説明

リッド装置

【課題】本発明は、蓋部材が不意に開くことを抑制しつつ蓋部材の開動作を容易にできるようにするとともに、充電口の配置のレイアウトの自由度を向上することができるリッド装置を提供する。
【解決手段】リッド装置20は、車体の凹部50を覆う大きさを有する蓋部材70と、蓋部材70を、凹部50を開閉可能に車体に支持するヒンジ装置80と、蓋部材70が凹部50を閉塞する全閉位置P1にある状態をロック可能であるとともに、当該ロックを解除可能なストッパ装置90と、蓋部材70が凹部50を開いた状態を保持する全開固定スプリング100と、ストッパ装置90のロックが解除された際に70蓋部材を開方向に跳ね上げるポップアップスプリング110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車の充電口を覆うリッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータで駆動する電気自動車は、当該電気モータに電力を供給するバッテリ装置を備えている。このため、電気自動車の車体には、バッテリ装置に充電する際に用いられる充電ガンが挿入される充電口が形成されている。
【0003】
充電口は、例えば、車体外側に向かって開口する凹部と、凹部を覆うリッド装置とを備えている。リッド装置は、当該凹部を覆う蓋部材などを備えている。凹部内には、充電ガンが電気的に接続される端子が設けられている。
【0004】
蓋部材はヒンジによって凹部の開口縁に支持されており、凹部を開閉可能になっている。充電ガンと充電口の端子とが電気的に接続されることによってバッテリ装置に電力が供給され、それゆえ、バッテリ装置が充電される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、蓋部材が全開位置まで開いた状態を保持する全開固定スプリングを用いる構造が提案されている。全開固定スプリングは、例えば略C字状のスプリングであって、蓋部材と凹部とにまたがって設けられている。全開固定スプリングは、蓋部材が閉じている状態(凹部を覆っている状態)では、蓋部材を閉じた状態に保持すべく蓋部材を付勢する。
【0006】
全開固定スプリングの弾性力に抗って作業員が蓋部材を開くにしたがって、全開固定スプリングも開く。蓋部材は、ヒンジによって凹部に連結されており、それゆえ、蓋部材がある位置を越えて開くと、全開固定スプリングは、逆に縮まる方向に変位しはじめる。全開固定スプリングは内側に縮まるように付勢されているので、蓋部材は、全開固定スプリングの弾性力によって全開方向に付勢され、そして、全開位置で保持される。
【0007】
一方、全開固定スプリングの弾性力によって蓋部材が閉じた状態を保持する構造であると、当該弾性力によって凹部を閉塞している状態の蓋部材が開きにくいことがある。さらに、凹部を閉塞している蓋部材は、全開固定スプリングの弾性力によってのみその姿勢が保持されているので、外部から不意に蓋部材を開くことが可能とある。
【0008】
このため、不意に蓋部材が開くことを防ぐとともに比較的容易に蓋部材を開くことができるようにするために、全開固定スプリングを用いずに、蓋部材が凹部を閉塞した状態をロックするストッパを備えるとともに、ポップアップスプリングを備える構造が提案されている。
【0009】
この構造では、凹部と蓋部材とに互いに係合および当該係合を解除可能な機構が設けられており、蓋部材が凹部を閉塞した状態で当該機構が互いに係合することによって、蓋部材が凹部を閉塞した状態がロック(保持)される。この係合状態(ロック状態)は、例えば、自動車の運転席近傍に設けられる解除レバーを操作することによって、解除される。
【0010】
この種のストッパを備える場合では、ストッパによって蓋部材が閉じた状態をロックできるので、ストッパの係合が解除された際に蓋部材を所定の位置まではね上げるポップアップスプリングを設けることが可能である。
【0011】
具体的には、ポップアップスプリングは、蓋部材が凹部を閉塞してロックされた状態では縮む方向に弾性変形して弾性力を蓄え、ストッパの係合が解除されると当該弾性力によって蓋部材をはねあげ、それゆえ、蓋部材を所定位置まで開く。作業者は、蓋部材が所定位置まではね上げられることによって、比較的容易に蓋部材を全開位置まで開くことができる。
【0012】
このように、ストッパを備えることによってポップアップスプリングを備えることができるようになり、その結果、不意に蓋部材が開くことを抑制しつつ、比較的容易に蓋部材を全開位置まで開くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−27851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一方、例えば電気自動車の小型化への要求、または、車体のデザインによる要求などによって、充電口の配置や姿勢の自由度が高いことが求められる。
【0015】
しかしながら、蓋部材は、凹部(車体)にヒンジを介して連結され、車体外側に向かって開く。このため、充電口は、車体の乗員乗降用の開口を覆うドアと蓋部材との干渉を避ける位置に配置されることが必要になるなど、他の部品との干渉を避ける位置に配置されることが必要になる。
【0016】
さらに、ストッパとポップアップスプリングを備える構造では、蓋部材は全開位置で保持されないので、全開位置まで開いた状態において蓋部材が重力によって閉じることがないように、蓋部材は上方向または斜め上方向に開くことがないように設定されている。この結果、充電口の姿勢およびレイアウトが制限されることになる。充電口の姿勢や配置が制限されることは、好ましくない。
