説明

リチウム二次電池

【課題】高エネルギー密度および高い放電レート特性を有し、充放電サイクル特性に優れるリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素を含む負極活物質層が負極集電体上に形成された負極と、リチウム遷移金属酸化物を含む正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、セパレータとを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体5を有し、該電極体5が、非水電解質を含浸させた状態で円筒型の電池容器内に収容されたリチウム二次電池において、正極の渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の正極集電タブ7、7を配置し、負極の渦巻方向における外周側端部に1本の負極集電タブ8を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギー密度および高い放電レート特性を有し、充放電サイクル特性に優れるリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、リチウム二次電池においては、高エネルギー密度化を目的として、実用化されている黒鉛材料に代わり、リチウムとの合金化反応によってリチウムを吸蔵することで高い体積比容量を有するアルミニウム(Al)、スズ(Sn)、シリコン(Si)などの元素の合金材料が、新たな負極活物質の候補として取り上げられ、多く検討されている。
【0003】
しかしながら、リチウムと合金化する材料を活物質として用いた電極においては、リチウムの吸蔵、放出時の活物質の体積変化が大きいため、活物質の微粉化や集電体からの離脱が生じやすく、その結果電極内の集電性が低下して充放電サイクル特性が劣悪となるという問題がある。
【0004】
そこで、電極内において高い集電性を達成するため、ケイ素を含む材料からなる活物質とバインダとを含む合剤層を非酸化性雰囲気下で焼結して配置することにより得られた負極が、良好な充放電サイクル特性を示すことが見出されている(下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−260637号公報
【0006】
ところが、このように電極内の集電性を改善できたとしても、円筒型や扁平型といった実電池とした場合には、活物質が大きな体積変化を生じることが電池内の他の部材に悪影響を及ぼし、十分な充放電特性が得られないという問題が生じる。
【0007】
充電時、即ちリチウムの吸蔵時には、ケイ素を含む負極活物質の体積増加にともない応力が生じて、正極や樹脂製多孔質セパレータといった他の電池部材に付加される。特に、円筒型電池の場合には、扁平型電池の場合に比して、電極体が変形し難いタイトな構造となっているため、活物質の体積増加にともなって応力が生じると、まず、正極や負極よりも外力による変形が生じやすい樹脂製の多孔質セパレータが圧縮され、目詰まりを生じることとなる。この作用は、サイクルの経過にともなう負極活物質の劣化(膨化)が大きくなるほど、大きく促進される。このため、正負極間のリチウムイオンの伝導性が大きく低下し、充放電特性が大きく低下する。
【0008】
充電にともなって大きく体積膨張する元素としては、上述のケイ素(体積膨張率4.1倍)の他、ゲルマニウム(体積膨張率3.7倍)、スズ(体積膨張率3.6倍)、アルミニウム(体積膨張率1.9倍)等が挙げられ、これらの元素を負極活物質として用いた場合には、上記のような問題が生じやすい。
【0009】
そこで、正負極の集電タブを、正負極それぞれの集電体から形成するようにすることで、電極体の変形性を増大させ、円筒型電池における充電時のセパレータの圧縮を抑制することによって、良好な充放電特性が得られることが見出されている(下記特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献2】特開2007−213875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献2に開示された構成によっても、依然として、充放電特性が十分なレベルに達したとはいい難いのが現状である。
【0012】
従って、本発明は、上記課題に鑑み、高エネルギー密度および高い放電レート特性を有し、充放電サイクル特性に優れるリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題に対し、本発明者等は、充電にともなう体積膨張率が大きいケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)等の元素を負極活物質として用いたリチウム二次電池において、正負極の集電タブの配置構成を適正化することによって、高エネルギー密度、高い放電レート特性ならびに優れた充放電サイクル特性を併せて得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明に係るリチウム二次電池(以下、「第1のリチウム二次電池」とも称す)は、充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素を含む負極活物質層が負極集電体上に形成された負極と、リチウム遷移金属酸化物を含む正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、上記負極と正極との間に配置されたセパレータとを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体を有し、該電極体が、非水電解質を含浸させた状態で円筒型の電池容器内に収容されたリチウム二次電池において、前記正極の渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブが配置され、前記負極の渦巻方向における外周側端部に1本の集電タブが配置されていることを特徴とする。
