にレンズ50の型を押し付けた状態で、UV照射を行い樹脂を硬化することで形成する方法や、液滴吐出法にてレンズ50の材料を発光素子20の直上のガラス基板2に吐出した後、硬化する方法によって形成されている。
【0040】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20から光が発光される場合について説明する。
発光素子20から出射された光は、前述したように、光の透過領域におけるガラス基板2が薄いことから、前記ガラス基板2内を光がほぼ減衰することがなくガラス基板2内を透過する。
すると、光はガラス基板2と同じ屈折率のレンズ50との間を透過するので、前記ガラス基板2とレンズ50との界面で屈折や反射(全反射)することなく、図7(b)中矢印のようにレンズ50内に入り込む。
そして、前記レンズ50内に入り込んだ光は、このレンズ50と空気との界面で屈折して、図7(b)中矢印のようにガラス基板2の垂直方向に集光されるようになる。
【0041】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、光の透過領域上のガラス基板2が薄いことで、発光素子20から出射された光を効率的に利用でき、さらにクロストークの発生を防止することで、ラインヘッドの露光効率、及び露光精度が向上できる。
また、ガラス基板2と同じ屈折率のレンズ50が形成されていることで、発光素子20の光は、前記ガラス基板2とレンズ50との界面を屈折および全反射することなく前記レンズ50を介して外部に効率的に取り出すことができる。
また、全反射角以上でガラス基板2に入射した光を屈折させることで、ガラス基板2の垂直方向に近い光として取り出すことができ、発光素子20から出射された光の集光性を高めて、ラインヘッド自体の露光効率を高めることができる。
【0042】
なお、第一の実施形態の溝部30に代えて、発光素子20の配列毎に応じて溝部30を形成したり、または図4(a)に示したように、閉じた状態で発光素子20の配列上の全域に凹部40を形成したり、または、図4(b)に示したように、閉じた状態で発光素子20の配列毎に凹部40を形成して、前記レンズ50を形成してもよい。
または、図6(a)、(b)に示したように、各発光素子20の直上に凹部40を形成して、前記レンズ50を形成するようにしてもよい。
また、凹部40の底面部を湾曲状にしたり、凹部40の側壁面を斜めのテーパー状にすることで凹部40における底面の隅にクラックの発生を防止するようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明のラインヘッド1の第六の実施形態について説明する。
図8(a)は、第六の実施形態を示すラインヘッド1における平面図である。また、図8(b)は、図8(a)におけるA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、後述する球状のレンズが設けられている以外は前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図8(b)中矢印は、発光素子20から発光された光の出射方向を示すものである。
図8(a)、(b)に示すように、ガラス基板2上には、発光素子20の直上の位置に接着剤61を介して球状のレンズ60が配置されている。
図8(b)に示すように、前記接着剤61は、前記レンズ60の列毎に塗布されていて、前記レンズ60をガラス基板2に固定したものとなっている。
また、前記接着剤61は、隣り合うレンズ60を固定する接着剤61に対して隙間をあけて形成されている。
前記各レンズ60は、ガラス球等からなるもので、各発光素子20の直上に位置あわせをして配置され、前記発光素子20から出射された光を集光するようになっている。
また、球状のレンズ60は、前記第五の実施形態で説明した球面状のレンズ50に比べて、曲率が小さいものであり、より高い集光度が得られるものとなっている。
ここで、レンズ60と接着剤61とガラス基板2との3層間は屈折率が同一になっている。
【0044】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20から光が発光される場合について説明する。
発光素子20から出射された光は、図8(b)中矢印に示すように、ガラス基板2を通り、接着剤61を介して、レンズ60に入り込む。このとき、前述したように、ガラス基板2と、接着剤61と、レンズ60との間における屈折率は同一となっていて、それぞれの界面において、全反射や屈折は起こらず光は透過するようになっている。
そして、発光素子2から出射された光は、前記レンズ60と空気との界面で屈折して図8(b)中矢印に示すように、集光するようになる。
発光素子20から出射された光は、直上の接着剤61を透過した場合でも、隣の列の接着剤61の隙間に存在する空気層との界面で、屈折または反射する。
よって、発光素子20から出射された光が隣の列に形成された接着剤61内に入り込むことはない。
【0045】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、曲率が小さく高い集光度の球状のレンズ60を形成したことで、発光素子20から出射された光の集光度をより高めることができる。よって、ラインヘッド1の露光効率を向上できる。
また、前記レンズ60は高い集光度を備えており、発光素子20から離れた場所に光の像を結像させる場合に、例えば、結像レンズ群を使わなくても所望の位置に発光素子20の光を結像することができる。なお、前記レンズ60の曲率を調整することで、光の集光する位置を調整するようにしてもよい。
また、接着剤61をレンズ60の配列毎に設けたことで、接着剤61を介して隣の列の接着剤61内に光が入り込むことを防止して、発光素子20の列方向のクロストークを防止できる。
なお、本実施形態の溝部30に代えて、ガラス基板2上に、発光素子20の列に応じて溝部30を形成したり、図4(a)に示したように閉じた状態で発光素子20の配列上に凹部40を形成したり、または図4(b)に示したように、閉じた状態で発光素子20の列毎に凹部40を形成することで、ラインヘッド1におけるガラス基板2の強度を向上して、凹部40を形成したことでの前記ラインヘッド1自体の強度の低下を防止して、前記レンズ60を形成してもよい。
【0046】
次に、本発明のラインヘッド1の第七の実施形態について説明する。
図9(a)は、第七の実施形態を示すラインヘッド1における平面図である。また、図9(b)は、図9(a)におけるA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、後述する球状のレンズが形成されている以外の構成は、前記第四の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
本実施形態のラインヘッド1は、図9(a)、(b)に示すように、各発光素子20の直上のガラス基板2に個々の凹部40が形成され、前記各発光素子20の直上のガラス基板2上には、レンズ60が設けられている。前記レンズ60を配置する際には、前記凹部40内にレンズ60を落とし込むことでレンズ60の位置あわせが容易となっている。また、前記レンズ60は、各レンズ60毎に接着剤61を介してガラス基板2上に固定されたものとなっている。このようにレンズ60は、前記凹部40内に設けられたものとなっている。
このとき、レンズ60と接着剤61とガラス基板2との間の屈折率は同一になっている。
【0047】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20から光を出射する場合について説明する。
発光素子20から出射された光は、レンズ60毎に形成された接着剤61とレンズ60内を透過することで外部に出射する。また、接着剤61は個々のレンズ60毎に接着されているため、接着剤61と空気との界面で光が屈折または全反射するため、接着剤61を介して、隣り合うのレンズ60内に光が入り込むことはない。
【0048】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第六の実施形態と同様の効果に加えて、接着剤61をレンズ60毎に設けたことで、接着剤61を介して隣り合う接着剤61内に光が入り込むことを防止でき、発光素子20のクロストークを防止でき、ラインヘッド1の露光精度を向上できる。
なお、本実施形態の凹部40に代えて、ガラス基板2上に、発光素子20の列に応じて溝部30を形成したり、またはガラス基板2上に閉じた状態で発光素子20の列毎に凹部40を形成して、前記球状のレンズ60毎に接着剤61で固定するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明のラインヘッド1の第八の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1においては、基本的な構造は前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