【0017】
本発明は、蓋部材が不意に開くことを抑制しつつ蓋部材の開動作を容易にできるようにするとともに、充電口の配置のレイアウトの自由度を向上することができるリッド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載のリッド装置は、車外に向かって開口する凹部を開閉可能に閉塞する。前記リッド装置は、前記凹部を覆う大きさを有する蓋部材と、前記蓋部材を、前記凹部を開閉可能に支持するヒンジ装置と、前記蓋部材が前記凹部を閉塞する全閉位置にある状態をロック可能であるとともに、当該ロックを解除可能なストッパ装置と、前記蓋部材が全開位置にある状態を保持する全開固定スプリング部と、前記ストッパ装置のロックが解除された際に前記蓋部材を開方向に跳ね上げるポップアップスプリング部とを備える。
【0019】
請求項2に記載のリッド装置では、請求項1に記載のリッド装置において、前記全開固定スプリング部と前記ポップアップスプリング部とは、別体である。
【0020】
請求項3に記載のリッド装置では、請求項1に記載のリッド装置において、前記全開固定スプリング部と前記ポップアップスプリング部とは、一体である。
【発明の効果】
【0021】
本願では、ストッパ装置が設けられているので、全閉位置にある蓋部材が不意に開くことが抑制される。また、全開固定スプリングを備えることによって、蓋部材は、全開位置で保持される。
【0022】
このため、蓋部材の開閉動作を、水平方向ではなく、水平方向に交差する斜め方向に設定することができる。このため、リッド装置を配置する際のリッド装置の姿勢の自由度を向上することができる。この結果、リッド装置のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0023】
また、ポップアップスプリングを備えることによって、ストッパ装置のロックが解除されると、蓋部材は、自然に、ある程度開くようになる。このように蓋部材がある程度開くことによって、作業者は、蓋部材を容易に全開位置まで開くことができる。
【0024】
このように、本発明は、蓋部材が不意に開くことを抑制しつつ蓋部材の開動作を容易にできるようにするとともに、充電口の配置のレイアウトの自由度を向上することができるリッド装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るリッド装置を備える電気自動車を示す斜視図。
【図2】図1に示される範囲F2を、車体外側からみた側面図。
【図3】図2に示されたヒンジ装置と蓋部材とが凹部から取り外された状態を拡大して示すとともに、ヒンジ装置が蓋部材に固定されている状態を示す斜視図。
【図4】図1に示された電気自動車の運転席の近傍を示す斜視図。
【図5】図3に示された全開固定スプリングを拡大して示す斜視図。
【図6】図1に示された蓋部材が全閉位置にある状態での普通充電用充電口の近傍を、全開固定スプリングを通るように示す断面図。
【図7】普通充電用充電口および普通充電用充電口の近傍を図6と同じように断面するとともに、蓋部材が所定位置まで開いた状態を示す断面図。
【図8】普通充電用充電口および普通充電用充電口の近傍を図6と同じように断面するとともに、蓋部材が全開位置まで開いた状態を示す断面図。
【図9】図3に示されたポップアップスプリングを拡大して示す斜視図。
【図10】図1に示された普通充電用充電口および普通充電用充電口の近傍を、ポップアップスプリングを通るように断面して示す断面図。
【図11】図10と同様の位置での電気自動車の断面図であるとともに、蓋部材が全開位置まで開いた状態を示す断面図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るリッド装置を示す斜視図。
【図13】図12に示された多機能スプリングを拡大して示す斜視図。
【図14】図12に示された蓋部材が全閉位置にある状態での、普通充電用充電口を断面して示す断面図。
【図15】図12に示された蓋部材が全開位置にある状態での、普通充電用充電口を断面して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の実施形態に係るリッド装置を、図1〜12を用いて説明する。図1は、本実施形態のリッド装置20を備える電気自動車10を示す斜視図である。
【0027】
図1に示すように、電気自動車10は、駆動用モータとバッテリ装置と(共に図示せず)を備えている。モータは、バッテリ装置より供給される電力によって回転駆動するとともに、例えば後輪11を駆動する。この結果、電気自動車10は走行可能となる。
【0028】
電気自動車10には、バッテリ装置を充電するために充電口が設けられている。充電口としては、バッテリ装置を短時間で充電する急速充電用充電口30と、家庭に供給される電力を利用して充電する普通充電用充電口40とが設けられている。
【0029】
急速充電用充電口30は、図中点線で示されている。急速充電用充電口30を用いて充電する際には、急速充電用充電ガン31を急速充電用充電口30内に挿入し、当該急速充電用充電ガン31の端子と、急速充電用充電口30内に設けられる端子(図示せず)とを互いに電気的に接続する。このことによって、充電ガン31より電力が供給され、それゆえ、バッテリ装置が充電される。
【0030】
普通充電用充電口40を用いて充電する際には、普通充電用充電ガン41を用いる。普通充電用充電ガン41は、各家庭に供給される電力を利用するので、家に設けられる電力供給用のコンセント42に接続される。そして、普通充電用充電ガン41は、普通充電用充電口40内に挿入され、当該普通充電用充電ガン41の端子と、普通充電用充電口40内に設けられる端子(図2に示す)とが互いに電気的に接続される。このことによって、普通充電用充電ガン41を通して各家庭に供給される電力がバッテリ装置に供給され、それゆえ、バッテリ装置が充電される。
