説明

ラージモードエリア・マルチモード・ハイブリッド光ファイバおよびそれを用いた装置

【課題】ラージモードエリア・マルチモード・ハイブリッド光ファイバおよびそれを用いた装置を提供する。
【解決手段】ラージモードエリア光ファイバが、そのコア領域内で信号放射の多重横モードを支持するように構成される。このファイバは、異なる特性を有する少なくとも2つの軸セグメントを含むハイブリッド設計である。第1の軸セグメントでは、コア内の横方向屈折率プロファイルが、径方向に均一でなくて屈折率の放射状ディップを特徴とする。第1のセグメントは、複数の横モードを支持する。第2の軸セグメントでは、コア内の横方向屈折率プロファイルは、第1のセグメントのそれよりも均一である。2つのセグメントは、互いに断熱結合される。例示的には、第2のセグメントは、他の構成要素との結合を容易にするファイバの末端部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバに関し、より詳細には、高出力光増幅器またはレーザ応用分野向けのラージモードエリア(large−mode−area:LMA)マルチモード光ファイバおよび結合効率の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2006年12月5日に出願した「Gain−Producing,Large Mode Area,Multimode,Hybrid Optical Fibers and Devices Using Same」という名称の米国特許出願第11/633,999号の優先権を主張する。
【0003】
光ファイバの高性能および費用対効果により、希土類添加ファイバ増幅器(REDFA)、特にエルビウム添加ファイバ(EDFA)が、例えば長距離トランスポートやCATV応用分野などの石英系光ファイバ通信システムに広く使用されている。希土類添加ファイバ(REDF)、特にエルビウム添加ファイバ(EDF)の革新的な設計および最適化はともに、これらの応用分野で重要な役割を果たしてきた。具体的には、光のモード・フィールドを限定しかつエルビウム分布を制御する設計が、低・中光出力レベルで光の効率的な低雑音増幅を可能にする。一方、高出力応用例の場合、ラージモードエリア(LMA)ファイバは、信号強度を低下させ、それによって有害な非線形効果を低減し、またポンプ吸収効率を増大させる。高出力REDFAおよび希土類添加ファイバレーザ(REDFL)、特にイッテルビウム添加ファイバ(YDF)を使用したものは、従来の通信事業以外にも多くの応用分野を有する。例えば高出力LMA YDFは、溶接および切断、レーザ測距および目標識別、医療応用および汚染検出、ならびに自由空間通信(例えば衛星相互間)に使用される。
【0004】
LMAファイバの光学特性は、その横方向屈折率プロファイル(transverse refractive index profile)の細部に敏感に依存する。世間一般の通念は、望ましいLMAファイバが1.0に非常に近いMを有する基本モードを有することを決定づけて、基本横モードの光フィールドがガウス形状に非常に近いことを意味する。というのは、コア内の横方向屈折率プロファイルは本質的に均一であり、すなわち、屈折率プロファイルはコアの横断面内で本質的に均一であるからである。Mは、モードフィールドと真のガウス関数との相似性を評価するものである。さらに具体的には、M=1.0はガウス形状を有するモードに対するものであり、M>1.0は他のすべてのモードフィールド形状に対するものである。1.0に非常に近いMは低損失光結合を容易にし、さらに、ファイバから出て来るビームを効率的に平行にするかあるいは回折限界スポットにしっかりと集光することができる。しかし、LMAファイバを理想的な基本モード(M=1.0)および均一なコア屈折率プロファイルで製作することは、そのプロファイルが縦軸近傍の屈折率の低下(中心ディップ(center dip)またはバーンオフ(burnoff)としても知られる)を示す傾向があるために困難となりうる。さらに、1.0に非常に近い基本横モードMを有するLMAファイバは、ほぼ同じコア径であるが顕著な中心ディップを有するファイバの基本横モードよりも小さい有効面積を示し、したがって低い望ましくない光学非線形性の閾値を示す。最後に、LMA EDFのコアの横方向屈折率プロファイルが本質的に均一でありかつ基本モードのMが1.0に非常に近いとき、基本モードとドープされたコアの外側領域との重なりは比較少ない。その結果、基本モードは低い増幅効率となりうるが、高次モードは望ましくない増幅となりうる。
【0005】
前述の検討は、LMA REDFに焦点を当てているが、多くの点で(i)クロムなどの、他の利得を発生する種(gain−producing species:利得発生種)が添加されたLMAファイバ、および(ii)利得発生種が添加されていないLMAファイバに同様に適用可能である。後者の場合、例えば、LMAファイバは、利得発生ファイバ(GPF)または他の装置のピグテールを含むことができ、あるいは単純に多段光増幅器の段を結合するファイバ・セグメントとすることができる。
【非特許文献1】P.A.Belanger、「Optical Engineering」(Vol.32、No.9、2107〜2109頁(1993))
【非特許文献2】H.Y.Tam、「Electr.Lett.」(Vol.27、No.17、1597〜1599頁(1991))
【非特許文献3】A.D.Yablon、「Optical Fiber Fusion Splicing」(Springer、New York(2005))
【非特許文献4】R.M.Wood、「Laser−Induced Damage of Optical Materials」(Institute of Physics Publishing、Bristol&Philadelphia(2003))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野では光結合効率を向上させたLMAファイバが依然として必要である。
【0007】