本実施形態のラインヘッド1は、素子基板10上のガラス基板2側に凹部を形成する場合に適応可能となっている。
図10に示すように、封止基板13の内面側(封止基板13との界面側)に凹部(第2の凹部)70が形成されている。前記凹部70は、前記ガラス基板2に形成された溝部30の直上部以外の封止基板13に形成されたものとなっている。ここで、前記凹部70には、乾燥剤80が設けられている。
よって、ガラス基板2に形成された溝部30と、封止基板13に形成された凹部70とは重ならないため、溝部30が形成されている領域のガラス基板2が薄くなることを防止するようになっている。
【0050】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、陰極4側に乾燥剤80を設けたことで、空気中の湿気等により陰極4等が劣化することを防止できる。
また、ガラス基板2の溝部30の直上部以外の位置に封止基板13上に溝部70を形成することで、溝部30が形成されたガラス基板2部分の強度の低下が防止でき、ラインヘッド1自体の強度の低下を最小限に抑えることができる。
なお、前記溝部30に球面状のレンズ50や球状のレンズ60等を設けることでラインヘッド1の露光効率を向上するようにしてもよい。
また、本実施形態の溝部30に代えて、ガラス基板2上に、発光素子20の列に応じて溝部30を形成したり、または閉じた状態で発光素子20の列毎に凹部40を形成することで、ラインヘッド1におけるガラス基板2の強度を向上して、凹部40を形成したことでの前記ラインヘッド1自体の強度の低下をより防止するようにしてもよい。
【0051】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更し得ることは勿論である。
例えば、光がガラス基板2側に出射するボトムエミッションタイプのもので説明したが、光が封止基板13側に出射するトップエミッションタイプであってもよく、封止基板13上に同様に溝部30や凹部40を形成することでラインヘッド1の露光効率を向上することができる。また、発光素子20として、EL素子を備えたラインヘッドを用いて説明したが、LEDを発光素子として備えたラインヘッドを用いてもよい。
また、発光素子20は2列として形成したが、本発明はこれに限定されること無く2列以上あるいは、1列の発光素子20を形成してもよい。
また、ガラス基板2上に溝部30や凹部40等を形成する際に、個別のラインヘッド1に分割した後に前記溝部30や凹部40を形成したが、図11に示すようにラインヘッド1を大判の状態で形成し、大判90の状態にて前記溝部30や凹部40を形成したり、一定の数量のラインヘッド1毎に前記溝部30や凹部40を形成することで生産性を向上するようにしてもよい。
【0052】
次に、本発明のラインヘッド1を備えた画像形成装置100について説明する。
図12は、本発明のラインヘッド1を備えた画像形成装置100の第一の実施形態を示す縦断断面図である。
前記画像形成装置100は、4個のラインヘッド1K、1C、1M、1Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置100として構成されている。
【0053】
図12に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(半時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像嘆じたいとしての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
【0054】
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンダ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
【0055】
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電機器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査するラインヘッド1(K、C、M、Y)が設けられている。
【0056】
また、ラインヘッド1(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
【0057】
ここで、ラインヘッド1(K、C、M、Y)は、そのアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように配置される。そして、各有機ELアレイラインヘッド1(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0058】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、その現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
【0059】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体Pに定着され、定着部である定着ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上に排出される。
【0060】
なお、図12中で、符号63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、符号64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ急送するピックアップロータ、符号65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートロータ対、符号66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、符号67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0061】
本発明の画像形成装置100によれば、書き込み手段として前述したラインヘッド1を備えているので、発光素子20から出射された光を効率的に取り出すことができ、光源としての露光効率を向上できる。また、前記ラインヘッド1は、発光素子20から出射された光のクロストークを防止するので、これを備えた画像形成装置100の露光精度を向上できる。
【0062】
次に、本発明にかかわる画像形成装置200に係る第二の実施形態について説明する。
図13に示すように、画像形成装置200には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161と、像担持体として機能する感光体ドラム165と、本発明のラインヘッド1が設けられている像書込手段167、中間転写ベルト169と、用紙搬送路174と、定着器の加熱ローラ172と、給紙トレイ178とが設けられている。
本実施形態では、4サイクル方式の画像形成装置200として構成されている。
【0063】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナー供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0064】
前記感光体ドラム165は、一次転写部材166と、帯電器168と、像書込手段167として用いるラインヘッド1とが設けられている。また、前記感光体ドラム165は、駆動モータ(図示せず)、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動するようになっている。
【0065】
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆の方向の矢視E方向に回動される。
【0066】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
【0067】
前述したように、画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。符号177は電装品ボックス、符号178は用紙を収納する給紙トレイ、符号179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0068】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、例えば低速のブラシレスモータが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの信号により制御される。
【0069】
