説明

リザーバタンクおよびこれを用いたブレーキ装置

【課題】一体成形時の成形収縮の影響がシール部材の設置場所に影響するのを抑制する。
【解決手段】下部体8と上部体9とからなるリザーバ本体に、リザーバ本体内の作動液の液量を検出する液量検出部21が設けられる。液量検出部21はリザーバ本体内の作動液の液量に応じて開閉するリードスイッチ23を有し、このリードスイッチ23はスイッチ収容部22にOリング28で外部からシールされて収容される。スイッチ収容部22は端子支持取付用円筒状部22bを有し、この端子支持取付用円筒状部22bにOリング28のシール部材設置部22cが設けられる。端子支持取付用円筒状部22bは、端子支持取付用円筒状部22bの長手方向と直交方向に空間27をおいて下部体8から離間して突設される。下部体8と端子支持取付用円筒状部22bとが樹脂により一体成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧等の液圧を利用した液圧ブレーキ装置等の液圧作動装置に用いられ、作動液を貯留するリザーバタンクの技術分野およびこれを備えたブレーキ装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両においては、液圧を利用した液圧作動装置として液圧ブレーキ装置を採用した車両がある。この液圧ブレーキ装置には、液圧を発生させるマスタシリンダに供給する作動液を貯留するリザーバタンクが用いられている。
【0003】
従来のリザーバタンクとして、リザーバタンク内の作動液の液面を検知する液面検知装置が設けられるとともに、リザーバタンク内の作動液の液面が所定高さより低下する(つまり、作動液の液量が所定量より減少する)と、この液面低下を液面検知装置により検知して警告するようにしたリザーバタンクが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0004】
図4(a)に示すように、これらの特許文献1および2に記載のリザーバタンクaは、樹脂製のリザーバ本体bの下部に設けられたスイッチ収容部cと、このスイッチ収容部cに収容されるリードスイッチdと、リザーバ本体bの底部から上方に向かって突設され内部にフロート室eを有する円筒状ガイド壁fと、この円筒状ガイド壁fのフロート室e内に収容されるとともに円筒状ガイド壁f内の作動液の液面の上下動に応じて円筒状ガイド壁fにガイドされながら上下動するフロートgと、このフロートgの下部に支持されるとともにフロートgと一体的に上下動してリードスイッチdを開閉制御するマグネットhとを有している。その場合、リザーバ本体b、スイッチ収容部c、および円筒状ガイド壁fは、樹脂により一体成形される。
【0005】
そして、リードスイッチdがスイッチ収容部c内に差し込まれて収容されるとともにリザーバ本体bに取り付けられる。このようにリードスイッチdがリザーバ本体bに取り付けられた状態では、スイッチ収容部cの内部がOリングjにより外部に対して液密にシールされる。また、フロート室eと円筒状ガイド壁fの外周に位置する作動液貯留室iは、図示しないスリットにより連通されている。したがって、通常時は、作動液貯留室i内の作動液の液面とフロート室e内の作動液の液面とは、同一水平面となる。
【0006】
そして、所定量以上の作動液が作動液貯留室i内に貯留されてその液面が警告灯の点灯ラインより高い位置にあるときはフロート室e内の作動液の液面も同じ高さとなる。したがって、フロートが上昇し、マグネットhが警告灯の点灯ラインより高い位置となってリードスイッチdから大きく離間する。これにより、リードスイッチdに作用するマグネットhの磁力が弱くなってリードスイッチdが開(オフ)となり、警告灯が消灯する。また、作動液貯留室i内の作動液が減少してその液面が警告灯の点灯ラインより低下すると、フロートが下降し、マグネットhが警告灯の点灯ラインより低い位置となってリードスイッチdに接近する。これにより、リードスイッチdに作用するマグネットhの磁力が強くなってリードスイッチdが閉(オン)となり、警告灯が点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−72771号の全文公開公報。
【特許文献2】特開平7−117659号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のリザーバタンクaでは、図4(b)に示すようにOリングjの設置孔kがリザーバ本体bとスイッチ収容部cとにより形成されている。また、Oリングjの設置場所の近傍位置に、円筒状ガイド壁f、リザーバタンクaの外壁(不図示)、あるいはリザーバタンクaの内部を画成する隔壁(不図示)等の厚肉部が存在する場合が多い。
【0009】