高出力光ファイバ増幅器およびレーザ用途に適したそのようなLMAファイバも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、LMA光ファイバが、そのコア領域内に信号放射の多重横モードをサポートするように構成される。このファイバは、大きく異なる特性を有する少なくとも2つの軸セグメントを含むハイブリッド設計である。第1の軸セグメントでは、コア内の横方向屈折率プロファイルが、径方向に均一でなくて屈折率の放射状ディップを特徴とする。第1のセグメントは、複数の横モードを支持する。第2の軸セグメントでは、コア内の横方向屈折率プロファイルは、第1のセグメントのそれよりも均一である。2つのセグメントは互いに断熱結合される。一実施形態では、2つのセグメントは第3のセグメントによって互いに断熱結合されるが、第3のセグメントは、利得発生ファイバである必要はないがそれであってもよい。例示的には、第2のセグメントは、他の構成要素との結合を容易にするファイバの末端部である。
【0009】
本発明の他の実施形態では、第1のセグメントにおいてM>1.0であり、第2のセグメントにおいてM<<Mである。好ましい実施形態では、M>>1.0およびM〜1.0である。
【0010】
さらに他の実施形態では、LMAファイバはファイバスタブに結合される。
【0011】
本発明は、その様々な特徴および利点とともに、添付図面に関連してなされる以下のより詳細な説明から容易に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
一般的な光ファイバ増幅器の構造
典型的な光ファイバ増幅器10は、図1に示されているように、結合装置14と利用装置20を光学的に結合するGPF12を含む。装置14は、遠隔通信応用分野では波長分割マルチプレクサとして知られ、高出力非遠隔通信応用分野ではポンプ結合器として知られている。話を簡単にするために、以下では高出力非遠隔応用分野に関連して本発明について説明する。この場合、ポンプ結合器14は、光入力信号源16の出力と光ポンプ源18の出力とをGPF12の中で結合する。従来のファイバ22を介してポンプ結合器14の入力部に結合されている入力信号源16は、第1の波長の光入力信号を生成し、一方、従来のファイバ24を介してポンプ結合器14のもう1つの入力部に結合されているポンプ源18は、第2の波長の光ポンプ信号を生成する。
【0013】
当技術分野で周知のように、ポンプ信号はGPF12内に反転分布を生成し、それによって入力源16からの入力信号を増幅する。増幅された入力信号は、GPF12に沿って利用装置20まで伝搬する。高出力の応用例では、利用装置20には、多くの周知のデバイスまたは装置、例えば他の光増幅器、ビームコリメータ、レンズ系、工作物(例えば切断または溶接用)などを含むことができ、一方、遠隔通信用途では、利用装置20には、光受信器、光変調器、光結合器または光スプリッタ、端末装置などを含むことができる。これらのうちのいくつかは、標準的なピグテールコネクタ(図示せず)を介してGPF12に結合されうる。
【0014】
例示的には、入力源16は、GPF12の利得発生種の増幅範囲にある波長の比較的低出力の光入力信号を生成するレーザであり、一方、ポンプ源18は、入力信号の所望の増幅を引き起こすより短い中心波長で比較的高い光出力(例えば約150mWを超える)ポンプ信号を生成する半導体発光ダイオード(LED)またはLEDアレイである。好ましくは、GPF12はイッテルビウム添加ファイバであり、信号源16は約1080nmの中心波長を有する入力信号を生成し、ポンプ源18は約915nmあるいは約975nmの中心波長のポンプ信号を生成する。この場合、ポンプ源として半導体レーザを使用することもできるが、LEDを使用してより全体的な光をファイバの中で結合させることができるで、LED、特にLEDアレイが好ましいことを留意しておく。
【0015】
図1の光増幅器は、一般的な共伝搬ポンプ構成(co−propagating pump configuration)(すなわち、ポンプ信号および入力信号がGPFの中を同方向に伝搬する)を示すが、逆伝搬構成(counter−propagating configuration)(すなわち、ポンプ信号および入力信号がGPFの中を逆方向に伝搬する)を使用することも可能である。さらに、多数の多種多様な光増幅器が縦一列に配置されてもよく、その方式は、高出力多段階システムの総利得を増大させるためのものとして当技術分野でよく知られている。ポンプ・エネルギもまた、GPFの中で横方向に結合されうる。
【0016】
さらに、適切な周知の光共振器(例えば、1対の離間されたファイバグレーティング)が設けられたときに、GPFと共振器の組合せはレーザとして機能することができる。
【0017】
ハイブリッドLMAファイバの設計
本発明の一態様によれば、図4Aに示されているように、LMA GPF12’は、直径dのクラッド領域12.2で囲まれた直径dのコア領域12.1を含む。ラージモードエリア(LMA)という語句を次のように定義する。LMAファイバのコア領域およびクラッド領域は、従来の単一モードファイバのそれよりも実質的に大きい有効モード面積を生み出すように構成される。例えば、約1080nmの波長では従来の単一モードファイバは、例示的に約50μmのモード面積を有するが、同一波長でLMAファイバは約100μmのモード面積を有することができる。同様に、約1550nmの波長では従来の単一モードファイバは、例示的に約80μmのモード面積を有するが、同一波長でLMAファイバは約160μmのモード面積を有することができる。これらの例示は、LMAファイバが同一波長で単一モードファイバの2倍のモード面積を有することを示すが、他の比率もまた、LMA GPFの特定用途および所望の性能に応じて適切にすることができる。
【0018】
コア領域12.1の屈折率は、クラッド領域12.2の屈折率よりも高くなっていて、屈折率の差がΔnで示されている。図示されていないが、クラッドは内側の(低くなった)クラッド領域と外側のクラッド領域とを含むことがあり、外側クラッド領域の屈折率がコアの屈折率と内側クラッド領域の屈折率との間にあることがよく知られている。
【0019】
いずれにしても、コア領域およびクラッド領域は、源16(図1)からその中を伝搬する入力信号放射の多重横モードの伝搬を支持するように構成される。本発明の一態様によれば、GPF12’は、図2に示されているように、それが、異なる特性を有する少なくとも2つの軸セグメント、すなわち例えばLMA軸断熱セグメント12aによって互いに断熱結合されたLMA軸入力セグメント12iとLMA軸末端セグメント12tとを含むという点で、ハイブリッドファイバである。さらに、ハイブリッドファイバ12’は、その入力端(図示せず)またはその出力端(図2に示されている)あるいはその両方にLMA末端セグメントを含むことができる。
