説明

リニアアクチュエータ

【課題】リニアアクチュエータにおいて、スライドテーブルの停止時におけるモーメントの発生を抑制して該スライドテーブルの傾きを抑制すると共に、設計の容易化及び使い勝手の向上を図る。
【解決手段】リニアアクチュエータ10を構成するシリンダ本体12には、上方に設けられたガイド機構16を介してスライドテーブル14が往復自在に設けられている。スライドテーブル14の一端部には、その長手方向と直交する幅方向中央に、ストッパボルト82を有したストッパ機構18が設けられている。そして、スライドテーブル14が、シリンダ本体12に沿って変位した際、ストッパボルト82の端部が、ガイド機構16を構成するカバー96の端部に当接することによって前記スライドテーブル14が係止されて停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸線方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワーク等の搬送手段として、例えば、流体圧シリンダ等のリニアアクチュエータが用いられている。本出願人は、シリンダ本体に沿ってスライドテーブルを直線状に往復運動させることにより、前記スライドテーブルに載置されたワークを搬送可能なリニアアクチュエータを提案している(特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、ボディにおけるガイドレールとスライドテーブルとの間に複数の鋼球が設けられ、前記スライドテーブルの変位に伴って前記鋼球が変位する非循環式のガイド機構を備えたリニアアクチュエータが開示されています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2586276号公報
【特許文献2】特開2008−57679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に係る従来技術では、例えば、スライドテーブルに対して偏荷重がかかった状態で該スライドテーブルを移動させた場合、前記ガイドレールにおける左右の鋼球にずれが生じてしまい、それに伴って、前記スライドテーブルに傾きが生じてしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は、前記の提案に基づいてなされたものであり、スライドテーブルの停止時におけるモーメントの発生を抑制して該スライドテーブルの傾きを抑制すると共に、設計の容易化及び使い勝手の向上を図ることが可能なリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸線方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータにおいて、
前記流体出入ポートと連通し、前記圧力流体の導入される一対のシリンダ室を有したシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の軸線方向に沿って往復動作するスライドテーブルと、
前記シリンダ室に沿って摺動自在に配設される一対のピストンを有し、前記ピストンの変位作用下に前記スライドテーブルを往復動作させるシリンダ機構と、
前記シリンダ本体に取り付けられ、複数の転動体の転動作用下に循環する循環通路が形成された扁平なガイドブロックを有し、前記スライドテーブルを前記シリンダ本体の軸線方向に沿って案内するガイド機構と、
前記スライドテーブルの端部において、該スライドテーブルの軸線方向と直交する幅方向中央に設けられ、前記スライドテーブルの往復動作を規制するストッパ機構と、
を備え、
前記ストッパ機構は、前記スライドテーブルと共に変位し、前記ガイドブロックの端部に当接することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対のピストンをシリンダ本体に備えたリニアアクチュエータにおいて、前記シリンダ本体の軸線方向に沿って往復動作するスライドテーブルには、その端部の幅方向中央に、前記スライドテーブルの往復動作を規制するストッパ機構が設けられる。そして、ピストンを含むシリンダ機構によってスライドテーブルを往復動作させた際、該スライドテーブルと共に変位するストッパ機構が、ガイド機構を構成するガイドブロックの端部に当接して停止する。
【0009】
従って、ストッパ機構が、スライドテーブルの端部において幅方向中央に設けられているため、ガイドブロックの端部に当接して係止される際、リニアアクチュエータを上方から見た場合に左右方向となるモーメントの発生が抑制され、前記スライドテーブルが係止される際に生じる傾きを回避することができる。
【0010】
また、ガイドブロックを、シリンダ本体に固定するとよい。
【0011】
さらに、シリンダ本体には、ガイド機構及びスライドテーブルに臨む側面に、該スライドテーブルから離間する方向に窪んだ凹部を備え、前記凹部に、前記ストッパ機構の一部を挿入させるとよい。
【0012】
さらにまた、スライドテーブルに、ガイドブロックの側面に臨む壁部に転動体の案内される案内溝を形成するとよい。
【0013】
またさらに、ストッパ機構を、スライドテーブルの軸線方向に沿った一端部及び他端部の少なくともいずれか一方に設けるとよい。
【0014】
また、ストッパ機構は、スライドテーブルの下方に設けられる保持部材と、前記保持部材に対して軸線方向に沿って進退自在に螺合されたストッパボルトとを備え、前記保持部材を、スライドテーブルに対して上方から挿入される締結部材によって連結するとよい。
【0015】
さらに、流体出入ポートを、シリンダ本体の両側面にそれぞれ設け、一方の側面に設けられた前記流体出入ポートを選択的に用いるとよい。
【0016】
さらにまた、シリンダ本体の軸線方向に沿った両側面に、ピストンの変位位置を検出可能な検出センサの装着されるセンサ取付溝をそれぞれ形成するとよい。
【0017】
またさらに、シリンダ本体及びスライドテーブルには、軸線方向と直交する幅方向の中央部に位置決め孔を設けるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