【0015】
充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素のうち、例えば代表的なものであるケイ素は、電子伝導性の低い材料であるが、絶縁性の樹脂製バインダとの合剤により形成された活物質層の状態ではさらに電子伝導性に劣るものとなる。このため、充放電時には、電極内の低い電子伝導性に起因したIR抵抗による分極が大きくなり、電極内での反応均一性は非常に低いものとなる。ケイ素を含む活物質は、反応均一性が低い場合には、劣化(ないし膨化、変質)が生じやすくなる傾向にあり、この場合、充放電特性が大きく低下することとなる。また、渦巻状に捲回した電極体とするために正負極を長手辺(渦巻方向に沿った辺)/短手辺(幅方向に沿った辺)が大きい長方形とした場合には特に、上記の傾向が大となる。
【0016】
これに対し、上記本発明の構成によれば、正極の渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブが配置され、負極の渦巻方向における外周側端部に1本の集電タブが配置されていることにより、渦巻状に捲回した電極体とするために正負極を長手辺(渦巻方向に沿った辺)/短手辺(幅方向に沿った辺)が大きい長方形とした場合であっても、電極体内における反応分布を均一にすることができ、充放電特性の低下を抑制することが可能となる。
【0017】
また、上記本発明の構成によれば、電極体の作製時に、正極と負極とを積層した状態において、正極集電タブと負極集電タブとが同一位置またはその近傍で重なり合う配置構成とはなっていないため、この積層体を巻回して巻取電極体とした後には、たとえこれら集電タブが最短距離で一直線に並ぶような配置となったとしても、各集電タブの間には数周ぶんの積層体が介在するため、該巻取電極体が均一に変形しやすく、充電時に負極活物質が体積膨張した際にも、これに追従して巻取電極体が変形することができ、したがってセパレータの圧縮、目詰まりによる充放電特性の低下が生じにくくなっている。
【0018】
ここで、例えば、上記構成において、負極集電タブが負極の渦巻方向における内周側端部にも1本追加された場合には、反応均一性の向上が図れず、また、内周側端部において正極集電タブと負極集電タブとが近い位置で重なり合う配置構成となるため、電極体の変形性が低下し、充放電特性を向上させることはできない。
【0019】
また、上記本発明の構成によれば、正極タブを2本以上と多く配置することによって、正極内の集電性が向上し、充放電特性が向上した構成となっている。
【0020】
前記正極において渦巻方向における最も内周側に位置する集電タブと最も外周側に位置する集電タブとの間隔が、正極の渦巻方向における全長の1/3〜1/2であることが望ましい。
なお本発明において、「渦巻方向における集電タブと集電タブとの間隔」とは、各集電タブの幅方向(渦巻方向)の中央同士の間の距離(長さ)のことであるとする。
渦巻方向における最も内周側に位置する正極集電タブと最も外周側に位置する正極集電タブとの間隔が、正極の渦巻方向における全長の1/3以上であれば、上記両正極集電タブの間隔が十分に確保されてこれら正極集電タブが偏在することがなく、その結果電極体内の反応均一性および正極内の集電性を向上させることができ、一方、上記両正極集電タブの間隔が正極の渦巻方向における全長の1/2以下であれば、上記両正極集電タブの間隔が適度な範囲内となり、電極体内の反応均一性を向上させることができて充放電特性を向上させることができる。
【0021】
負極活物質層が、ケイ素および/またはケイ素合金を含むことが望ましい。
活物質をケイ素を含むものとすると、前述の通り、充放電時に電極内の低い電子伝導性に起因したIR抵抗による分極が大きくなり、電極内での反応均一性が非常に低いものとなって該活物質が劣化(ないし膨化、変質)を生じ充放電特性が大きく低下することとなりやすく、また、渦巻状に捲回した電極体とするために正負極を長手辺(渦巻方向に沿った辺)/短手辺(幅方向に沿った辺)が大きい長方形とした場合には特にこの傾向が大となる。
また、ケイ素を負極活物質として用いた電池は、例えば黒鉛を負極活物質として用いた電池に比して、同じ電圧範囲で充放電を行ったとしても、ケイ素のリチウム吸蔵放出電位が黒鉛のそれよりも高いため、これに合わせて正極の電位も高くなる。このため、正極内での電子伝導性が低くIR抵抗が大きい場合には、充放電時の正極内での分極が大きくなるため、充電時にはさらに電位が高くなる。このとき、正極活物質層であるリチウム遷移金属酸化物からリチウムが多く引き抜かれる状態となるため、結晶構造破壊が生じて正極活物質の劣化が生じることとなる。またこれにより、正極表面上における電解液の酸化分解も生じやすくなる。したがって、正極タブの本数を2本以上とすることによる正極内でのIR抵抗の低減が、このような正極での劣化を抑制することができ、充放電特性を向上させることが可能となる。