【0020】
より具体的には、ある意味では末端セグメントおよび入力セグメントは、それらが図4Bおよび4Cに示されているようにそれぞれ異なる横方向屈折率プロファイルを有するという点で異なる特性を有する。一般に、末端セグメント12tのコア領域内の横方向屈折率プロファイルは、入力セグメント12iのそれよりも均一である。その均一度は、例えばプロファイル形状のフーリエ変換の高周波成分によって測定される。したがって、フーリエ変換が少ない高周波成分を含むプロファイルは、フーリエ変換がより多くの高周波成分を含むプロファイルよりも均一であると考えられる。簡単なプロファイルの相対的均一性の目視観測は、しばしばこのタイプの定量分析と一致し、例えば、図4Bは、末端セグメント12tのコア領域内のプロファイルが本質的に一定の横方向屈折率を示すことから、そのフーリエ変換の高周波成分が少ないことを示し、一方、図4Cは、入力セグメント12iのコア領域内のプロファイルが横方向屈折率の顕著な中心ディップを示すことから、そのフーリエ変換の高周波成分が多いことを示す。したがって、図4Cに示されているように、入力セグメント12iでは、コア領域12.1の横方向屈折率プロファイルは径方向に均一ではなく、すなわち、その屈折率プロファイルは、コア領域12.1の中心またはその近傍の横方向屈折率が図4Dに示されているようにΔn分だけ低下している顕著なディップ12.1dを示す。対照的に、末端セグメント12tでは、コア領域内の横方向屈折率プロファイルは、図4Bに示されているようにさらにほぼ均一である(すなわち径方向に一定である)。
【0021】
さらに、入力セグメント12iは、複数の多重横モードを支持するように構成される。
【0022】
顕著な横方向屈折率のディップ12.1dの特徴を設計する際は、ディップのΔnの大きさがコアとクラッドの屈折率差Δnの約100%程度であることが好ましい。Δnのサイズは、コア領域および/またはクラッド領域に添加されうるGe、P、Al、Fなどの、GPFの利得発生ドーパントならびに任意の屈折率を変えるドーパントに依存し、例えば、Yb添加ファイバではΔn〜0.005であり、Er:Yb添加ファイバではΔn〜0.01である。全く逆に、ディップの大きさは、Δnの約5%以上であるべきである。範囲の下端は、以下に論じるように、横モード形状を純粋なガウス形から十分に摂動を引き起こす必要性によって主として決定される。一方、ディップの幅または直径dは、システムに使用される光のほぼ最小波長よりも大きくすべきである(例えば、通常は信号波長よりも短いポンプ波長よりも大きくすべきである)。全く逆に、ディップの最大幅dは、コア領域12.1の直径dと同等とすることができるが、典型的には約d/3である。これらの条件の目的は、光がディップによって引き起こされた屈折率の摂動を「受ける」ことである。さらに、ディップは円錐形として示されているが、他の幾何形状(例えば円筒形)ならびにさらに複雑な形状が適している可能性もある。
【0023】
別の意味では、末端セグメントおよび入力セグメントは、それらのMパラメータが互いに異なるので異なる特性を有する。ここで、Mは、参照により本明細書に組み込まれている、P.A.Belangerの「Optical Engineering」(Vol.32、No.9、2107〜2109頁(1993))に記載されているように、ファイバの基本横モードが理想的なガウス関数を有するという類似性を定義する。(本明細書は、ステップインデックス光ファイバのLP01基本モードに対してMを定義しているが、この定義は、本明細書に記載されているタイプの横方向屈折率プロファイルに中心ディップを有するファイバを含むすべての光ファイバに有効である。)具体的には、入力セグメント12iはパラメータMを特徴とし、末端セグメント12tはパラメータMを特徴とし、不等式M>1.0およびM<<Mを満たしている。好ましい実施形態では、M>>1.0およびM〜1.0である。理論的には、Mは任意に大きくすることができるが、実際には、GPFのMは、典型的にはほぼ1<M<10の範囲にある。さらに、例えばM〜1.06は、通常はM〜1.0という意味で小さいと考えられるが、例えばM〜1.3は、M>>1.0という意味で大きいと考えられる。
【0024】
さらに、入力セグメント12iと末端セグメント12tは、図2に示されているように、例えばLMA断熱セグメント12aによって互いに断熱結合される。一般に、そのような結合器により、入力セグメント内を特定の横モードで伝搬するエネルギが末端セグメント内で他の横モードにあまり結合されず、またその逆でもある。当技術分野でよく知られている断熱結合の技法および設計には、直径が結合領域に沿って軸方向に滑らかに増大する(または減少する)ようにコア領域を物理的に先細りにすること、あるいは、ドーパントの密度が結合領域に沿って軸方向に徐々に増加する(または低下する)ようにドーパント濃度を化学的に段階状にすることが含まれる。後者の場合、好ましい技法は、所望のドーパント分布が達成されるように、(i)GPFを(例えば従来のトーチで)加熱してファイバ内にドーパントを拡散させること、および(ii)ファイバに沿ったトーチの長手方向の位置によりファイバに加える熱量を制御可能に変更することを含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、H.Y.Tamの「Electr.Lett.」(Vol.27、No.17、1597〜1599頁(1991))を参照のこと。
【0025】
セグメントのMパラメータの設計とセグメント間の断熱遷移の使用とを組み合わせることにより、基本横モードの結合が改善し、入力セグメントから末端セグメントまで高次横モードに対する結合が著しく低減する。
【0026】
本発明の他の利点は、例えば、GPFの末端セグメントとバルク(非ファイバ)光学素子(例えば望遠鏡)との間の結合が、適切なレンズまたはレンズ系を使用して自由空間内で実現される場合に、融着接続(異なる単一モード・ファイバを結合するための典型的な従来技術の手法)がない場合にも前述の原理が適用されうることである。
【0027】