すなわち、一対のピストンをシリンダ本体に備えたリニアアクチュエータにおいて、スライドテーブルの端部における幅方向中央に、該スライドテーブルの往復動作を規制するストッパ機構を設けることにより、前記スライドテーブルの変位作用下にストッパ機構がガイドブロックの端部に当接して係止される際に、該ストッパ機構を中心とした左右方向のモーメント発生が抑制され、前記スライドテーブルが係止される際に生じる傾きを回避することができる。さらに、流体出入ポート及びセンサ取付溝をシリンダ本体の両側面に設け、しかも、位置決め孔が、前記シリンダ本体とスライドテーブルの幅方向中央に設けられているため、リニアアクチュエータの形状が、前記スライドテーブルの変位方向となるストローク方向に沿った軸線を中心として対称形状とすることができ、その結果、前記リニアアクチュエータの設計が容易となると共に、勝手違いによる2種類の製品を準備する必要を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータの外観斜視図である。
【図2】図1のリニアアクチュエータからスライドテーブルを上方へと離脱させた状態を示す分解斜視図である。
【図3】図1のリニアアクチュエータを下方側から見た分解斜視図である。
【図4】図1のリニアアクチュエータの全体縦断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図1のリニアアクチュエータを構成するガイド機構の外観斜視図である。
【図9】図8に示すガイド機構の分解斜視図である。
【図10】図4に示すリニアアクチュエータにおいてスライドテーブルのエンドプレートがシリンダ本体から離間する方向へと変位した状態を示す全体縦断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータの外観斜視図である。
【図12】図11のリニアアクチュエータを下方側から見た分解斜視図である。
【図13】図11のリニアアクチュエータの全体縦断面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿った断面図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿った断面図である。
【図16】図13に示すリニアアクチュエータにおいてスライドテーブルのエンドプレートがシリンダ本体から離間する方向へと変位した状態を示す全体縦断面図である。
【図17】変形例に係るリニアアクチュエータの外観斜視図である。
【図18】図17のリニアアクチュエータを下方側から見た分解斜視図である。
【図19】図17に示すリニアアクチュエータの断面図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータの正面図である。
【図21】図20に示すリニアアクチュエータの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係るリニアアクチュエータについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0022】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータを示す。
【0023】
このリニアアクチュエータ10は、図1〜図10に示されるように、シリンダ本体12と、該シリンダ本体12の上部に設けられ、長手方向(矢印A、B方向)に沿って直線状に往復動作するスライドテーブル14と、前記シリンダ本体12とスライドテーブル14との間に介装され、前記スライドテーブル14を長手方向(矢印A、B方向)に沿って案内するガイド機構16と、前記スライドテーブル14の変位量を調整自在なストッパ機構18とを含む。
【0024】
シリンダ本体12は、断面長方形状で長手方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで形成され、その上面には、略中央部に断面略円弧状に窪んだ凹部20が形成され、長手方向(矢印A、B方向)に沿って延在している。この凹部20には、シリンダ本体12とガイド機構16とを連結する連結ボルト22a、22bの挿通される一対のボルト孔24a、24bが貫通している。
【0025】
また、シリンダ本体12の一側面には、図5に示されるように、圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポート(流体出入ポート)26、28が該シリンダ本体12の長手方向と直交するように形成され、後述する一対の貫通孔(シリンダ室)30a、30bと連通している。さらに、シリンダ本体12の他側面には、長手方向(矢印A、B方向)に沿って二条のセンサ取付溝32がそれぞれ形成され、図示しない検出センサが装着される。
【0026】
シリンダ本体12の下面には、図3及び図4に示されるように、軸線上となる幅方向(矢印C方向)の中央部に一組のボルト孔24a、24bが形成され、上方に向かって貫通した前記ボルト孔24a、24bには、下方より連結ボルト22a、22bが挿通される。
【0027】
この連結ボルト22a、22bは、その頭部33がねじ部から離間する方向(図4中、下方)に向かって徐々に拡径したテーパ状の皿ボルトからなり、ボルト孔24a、24bの拡径部35も、テーパ状の頭部33に当接するようにシリンダ本体12の下面側に向かって徐々に拡径したテーパ状に形成される。
【0028】
そして、連結ボルト22a、22bは、そのねじ部が前記シリンダ本体12の上面より突出し、ガイド機構16のガイドブロック92に螺合されることによって互いに連結される。この際、図4に示されるように、連結ボルト22a、22bにおける頭部33とボルト孔24a、24bの拡径部35とがテーパ面を介して当接しているため、ガイドブロック92に対して水平方向(矢印A、B方向)の荷重が付与された場合でも、前記連結ボルト22a、22bがテーパ面との係合作用下に軸線と直交方向(矢印A、B方向)に変位することがない。
【0029】
そのため、ガイドブロック92がシリンダ本体12に対して常に位置決めされた状態で強固に固定される。換言すれば、連結ボルト22a、22bの軸線と直交方向への滑り(変位)が規制されるため、ガイドブロック92が高精度に位置決めされた状態で保持され、それに伴って、ストッパ機構18を介して係止されるスライドテーブル14の変位量を高精度に制御することができる。
【0030】
また、シリンダ本体12の下面には、幅方向(矢印C方向)の中央となる軸線上に一組の第1位置決め孔29a、29bが形成され、例えば、リニアアクチュエータ10のシリンダ本体12を他の装置等(図示せず)に固定する際、前記第1位置決め孔29a、29b及び装置等に対してピンが挿入されることにより相対的な位置決めがなされる。
【0031】
この第1位置決め孔29a、29bは、図3及び図4に示されるように、ボルト孔24a、24bに隣接するようにそれぞれ形成され、後述するピストンロッド38の突出するシリンダ本体12の一端部側(矢印A方向)に、一方の第1位置決め孔29aが真円状で貫通して形成され、前記シリンダ本体12の他端部側(矢印B方向)に形成される他方の第1位置決め孔29bは、軸線方向(矢印A、B方向)に沿って長尺な長円状に形成される。