しかしながら、このようにOリングjの設置孔kがリザーバ本体bとスイッチ収容部cとにより形成されるとともにOリングjの設置場所の近傍位置に厚肉部が存在すると、リザーバタンクaが樹脂成形された際に、樹脂成形の収縮においてこの厚肉部の影響によりOリングjの設置孔kの内周面に凹みm(成形ひけ)が生じる場合がある。そして、この凹みmにより、Oリングjのシール性が損なわれる可能性がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、一体成形時の成形収縮の影響がシール部材の設置場所に影響するのを抑制することのできるリザーバタンクおよびこれを用いたブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、本発明のリザーバタンクは、作動液を貯留するリザーバ本体と、前記リザーバ本体に貯留された前記作動液の液量を検出する液量検出部とを少なくとも備え、前記液量検出部が、前記リザーバ本体内の前記作動液の液量に応じて開閉するリードスイッチと、前記リードスイッチをシール部材で外部からシールして収容するスイッチ収容部とを少なくとも有し、前記リザーバ本体と前記スイッチ収容部とが一体成形されているリザーバタンクにおいて、前記スイッチ収容部が、前記シール部材が設置されるシール部材設置部を有する筒状部を有し、前記筒状部が、前記筒状部の長手方向と直交する方向に所定の空間をおいて前記リザーバ本体から離間して突設されており、前記筒状部が前記リザーバ本体と一体成形されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のリザーバタンクは、前記シール部材がOリングであることを特徴としている。
更に、本発明のリザーバタンクは、前記筒状部をこの筒状部から離間して囲むプロテクタが設けられていることを特徴としている。
更に、本発明のリザーバタンクは、前記プロテクタが前記リザーバ本体と一体成形されていることを特徴としている。
【0013】
一方、本発明のブレーキ装置は、作動液を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の作動液が供給されるとともに作動時にブレーキ圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダからの液圧で作動するブレーキシリンダとを少なくとも備え、前記リザーバタンクが前述の本発明のリザーバタンクのいずれか1つであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された本発明のリザーバタンクによれば、スイッチ収容部が、シール部材が設置されるシール部材設置部を有する筒状部を有するとともに、この筒状部が、筒状部の長手方向と直交する方向に所定の空間をおいてリザーバ本体から離間して突設される。そして、筒状部がリザーバ本体と一体成形される。したがって、筒状部のシール部材設置部をリザーバ本体から空間をおいて離間していることから、リザーバ本体とスイッチ収容部とが一体成形される際、リザーバ本体のスイッチ収容部の近傍に厚肉部が形成されていても、一体成形の収縮においてシール部材設置部に対する厚肉部の影響を抑制すること
が可能となる。これにより、シール部材設置部におけるシール部材設置孔の変形(成形ひけ)を抑制することができる。その結果、シール部材をシール部材設置部のシール部材設置孔の内周面に全周にわたって密着させることができ、シール部材のシール性を向上することができる。しかも、シール部材のシール性を向上できることから、リードスイッチを長期にわたって外部環境から効果的に保護することが可能となり、リードスイッチの耐久性を向上することができる。
【0015】
また、プロテクタが、筒状部をこの筒状部から離間して囲むように突設させている。したがって、このプロテクタにより筒状部に外部部材が接触するのを抑制することができる。これにより、筒状部をリザーバ本体から空間をおいて突設させても、プロテクタにより筒状部を保護することが可能となる。
【0016】
一方、本発明のリザーバタンクを備えるブレーキ装置によれば、リードスイッチの耐久性を向上することができることから、長期にわたってリザーバタンク内の作動液の液量をより確実に検出することができるので、ブレーキ装置によるブレーキ作動を長期にわたって安定して実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るリザーバタンクの実施の形態の一例を備えるブレーキ装置を、模式的に示す図である。
【図2】本発明に係るリザーバタンクの実施の形態の一例を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】(a)は図2示す例のリザーバタンクの長手方向に沿う縦断面図、(b)は(a)におけるIIIB−IIIB線に沿う断面図、(c)は(a)におけるIIIC方向から見た図である。
【図4】(a)は従来のリザーバタンクの液面検知装置の断面図、(b)は(a)におけるIVB−IVB線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。以下の説明において、水平および鉛直は、リザーバタンクが水平または略水平な車両に搭載された状態についていい、作動液の最大限貯留レベル(MAXライン)および最小限貯留レベル(MINライン)はリザーバタンクの同状態での水平ラインである。