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表面側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
【0070】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0071】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181がもうけられている。
【0072】
本発明の画像形成装置200によれば、書き込み手段として前述したラインヘッド1を備えているので、発光素子20から出射された光を効率的に取り出すことができ、光源としての露光効率を向上できる。また、前記ラインヘッド1は、発光素子20から出射された光のクロストークを防止するので、これを備えた画像形成装置100の露光精度を向上できる。
【0073】
以上、本発明のラインヘッド1を備えた画像形成装置について実施形態に基づいて説明せいた。本発明の画像形成装置はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は、第一の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図2】凹部の底部の隅を湾曲状とした側断面図。
【図3】凹部の底部の隅を斜めのテーパー状とした側断面図。
【図4】(a)は、第二の実施形態のラインヘッド、(b)は、別形態を示す図。
【図5】(a)は、第三の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図6】(a)は、第四の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図7】(a)は、第五の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図8】(a)は、第六の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図9】(a)は、第七の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図10】第八の実施形態のラインヘッドにおける側断面図。
【図11】ラインヘッドの大判での状態を示す平面図。
【図12】本発明の第一の実施形態の画像形成装置の模式図。
【図13】本発明の第二の実施形態の画像形成装置の模式図。
【符号の説明】
【0075】
1…ラインヘッド、2…ガラス基板、13…封止基板、15…湾曲部、16…テーパー部、20…発光素子、30…溝部(凹部)、31…溝部(凹部)、40…凹部、50…レンズ、60…レンズ、61…接着剤、70…凹部(第二の凹部)、80…乾燥剤、100…画像形成装置、200…画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッド及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、露光手段にレーザー光光源を用いたものが知られている。
また、このような画像形成装置において、露光手段として、レーザー光光源に代えて、例えば、エレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子)を発光素子として備えたラインヘッドを光源として用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなラインヘッドにおいて、例えばEL素子がボトムエミッションタイプのものでは、発光素子から出射された光は、発光素子が形成されているガラス層(素子基板)を透過して空気中に取り出される。しかし、ガラス層と空気との屈折率の違いによる全反射などによって、光の進行方向が変わり、ガラス層内に光が拡散して減衰してしまうことなどにより、ガラス層から外部に取り出すことができる光は少なくなってしまう。
【0003】
また、ラインヘッドにおいて、発光素子上に設けられた光が出射する側の基板にマイクロレンズ(レンズ)を設けることで発光した光を外部に効率的に取り出す技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
そこで、例えばEL素子からなるラインヘッドとラインヘッドにレンズを設ける技術とを組み合わせることで、ラインヘッドのガラス層上にレンズを設けて、拡散してしまっている光を効率的に取り出すことが考えられる。
【特許文献1】特開平11−198433号公報
【特許文献2】特開2000−77188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したように例えば、EL素子からなるラインヘッドにレンズ部を設けたとしても、製造プロセス上、前記ガラス層(素子基板)が十分厚く形成されることから、レンズ部の有る無しに係らず発光素子から出射された光はガラス層を通過する間に吸収されて減衰してしまい、ガラス層から外部に取り出される光の効率が低下してしまう。
したがって、発光素子が出射した光をガラス層の外に効率的に取り出すことは難しく、これによりラインヘッドの露光効率も悪くなる。
また、レンズ部を設けたことで、発光素子から出射された光が、隣の発光素子の直上に形成されているレンズ部に入射することで、クロストークが発生し露光精度が悪くなる。
なお、EL素子がトップエミッションタイプのものであっても、素子基板と同様に封止基板を十分厚くする必要上同様の問題があった。
【0005】
本発明は前記課題に鑑みなされたもので、発光素子から出射された光を取り出す際に、効率的に取り出すことができ、クロストークを防止して、露光効率を向上させたラインヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、発光素子を配列して形成した素子基板とこの素子基板上の前記発光素子を封止する封止基板とを備えたラインヘッドにおいて、前記発光素子が発光する光を出射する側の基板の一部に凹部が形成され、該凹部は、少なくとも前記発光素子部の直上部分の全域を含んで形成されていることを特徴としている。
【0007】
このラインヘッドによれば、光が出射される側の基板上に凹部が形成されていて、光の透過する領域の基板の厚みが薄くなっているので、発光素子から出射された光が基板内を透過する距離が短くなっている。したがって、光が基板内を透過する際に基板内で光が吸収される等の、光の減衰を軽減して、発光素子から出射された光を基板の外部に効率的に取り出すことができ、ラインヘッドの露光効率を向上できる。
また、光の透過する領域の基板が薄くなっているので、発光素子が出射した光が隣の発光素子の光が透過する領域内に入射することを防止することでクロストークの発生を防止して、ラインヘッドの露光精度を向上できる。
【0008】
また、前記凹部の底面は粗面となっていることが好ましい。
このようにすれば、発光素子から出射された光は、凹部の底面で散乱されることにより、全反射角以上の角度で入射してきた光についても、その一部が基板の外部に取り出されるようになる。よって、発光素子から出射された光を基板の外部に効率的に取り出すことができる。よって、ラインヘッドの露光効率を高めることができる。
また、前記凹部を形成する加工を行った際には、前記凹部の底面は通常粗面になるので、加工の後処理を省略することができ、したがってラインヘッドの生産性を高めることができる。
【0009】
また、前記凹部の底部の角部が、内側に向けて凹状となるように湾曲して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、凹部を形成する際、あるいは凹部を形成した後に、底部の隅への応力集中を緩和して、クラックが発生することを防止することができる。
【0010】
また、前記凹部の側壁面が底面側に行くに連れて漸次内側に向かうようテーパー状に形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、凹部を形成する際、あるいは凹部を形成した後に、底部の隅への応力集中を緩和して、クラックが発生することを防止することができる。
【0011】
また、前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の対向する2辺間を溝状に貫通して形成されていることが好ましい。
このようにすれば、凹部を形成する際の加工性が容易となり、したがってラインヘッドの生産性を向上できる。
【0012】
また、前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の側面に開口することなく該基板上に閉じた形状で形成されていることが好ましい。
このようにすれば、基板の外周部に肉厚部分が残っているので、凹部を設けたことでの基板自体の強度の低下を抑えることができる。
【0013】