【0032】
このように、第1位置決め孔29a、29bを、シリンダ本体12における軸線上に設けることにより、該シリンダ本体12を含むリニアアクチュエータ10を他の装置等に取り付けて位置決めを行う際に容易に作業を行うことができる。
【0033】
一方、シリンダ本体12の内部には、図5に示されるように、長手方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した一対の貫通孔30a、30bが形成され、一方の貫通孔30aと他方の貫通孔30bとは、所定間隔離間して略平行に並設されている。貫通孔30a、30bには、外周面にシールリング34が外周面に装着されたピストン37と、前記ピストン37に連結されたピストンロッド38とを含むシリンダ機構40がそれぞれ設けられる。
【0034】
このシリンダ機構40は、一対のピストン37及びピストンロッド38が一対の貫通孔30a、30bにそれぞれ内装されることによって構成される。また、ピストン37の外周面には、シールリング34と隣接してマグネット36が装着される。なお、マグネット36は、シリンダ本体12におけるセンサ取付溝32側となる一方のピストン37にのみ設けられ、前記センサ取付溝32に装着される検出センサ(図示せず)によって前記マグネット36の磁気が検出されることにより該ピストン37の軸線方向に沿った変位位置が検出される。
【0035】
さらに、ピストン37には、後述するロッドホルダ46側(矢印A方向)となる端部に環状のピストンダンパ41が設けられ、例えば、ストッパ機構18が設けられておらず、前記ピストン37が前記ロッドホルダ46側(矢印A方向)に向かって変位した場合でも、前記ピストン37が前記ピストンダンパ41を介してロッドホルダ46に当接することによって係止され、その衝撃が緩衝される。
【0036】
貫通孔30a、30bの一端部は、キャップ42によって閉塞され、前記貫通孔30a、30bの他端部は、止め輪44を介して保持されるロッドホルダ46によって気密に閉塞される。なお、ロッドホルダ46の外周面には、環状溝を介してOリング48が装着され、貫通孔30a、30bとの間を通じた圧力流体の漏れを防止している。
【0037】
さらに、一方の貫通孔30aは、第1及び第2ポート26、28とそれぞれ連通し、他方の貫通孔30bは、一方の貫通孔30aとの間に形成された一組の接続通路50a、50bを介して互いに連通している。すなわち、第1及び第2ポート26、28に供給された圧力流体は、一方の貫通孔30aへと導入された後、接続通路50a、50bを通じて他方の貫通孔30bにも導入される。この接続通路50a、50bは、貫通孔30a、30bの延在方向(矢印A、B方向)と直交するように形成されている。
【0038】
スライドテーブル14は、テーブル本体52と、該テーブル本体52の一端部に連結されるストッパ機構18と、前記テーブル本体52の他端部に連結されるエンドプレート(保持部材)54とを備え、前記エンドプレート54は、前記テーブル本体52に対して直交するように連結される。
【0039】
テーブル本体52は、長手方向(矢印A、B方向)に沿って所定厚さで延在するベース部56と、該ベース部56の両側部から直交するように下方へと延在した一対のガイド壁(壁部)58a、58bとからなり、前記ガイド壁58a、58bの内面には、後述するガイド機構16のボール(転動体)60が案内される第1ボール案内溝(案内溝)62が形成される。なお、第1ボール案内溝62は、断面略半円状に窪んで形成される。なお、ベース部56とガイド壁58a、58bとは、略同一の厚さ寸法で形成されている(図7参照)。
【0040】
また、テーブル本体52の一端部には、後述するストッパ機構18のホルダ部(保持部材)64を固定するためのボルト(締結部材)66aが挿通される一対の第1ボルト孔68が形成されると共に、他端部には、エンドプレート54を固定するためのボルト66bが挿通される一対の第2ボルト孔70が形成され、この第1及び第2ボルト孔68、70は、いずれもテーブル本体52の延在方向(矢印A、B方向)と直交方向に貫通している。
【0041】
ベース部56には、その一端部と他端部との間に4個のワーク保持用孔部72が形成され、該ワーク保持用孔部72は、互いに所定間隔離間して配置される。このワーク保持用孔部72は、例えば、スライドテーブル14の上部にワーク(図示せず)を載置して搬送する際、該ワークを固定する目的で設けられている。
【0042】
そして、ワーク保持用孔部72は、スライドテーブル14をシリンダ本体12の上部に設けた際、ガイドブロック92の両側面に設けられる第2ボール案内溝74に対して前記シリンダ本体12及びガイドブロック92の幅方向(矢印C方向)における中心側となる位置に配置される(図7参照)。換言すれば、ワーク保持用孔部72は、スライドテーブル14において、ガイドブロック92の第2ボール案内溝74より内側となる位置に配置される。
【0043】
また、ベース部56には、図1〜図4に示されるように、その幅寸法の中央となる軸線上にワーク(図示せず)を位置決めするための図示しないピンが挿入される一組の第2位置決め孔75a、75bが形成される。この第2位置決め孔75a、75bは、ベース部56の長手方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間し、エンドプレート54側(矢印A方向)に設けられる一方の第2位置決め孔75aが、真円状で貫通して形成され、ストッパ機構18側(矢印B方向)に設けられる他方の第2位置決め孔75bが、軸線方向に沿って長尺な長円状に形成される。
【0044】
このように、第2位置決め孔75a、75bを、スライドテーブル14におけるベース部56の軸線上に設けることにより、前記スライドテーブル14にワークを載置して位置決めを行う際に容易に作業を行うことができる。
【0045】
エンドプレート54は、テーブル本体52の他端部に形成された第2ボルト孔70に挿通された2本のボルト66bによって固定され、シリンダ本体12の端面に臨むように設けられると共に、一組のロッド孔76a、76bに挿通されたピストンロッド38の端部がそれぞれ固定される。これにより、エンドプレート54を含むスライドテーブル14が、ピストンロッド38と共にシリンダ本体12の長手方向(矢印A、B方向)に沿って変位することとなる。
【0046】
また、エンドプレート54には、一方のロッド孔76aと他方のロッド孔76bとの間となる位置に、ダンパ78の装着されるダンパ装着孔80が開口している。例えば、ゴム等の弾性材料からなるダンパ78が、シリンダ本体12側となるエンドプレート54の他側面側からダンパ装着孔80に装着された際、その端部が拡径すると共に前記他側面から突出する。