さらに、光ファイバとバルク光学素子の間の相互接続部の性能を向上させるための従来技術の技法は、本発明と組み合わせることができる。例えば、従来技術では、光ファイバの終端のファセットを光伝搬の軸に対してわずかな角度(一般に2度〜10度)で劈開または研磨することにより、そのファセットからの光の反射を大幅に減少させることができることが知られている。
【0028】
上記の波長帯の範囲で動作する、当技術分野で周知の典型的な石英系GPFでは、コア領域12.1に、少なくとも1つの利得発生種(例えば、希土類元素(例えばEr、Yb、Tb、Tm、Ndおよび/またはPr)またはクロム(Cr))ならびに1つまたは複数の屈折率を変える物質(例えばGe、PまたはAl(屈折率を増加させる)またはF(屈折率を減少させる))がドープされる。クラッド領域12.2は、純粋石英でもよく、あるいはドープされてもよい。例示的には、ドーピング・レベルは、前述のように、コアとクラッドの間の屈折率ステップΔnが使用されるドーパントに応じて約0.005〜0.01の範囲にあり、かつ入力セグメント内の屈折率ディップΔnがΔnとほぼ同サイズになるように選択される。
【0029】
さらに、多重横モードを支持するファイバの場合、コアの直径dは例示的に約20μmである。そのようなファイバの外径dは、一般に約125μm〜600μmの範囲にある。さらに、入力セグメント12iはファイバ12’の全長の主要分画であるが、末端セグメント12tは比較的小さい分画であることは明らかであり、例えば、末端セグメントの長さは例示的に約500μm未満であり、入力セグメントの長さは例示的に1mまたは1km程度である。
【0030】
最後に、このハイブリッド設計が、概してLMAファイバに、すなわち利得発生種を含むLMAファイバ(GPFなど)ならびにそれを含まないLMAファイバに適用可能であることを、当業者なら容易に理解するであろう。より具体的には、そのようなLMAファイバは、多段光増幅器の段を相互接続することができ、あるいはGPFまたは他の装置のピグテールを含むことができる。急速に拡散する希土類ドーパントがLMAファイバに不在である場合、ファイバには、加熱処理(以下でより詳細に論じる)の間に十分急速に拡散して末端セグメント12tの形成を可能にする他の種がドープされるべきである。
【0031】
ファイバ終端の処理
上述のように、高MLMA光ファイバは、ファイバのMを局所的に低下させるドーパント拡散を誘導するように局所加熱することができる。ファイバを十分な温度に加熱すること(例えば、石英ファイバを約2000℃の融着接続温度付近またはそれを超える温度に加熱すること)により、屈折率を変えるドーパントの実質的な拡散を誘導し、それによってファイバの横方向屈折率プロファイルの著しい変化を誘導する。そのようなドーパントの拡散は、基本LP01モードのMを高める中心ディップ、リッジ、または他の屈折率プロファイルフィーチャを抑制するために使用される。本発明の多くの(すべてではない)実施では、基本横LP01モードのMFD(従来の「ピーターマンII(Petermann II)」の定義を用いたモード・フィールド径)が、以下の熱誘導拡散を実際に減少させる。
【0032】
本発明では、線引きされたLMA光ファイバ(drawn LMA optical fiber)が、ファイバのLP01基本モードのMを高める屈折率プロファイル内の中心ディップまたは他のフィーチャを抑制するドーパント拡散を誘導するために、高温(>>1200℃、石英ファイバの場合)に局所加熱される。図5の曲線5.1は、初期MFDが13.4μmでありかつ初期Mが約1.32であるEr:Yb添加ファイバに関する論理的な線引きされたままのファイバ(as−drawn fiber)の屈折率プロファイルを示す。この模擬屈折率プロファイルに深い中心ディップが見える。このような石英ファイバ設計を約2100℃で約25秒間加熱することにより、屈折率プロファイルが修正され(曲線5.2)、したがって最終MFDが13.3μmになり、初期Mが約1.0に低下(改善)される。ファイバ12’の末端セグメント12t(図2)にこの修正を加えることにより、用いられる結合技術(従来の融着接続、コネクタ接続、自由空間結合、GRINファイバ・レンズなど)にかかわらず、このファイバの出入りの結合効率が著しく向上する。対応する横LP01モード・フィールド形状(強度フィールド)が、図6に示されている。
【0033】
この特定の例の場合、LP01基本モードで案内される所与の出力量に対して、線引きされたままのファイバのピーク光強度が加熱処理されたファイバ内に生じるピーク光強度の約37%しかないことに留意することが重要である。したがって、図5に示されている横方向屈折率プロファイル(曲線5.1)を用いて設計されたLMA光ファイバが、図5に示されている拡散屈折率プロファイル(曲線5.2)をもたらすように局所加熱処理されたセグメント12tで各端部において終端処理された場合、ファイバの大部分で受けるピーク光強度は比較的低くなり、したがって、望ましくない非線形光学効果(例えば誘導ブリルアン散乱や誘導ラマン散乱)の発現の閾値が比較的高くなる。一方、末端セグメント12t内のMが1.0に近づくので、結合効率はファイバ終端で優れている。光強度は、ファイバの加熱処理された末端セグメントの短い(<約500μm)領域内でのみ増加するはずである。有害な非線形光学効果がピーク強度ならびにファイバ・セグメントの長さに対応するので、高い光強度は、ファイバの短い末端セグメントについては許容されうる。
【0034】
ファイバ終端は、従来の融着接続機を用いて加熱処理することができる。ファイバが加熱処理された領域の内部で劈開または研磨される場合、線引きされたままのLP01モード・フィールドが非常に非ガウス的であるファイバのLP01基本横モードに対する効率的な光結合を得るために、自由空間結合(例えば従来のバルク・レンズによる)を使用することができる。あるいは、修正された融着接続プロセスの一部として加熱処理を組み入れることもできる。図6における線引きされたままの(加熱されていない)ファイバ(曲線6.1)のMFDに整合するガウス場との間の予想結合損失は約0.7dBであるが、加熱処理されたファイバ(曲線6.2)の対応する予想結合損失は約0.01dB未満である。さらに、ガウス・エネルギの10%超が線引きされたままのファイバの望ましくないLP02モードに結合されるが、加熱処理されたファイバのLP02モードに結合されたエネルギ量は測定できない。
【0035】