また、前記凹部は、前記発光素子の配列に対応して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、基板上に形成された凹部の領域をさらに小さくでき、凹部を設けたことによる基板の強度の低下を小さくできる。
【0014】
また、前記凹部は、前記発光素子の個々に対応して形成されてなることが好ましい。
このようにすれば、基板上に形成された凹部の領域は必要最小限となるので、凹部を設けたことによる強度の低下をさらに小さくできる。
また、発光素子上に例えば球状のレンズを配置するようにした場合に、凹部の中に球状のレンズを落とし込むことで、球状のレンズの位置合わせを容易に行うことができる。
【0015】
また、前記凹部の底部には、球面状のレンズが設けられていることが好ましい。
このようにすれば、発光素子から出射された光の集光度が高まり、また、光が全反射角以上で基板とレンズとの界面に入射してきても、前記球面状のレンズを介して取り出せるようになる。
つまり、全反射角以上で基板とレンズとの界面に入射した光を屈折させることで、基板に垂直方向に近い光に集光して取り出せるので、光の集光度が高まり、ラインヘッドの露光効率を向上できる。
【0016】
また、前記凹部の底部には、球状のレンズが設けられていることが好ましい。
このように、球面状のレンズに比べて曲率の小さい球状のレンズを設けることにより、より大きな屈折率を得ることができ、したがって、発光素子から出射された光の集光度をより高めることができる。
よって、例えば、発光素子から離れた場所に光の像を結像させる場合に、結像レンズ群を使わなくても所望の位置に発光素子の光を結像することができる。
【0017】
また、前記球状のレンズは、接着剤を介して、前記凹部の底部に固定されてなることが好ましい。
このようにすれば、球状のレンズを凹部の底部に確実に固定することができる。また、発光素子と球状のレンズ部との隙間を接着剤によって無くすことで、接着剤を介して、より光をレンズへ取り込みやすくすることができる。
【0018】
また、前記発光素子が複数列形成されており、これら複数列の発光素子に対応した前記球状のレンズが前記凹部内に配列されている場合に、前記接着剤は、前記球状のレンズの列毎に塗布されてなることが好ましい。
このようにすれば、凹部内に複数列の発光素子が形成されいる場合に、発光素子の直上に設けられているレンズは、このレンズの列毎に接着剤で固定されているので、隣合う列の接着剤の間には隙間が生じている。
よって、発光素子の光は接着剤と空気との界面で屈折または、全反射するため、隣の列の接着剤内に入射することを防止して、接着剤を介して隣の列のレンズに光が入り込むことはないので、レンズの列方向のクロストークを防止することができる。
【0019】
また、前記接着剤は、前記球状のレンズ毎に塗布されてなることが好ましい。
このようにすれば、接着剤は個々のレンズに塗布されているので、各発光素子から出射された光が接着剤を介して、隣の行方向、列方向のレンズに入り込むことがなく、他のレンズへのクロストークを防止できる。
【0020】
また、前記凹部が前記素子基板に形成されている場合に、封止基板には、前記発光素子の直上部以外の場所に第2の凹部が形成され、前記第2の凹部には乾燥剤が設けられてなることが好ましい。
このようにすれば、前記第2の凹部には、乾燥剤が設けられているので、湿度で陰極等が劣化するのを防止することができる。
また、素子基板に形成された凹部の直上以外の封止基板上に第2の凹部が形成されるので、凹部が形成された基板の直上部分は封止基板の厚みがあるので、基板に第2の凹部を形成した際のラインヘッドの強度の低下を小さくすることができる。
【0021】
本発明の画像形成装置は、前記ラインヘッドを備えていることを特徴としている。
この画像形成装置によれば、発光素子から出射された光のクロストークを防止して、効率的に光を取り出すことができるラインヘッドを備えているので、このラインヘッド自体を備えた画像形成装置は、光源としての露光効率を向上でき、露光精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について詳しく説明する。
図1(a)は、本発明のラインヘッドの第一の実施形態を示す図である。
図1(b)は、図1(a)におけるA−A線矢視断面図である。
図1(a)、(b)に示すように、ラインヘッド1は、エレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子)からなる発光素子20を千鳥状に2列に配列して備えた素子基板10と前記素子基板10を封止する封止基板13とから構成されたものである。
【0023】
前記素子基板10は、TFT素子からなる駆動素子等(図示せず)が形成された矩形状のガラス基板2と、このガラス基板2の上に形成された透明電極(陽極)3と、陰極4とを備えている。
また、前記透明電極3と陰極4との間には機能層5が形成されており、これら透明電極3と陰極4と機能層5とから発光素子20が形成されている。
【0024】
前記透明電極3は、ガラス基板2上に形成される単一ドット領域毎にパターニングされて形成され、かつ、TFT素子からなる前記駆動素子や前記各種配線等と接続されたもので、本実施形態ではITO(インジウム錫酸化物:Indium Tin Oxide)によって形成されている。
【0025】
前記透明電極3の周囲を囲むようにしてガラス基板2上にSiO2からなる無機隔壁6が形成されていて、さらにこの無機隔壁6上に樹脂からなる有機隔壁7を形成されている。
前記有機隔壁7に用いられる材料としては、ポリイミド、アクリル樹脂などが挙げられる。また、これらの材料に予めフッ素元素を含有させた構造のものを用いてもよい。
これにより透明電極3上の凹部(図示せず)に正孔注入層8と発光層9からなる機能層5が積層されたものとなっている。前記発光層9の形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。
陰極4は、全ての画素領域を覆うようにして形成されたもので、例えば発光層9側から順にCa層とAl層とが積層され、形成されたものである。
【0026】
素子基板10の陰極4上には、ガラス等からなる封止基板13が接着樹脂12を介して接合されており、これらによって素子基板10は封止基板13によって封止されたものとなっている。
本実施形態のラインヘッド1は、前記発光素子20が発光した光を素子基板10側から出射する、いわゆるボトムエミッションと呼ばれるタイプのものである。
【0027】
前記ガラス基板2の外面には、本発明の凹部となる溝部30が形成されている。この溝部30は、ガラス基板2の対向する短辺間を溝状に貫通して形成されたものである。
ここで、溝部30は、前記発光素子20の直上部分に形成されたもので、配列されたすべての発光素子20をその形成位置内に収めるように配置されたものである。
よって、溝部30が形成された前記発光素子20の直上のガラス基板2の厚みは、溝部30が形成されていない箇所に比べ、薄いものとなっている。
したがって、この溝部30では、発光素子20で発光された光がガラス基板2の外部に出射するまでの、ガラス基板2内を移動する距離が短くなっている。
【0028】
前記溝部30は、例えば、研削、サンドブラスト、ドライエッチング、ウエットエッチング等の方法により形成されたものである。
前記溝部30を形成した後に、生産工程の簡略化等の理由から前記溝部30の底面に研磨加工等の後処理工程を行わない場合には、前記溝部30の底面は、粗面Sとなっている。よって、前記溝部30の底面は、微視的には凸凹を有した形状となっている。
前記溝部30は、素子基板10に封止基板13を封止して、ラインヘッド1を形成した後に、ガラス基板2上に形成されるようになっている。よって、前記封止基板13によって、ラインヘッド1の厚みのある状態で、溝部30を形成するため、前記封止基板13が補強の役割を果たしガラス基板2が割れることを防止するようになっているのである。
【0029】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20の発光する光をガラス基板2に出射する場合について説明する。
ラインヘッド1は、前述したようにボトムエミッションタイプであるため、前記発光素子20の光はガラス基板2側に出射する。
すると、前記溝部30の底面は粗面Sとなっているので、前記発光素子20で発光された光は、前記粗面Sの凸凹部に対して様々な角度で入射するようになる。よって、発光素子20から出射された光は、溝部30の底部に対し全反射角以上で入射しても、前記粗面Sの凸凹に到ることで、微視的には一部の光の入射角度が全反射角以下になり、ガラス基板2の外部に出射するようになる。
【0030】
このとき、発光素子20から出射された光は、光が透過する透過領域におけるガラス基板2が薄くなっており、空気との境界までにガラス基板2内を透過する距離が短いため、光がガラス基板2内で吸収されることで減衰する割合が減少するようになる。