【0019】
図1は本発明に係るリザーバタンクの実施の形態の一例を備えるブレーキ装置を、模式的に示す図である。
図1に示すように、この例の液圧ブレーキ装置1は、基本的には従来公知の一般的な2系統の液圧ブレーキ装置と同じである。すなわち、液圧ブレーキ装置1は、ブレーキペダル2、倍力装置3、タンデムマスタシリンダ4、リザーバタンク5、およびブレーキシリンダ6を備えている。
【0020】
そして、運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、倍力装置3が作動してペダル踏力を所定のサーボ比で倍力して出力する。この倍力装置3の出力でタンデムマスタシリンダ4のプライマリピストン4aが作動してプライマリ液室4bの作動液を一方の系統のブレーキシリンダ6に送給するとともに、セカンダリピストン4cが作動してセカンダリ液室4dの作動液を他方の系統のブレーキシリンダ6に送給する。各ブレーキ系統のロスストロークが消滅すると、タンデムマスタシリンダ4が液圧を発生する。このタンデムマスタシリンダ4の液圧が各ブレーキシリンダ6に伝達され、各ブレーキシリンダ6がブレーキ力を発生して、各車輪7にブレーキがかけられる。
【0021】
図2(a)および(b)に示すように、このリザーバタンク5は、それぞれ樹脂成形された下部体8と上部体9との二体からなるリザーバ本体を備えている。そして、リザーバタンクは、上部体9の下端開口部と下部体8の上端開口部とが加熱および加圧により水平面または略水平面に沿って液密に溶着されて、比較的細長い容器状に形成される。このリザーバ本体内に作動液が貯留される。なお、リザーバタンク5は二体に限定されることはなく、下部体8、上部体9、およびこれらの間の中間体の三体で構成することもできる。以下の説明では、リザーバタンク5は二体で構成されるものとする。
【0022】
この例のリザーバタンク5では、リザーバタンク5が取り付けられるタンデムマスタシリンダ4の車体取付状態でかつ車体の水平状態で作動液の最小限貯留レベル(MINライン)が下部体8に設定され、また同様に作動液の最大限貯留レベル(MAXライン)が上部体9に設定されている。その場合、この例のリザーバタンク5の作動液供給口15からMINラインおよびMAXラインまでの鉛直方向(図2(a)において上下方向)の距離は、このリザーバタンク5が搭載される車両に搭載されている従来のリザーバタンクのそれと同じに設定されている。
【0023】
図3(a)に示すように、下部体8の同図において右側部分には、プライマリ作動液貯留室10とセカンダリ作動液貯留室11とが設けられている。これらのプライマリ作動液貯留室10とセカンダリ作動液貯留室11は隔壁12で仕切られている。しかし、隔壁12に設けられた図示しない開口により、プライマリ作動液貯留室10とセカンダリ作動液貯留室11は互いに連通している。プライマリ作動液貯留室10の底には、タンデムマスタシリンダ4のプライマリ液室4bへ作動液を供給するプライマリ作動液送給口13が設けられているとともに、セカンダリ作動液貯留室11の底には、タンデムマスタシリンダ4のセカンダリ液室4dへ作動液を供給するセカンダリ作動液送給口14が設けられている。
【0024】
リザーバタンク5の上部体9の図3(a)において左側上部には、作動液をリザーバタンク5内に供給するための作動液供給口15が設けられている。図2(b)に示すようにこの作動液供給口15には、作動液供給口15を開閉するキャップ16および従来公知のキャップシール(不図示)が設けられている。また、図3(a)に示すように、この作動液供給口15の下方には作動液供給部17が設けられている。作動液供給部17は下部体8と上部体9とにわたって画成されている。作動液供給口15と作動液供給部17は、円筒状部材18によって形成された作動液供給通路19を通して連通されている。
【0025】
そして、リザーバタンク5はその長手方向(図3(a)において左右方向)が車両前後方向またはほぼ車両前後方向となるようにして搭載される。このようにして、リザーバタンク5が車両に搭載された状態では、作動液供給口15および作動液供給部17がプライマリ作動液貯留室10およびセカンダリ作動液貯留室11より車両前方に位置している。また、上部体9の天井部9aは薄板状に形成されているとともに、天井部9aの下面である天井面9bはプライマリ作動液貯留室10側から作動液供給通路19側に向かってほぼ直線状に上昇する傾斜面とされている。天井面9bがこのような傾斜面とされることで、リザーバタンク5内のエアーがプライマリ作動液貯留室10側から作動液供給通路19側に向かって流動し易くなり、作動液のリザーバタンク5内へのエアー抜きが容易となる。
【0026】
更に、図3(b)に示すように天井部9aは、リザーバタンク5の長手方向と直交する面に沿う横断面形状が上方に突出するなだらかな湾曲形状とされている。そして、上部体9の外壁9c,9dと天井部9aとの境界部が丸いR部とされている。このように天井部