【0022】
上記のような特性は、例えばゲルマニウムにもみられるものであるが、ケイ素の場合にはより顕著である。また、前述の通り、充電にともなうケイ素の体積膨張率は4.1倍と、例えばゲルマニウムの場合の3.7倍、スズの場合の3.6倍、アルミニウムの場合の1.9倍のいずれに比してもより高い。したがって、負極活物質層が、ケイ素および/またはケイ素合金を含む構成とした場合には、本発明の構成、即ち正極の渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブが配置され、前記負極の渦巻方向における外周側端部に1本の集電タブが配置されている構成とすることによる作用効果が一層発揮される。
【0023】
また、本発明に係るリチウム二次電池(以下、「第2のリチウム二次電池」とも称す)は、充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素を含む負極活物質層が負極集電体上に形成された負極と、リチウム遷移金属酸化物を含む正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、上記負極と正極との間に配置されたセパレータとを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体を有し、該電極体が、非水電解質を含浸させた状態で円筒型の電池容器内に収容されたリチウム二次電池において、
前記正極の渦巻方向における外周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブが配置され、前記負極の渦巻方向における内周側端部に1本の集電タブが配置されていることを特徴とする。
【0024】
上記第2のリチウム二次電池の構成によれば、正極集電タブおよび負極集電タブの配置が、前記第1のリチウム二次電池における正極集電タブおよび負極集電タブの配置を内外に反転させた(左右対称の)ものとなっており、したがって、前記第1のリチウム二次電池の場合と同等の良好な充放電特性を得ることが可能な構成となっている。
【0025】
ただしこの第2のリチウム二次電池の場合、正極集電タブが巻取電極体の外周側(特に最外周またはその近傍)に位置することになり、該正極集電タブを電池の封口蓋に接続する際に負極の電池缶に接触しやすいため、例えば該正極集電タブを樹脂製テープで被覆して絶縁したりタブの折り曲げを適切にしたりするといったように、該正極集電タブと電池缶との接触を避けるための対策が必要となり、したがって、電池作製の容易性の観点からは前記第1のリチウム二次電池の方が有利である。
【0026】
上記第2のリチウム二次電池の場合、例えば電池缶をアルミニウムよりなるものとして正極缶とし、封口蓋を負極として正負極の配置を逆転した構成とすると、正極集電タブを電池缶に接続することができるため、電池作製の容易性の点でも前記第1のリチウム二次電池と同等とすることができる。
ただし、電池缶としては、例えばSUS(ステンレス)等よりなるもののほうがより強度が高く、巻取電極体の変形によっても膨張・収縮し難い電池缶とすることができるため、電池缶を負極とするほうが好ましく、したがってこの観点からも前記第1のリチウム二次電池の方が有利である。
【0027】
上記第2のリチウム二次電池において、前記正極において渦巻方向における最も内周側に位置する集電タブと最も外周側に位置する集電タブとの間隔が、正極の渦巻方向における全長の1/3〜1/2であることが望ましい。
これは、前述の第1のリチウム二次電池の場合と同様の理由による。
【0028】
上記第2のリチウム二次電池において、負極活物質層が、ケイ素および/またはケイ素合金を含むことが望ましい。
これは、前述の第1のリチウム二次電池の場合と同様の理由による。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素を含む負極活物質層が負極集電体上に形成された負極と、リチウム遷移金属酸化物を含む正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、上記負極と正極との間に配置されたセパレータとを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体を有し、該電極体が、非水電解質を含浸させた状態で円筒型の電池容器内に収容されたリチウム二次電池において、前記正極の渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブを配置し、前記負極の渦巻方向における外周側端部に1本の集電タブを配置するようにしたので、電極体内における反応分布を均一にすることができ、充放電特性の低下を抑制することができる。
【0030】
また、電極体の作製時に、正極と負極とを積層した状態において、正極集電タブと負極集電タブとが同一位置またはその近傍で重なり合う配置構成とはなっていないため、この積層体を巻回して巻取電極体とした後には、たとえこれら集電タブが最短距離で一直線に並ぶような配置となったとしても、各集電タブの間には数周ぶんの積層体が介在するため、該巻取電極体が均一に変形しやすく、充電時に負極活物質が体積膨張した際にも、これに追従して巻取電極体が変形することができ、したがってセパレータの圧縮、目詰まりによる充放電特性の低下が生じにくくなっている。