また、図1(b)中矢印にて示したように、ガラス基板2が薄いため、光は隣の発光素子20の光の透過領域におけるガラス基板2内に入り込む前に、ガラス基板2の粗面Sと空気との界面に到達する。
そして、光は粗面Sで屈折されてガラス基板2の外部に取り出されるか、あるいは粗面Sによって全反射されて、光が外部に取り出されることはないので隣に形成されている発光素子20の透過領域に光は入り込まないようになっている。
【0031】
本実施形態のラインヘッド1によれば、発光素子20の光が透過する領域のガラス基板2が溝部30によって薄くなっているので、光がガラス基板2内を通過する間に吸収されて減衰する割合を少なくすることができ、光をガラス基板2の外部に効率的に取り出すことができ、ラインヘッド1の露光効率を向上できる。
また、図1(b)中矢印にて説明したように発光素子20の光は、隣の発光領域に入り込むことがないためクロストークの発生を防止でき、ラインヘッドの露光精度を向上できる。
また、前記溝部30の底面が粗面Sとなっていることで、全反射角以上の光を外部に取り出すことができる。
よって、発光素子20の光をガラス基板2の外部に効率的に取り出すことができ、ラインヘッド1の露光効率を向上できる。
【0032】
また、前記溝部30は、ガラス基板2の短辺間を貫通するように形成されていて、溝部30を加工する際に、短辺間を一度に貫通して切削加工ができるので、加工性が容易となり、ラインヘッド1の生産性を向上できる。
なお、本実施形態では、溝部30の底面と側壁面とが直角となっているが、図2に示すように、前記溝部30の底部の角部が、溝部30の内側に向けて凹状となるように湾曲部15を形成して、溝部30の底部の隅にかかる外力を緩和するようにしてもよい。
このようにすれば、前記溝部30の隅への応力集中を緩和して、隅にクラックが発生することを防止できる。
また、図3に示すように、前記溝部30の側壁面を底部に向かうにつれて次第に内側に向かうように斜めのテーパー部16を形成して、溝部30の隅にかかる外力を緩和するようになっていてもよい。
このようにすれば、前記溝部30の隅への応力集中を緩和して、隅にクラックが発生することを防止できる。
【0033】
次に、本発明のラインヘッド1の第二の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1は、ガラス基板2上に形成された後述する凹部の形状の他は、前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図4(a)は、第二の実施形態を示すラインヘッド1の平面図である。図4(a)に示すように、ガラス基板2には凹部40が形成されている。前記凹部40は、発光素子20の配列の直上に形成されていて、ガラス基板2の側面に開口しないようにガラス基板2上に閉じた状態に形成されたものとなっている。
【0034】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果と同様に、発光領域上のガラス基板2が薄く形成されているので、発光素子から出射された光を効率的に利用でき、ラインヘッド1の露光効率を向上し、さらにクロストークの発生を防止することで、ラインヘッド1の露光精度を向上できる。
また、前記凹部40がガラス基板2上に閉じられた状態で形成されることで、前記第一の実施例おける短辺間を貫通した溝部30に比べて、ガラス基板2の外周部にガラス基板2の肉厚部分が残ることで、ガラス基板2の外周部が厚くなることで、ガラス基板2に凹部40を形成したことによる、ラインヘッド1自体の強度の低下をより抑えることができる。
また、図4(b)に示すように、前記凹部40を千鳥状に2列配列した発光素子20の列毎に形成することで、ガラス基板2の薄い部分をさらに少なくすることができ、これによりラインヘッド1の強度の低下を抑えることができる。
なお、凹部40の底面を図2に示した湾曲部15にしたり、凹部40の側壁面を図3に示した斜めのテーパー部16にすることで凹部40における底面の隅にクラックの発生を防止できる。
【0035】
次に、本発明のラインヘッド1の第三の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1は、ガラス基板2上に形成された後述する溝部の形状の他は、前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図5(a)は、第三の実施形態のラインヘッド1であり、図5(b)は、図5(a)のA−A線矢視による側断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、溝部(凹部)31は、千鳥状に2列配列された発光素子20の1列毎に対応するようにガラス基板2上に形成されている。また、前記溝部31は、ガラス基板2の対向する短辺間を溝状に貫通して形成されている。
前記溝部31は、発光素子20の配列の直上に形成されていて、第一の実施形態の溝部30と比べると、発光素子20の配列の間に仕切部33が残るので、ガラス基板2を薄く加工した領域は小さくなっている。
【0036】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、ガラス基板2上に形成された溝部31の領域を小さくでき、ガラス基板2の強度を保持でき、溝部31を形成したことによる、ラインヘッド1全体の強度の低下を抑えることができる。
なお、溝部31の底面部に図2に示した湾曲部15を形成したり、図3に示した溝部31の側壁面に斜めのテーパー部16を形成することで、溝部31の底部の隅に応力集中してクラックが発生することを防止できる。
【0037】
次に、本発明のラインヘッド1の第四の実施形態について説明する。
図6(a)は、第四の実施形態を示すラインヘッド1の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、ガラス基板2上に形成された後述する溝部の形状の他は、前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図6(a)、(b)に示すように、個々の発光素子20に対応して凹部40が形成されている。また、これら各凹部40は、それぞれ各発光素子20の直上に形成配置されたものとなっている。
【0038】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、前記凹部40の形成領域が必要最小限となり、さらにガラス基板2の強度を保持でき、凹部40を形成したことでの、ラインヘッド1自体の強度の低下を抑えることができる。
なお、凹部40の底面部を湾曲状にしたり、凹部40の側壁面を斜めのテーパー状にすることで凹部40における底面の隅にクラックの発生を防止できる。
【0039】
次に、本発明のラインヘッド1の第五の実施形態について説明する。
図7(a)は、第五の実施形態を示すラインヘッド1における平面図である。
図7(b)は、図7(a)におけるA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、後述するレンズが形成されている以外は前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図7(b)中矢印は、発光素子20から発光された光の出射方向を示すものである。
本実施形態のラインヘッド1においては、図7(a)、(b)に示すように、ガラス基板2上に球面状のレンズ50が形成されていて、前記発光素子20の直上に配置されている。前記レンズ50は、ガラス基板2と同じ屈折率となっていて、発光素子20から出射された光を凸レンズのように集光するようになっている。
前記レンズ50の形成方法としては、例えば、レンズ50の型を用意して、UV照射により硬化する樹脂にレンズ50の型を押し付けた状態で、UV照射を行い樹脂を硬化することで形成する方法や、液滴吐出法にてレンズ50の材料を発光素子20の直上のガラス基板2に吐出した後、硬化する方法によって形成されている。
【0040】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20から光が発光される場合について説明する。
発光素子20から出射された光は、前述したように、光の透過領域におけるガラス基板2が薄いことから、前記ガラス基板2内を光がほぼ減衰することがなくガラス基板2内を透過する。
すると、光はガラス基板2と同じ屈折率のレンズ50との間を透過するので、前記ガラス基板2とレンズ50との界面で屈折や反射(全反射)することなく、図7(b)中矢印のようにレンズ50内に入り込む。
そして、前記レンズ50内に入り込んだ光は、このレンズ50と空気との界面で屈折して、図7(b)中矢印のようにガラス基板2の垂直方向に集光されるようになる。