【0047】
このダンパ装着孔80は、エンドプレート54の幅方向(矢印C方向)における中央部に形成されているため、ダンパ78が前記エンドプレート54における幅方向中央部に装着されることとなる。
【0048】
すなわち、エンドプレート54がスライドテーブル14と共に変位した際、該エンドプレート54の他側面より突出したダンパ78がシリンダ本体12の端面に当接することにより、前記エンドプレート54と前記シリンダ本体12とが直接当接した際に懸念される衝撃や衝撃音の発生が回避される。
【0049】
さらに、ダンパ78を、エンドプレート54の幅方向(矢印C方向)の略中央部に設けているため、前記スライドテーブル14が変位し、前記エンドプレート54がダンパ78を介してシリンダ本体12の端面に当接して係止される際、リニアアクチュエータ10を上方から見て、左右方向となるモーメントの発生が抑制される。
【0050】
ストッパ機構18は、テーブル本体52における一端部の下面に設けられるホルダ部64と、前記ホルダ部64に対して螺合されるストッパボルト82と、前記ストッパボルト82の進退動作を規制するロックナット84とを有し、シリンダ本体12に設けられたガイド機構16の端面に臨むように設けられる。
【0051】
ホルダ部64は、ブロック状に形成され、スライドテーブル14を構成するテーブル本体52のベース部56に対して第1ボルト孔68を介して2本のボルト66aで上方から固定される。ホルダ部64の略中央部には、下方に向かって断面円弧状に膨出した第1膨出部86を有し、前記第1膨出部86を含むホルダ部64の中心部には、ストッパボルト82の螺合されるねじ孔88が形成され、前記テーブル本体52の延在方向と略平行に貫通している。
【0052】
すなわち、ねじ孔88は、第1膨出部86を有するホルダ部64の略中央部に設けられることにより、該第1膨出部86を有していない場合と比較し、若干だけ下方に形成することができる。
【0053】
また、第1膨出部86は、ホルダ部64において軸線方向に沿って延在し、スライドテーブル14が長手方向に沿って変位する際、シリンダ本体12の凹部20に挿通される。
【0054】
ストッパボルト82は、例えば、外周面にねじの刻設された軸状のスタッドボルトからなり、ホルダ部64のねじ孔88に螺合された状態で、該ねじ孔88から突出する長さで形成される。そして、ストッパボルト82には、ホルダ部64の端面から突出した部位にロックナット84が螺合される。
【0055】
そして、ストッパボルト82をホルダ部64に対して螺回させることにより、該ストッパボルト82が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位し、ガイド機構16に接近・離間する。例えば、ストッパボルト82を螺回させ所定長さだけガイド機構16側(矢印A方向)へと突出させた後、ロックナット84を螺回することにより移動させ前記ホルダ部64の側面に当接させることにより、前記ストッパボルト82の進退動作が規制される。
【0056】
また、ストッパボルト82の端部には、ガイド機構16側に向かって所定長さだけ突出し、例えば、弾性材料からなる緩衝部90が形成される。この緩衝部90は、スライドテーブル14の変位作用下にストッパボルト82がガイド機構16の端面に当接する際の衝撃を緩和する目的で設けられる。
【0057】
ガイド機構16は、図8及び図9に示されるように、幅広扁平状のガイドブロック92と、該ガイドブロック92に設けられ、ボール60を循環させる一対のボール循環部材94a、94bと、前記ガイドブロック92の長手方向に沿った両端部にそれぞれ装着される一組のカバー96と、前記カバー96の表面をそれぞれ覆う一組のカバープレート98とを含む。
【0058】
ガイドブロック92の両側面には、長手方向に沿って第2ボール案内溝74が形成され、前記第2ボール案内溝74に近接する部位には、ボール循環部材94a、94bの挿入される一対の装着溝100a、100bが長手方向に沿って貫通している。第2ボール案内溝74は、断面半円状に形成され、ガイド機構16の上部にスライドテーブル14が配置された際、第1ボール案内溝62と対向する位置に形成される。
【0059】
装着溝100a、100bは、ガイドブロック92の下面に形成され、断面矩形状で下方及び長手方向に沿った両端部が開口している。
【0060】
ボール循環部材94a、94bは、装着溝100a、100bに対応して断面矩形状に形成され、その内部にボール60の循環するボール循環孔(第2循環通路)102が貫通すると共に、その両端部には、前記ボール60の循環方向を反転させる一組の反転部104a、104bがそれぞれ設けられる。反転部104a、104bは、断面半円状に形成され、その外周面にボール60の転動するボール溝が形成され、該ボール溝がボール循環孔102と連続的に接続されている。
【0061】
すなわち、ボール60が、ボール循環部材94a、94bにおいてボール循環孔102から反転部104a、104bのボール溝を介して該ボール循環部材94a、94bの外側に設けられた第1及び第2ボール案内溝(第1循環通路)62、74へと180°方向変換して転動する。
【0062】
このボール循環部材94a、94bが、ガイドブロック92においてボール循環孔102が第1及び第2ボール案内溝62、74に対して下方となるように配置される。すなわち、ボール循環孔102と第1及び第2ボール案内溝62、74とが、鉛直方向(図7中、矢印C方向)に所定高さだけオフセットして設けられている。
【0063】
また、反転部104a、104bは、ボール循環部材94a、94bをガイドブロック92の装着溝100a、100bに挿入した際、その平面部108がそれぞれガイドブロック92の両端面に当接し(図6参照)、前記ボール循環部材94a、94bのボール循環孔102と第2ボール案内溝74との間を接続している。
【0064】
すなわち、図7に示されるように、ガイド機構16において、ボール循環孔102と第1及び第2ボール案内溝62、74とが反転部104a、104bによって斜め方向に接続されている。
【0065】
これにより、ボール循環部材94a、94bのボール循環孔102、ボール溝、スライドテーブル14の第1ボール案内溝62及びガイドブロック92の第2ボール案内溝74によって環状で連続するボール循環通路110が形成され、複数のボール60が前記ボール循環通路110に沿って転動することにより、スライドテーブル14をガイド機構16に沿って円滑に往復動作させる。
【0066】