LMAファイバの加熱処理された領域と線引きされたままの領域との間の遷移領域内でエネルギがLP01基本モードから確実に損失しないようにするためには、遷移は先に論じたように段階的かつ断熱的になされるべきである。遷移領域における屈折率プロファイルの変化は、その長さに沿って非常にゆるやかでなければならない。熱誘導ドーパント拡散によって遷移領域を形成する場合、遷移領域に加えられる熱量をその長さに沿って変えることによって、例えば広い(すなわち扇形に展開された)熱源を選択するかあるいはより集中的な熱源を遷移領域に沿って走査することによって、段階的遷移を達成することができる。この変化がどれだけゆるやかに生じなければならないかは、当技術分野で周知の原理に従って、屈折率プロファイルおよび動作波長の細部によって決まる。遷移損失を最小限に抑える適切な加熱条件を見いだすために、屈折率プロファイルならびに実験的プロセス最適化に基づいた数値シミュレーションを容易に使用することができる。
【0036】
上述のように、本発明は、LMAファイバと他の光ファイバとの間の境界面にまたはその近傍に適用される修正された融着接続プロセスの一部として実施することができる。この場合、光伝搬軸に対して横断方向のドーパント拡散により、LMAファイバの末端セグメント(例えば図2の12t)の屈折率プロファイルが修正され、それによってその末端セグメント内により有利なMが生成される。必然的にLMAファイバから他のファイバへの、そしてまた他のファイバからLMAファイバへのスプライス接続部を横切る軸方向の少量の相互拡散があることも知られている。融着接続部を横切るそのような相互拡散は、融着接続部の反射率を実質的に低減することが知られており、そのことは、高出力ファイバ・レーザなどの、光の反射からの帰還に敏感な光ファイバ装置を組み立てるときに有利となりうる。(参照により本明細書に組み込まれている、A.D.Yablonの「Optical Fiber Fusion Splicing」(Springer、New York(2005)を参照のこと。)したがって、本発明はまた、LMAファイバと他のファイバの間の末端融着接続部での反射率を低減するという付加的な便益も提供することができる。
【0037】
当技術分野では、所与の温度で様々な化学ドーパント種が様々な速度で拡散することも知られている。フッ素、アルミニウム、エルビウム、イッテルビウムなどのファイバドーパントが、ゲルマニウムよりもより急速に拡散することが知られており、したがって、これらのドーパントは、本発明を実施するために上述の技法に従ってドーパント拡散を受けやすいLMAファイバを製作する場合に好ましい。したがって、ファイバは、F、Alまたはその両方がドープされた非利得発生LMAファイバとすることができ、あるいは、ファイバの特定の用途に応じて、Er、Ybまたはその両方がドープされ、場合によりF、Alまたはその両方もドープされた利得発生LMAファイバとすることもできる。
【0038】
製造上の限界により、LMAファイバの屈折率プロファイルに小さな方位変動を偶然に導入することもある。そのような方位の不均一性は、従来の非LMAファイバのモードフィールド形状にごくわずかな影響しか及ぼさないが、LMAファイバでは、屈折率プロファイルにおける小さな(約0.0005)方位の不均一性でも、モードの光強度が最高屈折率の方位セクタに集まるのを促進することがある。所期の基本モードが図6の曲線6.1と同様に環状である場合、そのような小さな方位の不均一性は、環状ではなく三日月形の強度分布を生成することがある。一般に、方位角方向に対称の光信号と非方位角方向に対称のモードとの間の光結合は非効率的である。本発明は、ドーパント拡散ファイバの末端セグメント(例えば図2の12t)が実質的に方位角方向に対称のモード・フィールドを有するととともに、ファイバの非方位角方向に対称の(非拡散)部分と方位角方向に対称の(拡散)部分との間の断熱遷移セグメント(例えば図2の12a)が容易に実現されうるので、この問題を軽減することができる。
【0039】
動作理論
LMAファイバの基本横モードがM>1.0を有する場合、その結合損失(自由空間または融着接続)が上昇し、ファイバから出て来る基本横モードの入力信号は、小さいスポットサイズにまで容易にぴったりと集束することまたは容易にコリメートすることはできない。しかし、高いM(>1.0)を有する特定の利点がある。具体的には、基本横モードフィールドが大きいM値を有するファイバは一般に、同一コア径であるが小さいMを有するファイバよりも大きな有効モード面積を、したがって低いピーク光強度を示す。したがって、高いMを有するファイバは、SBS(誘導ブリルアン散乱)およびSRS(誘導ラマン散乱)などの望ましくない光学非線形性の発現のより高い閾値を示す。この便益に加えて、LMA GPFの場合、高いMを有するファイバ(例えば、図4Cに入力ファイバセグメント12iとして示されているような、コア領域の屈折率の顕著な中心ディップによる)は、コア領域内の利得発生ドーパントとコア領域内を伝搬する入力信号の基本横モードフィールドとの間の優れた重複を示す。したがって、高いMを有するファイバを設計することにより、基本横モードの増幅効率を高めることができ、かつ望ましくない高次横モードの増幅効率を低下させることができる。
【0040】
これらの利点は、3つのLMAファイバ、すなわち高いMを有する理論上の線引きされたままのファイバ(曲線5.1、6.1)と、同様に高いMを有する理論上の均一ステップ・インデックス・ファイバ(曲線5.3、6.3)と、そのMを低下させるように熱処理されたファイバ(曲線5.2、6.2)とを比較している図5および6から明らかである。それらの屈折率プロファイルが図5で比較されており、それらの対応する基本LP01横モードの1550nmでの光強度分布が図6で比較されている。線引きされたままのファイバとステップインデックスファイバにおける光強度は、それらがともに同じ光出力量を表すように、ファイバの加熱処理された部分におけるピーク強度に対して正規化されている。
【0041】
より具体的には、例えば図2の入力ファイバセグメント12iに対応する線引きされたままのファイバは、コア領域の横方向屈折率の(先に定量化されたような)顕著な中心ディップを、したがって約1.32という高い基本モードMと約259μmという比較的大きい有効モード面積とを示す。線引きされたままのファイバも均一ステップインデックスファイバも、Δn〜0.01およびd〜20μmを有する。しかし、均一ステップインデックスファイバは、約1.05の基本モードMと約200μmの縮小された有効面積とを有する。図6は、高いMを有するファイバのコア領域屈折率プロファイルと強度分布との間の優れた重複を示すために、これらのファイバについて正規化強度分布を屈折率プロファイルと比較している。