【0041】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、光の透過領域上のガラス基板2が薄いことで、発光素子20から出射された光を効率的に利用でき、さらにクロストークの発生を防止することで、ラインヘッドの露光効率、及び露光精度が向上できる。
また、ガラス基板2と同じ屈折率のレンズ50が形成されていることで、発光素子20の光は、前記ガラス基板2とレンズ50との界面を屈折および全反射することなく前記レンズ50を介して外部に効率的に取り出すことができる。
また、全反射角以上でガラス基板2に入射した光を屈折させることで、ガラス基板2の垂直方向に近い光として取り出すことができ、発光素子20から出射された光の集光性を高めて、ラインヘッド自体の露光効率を高めることができる。
【0042】
なお、第一の実施形態の溝部30に代えて、発光素子20の配列毎に応じて溝部30を形成したり、または図4(a)に示したように、閉じた状態で発光素子20の配列上の全域に凹部40を形成したり、または、図4(b)に示したように、閉じた状態で発光素子20の配列毎に凹部40を形成して、前記レンズ50を形成してもよい。
または、図6(a)、(b)に示したように、各発光素子20の直上に凹部40を形成して、前記レンズ50を形成するようにしてもよい。
また、凹部40の底面部を湾曲状にしたり、凹部40の側壁面を斜めのテーパー状にすることで凹部40における底面の隅にクラックの発生を防止するようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明のラインヘッド1の第六の実施形態について説明する。
図8(a)は、第六の実施形態を示すラインヘッド1における平面図である。また、図8(b)は、図8(a)におけるA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、後述する球状のレンズが設けられている以外は前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
図8(b)中矢印は、発光素子20から発光された光の出射方向を示すものである。
図8(a)、(b)に示すように、ガラス基板2上には、発光素子20の直上の位置に接着剤61を介して球状のレンズ60が配置されている。
図8(b)に示すように、前記接着剤61は、前記レンズ60の列毎に塗布されていて、前記レンズ60をガラス基板2に固定したものとなっている。
また、前記接着剤61は、隣り合うレンズ60を固定する接着剤61に対して隙間をあけて形成されている。
前記各レンズ60は、ガラス球等からなるもので、各発光素子20の直上に位置あわせをして配置され、前記発光素子20から出射された光を集光するようになっている。
また、球状のレンズ60は、前記第五の実施形態で説明した球面状のレンズ50に比べて、曲率が小さいものであり、より高い集光度が得られるものとなっている。
ここで、レンズ60と接着剤61とガラス基板2との3層間は屈折率が同一になっている。
【0044】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20から光が発光される場合について説明する。
発光素子20から出射された光は、図8(b)中矢印に示すように、ガラス基板2を通り、接着剤61を介して、レンズ60に入り込む。このとき、前述したように、ガラス基板2と、接着剤61と、レンズ60との間における屈折率は同一となっていて、それぞれの界面において、全反射や屈折は起こらず光は透過するようになっている。
そして、発光素子2から出射された光は、前記レンズ60と空気との界面で屈折して図8(b)中矢印に示すように、集光するようになる。
発光素子20から出射された光は、直上の接着剤61を透過した場合でも、隣の列の接着剤61の隙間に存在する空気層との界面で、屈折または反射する。
よって、発光素子20から出射された光が隣の列に形成された接着剤61内に入り込むことはない。
【0045】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第一の実施形態とガラス基板2に凹部が形成されている等の共通の構造から得られる効果に加えて、曲率が小さく高い集光度の球状のレンズ60を形成したことで、発光素子20から出射された光の集光度をより高めることができる。よって、ラインヘッド1の露光効率を向上できる。
また、前記レンズ60は高い集光度を備えており、発光素子20から離れた場所に光の像を結像させる場合に、例えば、結像レンズ群を使わなくても所望の位置に発光素子20の光を結像することができる。なお、前記レンズ60の曲率を調整することで、光の集光する位置を調整するようにしてもよい。
また、接着剤61をレンズ60の配列毎に設けたことで、接着剤61を介して隣の列の接着剤61内に光が入り込むことを防止して、発光素子20の列方向のクロストークを防止できる。
なお、本実施形態の溝部30に代えて、ガラス基板2上に、発光素子20の列に応じて溝部30を形成したり、図4(a)に示したように閉じた状態で発光素子20の配列上に凹部40を形成したり、または図4(b)に示したように、閉じた状態で発光素子20の列毎に凹部40を形成することで、ラインヘッド1におけるガラス基板2の強度を向上して、凹部40を形成したことでの前記ラインヘッド1自体の強度の低下を防止して、前記レンズ60を形成してもよい。
【0046】
次に、本発明のラインヘッド1の第七の実施形態について説明する。
図9(a)は、第七の実施形態を示すラインヘッド1における平面図である。また、図9(b)は、図9(a)におけるA−A線矢視による側断面図である。
本実施形態のラインヘッド1は、後述する球状のレンズが形成されている以外の構成は、前記第四の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
本実施形態のラインヘッド1は、図9(a)、(b)に示すように、各発光素子20の直上のガラス基板2に個々の凹部40が形成され、前記各発光素子20の直上のガラス基板2上には、レンズ60が設けられている。前記レンズ60を配置する際には、前記凹部40内にレンズ60を落とし込むことでレンズ60の位置あわせが容易となっている。また、前記レンズ60は、各レンズ60毎に接着剤61を介してガラス基板2上に固定されたものとなっている。このようにレンズ60は、前記凹部40内に設けられたものとなっている。
このとき、レンズ60と接着剤61とガラス基板2との間の屈折率は同一になっている。
【0047】
次に、本実施形態のラインヘッド1において、発光素子20から光を出射する場合について説明する。
発光素子20から出射された光は、レンズ60毎に形成された接着剤61とレンズ60内を透過することで外部に出射する。また、接着剤61は個々のレンズ60毎に接着されているため、接着剤61と空気との界面で光が屈折または全反射するため、接着剤61を介して、隣り合うのレンズ60内に光が入り込むことはない。
【0048】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第六の実施形態と同様の効果に加えて、接着剤61をレンズ60毎に設けたことで、接着剤61を介して隣り合う接着剤61内に光が入り込むことを防止でき、発光素子20のクロストークを防止でき、ラインヘッド1の露光精度を向上できる。
なお、本実施形態の凹部40に代えて、ガラス基板2上に、発光素子20の列に応じて溝部30を形成したり、またはガラス基板2上に閉じた状態で発光素子20の列毎に凹部40を形成して、前記球状のレンズ60毎に接着剤61で固定するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明のラインヘッド1の第八の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1においては、基本的な構造は前記第一の実施形態におけるラインヘッド1の構造と同一のものとなっている。
本実施形態のラインヘッド1は、素子基板10上のガラス基板2側に凹部を形成する場合に適応可能となっている。
図10に示すように、封止基板13の内面側(封止基板13との界面側)に凹部(第2の凹部)70が形成されている。前記凹部70は、前記ガラス基板2に形成された溝部30の直上部以外の封止基板13に形成されたものとなっている。ここで、前記凹部70には、乾燥剤80が設けられている。
よって、ガラス基板2に形成された溝部30と、封止基板13に形成された凹部70とは重ならないため、溝部30が形成されている領域のガラス基板2が薄くなることを防止するようになっている。
【0050】
本実施形態のラインヘッド1によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、陰極4側に乾燥剤80を設けたことで、空気中の湿気等により陰極4等が劣化することを防止できる。