【0031】
本実施形態のリッド装置20は、一例として、普通充電用充電口40に用いられている。リッド装置20は、本発明で言うリッド装置の一例である。
【0032】
図1に示すように、普通充電用充電口40は、具体的には、電気自動車10の外観を規定する右側の外壁部12において、車体の後部座席乗降用開口13を覆うドア14の後方に配置されている。後部座席乗降用開口13は、主に後部座席(図示せず)に乗車する乗員の乗り降りの際に用いられる開口である。なお、左右(車幅方向E)は、車体前後方向Aによって規定される。車体上下方向を矢印Fで示す。
【0033】
図2は、図1に示される範囲F2を、車体外側からみた側面図である。図2は、普通充電用充電口40と、外壁部12において普通充電用充電口40の近傍とを示している。図2に示すように、普通充電用充電口40は、凹部50と、ソケット60と、リッド装置20とを備えている。
【0034】
凹部50は、車体の右側の外壁部12の後部に形成されている。右側の外壁部12は、アウタパネル15(図6に示す)と図示しないインナパネルとが車幅方向に組み合わされることによって形成されており、凹部50は、アウタパネル15より内側(車内側)に凹状に凹むことによって形成されている。凹部50は、車体外側に向かって開口している。凹部50は、本発明で言う凹部の一例である。
【0035】
ソケット60は、凹部50内に収容されており、凹部50の底壁51に支持されている。ソケット60は、普通充電用充電ガン41の端子(図示せず)と電気的に接続される端子(図示せず)を備えている。普通充電用充電ガン41が凹部50に挿入されて、普通充電用充電ガン41の端子とソケット60の端子とが互いに電気的に接続されることによって、バッテリ装置が充電される。
【0036】
リッド装置20は、凹部50の開口52を覆う蓋部材70と、蓋部材70を凹部に50に連結するヒンジ装置80と、ストッパ装置90と、全開固定スプリング100と、ポップアップスプリング110とを備えている。全開固定スプリング100は、本発明で言う全開固定スプリング部の一例である。ポップアップスプリング110は、本発明で言うポップアップスプリング部の一例である。
【0037】
図1に示すように、蓋部材70は、凹部50の開口52の全域を塞ぐ大きさを有している。蓋部材70は、本発明で言う蓋部材の一例である。蓋部材70は、凹部50の開口52を規定する縁部53のうち車体前後方向前側の部分に、ヒンジ装置80によって当該ヒンジ装置80のヒンジ軸83(図中点線で示す)回りに回動可能に支持されており、全閉位置P1と全開位置P2との間で回動可能である。
【0038】
図1に示すように、全閉位置P1は、蓋部材70が開口52を塞ぐべく最後まで閉まった位置であり、それゆえ、開口52の全域が塞がれる。全開位置P2は、開口52を開放すべく最後まで開いた位置であり、それゆえ、開口52の全域が開放される。図2は、蓋部材70が全開位置P2まで開いた状態を示している。
【0039】
図3は、ヒンジ装置80と蓋部材70とが凹部50から取り外された状態を拡大して示す斜視図であり、ヒンジ装置80が蓋部材70に固定されている状態を示している。なお、図3からは、後述される第1の係合部91は、説明のため省略されている。
【0040】
図3に示すように、ヒンジ装置80は、開口52の縁部53に固定される凹部側ヒンジベース81と、蓋部材70に固定される蓋部材側ヒンジベース82とを備えており、これらヒンジベース81,82がヒンジ軸83によって互いに相対的にヒンジ軸83回りに回動可能に連結されている。ヒンジ装置80は、本発明で言うヒンジ装置の一例である。
【0041】
蓋部材側ヒンジベース82は、蓋部材70の内面71と略同じ大きさを有して内面71に固定される本体84と、ヒンジ軸83を介して凹部側ヒンジベース81に連結される基部85とを有している。基部85は、蓋部材70側に向かって延びる形状であって本体84に連結固定されている。
【0042】
蓋部材70は、当該蓋部材70の開閉動作の際にドア14と干渉(接触)することを抑制するために、その姿勢が決定されている。
【0043】
具体的には、図2に示すように、ヒンジ軸83は、開口52の縁部53において車体前後方向前部分に設けられている。また、ヒンジ軸83は、電気自動車10が水平な面(重力が作用する方向に垂直な面)に配置された際に当該水平方向B(重力が作用する方向と直交する方向)に対して直交しないとともに、蓋部材70が斜め上方向に開く(開閉方向C)ように設けられている。すなわち、ヒンジ軸83の軸心線83aと水平方向Bとのなす角度αは、90度未満となる。なお、図2中、ヒンジ軸83の軸心線83aを2点鎖線で示し、水平方向を符号Bで示し、蓋部材70の開閉方向を符号Cで示す。
【0044】
ヒンジ軸83が上記のように設定されることによって、蓋部材70の開閉方向Cは、水平方向Bに対して傾斜する。なお、本実施形態では、電気自動車10が上記水平な面上に配置された際の車体上下方向Fが重力の作用する方向と同じである。このため、ヒンジ軸83の軸心線83aは、車体上下方向Fと交差する。
【0045】
ストッパ装置90は、蓋部材70に設けられる第1の係合部91と、開口52の縁部53に設けられて第1の係合部91と係合可能および当該係合を解除可能な第2の係合部92と、解除レバー93(図4に示す)と、解除レバー93が操作されることによって第1,2の係合部91,92の係合を解除可能なロック解除装置94を備えている。ストッパ装置90は、本発明で言うストッパ装置の一例である。