【0031】
また、正極タブを2本以上と多く配置したので、正極内の集電性が向上し、充放電特性を良好とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0033】
〔負極活物質の作製〕
先ず、熱還元法により、多結晶ケイ素塊を作製した。具体的には、金属反応炉(還元炉)内に設置されたケイ素芯を通電加熱して800℃まで上昇させておき、これに精製された高純度モノシラン(SiH4)ガスの蒸気と精製された水素とを混合したガスを流すことで、ケイ素芯の表面に多結晶ケイ素を析出させ、これにより、太い棒状に生成された多結晶ケイ素塊を作製した。
【0034】
次に、この多結晶ケイ素塊を粉砕分級することで、純度99%の多結晶ケイ素粒子(負極活物質)を作製した。この多結晶ケイ素粒子においては、結晶子サイズは32nmであり、平均粒径は10μmであった。
なお、上記結晶子サイズは、粉末X線回折のケイ素の(111)ピークの半値幅を用いて、scherrerの式により算出し、平均粒径はレーザー回折法により求めた。
【0035】
〔負極合剤の作製〕
分散媒としてのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に、上記の作製した負極活物質と、負極導電剤としての平均粒径3.5μmの黒鉛粉末と、負極バインダーとしての下記化1で示される分子構造を有するガラス転移温度300℃、重量平均分子量50000である熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体のワニス(溶媒;NMP、濃度;熱処理によるポリマー化+イミド化後のポリイミド樹脂の量で47質量%)とを、負極活物質粉末と負極導電剤粉末とイミド化後のポリイミド樹脂との質量比が100:3:8.6となるように混合し、負極合剤スラリーとした。ここでのポリイミド樹脂の前駆体のワニスは、下記化2に示す3、3’、4、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエチルエステルと、下記化3に示すm−フェニレンジアミンとから作製できる。3、3’、4、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエチルエステルは、下記化4に示す3、3’、4、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物にNMPの存在下、2当量のエタノールを反応させることにより作製できる。
【0036】
【化1】

【0037】
【化2】

【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
〔負極の作製〕
上記の作製した負極合剤スラリーを、厚さ18μmの銅合金箔(C7025合金箔、組成;Cu96.2wt%、Ni3wt%、Si0.65wt%、Mg0.15wt%)の両面を、表面粗さRa(JIS B 0601−1994)が0.25μm、平均山間隔S(JIS B 0601−1994)が0.85μmとなるように電解銅粗化した負極集電体の両面に、25℃空気中で塗布、120℃空気中で乾燥後、25℃空気中で圧延した。得られたものを、長さ510mm、幅35.7mmの長方形に切り抜いた後、アルゴン雰囲気下で400℃、10時間熱処理し、負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極を作製した。負極集電体上の負極合剤層量は5.6mg/cm2、厚みは56μmであった。
【0041】
図2(a)に示すように、負極3の長手方向の一端部には、負極集電タブ8として、長さ46mm、幅3mm、厚さ70μmのニッケル板を接続した。
【0042】
〔正極活物質の作製〕
正極活物質として、Li2CO3とCoCO3とを、LiとCoのモル比が1:1になるようにして乳鉢にて混合した後、空気雰囲気中にて800℃で24時間熱処理後に粉砕して得られた、平均粒子径11μmのLiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物の粉末を得た。得られた正極活物質粉末のBET比表面積は0.37m2/gであった。
【0043】
〔正極の作製〕
分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに、上記の作製した正極活物質粉末と、正極導電剤としての平均粒径2μmの炭素粉末と、正極バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを、活物質と導電剤とバインダーとの重量比が95:2.5:2.5となるように加えた後、混練し、正極合剤スラリーとした。
【0044】
この正極合剤スラリーを、正極集電体としての厚み15μm、長さ495mm、幅33.7mmのアルミニウム箔の両面に、図1(a)に示すように、表面の一端部に長さL1=30mm、幅W1=33.7mmの未塗布部N1を、更にこの端部の未塗布部N1からD1=215mmの間隔をおいて、長さL2=10mm、幅W1=33.7mmの未塗布部N2を、さらに、裏面にも上記両未塗布部N1、N2に対応する位置に同寸法の未塗布部(図示せず)を、それぞれ形成するようにして、上記両未塗布部N1、N2の間の間隔D1=215mmの領域および中央部の未塗布部N2と正極集電体の他端との間の間隔D2=240mmの領域にそれぞれ塗布し、乾燥した後、圧延した。集電体上の活物質層量、及び正極の厚みは、両面に活物質層が形成されている部分で45mg/cm2、143μmあった。