また、ガラス基板2の溝部30の直上部以外の位置に封止基板13上に溝部70を形成することで、溝部30が形成されたガラス基板2部分の強度の低下が防止でき、ラインヘッド1自体の強度の低下を最小限に抑えることができる。
なお、前記溝部30に球面状のレンズ50や球状のレンズ60等を設けることでラインヘッド1の露光効率を向上するようにしてもよい。
また、本実施形態の溝部30に代えて、ガラス基板2上に、発光素子20の列に応じて溝部30を形成したり、または閉じた状態で発光素子20の列毎に凹部40を形成することで、ラインヘッド1におけるガラス基板2の強度を向上して、凹部40を形成したことでの前記ラインヘッド1自体の強度の低下をより防止するようにしてもよい。
【0051】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更し得ることは勿論である。
例えば、光がガラス基板2側に出射するボトムエミッションタイプのもので説明したが、光が封止基板13側に出射するトップエミッションタイプであってもよく、封止基板13上に同様に溝部30や凹部40を形成することでラインヘッド1の露光効率を向上することができる。また、発光素子20として、EL素子を備えたラインヘッドを用いて説明したが、LEDを発光素子として備えたラインヘッドを用いてもよい。
また、発光素子20は2列として形成したが、本発明はこれに限定されること無く2列以上あるいは、1列の発光素子20を形成してもよい。
また、ガラス基板2上に溝部30や凹部40等を形成する際に、個別のラインヘッド1に分割した後に前記溝部30や凹部40を形成したが、図11に示すようにラインヘッド1を大判の状態で形成し、大判90の状態にて前記溝部30や凹部40を形成したり、一定の数量のラインヘッド1毎に前記溝部30や凹部40を形成することで生産性を向上するようにしてもよい。
【0052】
次に、本発明のラインヘッド1を備えた画像形成装置100について説明する。
図12は、本発明のラインヘッド1を備えた画像形成装置100の第一の実施形態を示す縦断断面図である。
前記画像形成装置100は、4個のラインヘッド1K、1C、1M、1Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置100として構成されている。
【0053】
図12に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(半時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像嘆じたいとしての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
【0054】
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンダ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
【0055】
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電機器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査するラインヘッド1(K、C、M、Y)が設けられている。
【0056】
また、ラインヘッド1(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
【0057】
ここで、ラインヘッド1(K、C、M、Y)は、そのアレイ方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように配置される。そして、各有機ELアレイラインヘッド1(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0058】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、その現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体41(K、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである。
【0059】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体Pに定着され、定着部である定着ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上に排出される。
【0060】
なお、図12中で、符号63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、符号64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ急送するピックアップロータ、符号65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートロータ対、符号66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、符号67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0061】
本発明の画像形成装置100によれば、書き込み手段として前述したラインヘッド1を備えているので、発光素子20から出射された光を効率的に取り出すことができ、光源としての露光効率を向上できる。また、前記ラインヘッド1は、発光素子20から出射された光のクロストークを防止するので、これを備えた画像形成装置100の露光精度を向上できる。
【0062】
次に、本発明にかかわる画像形成装置200に係る第二の実施形態について説明する。
図13に示すように、画像形成装置200には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161と、像担持体として機能する感光体ドラム165と、本発明のラインヘッド1が設けられている像書込手段167、中間転写ベルト169と、用紙搬送路174と、定着器の加熱ローラ172と、給紙トレイ178とが設けられている。
本実施形態では、4サイクル方式の画像形成装置200として構成されている。
【0063】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナー供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0064】
前記感光体ドラム165は、一次転写部材166と、帯電器168と、像書込手段167として用いるラインヘッド1とが設けられている。また、前記感光体ドラム165は、駆動モータ(図示せず)、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動するようになっている。
【0065】
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆の方向の矢視E方向に回動される。
【0066】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
【0067】
前述したように、画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。符号177は電装品ボックス、符号178は用紙を収納する給紙トレイ、符号179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0068】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、例えば低速のブラシレスモータが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの信号により制御される。
【0069】
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表面側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
【0070】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0071】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181がもうけられている。
【0072】
本発明の画像形成装置200によれば、書き込み手段として前述したラインヘッド1を備えているので、発光素子20から出射された光を効率的に取り出すことができ、光源としての露光効率を向上できる。また、前記ラインヘッド1は、発光素子20から出射された光のクロストークを防止するので、これを備えた画像形成装置100の露光精度を向上できる。