【0046】
第1の係合部91は、具体的には、蓋部材70の周縁部において車体前後方向の後側の部分に設けられている。第1の係合部91は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態において凹部50内に向かって突出する形状であって、収容溝95(図6に示す)が形成されている。
【0047】
第2の係合部92は、開口52の縁部53のうち車体前後方向に後側の部位に設けられており、凹部50内に位置している。第2の係合部92は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態での第1の係合部91と対向する位置に設けられとともに、凹部50内に向かって突出している。なお、収容溝は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態において、第2の係合部92と対向する位置に配置されており、かつ、第2の係合部92の先端に向かって開口している。
【0048】
第2の係合部92の先端には、蓋部材70が全閉位置P1にある状態での第1の係合部91の収容溝内に挿入可能な突部96設けられている。突部96は、収容溝95に収容された状態から収容溝95から出る方向に移動可能である。また、突部96は、収容溝95内に収容されて収容溝95と係合すべく、収容溝95側に付勢されている。つまり、突部96は、第2の係合部92から突出する方向に付勢されるとともに第2の係合部92内に押し込み可能なように弾性的に支持されている。このため、蓋部材70が全閉位置P1にある状態では、付勢力によって突部96が第1の係合部91の収容溝に挿入される。
【0049】
突部96の外側の面96aは、傾斜している。このため、蓋部材70を全閉位置P1まで閉めると、第1の係合部91の先端が面96aに当接するとともに傾斜する面96aによって突部96が第2の係合部92内に押し込められる。このことによって第1の係合部91の先端が突部96を乗り越える。
【0050】
ついで、蓋部材70が全閉位置P1になると突部96が収容溝95と対向するようになり、それゆえ、突部96は、付勢力によって第2の係合部92から押し出されて第1の係合部91の収容溝95内に挿入される。突部96が収容溝95の縁に引っかかることによって第1の係合部91と第2の係合部92とが互いに係合されるので、蓋部材70が全閉位置P1で保持される(本発明で言う、ロックされる状態)。
【0051】
ロック解除装置94は、第2の係合部92に隣接して設けられており、突部96に連結されている。ロック解除装置94は、突部96を第1の係合部91に対して引っ込める機能を有している。突部96が引っ込められることによって、突部96が第1の係合部91の収容溝95から抜け出し、それゆえ、第1,2の係合部91,92の係合が解除される(蓋部材70のロック状態が解除される)。
【0052】
図4は、電気自動車10の運転席16の近傍を示す斜視図である。図4に示すように、解除レバー93は、運転席16の近傍に設けられている。解除レバー93は、例えばケーブル97(図中一部点線で示す)などの伝達機構を介してロック解除装置94に接続されている。解除レバー93が操作されると、当該操作がケーブル97を介してロック解除装置94に伝達され、ロック解除装置94が動作される。
【0053】
ロック解除装置94が動作されると、突部96が収容溝から抜け出るので、第1,2の係合部91,92の係合が解除される。
【0054】
ストッパ装置90は、本発明で言うストッパ装置の一例である。なお、上記されたストッパ装置90の構造は、一例である。要するに、ストッパ装置は、蓋部材を全閉位置P1で保持(ロック)できるとともに、外部操作(本実施形態では解除レバーの操作)によって蓋部材70の全閉位置P1での保持(ロック)を解除できる構造であればよい。なお、好ましくは、当該外部操作は、車室内から行われるとよい。本実施形態では、車室内(運転席)から行われる。
【0055】
図3に示すように、全開固定スプリング100は、凹部50と蓋部材70との間にまたがって設けられており、蓋部材70を全閉位置P1に付勢する機能と、蓋部材70を全開位置P2に保持する機能とを有している。全開固定スプリング100は、後述されるポップアップスプリング110とは、別部材である。
【0056】
全開固定スプリング100について、具体的に説明する。図5は、全開固定スプリング100を拡大して示す斜視図である。図5に示すように、全開固定スプリング100は、一部に開口が形成される側面形状が略C字状である。図6は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態での普通充電用充電口40を示す断面図である。図6では、普通充電用充電口40は、全開固定スプリング100を通るように断面されており、全開固定スプリング100が、凹部50と蓋部材70とにまたがって設けられている状態を示している。
【0057】
図5,6に示すように、全開固定スプリング100は、蓋部材側ヒンジベース82に連結される蓋部材側固定部102と、凹部側ヒンジベース81に連結される凹部側固定部103とを有している。全開固定スプリング100の一端部が蓋部材側固定部102となっている。全開固定スプリング100の他端部が凹部側固定部103となっている。
【0058】
なお、凹部側ヒンジベース81は、凹部50の側面に当接して固定される固定部81aと、凹部50の内側に向かって折れ曲がるように突出する突出部81bとを有する断面形状が略C字状である。固定部81aと突出部81bとは一体である。