カバー96は、ガイドブロック92の両端面を覆うように装着され、その中央部には、軸線方向に沿って貫通した孔部111が形成されると共に、前記孔部111を中心として上下方向に向かってそれぞれ断面円弧状に膨出した第2膨出部112を備える。この第2膨出部112は、シリンダ本体12の上部にガイド機構16が装着された際、該シリンダ本体12の凹部20内に挿入可能に設けられる。
【0067】
一方、カバー96の内部には、反転部104a、104bの収容される空間部114が形成され、前記空間部114には、前記反転部104a、104bとの間を転動するボール60を保持する保持溝116が形成されている。この保持溝116は、反転部104a、104bの半径外側に断面円弧状に形成され、前記保持溝116と反転部104a、104bのボール溝との間をボール60が転動する。
【0068】
カバープレート98の略中央部には、孔部118が形成され、カバー96の孔部111と同一直径且つ同軸上に形成される。そして、孔部111、118を通じてガイドブロック92の端面が外部に露呈すると共に、カバー96に対応して上下方向に断面円弧状に膨出した第3膨出部120を有する。この第3膨出部120は、カバー96の第2膨出部112と略同一の断面形状で形成され、シリンダ本体12の凹部20に挿入可能に設けられる。なお、上述したカバー96及びカバープレート98は、カバー固定用ボルト122を介してそれぞれガイドブロック92の端面に固定される。
【0069】
そして、スライドテーブル14が往復動作した際、ストッパ機構18を構成するストッパボルト82が孔部118、111を介してガイドブロック92の端面に当接する。
【0070】
本発明の第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、図4に示されるように、スライドテーブル14を構成するエンドプレート54が、シリンダ本体12の端面に当接した状態を初期位置として説明する。
【0071】
先ず、図示しない圧力流体供給源から圧力流体を第1ポート26へと導入する。この場合、第2ポート28は、図示しない切換弁の操作下に大気開放状態としておく。
【0072】
この第1ポート26に供給された圧力流体は、一方の貫通孔30aへ供給されると共に、接続通路50bを通じて他方の貫通孔30bへと供給され、ピストン37をロッドホルダ46側(矢印A方向)に向かって押圧する。これにより、ピストン37に連結されたピストンロッド38と共に、スライドテーブル14がシリンダ本体12から離間する方向へと変位する。
【0073】
この際、ガイド機構16を構成するボール60が、スライドテーブル14の変位に伴ってボール循環通路110に沿って転動することにより、前記スライドテーブル14が前記ガイド機構16によって軸線方向に沿って案内される。
【0074】
そして、図10に示されるように、スライドテーブル14の一端部に設けられたストッパボルト82の端部が、ガイド機構16を構成するガイドブロック92の端面に当接することにより、前記スライドテーブル14の変位が停止した変位終端位置となる。
【0075】
このストッパ機構18は、ロックナット84を緩め、ストッパボルト82の進退動作を可能とした後、該ストッパボルト82を螺回させてホルダ部64の端面からの突出量を調整することにより、スライドテーブル14の変位量を調整することが可能である。
【0076】
一方、図10に示される変位終端位置からスライドテーブル14を前記とは反対方向に変位させる場合には、第1ポート26に供給されていた圧力流体を第2ポート28に対して供給すると共に、前記第1ポート26を大気開放状態とする。これにより、第2ポート28から一対の貫通孔30a、30bへと供給された圧力流体によってピストン37がロッドホルダ46から離間する方向(矢印B方向)へと変位し、該ピストン37と共にピストンロッド38を介してスライドテーブル14がシリンダ本体12に接近する方向へと変位する。そして、スライドテーブル14を構成するエンドプレート54に設けられたダンパ78が、シリンダ本体12の端面に当接することにより初期位置へと復帰する。
【0077】
以上のように、第1の実施の形態では、シリンダ本体12に一対のピストン37及びピストンロッド38からなるシリンダ機構40を有したリニアアクチュエータ10において、該シリンダ本体12の上部に設けられるスライドテーブル14には、その一端部の略中央部に、前記スライドテーブル14の変位を係止するストッパ機構18が設けられている。このストッパ機構18を、スライドテーブル14の一端部且つ幅方向(矢印C方向)の略中央部に設けているため、前記スライドテーブル14が変位して前記ストッパ機構18のストッパボルト82がガイドブロック92の端面に当接して係止される際、リニアアクチュエータ10を上方から見て、左右方向となるモーメントの発生を抑制することができる。その結果、スライドテーブル14が係止される際の傾きを抑制することができ、確実且つ安定的に停止させることができる。
【0078】
また、ボール循環孔102を有したボール循環部材94a、94bを、ガイド機構16のガイドブロック92に設け、前記ガイドブロック92をシリンダ本体12の上部に2本の連結ボルト22a、22bで固定している。そのため、従来技術に係るリニアアクチュエータのように、ボディに設けられたレールに沿って変位させる場合と比較し、ボール循環通路110の長さを短くすることができるため、それに伴って、リニアアクチュエータ10の長手方向に沿った長さを短くすることが可能となる。換言すれば、リニアアクチュエータ10を長手方向に小型化することができる。
【0079】
さらに、従来技術である特許文献2に開示されたように、非循環式のリニアアクチュエータでは、左右に配置されたボール(鋼球)にずれが生じることがあり、それに伴って、スライドテーブルに傾きが生じることがある。これに対して、ボール60の循環可能なガイド機構16を有した本願発明のリニアアクチュエータ10では、左右の前記ボール60にずれが生じることがないため、スライドテーブル14の傾きを抑制する効果が大きい。
【0080】
さらに、シリンダ本体12の上面には、断面円弧状に窪んだ凹部20を形成すると共に、該シリンダ本体12の上部に設けられたガイド機構16のカバー96に、前記シリンダ本体12側に向かって膨出した第2膨出部112を設け、該第2膨出部112が前記凹部20内に挿入し、さらに、ストッパ機構18のストッパボルト82が当接するカバー96に対応させ、前記ストッパボルト82の位置をよりシリンダ本体12に接近させて配置することができる。
【0081】
そのため、シリンダ本体12に凹部20を設けていない場合と比較し、ガイド機構16及びストッパ機構18を、シリンダ本体12側に接近させて配置することが可能となり、前記ガイド機構16等を含むリニアアクチュエータ10の高さ寸法を抑制することが可能となる。