9aの横断面形状をなだらかな湾曲形状とすることで、リザーバタンク5の天井部9aが補強されている。したがって、例えばリザーバタンク5への作動液の注入やリザーバタンク5内の作動液の液量変化等によりリザーバタンク5内の内圧が変化して、リザーバタン
ク5の天井部9aに局部応力が作用しても、天井部9aの変形が抑制されるとともに、リザーバタンク5の白化(変形による白濁)が抑制される。
【0027】
作動液供給部17とプライマリ作動液貯留室10およびセカンダリ作動液貯留室11とが流体通路20で常時連通されている。この流体通路20は下部体8および上部体9内でリザーバタンク5のほぼ長手方向(ほぼ車両前後方向)に沿って延設されている。
【0028】
図2(b)および図3(a)に示すように、流体通路20には、リザーバタンク5内に作動液量を検出する液量検出部21が設けられている。図3(a)に示すように、液量検出部21は、下部体8の下部に設けられたスイッチ収容部22と、このスイッチ収容部22に収容されるノーマルオープン型のリードスイッチ23と、下部体8の底部から上方に向かって突設され内部にフロート室24aを有する円筒状ガイド壁24と、この円筒状ガイド壁24のフロート室24a内に収容されるとともに円筒状ガイド壁24内の作動液の液面の上下動に応じて円筒状ガイド壁24にガイドされながら上下動するフロート25と、このフロート25の下部に支持されるとともにフロート25と一体的に上下動してリードスイッチ23を開閉制御するマグネット26とを有している。フロート室24aはスリット24bを介して円筒状ガイド壁24の外部の流体通路20に連通している。
【0029】
スイッチ収容部22は、マグネット26の下方位置で下部体8の下部に一体成形されるとともにリードスイッチ23が収容されかつ取り付けられるスイッチ収容部本体22aと、下部体8からスイッチ収容部本体22aと同軸状に突設されるとともにリードスイッチ23の端子23aを支持しかつ取り付ける端子支持取付用円筒状部22bとを有している。端子支持取付用円筒状部22bはその軸方向と直交する方向に所定の空間(間隙)27をおいて下部体8の下部8aから離間して設けられている。そして、下部体8から離間する、端子支持取付用円筒状部22bの部位に、シール部材であるOリング28が設置されるシール部材設置部22cが設けられている。隔壁12、スイッチ収容部22、および円筒状ガイド壁24等が一体に樹脂成形されて下部体8が形成される。その場合、下部体9には、スイッチ収容部本体22aと円筒状ガイド壁24とによって厚肉部が形成される。一方、リードスイッチ23と端子23aは予め組み立てられてスイッチサブアッシ(スイッチ組立体)が構成される。
【0030】
リードスイッチ23を設置するためには、まずスイッチサブアッシにOリング28を嵌合する。この状態で、リードスイッチ23がスイッチ収容部本体22aの空間内に差し込まれて取り付けられるとともに、Oリング28および端子23aが端子支持取付用円筒状部22bの端子取付孔に嵌合される。このとき、Oリング28は端子支持取付用円筒状部22bのシール部材設置部22cに設置されるとともに、端子23aが端子支持取付用円筒状部22bの支持されて取り付けられる。そして、リードスイッチ23が収容されたスイッチ収容部本体22aの空間がOリング28により外部から液密にシールされる。
【0031】
更に、端子支持取付用円筒状部22bが下部体8から空間27をおいて突設されることから、端子支持取付用円筒状部22bは外部部材と接触して損傷される可能性がある。そこで、図3(a)および(c)に示すようにこの例のリザーバタンク5は、下部体8の下部から突設された壁板状の一対のプロテクタ29,30を備えている、これらのプロテク
タ29,30は端子支持取付用円筒状部22bを囲むようにかつ端子支持取付用円筒状部
22bから離間して設けられている。
【0032】
このように構成されたこの例のリザーバタンク5によれば、下部体8から端子支持取付用円筒状部22bの軸方向と直交する方向に所定の空間27をおいて端子支持取付用円筒状部22bが設けられるとともに、この端子支持取付用円筒状部22bの下部体8から離間する部位に、Oリング28が設置されるシール部材設置部22cが設けられる。このよ
うにシール部材設置部22cが下部体8から空間27をおいて離間していることから、下部体8が樹脂成形される際、スイッチ収容部本体22aと円筒状ガイド壁24とによって形成される厚肉部が形成されていても、樹脂成形の収縮においてシール部材設置部22cに対する厚肉部の影響を抑制することが可能となる。したがって、シール部材設置部22cにおけるシール部材設置孔の変形(成形ひけ)を抑制することができる。これにより、Oリング28をシール部材設置部22cのシール部材設置孔の内周面に全周にわたって密着させることができ、Oリング28のシール性を向上することができる。しかも、Oリング28のシール性を向上できることから、リードスイッチ23を長期にわたって外部環境から効果的に保護することが可能となり、リードスイッチ23の耐久性を向上することができる。
【0033】
また、端子支持取付用円筒状部22bを囲む壁板状の一対のプロテクタ29,30を、