【0059】
凹部側ヒンジベース81には、凹部側固定部103が挿入される凹部側固定孔86が形成されている。凹部側固定部103の端部には、断面略L字状に折り返されて形成される引っ掛かり部104が形成されている。凹部側固定部103が凹部側固定孔86に挿入されると、引っ掛かり部104が凹部側固定孔86の縁に引っかかる。このことによって、凹部側固定部103が凹部側固定孔86から抜けなくなり(抜けにくくなり)それゆえ、凹部側ヒンジベース81に連結される。
【0060】
蓋部材側ヒンジベース82には、蓋部材側固定部102が挿入される蓋部材側固定孔87が形成されている。蓋部材側固定部102の端部には、折り曲げられて形成される引っ掛かり部105が形成されている。蓋部材側固定部102が蓋部材側固定孔87に挿入されると、引っ掛かり部105が蓋部材側固定孔87の縁に引っかかる。このことによって、蓋部材側固定部102が蓋部材側固定孔87から抜けなくなり(抜けにくくなり)それゆえ、蓋部材側固定部102が蓋部材側ヒンジベース82に連結される。
【0061】
また、蓋部材側固定部102は、引っ掛かり部105を除いて略直線状に形成されており、この直線状の部分も蓋部材側固定孔87に挿入可能になっている。全開固定スプリング100の姿勢に応じて蓋部材側固定孔87内での上記直線状部分の姿勢が変化する。さらに、全開固定スプリング100において蓋部材側固定部102に隣接する部位は、断面略U字状に形成されて基部85に向かって突出する当接部106となっており、当該当接部106が蓋部材側ヒンジベース82に当接する。
【0062】
図6に示すように、蓋部材側ヒンジベース82の基部85は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態において凹部50内(底壁部51)に向かって突出する形状である。全開固定スプリング100は、蓋部材側ヒンジベース82の上記のように突出する部分がスプリング100の内側に入り込むように設けられている。また、全開固定スプリング100は、凹部側ヒンジベース81と蓋部材側ヒンジベース82とに連結された状態において、内側に向かって縮まるように弾性力が作用するように、所定度開いた状態となっている。
【0063】
このため、全開固定スプリング100の弾性力は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態では、蓋部材70を全閉位置P1に向かって付勢するように作用する。全開固定スプリング100の弾性力は、蓋部材70が所定位置P3まで開くまでは、蓋部材70を全閉位置P1に向かって付勢するように作用する。
【0064】
所定位置P3について説明する。図7は、普通充電用充電口40および普通充電用充電口40の近傍を図6と同じように断面するとともに、蓋部材70が所定位置P3まで開いた状態を示している。図7に示すように、所定位置P3は、全開固定スプリング100の凹部側固定部103と凹部側ヒンジベース81との接触点P4とヒンジ軸83の軸心線83aとを結ぶ線L1と、当接部106と蓋部材側ヒンジベース82との接触点P5とが重なる位置である。
【0065】
全開固定スプリング100の内側に縮まろうとする弾性力は、蓋部材70が所定位置P3を越えて開くと、蓋部材70を全開位置P2に向かって開くように作用する(付勢する)。図8は、普通充電用充電口40および普通充電用充電口40の近傍を図6と同じように断面するとともに、蓋部材70が全開位置P2まで開いた状態を示している。
【0066】
全開固定スプリング100による蓋部材70の全開位置P2への保持力は、本実施形態のように蓋部材70が斜め上方向に開く構造であっても全開位置P2にある蓋部材70が重力によって閉まらないように保持できるだけの力を有する。
【0067】
また、図6〜8に示すように、凹部側ヒンジベース81には、第1の当接部301が設けられている。蓋部材側ヒンジベース82の基部85には、第2の当接部302が設けられている。
【0068】
第1の当接部301は、凹部側ヒンジベース81の突出部81bのヒンジ軸83を挟んで固定部81aと反対側の端部において後述されるポップアップスプリング110を避けた位置に設けられている。蓋部材側ヒンジベース82の基部85の端部が、第2の当接部302となっている。蓋部材70が全開位置P2まで開くと、第2の当接部302は、第1の当接部301に当接する。このため、第1,2の当接部301,302が当接した際に、ポップアップスプリング110が第1の当接部301に干渉することはない。
【0069】
このように、第2の当接部302がストッパとなり、それゆえ、蓋部材70は、全開位置P2を越えて開かなくなる。言い換えると、第2の当接部302が第1の当接部301に当接するまで開いた位置が全開位置P2となる。
【0070】
第1,2の当接部301,302は、蓋部材70が全閉位置P1と全開位置P2との間で開閉動作を行う際に(全開位置P2以外の位置で)、互いに接触したり、または、他の部位(蓋部材70や、凹部側ヒンジベース81の他の部位や、蓋部材側ヒンジベース82の他の部位)などに当接することに起因する蓋部材70の開閉動作の支障が生じないように、考慮されている。全開位置P2は、充電する際のガン41の挿入作業に対して蓋部材70が邪魔とならない位置まで開くように考慮されて設定されている。
【0071】
図3に示すように、ポップアップスプリング110は、蓋部材70側に設けられており、蓋部材70を跳ね上げる機能を有している。具体的には、ポップアップスプリング110は、ヒンジ装置80の蓋部材側ヒンジベース82に固定されており、かつ、全開固定スプリング100に隣接した位置に配置されている。