【0045】
図1(a)に示すように、正極2の未塗布部N1、N2には、正極集電タブ7、7として、長さ46mm、幅3mm、厚さ70μmのアルミニウム板をそれぞれ接続した。詳しくは、正極端部の未塗布部N1では端部から5mm空けて配置しており、正極中央部の未塗布部N2では、該未塗布部N2の渦巻き方向中央に配置している。なお、2つの正極集電タブ7、7の間隔は、243.5mmである。
【0046】
〔非水電解液の作製〕
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とプロピオン酸メチル(MP)を体積比2:8で混合した溶媒に対し、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットル溶解させた後、この溶液に対して、0.4wt%の二酸化炭素ガスを添加し、非水電解液とした。
【0047】
〔電極体の作製〕
上記正極1枚及び上記負極1枚と、厚さ20μm、長さ560mm、幅37.7mmである、突き刺し強度340g、空孔率39%のポリエチレン製微多孔膜のセパレータを2枚用いて、正極と負極とをセパレータを介して対向させ、正極の端部側の正極集電タブ7が最内周、負極集電タブ8が最外周となるようにして、直径4mmの巻き芯を用いて、渦巻き状に巻回した後、巻き芯を引き抜いて、図3に模式的に示すような、直径12.8mm、高さ37.7mmの円筒型の電極体5を作製した。
なお、上記構成からも明らかであるが、図1および図2においては、正極および負極における左側が渦巻方向(巻回方向)における内周側(巻始め側)であり、右側が渦巻方向における外周側(巻終わり側)である。
【0048】
〔電池の作製〕
図4に断面構造で示すように、上記円筒型電極体5および非水電解液を、25℃、1気圧のCO2雰囲気下でSUS製の円筒型外装缶1内に挿入し、直径14mm、高さ43mmの電池を作製した。
ここで、図4の断面模式図に基づき上記電池の概略を示しておく。この電池は、上部に開口部を有する円筒型の金属外装缶1と、正極2と負極3とをセパレータ4を介して対向させ渦巻き状に巻回させてなる電極体5と、電極体5内に含浸された非水電解液と、上記の金属外装缶1の開口部を封口する封口蓋6等から構成されている。封口蓋6が正極端子、金属外装缶1が負極端子となっており、電極体5の上面側に取り付けられている正極集電タブ7、7が封口蓋6と、下面側に取り付けられている負極集電タブ8が金属外装缶1と接続されている。電極体5の上面及び下面は、電極体5と金属外装缶1とを絶縁するための上部絶縁板9及び下部絶縁板10で覆われている。封口蓋6は、金属外装缶1の開口部に絶縁パッキング11を介してかしめられて固定されている。
このように、上記電池は、二次電池として充電および放電が可能な構造となっている。
【実施例1】
【0049】
[第1実施例]
以下の第1実施例(実施例1および比較例1〜4)においては、正極集電タブおよび負極集電タブの設置位置(巻回方向における内周側部、中央部および外周側部)の違いが充放電特性に与える影響について検討を行った。
【0050】
(実施例1)
実施例1の電池としては、上記発明を実施する為の最良の形態で説明した電池と同様に作製したものを用いた。
このようにして作製した電池を、以下、本発明電池A1と称す。
【0051】
(比較例1)
図2(b)に示すように、負極3の両端部に、負極集電タブ8b、8bとして、長さ46mm、幅3mm、厚さ70mmのニッケル板をそれぞれ接続した他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。上記両負極集電タブ8b、8bは、前記実施例1の負極集電タブ8と同様にして、円筒型の金属外装缶の底と接続した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z1と称す。
【0052】
(比較例2)
図1(b)に示すように、正極2bの長手方向中央付近の未塗布部を塗布部とし、正極集電体の一端部の未塗布部N1と他端との間の間隔D3=465mmの領域に正極活物質層を形成して、この部分に正極集電タブを設置しなかった他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z2と称す。
【0053】
(比較例3)
図1(c)に示すように、長さL1=30mm、W1=幅33.7mmの未塗布部N1とは逆の端部においても、長さL3=10mm、幅W1=33.7mmの未塗布部N3を形成してその渦巻き方向中央部に正極集電タブ7cを設置し、長さL1=30mm、W1=幅33.7mmの未塗布部N1には正極集電タブを設置しなかった他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。2つの正極集電タブ7、7cの間隔は240mmであり、これら正極集電タブ7、7cが設置された未塗布部N2、N3の間隔はD4=230mmである。また、2本の正極集電タブ7、7cは、前記実施例1の正極集電タブ7、7と同様にして、封口蓋に接続している。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z3と称す。
【0054】
(比較例4)