【0042】
一方、例えば図2の末端ファイバセグメント12tに対応する加熱処理されたファイバでは、加熱処理により、Mは1.32から約1.0に改善され(低下し)、有効モード面積は259μmから139μmに縮小され、ピーク光強度が約0.37から1.0に高められ、周知の「ピーターマンII」のMFDは実質的に変化しななかった(線引きされたままのファイバと加熱処理されたファイバのどちらに対しても約13.3μm)。理想的な均一ステップ・インデックス・プロファイルの屈折率プロファイルおよび対応する正規化強度分布は、比較のためにも示されている(曲線5.3、6.3)。
【0043】
最後に、図7は、線引きされたままのファイバ(曲線5.1、7.1)の基本横モードと屈折率プロファイルの重複と、図5、6に関連して上述した理想的な均一ステップインデックスファイバ(曲線5.3、7.3)とを比較している。屈折率プロファイルおよび光強度は、それら自体に対して個別に正規化されている。図7は、ステップインデックスファイバの外側コア領域のかなりの部分が比較的低い光強度を受けるが、線引きされたままのファイバのより大きな部分がより高い光強度を受けることを示している。したがって、線引きされたままのファイバは、横モードフィールドと利得発生ドーパントがより良く重複し、そのことは、線引きされたままのファイバもより良い増幅効率を示すことを意味する。
【0044】
代替実施形態
上述の構成が、本発明の原理の応用例を示すために考案されうる多くの考えられる特定の実施形態を例示したにすぎないことを理解されたい。多くの様々な他の構成が、これらの原理に従って本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって考案されうる。
【0045】
具体的には、図3に示されているように、LMA光ファイバ12”は、LMA断熱結合器12aによって入力セグメント12iに断熱結合されているLMA末端セグメント12tに加えて、ファイバの終端部間の位置にあるLMA中間セグメント12mを含むことができる。中間セグメント12mもまた、例示的にLMA断熱結合器12aおよび12aによって入力セグメント12iに断熱結合されている。末端セグメント12tのように、中間セグメント12mの基本横モードMは、入力セグメント12iのそれよりも小さく、1.0に近いことが好ましい。そのような中間セグメント12mの1つの応用例が、望ましくない高次の横モードをフィルタにかけて除去することである。
【0046】
さらに、光増幅器応用例との関連で本発明について説明してきたが、その応用例が、GPFに結合する必要のある任意の装置(例えばファイバレーザ)にまで拡大されうることを当業者なら容易に理解するであろう。
【0047】
さらに、図2の結合器12aのような断熱結合領域は、GPFである必要はない。それは単純に、利得発生種がドープされていないが、ファイバセグメント12iの屈折率プロファイルに類似の屈折率プロファイルに中心ディップが設けられたファイバの一部とすることができる。その場合このセグメントは、セグメント12iおよび12tの間に断熱遷移部を設けるために、先に論じたように周知の方法で設計されることになる。実際には、先に述べたように、図2および3のファイバ12’および12”全体は、特定の応用例に応じて、非利得発生種を含むLMAとすることができる。
【0048】
最後に、図8に、ハイブリッドLMAファイバが自由空間を介して利用装置に結合される本発明の一実施形態を例示する。より具体的には、光学装置80が、ファイバスタブ84に結合されたハイブリッドLMAファイバ82を含み、ファイバスタブ84は、レンズ(またはレンズ系)86で例示された利用装置に自由空間を介して結合される。もちろんファイバスタブ84は、その放射(光)出力を他の利用装置(図示せず)に結合させることができる。この関連では、融着接続がバットカップリング(butt coupling)よりも好ましい。
【0049】
図2を参照して既述したように、ハイブリッドLMAファイバ82は、互いに縦一列に配置された入力セグメント82iと断熱セグメント82aと末端セグメント82tとを含む。顕微鏡写真83および85で示されているように、入力セグメント82i内のモード・フィールドは非ガウス性であるが、末端セグメント82t内のそれは本質的にガウス性である。
【0050】
一般に、スタブ84の屈折率は、軸断面内で(または軸断面にわたって)本質的に均一(すなわち一定)である。かならずではないが、スタブ84の屈折率が一方の軸方向断面から他方の軸方向断面まで均一であることが一般に好ましい。例示的には、スタブ84は、典型的な約500μmの長さを有するコアのない石英ファイバを含む。
【0051】
動作中、末端セグメント82t内に生成されたガウスモード(顕微鏡写真85)はスタブ84に入り、そこでその波面87.1は回折によって空間的に広がる。そのモードがスタブ84の出力端から発出したとき、その波面87.2は本質的に球面であり、したがってレンズ86などの従来のバルク光学系構成要素に適合する。レンズ86は、適切な利用装置(図示せず)に結合される本質的に平面の波面87.3を形成する。
【0052】
図8の実施形態は、双方向矢印81および89で示されているように、光が様々な構成要素を通ってどちらの方向にも伝搬することができるという点で相互関係にある。すなわち、光をLMAファイバ82の中で結合しレンズ86から外へ放出することができ、あるいは反対に、光をレンズ86の中で結合しファイバ82から外へ放出することができる。
【0053】