【0082】
さらにまた、リニアアクチュエータ10の高さ方向(図7中、矢印D方向)において、シリンダ本体12の中心と、ストッパ機構18を構成するストッパボルト82の中心との離間距離L(図7参照)をより小さくすることが可能となるため、前記ストッパ機構18を介してスライドテーブル14がガイド機構16に当接して係止される際、上下方向に生じるモーメントを小さくすることが可能となる。その結果、スライドテーブル14が係止される際の傾きを抑制することができ、確実且つ安定的に停止させることができる。
【0083】
また、スライドテーブル14を構成する一対のガイド壁58a、58bの内側に、ボール60の転動する第1ボール案内溝62をそれぞれ設けることにより、前記スライドテーブル14に対してガイド機構16を固定する必要がなく、それに伴って、前記スライドテーブル14の厚さを薄く形成することができる。その結果、スライドテーブル14を含むリニアアクチュエータ10の高さ寸法を抑制でき、高さ方向に小型化を図ることができる。
【0084】
さらに、ストッパ機構18を構成するホルダ部64が、スライドテーブル14におけるベース部56の一端部に対して上方からボルト66aで固定される構成としているため、前記ホルダを、その前方からスライドテーブル14のベース部56に対して固定する場合と比較し、前記ベース部56の厚さを薄くすることができる。その結果、ベース部56を含むスライドテーブル14の薄肉化を図ることができ、それに伴って、前記スライドテーブル14の軽量化を図ることができる。
【0085】
さらにまた、ダンパ78を、エンドプレート54の幅方向(矢印C方向)の略中央部に設けているため、前記スライドテーブル14が変位し、前記エンドプレート54がダンパ78を介してシリンダ本体12の端面に当接して係止される際、リニアアクチュエータ10を上方から見て、左右方向となるモーメントの発生を抑制することができる。その結果、スライドテーブル14が係止される際の傾きを抑制することができ、確実且つ安定的に停止させることができる。
【0086】
またさらに、シリンダ本体12の下面に、幅方向(矢印C方向)の中央となる軸線上に第1位置決め孔29a、29bを設けると共に、スライドテーブル14の幅寸法の中央となる軸線上にワーク(図示せず)を位置決めするための第2位置決め孔75a、75bを設けることにより、例えば、リニアアクチュエータ10のシリンダ本体12を他の装置等(図示せず)に固定する際、前記第1位置決め孔29a、29b及び装置等に対してピンが挿入されることにより相対的な位置決めを容易且つ高精度に行うことができると共に、スライドテーブル14にワークを載置する際の位置決めを容易且つ高精度に行うことができる。
【0087】
すなわち、リニアアクチュエータ10においては、ストッパ機構18を構成するストッパボルト82、エンドプレート54に設けられたダンパ78、シリンダ本体12の下面に形成された第1位置決め孔29a、29b、スライドテーブル14に形成された第2位置決め孔75a、75bが、いずれも前記リニアアクチュエータ10の幅方向(矢印C方向)における中央部に設けられており、前記シリンダ本体12、スライドテーブル14、ガイドブロック92及びストッパ機構18が、前記リニアアクチュエータ10において左右方向に対称形状となるように形成されている。その結果、シリンダ本体12及びスライドテーブル14を含むリニアアクチュエータ10の左右方向の勝手違いが発生することがなく、その設計が容易となる。
【0088】
また、スライドテーブル14を製作する場合には、第2位置決め孔75a、75bを基準として、ガイド壁58a、58bをプレス成形によって折り曲げ、さらに、前記第2位置決め孔75a、75bを基準として、第1ボール案内溝62を加工(例えば、切削加工)することで、前記第2位置決め孔75a、75bを高精度に前記スライドテーブル14の幅方向における中央に設けることが可能となる。
【0089】
次に、第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ150を図11〜図16に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0090】
この第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ150では、図11〜図16に示されるように、第1及び第2ポート26、28がシリンダ本体152の一側面に形成されると同時に、前記シリンダ本体152の他側面には、前記圧力流体の供給・排出される別の第3及び第4ポート(流体出入ポート)154、156(図14参照)が形成され、しかも、前記シリンダ本体152の一側面及び他側面にセンサ取付溝158a、158b(図15参照)がそれぞれ形成されている点で、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と相違している。
【0091】
また、リニアアクチュエータ150は、一組のストッパボルト160a、160b及びロックナット162a、162bとを有したストッパ機構164を備えている点で、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10と相違している。
【0092】
このシリンダ本体152の他側面には、第1ポート26と一直線上となる位置に第3ポート154が形成されると共に、第2ポート28と一直線上となる位置に第4ポート156が形成される。そして、第3及び第4ポート154、156は、シリンダ本体152における他方の貫通孔30bにそれぞれ連通し、第3及び第4ポート154、156に供給された圧力流体は、他方の貫通孔30bへと導入された後、接続通路50a、50bを通じて一方の貫通孔30aにも導入される。
【0093】
この第1及び第2ポート26、28、第3及び第4ポート154、156は、リニアアクチュエータ150の設置環境において使用に適したいずれか一組のポートが選択的に配管(図示せず)が接続されて使用される。例えば、第3及び第4ポート154、156に配管を接続し、圧力流体を供給・排出する場合には、第1及び第2ポート26、28には、閉塞プラグ166がそれぞれ装着され閉塞される。反対に、第1及び第2ポート26、28を使用して圧力流体の供給・排出を行う場合には、第3及び第4ポート154、156に対して閉塞プラグ166がそれぞれ装着される。
【0094】