図1(d)に示すように、長さL1=30mm、W1=幅33.7mmの未塗布部N1には正極集電タブを設置しなかった他は、上記比較例1と同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z4と称す。
【0055】
〔充放電サイクル特性の評価〕
上記本発明電池A1及び比較電池Z1〜Z4について、下記の充放電サイクル条件にて充放電サイクル特性を評価した。
【0056】
(充放電サイクル条件)
・1サイクル目の充電条件
45mAの電流で4時間定電流充電を行った後、180mAの電流で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電を行い、更に、4.2Vの電圧で電流値が45mAとなるまで定電圧充電を行った。
・1サイクル目の放電条件
180mAの電流で電池電圧が2.75Vとなるまで定電流放電を行った。
・2サイクル目以降の充電条件
900mAの電流で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電を行い、更に、4.2Vの電圧で電流値が45mAとなるまで定電圧充電を行った。
・2サイクル目以降の放電条件
900mAの電流で電池電圧が2.75Vとなるまで定電流放電を行った。
【0057】
(放電レート特性、サイクル寿命の算出)
以下の計算方法により、放電レート特性、サイクル寿命を求めた。
・放電レート特性
2サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100
・サイクル寿命
容量維持率(nサイクル目の放電容量を、2サイクル目の放電容量で除した値)が50%になった時のサイクル数
【0058】
(抵抗の測定)
また、1サイクル目の放電終了時に、電池の1kHz時の交流抵抗も測定した。
【0059】
(特性値算出・測定結果)
本発明電池A1及び比較電池Z1〜Z4の1kHz交流抵抗、放電レート特性およびサイクル寿命を表1に示す。
なお、表1中、いずれの特性値に関しても、本発明電池A1の1kHz交流抵抗、放電レート特性、サイクル寿命それぞれの値を100とした指数で表し、また、「内」は巻回方向(渦巻方向)における最内周部を、「中」は巻回方向における中央部を、「外」は巻回方向における最外周部をそれぞれ表す。
【0060】
【表1】

【0061】
(考察)
表1から明らかなように、正極2では渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、正極全長のおよそ1/2の間隔をおいて2本の集電タブ7、7を有し、かつ負極3では渦巻方向における外周側端部に1本の集電タブ8を有している本発明電池A1は、正負極の集電タブの配置構成がこれとは異なる比較電池Z1〜Z4に比して、放電レート特性、サイクル寿命を共に高い値で両立することが可能となっていることが分かる。
【0062】
これは、本発明電池A1では、正負極の集電タブの配置構成を上記のように適正化したことにより、電極体5を渦巻状に形成するために正負極の長さを大としたにもかかわらず電極体5内の反応分布を均一にすることができ、また、電極体5の作製時に、正極2と負極3とを積層した状態において、正極集電タブ7、7と負極集電タブ8とが同一位置またはその近傍で重なり合う配置構成とはなっていないため、この積層体を巻回して巻取電極体5とした後には、たとえこれら集電タブ7、7、8が最短距離で一直線に並ぶような配置となったとしても、各集電タブ7、7、8の間には数周ぶんの積層体が介在することによって、電極体5の変形が容易となっていて充電時のセパレータの目詰まり発生が抑制されており、さらに、上記正極集電タブ7、7の配置により正極2での集電性の向上が可能となっており、正極2での分極の増加による劣化の加速を抑制することができたためと考えられる。
【0063】
一方、比較電池Z1では、本発明電池A1に比べて、負極集電タブ8bが1本追加して設置され、電池内部抵抗が低下していることからも集電性が向上しているものの、充放電特性の向上は見られない。これは、比較電池Z1では、最内周付近において正極集電タブ7と負極集電タブ8bとが近い位置で重なり合っているために、電極体の変形性が低下したこと、負極集電タブ8bを追加したことにより逆に電極体内の反応均一性が低下したためと考えられる。
【0064】
また、比較電池Z2〜Z4においても、充放電特性の向上は見られない。これは、比較電池Z2、Z4では正極集電タブ7が1本しか設置されていないため正極での反応均一性および集電性が向上していないこと、比較電池Z3では最外周付近において正極集電タブ7cと負極集電タブ8bとが近い位置で重なり合っているために、電極体の変形性が低下したこと等が原因として考えられる。
【0065】
[第2実施例]
以下の第2実施例(実施例1、2および比較例5)においては、巻回方向における内周側の正極集電タブと外周側の正極集電タブとの間隔の違いが充放電特性に与える影響について検討を行った。
【0066】
(実施例2)
前記実施例1においては、図1(a)に示すように、正極2の一端部の長さL1=30mm、幅W1=33.7mmの未塗布部N1と、中央部の長さL2=10mm、幅W1=33.7mmの未塗布部N2との間隔D1を215mmとしていたが、中央部の未塗布部の位置を変えることにより、端部の未塗布部と中央部の未塗布部との間隔を130mm、180mm、235mm、280mmと変化させた他は、上記実施例1と同様にして4種類の電池を作製した。なお、各電池における2本の正極集電タブの間隔はそれぞれ、158.5mm、208.5mm、 263.5mm、308.5mmであり、これらの間隔の正極全長に対する割合はそれぞれ、32.0%、42.1%、53.2%、62.3%である。