好ましくは、ファイバ82およびスタブ84は、それらの境界面で高強度の光スポットの形成に不利に作用するように互いに結合される(この関連では、融着接続がバットカップリングよりも好ましい)。損傷に対する固有の閾値光強度が、自由表面においてよりも連続的なバルク材内部のほうがずっと高いことが知られている。さらに、自由表面は、光損傷の核生成場所として働くことがある汚染の潜在的場所である。したがって、スタブ84により、最高光強度が、バルクの中だけで、例えば汚染されないかつ光損傷に対する固有の閾値が最高のファイバ82とスタブ84の境界面で達成されるようになる。参照により本明細書に組み込まれる、R.M.Wood の「Laser−Induced Damage of Optical Materials」(Institute of Physics Publishing、Bristol&Philadelphia(2003))を参照のこと。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来技術のREDFAの概略ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による、入力セグメント12i、断熱結合セグメント12a、および低M末端セグメント12tを示す、LMA光ファイバ12’の概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態による、さらに別の低Mセグメント12mが1対の断熱結合セグメント12aおよび12aの間に配置されているのを示す、LMA光ファイバ12”の概略図である。
【図4】図4Aは、LMA光ファイバの伝搬軸を通してみた概略断面図であり、図4Bは、本発明の他の実施形態による、図4Aに示されているLMA光ファイバの末端セグメントの概略的な横方向屈折率プロファイルの図であり、図4Cは、本発明の他の実施形態による、コア領域の中心またはその近傍のプロファイルにおける顕著なディップを示す、図4Aに示されているLMA光ファイバの入力セグメントの概略的な横方向屈折率プロファイルの図であり、そして図4Dは、図4Cのコア領域の概略屈折率プロファイルの顕著なディップの拡大図である。
【図5】線引きされたままのファイバ(曲線5.1)、加熱処理されたファイバ(曲線5.2)、および均一ステップインデックスファイバ(曲線5.3)に関する、半径方向位置に対するコアおよびクラッドの横方向屈折率ステップ(Δn)のグラフである。
【図6】線引きされたままのファイバ(曲線6.1)、加熱処理されたファイバ(曲線6.2)、および均一ステップインデックスファイバ(曲線6.3)に関する、基本横モード(LP01)の正規化光強度のグラフである。
【図7】顕著な中央ディップを有するファイバに関するとともに、線引きされたままのファイバ(曲線7.1)の基本横モードとインデックスプロファイルの重複と、図5のファイバ設計の理想的な均一ステップインデックスファイバ(曲線7.3)とを比較した径方向位置に対する均一ステップインデックスファイバに関する正規化光強度のグラフである。
【図8】本発明のもう1つの実施形態による、ファイバスタブに結合されたLMAハイブリッドファイバの概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸断面が横方向屈折率プロファイルを有するコア領域と、
前記コア領域に隣接するクラッド領域とを含む多重横モード光ファイバであって、
前記コア領域およびクラッド領域が、前記コア領域内に光信号放射の多重横モードをサポートするように構成され、
前記ファイバが第1の軸セグメントを含み、前記第1の軸セグメントでは、前記プロファイルが、径方向に均一でなくて屈折率の放射状ディップを特徴とし、前記第1のセグメントが前記横モードのうちの複数をサポートし、
前記ファイバが、前記第1のセグメントに光学的に結合された第2の軸セグメントを有し、前記第2のセグメントの前記プロファイルが、前記第1のセグメントのそれよりも均一であり、そして、
前記セグメントが互いに断熱結合されることを特徴とする多重横モード光ファイバ。
【請求項2】
前記第1のセグメントがパラメータMを特徴とし、前記第2のセグメントがパラメータMを特徴とし、ここで、Mは、前記ファイバの基本横モードが理想的なガウス関数を有するという類似性を定義し、M>1.0かつM<<Mであることを特徴とする請求項1に記載のファイバ。
【請求項3】
>>1.0かつM〜1.0であることを特徴とする請求項2に記載のファイバ。
【請求項4】
前記第1のセグメントが前記ファイバの長さの主要部分を含み、前記第2のセグメントが前記ファイバの末端部を含むことを特徴とする請求項1に記載のファイバ。
【請求項5】
前記ファイバが前記第1のセグメントに光学的に結合された第3の軸セグメントを含み、前記第3のセグメントの前記プロファイルが前記第1のセグメントのそれよりも均一でありかつ前記第1のセグメントに断熱結合され、前記第2のセグメントが前記第1のセグメントの一端に位置し、そして前記第3のセグメントが前記第1のセグメントの反対端に位置することを特徴とする請求項4に記載のファイバ。
【請求項6】
前記コア領域の前記プロファイルが、前記コア領域と前記クラッド領域との間の横屈折率の差Δnの約5〜100%であるΔnの屈折率のディップを示すことを特徴とする請求項1に記載のファイバ。
【請求項7】
ファイバが基本横モードで前記信号放射を伝搬させるように構成されることを特徴とする請求項1のファイバ。
【請求項8】
前記第1のセグメントが前記ファイバの長さの主要部分を含み、前記第2のセグメントが前記ファイバの中間部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のファイバ。
【請求項9】
前記コア領域およびクラッド領域がラージモードエリアファイバを形成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のファイバ。
【請求項10】
前記ラージモードエリアファイバは利得発生ファイバを含むことを特徴とする請求項9に記載のファイバ。
【請求項11】
前記ラージモードエリアファイバはピグテールファイバを含むことを特徴とする請求項9に記載のファイバ。
【請求項12】
光ポンプ・エネルギの印加に応動して前記信号放射を増幅する請求項10に記載の光ファイバと、
前記ファイバの一端に結合されかつ光ファイバスタブ内を伝搬する放射線を回折させるように構成された前記光ファイバスタブとを含む光ファイバ装置。
【請求項13】
前記スタブがコアのないファイバを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記スタブの屈折率が前記スタブの軸断面内で本質的に均一であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記スタブの屈折率が前記スタブの一方の軸断面から他方の軸断面まで本質的に均一であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