一方、センサ取付溝158a、158bは、シリンダ本体152の一側面及び他側面において、第1〜第4ポート26、28、154、156の上方となる位置に形成され、該シリンダ本体152の長手方向(矢印A、B方向)に沿ってそれぞれ一直線状に延在している。そして、センサ取付溝158a、158bには、それぞれ図示しない検出センサが装着され、一対のピストン37にそれぞれ装着されたマグネット36の磁気を検出することによって該ピストン37の変位位置を検出する。
【0095】
また、ストッパ機構164は、ロックナット162aの螺合された一方のストッパボルト160aが、スライドテーブル14に固定されたホルダ部64に螺合され、他方のストッパボルト160bは、エンドプレート54における幅方向(矢印C方向)の略中央部に貫通したボルト孔168に螺合される。ロックナット162bは、ストッパボルト160bにおけるエンドプレート54の外側に突出した部位に螺合されている。
【0096】
ボルト孔168は、エンドプレート54においてダンパ装着孔80の上方に所定間隔離間して形成されると共に、ホルダ部64のねじ孔88と同軸上に形成される。すなわち、ストッパボルト160bは、エンドプレート54において、ダンパ78と同様に幅方向(矢印C方向)の中央となるように設けられると共に、一方のストッパボルト160aと他方のストッパボルト160bとが、同軸上、且つ、互いに対向するように配置されている。
【0097】
次に、上述したリニアアクチュエータ150の動作について簡単に説明する。
【0098】
先ず、図13及び図14に示される初期位置からピストン37が第3ポート154から供給される圧力流体によってロッドホルダ46側(矢印A方向)に向かって押圧されて変位し、それに伴って、ピストンロッド38と共にスライドテーブル14がシリンダ本体152から離間する方向へと変位する。この場合、第1及び第2ポート26、28は閉塞プラグ166によって閉塞されている。
【0099】
そして、ストッパ機構164を構成する一方のストッパボルト160aが、ガイド機構16を構成するガイドブロック92の端面に当接することにより、前記スライドテーブル14の変位が停止した変位終端位置となる(図16参照)。
【0100】
一方、図16に示される変位終端位置からスライドテーブル14を前記とは反対方向に変位させる場合には、第3ポート154に供給されていた圧力流体を第4ポート156に対して供給することにより、ピストン37が押圧されてロッドホルダ46から離間する方向(矢印B方向)へと変位し、該ピストン37と共にピストンロッド38を介してスライドテーブル14がシリンダ本体152に接近する方向へと変位する。そして、ストッパ機構164を構成する他方のストッパボルト160bが、ガイド機構16を構成するガイドブロック92の端面に当接することにより、前記スライドテーブル14の変位が停止した初期位置となる(図13及び図14参照)。
【0101】
すなわち、第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ150では、シリンダ本体152の一側面及び他側面にそれぞれ第1及び第2ポート26、28、第3及び第4ポート154、156を設け、前記第1及び第2ポート26、28、第3及び第4ポート154、156を通じて圧力流体の供給・排出が可能な構成としているため、前記リニアアクチュエータ150の設置環境や、圧力流体を供給する配管の取り回し等に応じて最適な一組のポートを選択して使用することができる。
【0102】
また、同様に、センサ取付溝158a、158bもシリンダ本体152の一側面及び他側面にそれぞれ形成されているため、リニアアクチュエータ150の設置環境に応じてセンサ取付溝158a、158bを選んで検出センサを取り付けることが可能である。さらに、2つのセンサ取付溝158a、158bに対してそれぞれ検出センサを設けることにより、ピストン37の変位位置をより一層高精度に検出することが可能となる。
【0103】
さらに、スライドテーブル14の変位を係止するストッパ機構164を、一組のストッパボルト160a、160bから構成し、前記ストッパボルト160aを、スライドテーブル14の一端部且つ幅方向(矢印C方向)の略中央部、前記ストッパボルト160bを、前記スライドテーブル14の他端部に連結されたエンドプレート54における幅方向(矢印C方向)の略中央部に設けている。
【0104】
そのため、スライドテーブル14が変位してストッパボルト160a、160bがガイドブロック92の端面に当接してそれぞれ係止される初期位置、変位終端位置において、リニアアクチュエータ150を上方から見て、左右方向となるモーメントの発生を抑制することができる。すなわち、ストッパ機構164を含むリニアアクチュエータ150が、該リニアアクチュエータ150の左右方向において対称形状となるように形成されている。
【0105】
その結果、スライドテーブル14が係止される際の傾きを抑制することができ、前記スライドテーブル14の一端部側のみにストッパボルト160aを設けた場合と比較し、より一層確実にモーメントの発生を抑制することが可能となり、それに伴って、前記スライドテーブル14を一層確実且つ安定的に停止させることができる。
【0106】
なお、センサ取付溝158a、158bは、上述したようにシリンダ本体152の一側面及び他側面にそれぞれ1本ずつ設けられる場合に限定されるものではなく、例えば、図17〜図19に示されるリニアアクチュエータ200のように、シリンダ本体202の高さ方向に沿って所定間隔離間し、該シリンダ本体202の長手方向(矢印A、B方向)に沿って延在する二条のセンサ取付溝204a、204bをそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0107】
この場合、例えば、一方のセンサ取付溝204aに、ピストン37の初期位置を検出するための検出センサを設け、他方のセンサ取付溝204bには、前記ピストン37の変位終端位置を検出するための別の検出センサを設けることにより、前記ピストン37における初期位置及び変位終端位置をより一層高精度に検出することが可能となる。
【0108】
次に、第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータ250を図20及び図21に示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10、150と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0109】
この第3の実施の形態に係るリニアアクチュエータ250では、シリンダ本体12の一側面及び他側面に第1及び第2ポート26、28を設ける代わりに、該シリンダ本体252の端部に連結されたエンドブロック254に前記第1及び第2ポート256、258を設けている点で、第1及び第2の実施の形態に係るリニアアクチュエータ10、150と相違している。