このようにして作製した4種類の電池を、以下、本発明電池A2〜A5と称す。
【0067】
(比較例5)
正極における中央部の未塗布部の位置を変えることにより、端部の未塗布部と中央部の未塗布部との間隔を320mmに変化させた他は、上記実施例1と同様にして電池を作製した。なお、2本の正極隼電タブの間隔は348.5mmであり、これらの間隔の正極全長に対する割合は70.4%である。
このようにして作製した電池を、以下、比較電池Z5と称す。
【0068】
〔充放電サイクル特性の評価〕
本発明電池A2〜A5および比較電池Z5に関し、前記第1実施例で示した本発明電池A1および比較電池Z1〜Z4の場合と同様にして、1kHz交流抵抗、放電レート特性およびサイクル寿命を求めた。得られた特性値を表2に示す。
なお、表2中、いずれの特性値に関しても、本発明電池A1の1kHz交流抵抗、放電レート特性、サイクル寿命それぞれの値を100とした指数で表し、また、「内」は巻回方向(渦巻方向)における最内周部を、「中」は巻回方向における中央部を、「外」は巻回方向における最外周部をそれぞれ表す。
【0069】
【表2】

【0070】
(考察)
表2から明らかなように、渦巻方向における最内周部に位置する正極集電タブと最外周部に位置する正極集電タブとの間隔が、正極における渦巻方向の全長の1/3以上1/2以下である本発明電池A1およびA3は、正極集電タブ間隔が上記範囲外である本発明電池A2、A4、A5および比較電池Z5に比べて放電レート特性、サイクル寿命を共に高い値で両立することが可能となっていることが分かる。
【0071】
これは、本発明電池A1およびA3では、本発明電池A2、A4、A5および比較電池Z5に比べ、電極体内の反応均一性が高いためと考えられる。
【0072】
また、比較電池Z5は、本発明電池A1〜A5に比して、いずれの特性値も大きく劣化している。これは、渦巻方向における最内周部に位置する正極集電タブと最外周部に位置する正極集電タブとの間隔が正極全長の2/3を超えていて過大となっていることにより反応均一性が大きく低下しているためと考えられる。
【0073】
〔その他の事項〕
(1)第1実施例の比較例3における負極3の両端部の負極集電タブ8b、8b(図2(b)参照)のうち、外周側端部に位置する負極集電タブ8bを設置しないようにしてもよく、これによれば、正極集電タブ7、7c(図1(c)参照)および負極集電タブ8bの配置が、実施例1の本発明電池A1における正極集電タブ7、7(図1(a)参照)および負極集電タブ8(図2(a)参照)の配置をほぼ内外に反転させた(ほぼ左右対称の)ものとなり、したがって、本発明電池A1の場合と同等の良好な充放電特性を得ることが可能な構成となる。
【0074】
ただしこの場合、正極集電タブ7cが巻取電極体の外周側端部に位置することになり、該正極集電タブ7cを電池の封口蓋に接続する際に負極の外装缶に接触しやすい配置となるため、該正極集電タブ7cと外装缶との接触を避けるべく、例えば該正極集電タブ7cを樹脂製テープで被覆して絶縁したり、該正極集電タブ7cの折り曲げを適切にしたりするといった対策をとるようにすればよい。
【0075】
なおこの場合、例えば外装缶をアルミニウムよりなるものとして正極缶とし、封口蓋を負極として正負極の配置を逆転した構成としてもよく、これによれば、正極集電タブ7cを外装缶に接続することができるため、上記のような接触回避のための対策を不要とすることができる。
【0076】
(2)第1実施例の実施例1における正極2の2本の正極集電タブ7、7(図1(a)参照)に加えて、例えば上記両正極集電タブ7、7の間の中央位置等の適宜位置に、第3の正極集電タブをさらに設置するといったように、正極集電タブを計3本以上とすることも可能である。
【0077】
ただし、例えば正極の全長が長く、集電タブの設置数を増加させても集電タブ間に十分な間隔が確保できる場合は、集電タブの設置数が多いほうが正極の反応均一性や集電性も向上させることができて望ましいと考えられるが、正極の全長が前記実施例と同程度である場合には、集電タブの設置数が多くなると該集電タブが密に配置されることとなって電極体の変形性が低下するおそれがあるため、正極集電タブは2本とすることが望ましい。
【0078】
(3)また、第1実施例の実施例1における正極2の2本の正極集電タブ7、7のうち、渦巻方向における最も内周側に位置する集電タブ7は、図1(a)に示すように、厳密には、正極2の渦巻方向における内周側端よりもやや中央側寄りの位置に配置されているが、この中央側寄りの位置は、正極活物質層が形成されていない未塗布部N1上の位置であって正極2の渦巻方向における内周側端と機能的に同等の位置となっているため、この中央側寄りの位置も「正極の渦巻方向における内周側端部」に含まれるものとする。
【0079】