【0072】
図9は、ポップアップスプリング110を拡大して示す斜視図である。図9に示すように、ポップアップスプリング110の一端部は、蓋部材側ヒンジベース82の基部85に連結固定される固定部111が設けられている。図10は、普通充電用充電口40および普通充電用充電口40の近傍を、ポップアップスプリング110を通るように断面して示す断面図である。図10に示すように、蓋部材側ヒンジベース82の基部85には、固定部111が挿入されて係合される孔112が形成されている。
【0073】
図10は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態を示している。図10に示すように、蓋部材70が全閉位置P1にある状態にでは、ポップアップスプリング110の他端部は、跳ね上げ部113となっている。跳ね上げ部113は、ヒンジ装置80の凹部側ヒンジベース81に当接しかつたわむように設定される。跳ね上げ部113は、例えば、断面略S字状に形成されており、押圧されるとたわむようになっている。ストッパ装置90によって蓋部材70が全閉位置P1に固定されると、跳ね上げ部113が押圧された状態が維持される。
【0074】
蓋部材70が全閉位置P1にある状態で跳ね上げ部113に蓄えられる弾性力は、全開固定スプリング100の弾性力よりも大きい。さらに、ストッパ装置90によるロックが解除された状態において、跳ね上げ部113は、全開固定スプリング100の蓋部材70を全閉位置P1に向かわせる弾性力に対して蓋部材70を、例えば若干開いた状態に保持できるような弾性を有するように設定されている。図11は、図10と同様の位置での断面図であるとともに、蓋部材70が全開位置P2まで開いた状態を示している。図11に示すように、蓋部材70が全開位置P2にある状態では、ポップアップスプリング110の跳ね上げ部113は、凹部側ヒンジベース81に当接していない。
【0075】
本実施形態では、普通充電用充電口40にストッパ装置90が設けられているので、全閉位置P1にある蓋部材70が車外からの操作によって不意に開くことが抑制される。また、全開固定スプリング100を備えることによって、蓋部材70が全開位置P2で保持されるので、蓋部材70の開閉方向Cを任意に設定することができる。
【0076】
このため、リッド装置20を配置する際のリッド装置20の姿勢(ヒンジ軸83の軸心線83aの姿勢)の自由度を向上することができるので、リッド装置20のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0077】
この結果、本実施形態のように、蓋部材70の開閉動作(開閉方向C)を、水平方向Bではなく、水平方向Bに交差する斜め方向に設定することができる。つまり、電気自動車10の車体のデザインの要求に合わせるとともに蓋部材70とドア14との干渉を避けることができる。
【0078】
また、ポップアップスプリング110を備えることによって、ストッパ装置90のロックが解除されると、蓋部材70は、自然に、ある程度開くようになる。このように蓋部材がある程度開くことによって、作業者は、蓋部材70を容易に全開位置P2まで開くことができる。
【0079】
このように、本実施形態のリッド装置20では、蓋部材70が不意に開くことを抑制しつつ、充電口のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0080】
また、蓋部材70が全開位置P2でその姿勢が保持されることによって、電気自動車10の普通充電用充電口40にリッド装置20が設けられることが特に有効になる。この点について、具体的に説明する。普通充電用充電口40を用いる充電は、比較的時間が長い。つまり、普通充電用充電ガン41を普通充電用充電口40に挿入した状態が長くなる。このため、蓋部材70が全開位置P2でその姿勢が保持されることによって、普通充電用充電ガン41を長時間普通充電用充電口40に挿入しても、蓋部材70が閉じて普通充電用充電ガン41と接触するなどの不具合が生じることが抑制される。このため、電気自動車10のように、蓋部材70を長時間開く必要がある装置に対して、リッド装置20は、特に有効である。
【0081】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係るリッド装置を、図12〜15を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。なお、ここで言う同様の機能を有する構成とは、同一である機能、略同一の機能を含む概念であり、形状が同一であることに限定されない。
【0082】
本実施形態では、第1の実施形態で説明された全開固定スプリング100とポップアップスプリング110とに代えて、全開固定スプリング100の機能とポップアップスプリング110の機能とを有する多機能スプリング200が用いられる点が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0083】
図12は、本実施形態のリッド装置20を示す斜視図である。なお、本実施形態のリッド装置20は、第1の実施形態と同様に凹部50に固定される。また、リッド装置20の姿勢(ヒンジ軸83の軸心線83aの姿勢など)も第1の実施形態と同様である。リッド装置20は、上記したように、多機能スプリング200を備えている。
【0084】