端子支持取付用円筒状部22bから離間して突設させているので、端子支持取付用円筒状部22bに外部部材が接触するのを抑制することができる。したがって、端子支持取付用円筒状部22bを下部体8から空間27をおいて突設させても、一対のプロテクタ29,
30により端子支持取付用円筒状部22bを保護することが可能となる。
【0034】
更に、リザーバタンク5の天井部9aを、リザーバタンク5の長手方向と直交する面に沿う横断面形状が上方に突出するなだらかな湾曲形状としている。これにより、リザーバタンク5の天井部9aの強度を増大することができる。したがって、リザーバタンク5内の内圧が変化して、リザーバタンク5の天井部9aに局部応力が作用しても、天井部9aの変形を抑制することができるとともに、リザーバタンク5の白化を抑制することができる。
【0035】
一方、この例のリザーバタンク5を備える液圧ブレーキ装置1によれば、リードスイッチ23の耐久性を向上することができることから、長期にわたってリザーバタンク5内の作動液の液量をより確実に検出することができるので、ブレーキ装置1によるブレーキ作動を長期にわたって安定して実行することが可能となる。
【0036】
この例のリザーバタンク5の他の構成および他の作用効果は、特許文献1および2に記載のリザーバタンクを始め、樹脂成形されるとともにリードスイッチを用いた液量検出装置を備える従来公知のリザーバタンクと同じである。
なお、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で、種々の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るリザーバタンクは、油圧等の液圧を利用した液圧ブレーキ装置等の液圧作動装置に用いられて、作動液を貯留するリザーバタンクに好適に利用することができる。
また、本発明に係るブレーキ装置は、リザーバタンクに貯留された作動液を用いて車輪にブレーキをかける液圧ブレーキ装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…液圧ブレーキ装置、2…ブレーキペダル、3…倍力装置、4…タンデムマスタシリンダ、5…リザーバタンク、6…ブレーキシリンダ、8…下部体、9…上部体、9b…天井面、10…プライマリ作動液貯留室、11…セカンダリ作動液貯留室、17…作動液供給部、19…作動液供給通路、20…流体通路、21…液量検出部、22…スイッチ収容部、22a…スイッチ収容部本体、22b…端子支持取付用円筒状部、22c…シール部材設置部、23…リードスイッチ、23a…端子、24…円筒状ガイド壁、24a…フロート室、24b…スリット、25…フロート、26…マグネット、27…空間(間隙)、28…Oリング、29,30…プロテクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液を貯留するリザーバ本体と、前記リザーバ本体に貯留された前記作動液の液量を検出する液量検出部とを少なくとも備え、
前記液量検出部は、前記リザーバ本体内の前記作動液の液量に応じて開閉するリードスイッチと、前記リードスイッチをシール部材で外部からシールして収容するスイッチ収容部とを少なくとも有し、
前記リザーバ本体と前記スイッチ収容部とが一体成形されているリザーバタンクにおいて、
前記スイッチ収容部は、前記シール部材が設置されるシール部材設置部を有する筒状部を有し、
前記筒状部は、前記筒状部の長手方向と直交する方向に所定の空間をおいて前記リザーバ本体から離間して突設されており、
前記筒状部は前記リザーバ本体と一体成形されていることを特徴とするリザーバタンク。
【請求項2】
前記シール部材はOリングであることを特徴とする請求項1に記載のリザーバタンク。
【請求項3】
前記筒状部をこの筒状部から離間して囲むプロテクタが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のリザーバタンク。
【請求項4】
前記プロテクタは前記リザーバ本体と一体成形されていることを特徴とする請求項3に記載のリザーバタンク。
【請求項5】
作動液を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の作動液が供給されるとともに作動時にブレーキ圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダからの液圧で作動するブレーキシリンダとを少なくとも備え、
前記リザーバタンクが請求項1ないし4のいずれか1に記載のリザーバタンクであることを特徴とするブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−25737(P2011−25737A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170831(P2009−170831)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】