(4)また、例えば第1実施例の実施例1における本発明電池A1の正極集電タブ7、7および負極集電タブ8の配置は、渦巻き状に巻回した後の巻取電極体の状態において、できるだけ分散して配置されているほうが、これら集電タブ7、7、8の間の間隔が大となるため、電極体の変形性をより良好とする上では望ましい。図5は、2本の正極集電タブおよび1本の負極集電タブの巻取電極体内における配置状況の例を示す模式図である。図5(a)に示す例では、渦巻き状に巻回した後の巻取電極体5aの状態において、2本のうちの一方の正極集電タブ70aが中心に位置し、他方の正極集電タブ70aおよび1本の負極集電タブ80aが、互いに90°以内の角度αをなす範囲内に集中して配置され、図5(b)に示す例では、巻回後の巻取電極体5bの状態において、2本のうちの一方の正極集電タブ70bが中心に位置し、他方の正極集電タブ70bおよび1本の負極集電タブ80bが、互いに90°を越える角度βをなす範囲に分散して配置されており、後者の集電タブ70b、70b、80bが分散した配置のほうが電極体5bの変形性はより良好であると考えられる。
なお、前者の集電タブ70a、70a、80aが集中した配置の場合、例えば中間部の正極集電タブ70aと負極集電タブ80aとの間の上記角度αが0°程度となった場合には、上記3本の集電タブ70a、70a、80aがほぼ最短距離で一直線に並ぶような配置となるが、この場合であっても、電極体5aの作製時(即ち渦巻き状に巻回する前)には、正極と負極とを積層した状態において、正極集電タブ70a、70aと負極集電タブ80aとが同一位置またはその近傍で重なり合う配置構成とはなっていないため、この積層体を巻回して巻取電極体5aとした後には、各集電タブ70a、70a、80aの間には数周ぶんの積層体が介在し、これにより該巻取電極体5aの均一な変形性が確保される。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、携帯用途の小型機器等に搭載される円筒型リチウム二次電池に好適に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の最良の形態で用いた、集電タブの配置構成が異なる4種類の正極の展開図である。
【図2】本発明の最良の形態で用いた、集電タブの配置構成が異なる2種類の負極の展開図である。
【図3】本発明の最良の形態で用いた巻取電極体の斜視図である。
【図4】本発明の最良の形態で作製したリチウム二次電池の概略断面図である。
【図5】本発明の最良の形態で用いた集電タブの巻取電極体における配置構成の例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0082】
5:電極体
7:正極集電タブ
8:負極集電タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素を含む負極活物質層が負極集電体上に形成された負極と、リチウム遷移金属酸化物を含む正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、上記負極と正極との間に配置されたセパレータとを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体を有し、該電極体が、非水電解質を含浸させた状態で円筒型の電池容器内に収容されたリチウム二次電池において、
前記正極の渦巻方向における内周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブが配置され、前記負極の渦巻方向における外周側端部に1本の集電タブが配置されていることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項2】
前記正極において渦巻方向における最も内周側に位置する集電タブと最も外周側に位置する集電タブとの間隔が、正極の渦巻方向における全長の1/3〜1/2である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
負極活物質層が、ケイ素および/またはケイ素合金を含む、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
充電にともなう体積膨張率が1.9倍以上の元素を含む負極活物質層が負極集電体上に形成された負極と、リチウム遷移金属酸化物を含む正極活物質層が正極集電体上に形成された正極と、上記負極と正極との間に配置されたセパレータとを含む積層体を渦巻状に捲回させてなる電極体を有し、該電極体が、非水電解質を含浸させた状態で円筒型の電池容器内に収容されたリチウム二次電池において、
前記正極の渦巻方向における外周側端部から正極全長の2/3の位置までの間に、少なくとも正極全長の1/4以上の間隔をおいて2本の集電タブが配置され、前記負極の渦巻方向における内周側端部に1本の集電タブが配置されていることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項5】
前記正極において渦巻方向における最も内周側に位置する集電タブと最も外周側に位置する集電タブとの間隔が、正極の渦巻方向における全長の1/3〜1/2である、請求項4に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
負極活物質層が、ケイ素および/またはケイ素合金を含む、請求項4または5に記載のリチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−245839(P2009−245839A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92619(P2008−92619)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】