【0073】
以上、本発明のラインヘッド1を備えた画像形成装置について実施形態に基づいて説明せいた。本発明の画像形成装置はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】(a)は、第一の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図2】凹部の底部の隅を湾曲状とした側断面図。
【図3】凹部の底部の隅を斜めのテーパー状とした側断面図。
【図4】(a)は、第二の実施形態のラインヘッド、(b)は、別形態を示す図。
【図5】(a)は、第三の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図6】(a)は、第四の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図7】(a)は、第五の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図8】(a)は、第六の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図9】(a)は、第七の実施形態のラインヘッド、(b)は、側断面図。
【図10】第八の実施形態のラインヘッドにおける側断面図。
【図11】ラインヘッドの大判での状態を示す平面図。
【図12】本発明の第一の実施形態の画像形成装置の模式図。
【図13】本発明の第二の実施形態の画像形成装置の模式図。
【符号の説明】
【0075】
1…ラインヘッド、2…ガラス基板、13…封止基板、15…湾曲部、16…テーパー部、20…発光素子、30…溝部(凹部)、31…溝部(凹部)、40…凹部、50…レンズ、60…レンズ、61…接着剤、70…凹部(第二の凹部)、80…乾燥剤、100…画像形成装置、200…画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を配列して形成した素子基板とこの素子基板上の前記発光素子を封止する封止基板とを備えたラインヘッドにおいて、前記発光素子が発光する光を出射する側の基板の一部に凹部が形成され、該凹部は、少なくとも前記発光素子部の直上部分の全域を含んで形成されていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
前記凹部の底面は粗面となっていることを特徴とする請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記凹部の底部の角部が、内側に向けて凹状となるように湾曲して形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
前記凹部の側壁面が底面側に行くに連れて漸次内側に向かうようテーパー状に形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項5】
前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の対向する2辺間を溝状に貫通して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項6】
前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の側面に開口することなく該基板上に閉じた形状で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項7】
前記凹部は、前記発光素子の配列に対応して形成されてなることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のラインヘッド。
【請求項8】
前記凹部は、前記発光素子の個々に対応して形成されてなることを特徴とする請求項6に記載のラインヘッド。
【請求項9】
前記凹部の底部には、球面状のレンズが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項10】
前記凹部の底部には、球状のレンズが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項11】
前記球状のレンズは、接着剤を介して、前記凹部の底部に固定されてなることを特徴とする請求項10記載のラインヘッド。
【請求項12】
前記発光素子が複数列形成されており、これら複数列の発光素子に対応した前記球状のレンズが前記凹部内に配列されている場合に、前記接着剤は、前記球状のレンズの列毎に塗布されてなることを特徴とする請求項11に記載のラインヘッド。
【請求項13】
前記接着剤は、前記球状のレンズ毎に塗布されてなることを特徴とする請求項11に記載のラインヘッド。
【請求項14】
前記凹部が前記素子基板に形成されている場合に、封止基板には、前記発光素子の直上部以外の場所に第2の凹部が形成され、前記第2の凹部には乾燥剤が設けられてなることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のラインヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
発光素子を配列して形成した素子基板とこの素子基板上の前記発光素子を封止する封止基板とを備えたラインヘッドにおいて、前記発光素子が発光する光を出射する側の基板の一部に凹部が形成され、該凹部は、少なくとも前記発光素子部の直上部分の全域を含んで形成されていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
前記凹部の底面は粗面となっていることを特徴とする請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記凹部の底部の角部が、内側に向けて凹状となるように湾曲して形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
前記凹部の側壁面が底面側に行くに連れて漸次内側に向かうようテーパー状に形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項5】
前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の対向する2辺間を溝状に貫通して形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項6】
前記凹部は、該凹部が形成されている前記基板の側面に開口することなく該基板上に閉じた形状で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項7】
前記凹部は、前記発光素子の配列に対応して形成されてなることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のラインヘッド。
【請求項8】
前記凹部は、前記発光素子の個々に対応して形成されてなることを特徴とする請求項6に記載のラインヘッド。
【請求項9】
前記凹部の底部には、球面状のレンズが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項10】
前記凹部の底部には、球状のレンズが設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項11】
前記球状のレンズは、接着剤を介して、前記凹部の底部に固定されてなることを特徴とする請求項10記載のラインヘッド。
【請求項12】
前記発光素子が複数列形成されており、これら複数列の発光素子に対応した前記球状のレンズが前記凹部内に配列されている場合に、前記接着剤は、前記球状のレンズの列毎に塗布されてなることを特徴とする請求項11に記載のラインヘッド。
【請求項13】
前記接着剤は、前記球状のレンズ毎に塗布されてなることを特徴とする請求項11に記載のラインヘッド。
【請求項14】
前記凹部が前記素子基板に形成されている場合に、封止基板には、前記発光素子の直上部以外の場所に第2の凹部が形成され、前記第2の凹部には乾燥剤が設けられてなることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のラインヘッド。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のラインヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−43972(P2006−43972A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226371(P2004−226371)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]