光ポンプエネルギの印加に応動して前記信号放射を増幅する請求項10に記載の光ファイバと、
前記ポンプエネルギの源と、
前記ポンプエネルギと前記光信号を前記光ファイバの中で結合させる結合器とを含む光増幅器。
【請求項17】
前記光信号が第1の中心波長を有し、前記ポンプエネルギの源が第2の中心波長を有する光ポンプ信号を生成する半導体光源を含むことを特徴とする請求項16に記載の増幅器。
【請求項18】
高出力光増幅器であって、
少なくとも1つの利得発生種がドープされた、軸断面が横屈折率プロファイルを有するコア領域を含み、
前記コア領域が光ポンプエネルギの印加に応動して伝搬する光入力信号を増幅するように構成されており、さらに、
前記コア領域に隣接するクラッド領域を含む多重横モードラージモードエリアハイブリッド光ファイバを含み、
前記コア領域およびクラッド領域が、前記コア領域内で光放射の多重横モードをサポートするように構成され、
前記ファイバが、前記プロフィアルが径方向に均一でなくて屈折率の放射状ディップを特徴とする第1の軸セグメントを含み、前記第1のセグメントが前記横モードのうちの複数をサポートし、
前記ファイバが、前記第1のセグメントに光学的に結合された第2の軸セグメントを有し、前記第2のセグメントの前記プロファイルが前記第1のセグメントのそれよりも均一であり、
前記第1のセグメント内を特定の横モードで伝搬するエネルギが、前記第2のセグメント内で他の横モードにあまり結合されないように、前記セグメントが互いに断熱結合され、
前記第1のセグメントがパラメータMを特徴とし、前記第2のセグメントがパラメータMを特徴とし、ここで、Mが、前記ファイバの基本横モードが理想的なガウス関数を有するという類似性を定義し、M>1.0かつM<<Mであり、前記第2のセグメントが、前記第1のセグメントの入力端または出力端あるいは両方に位置し、前記増幅器はさらに、
前記光ポンプエネルギを、前記光信号の中心波長とは異なる中心波長で生成するLEDと、
前記ポンプエネルギを前記ファイバの中で結合させるポンプ結合器とを含むことを特徴とする高出力光増幅器。
【請求項19】
>>1.0かつM〜1.0であることを特徴とする請求項18に記載の増幅器。
【請求項20】
前記コア領域の前記プロフィアルが、前記コア領域と前記クラッド領域との間の横屈折率の差Δnの約5〜100%であるΔnの屈折率のディップを示すことを特徴とする請求項18に記載の増幅器。
【請求項21】
前記ファイバの一端に結合されかつ伝搬する放射線を回折させるように構成された光ファイバスタブをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の増幅器。
【請求項22】
前記スタブがコアのないファイバを含むことを特徴とする請求項21に記載の増幅器。
【請求項23】
前記スタブの屈折率が前記スタブの軸断面内で本質的に均一であることを特徴とする請求項21に記載の増幅器。
【請求項24】
前記スタブの屈折率が前記スタブの一方の軸断面から他方の軸断面まで本質的に均一であることを特徴とする請求項23に記載の増幅器。
【請求項25】
第1のファイバセグメントと第2のファイバセグメントとを含む多重横モード光ファイバであって、
前記セグメントのそれぞれが、コア領域と、前記コア領域に隣接するクラッド領域とを有し、前記コア領域のそれぞれの軸断面が横方向屈折率プロファイルを有し、
前記コア領域およびクラッド領域が、前記コア領域内で光信号放射の多重横モードをサポートするように構成され、
前記第1の軸セグメント内の前記プロファイルが、径方向に均一でなくて屈折率の放射状ディップを特徴とし、前記第1のセグメントが前記横モードのうちの複数をサポートし、
前記第2の軸セグメントが前記第1のセグメントに光学的に結合され、前記第2のセグメントの前記プロフィアルが前記第1のセグメントのそれよりも均一であり、
前記セグメントが互いに断熱結合されることを特徴とする多重横モード光ファイバ。
【請求項26】
前記光ファイバが利得発生ファイバを含むことを特徴とする請求項25に記載のファイバ。
【請求項27】
前記光ファイバがピグテールファイバを含むことを特徴とする請求項25に記載のファイバ。
【請求項28】
光ポンプエネルギの印加に応動して前記信号放射を増幅することを特徴とする請求項26に記載の光ファイバと、
前記ファイバの一端に結合されかつ伝搬する放射線を回折させるように構成された光ファイバスタブとを含むことを特徴とする光ファイバ装置。
【請求項29】
前記スタブがコアのないファイバを含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記スタブの屈折率が前記スタブの任意の軸断面内で本質的に均一であることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記スタブの屈折率が前記スタブの一方の軸断面から他方の軸断面まで本質的に均一であることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記第1のセグメントと第2のセグメントとの間に軸方向に配置された第3のセグメントをさらに含み、前記第3のセグメントが前記第1のセグメントと第2のセグメントを互いに断熱結合するように構成されることを特徴とする請求項25に記載のファイバ。
【請求項33】
前記第3のセグメントが光学利得を示さないことを特徴とする請求項32に記載のファイバ。
【請求項34】
前記第1のセグメントおよび第2のセグメントが利得発生ファイバであり、前記第3のセグメントが利得発生ファイバでないことを特徴とする請求項33に記載のファイバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−146015(P2008−146015A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−158764(P2007−158764)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(302003314)フルカワ エレクトリック ノース アメリカ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】