【0110】
このシリンダ本体252の一端部には、貫通孔30a、30bの開口部を閉塞するようにエンドブロック254が連結され、該エンドブロック254の端面には、その幅方向に離間して前記シリンダ本体252側(矢印A方向)に向かって延在する第1及び第2ポート256、258が形成される。
【0111】
第1ポート256は、第1連通路260を介して一方の貫通孔30aの端部に連通している。一方、第2ポート258は、エンドブロック254内において幅方向(矢印C方向)に延在した第2連通路262に接続すると共に、シリンダ本体252において一対の貫通孔30a、30bの間に形成された第3連通路264を介してエンドプレート54側に配置された接続通路50aと接続される。すなわち、第2ポート258から供給された圧力流体は、第2及び第3連通路262、264、接続通路50aを経て貫通孔30a、30bにおけるピストン37とロッドホルダ46との間にそれぞれ供給される。なお、第3連通路264は、エンドブロック254側(矢印B方向)となる接続通路50bとは非連通となるように形成される。
【0112】
このように、第1及び第2ポート256、258を有したエンドブロック254を、シリンダ本体252の長手方向(矢印A、B方向)に沿った端部に接続することにより、前記シリンダ本体252の長手方向に配管を接続することが可能となるため、例えば、シリンダ本体252の一側面及び他側面側に配管を接続するためのスペースを確保できない設置環境などにおいて好適である。
【0113】
なお、本発明に係るリニアアクチュエータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0114】
10、150、200、250…リニアアクチュエータ
12、152、202、252…シリンダ本体
14…スライドテーブル 16…ガイド機構
18、164…ストッパ機構 20…凹部
22a、22b…連結ボルト 24a、24b…ボルト孔
26、256…第1ポート 28、258…第2ポート
29a、29b…第1位置決め孔 30a、30b…貫通孔
32、158a、158b、204a、204b…センサ取付溝
40…シリンダ機構 41…ピストンダンパ
52…テーブル本体 54…エンドプレート
56…ベース部 58a、58b…ガイド壁
60…ボール 75a、75b…第2位置決め孔
82、160a、160b…ストッパボルト
84、162a、162b…ロックナット
92…ガイドブロック 94a、94b…ボール循環部材
96…カバー 98…カバープレート
100a、100b…装着溝 104a、104b…反転部
110…ボール循環通路 154…第3ポート
156…第4ポート 166…閉塞プラグ
168…ボルト孔 254…エンドブロック
260…第1連通路 262…第2連通路
264…第3連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体出入ポートから圧力流体を導入することにより、シリンダ本体の軸線方向に沿ってスライドテーブルを往復動作させるリニアアクチュエータにおいて、
前記流体出入ポートと連通し、前記圧力流体の導入される一対のシリンダ室を有したシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の軸線方向に沿って往復動作するスライドテーブルと、
前記シリンダ室に沿って摺動自在に配設される一対のピストンを有し、前記ピストンの変位作用下に前記スライドテーブルを往復動作させるシリンダ機構と、
前記シリンダ本体に取り付けられ、複数の転動体の転動作用下に循環する循環通路が形成された扁平なガイドブロックを有し、前記スライドテーブルを前記シリンダ本体の軸線方向に沿って案内するガイド機構と、
前記スライドテーブルの端部において、該スライドテーブルの軸線方向と直交する幅方向中央に設けられ、前記スライドテーブルの往復動作を規制するストッパ機構と、
を備え、
前記ストッパ機構は、前記スライドテーブルと共に変位し、前記ガイドブロックの端部に当接することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記ガイドブロックは、前記シリンダ本体に固定されることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記シリンダ本体には、前記ガイド機構及び前記スライドテーブルに臨む側面に、該スライドテーブルから離間する方向に窪んだ凹部を備え、前記凹部には、前記ストッパ機構の一部が挿入されることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記スライドテーブルには、前記ガイドブロックの側面に臨む壁部に前記転動体の案内される案内溝が形成されることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記ストッパ機構は、前記スライドテーブルの軸線方向に沿った一端部及び他端部の少なくともいずれか一方に設けられることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記ストッパ機構は、前記スライドテーブルの下方に設けられる保持部材と、前記保持部材に対して軸線方向に沿って進退自在に螺合されたストッパボルトとを備え、前記保持部材は、前記スライドテーブルに対して上方から挿入される締結部材によって連結されることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記流体出入ポートは、前記シリンダ本体の両側面にそれぞれ設けられ、一方の側面に設けられた前記流体出入ポートが選択的に用いられることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記シリンダ本体の軸線方向に沿った両側面には、前記ピストンの変位位置を検出可能な検出センサが装着されるセンサ取付溝がそれぞれ形成されることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記シリンダ本体及び前記スライドテーブルには、前記軸線方向と直交する幅方向の中央部に位置決め孔が設けられることを特徴とするリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−158085(P2011−158085A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226848(P2010−226848)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】