図13は、多機能スプリング200を拡大して示す斜視図である。図13に示すように、多機能スプリング200は、全開固定スプリング部201と、ポップアップスプリング部202とを有している。全開固定スプリング部201は、本発明で言う全開固定スプリング部の一例である。ポップアップスプリング部202は、本発明で言うポップアップスプリング部の一例である。
【0085】
全開固定スプリング部201は、略C字状の形状であって、第1の実施形態で説明された全開固定スプリング100と同様の構造である。このため、全開固定スプリング部201において全開固定スプリング100と同様の機能を有する部位には、全開固定スプリング100と同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
ポップアップスプリング部202は、側面形状が略S字状である。ポップアップスプリング部202において第1の実施形態で説明されたポップアップスプリング110と同様の機能を有する部位は、ポップアップスプリング110と同一の符号を付して説明を省略する。ポップアップスプリング110と異なる構造について具体的に説明する。
【0087】
ポップアップスプリング部202は、固定部111に代えて、連結部203を有している。具体的には、跳ね上げ部113と反対側の端部が連結部203となっており、当該連結部203が全開固定スプリング部201に一体に連結固定されている。
【0088】
なお、本実施形態では、全開固定スプリング部201とポップアップスプリング部202とは、例えば同一の板部材から形成されており、当該板部材に曲げ加工やプレス加工を施すことによって多機能スプリング200は形成されている。このため、本実施形態では、連結部203は、溶接や他の接続手段によって全開固定スプリング部201に固定されているのではない。
【0089】
本実施形態では、ヒンジ装置80の蓋部材側ヒンジベース82には、ポップアップスプリング110が挿入されて連結された孔112が形成されていない。
【0090】
図14は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態での、普通充電用充電口40を示す断面図である。図14に示すように、連結部203は、蓋部材70が全閉位置P1にある状態において、ポップアップスプリング部202がヒンジ装置80の凹部側ヒンジベース81に対向しかつ凹部側ヒンジベース81に当接できるように、全開固定スプリング部201に対する位置が設定されている。このため、図13に示すように、連結部203は、全開固定スプリング部201の凹部側固定部103の近傍に連結されている。
【0091】
また、連結部203は、全開固定スプリング部201の側縁部204(全開固定スプリング部201が略C字状に見える方向にみたときの当該略C字状の形状を規定する縁部)に連結されており、図13に示すように全開固定スプリング部201の幅方向の範囲D内(図中矢印Dで示す範囲内)に略位置している。
【0092】
言い換えると、ポップアップスプリング部202は、全開固定スプリング部201を形成する板部の面205と対向し、かつ、ポップアップスプリング部202の略全体が全開固定スプリング部201の幅方向にそう範囲D内に位置している。なお、厳密に全体が全開固定スプリング部201の幅方向の範囲D内に位置してもよい。
【0093】
また、図14に示すように、ポップアップスプリング部202は、全開固定スプリング部201と凹部側ヒンジベース81との間に配置される。このため、第1の実施形態と比較して、ポップアップスプリング部202が配置されるスペースが小さくなるので、ポップアップスプリング部202を小さくすることができる。
【0094】
ポップアップスプリング部202の弾性力と全開固定スプリング部201の弾性力との相対関係は、第1の実施形態でのポップアップスプリング110の弾性力と全開固定スプリング100の弾性力との相対関係と同じである。
【0095】
図14に示すように、ポップアップスプリング部202(跳ね上げ部203)は、蓋部材70が全閉位置P1にあるとともにストッパ装置90によってロックされた状態では、全開固定スプリング部201と凹部側ヒンジベース81との間で圧縮方向に撓む。このことによって、ポップアップスプリング部202は、弾性力が蓄えられ、それゆえ、蓋部材70を開く方向に付勢する。
【0096】
ついで、運転者が解除レバー93を操作してストッパ装置90のロックが解除されると、ポップアップスプリング部202の弾性力によって、蓋部材70が全閉位置P1から跳ね上げられる。その後、蓋部材70は、ポップアップスプリング部202によってある程度開いた状態が保たれる。作業者は、ある程度開いた蓋部材70を全開位置P2まで開く。図15は、蓋部材70が全開位置P2まで開いた状態での断面図である。
【0097】
本実施形態では、第1の実施形態と同じ効果に加えて、以下の効果を得ることができる。本実施形態では、多機能スプリング200が用いられることによって、ヒンジ装置80におけるスプリングが固定される部位の構造を簡素にすることができる。
【0098】
この点について具体的に説明する。第1の実施形態のように、全開固定スプリング100とポップアップスプリング110とが別々に設けられる構造であると、ヒンジ装置80には、これら2つのスプリング100,110が固定される構造が必要になる。具体的には、第1の実施形態で説明された固定孔86,112などが必要になる。
【0099】
しかしながら、多機能スプリング200では、ヒンジ装置80には、全開固定スプリング部201が固定される固定孔86が形成されるだけでよい。このため、ヒンジ装置80におけるスプリングが固定される部位の構造を簡素にすることができる。
【0100】
また、多機能スプリング200が、全開固定スプリング部201とポップアップスプリング部202とが一体となる構造を有することによって、ヒンジ装置80におけるスプリングが占める範囲を小さくすることができる。このため、リッド装置20自体を小型化することもでき、それゆえ、普通充電用充電口40のレイアウトの自由度が向上する。
【0101】
また、蓋部材70を全開位置P2で保持する機能と、蓋部材70を全閉位置P1から跳ね上げる機能とを、1つの部品で行えるようになるので、部品数が削減される。さらにこのことによって多機能スプリング200のレイアウトの自由度も向上し、それゆえ、普通充電用充電口40のレイアウトの自由度も向上する。
【0102】
また、多機能スプリング200自体においても、以下のような効果がある。この点について、具体的に説明する。
【0103】
従来、全開固定スプリング部201のように内側に引っ張るように作用する弾性力を有することができる部分と、ポップアップスプリング部202のように外側に跳ね上げる弾性力を有することができる部分とを有する機構としては、内側に引っ張るように作用する弾性力を有することができるスプリングと、外側に跳ね上げる弾性力を有することができるスプリングとを別々に備える必要があった。
【0104】
しかしながら、この構造では、2つのスプリングを必要とするので、部品点数が増加するとともに、コストが高くなる。また、2つのスプリングを必要とすることによって、スプリングが占める範囲が大きくなり、それゆえ、上記機能を有する機構が大きくなってしまう。
【0105】
このため、多機能スプリング200のように、内側に引っ張る弾性力を有することができる部分と、外側に跳ね上げる弾性力を有することができる部分とを備えるとともに、各々が同時に上記弾性力を有することができるため、多機能スプリングとして互いに逆向きの弾性力を有することができるようになる。多機能スプリングは、これらの機能を1つのスプリングとして備えるので、部品点数の増加を抑えるとともにコストが高騰化することを抑え、上記機能を有する装置の占める大きさを小さくすることができる。
【0106】
本実施形態で言う全開固定スプリング部201は、上記内側に引っ張る弾性力を有することができる部分の一例である。本実施形態で言うポップアップスプリング部202は、上記外側に跳ね上げる弾性力を有することができる部分の一例である。
【0107】
さらに、本実施形態のように、内側に引っ張る弾性力を有することができる部分は、側面形状が一方に開口する形状(C字形状状)であり、外側に跳ね上げる弾性力を有することができる部分は、内側に引っ張る弾性力を有することができる部分の幅方向の範囲内(本実施形態で言う範囲D内)でわん曲することによって、多機能スプリングを小型化することができる。
【0108】
なお、第1,2の実施形態では、リッド装置20は、一例として、普通充電用充電口40に設けられている。しかしながら、リッド装置20は、普通充電用充電口40に用いられることに限定されない。リッド装置20は、例えば、急速充電用充電口30に用いられてもよい。また、リッド装置20は、電気自動車10に用いられることにも限定されない。例えば、ガソリンなどの外部より燃料を供給する際に用いられる給油口に、本発明のリッド装置が用いられてもよい。または、第1,2の実施形態で用いられた充電口や上記給油口以外の構造において車体側壁部に設けられて車外側に向かって開口する凹部を覆うために設けられてもよい。
【0109】
これらの場合であっても、本発明と同様の効果(一例として第1,2の実施形態と同様の効果)を得ることができる。
【0110】
なお、図6〜8,10,11,14,15では、蓋部材70と蓋部材側ヒンジベース82とが一部省略されて図示され、ソケット60は省略されている。しかしながら、実際には、ソケット60は、凹部50内に設けられている。
【0111】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
20…リッド装置、50…凹部、70…蓋部材、80…ヒンジ装置、90…ストッパ装置、100…全開固定スプリング(全開固定スプリング部)、110…ポップアップスプリング(ポップアップスプリング部)、201…全開固定スプリング部、202…ポップアップスプリング部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外に向かって開口する凹部を開閉可能に閉塞するリッド装置であって、
前記凹部を覆う大きさを有する蓋部材と、
前記蓋部材を、前記凹部を開閉可能に支持するヒンジ装置と、
前記蓋部材が前記凹部を閉塞する全閉位置にある状態をロック可能であるとともに、当該ロックを解除可能なストッパ装置と、
前記蓋部材が全開位置にある状態を保持する全開固定スプリング部と、
前記ストッパ装置のロックが解除された際に前記蓋部材を開方向に跳ね上げるポップアップスプリング部と
を具備することを特徴とするリッド装置。
【請求項2】
前記全開固定スプリング部と前記ポップアップスプリング部とは、別体である
ことを特徴とする請求項1に記載のリッド装置。
【請求項3】
前記全開固定スプリング部と前記ポップアップスプリング部とは、一体である
ことを特徴とする請求項1に記載のリッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−280243(P2010−280243A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133248(P2009−133248)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【Fターム(参考)】